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明細書 :エポキシ樹脂組成物及びエポキシ樹脂硬化物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4779112号 (P4779112)
公開番号 特開2006-213764 (P2006-213764A)
登録日 平成23年7月15日(2011.7.15)
発行日 平成23年9月28日(2011.9.28)
公開日 平成18年8月17日(2006.8.17)
発明の名称または考案の名称 エポキシ樹脂組成物及びエポキシ樹脂硬化物
国際特許分類 C08G  59/50        (2006.01)
FI C08G 59/50
請求項の数または発明の数 5
全頁数 8
出願番号 特願2005-025267 (P2005-025267)
出願日 平成17年2月1日(2005.2.1)
審査請求日 平成19年3月12日(2007.3.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人 千葉大学
発明者または考案者 【氏名】阿久津 文彦
【氏名】桑田 博昭
審査官 【審査官】阪野 誠司
参考文献・文献 特開2005-179404(JP,A)
特開2005-247697(JP,A)
Mari Inoki,CURING BEHAVIOR AND PROPERTIES OF EPOXY RESINS CURED WITH THE DIAMINE HAVING HETEROCYCLIC RING,JOURNAL OF MACROMOLECULAR SCIENCE PURE AND APPLIED CHEMISTRY,米国,2002年 4月26日,A39(4),321-331
調査した分野 C08G 59/00
CA/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
ビスフェノールA型のエポキシ樹脂、2-アミノフェニル-4,5-ビス(アミノフェノキシフェニル)オキサゾール、4,5-ビス(アミノフェニル)-2-アミノフェニルオキサゾール、4,5-ビス(アミノフェノキシフェニル)-2-フェニルオキサゾールの少なくともいずれかからなる芳香族アミンを含有する硬化剤と、を配合してなるエポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
ビスフェノールA型のエポキシ樹脂、2-アミノフェニル-4,5-ビス(p-アミノフェノキシフェニル)オキサゾール、4,5-ビス(p-アミノフェニル)-2-アミノフェニルオキサゾール、4,5-ビス(p-アミノフェノキシフェニル)-2-フェニルオキサゾールの少なくともいずれかからなる芳香族アミンを含有する硬化剤と、を配合してなるエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
前記硬化剤の芳香族アミンにおけるアミノ基が、前記エポキシ樹脂におけるエポキシ基1molに対して0.4~0.6molの割合となるように配合してなることを特徴とする請求項1又は2記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
前記硬化剤の芳香族アミンにおけるアミノ基が、前記エポキシ樹脂におけるエポキシ基1molに対して0.45~0.55molの割合となるように配合してなることを特徴とする請求項1又は2記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1又は2記載のエポキシ樹脂組成物を硬化させたエポキシ樹脂硬化物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂及びその硬化物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にエポキシ樹脂硬化物は、エポキシ基を有するエポキシ樹脂と、アミノ基を有するポリアミンを含有する硬化剤とを混合及び硬化させることで実施され、その硬化物は接着性、接着強度、非収縮性、電気特性などに優れており、航空機、宇宙機器、自動車、スポーツ用品、レジャー用品などの用途で広く用いられている。
【0003】
一般に、エポキシ樹脂の耐熱性を向上させるためには、硬化剤に含有される化合物の分子構造中に芳香環を導入すれば効果があることが知られており、従来の硬化剤として4,4’-ジアミノジフェニルスルホン(DDS)や4,4’-ジアミノジフェニルメタン(DDM)がある(例えば下記特許文献1参照)。このエポキシ樹脂硬化物はそれぞれ熱変形温度が175℃、155℃であり、室温(27℃近傍)では高い接着強度を有している。
【0004】

【特許文献1】特開平7-258389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のエポキシ樹脂硬化物では、120℃以上の高温にさらすと接着強度が急激に低下し、180℃においてはそれぞれ67%(DDSを用いた場合)、54%(DDMを用いた場合)にまで低下し、高温における耐熱性に課題を有している。またより高い熱変形温度を有する若しくは室温におけるより高い接着強度を有することも望ましい。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題に着目してなされるものであり、より耐熱性のあるエポキシ樹脂硬化物及びそれを達成するためのエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、硬化剤としてオキサゾール環を有するポリアミンを用いることで熱変形温度が従来よりも高く、更に高温にした場合であっても接着強度の急激な低下を起こさないエポキシ樹脂硬化物を得ることができることを発見し、本発明に想到した。
【0008】
すなわち第一の手段として、一分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂と、オキサゾール環を有する芳香族アミンを含有する硬化剤と、を配合してなるエポキシ樹脂組成物とする。この樹脂組成物を配合し、硬化させることで従来よりも熱変形温度が高く、高温にした場合であっても接着強度の急激な低下を起こさないエポキシ樹脂硬化物を得ることができる。
【0009】
またこの手段において、硬化剤の芳香族アミンは、エーテル結合も有していることが望ましい。
【0010】
またこの手段において、硬化剤は、下記式(1)で示される芳香族アミンを含有していることが望ましい。
【化1】
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【0011】
またこの手段において、芳香族アミンは、2-アミノフェニル-4,5-ビス(アミノフェノキシフェニル)オキサゾール、4,5-ビス(アミノフェニル)-2-アミノフェニルオキサゾール、4,5-ビス(アミノフェノキシフェニル)-2-フェニルオキサゾール、4,5-ビス(アミノフェニル)-2-フェニルオキサゾールの少なくともいずれかを含んでなること、又は芳香族アミンは、2-アミノフェニル-4,5-ビス(p-アミノフェノキシフェニル)オキサゾール、4,5-ビス(p-アミノフェニル)-2-アミノフェニルオキサゾール、4,5-ビス(p-アミノフェノキシフェニル)-2-フェニルオキサゾール、4,5-ビス(p-アミノフェニル)-2-フェニルオキサゾールの少なくともいずれかを含んでなることも望ましい。
【0012】
またこの手段において、エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂の少なくともいずれかを含んでなることも望ましい。
【0013】
またこの手段において、硬化剤の芳香族アミンにおけるアミノ基が、エポキシ樹脂におけるエポキシ基1molに対して0.4~0.6molの割合となるように配合してなることが望ましく、より望ましくは0.45~0.55molの割合である。なおここで「硬化剤の芳香族アミンにおけるアミノ基が、エポキシ樹脂におけるエポキシ基1molに対して0.4~0.6molの割合となる」とは、配合する所定量のエポキシ樹脂に含有されるエポキシ基のmol数と、このエポキシ樹脂と配合される所定量の硬化剤に含有されるアミノ基のmol数の比が1:0.4~0.6の範囲にあることを意味する。また0.45mol~0.55molという場合において同様である。またこの場合mol数は常法の化学分析を用いて求めることができる。
【発明の効果】
【0014】
以上、従来よりも耐熱性が高いエポキシ樹脂硬化物及びそれを達成するためのエポキシ樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0016】
本実施形態に係るエポキシ樹脂硬化物は、一分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂と、オキサゾール環を有する芳香族アミンを含有する硬化剤と、を配合してなるエポキシ樹脂組成物を硬化することにより実現できる。
【0017】
本実施形態におけるオキサゾール環を含有する芳香族アミンとは、窒素1個、酸素1個、炭素3個とからなる複素5員環であるオキサゾール環を有する芳香族アミンをいい、下記式(1)で示されるような3置換オキサゾール構造を有する芳香族アミンがより望ましい。
【化1】
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【0018】
上記(1)の更に望ましい具体的な態様としては、下記(2)で示す2-アミノフェニル-4,5-ビス(p-アミノフェノキシフェニル)オキサゾールや、下記式(3)で示される4,5-ビス(p-アミノフェニル)-2-アミノフェニルオキサゾールや、下記式(4)で示される4,5-ビス(p-アミノフェノキシフェニル)-2-フェニルオキサゾール、下記式(5)で示される4,5-ビス(p-アミノフェニル)-2-フェニルオキサゾール等があげられる。
【化2】
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【化3】
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【化4】
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【化5】
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【0019】
ここでエポキシ樹脂は様々な化合物を用いることができるが、例えばビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、などを採用することができる。
【0020】
ビスフェノールA型のエポキシ樹脂とは、下記式(6)で示されるビスフェノールAと、下記(7)で示されるエピクロロヒドリンとの反応によって得られるエポキシ樹脂であって、ビスフェノールF型のエポキシ樹脂とは、下記式(8)で示されるビスフェノールFと上述のエピクロロヒドリンとの反応によって得られるエポキシ樹脂であって、ビスフェノールS型のエポキシ樹脂とは、下記式(9)で示されるビスフェノールSと上述のエピクロロヒドリンとの反応によって得られるエポキシ樹脂をいう。
【化6】
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【化7】
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【化8】
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【化9】
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【0021】
本実施形態に係るエポキシ樹脂硬化物は、上記の硬化剤とエポキシ樹脂とを配合して硬化させることにより得ることができるが、配合比としてはエポキシ基1molに対しアミノ基を0.5molとすることが理論上望ましいが、耐熱性のあるエポキシ樹脂硬化物を得ることができる実際上の範囲としてはエポキシ基1molに対しアミノ基を0.4~0.6molの範囲内とすることが望ましく、より望ましくは0.45~0.55molの範囲内である。
【0022】
以上により、従来よりも熱変形温度が高く、高温にした場合であっても接着強度の急激な低下を起こさないエポキシ樹脂硬化物を得ることができる。
【0023】
(実施例)
本実施形態に係る具体的な実施例について検討を行い、本発明の有用性を確認した。以下具体的に説明する。
【0024】
本実施例では、エポキシ樹脂としてビスフェノールA型のエポキシ樹脂(旭電化工業製EP-4100)を用い、硬化剤として下記表1に示すものをそれぞれ用いて配合及び硬化させ、熱変形温度及び接着強度について測定した。また、本発明の効果を確認するため、比較例についても検討を行っている。これについても下記表1に記載する。
【表1】
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【0025】
熱変形温度測定は、JIS K-7196に従い、針入法による熱機械分析(Thermomechanical Analysis、以下「TMA」という)により行った。
【0026】
測定装置は、マックサイエンス社製のTMA-4000を用いて測定を行った。昇温速度は5℃/分とし、試験片は直径5mm、深さ5mmmの凹部を有する容器に上記表1に記載されたエポキシ組成物をそれぞれ注入、硬化させることにより作成した。エポキシ組成物の硬化時間はいずれも2時間とした。また測定装置において試料片に荷重を加える針は、直径1mmφの断面を有する石英の針を用いた。
【0027】
一方、接着強度測定については、JIS K-6849に従って行った。引張試験装置は島津製作所製のAG-10TBを用いて行った。
【0028】
エポキシ樹脂に対する被着体としては断面積1cmの一対のステンレス製テストピースを用い、このテストピースにエポキシ樹脂を塗布及び挟み込んだ後、所定の条件で硬化させ、そのそれぞれを反対方向に引っ張ることによりその強度を測定することによって行った。
【0029】
以上の熱変形温度測定、接着強度測定の結果を下記表2に示す。
【表2】
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【0030】
以上によると、試料番号1~3にかかるエポキシ樹脂硬化物に対しては、熱変形温度において比較例(試料番号5)に対する有意な熱変形温度の上昇を確認できた。一方接着強度に関しては、試料番号1、3、4のエポキシ樹脂硬化物は20℃における接着強度が比較例に対して有意な上昇を確認でき、特に試料番号3では、試料番号4では比較例の2倍以上の接着強度を示していた。更に、試料番号1、4に関しては、120℃においてもその強度は比較例に対して有意に高く、特に試料番号1ではむしろ接着強度が向上していた。試料番号2については、20℃から120℃、更に180℃へ温度が上昇したにもかかわらず、接着強度の減少が殆ど見られず、高い温度にした場合においても安定的に使用できる点において有用であることが確認できた。