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明細書 :光学活性ホモアリルヒドラジノエステル類の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4913077号 (P4913077)
公開番号 特開2008-255094 (P2008-255094A)
登録日 平成24年1月27日(2012.1.27)
発行日 平成24年4月11日(2012.4.11)
公開日 平成20年10月23日(2008.10.23)
発明の名称または考案の名称 光学活性ホモアリルヒドラジノエステル類の製造方法
国際特許分類 C07C 241/04        (2006.01)
C07C 243/38        (2006.01)
B01J  37/04        (2006.01)
B01J  31/26        (2006.01)
C07B  53/00        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 241/04
C07C 243/38
B01J 37/04 102
B01J 31/26 Z
C07B 53/00 B
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 8
全頁数 23
出願番号 特願2008-021964 (P2008-021964)
出願日 平成20年1月31日(2008.1.31)
優先権出願番号 2007061130
優先日 平成19年3月10日(2007.3.10)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成20年11月25日(2008.11.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】小川 知香子
【氏名】永野 高志
【氏名】ウーヴェ シュナイダー
【氏名】藤田 麻里
個別代理人の代理人 【識別番号】100102668、【弁理士】、【氏名又は名称】佐伯 憲生
審査官 【審査官】福島 芳隆
参考文献・文献 特開平11-217362(JP,A)
特開2004-262873(JP,A)
特開2008-222620(JP,A)
調査した分野 C07C 227/06
C07C 227/32
C07C 229/48
C07C 241/04
C07C 243/38
C07C 281/02
C07C 281/20
B01J 31/24
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)



特許請求の範囲 【請求項1】
水と有機溶媒との混合溶媒中で、亜鉛化合物及び次の一般式(1)、
【化1】
JP0004913077B2_000009t.gif
(式中、Rは、それぞれ独立して置換基を有していてもよい炭化水素基を表すか、2個のR同士が一緒になって隣接する炭素原子と共に5~10員の環を形成してもよく、Rは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。)
で表されるキラルなジアミン配位子とを混合させて得られる触媒の存在下で、次の一般式(2)、
【化2】
JP0004913077B2_000010t.gif
(式中、R及びRは、それぞれ独立して置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)
で表されるα-ヒドラゾノエステルと次の一般式(3)、
【化3】
JP0004913077B2_000011t.gif
(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素原子又は置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示し、R10は水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、ハロゲン基、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基、又は保護されていてもよいメルカプト基を示す。)
で表されるアリルボラン誘導体とを反応させて、次の一般式(4)、
【化4】
JP0004913077B2_000012t.gif
(式中、R、R、R、R、R、及びR10は、前記したものと同じものを示し、*印が不斉炭素原子であることを示す。)
で表される光学活性ホモアリルヒドラジノエステル類又はこの異性体を製造する方法。
【請求項2】
前記一般式(1)におけるRが、置換基を有していてもよいアリール基である請求項に記載の方法。
【請求項3】
一般式(2)におけるRが、炭素数1~30のアルキル基であり、Rが置換基を有していてもよいアリール基である請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記一般式(3)におけるR及びRが、炭素数1~30のアルキル基であり、R、R、及びRが水素原子であり、R10が水素原子、炭素数1~30のアルキル基、ハロゲン基、保護されていてもよい水酸基、又は保護されていてもよいアミノ基である請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
亜鉛化合物が、亜鉛塩又は酸化亜鉛である請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
亜鉛塩が、ZnX(式中、Xはハロゲン原子からなる陰イオン、アルキルスルホン酸イオン、アリールスルホン酸イオン、パーフルオロアルキルスルホン酸イオン、アルキル硫酸イオン、アリール硫酸イオン、パーフルオロアルキル硫酸イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、酢酸イオン、又は水酸化物イオンを示す。)である請求項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1~のいずれかの方法で製造された光学活性ホモアリルヒドラジノエステル類の窒素-窒素結合を切断して対応するアミノエステル類を製造する方法。
【請求項8】
窒素-窒素結合の切断が、還元的切断である請求項に記載の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、水と有機溶媒との混合溶媒中で、亜鉛化合物及びキラルなジアミン配位子とを混合させて得られる触媒の存在下で、α-ヒドラゾノエステルとアリルボラン誘導体とを反応させて、対応する光学活性ホモアリルヒドラジノエステル類を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学活性なホモアリルアミン誘導体は、その二重結合を種々変換することが可能なことから、天然物や生理活性物質などの合成中間体として重要な化合物である。光学活性ホモアリルアミン誘導体は、通常はイミン類に対する不斉アリル化反応によって合成されており、中でもα-イミノエステルへの触媒的不斉アリル化反応は光学活性α-アミノ酸誘導体を直接合成できることから、非常に期待されている手法の一つである。
しかしながら、これまでにα-イミノエステルを含むイミン類に対する触媒的不斉アリル化反応は幾つか報告がなされているが、そのほとんどが厳密な無水条件下での反応であり(非特許文献1~10参照)、水中または水と有機溶媒の混合溶媒中などの穏和な条件下での高選択的不斉アリル化反応の例は限られている。
山本らのグループはパラジウム触媒を用いる水共存下でのイミンの高選択的なアリル化反応を報告しているが、α-イミノエステル類を基質とする検討例がないことや用いているアリルスズ誘導体に強い有害性があることなどにおいて改善の余地がある(非特許文献11参照)。
【0003】
また、本発明者らは光学活性亜鉛触媒存在下アリルシラン誘導体を用いる水と有機溶媒の混合溶媒中でのα-ヒドラゾノエステルの不斉アリル化反応を報告している(特許文献1、及び非特許文献12参照)。この手法では得られるヒドラジノエステルはその窒素-窒素結合を切断することによりアミノエステルに導けることから(非特許文献12)、光学活性α-アミノ酸誘導体合成法として有効である。しかしながら、その反応自体の選択性に改善の余地を残している。一方、クック(Cook)らはアシルヒドラゾンの不斉アリル化を報告しているが、有機溶媒中での反応であり、またインジウムを過剰量必要とする(非特許文献13)。
【0004】

【特許文献1】特開2004-262873号公報
【非特許文献1】H. Nakamura, K. Nakamura, Y. Yamamoto, J. Am. Chem. Soc. 1998, 120, 4242-4243.
【非特許文献2】D. Ferraris, T. Dudding, B. Young, W. J. Drury III, T. Lectka, J. Org. Chem. 1999, 64, 2168-2169.
【非特許文献3】K. Nakamura, H. Nakamura, Y. Yamamoto, J. Org. Chem. 1999, 64, 2614-2615.
【非特許文献4】X. Fang, M. Johannsen, S. Yao, N. Gathergood, R. G. Hazell, K. A. Jφrgensen, J. Org. Chem. 1999, 64, 4844-4849.
【非特許文献5】T. Gastner, H. Ishitani, R. Akiyama, S. Kobayashi, Angew. Chem. Int. Ed. 2001, 40, 1896-1898.
【非特許文献6】D. Ferraris, B. Young, C. Cox, T. Dudding, W. J. Drury III, L. Ryzhkov, A. E. Taggi, T. Lectka, J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 67-77.
【非特許文献7】R. A. Fernandes, Y. Yamamoto, J. Org. Chem. 2004, 69, 735-738.
【非特許文献8】G. R. Cook, R. Kargbo, B. Maity, Org. Lett. 2005, 7, 2767-2770.
【非特許文献9】R. Wada, T. Shibuguchi, S. Makino, K. Oisaki, M. Kanai, M. Shibasaki, J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 7687-7691.
【非特許文献10】K. L. Tan, E. N. Jacobsen, Angew. Chem. Int. Ed. 2007, 46, 1315-1317
【非特許文献11】R. A. Fernandes, A. Stimac, Y. Yamamoto, J. Am. Chem. Soc. 2003, 125, 14133-14139.
【非特許文献12】T. Hamada, K. Manabe, S. Kobayashi, Angew. Chem. Int. Ed. 2003, 42, 3927-3930.
【非特許文献13】R. Kargbo, Y. Takahashi, S. Bhor, G. R. Cook, G. C. Lloyd-Jones, I. R. Shepperson, J. Am.Chem. Soc. 2007, 129, 3846-3847
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、水と有機溶媒との混合溶媒中でのアリルボラン誘導体を用いるα-ヒドラゾノエステルに対する触媒的不斉アリル化反応において、より高収率で、かつ高立体選択的に光学活性ホモアリルヒドラジノエステルを製造する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、より高収率で、かつ高立体選択的に光学活性ホモアリルヒドラジノエステルを製造する方法を検討してきた。従来のアリルシラン誘導体を用いる方法は、アリルスズ誘導体に比べ毒性は低く、優れた方法であったが、収率や立体選択性が必ずしも充分ではなく、さらなる改良が求められていた。本発明者らは、アリル化剤として種々のものを検討してきたところ、かつアリルシラン誘導体よりも反応性が高い特徴を有しているアリル化剤である、アリルボラン誘導体が亜鉛触媒を用いる方法において極めて優れた特性を有していることを見出し、有機溶媒と水との混合溶媒中でのアリルボラン誘導体を用いるヒドラゾンの高エナンチオ選択的触媒的不斉アリル化反応についての発明を完成した。
【0007】
即ち、本発明は、水と有機溶媒との混合溶媒中で、亜鉛化合物及びキラルなジアミン配位子とを混合させて得られる触媒の存在下で、α-ヒドラゾノエステルとアリルボラン誘導体とを反応させて、対応する光学活性ホモアリルヒドラジノエステル類を製造する方法に関する。
また、本発明は、前記した方法で製造された光学活性ホモアリルヒドラジノエステル類の窒素-窒素結合を切断して対応するアミノエステル類を製造する方法に関する。
【0008】
本発明をより詳細に説明すれば以下のとおりとなる。
(1) 水と有機溶媒との混合溶媒中で、亜鉛化合物及びキラルなジアミン配位子とを混合させて得られる触媒の存在下で、α-ヒドラゾノエステルとアリルボラン誘導体とを反応させて、対応する光学活性ホモアリルヒドラジノエステル類を製造する方法。
(2) キラルなジアミン配位子が、次の一般式(1)、
【0009】
【化5】
JP0004913077B2_000002t.gif

【0010】
(式中、Rは、それぞれ独立して置換基を有していてもよい炭化水素基を表すか、2個のR同士が一緒になって隣接する炭素原子と共に5~10員の環を形成してもよく、Rは、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を示す。)
で表されるジアミン誘導体である前記(1)に記載の方法。
(3) 前記一般式(1)におけるRが、置換基を有していてもよいアリール基である前記(2)に記載の方法。
(4) α-ヒドラゾノエステルが、次の一般式(2)、
【0011】
【化6】
JP0004913077B2_000003t.gif

【0012】
(式中、R及びRは、それぞれ独立して置換基を有していてもよい炭化水素基を示す。)
で表されるα-ヒドラゾノエステルである前記(1)~(3)のいずれかに記載の方法。
(5) 一般式(2)におけるRが、炭素数1~30のアルキル基であり、Rが置換基を有していてもよいアリール基である前記(4)に記載の方法。
(6) アリルボラン誘導体が、次の一般式(3)、
【0013】
【化7】
JP0004913077B2_000004t.gif

【0014】
(式中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子又は置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素原子又は置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基を示し、R10は水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、ハロゲン基、保護されていてもよい水酸基、保護されていてもよいアミノ基、又は保護されていてもよいメルカプト基を示す。)
で表されるアリルボラン誘導体である前記(1)~(5)のいずれかに記載の方法。
(7) 前記一般式(3)におけるR及びRが、炭素数1~30のアルキル基であり、R、R、及びRが水素原子であり、R10が水素原子、炭素数1~30のアルキル基、ハロゲン基、保護されていてもよい水酸基、又は保護されていてもよいアミノ基である前記(6)に記載の方法。
(8) 亜鉛化合物が、亜鉛塩又は酸化亜鉛である前記(1)~(7)のいずれかに記載の方法。
(9) 亜鉛塩が、ZnX(式中、Xはハロゲン原子からなる陰イオン、アルキルスルホン酸イオン、アリールスルホン酸イオン、パーフルオロアルキルスルホン酸イオン、アルキル硫酸イオン、アリール硫酸イオン、パーフルオロアルキル硫酸イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、酢酸イオン、又は水酸化物イオンを示す。)である前記(8)に記載の方法。
(10) 光学活性ホモアリルヒドラジノエステル類が、次の一般式(4)、
【0015】
【化8】
JP0004913077B2_000005t.gif

【0016】
(式中、R、R、R、R、R、及びR10は、前記したものと同じものを示し、*印が不斉炭素原子であることを示す。)
で表される光学活性ホモアリルヒドラジノエステル類又はこの異性体である前記(1)~(9)のいずれかに記載の方法。
(11) 前記(1)~(10)のいずれかの方法で製造された光学活性ホモアリルヒドラジノエステル類の窒素-窒素結合を切断して対応するアミノエステル類を製造する方法。
(12) 窒素-窒素結合の切断が、還元的切断である前記(11)に記載の方法。
【0017】
以下に、本発明の態様をさらに詳細に説明する。
本発明のα-ヒドラゾノエステルとしては、カルボン酸エステル類のα位がヒドラゾン化されたもので、好ましくはヒドラゾンの他方の窒素原子がアシル化されたものが挙げられる。好ましいα-ヒドラゾノエステルとしては、前記した一般式(2)で表されるα-ヒドラゾノエステルが挙げられる。
本発明の一般式(2)で表されるα-ヒドラゾノエステルにおける基R及び基Rの「炭化水素基」としては、炭素数1~30、好ましくは炭素数1~20、炭素数1~10の直鎖状又は分枝状のアルキル基;炭素数2~20、好ましくは炭素数2~15、炭素数2~10の直鎖状又は分枝状のアルケニル基;炭素数3~15、好ましくは炭素数3~10の飽和又は不飽和の単環式、多環式又は縮合環式の脂環式炭化水素基;炭素数6~36、好ましくは炭素数6~18、炭素数6~12の単環式、多環式、又は縮合環式の炭素環式芳香族基;炭素数6~36、好ましくは炭素数6~18、炭素数6~12の単環式、多環式、又は縮合環式の炭素環式芳香族基(アリール基)に、前記した炭素数1~20のアルキル基が結合した、炭素数7~40、好ましくは炭素数7~20、炭素数7~15のアリールアルキル基(炭素環式芳香脂肪族基)などが挙げられ、このようなアルキル基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、などが挙げられ、脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ビシクロ[1.1.0]ブチル基、トリシクロ[2.2.1.0]ヘプチル基、ビシクロ[3.2.1]オクチル基、ビシクロ[2.2.2.]オクチル基、アダマンチル基(トリシクロ[3.3.1.1]デカニル基)、ビシクロ[4.3.2]ウンデカニル基、トリシクロ[5.3.1.1]ドデカニル基、などが挙げられ、炭素環式芳香族基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、フェナントリル基、アントリル基、などが挙げられ、アリールアルキル基(炭素環式芳香脂肪族基)としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、α-ナフチル-メチル基などが挙げられる。好ましい炭化水素基としては、炭素数1~10の直鎖状又は分枝状のアルキル基、炭素数6~12の単環式、多環式、又は縮合環式のアリール基、又は炭素数7~15のアリールアルキル基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基などが挙げられる。これらの基は適宜置換基を有してもよい。
特に好ましい基Rとしては、炭素数1~10の直鎖状又は分枝状のアルキル基、又は炭素数7~15のアリールアルキル基が挙げられ、基Rとしてはメチル基などのアルキル基、メトキシ基などのアルコキシ基、塩素原子などのハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、ジメチルアミノ基などのジアルキルアミノ基などの置換基で置換されてもよい炭素数6~12の単環式、多環式、又は縮合環式のアリール基が挙げられる。さらに好ましい基Rとしてはフェニル基、p-ジメチルアミノフェニル基、p-メトキシフェニル基、p-ニトロフェニル基、p-ヒドロキシフェニル基などが挙げられる。
【0018】
本発明のアリルボラン誘導体としては、炭素-炭素二重結合におけるアリル位にホウ素原子が結合したボラン化合物が挙げられるが、好ましいアリルボラン誘導体としては、前記した一般式(3)で表されるアリルボラン誘導体が挙げられる。
本発明の一般式(3)で表されるアリルボラン誘導体におけるR及びRの「炭化水素基」としては、前記した炭化水素基が挙げられ、これらの炭化水素基は前記した置換基で置換されていてもよい。一般式(3)で表されるアリルボラン誘導体におけるR及びRの好ましい基としては、炭素数1~30、好ましくは炭素数1~20、炭素数1~10の直鎖状又は分枝状のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基等が挙げられる。これらのR及びRは同一であっても異なっていてもよい。
本発明の一般式(3)で表されるアリルボラン誘導体におけるR、R、R、及びR10の「脂肪族炭化水素基」としては、炭素数1~30、好ましくは炭素数1~20、炭素数1~10の直鎖状又は分枝状のアルキル基;炭素数2~20、好ましくは炭素数2~15、炭素数2~10の直鎖状又は分枝状のアルケニル基、炭素数3~15、好ましくは炭素数3~10の飽和又は不飽和の単環式、多環式又は縮合環式の脂環式炭化水素基などが挙げられるが、好ましくは炭素数1~10の直鎖状又は分枝状のアルキル基が挙げられる。好ましいR、R及びRとしては、水素原子が挙げられ、R10としては、水素原子又は炭素数1~30、好ましくは炭素数1~20、炭素数1~10の直鎖状又は分枝状のアルキル基が挙げられる。
【0019】
また、本発明の一般式(3)で表されるアリルボラン誘導体におけるR10のハロゲン基としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子などが挙げられる。
本発明の一般式(3)で表されるアリルボラン誘導体におけるR10の水酸基、アミノ基、又はメルカプト基は必要により適当な保護基で保護されていてもよく、このような保護基としては、本発明の方法における化学反応においては反応に関与しないように化学的に変性することができる基であって、当該反応の後は加水分解や加水素分解などにより容易に脱離してもとの官能基に復元することができる基であればよく、例えば、ペプチド合成などに使用されるおける水酸基、アミノ基、又はメルカプト基の保護基などが挙げられる。このような保護基としては、より具体的には、例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1~30、好ましくは炭素数1~20、炭素数1~10の直鎖状又は分枝状のアルキル基;ベンジル基などの炭素数7~30、好ましくは炭素数7~20、炭素数7~12のアラルキル基;t-ブチルカルボニル基などの炭素数1~30、好ましくは炭素数1~20、炭素数1~10の直鎖状又は分枝状のアルキル基からなるアルキルアシル基;例えば、フェニルカルボニル基などの炭素数6~36、好ましくは炭素数6~18、炭素数6~12の単環式、多環式、又は縮合環式のアリール基からなるアリールカルボニル基;例えばベンジルカルボニル基などの炭素数7~30、好ましくは炭素数7~20、炭素数7~12のアラルキル基からなるアラルキルカルボニル基;例えば、t-ブトキシカルボニル基などの炭素数1~30、好ましくは炭素数1~20、炭素数1~10の直鎖状又は分枝状のアルキル基からなるアルキルオキシカルボニル基;例えば、ベンジルオキシカルボニル基などの炭素数7~30、好ましくは炭素数7~20、炭素数7~12のアラルキル基からなるアラルキルオキシカルボニル基などが挙げられる。また、これらのアルキル基、アリール基、アラルキル基は、フッ素原子などのハロゲン基などで適宜置換されていてもよい。R10における好ましい「保護されていてもよい水酸基」としては、炭素数7~30、好ましくは炭素数7~20、炭素数7~12のアラルキルオキシ基、より具体的にはベンジルオキシ基などが挙げられる。
【0020】
本発明の方法において使用されるキラルなジアミン配位子としては、2個の飽和の窒素原子を有するキラルな化合物が挙げられる。好ましいキラルなジアミン配位子としては前記一般式(1)で表されるキラルなジアミン配位子が挙げられる。
本発明の一般式(1)で表されるジアミン誘導体における基Rの「炭化水素基」としては、前記した炭化水素基と同じものが挙げられる。例えば、炭素数1~30、好ましくは炭素数1~20、炭素数3~20の直鎖状又は分枝状のアルキル基;炭素数2~20、好ましくは炭素数2~15、炭素数3~15の直鎖状又は分枝状のアルケニル基;炭素数3~15、好ましくは炭素数3~10の飽和又は不飽和の単環式、多環式又は縮合環式の脂環式炭化水素基;炭素数6~36、好ましくは炭素数6~18、炭素数6~12の単環式、多環式、又は縮合環式の炭素環式芳香族基;炭素数6~36、好ましくは炭素数6~18、炭素数6~12の単環式、多環式、又は縮合環式の炭素環式芳香族基(アリール基)に、前記した炭素数1~20のアルキル基が結合した、炭素数7~40、好ましくは炭素数7~20、炭素数7~15のアリールアルキル基(炭素環式芳香脂肪族基)などが挙げられる。
また、これらの炭化水素基は前記した置換基で置換されていてもよい。好ましいRとしては、炭素数6~36、好ましくは炭素数6~18、炭素数6~12の単環式、多環式、又は縮合環式のアリール基、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。これらのアリール基は適宜前記してきたような置換基を有してもよい。
本発明の一般式(1)で表されるジアミン誘導体の基Rにおける「R同士が一緒になって隣接する炭素原子と共に単環式、多環式、又は縮合環式の5~10員の環を形成する場合としては、隣接する炭素原子に結合している2個のR基が一緒になって炭素数1~8、好ましくは炭素数3~8、炭素数3~6の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を形成し、隣接する2個の炭素原子と共に5~10員の脂肪族環式基を形成するものが挙げられる。形成される環は飽和であっても不飽和であってもよいが、好ましくは飽和環が挙げられる。また、このように形成された環にさらに他の環が結合または縮合したものであってもよい。好ましい例としては、R同士が一緒になって隣接する炭素原子と共にシクロヘキサン環を形成する場合が挙げられる。
【0021】
本発明の一般式(1)で表されるジアミン誘導体における基Rの「芳香族炭化水素基」としては、炭素数6~36、好ましくは炭素数6~18、炭素数6~12の単環式、多環式、又は縮合環式の芳香族炭化水素基(アリール基)が挙げられる。より具体的には、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。これらの芳香族炭化水素基(アリール基)は適宜前記してきたような置換基を有してもよい。好ましい置換基としては、メチル基などの炭素数1~6のアルキル基、メトキシ基などの炭素数1~6のアルコキシ基、塩素原子などのハロゲン原子、水酸基、ニトロ基、ジメチルアミノ基などの炭素数1~6のジアルキルアミノ基などが挙げられる。
これらの中で、さらに好ましい不斉炭素原子を含有するジアミンとしては、次のものが挙げられる。
【0022】
【化9】
JP0004913077B2_000006t.gif

【0023】
(式中、Rは、それぞれ独立して炭素数1~20の直鎖状又は分岐状のアルキル基、又は置換基を有してもよい炭素数6~36のアリール基を示す。)
で表されるアルキレンジアミン誘導体又はシクロヘキシルジアミン誘導体が挙げられる。前記式中におけるアリール基は、1個又は2個以上の置換基を有していてもよく、このような置換基としては、メチル基やエチル基やi-プロピル基やt-ブチル基などの炭素数1~10の直鎖状又は分枝状のアルキル基;メトキシ基やエトキシ基などの炭素数1~10の直鎖状又は分枝状のアルコキシ基;塩素原子、フッ素原子、臭素原子などのハロゲン原子などが挙げられる。より好ましいアリール基としては無置換のフェニル基、p-ブロムフェニル基などのハロゲン置換フェニル基、3,5-キシリル基などのアルキル置換フェニル基などが挙げられる。特に好ましいアリール基の例としてはp-ブロムフェニル基、フェニル基又は3,5-キシリル基などが挙げられる。
本発明のキラルなジアミン配位子は公知であり、例えば、Hamada, T.; Manabe, K.; Kobayashi, S. Angew. Chem. Int. Ed. 2003, 42, 3927-3930.に記載の方法又はこの方法に準じて製造することができる。
【0024】
亜鉛化合物としては、亜鉛塩、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、亜鉛錯塩、有機金属化合物等の各種のものから選択されてよいが、なかでも、酸化亜鉛又は有機酸若しくは無機酸との塩、又はこの塩との錯体や有機複合体が好適なものとして挙げられる。好ましい亜鉛塩としては、酸との塩、例えばパーフルオロアルキルスルホン酸や過塩素酸、硫酸等の塩、それらの錯体や有機複合体が挙げられ、次の一般式
ZnX
(式中、Xはハロゲン原子からなる陰イオン、アルキルスルホン酸イオン、アリールスルホン酸イオン、パーフルオロアルキルスルホン酸イオン、アルキル硫酸イオン、アリール硫酸イオン、パーフルオロアルキル硫酸イオントリフルオロメタンスルホン酸イオン、硝酸イオン、過塩素酸イオン、酢酸イオン、又は水酸化物イオンを示す。)
で表される亜鉛塩が挙げられる。前記したアルキルスルホン酸イオン、パーフルオロアルキルスルホン酸イオン、アルキル硫酸イオン、及びパーフルオロアルキル硫酸イオンにおけるアルキル基としては、前記してきたアルキル基が挙げられる。好ましいアルキル基としては炭素数1~10、好ましくは炭素数1~5のアルキル基が挙げられる。また、前記してきたアリールスルホン酸イオン、及びアリール硫酸イオンにおけるアリール基としては、前記してきたアリール基が挙げられる。好ましいアリール基としてはメチル基、エチル基などの炭素数1~5のアルキル基、メトキシ基やエトキシ基などの炭素数1~5のアルコキシ基などの置換基で置換されていてもよい炭素数6~12のアリール基が挙げられる。
本発明における亜鉛化合物としては、例えば、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、塩化亜鉛、フッ化亜鉛、硝酸亜鉛、過塩素酸亜鉛、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、酢酸亜鉛などが挙げられる。好ましい亜鉛化合物としては、フッ化亜鉛、水酸化亜鉛などが挙げられる。
本発明の方法における亜鉛化合物は、前記したような亜鉛化合物とキラルなジアミン配位子とを、あらかじめ混合して錯体を調製してから、これを触媒として用いてもよいし、あるいは反応系において亜鉛化合物とキラルなジアミン配位子とを混合して使用するようにしてもよい。触媒としての使用割合については、亜鉛化合物とキラルなジアミン配位子をほぼ当量、好ましくは配位子がやや過剰になるような量で使用される。また、α-ヒドラゾノエステルに対して、通常は、0.1~50モル%、好ましくは0.5~20モル%程度の割合とすることができる。
【0025】
本発明の方法は、水と有機溶媒の混合溶媒中で行うことができる。有機溶媒としては、水と相溶性のある有機溶媒として均一系で行うことが好ましい。このような有機溶媒としては、アセトン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、メタノール、エタノール、エチレングリコールなどが挙げられ、好ましくは水-アセトン系、水-THF系の溶媒が挙げられる。また、有機溶媒としてトルエン、キシレン、メシチレン、ヘキサン、デカンなどの炭化水素系溶媒;塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロムベンゼン、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素系溶媒:ブタノール、オクタノールなどの高級アルコール系溶媒などの水と難溶性又は不溶性の有機溶媒を使用することもできる。この場合には、溶媒系は相分離した二相系になるが、相間移動触媒などの使用により反応を行うことができるので、このような溶媒系も本発明の方法における好ましい溶媒系の例とすることができる。
反応温度としては、好ましくは-20℃~溶媒の沸点、-20℃~40℃程度の範囲で適宜選択することができる。雰囲気は大気中もしくはアルゴンガスなどの不活性雰囲気とすることができる。
前記したような本発明の触媒を使用することにより、光学活性ホモアリルヒドラジノエステル類の一方のエナンチオマーがが立体選択的に生成し、原料のα-ヒドラゾノエステルのα位の炭素原子において(R)又は(S)のいずれか一方の鏡像体が優位に生成する。本明細書ではこの位置における(R)体又は(S)体のいずれか一方の過剰率をエナンチオマー過剰率(ee)(%)として表す。このエナンチオマー過剰率は、((R)-(S))/((R)+(S))×100、又は((S)-(R))/((R)+(S))×100として計算される値である。
【0026】
本発明の方法により製造される光学活性ホモアリルヒドラジノエステル類の代表的なものとしては、前記した一般式(4)で表されるエステル類が挙げられるが、本発明の方法における反応条件によっては、この異性体が生成物となることもある。異性体としては、一般式(4)に示されるようにアリル基がボロン側から反応したものではなく、いわゆるアリル転移が起こってボロン側と反対側のR及びRが結合している炭素原子側から反応したものが挙げられる。
これらの本発明の方法により製造される光学活性ホモアリルヒドラジノエステル類は、エステル基のα位に特定の立体配置を有する窒素原子が結合したものであり、ヒドラジノ基の窒素-窒素結合は還元的方法により簡単かつ立体配置を保持ままで切断できることから、本発明の方法で得られた光学活性ホモアリルヒドラジノエステル類から光学活性α-アミノ酸類を製造することができることになる。
したがって、本発明は、本発明の方法により製造された光学活性ホモアリルヒドラジノエステル類を還元して、対応する光学活性α-アミノ-α-アリルエステル化合物を製造する方法を提供するものである。また、本発明の方法により製造される光学活性ホモアリルヒドラジノエステル類は、β位に特定の立体配置を有する炭素原子を有する化合物とすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、水と有機溶媒との混合溶媒中でのアリルボラン誘導体を用いるα-ヒドラゾノエステルに対する触媒的不斉アリル化反応を、高収率で、かつ高立体選択的に行うことができる方法を提供するものであり、本発明の方法によれば高純度の生成物を効率的に製造することができ、副生物が少なく生成物の分離が容易なだけでなく、水性溶媒中で行うことができるので、有機溶媒による環境等への問題も少なく、工業的にも優れた方法を提供するものである。
本発明の方法によって製造される光学活性ホモアリルヒドラジノエステル類は、その窒素-窒素結合を切断することにより、対応する光学活性アミノ酸誘導体に誘導することができ、様々な光学活性α-アミノ酸誘導体を合成できることから光学活性医薬品や食品類などや、その中間体の製造方法として有用となる。
【0028】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0029】
次に示す反応式にしたがって、ヒドラゾノエステル(1)とアリルボラン誘導体(2)とを、不斉配位子(3)の存在下に反応させて、光学活性ホモアリルヒドラジノエステル(4)を製造した。
【0030】
【化10】
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【0031】
フッ化亜鉛水和物(2.1mg,0.020mmol)および不斉配位子(3)(Hamada, T.; Manabe, K.; Kobayashi, S. Angew. Chem. Int. Ed. 2003, 42, 3927-3930.)(10.8mg,0.024mmol)の混合物を純水(3mL)とアセトン(5mL)を順次加えて溶解し、ヒドラゾノエステル(1)(49.9mg,0.200mmol)を加えて氷冷した。これにアリルホウ素試薬(2)(45mL,0.240mmol)を加えて撹拌(9時間)した後に飽和重曹水(1mL)で反応を終結させ、水層をジクロロメタンで抽出(10mL×3)した。得られた有機層は減圧濃縮後に分取薄層クロマトグラフィ(展開溶媒;n-ヘキサン/酢酸エチル=4/1)に付し、所望のアリル化体(4)(57.2mg,0.196mmol,収率98%)を得たのちHPLC分析を行った。
【0032】
メチル 2-[N’-(p-ジメチルアミノベンゾイル)ヒドラジノ]-4-ペンテノエート(4).
H-NMR (CDCl) δ:
2.43-2.51 (m, 1H), 2.59-2.65 (m, 1H), 3.01 (s, 6H), 3.75(s, 3H),
3.85 (m, 1H), 5.09 (brs, 1H), 5.18 (d, 1H, J = 10.4 Hz),
5.22 (d, 1H, J = 20.4 Hz), 5.89 (ddt, 1H, J = 20.4, 10.4, 5.0 Hz),
6.65 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 7.64 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.84 (brs, 1H);
13C-NMR (CDCl) δ:
35.2, 40.0, 52.0, 62.3, 111.0, 118.7, 118.9 128.4, 133.0, 152.7,
167.2,173.1;
HPLC (Daicel Chiralcel OD, ヘキサン/i-PrOH=4/1,
流速 = 1.0 mL/分)
tR=13.0分 (R),
tR=17.9分 (S).
【実施例2】
【0033】
ヒドラゾノエステル(1)に代えて、2-(N’-ベンゾイルヒドラゾノ)-酢酸エチル(1a)を用いたほかは、前記した実施例1と同様にして対応するエチル 2-(N’-ベンゾイルヒドラジノ)-4-ペンテノエート(4a)を製造した。
[α]21 +34.8(c 0.83,CHCl,74%ee);
IR(neat) 3289, 3070, 2979, 1735, 1650, 1530, 1464, 1303, 1201,
694 cm-1
H-NMR (CDCl) δ:
1.26 (t, 3H, J = 7.2 Hz), 2.39-2.54 (m, 1H), 2.55-2.69 (m, 1H),
3.85 (dd, 1H, J = 7.6, 5.2 Hz), 4.20 (t, 2H, J = 7.1 Hz),
4.93 (brs, 1H), 5.10-5.24 (m, 2H),
5.87 (ddt, 1H, J = 16.8, 12.5, 5.0 Hz), 7.37-7.55 (m, 3H),
7.73-7.81 (m, 2H), 8.46 (brs, 1H);
13C-NMR (CDCl) δ:
14.1, 35.1, 61.0, 62.0, 118.7, 126.9, 128.5, 131.7, 132.5, 132.8,
167.0, 172.5;
HRMS (ESI-TOF) C1419 ([M+H])として:
計算値 263.1396,
実測値 263.1383;
HPLC (Daicel Chiralcel OD, ヘキサン/i-PrOH=9/1,
流速=1.0mL/分)
tR=10.1分 (R),
tR=13.8分 (S).
【実施例3】
【0034】
ヒドラゾノエステル(1)に代えて、2-(N’-ベンゾイルヒドラゾノ)-酢酸ベンジル(1b)を用いたほかは、前記した実施例1と同様にして対応するベンジル 2-(N’-ベンゾイルヒドラジノ)-4-ペンテノエート(4b)を製造した。
H-NMR (CDCl) δ:
2.44-2.51 (m, 1H), 2.61-2.67 (m, 1H), 3.90 (m, 1H), 5.12 (brs, 1H),
5.13-5.28 (m, 4H), 5.85 (m, 1H), 7.34-7.54 (m, 8H),
7.67 (d, 2H, J = 7.2 Hz), 8.12 (brs, 1H);
13C-NMR (CDCl) δ:
35.1, 62.1, 66.8, 119.0, 126.9, 128.3, 128.4, 128.6, 131.9, 132.4,
132.7, 135.4, 166.9, 172.4;
HPLC (Daicel Chiralcel OD, ヘキサン/i-PrOH=9/1,
流速 = 1.0mL/分)
tR=15.9分 (R),
tR=20.3分 (S).
【実施例4】
【0035】
ヒドラゾノエステル(1)に代えて、2-(N’-ベンゾイルヒドラゾノ)-酢酸メチル(1c)を用いたほかは、前記した実施例1と同様にして対応するメチル 2-(N’-ベンゾイルヒドラジノ)-4-ペンテノエート(4c)を製造した。
H-NMR (CDCl) δ:
2.43-2.51 (m, 1H), 2.61-2.65 (m, 1H), 3.75 (s, 3H),
3.87 (t, 1H, J = 5.2 Hz), 5.12 (brs, 1H), 5.18 (d, 1H, J = 10.0 Hz),
5.21 (d, 1H, J = 16.8 Hz), 5.89 (ddt, 1H, J = 16.8, 10.0, 5.0 Hz),
7.28-7.54 (m, 3H), 7.74-7.75 (m, 2H), 8.25 (brs, 1H);
13C-NMR (CDCl) δ:
35.1, 52.0, 62.1, 118.9, 126.9, 128.5, 131.8, 132.4, 132.7, 167.1,
173.1;
HPLC (Daicel Chiralcel OD, ヘキサン/i-PrOH=9/1,
流速 = 1.0mL/分)
tR=12.1分 (R),
tR=16.5分 (S).
【実施例5】
【0036】
ヒドラゾノエステル(1)に代えて、2-[N’-(p-ニトロベンゾイル)ヒドラゾノ]-酢酸エチル(1d)を用いたほかは、前記した実施例1と同様にして対応するエチル 2-[N’-(p-ニトロベンゾイル)ヒドラジノ]-4-ペンテノエート(4d)を製造した。
H-NMR (CDCl) δ:
1.29 (t, 3H, J = 7.2 Hz), 2.40-2.54 (m, 1H), 2.57-2.70 (m, 1H),
3.86 (ddd, 1H, J = 7.6, 4.7, 2.9 Hz), 4.12-4.31 (m, 2H),
5.12-5.25 (m, 2H), 5.17 (brs, 1H), 5.77-5.93 (m, 1H),
7.94-8.00 (m, 2H), 8.24-8.31 (m, 2H), 8.73 (brd, 1H, J = 5.3 Hz);
13C-NMR (CDCl) δ:
14.1, 35.1, 61.3, 61.9, 119.0, 123.7, 128.3, 132.5, 138.1, 149.7,
164.9, 172.7;
HPLC (Daicel Chiralcel OD, ヘキサン/i-PrOH=4/1,
流速 = 1.0mL/分)
tR=11.3分 (R),
tR=15.4分 (S).
【実施例6】
【0037】
ヒドラゾノエステル(1)に代えて、2-[N’-(p-メトキシベンゾイル)ヒドラゾノ]-酢酸エチル(1e)を用いたほかは、前記した実施例1と同様にして対応するエチル 2-[N’-(p-メトキシベンゾイルヒドラジノ]-4-ペンテノエート(4e)を製造した。
[α]24 +23.5(c 1.11,CHCl,81%ee);
IR(neat) 3288, 2983, 1734, 1642, 1606, 1510, 1463, 1297, 1260, 1190,
1030, 815 cm-1
H-NMR (CDCl) δ:
1.27 (t, 3H, J = 7.2 Hz), 2.43-2.52 (m, 1H), 2.57-2.66 (m, 1H),
3.79-3.88 (m, 1H), 3.84 (s, 3H), 4.14-4.28 (m, 2H), 5.12 (brs, 1H),
5.17 (d, 1H, J = 10.4 Hz), 5.21 (d, 1H, J = 17.1 Hz),
5.82-5.93 (m, 1H), 6.91 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.73 (d, 2H, J = 8.8 Hz),
8.16 (brs, 1H);
13C-NMR (CDCl) δ:
14.1, 35.2, 55.3, 61.0, 62.1, 113.8, 118.7, 124.7, 128.7, 132.9,
162.4, 166.6, 172.6;
HRMS (EI) C1520として: 計算値 292.1423,
実測値 292.1443;
HPLC (Daicel Chiralcel OD, ヘキサン/i-PrOH=4/1,
流速 = 1.0mL/分)
tR= 8.0分 (R),
tR=10.8分 (S).
【実施例7】
【0038】
ヒドラゾノエステル(1)に代えて、2-[N’-(p-ヒドロキシベンゾイル)ヒドラゾノ]-酢酸エチル(1f)を用いたほかは、前記した実施例1と同様にして対応するエチル 2-[N’-(p-ヒドロキシベンゾイルヒドラジノ]-4-ペンテノエート(4f)を製造した。
mp: 94-99℃;
[α]28 +30.4(c 1.17,CHCl,84%ee);
IR(KBr)3172, 1737, 1637, 1603, 1441, 1287, 1245, 1203, 1169 cm-1
H-NMR (CDCl) δ:
1.25 (t, 3H, J = 7.2 Hz), 2.37-2.68 (m, 2H),
3.82 (dd, 1H, J = 6.1, 6.1 Hz), 4.10-4.29 (m, 2H), 5.07-5.23 (m, 2H),
5.70-5.93 (m, 1H), 6.87 (d, 2H, J = 8.6 Hz), 7.60 (d, 2H, J = 8.6 Hz),
8.33 (brs, 1H);
13C-NMR (CDCl) δ:
14.1, 35.1, 61.3, 62.2, 115.7, 119.0, 123.3, 129.0, 132.6, 160.5,
167.6, 173.0;
HRMS (ESI-TOF) C1419 ([M+H])として:
計算値 279.1345,
実測値 279.1361;
HPLC (Daicel Chiralcel OD, ヘキサン/i-PrOH=4/1,
流速 = 0.4mL/分)
tR=20.2分 (R),
tR=23.3分 (S).
【実施例8】
【0039】
ヒドラゾノエステル(1)に代えて、2-[N’-(p-ジメチルアミノベンゾイル)ヒドラゾノ]-酢酸エチル(1g)を用いたほかは、前記した実施例1と同様にして対応するエチル 2-[N’-(p-ジメチルアミノベンゾイルヒドラジノ]-4-ペンテノエート(4g)を製造した。
[α]27 +3.76(c 1.67,CHCl,84%ee);
IR(neat) 3291, 2979, 2910, 1735, 1605, 1525, 1449, 1371, 1303,
1202 cm-1
H-NMR (CDCl) δ:
1.27 (t, 3H, J = 7.1 Hz), 2.42-2.53 (m, 1H), 2.57-2.67 (m, 1H),
3.01 (s, 6H), 3.83 (dd, 1H, J = 7.8, 5.0 Hz), 4.00 (brs, 1H),
4.14-4.28 (m, 2H), 5.13-5.25 (m, 2H), 5.83-5.95 (m, 1H),
6.65 (d, 2H, J = 9.0 Hz), 7.64 (d, 2H, J = 9.0 Hz), 7.89 (s, 1H);
13C-NMR (CDCl) δ:
14.2, 35.2, 40.0, 60.9, 62.2, 111.0, 118.6, 119.1, 128.4, 133.1,
152.7, 167.1, 172.6;
HRMS (ESI-TOF) C1624 ([M+H])として:
計算値 306.1818,
実測値 306.1813;
HPLC (Daicel Chiralcel OD, ヘキサン/i-PrOH=4/1,
流速 = 1.0mL/分)
tR= 9.7分 (R),
tR=12.9分 (S).
【0040】
以下の実施例においては、フッ化亜鉛(ZnF)水和物および水酸化亜鉛(Zn(OH))はそれぞれAldrich (株)及び添川理化学(株)より購入した。 水はMILLIPORE Gradient A10 で精製したものを用い、アセトンは関東化学(株)より購入した。キラルジアミンである不斉配位子(3)は文献(Hamada, T.; Manabe, K.; Kobayashi, S. Angew. Chem. Int. Ed. 2003, 42, 3927)に記載の方法にしたがって製造した。
【実施例9】
【0041】
(1)ZnF溶液の調製
ZnF水和物(319.0mg)を水(300mL)に加え、5分撹拌した。超音波照射を10分間行い、溶液を桐山ろ紙(No.4 and No.5B) で濾過した。溶液の濃度はICP分析により決定した。 溶液は4℃で保存した。
(2)
前記(1)で調製したZnF溶液(0.159mM,1.86mL,0.015mmol)を水(0.36mL)で希釈し、キラルジアミン(3)(16.2mg,0.036mmol)とアセトン(3.75mL)を加え、30分間撹拌した。実施例1で用いたヒドラゾノエステル(1)(75.0mg,0.30mmol)を加えて、0℃で20分間撹拌し、実施例1で用いたアリルボロネート(2)(69μL,0.36mmol)を加えた。36時間後、飽和炭素水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止し、塩化メチレン(CHCl)で4回抽出し、有機層を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、残さを分取薄層クロマトグラフィー (シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=1/4)で精製し、メチル 2-[N’-(p-ジメチルアミノベンゾイル)ヒドラジノ]-4-ペンテノエート(4)を定量的に得た。生成物のエナンチオマー過剰率(ee)はHPLC分析により決定した(90%ee)。
【0042】
H-NMR (CDCl) δ:
2.43-2.51 (m, 1H), 2.59-2.65 (m, 1H), 3.01 (s, 6H), 3.75 (s, 3H),
3.85 (m, 1H), 5.09 (brs, 1H), 5.18 (d, 1H, J = 10.4 Hz),
5.22 (d, 1H, J = 20.4 Hz), 5.89 (ddt, 1H, J = 20.4, 10.4, 5.0 Hz),
6.65 (d, 2H, J = 8.0 Hz), 7.64 (d, 2H, J = 8.4 Hz), 7.84 (brs, 1H).
13C-NMR (CDCl) δ:
35.2, 40.0, 52.0, 62.3, 111.0, 118.7, 118.9 128.4, 133.0, 152.7,
167.2, 173.1.
IR(neat) 3734, 3648, 3283, 2951, 1738, 1608, 1520, 1437, 1363,
1300, 1219, 921, 828, 772 cm-1.
[α]23+6.50(c1.44,CHCl,90%ee).
HRMS:C1522として、計算値:[M+H] 292.1656,
実測値: 292.1650.
HPLC(Daicel Chiralcel OD, ヘキサン/i-PrOH=4/1,
流速 =1.0mL/分)
=13.0分(R),
=17.9分(S).
【実施例10】
【0043】
実施例9におけるアリルボロネート(2)に代えて、1-メチル-アリルボロネート (2a)を用いたほかは、前記した実施例9と同様にして対応する(2R,3R)-メチル 2-[N’-(p-ジメチルアミノベンゾイル)ヒドラジノ]-3-メチル-4-ペンテノエート(4i)を製造した。収率:定量的。シン/アンチ比:1%未満/99%超。ee:88%。
H-NMR (CDCl) δ:
1.15 (d, 3H, J = 6.8), 2.64 (td, 1H, J = 14.8, 7.1 Hz)), 3.05 (s, 6H),
3.68 (m, 1H), 3.76 (s, 3H), 5.10 (brs, 1H), 5.14 (dd, 1H, J = 6.9, 1.3 Hz), 5.17 (dd, 1H, J = 12.6, 1.3 Hz), 5.86 (ddd, 1H, J = 17.9, 9.6, 7.6 Hz),
6.64 (d, 2H, J = 8.9 Hz), 7.62 (d, 2H, J = 8.9 Hz),
7.69 (d, 1H, J = 5.5 Hz).
13C-NMR (CDCl) δ:
16.9, 39.9, 40.0, 51.8, 67.7, 111.0, 116.5, 118.9, 128.3, 139.1,
152.7, 167.4, 173.0.
IR (neat) 3283, 2952, 1737, 1608, 1520, 1444, 1363, 1298, 1204,
1162, 1063, 946, 827, 768 cm-1
[α]23-2.20(c1.27,CHCl,88%ee).
HRMS:C1624として、計算値:[M+H] 306.1812,
実測値: 306.1814.
HPLC(Daicel Chiralcel OD-H, ヘキサン/i-PrOH=19/1,
流速 =0.5mL/分)
=66.3分(2R,3R),
=77.8分(2S,3S).
【実施例11】
【0044】
実施例9におけるアリルボロネート(2)に代えて、1-エチル-アリルボロネート (2b)を用いたほかは、前記した実施例9と同様にして対応する(2R,3R)-メチル 2-[N’-(p-ジメチルアミノベンゾイル)ヒドラジノ]-3-エチル-4-ペンテノエート(4j)を製造した。収率:98%。シン/アンチ比:1%未満/99%超。ee:87%。
H-NMR (CDCl) δ:
0.95 (t, 3H, J = 7.2 Hz), 1.42-1.49 (m, 1H), 1.58-1.65 (m, 1H),
2.43-2.38 (m, 1H), 3.02 (s, 6H), 3.76 (s, 3H), 5.10 (brs, 1H, J = 2.7 Hz), 5.15 (dd, 1H, J = 16.8, 1.9 Hz), 5.22 (dd, 1H, J = 12.6, 1.9 Hz),
5.75 (dt, 1H, J = 18.8, 8.6 Hz), 6.65 (d, 2H, J = 8.9 Hz), 7.59 (brs, 1H), 7.61 (d, 2H, J = 9.0 Hz).
13C-NMR (CDCl) δ:
11.6, 24.1, 40.1, 47.7, 51.9, 66.7, 111.0, 118.4, 118.9, 128.3, 137.3,
152.7, 167.3, 173.3.
IR (neat) 3303, 2969, 1737, 1637, 1608, 1520, 1460, 1362, 1205,
772 cm-1
[α]22+20.3(c0.66,CHCl,87%ee).
HRMS:C1725NaOとして、計算値:[M+H]342.1788,
実測値: 342.1787.
HPLC(Daicel Chiralcel OJ-H, ヘキサン/i-PrOH=9/1,
流速 =0.5mL/分)
=42.3分(2R,3R),
=59.1分(2S,3S).
【実施例12】
【0045】
実施例9におけるアリルボロネート(2)に代えて、1-ブチル-アリルボロネート (2c)を用いたほかは、前記した実施例9と同様にして対応する(2R,3R)-メチル 2-[N’-(p-ジメチルアミノベンゾイル)ヒドラジノ]-3-ブチル-4-ペンテノエート(4k)を製造した。収率:88%。シン/アンチ比:1%未満/99%超。ee:87%。
H-NMR (CDCl) δ:
0.89 (t, 3H, J = 6.9 Hz), 1.24-1.38 (m, 2H), 1.40-1.46 (m, 1H),
1.50-1.56 (m, 1H), 2.45-2.50 (m, 1H), 3.01 (s, 6H), 3.74 (brs, 1H),
3.76 (s, 3H), 5.12 (brs, 1H), 5.12 (dd, 1H, J = 18.0, 1.4 Hz),
5.18 (dd, 1H, J = 10.2, 1.4 Hz), 5.75 (dt, 1H, J = 19.0, 8.6 Hz),
6.65 (d, 2H, J = 8.9 Hz), 7.62 (d, 2H, J = 8.9 Hz), 7.71 (brs, 1H).
13C-NMR (CDCl) δ:
13.9, 22.4, 29.2, 30.6, 40.0, 46.0, 51.9, 67.0, 111.0, 118.1, 119.0,
128.3, 137.7, 152.7, 167.3, 173.2.
IR (neat) 3852, 3648, 3299, 2928, 1736, 1608, 1507, 1457, 1362,
1299, 1205 cm-1
[α]21+13.1(c1.06,CHCl,87%ee).
HRMS:C1930として、計算値:[M+H] 348.2282,
実測値: 348.2278.
HPLC(Daicel Chiralcel OD-H, ヘキサン/i-PrOH=9/1,
流速 =0.5mL/分)
=42.6分(2R,3R),
=54.9分(2S,3S).
【実施例13】
【0046】
実施例9におけるアリルボロネート(2)に代えて、1-(3-メチルブチル)-アリルボロネート (2d)を用いたほかは、前記した実施例9と同様にして対応する(2R,3R)-メチル 2-[N’-(p-ジメチルアミノベンゾイル)ヒドラジノ]-3-(3-メチルブチル)-4-ペンテノエート(4l)を製造した。収率:76%。シン/アンチ比:1%未満/99%超。ee:87%。
H-NMR (CDCl) δ:
0.87 (t, 6H, J = 6.2 Hz), 1.29-1.13 (m, 2H), 1.37-1.49 (m, 1H),
1.50-1.59 (m, 2H), 2.41-2.49 (m, 1H), 3.01 (s, 6H), 3.74 (brs, 1H),
3.76 (s, 3H), 5.13 (brs, 1H), 5.13 (dd, 1H, J = 17.2, 1.7 Hz),
5.19 (dd, 1H, J = 10.8, 1.7 Hz), 5.75 (dt, 1H, J = 18.8, 8.5 Hz),
6.65 (d, 2H, J = 9.2 Hz), 7.64 (d, brs, 3H, J = 9.2 Hz).
13C-NMR (CDCl) δ:
22.3, 22.8, 27.8, 28.8, 36.2, 40.0, 46.2, 51.9, 67.1, 111.0, 118.2,
119.0, 128.3, 137.7, 152.7, 167.3, 173.2.
IR (neat) 3865, 3750, 3278, 2938, 1740, 1648, 1612, 1516, 1462,
1364, 1305, 1209 cm-1
[α]21+3.00(c0.71,CHCl,87%ee).
HRMS:C2032として、計算値:[M+H] 362.2438,
実測値: 362.2427.
HPLC(Daicel Chiralcel OD-H, ヘキサン/i-PrOH=9/1,
流速 = 1.0mL/分)
=16.9分(2R,3R),
=23.2分(2S,3S).
【実施例14】
【0047】
実施例9におけるアリルボロネート(2)に代えて、1-ベンジルオキシ-アリルボロネート(2a)を用い、キラルジアミン(3)に代えて次式
【0048】
【化11】
JP0004913077B2_000008t.gif

【0049】
で表されるキラルジアミン(3a)を不斉配位子として用いたほかは、前記した実施例9と同様にして対応する(2S,3S)-メチル 2-[N’-(p-ジメチルアミノベンゾイル)ヒドラジノ]-3-ベンジルオキシ-4-ペンテノエート(4m)を製造した。収率:65%。シン/アンチ比:1%未満/99%超。ee:82%。
H-NMR (CDCl) δ:
2.99 (s, 6H), 3.73 (s, 3H), 4.11 (dd, 1H, J = 2.8, 4.0 Hz),
4.24 (dd, 1H, J = 4.0, 7.6 Hz), 4.56 (d, 1H, J = 12.0),
4.64 (d, 1H, J = 12.0), 5.37-5.31 (m, 2H), 5.46 (brm, 1H),
5.98 (ddd, 1H, J = 8.0, 10.0, 17.0), 6.61 (d, 2H, J = 8.8 Hz),
7.35-7.26 (m, 5H), 7.59 (d, 2H, J = 8.8 Hz), 7.78 (brd, 1H, J = 6.4 Hz).
13C-NMR (CDCl) δ:
40.0, 52.0, 66.1, 70.4, 79.8, 110.0, 119.0, 120.0, 127.5, 127.7, 128.3,
128.3, 134.2, 137.7, 152.6, 166.9, 171.0.
IR (KBr) : 3298, 3257, 3024, 2887, 1739, 1610, 1523, 1346, 1323,
1207, 1159, 1092, 984, 829, 739, 698, 617 cm-1.
[α]22-0.32(c0.53,CHCl,82%ee).
HRMS:C2227として、計算値:[M+Na] 420.1894,
実測値: 420.1888.
HPLC(Daicel Chiralcel OJ-H, ヘキサン/EtOH=4/1,
流速 = 1.0mL/分)
=20.6分(2S,3S),
=27.0分(2R,3R).
【実施例15】
【0050】
Zn(OH)を用いる触媒的不斉アリル化:
Zn(OH)(3.0mg,0.030mmol)を水(3.5mL)に加え、10分間撹拌した。キラルジアミン(3)(32.7mg,0.072mmol)とアセトン(7.5mL)を加え、10分間撹拌した。ヒドラゾノエステル(1)(149.7mg,0.60mmol)を加えて、0℃で15分間撹拌し、アリルボロネート(2)(92μL,0.36mmol)を加えた。36時間後、飽和炭素水素ナトリウム水溶液を加えて反応を停止し、塩化メチレン(CHCl)で4回抽出し、有機層を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、残さを分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル=1/4)で精製し、メチル 2-[N’-(p-ジメチルアミノベンゾイル)ヒドラジノ]-4-ペンテノエート(4)を80%で得た。生成物のエナンチオマー過剰率(ee)はHPLC分析により決定した(85%ee)。
【実施例16】
【0051】
メチル (S)-2-[N-(ベンジルオキシカルボニル)アミノ]-4-ペンテノエート(6)[文献(Abbott, S. D.; Lane-Bell, P.; Sidhu, K. P. S.; Vederas, J. C. J. Am. Chem. Soc. 1994, 116, 6513.)記載の化合物]の製造
メチル 2-[N’-(p-ジメチルアミノベンゾイル)ヒドラジノ]-4-ペンテノエート(4)を、炭酸水素ナトリウムの存在下でベンジルオキシカルボニルクロライド(Cbz-Cl)で処理した(収率:81%)後、次いでヨウ化サマリウム(SmI)で処理して(収率:75%)、標記目的物を得た。
H-NMR (CDCl) δ:
2.47-2.61 (m, 2H), 3.76 (s, 3H), 4.46 (dd, 1H, J = 13.5, 5.7 Hz),
5.13 (m, 4H), 5.31 (m, 1H), 5.68 (td, 1H, J = 17.2, 7.5 Hz),
7.30-7.36 (m, 5H).
13C-NMR (CDCl) δ:
36.7, 52.3, 53.2, 67.0, 119.4, 128.1, 128.2, 128.5, 131.9, 136.2,
155.7, 172.1.
IR (neat) 3861, 3743, 3358, 2948, 1724, 1645, 1516, 1467, 1342,
1216, 1049 cm-1.
[α]20-13.7(c0.18,CHCl).
【実施例17】
【0052】
(2R,3R)-メチル 2-[N-(ベンジルオキシカルボニル)アミノ]-3-メチル-4-ペンテノエート(7)[文献(Kazmaier, U.; Mues, H.; Krebs, A. Chem. Eur. J. 2002, 8, 1850.)記載の化合物]の製造
実施例10で製造した(2R,3R)-メチル 2-[N’-(p-ジメチルアミノベンゾイル)ヒドラジノ]-3-メチル-4-ペンテノエート(4i)を、炭酸水素ナトリウムの存在下でベンジルオキシカルボニルクロライドで処理した(収率:75%)後、次いでヨウ化サマリウム(SmI)で処理して(収率:95%)、標記目的物を得た。
H-NMR (CDCl, main rotamer) δ:
1.03 (d, 3H, J = 6.9 Hz), 2.71 (m, 1H), 3.67 (s, 3H),
4.29 (dd, 1H, J = 4.6 Hz), 4.99-5.10 (m, 4H), 5.11 (d, 1H, J = 8.2 Hz),
5.56-5.52 (m, 1H), 7.25-7.29 (m, 5H); (selected signals)
0.85 (t, 3H, J = 7.2 Hz), 2.60-2.70 (m, 1H), 3.59 (s, 3H),
4.40 (dd, 1H, J = 4.6 Hz), 5.42-5.48 (m, 1H).
13C-NMR (CDCl, main rotamer) δ:
16.0, 40.0, 52.2, 58.2, 67.1, 117.0, 128.1, 128.2, 128.5, 136.2,
137.5, 156.2, 172.0; (selected signals) 11.7, 23.5, 48.0, 56.9,
118.4, 136.2.
IR (neat) 3750, 3344, 2960, 1724, 1517, 1449, 1347, 1267, 1216,
1096, 1055, 1017, 931, 771, 701 cm-1.
[α]21-8.2(c0.32,CHCl).
【実施例18】
【0053】
(2S,3S)-メチル 2-[N-(tert-ブトキシカルボニル)アミノ]-3-ヒドロキシ-4-ペンタノエート(8)[文献(Kandula, S. R. V.; Kumar, P. Tetrahedron: Asym. 2005, 16, 3268; delle Monache, Monache, G.; Giovanni, M. C. D.; Misiti, D.; Zappia, G. Tetrahedron: Asym. 1997, 8, 231.)記載の化合物]の製造
実施例14で製造した(2S,3S)-メチル 2-[N’-(p-ジメチルアミノベンゾイル)ヒドラジノ]-3-ベンジルオキシ-4-ペンテノエート(4m)を、炭酸水素ナトリウムの存在下でベンジルオキシカルボニルクロライドで処理し(収率:90%)、次いでヨウ化サマリウム(SmI)で処理した(収率:71%)後、tert-ブトキシカルボニル無水物(BocO)の存在下でPd/Cを用いて接触還元して(収率:71%)、標記目的物を得た。
H-NMR (CDCl) δ:
1.00 (t, 3H, J = 7.2 Hz), 1.45 (s, 9H), 1.51 (m, 2H), 2.83 (br, 1H),
3.78 (s, 3H), 3.81 (br, 1H), 4.39 (br, 1H), 5.48 (br, 1H).
13C-NMR (CDCl) δ:
10.2, 26.4, 28.3, 52.4, 58.0, 74.5, 80.4, 155.9, 171.3.
IR (neat) 3435, 2977, 1714, 1505, 1165, 734 cm-1
HRMS:C1122NOとして、計算値:[M+H] 248.1492,
実測値: 248.1496.
[α]22=-15.1(c1.6,CHCl).
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、高収率で、かつ高立体選択的に光学活性ホモアリルヒドラジノエステル類を製造するための工業的に優れた方法を提供するものである。
本発明の方法によって製造される光学活性ホモアリルヒドラジノエステル類は、その窒素-窒素結合を切断することにより、対応する光学活性アミノ酸誘導体に誘導することができ、様々な光学活性α-アミノ酸誘導体を合成できることから光学活性医薬品や食品類などや、その中間体の製造方法として有用であり、本発明は産業上の利用可能性を有している。