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明細書 :植物における二次代謝物の産生を増大せしめる方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4686716号 (P4686716)
公開番号 特開2007-006778 (P2007-006778A)
登録日 平成23年2月25日(2011.2.25)
発行日 平成23年5月25日(2011.5.25)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
発明の名称または考案の名称 植物における二次代謝物の産生を増大せしめる方法
国際特許分類 A01G   7/00        (2006.01)
FI A01G 7/00 601C
請求項の数または発明の数 5
全頁数 20
出願番号 特願2005-191783 (P2005-191783)
出願日 平成17年6月30日(2005.6.30)
審査請求日 平成18年1月30日(2006.1.30)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人 千葉大学
発明者または考案者 【氏名】フォージア アフリーン
【氏名】サイード エムディアクター ゾバイド
【氏名】古在 豊樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100102842、【弁理士】、【氏名又は名称】葛和 清司
審査官 【審査官】松本 隆彦
参考文献・文献 K. Mosaleeyanon, S.M.A. Zobayed, F. Afreen and T. Kozai,Relationships between net photosynthetic rate and secondary metabolite contents in St. John's wort ,Plant Science,2005年,Volume 169, Issue 3,523-531,(Available online 31 May 2005)
調査した分野 A01G7/00-7/06
JSTPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
Glycyrrhiza属の植物におけるグリチルリチン酸またはその誘導体の産生を増大せしめる方法であって、
成苗期を経過した植物体に対して、600nm~700nmの波長の光を含む単色光または複色光の照射を行い、さらにUV-Bの照射でストレスを与えることを含む、前記方法。
【請求項2】
室内で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
UV-Bの照射量が、全照射量として、2.5~7.5Wm-2である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
UV-Bの照射が、2日~20日の範囲で行われる、請求項1~のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
植物が、Glycyrrhiza uralensisである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、植物における二次代謝物の産生を増大せしめる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次代謝(secondary metabolism)とは、多くの生物に共通してみられる生化学的反応である、エネルギー代謝、アミノ酸・タンパク質・核酸の生合成のような一次代謝(primary metabolism)に対して、限られた範囲の生物でのみ特異的にみられる代謝である(非特許文献1)。二次代謝物(secondary metabolite)の中には、生命の維持の上で重要な役割を持つものも少なくない一方、各種の動植物や微生物でアルカロイド・テルペノイド・フェノール類・抗生物質・色素など、その生理的意義が必ずしも明確でないものが大量に蓄積されることがある。
【0003】
植物の二次代謝物としては、植物は二次代謝産物としてアルカロイド、テルペノイド、フラボノイドなどのさまざまな有用物質が知られている。これらの物質は広く医学分野、農学分野、食品分野などで利用されている。そして植物そのものや、その抽出物が有用物質として開発され、利用されている(非特許文献2)。しかしながら、植物体内の含有量は非常に少なく、しかも植物の成長は遅く、発芽から二次代謝物採取までに数年を要することも少なくない。さらに、植物採取によって環境破壊につながることもあるうえに、採取された二次代謝物の品質は必ずしも均一なものではなく、ニッケル、カドミウムのような、土壌由来の有害物質の混入が生じることもある。したがって、十分な量の均質かつ純粋な二次代謝物を迅速に取得することが、その利用における重要な課題となっている。
【0004】
かかる課題の解決を目的として、1930年代末にR.J.ゴートレ、P.R.ホワイト(米国)によって植物細胞培養の継代培養法が確立されて以来、植物細胞培養を行うことにより、植物の二次代謝物を生産させることが試みられている(非特許文献2)。かかる試みにおける代表的な例は、培養条件を至適化することであって、これにより生産性の向上が認められている。さらに、培地中に各種化学物質を添加したり、培養時にストレスを加えるといった、自然条件に近い環境を作出することによって生産効率を上げることもなされている。また、エリシターで刺激することで、二次代謝産物の生産が誘起されることも明らかになっている(非特許文献2)。
【0005】
植物組織培養による二次代謝物質の生産方法は、細胞懸濁培養、器官培養、固定細胞による物質変換の3種類に分けることができる。
細胞を懸濁培養する方法は大型培養槽へのスケールアップが容易であるので工業的に有効な方法である。しかし、植物は二次代謝産物を特定の組織で生産、蓄積しているため、未分化細胞を用いた培養法では生産が見られないことも多い。
一方、器官培養は分化した細胞を用いるため、二次代謝物生産能を維持したまま培養することができる。アグロバクテリア(Agrobacterium tumefaciens)の感染により生じるクラウンゴール細胞は、一種の腫瘍細胞であり、通常のカルスと異なり植物ホルモン無添加で増殖し続けることができる。この特性は細胞培養を行う上で有効である。1985年にアグロバクテリア(Agrobacterium rhizogenes)の感染によって誘発された毛状根が植物ホルモン無添加で著しく速く増殖しこのことが植物の二次代謝物生産に利用できることが明らかになって以来、この分野の研究は著しい進展をみた。
【0006】
また、植物細胞の持つ酵素を触媒として利用することにより、物質交換を行ない、有用物質を生産することも行われている。植物細胞を培養すると同時に前駆物質を加え物質交換を行わせたり、細胞を固定化することにより連続的に物質交換をさせることも可能である。
【0007】
しかしながら、上記いずれの方法も、二次代謝物の量、質、純度および産生速度にかかる要求を十分に満足するものではない。また、培養器あるいはバイオリアクターを用いるインビトロ培養のために先進的なシステムを使用すると著しくコスト高になり、経済的にみてシステムが将来性のないものとなり得る(特許文献1)。
【0008】
また、植物の二次代謝物として頻用されているものとして、医薬活性を有するものがあるが、これらについてもその産生は未だ不十分である。例えば、セイヨウオトギリソウにおいてCOの量や光子量を調節することによって、ハイペリシン等の産生が増大されることについて報告されている(非特許文献3~4)。しかし、これらの報告は、いずれもセイヨウオトギリソウの培養組織を用いたものにすぎないため、二次代謝物の産生量は極めて小さいものにすぎない。
【0009】
近年、ストレスによって植物の遺伝形質が発現し,その発現量に応じて二次代謝物が誘導され,細胞機能が調節される点に着目し、ストレスを利用して二次代謝物にかかる上記課題の解決を試みた研究もなされている(非特許文献5)。例えば非特許文献5においては、イン・ビトロ系内に気流を導入することによって、セイヨウオトギリソウのハイペリシン、シュードハイペリシンの産生が増大することが明らかになっている。しかしながら、これら研究における方法において用いられたのもカルス・細胞等の矮小な非組織化生体であるため、一定時間において得られる二次代謝物の量は不十分である。
【0010】
上記のとおり植物の二次代謝物の大量生産を妨げる障害となっている要因として、外部環境に対する植物の反応の複雑さが挙げられる。例えば、光合成量との関係をみても、二次代謝物の産生は、光の照射強度を増大させると光合成量の増加に伴って増大するとする報告がある一方(非特許文献4)、光合成を行い得ない、細胞においても、光の照射強度を増大に伴って増大する場合もある(非特許文献6)。
また、上記のとおり二次代謝物は植物にストレスを与えるといった、劣悪な環境において産生が増大する一方、かかる劣悪な環境においては植物体の生育が損なわれるため、二次代謝物の総産生量を増大せしめることはできない。
【0011】

【特許文献1】特表2004-500053号公報
【非特許文献1】「岩波生物学辞典」、第3版、岩波書店、1983年3月10日、957頁
【非特許文献2】「細胞利用技術」http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/map/kagaku17/2/2-6-1.htm
【非特許文献3】Zobayed et al., In Vitro Dev. Biol.-Plant. 40 (2004) 108-114
【非特許文献4】Briskin et al., Plant Physiol. Biochem. 39 (2001) 1075-1081
【非特許文献5】Zobayed et al., Plant Science 166 (2004) 333-340
【非特許文献6】Zhong et al., Biotechnol. Bioeng. 38 (1991) 653-658
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本願発明の課題は、植物由来の大量の二次代謝物を、迅速に産生する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、組織培養レベルで、かつストレスを与えることが望ましいと考えられていた植物の二次代謝物の増産において、驚くべきことに、成苗期を経過した植物体において、ストレスを与えなくても二次代謝物が増産され得るという知見を得て、さらに研究を進めた結果本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、少なくとも以下に関する:
(1)Glycyrrhiza属の植物におけるグリチルリチン酸またはその誘導体の産生を増大せしめる方法であって、
成苗期を経過した植物体に対して、600nm~700nmの波長の光を含む単色光または複色光の照射を行い、さらにUV-Bの照射でストレスを与えることを含む、前記方法。
(2)植物の栽培が、室内で行われる、前記方法。
(3)UV-Bの照射量が、全照射量として、2.5~7.5Wm-2である、前記方法
(4)UV-Bの照射が、2日~20日の範囲で行われる、前記方法
(5)植物が、Glycyrrhiza uralensisである、前記方法。
【0014】
上記のとおり、本発明は、成苗期を経過した植物体において、ストレスを与えない、むしろ植物の生育に好適な条件下においても二次代謝物の増産が劇的に増大するという、従来の技術常識に反する知見に基づくものである。しかも、この場合の増産とは、単により大きい植物体を用いたことによる量的な増大ではなく、植物体内における二次代謝物の含有割合の増大を意味する。また、本発明における植物の生育速度は、組織培養における生育速度を上回ることは勿論、野外または温室における栽培した場合の生育速度をも上回る。したがって、本発明は、従来のような植物の組織培養技術を用いず、より生育ステージが進行した成苗期を経過した植物体において、高濃度の二次代謝物を、迅速に産生することを可能とし、二次代謝物の産生の低コスト化に資するものである。
【発明の効果】
【0015】
より具体的には、本発明は下記のとおりの優れた効果を奏するのである。
(1)本発明の方法は、植物の生育に影響する要素の少なくとも1種の要素の制御を、成苗期を経過した植物体に対して行うことによって、植物体内における二次代謝物の産生を顕著に増大かつ迅速化せしめ、産生の低コスト化をもたらすといった効果を奏する。
(2)本発明の方法のうち、植物の栽培が室内で行われるものにおいては、植物体内における二次代謝物の均質かつ高純度な産生を可能とするとともに、環境維持に資するといった効果も奏する。
(3)本発明の方法のうち、植物の生育に影響する要素が、光合成光子量束密度、二酸化炭素の濃度、光の波長、明期(日長を含む。以下「明期」において同じ)、温度、湿度および栄養分の量からの1種または2種以上であるものにおいては、植物体内における二次代謝物の産生をより顕著に増大せしめる効果を奏する。
(4)本発明の方法のうち、植物の生育に影響する要素が、光合成光子量束密度および二酸化炭素の濃度であるものにおいては、植物体内における二次代謝物の産生を相乗的に増大せしめる効果を奏する。
(5)本発明の方法のうち、光合成光子量束密度が50~1000μmolm-2-1であり、二酸化炭素の濃度が300~2000μmol mol-1であるものにおいては、植物体内における二次代謝物の産生を、さらに相乗的に増大せしめる効果を奏する。
(6)本発明の方法のうち、植物にストレスを与えることをさらに含むものにおいては、植物体内における二次代謝物の産生をより顕著に増大せしめる効果を奏する。
(7)本発明の方法のうち、ストレスが、UV-Bの照射であるものにおいては、植物体内における二次代謝物の産生をより一層顕著に増大せしめる効果を奏する。
(8)本発明の方法のうち、植物が、オトギリソウ科植物であるものにおいては、オトギリソウ科植物の植物体内における二次代謝物の産生を顕著に増大せしめる効果を奏する。
(9)本発明の方法のうち、オトギリソウ科植物が、セイヨウオトギリソウであるものにおいては、セイヨウオトギリソウの植物体内における二次代謝物の産生を顕著に増大せしめる効果を奏する。
(10)本発明の方法のうち、二次代謝物が、ハイペリシンまたはその誘導体であるものにおいては、抗鬱活性等を有するハイペリシンまたはその誘導体のセイヨウオトギリソウまたはオトギリソウの植物体内における産生を顕著に増大せしめる効果を奏する。
(11)本発明の方法のうち、植物が、Glycyrrhiza属の植物であるものにおいては、Glycyrrhiza属植物の植物体内における二次代謝物の産生を顕著に増大せしめる効果を奏する。
(12)本発明の方法のうち、植物が、Glycyrrhiza uralensisであるものにおいては、Glycyrrhiza uralensisの植物体内における二次代謝物の産生を顕著に増大せしめる効果を奏する。
(13)本発明の方法のうち、二次代謝物が、グリチルリチン酸またはその誘導体であるものにおいては、Glycyrrhiza属植物、とくにGlycyrrhiza uralensisの植物体内における、抗ウィルス活性等を有するグリチルリチン酸またはその誘導体の産生を顕著に増大せしめる効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明において、「産生を増大せしめる」とは、野外または屋内(室内を含む)における通常の条件下における産生に比較して、単位時間・単位面積当たりの産生量を増大せしめることを意味する。
「植物の生育に影響する要素」とは、光合成光子量束密度、二酸化炭素の濃度、光の波長、明期のように、植物の光合成に直接影響を及ぼすような指標とともに、温度、湿度のような、その他の環境における指標も意味する。
本発明において、「成苗」とは、苗のステージの最終ステージを意味する。すなわち、一般的には移植直前のステージ~移植に好適なステージにある苗を意味する。したがって、「成苗期を経過した植物体」とは、移植に好適なステージを経過した植物体であって、典型的には苗床や育苗ポットから本圃やより大きいポット等に移植された直後から成熟期までのステージに相当するステージにある植物体を意味する。また、「成苗期を経過した植物体」には、培養細胞、培養組織、カルスは包含されない。
本発明において、「ストレス」とは、通常の環境下においては生じないことが望まれる、植物の生育に不利な影響を及ぼす要素、例えば紫外線の照射、土壌水分の過不足、過剰な塩分、低空気湿度、病害虫、密植等を意味する。
【0017】
本発明の方法は、植物の栽培において、植物の生育に影響する要素の少なくとも1種の要素の制御を、成苗期を経過した植物体に対して行うものであれば特に制限されない。
本発明の方法のうち、植物の栽培が室内で行われるものにおいては、植物体内における二次代謝物の均質かつ高純度な産生を、環境に影響を与えることなく、また環境条件ならびに外部由来因子および生物の影響を受けることなく可能とするといった効果も奏するため好適である。
【0018】
本発明の方法を、室内において行った場合の利点は、例えば以下のとおりである。
1)植物の二次代謝物の増産および迅速な生産のための環境の最適化。
2)環境、季節、地理および政治的制限の除去または低減。
3)外部環境の影響を受けることのない、空気の温度、湿度、二酸化炭素濃度および気流の速度の制御の実現。
4)土地および農業資材の使用量の削減。
5)植物の生育および二次代謝物の濃度の増大。
6)二次代謝物の品質の均一化および二次代謝物を用いた製品の品質規準の国際的な統一。
7)必要な場合における、開花の抑制または促進。
8)生産の迅速化。
9)特定の植物における二次代謝物の、生化学的特性の普遍的な特徴付け。
10)遺伝子工学による優良クローンの選抜および遺伝形質の改良の実現。
11)優良な生殖細胞の長期保存および選抜された優良な生殖細胞の短時間および低労働による生育の実現。
12)殺虫剤、殺菌剤、除草剤等の農薬の使用の省略、肥料の再利用化による環境汚染の回避。
13)屋外や温室での栽培が制限されている遺伝子組換え植物の栽培。
【0019】
本発明の方法は、室内、とくに、外部環境の影響を受けにくい建造物の室内において行うことが好ましく、光合成光子量束密度、二酸化炭素の濃度、光の波長、明期、温度、湿度および栄養分の量からの1種または2種以上を制御できる室内で行われるものはより好ましい。最も好ましくは、光合成光子量束密度、二酸化炭素の濃度、光の波長、明期、温度、湿度の全てを自動的に制御できる設備を有する室内で行われるものである。
【0020】
本発明の方法のうち、植物の生育に影響する要素として、光合成光子量束密度、二酸化炭素の濃度、光の波長、明期、温度、湿度および栄養分の量を挙げることができる。植物の生育に影響する要素がこれらの1種または2種以上であれば、植物体内における二次代謝物の産生がより顕著に増大されるため好ましい。これらの要素の好ましい量、程度は、一般に、植物の生育および/または光合成に好ましい量、程度である。
【0021】
本発明において、好ましい光合成光子量束密度および二酸化炭素の濃度は、それぞれ50~1000μmolm-2-1および300~2000μmol mol-1である。また、光合成光子量束密度として、100~800μmolm-2-1はより好ましく、300~600μmolm-2-1はさらにより好ましい。二酸化炭素の濃度としては、500~1800μmol mol-1はより好ましく、1000~1500μmol mol-1はさらにより好ましい。光合成光子量束密度および二酸化炭素の濃度を上記の範囲とした場合には、二次代謝物の産生量は相乗的に増大する。
また、好ましい光の波長は、600nm~700nmであり、色としては赤色である。白色光がこれに次いで好ましい。なお、これらの色を有する光は、単色光のみならず、これらの色の光を主成分とする、すなわち、これらの色の光が最も大きい割合を占める複色光も包含する。
【0022】
本発明の方法のうち、植物にストレスを与えることをさらに含むものにおいては、植物体内における二次代謝物の産生をより顕著に増大せしめる効果を奏するため好ましい。ストレスの例には、例えば紫外線の照射、土壌水分の過不足、過剰な塩分、低空気湿度、病害虫のような天然由来のもの、および密植のような人為的なものが包含される。
【0023】
これらのストレスのうち、紫外線、とくにUV-Bの照射は、植物体内における二次代謝物の産生をより一層顕著に増大せしめる効果を奏するため、より好ましい。UV-Bの好適な照射量は、全照射量として2.5~7.5W m-2である。全照射量として、より好ましくは3.0~7.0W m-2であり、最も好ましくは3.3~6.5W m-2である。紫外線を照射する日数は、2日~20日の範囲で変更してよい。日数の変更に応じて、照射強度も変更することができる。
【0024】
本発明の方法のうち、植物が、オトギリソウ科植物であるものにおいては、これらの植物の植物体内における二次代謝物の産生が顕著に増大される効果を奏するため好ましい。
これらの植物の葉、茎、花は、抗鬱活性、抗菌活性、抗利尿作用等を有することが知られ、近年抗腫瘍活性を有することも知られるに至っているハイペリシンまたはその誘導体を産生するため、古くから医用植物として用いられている。したがって、本発明の方法のうち、オトギリソウ科植物の植物体内におけるハイペリシンまたはその誘導体(シュードハイペリシン:pseudohypericin、ハイパーフォリン:hyperforin等)の産生を顕著に増大せしめるものは、医薬の提供の観点から好ましい。とくに好適に用いられるオトギリソウ科植物は、セイヨウオトギリソウ(学名:Hypericum perforatum、英名:St John's Wort)およびオトギリソウ(学名:Hypericum erectum)である。
【0025】
また、本発明の方法のうち、植物が、Glycyrrhiza属の植物であるものにおいては、Glycyrrhiza属植物の植物体内における二次代謝物の産生が顕著に増大される効果効果を奏するため好ましい。Glycyrrhiza属植物がGlycyrrhiza uralensisであるものにおいては、Glycyrrhiza uralensisの植物体内における二次代謝物の産生を顕著に増大せしめる効果が奏されるため好ましい。また、Glycyrrhiza globraも、本発明において好適に用いられる。
これらの植物の根または根茎は、抗ウィルス活性等を有するグリチルリチン酸(glycyrrhizin)またはその誘導体を含有する甘草(カンゾウ)の供給源として、医用目的等に、また甘味を有するため食品添加物として、それぞれ用いられている。とくに近年、抗HIV活性および抗SARS活性が見いだされるに至り、グリチルリチン酸は一層注目を集めている。したがって、本発明の方法のうち、Glycyrrhiza属植物の植物体内におけるグリチルリチン酸またはその誘導体の産生を顕著に増大せしめるものは、医薬の提供の観点から好ましい。
【実施例】
【0026】
以下に、実施例によって本発明をより詳細に説明するが、如何なる意味においても、本発明はこれらの実施例に限定されない。
〔実施例1〕
セイヨウオトギリソウ(St John's Wort)における二次代謝物の産生の増大
1.材料と方法
1.1 植物、処理および生育条件
・移植前の植物・・・30日令のセイヨウオトギリソウの苗(8枚の展開葉を有する)
苗の生育条件:人工照明(100μmolm-2-1PPF)付き閉鎖系
日長:16L8D(16時間明期8時間暗期)
温度:明期、暗期のそれぞれにおいて27℃および25℃
【0027】
・移植・・・プラスチックポット(直径5cm、高さ7.5cm)に移植した後環境条件制御設備付き室内に静置した。
土:湿った混合土壌(ヤンマー農機(株))150g
光度(PPF):100、300、600μmolm-2-1
CO濃度:500、1000、1500μmol mol-1
生育条件:7日間の100μmolm-2-1PPFの後、移植14日後に300μmolm-2-1PPF、移植21日後に600μmolm-2-1PPFとした。
日長:16L8D(16時間明期8時間暗期)
温度:明期、暗期のそれぞれにおいて27℃および25℃
相対湿度:70±5%
栄養液剤のpH・・・5.5
試験期間・・・45日
栽植密度・・・178株m-2
施肥:ハイポネックス(登録商標、N:P:K=6:10:5、株式会社ハイポネックス)を正規の力価の半分として、3日ごとに行った。
対照:2004年7月14日-8月28日に、千葉大学園芸学部構内圃場において栽培した植物。ハイポネックス(登録商標)を正規の力価の半分として、毎日与えた。栽植密度は12株m-2。気象条件の変化は図1に示すとおり。
【0028】
・調査
(1)移植45日後に生重量、乾燥重量を、茎、葉、根について測定。茎の節数も数えた。
(2)クロロフィル濃度の測定
植物体先端部(shoot)から数えて5番目の葉(0.020±0.005g)を移植後45日目に回収したものを対象として、Porra et al.(1989) , Biophysica Acta 975, 384-394に基づいて行った。
(3)純光合成速度(Net photosynthetic rate: Pn)の測定
上位から5番目の、完全に展開した葉について、移植後43日目に、携帯用光合成システム(LI-COR-6400登録商標、LI-COR Inc., USA)を用いて行った。
制御された環境において生育せしめた植物については、各々の処理条件下(表1)において測定を行った。野外において生育せしめた植物については、二酸化炭素濃度400μmol mol-1、気温34℃の条件下(2004年8月26日の正午頃)において行った。
【0029】
【表1】
JP0004686716B2_000002t.gif

【0030】
1.2 抽出とハイペリシン、シュードハイペリシシンおよびハイパーフォリンの定量
ハイペリシン、シュードハイペリシシンおよびハイパーフォリンの抽出、化学分析は、Zobayed et al. (2004), Plant Sci. 166, 333-340に記載の方法を改変した方法によって行った。概略は、以下のとおりである。
6番目および7番目の完全展開葉(生重量0.25g)を黄色のエッペンドルフ管(1.5mL)に入れ、直ちに液体窒素中にて凍結し、-85℃にて保存した。1mLの2%(v/v)DMSOのメタノール溶液を各サンプルに入れ、MM200(登録商標、Retch Gmblt& Co., Germany)を用いて30Hzにて6分間粉砕した。次に4000rpm(1467xg)、4℃にて、15分間遠心分離を行った(Kubota(登録商標)、(株)クボタ)。抽出液(0.5mL)を0.2μmのシリンジフィルタ(Dismic-13HP、Advantech、東洋濾紙株式会社)によって濾過し、0.5mLの2%(v/v)DMSOのメタノール溶液を加えて希釈した。アリコートの半分ずつを、ハイペリシンおよびシュードハイペリシシンならびにハイパーフォリンの分析に用いた。
【0031】
ハイパーフォリンの分析は、3.5mLの2%(v/v)DMSOのメタノール溶液を加えた後、抽出を暗室内、室温下にて行った。
ハイペリシンおよびシュードハイペリシシン分析用のサンプルは、透明なガラスバイアルに入れ、155±5μmolm-2-1PPFの光源(100Wタングステンランプ、東芝)を40分間照射し、近似体(proto-form)をハイペリシンおよびシュードハイペリシシンに変換した。
20μlの抽出物のサンプルをPhenomenex Hypersil C18カラム(3.0μm、4.6mm×100mm)に注入し、HPLCシステムに設置した。該HPLCシステムは、SCL-10Aシステムコントローラ、SIL-10Aオートインジェクタ、およびCTO-10Aカラムオーブン(島津製作所)からなる。分析検体のアイソクラチックな分離を、移動相として0.1molL-1の酢酸トリエチルアンモニウムおよびアセトニトリル(33:67、v/v)を用い、流速をハイペリシンおよびシュードハイペリシシンならびにハイパーフォリンに対して、0.5mLmin-1および1.0mLmin-1として行った。
【0032】
ハイパーフォリンの分析は270nm、ハイペリシンおよびシュードハイペリシシンの分析は588nmにて、SPD-M10AVフォトダイオードアレイ・ディテクタを用いて、それぞれ行った。標準曲線の作成は、シュードハイペリシシンの標準濃度(0.5、2.5、5、25および50μgmL-1)、ハイペリシンの標準濃度(0.5、2.5、5、25および50μgmL-1)およびハイパーフォリン(0.5、2.5、5、25および50μgmL-1)を用いて行った(いずれもr>0.99)。
定量は、ピーク面積(RTは、それぞれに対して5.8分、3.5分および7.8分)を標準曲線と比較して行った。
二次代謝物の濃度はmgg-1葉の乾燥重量によって表し、それらの量は前記濃度に植物体の総の乾燥重量を乗じて求めた。
【0033】
1.3 統計分析
試験は3×3の変動要因につき、完全ランダムデザインによって、10反復にて行った。試験は2回行った。統計的有意度の決定は、一元配置分散分析(ANOVA)によって、Sigma Stat program(Windows(登録商標)のSigma Stat((商標)V2.03,SPSS Inc.)を用いて行った。平均値の差は、Student-Newman-Keuls testにより、P≦0.05として評価を行った。
【0034】
2.結果
セイヨウオトギリソウの生重量および乾燥重量は、光合成光子量束密度(PPF)および/またはCO濃度の増大に伴って増加した(図2~4)。移植後45日目には、HH処理区おいて生重量および乾燥重量は最大となり、それぞれ対照区(FC)の29倍および30倍となった。生重量および乾燥重量は、PPFが300または600μmolm-2-1の場合、CO濃度の増大に伴って増加した。
茎の節の数は、PPFおよび/またはCO濃度の増大に伴って増加した(図5)。茎の節の数は、HH処理区おいて最大となり、対照区の約4倍であった。
【0035】
葉における純光合成速度(Pn)はPPFおよび/またはCO濃度の増大に伴って増加し(図6A)、HH処理区おいて最大であった。PPFが低い場合(100μmolm-2-1)、Pnに対するCO濃度の影響は小さかったが、PPFが大きい場合(300または600μmolm-2-1)、PnはCO濃度の増大に伴って顕著に増加した。野外圃場において生育せしめた植物のPnは生育条件を制御した植物に比較して小さかった(図6B)。クロロフィルaの濃度は、生育条件の違いによって影響を受けなかった。クロロフィルbの濃度は、HH処理区において最大であった(図7Aおよび7B)。CO濃度が1500μmol mol-1の場合、クロロフィルa/b比は、PPFの増大に伴って減少した(図7C)。
【0036】
葉の組織におけるハイペリシンおよびシュードハイペリシンの濃度(mg/plant)は、PPFおよびCO濃度の増大に伴って増加した(図8Aおよび8B)。ハイペリシンおよびシュードハイペリシンの濃度は、純光合成速度と高い相関があった(図9Aおよび9B)。すなわち、前記濃度は、Pnの二次関数として、Rがそれぞれ0.82および0.79であった。ハイペリシンおよびシュードハイペリシンの濃度は、HH処理区において最大であり、それぞれ対照区より30倍および41倍大きかった(mg g-1DM)。
【0037】
ハイペリシンおよびシュードハイペリシンの濃度を合算した総ハイペリシン濃度は、PPFおよびCO濃度に相関し、多項相関(図10Aおよび10B)において近似曲線(R=1)が得られた。
制御した試験区においては、ハイパーフォリンの濃度はPPFの増大に伴って増加し、300または600μmolm-2-1において最大となった(図8C)。全体では、MH処理区におけるハイパーフォリンの濃度が最大となり、対照区の45倍の量となった。
【0038】
〔実施例2〕
Glycyrrhiza uralensisにおける二次代謝物の産生の増大(紫外線の影響など)
1.材料と方法
1.1 植物、処理および生育条件
・移植前の植物・・・10日令のGlycyrrhiza uralensisの苗(4枚の展開葉を有する)
Glycyrrhiza uralensis(Fisch.)の種を濃硫酸に20分間浸漬した後水道水で数回洗浄し、湿った混合土壌(ヤンマー農機(株))を入れたマルチトレーに直ちに播種した。発芽4~5日後にトレーを人工光(100μmolm-2-1PPF(光合成有効光子量束))に保管した。
日長:16L8D(16時間明期8時間暗期)
温度:明期、暗期のそれぞれにおいて28℃および26℃
【0039】
・移植後・・・苗をランダムに選択し、水耕システム(deep flow technique(DFT)付き)またはプラスチックポット(直径15cm、高さ19cm)に移植。環境条件制御設備付き室内に静置。
(1)水耕システムに移植したもの・・・苗(高さ5cm)を、プラスチックのトレー(長さ54cm×幅39cm×深さ8cm。栄養溶液を含む)に載せたスタイロフォーム・シートの孔(支持用のスポンジ付き)に入れた。
栽植密度・・・トレイ当たり12株(38株/m
処理当たりトレー数・・・3
(2)プラスチックポットに移植したもの・・・
土:湿った混合土壌(ヤンマー農機(株))。ポット当たり550g。
処理当たりポット数・・・30
栽植密度・・・52株/m
【0040】
光度(PPF):300μmolm-2-1
光波長:下記表2のとおり
【表2】
JP0004686716B2_000003t.gif

【0041】
(3)水耕システムに移植したものおよびプラスチックポットに移植したものに共通する生育条件
日長:16L8D(16時間明期8時間暗期)
温度:明期、暗期のそれぞれにおいて28℃および26℃
CO濃度:1000μmol mol-1
光度:7日間の100μmolm-2-1PPF
相対湿度:65-70%
施肥:ハイポネックス(登録商標、N:P:K=6:6:6、株式会社ハイポネックス)を正規の力価として行った。
栄養液剤のpH・・・5.8
栄養剤の施用・・・プラスチックポットに移植したものにおいては3日ごとに行った。水耕システムに移植したものにおいては10日ごとに新しいものと交換し、栄養液の量を一定に保つために、2から3日に1回の頻度で、必要に応じてトレイに栄養液を補充した。
【0042】
試験期間・・・水耕システムに移植したものは3ヶ月、およびプラスチックポットに移植したものは6ヶ月。
サンプルの回収・・・プラスチックポットに移植したものにおいては、移植後1、3および6ヶ月に、プラスチックポットに移植したものにおいては6ヶ月に行った。
【0043】
(4)UV-Bの照射
移植後の生育条件・・・プラスチックポット(直径15cm、高さ19cm)に移植。室内の実験設備に静置。
栽培株数・・・60
他の生育条件、栄養条件・・・該当するものについて、プラスチックポットに移植したものにおける上記条件に同じ
UV-B照射・・・移植3ヶ月後に、下記各処理を行った。
i)高UV-B照射を短期間(1.13W m-2、3日間)、300μmolm-2-1PPF
ii)低UV-B照射を長期間(0.43W m-2、15日間)、300μmolm-2-1PPF
iii)対照(UV-B照射なし)、300μmolm-2-1PPF
なお、各UV-B照射の期間およびその前後に純光合成速度(Pn)の測定も行った。
【0044】
1.2 抽出とグリチルリチン酸の定量
グリチルリチン酸の抽出、単離は、Sato et al. (2004), Plant Sci. 166, 333-340に記載の方法を改変した方法によって行った。概略は、以下のとおりである。
根組織(生重量0.4-0.45g FM)を黄色のエッペンドルフ管(20mL)に入れ、直ちに液体窒素中にて凍結し、-85℃にて保存した。
1mLの80%(v/v)エタノールを各サンプルに入れ、MM200(登録商標、Retch Gmblt& Co., Germany)を用いて30Hzにて6分間粉砕した。次に10,000rpmにて、10分間遠心分離を行った(Kubota(登録商標)、(株)クボタ)。抽出液を0.2μmのシリンジフィルタ(Dismic-13HP、Advantech、東洋濾紙株式会社)によって濾過し、300μLのアリコートを、プラスチック製のHPLCのオートサンプラーのバイアルに入れ、20μLのサンプルをインジェクションし、HPLCによってピーク面積からグリチルリチン酸を定量した。
【0045】
グリチルリチン酸の定量には、SCL-10Aシステムコントローラ、SIL-10Aオートインジェクタ、およびCTO-10Aカラムオーブン(島津製作所)からなるHPLCシステム、および254nmにてSPD-M10AVフォトダイオードアレイ・ディテクタを用いて行った。グリチルリジンの分離は、Phenomenex Hypersil C18カラム(3.0μm、4.6mm×100mm)に注入して行った。分析検体のアイソクラチックな分離を、移動相として0.1molL-1の二リン酸ナトリウムおよびアセトニトリル(65:35、v/v)を用い、流速を1.0mLmin-1として行った。グリチルリジンの標準品(和光純薬株式会社)を用いて標準曲線を作成し(r>0.99)、グリチルリジンの量は前記標準曲線を用いて求めた。
【0046】
1.3 統計分析
試験は2回行った。統計的有意度の決定は、一元配置分散分析(ANOVA)によって、Sigma Stat program(Windows(登録商標)のSigma Stat(商標)V2.03,SPSS Inc.)を用いて行った。平均値の差は、Tukey testにより、P≦0.05として行った。
【0047】
2.結果
プラスチックポットに移植したものは、水耕システムに移植したものより生育が旺盛であり、形態の外観もより優れていた(図11a、11b)。
移植3ヶ月後において、水耕システムに移植したものの葉および茎の状態は、赤色光照射区および青色光照射区と対照(白色光照射区)との間に差はなかった(図13a~13d)。これに対して、根の生重量および乾燥重量においては、赤色光照射区および青色光照射区は対照より小さかった(図13e、13f)。
【0048】
プラスチックポットに移植したものにおいては、赤色光照射区の生育が、青色光照射区または対照の場合より優れていた。移植3ヶ月後の葉および茎の生重量および乾燥重量は、赤色光照射区において青色光照射区よりそれぞれ1.4倍、1.8倍および2倍ずつ大きかった(図14a~14d)。対照区は、赤色光照射区と青色光照射区との中間に位置した。
移植3ヶ月後および6ヶ月後の根の生重量および乾燥重量は、赤色光照射区において青色光照射区よりそれぞれ1.9倍、1.3倍および2倍、1.5倍大きかった(図15a、15b)。
【0049】
プラスチックポットに移植したものの場合、グリチルリチン酸の濃度(根の生重量g当たりの量)を、移植後1ヶ月後、3ヶ月後、6ヶ月後に測定した。その結果、グリチルリチン酸の濃度は移植後1ヶ月後から3ヶ月後に著しく増大した後、根は太くなったが(図12)、ほとんど増加しなかった(図16b)。
グリチルリチン酸の濃度に対する照射光の影響については、赤色光照射区においてグリチルリチン酸の濃度は最も高く、対照区がこれに次ぎ、青色光照射区において最も低かった。
【0050】
水耕システムに移植したものの場合、グリチルリチン酸の濃度(移植3ヶ月後)に対する照射光の影響については、赤色光照射区においてグリチルリチン酸の濃度は最も高く、対照区と青色光照射区においては差はなかった(図6A)。移植3ヶ月後のグリチルリチン酸の濃度をプラスチックポットに移植したものと水耕システムに移植したものとにおいて比較すると、プラスチックポットに移植したものが1.6倍大きかった(図16a、16b)。
【0051】
UV-Bを照射すると、グリチルリチン酸の濃度は大きくなった。すなわち、高UV-B照射を短期間行った区および低UV-B照射を長期間行った区のいずれにおいても、グリチルリチン酸の濃度は対照区より約1.5倍大きかった(図17)。UV-B照射区間の比較においては、低UV-B照射を長期間行った区の方がより大きいグリチルリチン酸の濃度を示した。
なお、各UV-B照射期間における純光合成速度は、その前後の期間より小さかった(図18、19)。
【産業上の利用可能性】
【0052】
上記実施例からも明らかなとおり、本発明によれば、植物の二次代謝物を従来の方法に比較して、はるかに迅速かつ大量に産生せしめることができる。したがって、本発明は、医薬産業、食品産業および他の関連産業の発展に大きく寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】実施例1に記載の試験を行った期間における気象条件の変化を示す図である。
【図2】実施例1に記載の試験における各試験区において回収されたセイヨウオトギリソウの写真図である。
【図3】実施例1に記載の試験におけるセイヨウオトギリソウの、葉、茎、根および植物体全体の生重量を示す図である。
【図4】実施例1に記載の試験におけるセイヨウオトギリソウの、葉、茎、根および植物体全体の乾燥重量を示す図である。
【図5】実施例1に記載の試験におけるセイヨウオトギリソウにおける茎の節の数を示す図である。
【図6】実施例1に記載の試験におけるセイヨウオトギリソウにおける純光合成速度(Pn)を示す図である。(A)はPPFおよび/またはCO濃度を制御して生育せしめた植物についてのものであり、(B)は野外圃場において生育せしめた植物についてのものである。
【図7】実施例1に記載の試験におけるクロロフィルa(A)およびb(B)の濃度ならびにクロロフィルa/b比(C)を示す図である。
【図8】実施例1に記載の試験における葉の組織におけるハイペリシン(A)およびシュードハイペリシン(B)ならびにハイパーフォリン(C)の濃度を示す図である。
【図9】実施例1に記載の試験における純光合成速度(Pn)とハイペリシン(A)およびシュードハイペリシン(B)濃度との相関を示す図である。
【図10】実施例1に記載の試験におけるPPF(A)およびCO濃度(B)と総ハイペリシン濃度との相関を示す図である。

【0054】
【図11A】実施例2に記載の試験における各試験区において回収されたGlycyrrhiza uralensisの回収後の全体図を示す写真図である。
【図11B】実施例2に記載の試験における各試験区において回収されたGlycyrrhiza uralensisの改修前の地上部を示す写真図である。
【図12】実施例2に記載の試験における各試験区において回収されたGlycyrrhiza uralensisの根の写真図である。
【図13】実施例2に記載の試験における水耕システムに移植したGlycyrrhiza uralensisの、葉(aおよびb)、茎(cおよびd)、根(eおよびf)の生重量および乾燥重量を示す図である。
【図14】実施例2に記載の試験におけるプラスチックポットに移植したGlycyrrhiza uralensisの、葉(aおよびb)、茎(cおよびd)の生重量および乾燥重量を示す図である。
【図15】実施例2に記載の試験におけるプラスチックポットに移植したGlycyrrhiza uralensisの、根の生重量(a)および乾燥重量(b)の推移を示す図である。
【図16】実施例2に記載の試験における水耕システムに移植した(a)、またはプラスチックポットに移植した(b)、Glycyrrhiza uralensisのグリチルリチン酸の濃度の推移を示す図である。
【図17】実施例2に記載の試験における、UV-Bを照射したGlycyrrhiza uralensisのグリチルリチン酸の濃度を示す図である。
【図18】実施例2に記載の試験における、高照射量のUV-Bを3日間照射した場合の純光合成速度を示す図である。
【図19】実施例2に記載の試験における、低照射量のUV-Bを15日間照射した場合の純光合成速度を示す図である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11A】
10
【図11B】
11
【図12】
12
【図13】
13
【図14】
14
【図15】
15
【図16】
16
【図17】
17
【図18】
18
【図19】
19