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明細書 :光パターニング材料および光パターン形成方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4487069号 (P4487069)
公開番号 特開2007-033472 (P2007-033472A)
登録日 平成22年4月9日(2010.4.9)
発行日 平成22年6月23日(2010.6.23)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
発明の名称または考案の名称 光パターニング材料および光パターン形成方法
国際特許分類 G03F   7/004       (2006.01)
H01L  21/027       (2006.01)
C07D 207/44        (2006.01)
FI G03F 7/004 531
G03F 7/004 501
H01L 21/30 502R
C07D 207/44
請求項の数または発明の数 9
全頁数 8
出願番号 特願2005-211948 (P2005-211948)
出願日 平成17年7月21日(2005.7.21)
審査請求日 平成19年3月26日(2007.3.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人 千葉大学
発明者または考案者 【氏名】高原 茂
審査官 【審査官】古妻 泰一
参考文献・文献 特開平11-352671(JP,A)
特開平11-258785(JP,A)
特開平05-320227(JP,A)
特開平05-281717(JP,A)
特開昭61-180245(JP,A)
特開2004-358243(JP,A)
特開2001-225439(JP,A)
調査した分野 G03F 7/004
H01L 21/027
C07D 207/44
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
分子内に光を吸収する部位とこれにより光シス-トランス異性化をともない、分子構造を変化させる部位をもつとともに、分子内および/または分子間で水素結合をつくる部位を有する光異性化材料を含み、
前記光異性化材料は、少なくとも、ビリルビン又はビリルビン誘導体を含み、
該光異性化材料に、光を照射して、光シス-トランス異性化に引き続き、水素結合の変化によって、水またはアルカリ溶液への溶解度の差を生じさせることを特徴とする光パターニング材料。
【請求項2】
生体物質に親和性を有する光異性化材料を含み、
前記光異性化材料は、少なくとも、ビリルビン又はビリルビン誘導体を含み、
該光異性化材料へ光を照射して、光異性化反応により、生体物質に親和性を有するパターンを形成することを特徴とする光パターニング材料。
【請求項3】
過酸化水素分解酵素を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の光パターニング材料。
【請求項4】
前記過酸化水素分解酵素は、ホースラディッシュペルオキシターゼであることを特徴とする請求項3に記載の光パターニング材料。
【請求項5】
支持体に、請求項1又は2に記載の光パターニング材料により成膜する第1の工程と、
該光パターニング材料に、光を照射する第2の工程と、
該光の照射によって、該光パターニング材料に、光シス-トランス異性化に引き続き、水素結合の変化によって、水またはアルカリ溶液への溶解度の差を生じさせる第3の工程と、
該光パターニング材料より、該溶解度の差により生じた水またはアルカリ溶液への溶解成分を除去する第4の工程とを有することを特徴とする光パターン形成方法。
【請求項6】
前記成膜工程において、前記パターニング材料に、ジメチルスルフォキシドを溶媒として用いることを特徴とする請求項5に記載の光パターン形成方法。
【請求項7】
前記第3の工程は、パターンマスクを通して露光する工程であることを特徴とする請求項5に記載の光パターン形成方法。
【請求項8】
前記支持体は、半導体基板であることを特徴とする請求項5に記載の光パターン形成方法。
【請求項9】
前記支持体は、シリコンであることを特徴とする請求項8に記載の光パターン形成方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、環境にやさしく、化学的にソフトなフォトリソグラフィー材料、とくに、光パターニング材料と光パターン形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成技術である光リソグラフィー材料とその加工プロセスは、半導体加工、配線用レジスト、印刷製版などにおいて広く実用化に供されている。
従来のフォトリソグラフィーのプロセスでは、図3に示すように、感光性樹脂材料を用いて目的に応じた膜をシリコン基板などの上に形成する。これにマスクなどを通して光を照射し、感光性樹脂膜の光照射された領域で光重合または光架橋反応、脱保護反応などを起こすことによって膜材料の溶解度の差を生じさせ、現像によってパターン形成を行っているのが一般的である。これらのプロセスでは、光ラジカル発生剤や光酸発生剤、光塩基発生剤を膜中に用い、光照射した部位においてラジカルや酸、塩基など化学的活性種を生成させる。さらに引き続き、モノマーの重合反応または架橋剤の分子間の架橋、保護基の脱離など共有結合の形成や開裂により、感光性樹脂材料の現像液に対する溶解度差を得るものであった。
【0003】
主要な工業技術のひとつであるフォトリソグラフィー技術は、他の工業技術と同様に環境調和型のプロセスへ変化が望まれている。しかしながら、例えば、半導体加工においては発生した化学的活性種の化学反応によって増幅する化学増幅型のフォトレジストが多く用いられ、図3に示すように、露光後に加熱過程を設けてこれらの反応を促進している。これらのリソグラフィー材料に環境調和型の化合物として天然に存在するような物質を使おうとすると、発生するラジカルや酸、加熱工程によって変質しやすく用いることができる物質が限られてしまう問題があった。
【0004】
一方、これまで蓄積されてきた微細加工技術は、バイオセンサー・バイオチップなどバイオケミストリー技術と融合することが期待されているが、現在のプロセスや材料は前述したように、化学的活性種をもちいることや加熱プロセスなどの問題から、直接、生体物質を光でパターニングするには適合したものではなかった。
【0005】
また一方、本発明で用いられるビリルビンについては、血中に含まれるヘモグロビンの分解生成物として知られ、一般の血液検査の項目にもなっている良く知られた生体物質である。特許文献1においては、ビリルビンを薄膜(メンブレン)に拡散させた酵素センサーが開示されている。また、非特許文献2には、ビリルビンの光異性化反応が開示されている。しかし、この生体物質そのものを感光性薄膜とし光リソグラフィー材料として用いようとする試みは知られていなかった。

【特許文献1】特表2000-507457号公報
【非特許文献1】Y. Kanna, T.Arai, K. Tokumaru, Bull. Chem. Soc. Jpn., 67, 2758-2762 (1994).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みなされたものであって、生体物質に親和性があり、かつ温和な反応条件で、光によるパターニングを可能にする光パターニング材料および光パターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、生体物質に親和性があり、かつ温和な反応条件によって光によりパターニング可能とするため、少なくとも、ビリルビン(Bilirubin)またはビリルビン誘導体を感光性薄膜とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明における、少なくとも、ビリルビン(Bilirubin)またはビリルビン誘導体を用いる感光性薄膜は、薄膜中に従来技術のような反応性の高いラジカルや酸、塩基など発生する光開始剤を特に必要とせず、露光した部分の水またはアルカリ溶液における溶解度が向上し、パターン形成が可能である利点がある。
【0009】
ビリルビン(Bilirubin)またはビリルビン誘導体は、分子内に光を吸収する部位と、これにより光シスートランス異性化をともない分子構造を大きく変化する部位をもつとともに、分子内もしくは分子間で水素結合をつくる部位を有する。したがって、本発明のビリルビン(Bilirubin)またはビリルビン誘導体を用いる感光性薄膜の光照射による溶解度の差は、光シスートランス異性化に引き続いて行なわれる水素結合の変化によっておこると考えられ、これによって溶媒和可能なフリーの極性基が出現するため、薄膜中に従来技術のような反応性の高いラジカルや酸、塩基などを必要とせずパターニングできたものと考えられる。これにより、成膜時の溶媒除去以外の加熱プロセスを必要としないばかりでなく、希薄なアルカリ水溶液で可能であり、環境負荷が小さく新規なソフトな光リソグラフィー材料を実現した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、図に示す本発明の実施形態(以下、単に本発明という)を説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は、本発明で用いられるビリルビン(Bilirubin)の化学構造、図2は、ビリルビン(Bilirubin)誘導体の化学構造を示す。
【0012】
図4に示すように、基板2として、シリコンウエハーを用意し、これにビリルビン(Bilirubin)の1.30wt.% ジメチルスルフォキシド(DMSO)溶液を滴下し、スピンコート法により製膜した。触針式膜厚計(アルファステップ)により膜厚を測定したところ、4500rpm回転の条件でおよそ30nmのビリルビン薄膜1が得られた。これを、常温または100℃以下で乾燥した。
【0013】
この薄膜の紫外-可視スペクトルを測定すると400nm-500nmに大きな光吸収を示した。これは可視光源、例えば通常のランプ以外にもアルゴンイオンレーザーや半導体レーザーによっても感光させることが可能であることを示す。
【0014】
該ビリルビン(Bilirubin)薄膜1に、ラインアンドスペースのパターンマスク4を通して、キセノンランプ(光強度 350mJ/cm2s)で20分間露光した後、0.02 wt.%のテトラメチルアンモニウムハイドロキシド水溶液を用いて、30秒間ディップ現像するとポジ型のパターン5が形成できた。これを図5に示す。
【実施例2】
【0015】
次に、実施例1で用いたビリルビン(Bilirubin)の1.30wt.% DMSO溶液に0.01wt.%になるよう過酸化水素分解酵素であるホースラディッシュペルオキシターゼを溶かし、実施例1と同じように薄膜を形成した。
【0016】
実施例1と同様にラインアンドスペースのパターンマスクを通して、キセノンランプ(光強度 350mJ/cm2s)で20分間露光した後、0.02 wt.%のテトラメチルアンモニウムハイドロキシド水溶液を用いて、30秒間ディップ現像するとポジ型のパターン形成ができた。
【0017】
このパターンに1wt.%過酸化水素水を一滴滴下すると、パターン部分でガスが発生していることが観察された。これは酵素の直接パターニングが光リソグラフィーのプロセスによって可能であることを示す。本実施例で得られるビリルビン(Bilirubin)薄膜を形成した基板を用いれば、担体を用いることなく、基板に、直接、バイオセンサー等を形成することができる。
【0018】
なお、該ビリルビン(Bilirubin)薄膜の塗布、製膜は、スピンコート方法に限定されず、スクリーン印刷、インクジェット、ロールコータ等、適宜、選択することができる。基板は、実施例に限定されず、例えば、ガラス,ポリカーボネート,ポリエステル,ポリエチレン,ポリプロピレン等からも選択できる。また、ビリルビン誘導体を用いることも可能である。露光は、可視光源、通常のランプ以外にも、例えば、アルゴンイオンレーザーや半導体レーザーによっても感光させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
拡大している光リソグラフィーの応用分野において、半導体加工、配線用レジスト、スクリーン印刷などの印刷材料だけでなく、バイオセンサーや細胞培養足場材料、DNAチップ、バイオチップ等のパターニング材料として利用可能であり、応用分野が広く有用性が極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ビリルビン(Bilirubin)化学構造
【図2】ビリルビン(Bilirubin)誘導体の化学構造
【図3】従来のフォトリソグラフィー工程
【図4】本発明によるビリルビン(Bilirubin)のフォトリソグラフィー工程
【図5】本発明によるビリルビン(Bilirubin)のフォトリソグラフィーによるパターン写真
【符号の説明】
【0021】
1・・・ビリルビン薄膜
2・・・基板
3・・・光
4・・・マスク
5・・・パターン
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4