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明細書 :アオヤギ由来のコンドロイチン硫酸

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4719878号 (P4719878)
公開番号 特開2007-063400 (P2007-063400A)
登録日 平成23年4月15日(2011.4.15)
発行日 平成23年7月6日(2011.7.6)
公開日 平成19年3月15日(2007.3.15)
発明の名称または考案の名称 アオヤギ由来のコンドロイチン硫酸
国際特許分類 C08B  37/08        (2006.01)
C08B  37/00        (2006.01)
A61K  31/737       (2006.01)
A61K  35/56        (2006.01)
A61P  29/00        (2006.01)
A61P  17/16        (2006.01)
A61P   7/02        (2006.01)
A61K   8/73        (2006.01)
A61K   8/98        (2006.01)
A61Q  19/00        (2006.01)
FI C08B 37/08 Z
C08B 37/00 Q
C08B 37/00 H
A61K 31/737
A61K 35/56
A61P 29/00
A61P 17/16
A61P 7/02
A61K 8/73
A61K 8/98
A61Q 19/00
請求項の数または発明の数 5
全頁数 9
出願番号 特願2005-251063 (P2005-251063)
出願日 平成17年8月31日(2005.8.31)
審査請求日 平成19年3月12日(2007.3.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人 千葉大学
発明者または考案者 【氏名】戸井田 敏彦
【氏名】豊田 英尚
【氏名】酒井 信夫
審査官 【審査官】井上 典之
参考文献・文献 特開2004-018390(JP,A)
特開2003-268004(JP,A)
H.N. Magnani,"A review of 122 published outcomes of danaparoid anticoagulation for intermittent haemodialysis",Thrombosis Research,2010年 4月,vol.125, no.4,pp.e171-e176
調査した分野 C08B 37/
特許請求の範囲 【請求項1】
非硫酸化N-アセチル-D-ガラクトサミン(%):22.0±3.3
C6位一硫酸化N-アセチル-D-ガラクトサミン(%):10.7±15.8
C4位一硫酸化N-アセチル-D-ガラクトサミン(%):12.5±10.5
C4,C6位二硫酸化N-アセチル-D-ガラクトサミン(%):31.2±5.3、
C2位一硫酸化グルクロン酸(%)23.6±8.7を含んでなるコンドロイチン硫酸。
【請求項2】
バカ貝(アオヤギ)およびその熱抽出物から得られた請求項1に記載のコンドロイチン硫酸。
【請求項3】
バカ貝(アオヤギ)を低温粉砕し、脱脂した後、またはバカ貝(アオヤギ)の熱抽出物を凍結乾燥後アルカリ及びプロナーゼで処理し、得られた消化液を遠心分離後エタノール沈殿させることを特徴とするコンドロイチン硫酸の製造方法。
【請求項4】
前記コンドロイチン硫酸は、請求項1に記載のものであることを特徴とする請求項記載のコンドロイチン硫酸の製造方法。
【請求項5】
更に、得られた沈殿を、陽イオン交換樹脂で処理する請求項4に記載のコンドロイチン硫酸の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品、化粧品、食品添加物等の分野において種々の用途が期待される新規なコンドロイチン硫酸に関する。
【背景技術】
【0002】
コンドロイチン硫酸は、動物の結合組織に含まれる酸性ムコ多糖である。これは、硫酸化されたあるいは硫酸化されていないウロン酸(D-グルクロン酸あるいはL-イズロン酸)と、硫酸化されたあるいは硫酸化されていないN-アセチルガラクトサミンの二糖繰り返し構造から成り、構成糖の水酸基の硫酸化により多種多様な異性体が存在する。硫酸化されうる部位はグルクロン酸の2位及び3位の水酸基、あるいはイズロン酸の2位の水酸基、及びN-アセチルガラクトサミンの4位及び6位の水酸基である。コンドロイチン硫酸鎖は、分子量10-10の直鎖状の多糖で、コア蛋白質に共有結合したプロテオグリカンとして存在する。
【0003】
一般に、天然に存在するコンドロイチン硫酸鎖は1種類の硫酸化二糖の繰り返しのみから成るものは少なく、通常、様々な種類の硫酸化、あるいは非硫酸化二糖を異なる割合で含む。コンドロイチン硫酸は、酸性ムコ多糖のうちでは最も早く発見されたものであり、1886年、FischerとBoedekerによって軟骨から分離され、最初はchondroit
acidと命名された。その後、硫酸エステルを持つことがわかりchondroitin sulfateと呼ばれるようになった。さらに1951年、Meyerらによって、コンドロイチン硫酸には3種類有り(A,B,C)軟骨中にはAとCが存在することが明らかにされた。コンドロイチン硫酸鎖を持つプロテオグリカンとしては、アグリカン、バーシカン、デコリンなどがあるが、これらの機能は不明なものも多い。しかし、アグリカンの軟骨組織機能を制御する活性や、バーシカンの抗細胞接着活性は、コンドロイチナーゼ処理により完全に消失するので、コンドロイチン硫酸鎖がそれらの活性を担っていると考えられる。さらに、網膜神経細胞に対する神経栄養因子や、神経突起伸張因子としてコンドロイチン硫酸プロテオグリカンが単離されたが、これらの活性もコンドロイチナーゼ処理により消失した。最近では、コンドロイチン硫酸由来の二糖がナチュラルキラー細胞の活性化を抑えるという報告もある。また、コンドロイチン硫酸、カラギーナン、硫酸化デキストランなどの硫酸化多糖がインフルエンザウイルスや単純ヘルペスウイルスなど多数のウイルスの細胞への感染を阻害することは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の出現以前から知られていた。このように、コンドロイチン硫酸には多様な生理活性や物性が認められることから、抗炎症剤などの医薬品をはじめ、保湿剤として化粧品あるいは目薬に、ゲル化剤・ゼリー化剤等の食品添加物として、また最近では関節炎に有効な健康食品として利用されており、日常生活において意外に広い範囲で見かけることができる。また、これら通常の用途以外にも、その特性から様々な目的の医薬品などとして潜在的な利用価値が期待されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在医療等に用いられているコンドロイチン硫酸は、鯨軟骨から抽出したコンドロイチン硫酸A(ChS-A、コンドロイチン4硫酸)及び鮫の鰭から抽出したコンドロイチン硫酸C(ChS-C、コンドロイチン6硫酸)である。最近では、捕鯨禁止によってChS-AからChS-Cに比重が移りつつあるが、鮫の鰭も中華料理の食材として価格が上昇している。そのため、より安価に、且つ大量にコンドロイチン硫酸を取得できる原材料及び方法が求められている。
【0005】
従って、本発明の目的は、より安価に、且つ大量に取得でき、尚かつ種々の有用な用途が期待できる新規なコンドロイチン硫酸と、その取得方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、非硫酸化N-アセチル-D-ガラクトサミンを含む二糖単位(以下、非硫酸化GalNAcと略す。):(22.0±3.3)%、C6位一硫酸化N-アセチル-D-ガラクトサミンを含む二糖単位(以下、C6位一硫酸化GalNAcと略す。):(10.7±15.8)%、C4位一硫酸化N-アセチル-D-ガラクトサミンを含む二糖単位(以下、C4位一硫酸化GalNAcと略す。):(12.5±10.5)%、C4,C6位二硫酸化N-アセチル-D-ガラクトサミンを含む二糖単位(以下、C4,C6位二硫酸化GalNAcと略す。):(31.2±4.3)%、及びC4,C6位二硫酸化N-アセチル-D-ガラクトサミン、C2位グルクロン酸を含む二糖単位(以下、C4,C6位二硫酸化GalNAcC2位一硫酸化GlcAと略す。):(23.6±1.7)%を含んで成るコンドロイチン硫酸、及び、バカ貝(アオヤギ)を低温粉砕し、脱脂した後、あるいはバカ貝(アオヤギ)を熱抽出後凍結乾燥後、アルカリ及びプロナーゼで処理し、得られた消化液を遠心分離後エタノール沈殿させることを特徴とするコンドロイチン硫酸の取得方法、並びに、得られた沈殿を、更に、陽イオン交換樹脂で処理してコンドロイチン硫酸を製造する方法、に関する。また本発明は、当該コンドロイチン硫酸を含んでなる抗炎症剤、保湿剤、および抗血液凝固剤に関する。
【0007】
本発明のコンドロイチン硫酸は、例えばバカ貝(アオヤギ)から大量に得られる。当該方法の概略は以下の通りである。即ち、先ず、バカ貝(アオヤギ)そのものあるいはバカ貝(アオヤギ)の加工工程中すなわち剥き身あるいは貝柱部を除いた後に出る残渣および粘液を分離して-120℃で粉砕したものあるいは熱水抽出物を原料とする。低温粉砕することで、粉砕熱の発生による物質の変性及び酸化を防ぐことができる。また、常温粉砕では不可能なサイズへの微粉砕が可能となり、粒度も揃えられる。この粉体から酸性ムコ多糖を抽出し、これをイオン交換樹脂で処理してコンドロイチン硫酸画分を得る。操作方法等は、鯨及び鮫軟骨からのコンドロイチン硫酸抽出法のそれを参考にすることができる。また、熱水抽出物の場合は脱脂過程を省略することもできる。
【0008】
粉体から精製コンドロイチン硫酸を製造するまでを更に詳しく記すと大略以下のようになる。即ち、先ず、粉体をアセトン等の有機溶剤により脱脂し、次いで、これを例えば苛性ソーダ水溶液等のアルカリ水溶液で処理し、中和した後、例えばアクチナーゼE等のプロナーゼで消化する。次に、この消化液を遠心分離し、酢酸等でpHを酸性にした後、エタノールを加えて沈殿を生じさせる。生じた沈殿を遠心分離操作で分取し、エタノールで洗浄した後、これを減圧乾燥する。得られた酸性ムコ多糖を少量の脱イオン水に溶解し、これを、例えばDOWEX50WX2等の陽イオン交換樹脂で処理した後、流出液を中和し、これを脱イオン水中で透析する。得られた溶液を濃縮し、メンブランフィルター等で濾過した後凍結乾燥すれば、コンドロイチン硫酸の精製品が得られる。熱水抽出物の場合は、アセトン等の有機溶剤による脱脂工程を省略することができる。
【0009】
本発明のコンドロイチン硫酸を構成している二糖の存在比は、通常、 非硫酸化GalNAc(%):22.0±3.3 C6位一硫酸化GalNAc(%):10.7±15.8 C4位一硫酸化GalNAc(%):12.5±10.5 C4,C6位二硫酸化GalNAc(%):54.8±5.3、C2位一硫酸化GlcA(%)23.6±8.7であるが、好ましくは、 非硫酸化GalNAc(%):22.0±2.2
C6位一硫酸化GalNAc(%):10.7±10.6 C4位一硫酸化GalNAc(%):12.5±5.7 C4,C6位二硫酸化GalNAc(%):54.8±1.6、C2位一硫酸化GlcA(%)23.6±1.7である。
【0010】
コンドロイチン硫酸を構成している二糖の存在比がこのような割合のものはこれまでに知られていない。因みに、従来から知られている鯨軟骨由来のコンドロイチン硫酸では、C4位一硫酸化GalNAcが約70%と多い反面、C4,C6位二硫酸化GalNAcは1%以下と少なく、同じく従来から知られている鮫軟骨由来のコンドロイチン硫酸ではC6位一硫酸化GalNAcが約70%と多いが、C4位一硫酸化GalNAcは10数%と少ない。
【0011】
また、本発明のコンドロイチン硫酸は硫酸基分布が従来のものよりもランダムな構造となっている。即ち、非硫酸化GalNAcを含む二糖単位、C6位一硫酸化GalNAcを含む二糖単位、C4位一硫酸化GalNAcを含む二糖単位、C4,C6位二硫酸化GalNAcを含む二糖単位及びC4,C6位二硫酸化GalNAc、C2位一硫酸化GlcAを含む二糖単位がランダムに並んだ構造を有する。
【0012】
本発明のコンドロイチン硫酸は、従来のものと同様、抗炎症剤などの医薬品をはじめ、保湿剤として化粧品あるいは目薬に、また、ゲル化剤・ゼリー化剤等の食品添加物として利用しうる。更に、今後の展開として、当該コンドロイチン硫酸は生理的粘性が従来品より低いため配合薬剤とのブレンドが容易になる効果が考えられる。また角膜コラーゲン繊維の安定化を促進し、目の組織の機能保持に有効であることが報告されていることから、牛皮・豚皮などから抽出されるコラーゲンとのブレンドによって高機能性代用皮膚としての応用も考えられる。さらに生理・薬理活性だけではなく、高分子電解質としての特性を示すことから工業的応用も可能である。本発明のコンドロイチン硫酸は、鯨由来のコンドロイチン硫酸と鮫由来のコンドロイチン硫酸とは全く異なる非常に高い硫酸化度を持った構造を取るため、抗アレルギー活性など新しい範囲に応用できる可能性が期待できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のコンドロイチン硫酸は、従来から知られている鯨由来のコンドロイチン硫酸や鮫由来のコンドロイチン硫酸とは全く異なる新しい構造を有するため、新しい生理活性が期待でき、幅広い範囲に応用できる可能性が高く、従来のものと同様、抗炎症剤などの医薬品をはじめ、保湿剤として化粧品あるいは目薬に、また、ゲル化剤・ゼリー化剤等の食品添加物として利用しうることはもとより、平均分子量が従来のものよりも小さいことから、従来のものより粘性が低く、配合薬剤とのブレンドが容易となる効果が期待できる。また、コンドロイチン硫酸に関する最近の報告として、角膜コラーゲン繊維の安定化を促進し、目の組織の機能保持に有効である旨の報告もあることから、牛皮・豚皮等から抽出されるコラーゲンとのブレンドによって高機能性代用皮膚としての応用も期待出来る。さらに生理・薬理活性だけではなく、高分子電解質としての特性を示すことから工業的応用も期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0015】
実施例1
(1)バカ貝(アオヤギ)の加工工程中に排出される残渣部及び粘液、あるいは熱水抽出物のみを分離して、液体窒素下-120℃で粉砕・乾燥したものを原料とした。
1)約100mgの粉体を2000mlの三角フラスコに入れ、アセトン700mlを加え、10分間攪拌した。熱水抽出物の場合はこの工程を省略することができる。
2)5分間放置し上澄み液を除去した。
3)1)-2)の操作をさらに3回繰り返した。
4)残った沈殿を減圧デシケーターで乾燥した。
5)得られた試料は-30℃で保存した。
【0016】
(2)アルカリ処理1)脱脂済軟骨粉5gを0.2M NaOH80mlに溶解した。
2)37℃の湯浴中で、3時間攪拌した。
3)酢酸でpH7.0に中和した。
【0017】
(3)プロナーゼ消化1)0.2M Tris-HCl緩衝液(pH7.8)10mlを加えた。
2)酢酸カルシウムを終濃度0.02Mになるように加えた。
3)防腐のためメタノール5mlを加えた。
4)アクチナーゼE50mgを加えた。
5)37℃の湯浴中で、48時間ゆっくりと攪拌した。
【0018】
(4)エタノール沈殿1)消化液を10,000rpm×30分間、4℃にて遠心分離した。
2)上澄を0.45μmメンブランフィルターを用いて吸引濾過した。
3)濾過液に5%相当の酢酸カルシウムを加えた。
4)酢酸でpH4.5に調整した。
5)2倍量のエタノールに加えて、48時間放置した。
【0019】
(5)沈殿の洗浄・乾燥1)エタノール液を7,000rpm×30分間、4℃にて遠心分離した。
2)沈殿を回収し80%エタノール300mlを加え、12時間ゆっくり攪拌した。
3)10,000rpm×30分間、4℃にて遠心分離した。
4)2)-3)の操作を繰り返した。
5)沈殿に100%エタノール200mlを加え、6時間ゆっくり攪拌した。
6)10,000rpm×30分間、4℃にて遠心分離した。
7)得られた沈殿(酸性ムコ多糖)を減圧デシケーターで乾燥した。(脱脂済バカ貝(アオヤギ)粉からの見掛歩留:14.0%)
【0020】
(6)コンドロイチン硫酸の精製(6-1)前処理1)DOWEX 50WX2陽イオン交換樹脂100mlを、3M
HCl中で2時間攪拌し、水洗後、2M NaOH中で2時間攪拌した。
2)上記の操作を3回繰り返した後、水洗した。
3)2.5×40cmのカラムの下に脱脂綿を詰め、空気が入らないように樹脂を詰めた。
(6-2)DOWEX 50W×2陽イオン交換樹脂処理1)上記(5)で得られた酸性ムコ多糖を、ごく少量の脱イオン水に溶解した。
2)カラムに1)を流し、20分間放置した。
3)カラムに400ml(樹脂体積の約4倍)の脱イオン水を流した。
4)流出液をすぐに1M NaOHで中和した。
(6-3)精製1)中和液を脱イオン水中で3日間透析した。
2)エバポレーターにて20ml程に濃縮した。
3)0.22mメンブランフィルターにより濾過後、凍結乾燥し乾燥標品とした。
【0021】
[分析結果]上で得られた本発明のコンドロイチン硫酸(以下、ChS-Sと略記する。)に関する分析結果及び考察を以下に示す。なお、これらの組成分析、構造解析等に当たっては、アミノ糖、ウロン酸の定量はMorgan-Elson法、Bitter-Muir法を用いた。また硫酸基の置換度はイオンクロマトグラフィー法、元素分析によって行った。ChS-Sの分子量、純度検定はGPC、FT-IR、セルロースアセテート膜電気泳動を適宜使用した。構造解析は13C-NMR
(150MHz)及び H-NMR(600MHz)を使用した。また硫酸置換位置の決定、その分布はChS-SのコンドロイチナーゼABC、コンドロイチナーゼAC2による二段階脱離酵素分解によって得られる不飽和二糖のHPLC、二次元NMR(COSYH-NMR水素核シフト相関など)分析により行った。対照サンプルとしては市販のコンドロイチン4-硫酸(ChS-A、鯨軟骨由来)及びコンドロイチン6-硫酸(ChS-C、鮫軟骨由来)(何れも生化学工業(株)製)を使用した。
【0022】
(1)ウロン酸の定量各試料溶液に含まれるウロン酸の割合及びこの値から求めたコンドロイチン硫酸含量(純度)を表1に、また、陽イオン交換樹脂(DOWEX
50WX2)による処理(以下、プロトン交換処理と略す。)が純度及び収率に与える影響を表2にそれぞれ示した。なお、標準コンドロイチン硫酸のウロン酸含量は37%である。これらの結果から、本法により非常に高純度のコンドロイチン硫酸を得られることがわかった。また、プロトン交換処理前後で純度が大幅に増加している。このことからプロトン交換処理によって、ヒアルロン酸やデルマタン硫酸などの他の酸性ムコ多糖は完全に除去できたものと考えられる。
【0023】
【表1】
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【0024】
【表2】
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【0025】
(2)アミノ糖分析各試料溶液のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)含量を表3に示した。また、陽イオン交換処理前の酸性ムコ多糖からはN-アセチルグルコサミンが約8%検出されたが、ChS-S、ChS-A及びChS-Cには全く確認されなかった。その他のアミノ糖は何れにも含まれていなかった。このことから、コンドロイチン硫酸を構成するアミノ糖はN-アセチルガラクトサミンのみであること、陽イオン交換処理によって他のアミノ糖を完全に除去できたことが確認できた。
【0026】
【表3】
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【0027】
(3)元素分析各サンプルに含まれる炭素、水素、窒素、酸素及び硫黄の重量比と、この結果から得られた硫酸化度をそれぞれ表4、表5に示した。表4からは、バカ貝(アオヤギ)由来コンドロイチン硫酸のS含量が高いことがわかる。表5からは、硫酸化度はバカ貝(アオヤギ)由来コンドロイチン硫酸が最も高く、本発明のコンドロイチン硫酸は他に比べると非常に高いという結果が得られた。
【0028】
【表4】
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【0029】
【表5】
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【0030】
(4)硫酸基定量各サンプルに含まれる硫酸基及びここから算出した硫黄の比率を表6に示した。この結果から、硫酸基含量はChS-Sが極めて多く、ChS-AとChS-Cは殆ど同じであることがわかった。また、これは上記(3)で述べた元素分析の結果とも一致した。
【0031】
【表6】
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【0032】
(5)分子量測定各サンプルの平均分子量と分子量分布を表7に示した。本発明のコンドロイチン硫酸の平均分子量は75,000であった。この値は他に比べるとやや小さいが、分子量分布はほぼ一致している。一般にコンドロイチン硫酸の分子量は、抽出方法により10,000-300,000の値をとることが知られている。今回得られたコンドロイチン硫酸の分子量分布は、これに一致するものではないがこの範囲にあった。
【0033】
【表7】
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【0034】
(6)HPLC二種類のコンドロイチン分解酵素を併用して酵素分解したコンドロイチン硫酸をHPLCにより分画し、定量して得られた、各々のコンドロイチン硫酸を構成している二糖の存在比を表8に示す。また、ここから求めたコンドロイチン硫酸の硫酸化度(GalNAc一分子あたりの硫酸基の数)を表9に示した。表8から、本発明のコンドロイチン硫酸は、鯨由来のコンドロイチン硫酸と鮫由来のコンドロイチン硫酸とは全く異なる新しい構造を有することが判った。それ故、本発明のコンドロイチン硫酸は、これまで知られているコンドロイチン硫酸の用途以外に、さらに新しい生理的活性を持つことが期待でき、幅広い範囲に応用できるのではないかと考えられる。
【0035】
【表8】
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【0036】
【表9】
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