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明細書 :酸化亜鉛微粒子及びその集合体と分散溶液の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4304343号 (P4304343)
公開番号 特開2007-070188 (P2007-070188A)
登録日 平成21年5月15日(2009.5.15)
発行日 平成21年7月29日(2009.7.29)
公開日 平成19年3月22日(2007.3.22)
発明の名称または考案の名称 酸化亜鉛微粒子及びその集合体と分散溶液の製造方法
国際特許分類 C01G   9/02        (2006.01)
FI C01G 9/02 B
C01G 9/02 Z
請求項の数または発明の数 2
全頁数 16
出願番号 特願2005-260940 (P2005-260940)
出願日 平成17年9月8日(2005.9.8)
審査請求日 平成19年3月12日(2007.3.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人 千葉大学
発明者または考案者 【氏名】上川 直文
【氏名】石井 俊輔
【氏名】掛川 一幸
【氏名】小島 隆
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
審査官 【審査官】横山 敏志
参考文献・文献 特表2002-537219(JP,A)
特開平07-165422(JP,A)
特開平07-328421(JP,A)
特開平08-026823(JP,A)
特表2005-519143(JP,A)
Sheng-Yuan CHU et al.,Analysis of ZnO varistors prepared by the sol-gel method,Ceramics International,2000, Vol.26,pp.733-737
D. JEZEQUEL et al.,Preparation and morphological characterization of fine, spherical, monodisperse particles of ZnO,Materials Science Forum,1994, Vols.152-153,pp.339-342
調査した分野 C01G9/00
C01G9/02
CAplus(STN)
JSTPlus(JDreamII)
Science Direct
特許請求の範囲 【請求項1】
硝酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、またはそれらの水和物から選択された亜鉛化合物と塩基性溶液を混合して水酸化亜鉛を得る工程と、
該水酸化亜鉛を、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、グリセリンから選択された2価以上の多価アルコールまたはそれらのアルキルエーテルまたはそれらの混合溶液もしくはそれらの水溶液もしくはそれらのアルコール溶液に分散する工程と、
該水酸化亜鉛が分散した溶液を、15℃以上180℃以下で加熱する工程を有する、平均粒径20nm以下の酸化亜鉛一次粒子が凝集した平均粒径40nmから200nm以下の二次粒子が分散した酸化亜鉛微粒子分散溶液の製造方法。
【請求項2】
上記塩基性溶液に含まれる塩基が、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、水酸化カルシウム、水酸化セシウム、ヒドロキシテトラメチルアンモニウムから選択されたことを特徴とする請求項1に記載の酸化亜鉛微粒子分散溶液の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化亜鉛ナノ粒子分散溶液の製造方法および新規な酸化亜鉛ナノ粒子集合体に関する。
【背景技術】
【0002】
酸化亜鉛(ZnO)は、代表的なn半導酸化物半導体であり、その半導体特性や圧電性および蛍光発光特性などにより、重要な電子セラミックス材料である。近年、光触媒、各種の表示装置のための透明導電性薄膜、蛍光体、色素増感太陽電池用電極材料、あるいはp型酸化物半導体として、様々な応用が注目されている。このために、一般的には、約100nm未満の直径を有する酸化亜鉛微粒子(以下ナノ粒子という)を製造する方法が検討されている。従来、この酸化亜鉛ナノ粒子を製造するには、以下のような方法が提案されている。
(1)従来技術1(非特許文献1)
酢酸亜鉛2水和物のエタノール溶液に水酸化リチウムのエタノール溶液を加え0℃にて静置する方法で、平均粒径が3nmから10nmの酸化亜鉛ナノ粒子が得られること、またその平均粒径は、静置時間により制御可能である事が報告されている。
(2)従来技術2(特許文献1)
また、アルコールに溶解させた亜鉛化合物およびアルミニウム化合物を加水分解させることによりアルコールを分散媒とする水酸化亜鉛および水酸化アルミニウムのゾルを調製し、得られたゾルをゲル化させると同時に成形し、形成されたゲルの成形物を焼成して含アルミナ酸化亜鉛セラミックスを生じさせることが開示されている。
(3)従来技術3(特許文献2)
ナノ粒子状で再分散可能な平均粒径15nm以下の酸化亜鉛、水およびアルコールを含む酸化亜鉛ゲルを製造して、これを、ジクロロメタン及び/またはクロロホルムあるいは、場合によっては表面改質物質を含んで成る水または水/エチレングリコール混合物である溶媒で、再分散することで酸化亜鉛ゾルを製造する方法が開示されている。

【非特許文献1】Journal of Physical Chemistry B, 102巻,pp. 5566-5572 (1998年)
【特許文献1】特開平8-26823号
【特許文献2】特表2002-537219号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、これらの方法では、以下のような課題がある。
(1)反応に用いた亜鉛化合物がすべて酸化亜鉛に変化せずに未反応物が多く残留する場合があり、酸化亜鉛ナノ粒子の収率が低い方法が多い。
(2)水溶液中での反応では酸化亜鉛の結晶成長速度の制御が困難であり、100nm以下の粒径を有するナノ粒子を得る事が困難である。
(3)数ヶ月から数年程度の長期間に渡って溶液中に安定に酸化亜鉛ナノ粒子が分散したゾルを得る事が困難である。
(4)反応に用いる溶媒中の水分含有量などを厳密に制御する必要があり、反応操作が煩雑である。
本発明は、かかる事情に鑑みなされたものであって、低環境負荷であり非常に簡便な高収率の酸化亜鉛ナノ粒子分散溶液の製造方法および新規な酸化亜鉛ナノ粒子集合体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、鋭意研究の結果、水酸化亜鉛ゲルを中性溶液で、中低温加熱する非常に簡便な方法により、高い収率で酸化亜鉛ナノ粒子が安定に分散したゾルを製造する方法を開発した。さらに、反応条件を調整することによって、酸化亜鉛ナノ粒子の粒径を制御し、さらに酸化亜鉛ナノ粒子が球状に凝集した特異な構造体を形成した。本発明は、以下のようにして構成して、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0005】
(1)課題1の解決
請求項1により、酸化亜鉛の合成原料として酸化亜鉛に結晶化しやすい水酸化亜鉛を使用する事によって、他の亜鉛化合物から合成する場合よりも高収率で酸化亜鉛粒子を得る事ができる。
(2)課題2の解決
請求項1により、水酸化亜鉛の加熱処理に用いる溶液を2価以上の多価アルコールまたはそれらのアルキルエーテルまたはそれらの混合溶液もしくはそれらの水溶液もしくはそれらのアルコール溶液とすることで、溶液中の多価アルコール分子またはそれらのアルキルエーテル分子が亜鉛イオンに配位して、水酸化亜鉛から酸化亜鉛への反応速度が抑制されるために、粒径が100nm以下の酸化亜鉛ナノ粒子を得る事が可能となる。
(3)課題3の解決
請求項1により、水酸化亜鉛の加熱処理に用いる溶液を2価以上の多価アルコールまたはそれらのアルキルエーテルまたはそれらの混合溶液もしくはそれらの水溶液もしくはそれらのアルコール溶液とすることで、溶液中の多価アルコール分子またはそれらのアルキルエーテル分子が生成した酸化亜鉛ナノ粒子表面に配位し溶液中の分子との相互作用することで、粒子間の凝集が抑制される事が期待される。
(4)課題4の解決
請求項1により、水分子の存在により酸化亜鉛の生成反応が阻害されることのない水酸化亜鉛を原料物質として用いることによって、反応系内の水分含有量に敏感でない条件下で酸化亜鉛粒子の生成反応を行う事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に、図に示す本発明の実施形態(以下、単に本発明という)を説明する。しかし、本願発明はここに挙げる実施例によって何ら制限を受けるものではない。
【実施例1】
【0007】
図1は、本発明における製造方法を以下に詳細を説明する。
(1)硝酸亜鉛6水和物とアンモニア水溶液を混合して水酸化亜鉛ゲルを得る工程。
硝酸亜鉛6水和物2.97g(0.01mol)を蒸留水に溶解し全体積を100mlとし0.1mol/lの硝酸亜鉛水溶液100mlを調製した。次に濃アンモニア水(15mol/l)0.66mlを蒸留水に溶解し全体積を100mlとし0.1mol/lのアンモニア水100mlを調製した。このアンモニア水を先の硝酸亜鉛水溶液に加えると直ちに白色ゲル状の水酸化亜鉛の沈殿が生じた。この沈殿を遠心分離(3000r.p.m,5min)した後、蒸留水100ml中に分散し、先と同じ条件にて遠心分離を行った。更に蒸留水中に分散した後遠心分離の操作を行い水酸化亜鉛のゲル状沈殿中に含まれる未反応のアンモニウムイオン、硝酸イオンを除去した。また、この工程での洗浄操作が不十分であると、次の溶液中での加熱処理において安定なゾルを得ることはできない。
【0008】
(2)水酸化亜鉛ゲルをエチレグリコール中で分散する工程。
300mlビーカーにエチレングリコール100mlを入れ、さらに水酸化亜鉛のゲル状沈殿を加えガラス棒で攪拌し均一に分散した後、密栓をした。
【0009】
(3)分散した水酸化亜鉛ゲルを加熱して酸化亜鉛ナノ粒子分散ゾルを得る工程。(温度35℃の場合)
エチレングリコール中に水酸化亜鉛のゲル状沈殿が分散した溶液を、35℃に恒温に保たれている恒温槽中に入れ24時間静置した。これにより乳白色のゾルが得られた。得られたゾルは6ヶ月以上沈殿することなく安定な分散状態を保持した。
【0010】
(4)上記工程より得られる酸化亜鉛ナノ粒子分散ゾル、球状二次粒子の集合の評価。
得られたゾル中に含まれるナノ粒子についてそのキャラクタリゼーションを行うために、得られたゾル100mlに0.2mol/lのアンモニア水100mlを加えよく攪拌し、ゾル中に含まれる酸化亜鉛ナノ粒子を凝集沈殿させた。生成した沈殿を3000r.p.m.で5min遠心分離を行い分離した後、沈殿に残留しているエチレングリコールおよびアンモニウムイオンを除去洗浄するために、該沈殿を蒸留水100ml中に分散し更に先と同様の条件にて遠心分離を行った。
【0011】
得られた沈殿を、35℃で12時間静置して乾燥し得られた粉体についてX線回折測定装置(ブルカーエイエックスエス製 MPX18)によって銅ターゲットを用い、加速電圧40kV、電流200mAの測定条件で測定した。その結果を図2に示す。本X線回折パターン中に見られるピークはすべて酸化亜鉛によるものである。これより、水酸化亜鉛をエチレングリコール中で35℃で24時間加熱処理することによって酸化亜鉛に結晶化したことがわかる。
【0012】
また、得られた粉体に含まれる酸化亜鉛粒子の形態を電解放射型走査型電子顕微鏡(日本電子製 JSM)により加速電圧5kV、エミッション電流12μAの条件で観察した。図3にその像を示す。平均粒径が10nmの一次粒子が球状に集合して平均直径が160nm程度の球状の二次粒子を形成している事が分かった。
【0013】
さらに、ガラス真空ラインを用い、本実施例で得られた酸化亜鉛粉体を1mPaの真空過で110℃,2時間、前処理した後、容量法にて77Kでの窒素吸着等温線の測定を行った。測定から得られた等温線をBET法にて解析した所、比表面積が39.7m2/gである事が分かった。
【0014】
加えて、BJH法にて細孔径分布解析を行った結果を図4に示した。この結果より本実施例において得られた球状の酸化亜鉛ナノ粒子集合体中には5nmから27nmのメソ孔領域の細孔を多く有する事が分かった。この細孔は図3のFE-SEM像から一次粒子の粒子間細孔と二次粒子同士の間の粒子間細孔からなるものと推測される。従って、本実施例より得られた球状酸化亜鉛ナノ粒子集合体中は、一次粒子である酸化亜鉛ナノ粒子が密に凝集した構造ではなく、酸化ナノ粒子が亜鉛疎に凝集し粒子間細孔を多く含む新規な集合構造を形成している事が分かった。
【0015】
以上から、エチレグリコール中で、35℃以上24時間で加熱処理することにより、図3に示すように、少なくとも、平均粒径15nm以下の酸化亜鉛一次粒子が集合した粒径が50nmから200nmの球状二次粒子が凝集した特異な集合体より形成された酸化亜鉛ゾルを得ることができた。
【実施例2】
【0016】
以下に、本発明の第2の実施例を述べる。実施例1に示された方法と同じ方法により水酸化亜鉛のゲル状沈殿を調製した後、エチレングリコール中に分散した。そして、この溶液を75℃の空気恒温相中で24時間静置した。これにより、透明で僅かに白色に着色したゾルが得られた。またこのゾルは6ヶ月以上室温で沈殿を生成することなく安定であった。このゾルに実施例1と同様に0.2mol/lのアンモニア水100mlを加えてゾル中の粒子を凝集沈殿した後遠心分離し蒸留水で洗浄し乾燥することによって粉体を得た。
【0017】
得られた粉体について、実施例1と同様にX線回折パターンを測定した。図5にそのパターンを示す。
本図中に見られるピークはすべて酸化亜鉛によるものである。これより、水酸化亜鉛をエチレングリコール中で75℃で24時間加熱処理することによっても酸化亜鉛に結晶化したことがわかった。
【0018】
得られた粉体に含まれる酸化亜鉛粒子の形態を、実施例1と同様の条件で電解放射型走査型電子顕微鏡で観察した。図6にその像を示す。平均粒径が20nmの酸化亜鉛ナノ粒子が生成している事が分かった。また、実施例1において35℃で加熱処理した場合とは異なり、75℃で加熱処理した本実施例においては一次粒子である酸化亜鉛ナノ粒子が球状に集合した二次粒子の形成は見られなかった。
(比較例1)
【0019】
以下に、上記実施例で用いたエチレングリコールに代えて、蒸留水中に水酸化亜鉛を分散した比較例を述べる。
実施例1に示された方法と同じ方法により水酸化亜鉛のゲル状沈殿を調製した後、蒸留水100ml中に水酸化亜鉛を分散した。次に、この溶液を75℃の空気恒温相中で24時間静置した。これにより、白色の沈殿物が得られた。この沈殿物を遠心分離し蒸留水で洗浄した後乾燥することによって粉体を得た。
【0020】
得られた粉体について実施例1と同様にX線回折パターンを測定した所酸化亜鉛による回折ピークのみが見られた事から本実施例において酸化亜鉛が得られる事が分かった。得られた酸化亜鉛粒子の形態を実施例1と同様の条件にて電解放射型走査型電子顕微鏡で観察した。図7にその像を示す。エチレングリコールを溶媒として用いた実施例2とは全く異なり針状の粒子が得られた。また長軸方向の平均長さは4.5μmでありナノ粒子は生成しなかった。
(比較例2)
【0021】
以下に、上記実施例で用いたエチレングリコールに代えて、エタノール中に水酸化亜鉛を分散した比較例を述べる。
実施例1に示された方法と同じ方法により水酸化亜鉛のゲル状沈殿を調製した後、エタノール100ml中に水酸化亜鉛を分散した。次に、この溶液を75℃の空気恒温相中で24時間静置した。これにより、白色の沈殿物が得られた。この沈殿物を遠心分離し蒸留水で洗浄した後乾燥することによって粉体を得た。得られた粉体について実施例1と同様にX線回折パターンを測定した所酸化亜鉛による回折ピークのみが見られた事から本実施例において酸化亜鉛が得られる事が分かった。得られた酸化亜鉛粒子の形態を実施例1と同様の条件にて電解放射型走査型電子顕微鏡で観察した。図8にその像を示す。平均粒径が35nmの酸化亜鉛ナノ粒子が生成している事がわかった。しかし本実施例によりエタノール中に水酸化亜鉛を分散して加熱処理を行って得られた酸化亜鉛ナノ粒子は凝集しビーカーのそこに沈殿した状態でしか得られず、溶液中に安定に分散したゾルを得ることはできなかった。
(比較例3)
【0022】
以下に、本発明に係る水酸化亜鉛をエチレングリコールに分散した例と、エタノールまたは水に分散した比較例における相違を述べる。 実施例1から4に示された方法により、水酸化亜鉛をエチレングリコール、エタノール、水の各溶液中に分散し24時間加熱処理して得られた酸化亜鉛粒子分散溶液中に含まれる亜鉛イオン(Zn2+)濃度を測定した。具体的には以下のような実験操作を行った。
酸化亜鉛粒子が分散している溶液100mlに0.2mol/lのアンモニア水を100ml加え溶液に含まれている酸化亜鉛粒子を凝集沈殿させた後、3000 r.p.m.で5分間遠心分離し酸化亜鉛粒子を完全に沈殿させた。上澄みの溶液を5ml採取し、pH6の酢酸-酢酸ナトリウム緩衝液を10ml加えさらにキシレノールオレンジの0.001mol/l 10%エタノール水溶液を3ml加えさらに蒸留水を加えて全体の体積を50mlにした。
【0023】
この溶液の波長570nmにおける吸光度を測定し溶液中の亜鉛イオン濃度を求めた。図9に加熱処理温度と溶液中の亜鉛イオン濃度の関係を示す。エチレングリコールを用いた場合の方が蒸留水やエタノールを溶液として用いた場合よりも亜鉛イオン濃度が高かった。これは、エチレングリコール分子の亜鉛イオンに対する錯生成定数が大きく水分子やエタノール分子が配位する場合よりも安定な錯体を形成するためであると考えられる。従って、エチレングリコールを用いた場合は、亜鉛イオンと安定な錯体を形成するために、酸化亜鉛粒子の成長速度が遅くなり粒径の小さなナノ粒子が得られたと考えられる。また、酸化亜鉛ナノ粒子表面にエチレングリコール分子が配位する事によって分酸溶液との相互作用が大きくなり安定なゾルを形成したと考えられる。
【0024】
なお、実施例1および2に示されたエチレグリコール中での加熱温度による酸化亜鉛ナノ粒子の集合状態の違いは、これは、上記比色定量分析の結果から、エチレグリコール中に溶解している亜鉛イオンから酸化亜鉛粒子の核が生成する際の生成機構の相違によると推測される。従って、加熱温度または加熱時間等を設定することで、様々な空隙率を有する酸化亜鉛二次粒子集合体を製造することが可能である。
【実施例3】
【0025】
以下に、本発明の第3の実施例を述べる。実施例1に示された方法と同じ方法により水酸化亜鉛のゲル状沈殿を調製した後、2価の多価アルコールであるエチレングリコールのモノメチルエーテルである2-メトキシエタノール100ml中に水酸化亜鉛を分散した。次に、この溶液を75℃の空気恒温相中で24時間静置した。これにより、乳白色の安定なゾルが得られた。
【0026】
このゾルに実施例1と同様に0.2mol/lのアンモニア水100mlを加えてゾル中の粒子を凝集沈殿した後遠心分離し蒸留水で洗浄乾燥することによって粉体を得た。得られた粉体について実施例1と同様にX線回折パターンを測定した所、酸化亜鉛による回折ピークのみが見られた事から本実施例において酸化亜鉛が得られる事が分かった。得られた酸化亜鉛粒子の形態を実施例1と同様の条件にて電解放射型走査型電子顕微鏡で観察した。図10にその像を示す。平均粒径が32nmの酸化亜鉛ナノ粒子が生成している事がわかった。また得られたゾルは6ヶ月以上安定に沈殿することなく分散状態を保持した。これより多価アルコールであるエチレングリコールなどのグリコール類だけでなくそのアルキルエーテルを溶液として用いても酸化亜鉛ナノ粒子が安定に分散したゾルが得られる事が明らかとなった。
【0027】
本発明による方法で製造された酸化亜鉛ナノ粒子の分散されたゾルあるいは酸化亜鉛ナノ粒子の二次粒子集合体は極めて安定しているので、例えば、ディップコーティング、スピンコーティング、スプレー等の薄膜形成方法で、例えば、ソーダガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等の板)の表面に均一にコーティングして、所望の厚さの膜を基板上に生じさせる。このゲルを焼成して酸化亜鉛の結晶を生成させ、液晶用基板電極、エレクトロクロミック用電極、太陽電池用電極等に実施することができる。
【0028】
なお、上記実施例において、硝酸亜鉛6水和物とアンモニア水溶液を混合して水酸化亜鉛ゲルを得たがこれに限定されるものではなく、亜鉛化合物は、例えば、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、およびそれらの水和物等を用いることができる。塩基性溶液に含まれる塩基もアンモニアだけではなく。水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム、水酸化カルシウム、水酸化セシウム、ヒドロキシテトラメチルアンモニウムを用いることができる。
【0029】
また、多価アルコールとしては、エチレグリコールを用いた。上記発明の効果で述べたように、二個のヒドロキシ基が異なる炭素原子(一般には隣接した炭素原子だが、必ずしも限定しない)に結合した二価アルコール、またはそれらのアルキルエーテルもしくはそれらの混合溶液もしくはそれらの水溶液もしくはそれらのアルコール溶液とすることで、溶液中の多価アルコール分子またはそれらのアルキルエーテル分子が亜鉛イオンに配位して、水酸化亜鉛から酸化亜鉛への反応速度が抑制されるために、粒径が100nm以下の酸化亜鉛ナノ粒子を得る事が可能となる。従って、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、グリセリン等も用いることができる。
【0030】
さらに、上記溶液中で分散した水酸化亜鉛を加熱処理して酸化亜鉛ナノ粒子およびそれらが分散した溶液を得る工程において、加熱温度および加熱時間は、用いる溶液の沸点と反応速度との関係において得ようとする二次粒子の空隙率を考慮しつつ適宜に選択する。加熱温度は、望ましくは15℃以上180℃以下であり、中低温で可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上説明したように、本発明は、中性溶液中で、中低温で加熱する、低環境負荷であり非常に簡便な高収率の製造方法を提供することができるので、光触媒、各種の表示装置のための透明導電性薄膜、蛍光体、色素増感太陽電池用電極材料、あるいはp型酸化物半導体の製造など、様々な応用が可能である。また、様々な空隙率を有する酸化亜鉛二次粒子集合体を製造することが可能となり、ドーピング可能が飛躍的に高まるので、酸化アルミニウム(Al2O3)をドーピングして、大型液晶の透明電極、ガス放電型カラー表示パネルの陰極構造などに好都合である。さらに、ビスマス、コバルト、マンガン、アンチモン、ニッケル、クロム、スズ、アルミニウム、チタンなどの金属元素または半金属元素でドープして、バリスタ等の電子部品を製造することができ、極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の製造方法。
【図2】本発明の製造方法により水酸化亜鉛をエチレングリコール中で35℃,24時間加熱処理して得られた酸化亜鉛ナノ粒子粉体のX線回折パターン
【図3】本発明の球状二次粒子が凝集した集合体のFE-SEM画像。
【図4】本発明の球状二次粒子の77Kにおける窒素吸着等温線をBJH法により解析して求めた細孔径分布曲線。
【図5】本発明の製造方法により水酸化亜鉛をエチレングリコール中で75℃,24時間加熱処理して得られた酸化亜鉛ナノ粒子粉体のX線回折パターン。
【図6】本発明の製造方法により水酸化亜鉛をエチレングリコール中で75℃,24時間加熱処理して得られた酸化亜鉛ナノ粒子粉体のFE-SEM像。
【図7】本発明の製造方法により水酸化亜鉛を蒸留水中で75℃,24時間加熱処理して得られた酸化亜鉛ナノ粒子粉体のFE-SEM像。
【図8】本発明の製造方法により水酸化亜鉛をエタノール中で75℃,24時間加熱処理して得られた酸化亜鉛ナノ粒子粉体のFE-SEM像。
【図9】本発明の製造方法により水酸化亜鉛を蒸留水中、エタノール中、エチレングリコール中で24時間加熱処理して得られた酸化亜鉛粒子分酸溶液中の亜鉛イオン濃度と加熱処理温度の関係。
【図10】本発明の製造方法により水酸化亜鉛を2-メトキシエタノール中で75℃,24時間加熱処理して得られた酸化亜鉛ナノ粒子粉体のFE-SEM像。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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