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明細書 :振動抑制装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4528974号 (P4528974)
公開番号 特開2007-146911 (P2007-146911A)
登録日 平成22年6月18日(2010.6.18)
発行日 平成22年8月25日(2010.8.25)
公開日 平成19年6月14日(2007.6.14)
発明の名称または考案の名称 振動抑制装置
国際特許分類 F16F  15/03        (2006.01)
F16F   6/00        (2006.01)
FI F16F 15/03 G
F16F 6/00
請求項の数または発明の数 8
全頁数 10
出願番号 特願2005-339621 (P2005-339621)
出願日 平成17年11月25日(2005.11.25)
審査請求日 平成19年3月12日(2007.3.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人 千葉大学
発明者または考案者 【氏名】早乙女 英夫
審査官 【審査官】間中 耕治
参考文献・文献 特開2005-075145(JP,A)
調査した分野 F16F 15/03
F16F 6/00
特許請求の範囲 【請求項1】
周方向に交互に磁極を異ならせて形成した円板状の第1の永久磁石と、
該第1の永久磁石に対向して配置され、両面において周方向に交互に磁極を異ならせて形成した円板状の第2の永久磁石と、
前記第1の永久磁石との間に第2の永久磁石が配置されるよう前記第1の永久磁石に回転軸を介して固定され、かつ、両面において周方向に交互に磁極を異ならせて形成した円板状の第3の永久磁石と、
前記第2の永久磁石との間に第3の永久磁石が配置されるよう前記第2の永久磁石と固定され、かつ、周方向に交互に磁極を異ならせて形成した円板状の第4の永久磁石と、
前記第2の永久磁石と前記第4の永久磁石を固定し、かつ、前記第2の永久磁石と前記第4の磁石を軸方向に移動自在に支持する支持手段と、
前記第1の永久磁石と回転軸を介して接続され、前記第1の永久磁石及び第3の永久磁石を同じ角度回転させる電動機と、
前記電動機を制御する電動制御装置と、を有する振動抑制装置。
【請求項2】
前記第1の永久磁石と前記第2の永久磁石間に働く磁力の斥力又は引力の大きさを、前記第1の永久磁石を回転させることにより制御して振動を抑制することを特徴とする請求項1記載の電動制御装置。
【請求項3】
前記第1の永久磁石乃至前記第4の永久磁石は、それぞれN極に磁化された部分とS極に磁化された部分とを少なくとも一つずつ有することを特徴とする請求項1記載の振動抑制装置。
【請求項4】
前記電動機制御装置は、
前記第2の永久磁石の軸方向への変位を計測する変位計測手段と、
該変位計測手段が計測した前記第2の永久磁石の変位に基づき前記電動機を駆動して前記第1の永久磁石の回転を制御する回転制御手段と、を有することを特徴とする請求項1記載の振動抑制装置。
【請求項5】
周方向に交互に磁極を異ならせて形成した円板状の第1の永久磁石と、
該第1の永久磁石に対向して配置され、両面において周方向に交互に磁極を異ならせて形成した円板状の第2の永久磁石と、
前記第1の永久磁石との間に第2の永久磁石が配置されるよう前記第1の永久磁石に回転軸を介して固定され、かつ、両面において周方向に交互に磁極を異ならせて形成した円板状の第3の永久磁石と、
前記第2の永久磁石との間に第3の永久磁石が配置されるよう前記第2の永久磁石と固定され、かつ、周方向に交互に磁極を異ならせて形成した円板状の第4の永久磁石と、
前記第1の永久磁石と前記第3の永久磁石を固定し、かつ、前記第1の永久磁石と前記第3の磁石を電動機とともに軸方向に移動自在に支持する支持手段と、
前記第1の永久磁石と回転軸を介して接続され、前記第1の永久磁石及び第3の永久磁石を同じ角度だけ回転させる電動機と、
前記電動機を制御する電動制御装置と、を有する振動抑制装置。
【請求項6】
前記第1の永久磁石と前記第2の永久磁石間に働く磁力の斥力又は引力の大きさを、前記第1の永久磁石を回転させることにより制御して振動を抑制することを特徴とする請求項5記載の電動制御装置。
【請求項7】
前記第1の永久磁石乃至前記第4の永久磁石は、それぞれN極に磁化された部分とS局に磁化された部分とを少なくとも一つずつ有することを特徴とする請求項5記載の振動抑制装置。
【請求項8】
前記電動機制御装置は、
前記第2の永久磁石の軸方向への変位を計測する変位計測手段と、
該変位計測手段が計測した前記第2の永久磁石の変位に基づき前記電動機を駆動して前記第1の永久磁石の回転を制御する回転制御手段と、を有することを特徴とする請求項5記載の振動抑制装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、振動抑制装置に関し、特に2点間の相対位置変動を抑制する振動抑制装置に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
機械的なバネ及びオイルダンパー等を有して構成される振動抑制装置が発生する振動抑制力は、変動または振動する2点間の相対的変位及び相対速度により決定され、バネ及びオイルダンパーなどの受動的な作用によりその機能を果たしており、この原理を用いた振動抑制装置は、一般の車両用サスペンションなどに広く利用されている。
【0003】
一方、永久磁石及び電磁石とその駆動のための電源装置から構成されるリニア電磁アクチュエータなどを利用した振動抑制装置があり、電源装置から供給する電力により振動抑制力を発生させ、能動的にその機能を実現している。なおこれに関する従来の技術としては下記特許文献1に記載されている。

【特許文献1】特開2005-82149号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一般の車両用サスペンション等に利用されている受動的な手段による振動抑制装置では、振動抑制に対する時間応答が十分でないという課題がある。
【0005】
また、例えば上記特許文献1に記載の電磁石を利用した能動型振動抑制装置では、十分な時間応答が得られる反面、定常的に駆動電力を要するという問題がある。すなわち、能動型振動抑制装置が一定の力を出力する場合においても、磁力を発生させるための電磁石には直流電流を通流する必要があり、電磁石の巻線には銅損として定常的な損失が発生し、その駆動電源装置も常に動作状態としなければならず、電源装置の損失が常に生ずるという問題がある。
【0006】
以上、本発明は、振動抑制に対する応答が十分速く、定常的な電力損失を防止することが可能な振動抑制装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る振動抑制装置は、周方向に交互に磁極を異ならせて形成した第1の永久磁石と、第1の永久磁石に対向して配置され、周方向に交互に磁極を異ならせて形成した第2の永久磁石と、第2の永久磁石を軸方向に移動自在に支持する支持手段と、第1の永久磁石と回転軸を介して接続され、第1の永久磁石を回転させる電動機と、電動機を制御する電動機制御装置と、を有することを特徴とする。このようにすることで、第1の永久磁石と第2の永久磁石間に働く磁力の斥力又は引力の大きさを、第1の永久磁石を回転させることにより抑制し、振動を抑制させることが可能となる。また本発明の能動型振動抑制装置は、永久磁石間に働く磁力によって振動抑制力を発生させているので、電磁石によって磁力を発生させる場合に必要な電磁石駆動電源を設ける必要が無く、さらに、電磁石の定常的損失が発生しない利点がある。
【0008】
また、本発明に係る振動抑制装置において、第1の永久磁石及び第2の永久磁石は、それぞれN極に磁化された部分とS極に磁化された部分とを一つずつ有することが望ましい。このようにすることで磁力による斥力又は引力を最も強くすることが可能となる。
【0009】
また、本発明に係る振動抑制装置において、電動機制御装置は、第2の永久磁石の軸方向への変位を計測する変位計測手段と、変位計測手段が計測した第2の永久磁石の変位に基づき電動機を駆動して第1の永久磁石の回転を制御する回転制御手段と、を有することが望ましい。このようにすることで、第1の永久磁石と第2の永久磁石との間に働く斥力または引力を能動的に制御することができ、より安定的に振動を抑制することができるようになる。
【0010】
また、本発明に係る振動抑制装置は、周方向に交互に磁極を異ならせて形成した第1の永久磁石と、第1の永久磁石に対向して配置され、周方向に交互に磁極を異ならせて形成した第2の永久磁石と、第1の永久磁石を軸方向に移動自在に指示する支持手段と、第1の永久磁石と回転軸を介して接続され、第1の永久磁石を回転させる電動機と、電動機を制御する電動機制御装置を有することを特徴とする。このようにすることで、第1の永久磁石と前記第2の永久磁石間に働く磁力の斥力又は引力の大きさを、第1の永久磁石を回転させることにより制御して振動を抑制することができるようになる。特に、この場合、第1の永久磁石側で軸方向変位移動及び回転が可能であるため装置の設置容易性が向上する。
【0011】
また本発明に係る振動抑制装置において、第1の永久磁石及び第2の永久磁石は、それぞれN極に磁化された部分とS極に磁化された部分とを一つずつ有することが望ましい。このようにすることで磁力による斥力又は引力を最も強くすることが可能となる。
【0012】
また本発明に係る振動抑制装置において、電動機制御装置は、第1の永久磁石の軸方向への変位を計測する変位計測手段と、変位計測手段が計測した第1の永久磁石の変位に基づき電動機を駆動して第1の永久磁石の回転を制御する回転制御手段と、を有することが望ましい。このようにすることで、第1の永久磁石と第2の永久磁石との間に働く斥力または引力を能動的に制御することができ、より安定的に振動を抑制することができるようになる。
【発明の効果】
【0013】
以上により、振動抑制に対する応答が十分速く、定常的な電力損失を防止することが可能な能動型振動抑制装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る能動型振動抑制装置について図面を用いて説明する。ただし、本発明は多くの異なる態様による実施が可能であり、以下に示す実施の形態に限定されるわけではない。
【0015】
(実施形態1)
図1は、本実施形態にかかる振動抑制装置(以下「本振動抑制装置」という。)の概略を示す図である。本振動抑制装置は、周方向に交互に磁極を異ならせて形成した第1の永久磁石1と、第1の永久磁石1に対向して配置され、周方向に交互に磁極を異ならせて形成した第2の永久磁石2と、第2の永久磁石2を軸方向に移動自在に支持する支持手段と、第1の永久磁石1と回転軸を介して接続され、第1の永久磁石を回転させる電動機3と、電動機3を制御する電動機制御装置と、を有している。
【0016】
本実施形態に係る第1の永久磁石1は、円板形状であって、周方向に交互に磁極が異なっており、図1で示す形態の例では、半円毎にS極に磁化された部分とN極に磁化された部分とが一つずつ形成されている。なおここで周方向とは、周に沿った方向(図1の場合は円周に沿って進行する方向)を言い、周方向に異なっているとは、一周する間に、S極に磁化された部分とN極に磁化された部分が交互に現れるという意味である。また本実施形態では円板形状としているが、回転できる平板状である限りにおいて特段に制限されるものではなく、三角形状、四角形状等の多角形状等も可能ではある。但し、回転による制御の容易性を考慮すると円形状であることが最も好ましい。また、本実施形態においては、上述のとおり永久磁石の磁極は半円状で円形面に対して2極形成されていることを特徴の一つとしている。2極以上有することはもちろん可能ではあるが、4極以上の多極とすると、磁力線の及ぶ距離が2極のときに比較して短くなるため2極であることが最も望ましい。
【0017】
第2の永久磁石は、第1の永久磁石に対向して配置され、ほぼ第1の永久磁石と同様な構成を有する。但し、第1の永久磁石、第2の永久磁石のうち対向する面には磁極を有する部分が存在していることが必要である。対向する永久磁石の磁極の関係については後述するが、回転させる角度に応じて、対向する永久磁石の磁極を有する部分が同極同士又は異極同士の部分を有するように設定しておくことが必要なためである。例えば図1の例では、第1の永久磁石1のS極は第2の永久磁石2のS極と、第1の永久磁石1のN極は第2の永久磁石2のN極と夫々対向しており、第1の永久磁石1を180度回転させると第1の永久磁石1のS極は第2の永久磁石2のN極と、第1の永久磁石1のN極は第2の永久磁石2のS極と対向することとなる。また、第1の永久磁石及び第2の永久磁石は永久磁石のみで構成しても良く、対向する面とは反対の面に鉄などの磁性体からなるヨークを配置しても良い。但し、ヨークを設けると引力が増加し、斥力が減少するため、斥力の強さを考慮する場合はヨークを設けない方がより好ましい。
【0018】
また、本振動抑制装置の第1の永久磁石1には、回転軸3aが接続され、この回転軸3aの回転に同期して第1の永久磁石が回転する構成となっている。また回転軸3aには電動機3が接続されており、電動機は後述する電動機制御手段により回転制御を受け、第1の永久磁石1を回転させる。
【0019】
また第2の永久磁石には、軸方向の往復直線運動を支持するための指示手段であるリニアレール4が設置されている。ここで軸方向とは第1の永久磁石及び第2の永久磁石が対向する面に対して垂直な方向と平行な軸をいい、より具体的には第1の永久磁石1に接続される回転軸3aに対して平行な軸を指す。本振動抑制装置においては、第1の永久磁石1が回転するため、第2の永久磁石は回転しないことが極めて望ましい。図2にリニアレール4の詳細を示す。
【0020】
図2は、第2の永久磁石2とリニアレール4の詳細を示すものである。図2(A)は、第2の永久磁石を正面から見た場合の正面図を、図2(B)はリニアレール4を、第2の永久磁石2を含む面で切断した場合における部分断面図を示す。
【0021】
リニアレール4は、第2の永久磁石に固定される突起5と、この突起5を収め、この突起及び第2の永久磁石を軸方向に移動可能とする筐体7と、突起5及び筐体7との間に、移動を円滑に行わせるための複数のベアリングボール6と、を有して構成されている。これにより第2の永久磁石2は軸方向に移動可能とするとともに回転移動を抑制することができる。
【0022】
次に、本振動抑制装置の動作について説明する。本振動抑制装置は、第1の永久磁石1と第2の永久磁石2の対向する磁極が同極となっている場合に第1の永久磁石1と第2の永久磁石2との間に働く斥力と、第1の永久磁石1と第2の永久磁石2の対向する磁極が異極となっている場合に第1の永久磁石1と第2の永久磁石2との間に働く引力とを利用する。
【0023】
ここで、第1の永久磁石1と第2の永久磁石2との間、即ち、図1に示したPとQとの間に外力がかかり、これによる両者間の相対的変位及び振動を抑制することを目的とする場合を例に説明する。まず、例えばPとQとの間に第1の永久磁石1と第2の永久磁石とが近づくような方向の外力が加わった場合、本振動抑制装置は第1の永久磁石1を回転さて第2の永久磁石2における対向する磁極が同極同士となるように回転する。このようにすることで、磁力による斥力を発生させ、第1の永久磁石1と第2の永久磁石2との間に外部から永久磁石同士を近づける力が生じた場合であっても、位置の変動を抑え、即ち振動を抑えることができるようになる。一方、PとQとの間に第1の永久磁石1と第2の永久磁石とが離れるような方向の外力が加わった場合、本振動抑制装置は第1の永久磁石1を回転させて第2の永久磁石2における対向する磁極が異極同士となるように設定する。このようにすることで、第1の永久磁石1と第2の永久磁石2との間に外部から離れる力が生じた場合であっても、磁力による引力を発生させ、位置の変動を抑え、即ち振動を抑えることができるようになる。なお本振動抑制装置において、PとQとの間に外力がかかっていない状態においては、回転の調節により引力及び斥力が生じないよう調節しておくことが可能であるが、常にPとQとの間に一定の外力が加わった状態でつりあわせたい場合は、引力若しくは斥力が一定となる状態に第1の永久磁石の回転角を調整しておくことが有用である。
【0024】
なお、これらの斥力及び引力を生ずる磁力の大きさとしては、第1の永久磁石1の回転角度によって連続的に変化させることができ、また、この磁力の大きさは、第1の永久磁石1と第2の永久磁石2との相対的変位にも依存するため、磁力は正負の符号を含めて第1の永久磁石1の回転角度と、第1の永久磁石1と第2の永久磁石2との相対変位の両者の関数として特性づけることができる。例えば、2つの直径80mmの円形永久磁石間に働く磁力として、それらの距離が15mmのとき、磁石間力は200Nに及ぶことが実測されている。したがって、想定される引力、斥力に応じて磁石の面積などを設定することが適宜可能であり、特段に限定されるわけではない。
【0025】
なおまた、上記の永久磁石の回転制御は特に限定されるわけではないが、具体的には変位計測手段、回転制御手段により構成することができる。図3に本実施形態にかかる電動機制御装置における機能ブロック図を示す。
【0026】
図3に記載の機能ブロック図によると、本振動抑制装置の電動機制御装置は、第1の永久磁石1と第2の永久磁石2の間の距離の変位を計測する変位計測手段と、この変位計測手段が計測した変位に基づき第1の永久磁石の回転を前記電動機を駆動することにより制御する電動機制御手段と、を有している。なおこれら手段は、コンピュータを用い、その記録媒体に格納されたプログラムなどを実行することで実現することもできるし、基板に回路を配置した回路基板により実現することも可能である。
【0027】
まず、変位計測手段は、第1の永久磁石1及び第2の永久磁石2との間において定めた基準の位置から第2の永久磁石2がどの程度軸方向に移動しているのかを計測し、その結果を変位計測データとして回転制御手段に出力する。そして回転制御手段は、この変位計測データに基づき第1の永久磁石1が回転すべき角度のデータ(角度データ)を算出し、この角度データを出力し、電動機3を介して第1の永久磁石1を回転させる。この操作を繰り返すことで詳細な回転制御、振動抑制が可能となる。
【0028】
なお本回転制御手段は、第1の永久磁石1と第2の永久磁石2との間の距離が許容できる範囲外になった場合に角度データを算出し、電動機を制御する構成とすることもできる。より具体的には、例えばPIDによる制御により実現が可能であり、変位計測データに基づき、予め設定しておいた変位変動の許容値との偏差が最小となるように、電動機3に電流を通流して第1の永久磁石1の角度を操作することで実現できる。なお、本電動機制御手段は、上記手段に加え、第1の永久磁石1の角度を検出する手段や、電動機電流を計測する手段があると、より高速な制御が可能となる。
【0029】
電動機3の駆動には電源を要し、電動機駆動電力が必要であるが、常時電力供給を必要とする電磁石を利用した電磁アクチュエータと異なり、電動機3の回転時のみ電力を供給し、また、その電力は磁力発生には使用されないので、高効率の能動型振動抑制装置となっている。さらに、電動機3の制動時に電力回生が可能であり、また、振動を発生させる外力を利用して発電する発電機として電動機3を機能させることもその回転角度制御により可能で、これらにより、電動機駆動電源の正味の出力電力を小さくすることができる。
【0030】
以上により、振動抑制に対する応答が十分速く、定常的な電力損失を防止することが可能な能動型振動抑制装置を提供することができる。
【0031】
(実施形態2)
本実施形態は、実施形態1と指示手段が設けられている位置が異なり、それ以外はほぼ実施形態1と同様である。具体的には、実施形態1においては、第2の永久磁石2に支持手段であるリニアレール4が配置されていたが、本実施形態では第1の永久磁石1側に指示手段を設けていることを特徴とする。より具体的には電動機3の筐体に支持手段が設置されている。図4に本実施形態に係る振動抑制装置の概略図を示す。
【0032】
本振動抑制装置において、第2の永久磁石2は、第1の永久磁石1を基準としてその回転及び軸方向の運動が阻止されているが、実施形態1と同様、第1の永久磁石1と第2の永久磁石2との間の相対的変位を計測する変位計測手段と、第1の永久磁石1を回転させる回転手段とを有し、電動機3の出力回転軸の回転角度を制御することにより、実施形態1と同様な効果を達成することができる。また本振動抑制装置は、第2の永久磁石2側にリニアレール4等の支持手段を設けることができない場合や、第2の永久磁石2側に磁石の変位を検出する手段等を設けることなく一箇所に各装置を集約させて実施可能となるため、省スペース化などにおいて特に有効となる。
【0033】
(実施形態3)
本実施形態に係る振動抑制装置は、ほぼ実施形態1と同様な構成であるが、実施形態1における永久磁石を二つではなく多数にした場合の実施形態の例を示す。図5は本実施形態に係る振動抑制装置の概略断面図であって、永久磁石の数を4つにしているものである。
【0034】
本振動抑制装置は、4つの永久磁石を有し、第1の永久磁石10と第3の永久磁石11は互いに常に同じ角度だけ回転し(連動し)、及び、同じ距離を保つよう回転軸3aに固定されている。また第2の永久磁石12及び第4の永久磁石13は互いに連動用支持体14により固定されており、常に同じ距離を保つように(連動するように)固定されている。なお、本実施形態において第1の永久磁石10及び第3の永久磁石11の間には第2の永久磁石12が配置され、かつ、中心近傍に穴が設けられており、その穴を回転軸3aが接触することなく貫通している。更に第2の永久磁石12と第4の永久磁石13の少なくともどちらか一方には軸方向に移動自在に支持する支持手段であるリニアレールが設けられており、第2の永久磁石12及び第4の永久磁石13は回転しないよう固定されている。なおこれ以外の構成はほぼ実施形態1と同様であり、このようにすることで、大きな磁力が得られ、振動抑制力を増加させることができる。また、通常、円板状の永久磁石では、反対の面においても磁極が形成されているため、このようにカスケード状にすることにより、永久磁石の磁極をより有効に活用することができている。
【0035】
なお、本実施形態においては、第2の永久磁石12、第4の永久磁石13の少なくとも一方にリニアレールを設ける構造としているが、実施形態2と同様、第1の永久磁石10及び第3の永久磁石11の少なくとも一方にリニアレールを設けることも可能であり、同様な効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、自動車,自動二輪及び自転車などのサスペンション,その他の搬送機のサスペンション、建築物の耐震装置など、外力によって振動する2点間の振動抑制に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施形態1に係る振動抑制装置の概略図。
【図2】(A)第2の永久磁石2の正面図。(B)リニアレール近傍の部分拡大図。
【図3】実施形態1に係る振動抑制装置の動力機制御装置のブロック図。
【図4】実施形態2に係る振動抑制装置の概略図。
【図5】実施形態3に係る振動抑制装置の概略断面図。
【符号の説明】
【0038】
1…第1の永久磁石、2…第2の永久磁石、3…電動機、3a…回転軸、4…リニアレール、5…突起、6…ベアリングボール、7…筐体、8…電動機制御装置、10…第1の永久磁石、11…第3の永久磁石、12…第2の永久磁石、13…第4の永久磁石、14…支持体
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4