TOP > 国内特許検索 > 酸化亜鉛系発光素子 > 明細書

明細書 :酸化亜鉛系発光素子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5277430号 (P5277430)
公開番号 特開2008-244387 (P2008-244387A)
登録日 平成25年5月31日(2013.5.31)
発行日 平成25年8月28日(2013.8.28)
公開日 平成20年10月9日(2008.10.9)
発明の名称または考案の名称 酸化亜鉛系発光素子
国際特許分類 H01L  33/28        (2010.01)
C09K  11/00        (2006.01)
C09K  11/08        (2006.01)
C09K  11/54        (2006.01)
H05B  33/10        (2006.01)
H05B  33/14        (2006.01)
H01L  51/50        (2006.01)
H05B  33/28        (2006.01)
FI H01L 33/00 182
C09K 11/00 F
C09K 11/08 A
C09K 11/08 B
C09K 11/54 CPB
H05B 33/10
H05B 33/14 Z
H05B 33/22 C
H05B 33/28
請求項の数または発明の数 8
全頁数 10
出願番号 特願2007-086470 (P2007-086470)
出願日 平成19年3月29日(2007.3.29)
審判番号 不服 2012-011911(P2012-011911/J1)
審査請求日 平成21年11月9日(2009.11.9)
審判請求日 平成24年6月26日(2012.6.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504155293
【氏名又は名称】国立大学法人島根大学
発明者または考案者 【氏名】藤田 恭久
個別代理人の代理人 【識別番号】100116861、【弁理士】、【氏名又は名称】田邊 義博
参考文献・文献 特開2000-244015(JP,A)
特開2000-349333(JP,A)
特開2001-210865(JP,A)
特開2005-60145(JP,A)
特開2005-136156(JP,A)
特開2006-73338(JP,A)
調査した分野 H01L33/00
特許請求の範囲 【請求項1】
n型酸化亜鉛系薄膜と、酸化亜鉛粒子層と、が接合した構造を有し、
酸化亜鉛粒子層は、窒素濃度が1016cm-3~1020cm-3であり粒子サイズが50nm~500nmである酸化亜鉛の結晶粒子を焼結させることにより構成される層であることを特徴とする酸化亜鉛系発光素子。
【請求項2】
基板上に、第1の導電膜、n型酸化亜鉛系薄膜、酸化亜鉛粒子層、第2の導電膜が順に積層した構造を有し、
酸化亜鉛粒子層は、窒素濃度が1016cm-3~1020cm-3であり粒子サイズが50nm~500nmである酸化亜鉛の結晶粒子を焼結させることにより構成される層であることを特徴とする酸化亜鉛系発光素子。
【請求項3】
基板上に、第1の導電膜、n型酸化亜鉛系薄膜、酸化亜鉛粒子層、p型MgZn1-xO薄膜(ただしX=0~0.3)、第2の導電膜が順に積層した構造を有し、
酸化亜鉛粒子層は、窒素濃度が1016cm-3~1020cm-3であり粒子サイズが50nm~500nmである酸化亜鉛の結晶粒子を焼結させることにより構成される層であることを特徴とする酸化亜鉛系発光素子。
【請求項4】
基板が近紫外光または可視光に対して透明であり、第1の導電膜がn型酸化亜鉛系透明導電膜であり、第2の導電膜が金属膜であることを特徴とする請求項2または3に記載の酸化亜鉛系発光素子。
【請求項5】
基板が近紫外光または可視光に対して透明であり、第1の導電膜がn型酸化亜鉛系透明導電膜であり、第2の導電膜が酸化インジウム錫系透明導電膜であることを特徴とする請求項2または3に記載の酸化亜鉛系発光素子。
【請求項6】
第1の導電膜が金属膜であり、第2の導電膜が酸化インジウム錫系透明導電膜であることを特徴とする請求項2または3に記載の酸化亜鉛系発光素子。
【請求項7】
n型酸化亜鉛系薄膜がn型MgZn1-xO薄膜(ただしX=0~0.3)であることを特徴とする請求項1~6のいずれか一つに記載の酸化亜鉛系発光素子。
【請求項8】
酸化亜鉛粒子は、酸素ガスと窒素ガスとを含む混合ガスを雰囲気ガスとし、その中で亜鉛をアーク放電を用いて蒸発させることにより製造されたものであることを特徴とする請求項1~7のいずれか一つに記載の酸化亜鉛系発光素子。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化亜鉛系発光素子に関し、特に、窒素ドープされた安価に製造できるp型酸化亜鉛結晶粒子を用いた発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置の主流である蛍光灯は、放電管の中の水銀からの紫外光を蛍光体に照射して光らせるものであり、環境面や寿命に問題がある。これを解決するために窒化ガリウム系pn接合発光ダイオードと蛍光体を組み合わせた白色発光ダイオードの高効率化の研究が行われている。しかしながら、高価な単結晶基板を用いる必要があるために高コストとなり蛍光灯の置き換えは望めない。また、MIS型(Metal
Insulator Semiconductor)型の無機エレクトロルミネッセンス素子は大面積化が容易であるが高電圧が必要で寿命が短く、輝度が低くいために照明装置等に用いることはできなかった。
【0003】
一方、材料として安価である酸化亜鉛(ZnO)を用いた発光ダイオードも研究されている。ZnOは室温で他の半導体と異なり励起子(電子とホールが互いに束縛した状態)が存在できるため、励起子の再結合による近紫外域(約380nm)での極めて高効率な発光が可能である。しかし、p型ZnO薄膜の成長が難しいために実用的な発光素子は開発されていない。ZnOを用いた発光素子としては、たとえば、特開2001—210865号公報「発光素子およびその製造方法」では、ZnO微粒子を用いた発光素子に関する技術開示がある。この発明によれば、素子を低電圧の直流電流で容易に動作させることが可能となり、また、基板を任意に選択することもできるという利点がある。
【0004】

【特許文献1】特開2001—210865号公報
【特許文献2】特開2005-307151号公報
【特許文献3】特開2006-348244号公報
【特許文献4】特開2004-079518号公報
【特許文献5】特開2005-060145号公報
【非特許文献1】D.C.Look,D.C.Reynilds,C.W.Litton,R.L.Jones,D.B.Easonand G.Cantwell: APPLIED PHYSICS LETTERS Vol.81,No.10 02/09/2002
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では以下の問題点があった。
特開2001—210865号公報に開示される技術は、ZnO微粒子を用いるものであるが、これは、酸素欠損によるn型ZnO微粒子、または、n型不純物を含むZnO微粒子に基づくものである。n型ZnO微粒子では、発光素子に適したキャリア濃度と発光特性を持つような結晶性のよいものを作成することは困難であり、発光強度の強い発光素子を得にくいという問題点があった。
【0006】
また、上記特許は電子輸送層にZnO(n型ZnO)を使うことが前提であり、pn接合を形成してZnO微粒子で光らせるためにはZnOよりバンドギャップの大きなホール輸送層(たとえばp型GaN)が必要となる。ここで、p型GaN等のバンドギャップの大きなp型半導体は実際には単結晶基板上に高温で成長させる必要があり、コスト高を招来してしまう。また、n型ZnO微粒子は基本的に欠陥から電子を供給するため、結晶性が悪く、発光層には適さないといった原理的な問題点があった。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、低コストで大面積の発光素子を容易に作成できることを目的とする。すなわち、p型層に結晶性の良い窒素ドープされたZnO微粒子を用いて、スパッタ等で簡単に作出できるn型薄膜とともに、純粋なZnO系のLEDを安価に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の酸化亜鉛系発光素子は、n型酸化亜鉛系薄膜と、酸化亜鉛粒子層と、が接合した構造を有し、酸化亜鉛粒子層は、窒素濃度が1016cm-3~1020cm-3であり粒子サイズが50nm~500nmである酸化亜鉛の結晶粒子を焼結させることにより構成される層であることを特徴とする。
【0009】
なお、この大きさのZnO粒子であれば、構造はアモルファスでなく、結晶粒子は単結晶であるため、単に微粒子と呼ぶこともできる。以降では、適宜、微粒子または結晶粒子と称することとする。
【0010】
また、請求項2に記載の酸化亜鉛系発光素子は、基板上に、第1の導電膜、n型酸化亜鉛系薄膜、酸化亜鉛粒子層、第2の導電膜が順に積層した構造を有し、酸化亜鉛粒子層は、窒素濃度が1016cm-3~1020cm-3であり粒子サイズが50nm~500nmである酸化亜鉛の結晶粒子を焼結させることにより構成される層であることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に記載の酸化亜鉛系発光素子は、基板上に、第1の導電膜、n型酸化亜鉛系薄膜、酸化亜鉛粒子層、p型MgZn1-xO薄膜(ただしX=0~0.3)、第2の導電膜が順に積層した構造を有し、酸化亜鉛粒子層は、窒素濃度が1016cm-3~1020cm-3であり粒子サイズが50nm~500nmである酸化亜鉛の結晶粒子を焼結させることにより構成される層であることを特徴とする。
【0012】
また、請求項4に記載の酸化亜鉛系発光素子は、請求項2または3に記載の酸化亜鉛系発光素子において、基板が近紫外光または可視光に対して透明であり、第1の導電膜がn型酸化亜鉛系透明導電膜であり、第2の導電膜が金属膜であることを特徴とする。
【0013】
また、請求項5に記載の酸化亜鉛系発光素子は、請求項2または3に記載の酸化亜鉛系発光素子において、基板が近紫外光または可視光に対して透明であり、第1の導電膜がn型酸化亜鉛系透明導電膜であり、第2の導電膜が酸化インジウム錫系透明導電膜であることを特徴とする。
【0014】
また、請求項6に記載の酸化亜鉛系発光素子は、請求項2または3に記載の酸化亜鉛系発光素子において、第1の導電膜が金属膜であり、第2の導電膜が酸化インジウム錫系透明導電膜であることを特徴とする。
【0015】
また、請求項7に記載の酸化亜鉛系発光素子は、請求項1~6のいずれか一つに記載の酸化亜鉛系発光素子において、n型酸化亜鉛系薄膜がn型MgZn1-xO薄膜(ただしX=0~0.3)であることを特徴とする。
【0016】
また、請求項8に記載の酸化亜鉛系発光素子は、請求項1~のいずれか一つに記載の酸化亜鉛系発光素子において、酸化亜鉛粒子は、酸素ガスと窒素ガスとを含む混合ガスを雰囲気ガスとし、その中で亜鉛をアーク放電を用いて蒸発させることにより製造されたものであることを特徴とする。なお、この技術は本願発明者による特開2005-60145に詳細に記述されている。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ガラス等の基板上に、安価なp型のZnO結晶粒子とn型薄膜とによりpn接合を形成し、高輝度かつ大面積な近紫外-青色発光素子を提供できる。従来の高輝度発光ダイオードのように高価な単結晶基板が不要となるため安価であって、大面積化が容易であるため、一般照明装置の用途に対して、その効果は絶大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明者は、従来の緑色発光する結晶性の悪いZnO粒子が酸素欠損に起因してn型になることに着目し、高品質ZnO粒子の生成に取り組んだ。その結果、酸素ガスと窒素ガスとを含む混合ガスの雰囲気下で亜鉛をアーク放電により蒸発させると、粒子中に窒素をアクセプタとして取り込み、かつ、発光特性が単結晶薄膜に匹敵する高品質なZnO微粒子が生成できることを見出した。そして、この微粒子を用いた発光素子について鋭意検討した結果、高輝度で発光する発光素子の構造を見出した。本発明は、こうした知見に基づいて成されたものである
【0019】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一構成例を示した発光素子の模式図である。図において、発光素子100は、透明な基板101の上にZnO系透明導電膜102が形成され、その上にn型ZnO薄膜103が形成された構造を有している。そして、さらに、n型ZnO系薄膜103の上に、p型ZnO微粒子を単層並べ、これを焼結してZnO粒子層104が形成されている。ZnO系透明導電膜102とZnO粒子層104には電極105と電極106を設けている。
【0020】
発光素子100は、図示したように、基板101側が透明であるので面発光が可能である。
【0021】
ここで、透明な基板101としては、たとえば、ガラス基板や、樹脂基板を挙げることができる。本発明では、基板101とn型ZnO薄膜103の間に、低温形成可能なZnO系透明導電膜102を設けている。このため、基板の選択肢を広げることも可能となる。
【0022】
ZnO系透明導電膜102の例としては、ガリウムドープZnO膜を挙げることができ、電極105の形成のし易さと光の透過性の観点からその厚みは、たとえば、5%ガリウムドープZnO膜を用いる場合には、50~200nmとするのが好ましい。
【0023】
また、ZnO系透明導電膜102に入れる不純物としてはアルミニウム等のIII族元素やフッ素等のVII族元素(ハロゲン)であっても良い。また、ZnO系透明導電膜102として上記不純物を含んだMgZn1-xO混晶薄膜(ただしX=0~0.3)を用いることもできる。Mgの添加により透明導電膜102の吸収端が短波長側にシフトするためZnO粒子層104からの発光が吸収の吸収が少なくなる。なお、透明な基板101上へのZnO系透明導電膜102の形成方法は、マグネトロンスパッタリング法やCVD法を挙げることができるが、従来の既知の方法を種々採用することができる。
【0024】
n型ZnO系薄膜103の例としては、ガリウムまたはアルミニウムをドープしたZnOを用いることができる。本デバイスでは結晶性の良いZnO粒子層104が主な発光層として働くためn型ZnO系薄膜103は単結晶である必要はなく薄膜の形成方法としては、マグネトロンスパッタリング法やCVD法などの安価な方法で製造できる。n型ZnO薄膜は、単結晶、多結晶、非晶質、微粒子あるいはこれらを複合したもののうちのいずれをも用いることができる(他の例においても同様である)。
【0025】
また、n型ZnO系薄膜103としては、マグネトロンスパッタリング法やCVD法、あるいはZnO微粒子とMgO微粒子の混合粒子を塗布して焼結して成膜できるn型MgZn1-xO混晶薄膜(ただしX=0~0.3)を用いることもできる。ここでX=0の場合はn型ZnOとなる。
【0026】
一方、X=0でない場合にはn型ZnO系薄膜が、ZnOよりも禁制体幅の大きなもの(n型MgZn1-xOの薄膜)となり、ヘテロ接合が形成される。したがって、結晶性の良いZnO粒子層で電子とホールが再結合し、より発光効率を高くすることができる。なお、Xが0.3より大きくなるとZnO(ウルツ鉱型)、MgO(岩塩型)の結晶構造の違いから混晶が成り立たなくなるため発光素子としては不適である。
【0027】
ZnO粒子層104は、窒素濃度が1016cm-3~1020cm-3であり粒子サイズが50nm~500nmであるp型ZnOの結晶粒子が焼結した半導体層である。この半導体層は、単層、すなわち、ZnO微粒子が最密に一層充填されて焼結されているが、粒子が総て同一形状でなく、径にもばらつきが生じているのが通常であるため、おおよそ単層と見なせることをも含むものとする。なお、単層(または単層と見なせる層)であるほうが、欠陥が少なくなるため好適な発光特性を有する。また、ZnO微粒子同士は必ずしも最密に接合している必要はなく、離散的に分布していても、n型ZnO薄膜と焼結されていればpn接合として働く。
【0028】
このZnO微粒子は、酸素ガスと窒素ガスとを含む混合ガスを雰囲気ガスとし、その中で亜鉛を加熱して蒸発させることにより製造することができる。酸素ガスと窒素ガスを含む混合ガスは、たとえば空気と同様の4:1のモル比のガスを用いることができる。加熱して蒸発させる方法としては、たとえばアーク放電を用いる方法を挙げることができる。混合ガスの総圧は、ガス中蒸発法による場合にはアーク放電を生じ易くするため、たとえば、20×10[Pa]とすることができる。原料としては、濃度の高くない亜鉛インゴット、たとえば4N(純度99.99%)を用いることができ、このような純度の低い安価なインゴットであっても、高品質なp型ZnO粒子結晶が得られる。
【0029】
上記の方法により窒素ドープされたZnO結晶粒子が生成されるが、窒素濃度が1016cm-3~1020cm-3であり粒子サイズが50nm~500nmとなるように、適宜製造条件を設定するものとする。なお、単分散、すなわち、粒径が概ね揃うように制御して製造されたものであることが好ましい。窒素濃度を上記範囲とするのは、窒素濃度が1016cm-3未満であると、ホールの輸送が不十分となり、また、1020cm-3以上であると、欠陥を生成し、発光特性が悪化するからである。また、粒子サイズを上記範囲とするのは、粒子サイズが50nmを下回ると結晶表面が欠陥として働き発光特性が劣化し、500nm以上では、多結晶体になり、粒子の内部に欠陥を含むようになるため発光特性が悪化するためである。好ましくは100nm~500nmである。図2は、このようにして製造された窒素ドープ型ZnO結晶粒子の電子顕微鏡写真を示した図である。上記製法による結晶粒子は結晶性が極めてよく、MBE法(分子線エピタキシャル成長法)により窒素をドープした超高品質なZnO単結晶薄膜の発光特性(非特許文献1)と同程度の特性が得られる。
【0030】
ZnO粒子層104は、窒素ドープ型ZnO微粒子の分散液を用いて、n型ZnO薄膜103の上で塗布して焼結する。ZnO結晶粒子は通常は凝集した状態であるため、各種アルコール等の有機溶媒にボールミル法等を用いて分散させる。塗布に関しては、たとえば、ディップコート法やスピンコート法、印刷法、インクジェット法等を用いることができる。また、焼結温度としては、空気中で600℃×10minとすることができる。耐熱性のない基板を用いる場合には、パルスレーザで表面のみ焼結することもできる。
【0031】
電極として用いる金属は、金、アルミニウム、白金、チタン、ニッケルあるいはこれらの複合膜であってもよいし合金であってもよい。
【0032】
図3は、図1で説明した型の発光素子の発光の様子を示した図である。発光素子100(および後述する発光素子200、300、400、500では)はpn接合型の発光素子であり、紫外域にピークを持ち、図では可視光部分の青色として観測されている。図4は、その電気特性を示したグラフである。図では横軸が電圧を示し、縦軸は電流を示す。図示したように、発光素子100は、pn接合による整流性を有することがわかる。
【0033】
なお、図5に、ZnO微粒子を複数層に形成したZnO粒子層104’を有する発光素子100’の構成例を示す。層の厚みとしては、0.1μm~500μm程度が好ましい。
【0034】
この他、ZnO粒子層104と電極106との間に透明導電膜を介在させることができる。これにより、両面発光が可能となる。図6は、ZnO粒子層104と電極106との間に透明導電膜を介在させた発光素子200の例を示した図である。ここで、透明導電膜として、酸化インジウム錫(ITO)系透明導電膜108を挙げることができる。これは、p型であり陽極側に用いられる。酸化インジウム錫系透明導電膜108は、印刷により成膜できるので低コストで済み、廃材も削減できるというメリットを有する。
【0035】
また、同様にZnO粒子層104を挟み込む型として、ZnO粒子層104の下面にn型MgZnO薄膜層112、上面にp型MgZnO薄膜層107を設けることもできる(図7参照)。図では、発光素子300は、電極106のため、基板101側から発光する。このとき、一方または両方の薄膜層において、MgZn1-xO(0<x≦0.3)とすることができる。この場合、ダブルへテロ構造を形成して電子とホールがZnO粒子層104に閉じ込められて再結合するため極めて効率の良い発光が可能となる。
【0036】
また、基板101上を導電膜として電極105で被覆し、この上にn型ZnO薄膜103を設ける場合には、反対側(図でいう上側)に発光面を設けるようにする。図8は、透明の基板101上を導電膜とした場合の発光素子400の例を示した図である。この例では、基板が透明である必要がないので、ZnO系透明導電膜102は不要であり、また、基板101も透明である必要はない。なお、図9に示したように、透明な基板109上に酸化インジウム錫系透明導電膜108を形成し、n型ZnO薄膜103との間にp型ZnO粒子層104を挟み込み焼結させた発光素子500の態様であってもよい。
【0037】
以上の例はpn接合によるものであるが、npn接合にして発光させることもできる。すなわち、MIS型エレクトロルミネッセンス素子においても結晶性の良いZnO微粒子を用いることにより、低電圧で高輝度な素子を提供することができる。
基板上に、金属膜、n型酸化亜鉛薄膜または絶縁膜、酸化亜鉛粒子層、n型酸化亜鉛系透明導電膜または絶縁膜が順に積層した構造を有し、
酸化亜鉛粒子層は、窒素濃度が1016cm-3~1020cm-3であり粒子サイズが50nm~500nmである酸化亜鉛の結晶粒子を焼結させた層により形成されていることを特徴とする酸化亜鉛系発光素子とすればよい。これにより、また、安価なZnO結晶粒子からMIS型のエレクトロルミネッセンス素子を形成することにより低電圧で発光する高輝度な平面型の白色照明装置を提供できる。この酸化亜鉛系発光素子において、酸化亜鉛粒子層が単層の粒子からなることを特徴とするようにしてもよい。
【0038】
図10は、発光素子600の構成例を示した図である。図において、発光素子600は、基板101上に、金属膜(電極105)、n型ZnO薄膜103、ZnO粒子層110、n型ZnO系透明導電膜111、透明な基板109を、順に積層させた構造を有する。npn接合では、高電界がかかるために白色光が観測される。この発光は、高電界がかかるために、欠陥や不純物順位が励起されたものと推定される。なお、このnpn接合の場合は、必ずしもZnO粒子層104では焼結は必要ないが、焼結により上下の層との結合が形成され、密着性や耐久性に優れたものにすることができる。また、n型半導体の代わりに10nm~100nm程度の厚さの絶縁膜を用いてMIS構造を形成しても電流が流れないため同様の効果が得られる。従来の粉体を用いたMIS構造の無機エレクトロルミネッセンス素子では、100V~200Vの高電圧が必要で、輝度も低く、寿命が短いのが欠点であったが、図10に示したデバイスは、10Vでも高輝度な発光が可能であり、長寿命も期待できるため、照明装置などへの応用範囲が広がる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明によれば、単結晶基板を用いずに高輝度な紫外光または白色光の発光素子が得られるため、大面積な紫外または白色の発光ダイオードやエレクトロルミネッセンスデバイスを安価に提供できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一構成例を示した発光素子の模式図である。
【図2】窒素ドープ型ZnO結晶粒子の電子顕微鏡写真を示した図である。
【図3】図1で説明した型の発光素子の発光の様子を示した図である。
【図4】図1で説明した型の発光素子の電気特性を示したグラフである。
【図5】ZnO微粒子を複数層に形成したZnO粒子層を有する発光素子の構成例を示す。
【図6】p型ZnO粒子層と電極との間に透明導電膜を介在させた発光素子の例を示した図である。
【図7】p型ZnO粒子層を挟み込む型として、p型ZnO粒子層の上面にp型MgZnO薄膜層を設けた発光素子の構成例である。
【図8】透明の基板上を導電膜とした場合の発光素子の例を示した図である。
【図9】透明な基板上に酸化インジウム錫系透明導電膜を形成し、n型ZnO薄膜との間にp型ZnO粒子層を挟み込み焼結させた発光素子の構成例を示した図である。
【図10】npn型発光素子の構成例を示した図である。
【符号の説明】
【0041】
100、100’、200、300、400、500、600 発光素子
101 基板
102 ZnO系透明導電膜
103 n型ZnO(系)薄膜
104 ZnO粒子層(p型)
105 電極
106 電極
107 p型MgZnO薄膜層
108 酸化インジウム錫系透明導電膜(ITO)
109 基板
110 ZnO粒子層
111 n型ZnO系透明導電膜

図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9