TOP > 国内特許検索 > ハイブリッド風力発電システム > 明細書

明細書 :ハイブリッド風力発電システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5392883号 (P5392883)
公開番号 特開2008-274882 (P2008-274882A)
登録日 平成25年10月25日(2013.10.25)
発行日 平成26年1月22日(2014.1.22)
公開日 平成20年11月13日(2008.11.13)
発明の名称または考案の名称 ハイブリッド風力発電システム
国際特許分類 F03D   9/00        (2006.01)
H02P   9/00        (2006.01)
H02P   9/04        (2006.01)
FI F03D 9/00 B
H02P 9/00 F
H02P 9/04 P
請求項の数または発明の数 3
全頁数 11
出願番号 特願2007-120928 (P2007-120928)
出願日 平成19年5月1日(2007.5.1)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 2006年11月20日、 IEEJ Industry Applications Society(電気学会産業応用部門)主催の「The 2006 International Conference on Electrical Machines and Systems(2006電気機器およびシステムに関する国際会議)」において文書をもって発表
審査請求日 平成22年4月26日(2010.4.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】800000068
【氏名又は名称】学校法人東京電機大学
発明者または考案者 【氏名】西方 正司
個別代理人の代理人 【識別番号】100083806、【弁理士】、【氏名又は名称】三好 秀和
参考文献・文献 特表2004-508795(JP,A)
特開昭56-150999(JP,A)
特開平11-150866(JP,A)
調査した分野 F03D 9/00
H02J 3/00
特許請求の範囲 【請求項1】
風力タービンの軸に機械的に接続され、風力に応じて電力を出力する第1同期発電機と、
前記第1同期発電機により出力された電力を整流して直流に変換するコンバータ部と、
前記コンバータ部により直流に変換された電力に基づき平滑された直流電流を供給するDCリンク部と、
前記DCリンク部により供給された直流電流を交流に変換するインバータ部と、
原動機により駆動され電力を出力する第2同期発電機と、
前記インバータ部により出力された交流電力と前記第2同期発電機により出力された電力とを合成し、前記インバータ部と前記第2同期発電機との両方から電流が流入したときに、両方の電流により生じる磁束が加わり合うようにし、また、前記インバータ部と当該ハイブリッド風力発電システムの出力端との両方から電流が流入したときに、両方の電流により生じる磁束が打ち消し合うように同一鉄心上に巻装され且つ直列に接続された二つのコイルから構成される波形改善リアクトルである、所定の電力を出力する電力供給部と、
を備え、
前記インバータ部は、サイリスタインバータにより構成され、
前記第2同期発電機は、前記電力供給部を介して前記サイリスタインバータに転流に必要な無効電力を供給するとともに、当該ハイブリッド風力発電システムの出力を一定に保持するために風力エネルギーに基づく前記第1同期発電機の出力で賄うことができない不足分の有効電力を供給することを特徴とするハイブリッド風力発電システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、風速の変動によらずに一定の出力を得ることのできるハイブリッド風力発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化や化石燃料の大量消費による天然資源の枯渇等が深刻な問題となっている。風力のような自然エネルギーの利用は、これらの問題に対する有効な解決策である。
【0003】
しかしながら、風力発電システムの出力は、エネルギー源である風力によって変動するため、設置点の地形や季節風等に起因する変動要因が多く甚だ不安定である。このため、風力発電システムを既存の電力系統と連係して運転するためには、風力発電による出力変動を考慮する必要がある。従来から、風力発電機の出力変動を緩和させるために、風力発電システムは、蓄電池電源を有する場合が多い。このような風力発電システムは、充分な風力発電エネルギーが得られる場合には、まず蓄電池に充電させたうえで余剰電力を検出して負荷に電力を供給し、風力発電エネルギーが低下した場合には、蓄電池出力によって低下分を補い、安定した電力供給を行う。
【0004】
また、太陽光発電出力と風力発電出力とを利用したハイブリッド発電システムも提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のハイブリッド発電システムは、直交変換器を介して外部電力系統に連系運転するハイブリッド発電システムであり、太陽光発電装置出力と風力発電装置出力の並列接続による電力容量の加算出力を可能にするとともに、自然環境の変動に対応して太陽光単独発電または風力単独発電の出力のみの運転状態にも対応する。
【0005】
このハイブリッド発電システムは、以下に述べるような制御方法を採用している。まず、日中に太陽光発電の出力があるときには、このハイブリッド発電システムは、風力発電の出力電圧を太陽光発電装置の出力電圧に合わせて直流並列接続をして直交変換器に入力する。その際、風力発電の出力が太陽光発電に達しない時には、ハイブリッド発電システムは、風力の直流並列接続を遮断する。また、夜間など太陽光発電装置の出力がないときには、ハイブリッド発電システムは、太陽光発電出力端子を遮断して風力発電の出力のみを直交変換器に入力する。
【0006】
さらに、太陽光発電、風力発電がともに所定の電圧に達しない場合には、ハイブリッド発電システムは、いずれの接続も遮断する。この際、風力発電電力が弱いながらも充電できるレベルの値以上の場合には、ハイブリッド発電システムは、充電状態に移行して蓄電器に充電する。さらに、蓄電した電力量が所定のレベル以上に達していて且つシステムからの出力が所定の出力値より低い場合には、ハイブリッド発電システムは、放電状態に移行する。
【0007】
また、風力発電の出力が高く、内部消費を差引いても余力がある場合には、ハイブリッド発電システムは、外部電力系統に送り出し、又は余剰電力をシステム内の蓄電器に充電する。
【0008】
このハイブリッド発電システムによれば、風力発電の出力側に制御性のよい昇降圧器を設け、有効な並列発電が可能になるとともに、蓄電器を採用して、短時間での上昇下降の激しい規格未満電力並びに余剰電力を蓄電し、風力出力がないときに放電することによりシステム全体の効率を高めることができる。
【0009】
風力発電機により発電された電力は、DCリンク方式の場合、インバータにより一定周波数・一定電圧の交流電力に変換される。その際に使用されるインバータは、通常、電圧形インバータである(例えば、特許文献2参照)。この電圧形インバータは、コンバータ出力側のコンデンサにより平滑された直流電圧を得たのち、インバータ部で所定の周波数の交流電圧に変換する。
【特許文献1】特開2005-51955号公報
【特許文献2】特開2007-89399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、蓄電池等のバッテリーを有する風力発電システムは、システムが大規模になり、コストが増大するという問題点がある。また、バッテリーの使用により、システム全体の効率も悪化し、風力エネルギーを最大限に利用することは、困難である。
【0011】
さらに、従来の風力発電システムに使用される電圧形インバータの出力電圧波形は、PWM波形であるため、高次の高調波成分を多く含む電圧波形となり、損失やノイズを発生させる原因となりうる。また、電圧形インバータは、定期的な交換を必要とする平滑用コンデンサを備えているため、メンテナンスコストが増大する。仮に電圧形インバータではなく電流形インバータを採用する場合には、平滑用コンデンサの交換が不要となるばかりでなく、整流素子にサイリスタを用いて安価で大容量のものが実現できるが、サイリスタは自己消弧能力が無く、新たに転流回路が必要となり、回路構成が複雑になるという問題がある。
【0012】
本発明は上述した従来技術の問題点を解決するもので、低コストで且つ簡単な構成により実現可能であり、風速の変化によらず一定の出力を保つハイブリッド風力発電システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係るハイブリッド風力発電システムは、上記課題を解決するために、第1の発明は、風力タービンの軸に機械的に接続され、風力に応じて電力を出力する第1同期発電機と、前記第1同期発電機により出力された電力を整流して直流に変換するコンバータ部と、前記コンバータ部により直流に変換された電力に基づき平滑された直流電流を供給するDCリンク部と、前記DCリンク部により供給された直流電流を交流に変換するインバータ部と、原動機により駆動され電力を出力する第2同期発電機と、前記インバータ部により出力された交流電力と前記第2同期発電機により出力された電力とを合成し、前記インバータ部と前記第2同期発電機との両方から電流が流入したときに、両方の電流により生じる磁束が加わり合うようにし、また、前記インバータ部と当該ハイブリッド風力発電システムの出力端との両方から電流が流入したときに、両方の電流により生じる磁束が打ち消し合うように同一鉄心上に巻装され且つ直列に接続された二つのコイルから構成される波形改善リアクトルである、所定の電力を出力する電力供給部とを備え、前記インバータ部は、サイリスタインバータにより構成され、前記第2同期発電機は、前記電力供給部を介して前記サイリスタインバータに転流に必要な無効電力を供給するとともに、当該ハイブリッド風力発電システムの出力を一定に保持するために風力エネルギーに基づく前記第1同期発電機の出力で賄うことができない不足分の有効電力を供給することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の発明によれば、低コストで且つ簡単な構成により実現可能であり、風速の変化によらず一定の出力を保つハイブリッド風力発電システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明のハイブリッド風力発電システムの実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、本発明の実施例1の構成を示すブロック図である。まず、本実施の形態の構成を説明する。本実施例のハイブリッド風力発電システムは、図1に示すように、風力タービン10、永久磁石同期発電機12、サイリスタ整流器14、DCリンク部16、サイリスタインバータ20、原動機22、同期発電機24、及び波形改善リアクトル26で構成されている。
【0017】
風力タービン10は、風の持つ運動エネルギーを回転エネルギーに変換し、永久磁石同期発電機12を駆動する。この風力タービン10は、例えば、風力エネルギーをより多く有効に抽出・変換することを目的として、風速変動に関わらず出力係数(効率に相当)が最大となる周速比(翼の周速と流入風速の比)を保持するように回転数を操作する変速制御運転法を採用する。本実施例のハイブリッド風力発電システムは、後述するDCリンク部16を有するため、サイリスタインバータ20の出力側の周波数(例えば50Hz)に依存せずに独立して風力タービン10の周波数を制御できるという利点がある。
【0018】
永久磁石同期発電機12は、本発明の第1発電機に対応し、風力タービン10の軸に機械的に接続され、風力に応じて電力を出力する。なお、風力タービン10に接続される発電機は、必ずしも永久磁石同期発電機とは限らず、同期発電機であればよい。しかしながら、永久磁石同期発電機12は、界磁励磁のための電源回路が不要であり、構造が簡単で保守が容易であるため、本発明に最適であると考えられる。
【0019】
サイリスタ整流器14は、本発明のコンバータ部に対応し、永久磁石同期発電機12により出力された電力を整流して直流に変換する。ここに用いられる整流器の素子は、必ずしもサイリスタである必要はない。しかしながら、サイリスタを用いたサイリスタ整流器14でコンバータ部を構成することにより、図1に示す電圧Vを調整することができる。
【0020】
DCリンク部16は、サイリスタ整流器により直流に変換された電力に基づき平滑された直流電流を供給する。このDCリンク部16は、DCリアクトル18により構成される。
【0021】
サイリスタインバータ20は、本発明のインバータ部に対応し、DCリンク部16により供給された直流電流を交流に変換する。このサイリスタインバータ20は、他励式サイリスタインバータであり、出力側から逆バイアスをかけることにより、転流を行う。
【0022】
したがって、本発明のハイブリッド風力発電システムにおいて、サイリスタ整流器14、DCリンク部16、及びサイリスタインバータ20は、電流形インバータを構成する。
【0023】
原動機22は、例えばガスタービンやガソリンエンジンであり、自然界に存在する様々なエネルギーを力学的エネルギーに変換して同期発電機24を駆動する。
【0024】
同期発電機24は、本発明の第2発電機に対応し、原動機22により駆動され、交流電力を出力する。この同期発電機24は、システム全体の出力を一定に保持するため、永久磁石同期発電機12の出力で賄うことのできない不足分の電力(有効分)を供給する。すなわち、同期発電機24は、サイリスタインバータ20により出力される電力が負荷が必要とする所定の電力に足りない場合に、不足分の電力を供給する。したがって、このハイブリッド風力発電システムは、風力の変動によらず、必要な所定の電力を負荷に供給する。
【0025】
さらに、同期発電機24は、後述する波形改善リアクトル26を介してサイリスタインバータ20に転流に必要な無効電力を供給する。また、この同期発電機24は、ハイブリッド風力発電システムの出力側に接続される負荷が必要とする無効電力を供給する。永久磁石同期発電機12の出力は、DCリンク部16を介して直流電力となり、負荷が必要とする無効電力を供給することができない。したがって、同期発電機24は、本発明において、無効電力供給用として必須である。
【0026】
波形改善リアクトル26は、本発明の電力供給部に対応し、サイリスタインバータ20により出力された交流電力と同期発電機24により出力された電力とを合成し、所定の電力を出力する。
【0027】
また、波形改善リアクトル26は、特開平11-150866号公報に記載された波形改善リアクトルと同様のものであり、二つのリアクトルコイルの自己インダクタンスL、Lと相互インダクタンスMの適切な選定により、同期発電機24の初期過渡インダクタンスを等価的に打ち消すことができるので、結果的にサイリスタインバータ20の転流による出力電圧の波形陥没を除去することができる。
【0028】
波形改善リアクトル26は、サイリスタインバータ20と同期発電機24との両方から電流が流入したときに、両方の電流により生じる磁束が加わり合うように同一鉄心上に巻装され且つ直列に接続された二つのコイルから構成される。
【0029】
また、図2に示すように、波形改善リアクトル26は、サイリスタインバータ20と当該ハイブリッド風力発電システムの出力端との両方から電流が流入したときに、両方の電流により生じる磁束が打ち消し合うように同一鉄心上に巻装され且つ直列に接続された二つのコイルから構成されるものでもよい。
【0030】
なお、波形改善リアクトル26は、必ずしも必須の構成要件ではなく、構成に入れない場合でもハイブリッド風力発電システムを動作させることは可能である。ただし、何らかのフィルタは必要であると考えられる。また、波形改善リアクトル26を採用する場合には、電流重なり角を所定の値以下に抑えるために、波形改善リアクトル26を構成する二つのリアクトルコイルの自己インダクタンスL、L、及び相互インダクタンスMは、適切に選定される必要がある。
【0031】
次に、上述のように構成された本実施の形態の作用を説明する。まず、風力タービン10は、風の持つ運動エネルギーを回転エネルギーに変換し、永久磁石同期発電機12を駆動する。永久磁石同期発電機12は、風力タービン10の軸に機械的に接続され、風力に応じて電力をサイリスタ整流器14に出力する。サイリスタ整流器14は、永久磁石同期発電機12により出力された電力を整流して直流に変換する。DCリンク部16は、サイリスタ整流器により直流に変換された電力に基づき平滑された直流電流を供給する。サイリスタインバータ20は、DCリンク部16により供給された直流電流を交流に変換する。
【0032】
一方、原動機22は、自然界に存在する様々なエネルギーを力学的エネルギーに変換して同期発電機24を駆動する。負荷の変動等によって、同期発電機24の出力が変動した場合にも同期発電機24の回転速度を一定に保つため、原動機22の図示されないガバナ(調速機)は、原動機22の出力を制御する。同期発電機24は、原動機22により駆動され、交流電力を出力する。同期発電機24は、システム全体の出力を一定に保持するため、永久磁石同期発電機12の出力で賄うことのできない不足分の電力(有効分)を負荷に供給する。さらに、同期発電機24は、波形改善リアクトル26を介してサイリスタインバータ20に転流に必要な無効電力を供給する。また、この同期発電機24は、ハイブリッド風力発電システムの出力側に接続される負荷が必要とする無効電力を供給する。なお、同期発電機24がサイリスタインバータ20の転流を制御するため、同期発電機24の回転数に基づき、ハイブリッド風力発電システムの出力周波数は決定される。
【0033】
波形改善リアクトル26は、サイリスタインバータ20により出力された交流電力と同期発電機24により出力された電力とを合成し、所定の電力を出力する。その際、波形改善リアクトル26は、出力電圧の高調波分を除去する。
【0034】
図3は、本発明の実施例1のハイブリッド風力発電システムの等価回路を示す回路図である。図1に示すサイリスタインバータ20、同期発電機24、及び波形改善リアクトル26は、それぞれ図3に示すサイリスタインバータ20a、同期発電機24a、及び波形改善リアクトル26aと等価である。波形改善リアクトル26aにより出力された電力は、3相負荷30に供給される。サイリスタ整流器14の出力は、直流電源電圧Vで示される。
【0035】
本発明のハイブリッド風力発電システムを制御するために、サイリスタインバータ20の制御進み角γと同期発電機24の界磁電圧Vとが操作されうる。ハイブリッド風力発電システムにおける風車発電機の最大電力制御は、サイリスタインバータ20の位相制御回路を用いて制御進み角γを調整することにより達成される。また、同期発電機24の界磁電圧Vは、ハイブリッド風力発電システムの出力電圧を一定に保つように、例えば直流チョッパ回路における通流率を調整することにより制御される。
【0036】
ハイブリッド風力発電システムの出力電圧Vl-l、周波数fがそれぞれ一定であり,かつ風力タービン10の出力係数Cが一定であると仮定し、風速をVとすると、直流リンク電流Iは、Vに比例する。これは、理想状態(損失なし)の場合において直流リンク電圧Vと直流リンク電流Iの積に等しい風力タービン10の入力PがVに比例すること,及び出力係数Cが一定の場合において直流リンク電圧Vが風速Vに比例することに起因する。したがって、I-V特性は、力率等の負荷条件に因らない。
【0037】
サイリスタインバータ20の制御進み角γは、風速Vの増加に従って減少させる必要がある。また、電流重なり角uは、直流リンク電流Iの増加に伴い増加する。さらに、風力タービン10の出力Pは、風速Vの増加に伴って増加する。
【0038】
また、負荷の力率が低い場合や負荷電流の大きい高出力の場合には、サイリスタインバータ20の制御進み角γは、風速Vが同じである場合において、大きくなる。制御進み角γと電流重なり角uとが等しくなった場合には、サイリスタインバータ20において転流失敗が発生し、ハイブリッド風力発電システムは、動作不能となる。したがって、制御進み角γは、電流重なり角uよりも大きい状態で制御される必要がある。
同期発電機24の皮相電力は、純抵抗負荷(力率1)の負荷条件を除き、風速Vの増加とともに増加すると思われる。これは、サイリスタインバータ20の転流及び負荷に必要な無効電力が増加するためである。
【0039】
図4は、本発明の実施例1のハイブリッド風力発電システムの出力電圧波形の1例を示す図である。図4に示すように、THD(Total Harmonic Distortion)は、約3%に抑えられており、出力電圧波形に歪みがほとんど無く、波形改善リアクトル26が有効であることを示す。
【0040】
図5は、風速Vに対するハイブリッド風力発電システム全体の出力P、同期発電機24の出力PSG、並びに風力タービン10の出力Pの特性を示す。図5において、ハイブリッド風力発電システム全体の出力Pは、1kW、2kW、3kWの場合について記載されているが、この出力Pは負荷の条件によって決定される。永久磁石同期発電機12の出力Pは、風速Vの増加に伴い増加する。しかしながら、同期発電機24の出力PSGは、風速Vの増加に伴い減少するため、結果的に図5に示すような一定の出力Pが得られる。なお、図5に記載されたローマ数字は、それぞれシステム全体の出力Pと負荷の力率を異なる条件にした各ケースを示すが、いずれのケースであっても、上述した傾向が示されている。また、実験結果が理論値に近い値を示している。したがって、このハイブリッド風力発電システムは、風力発電の最大電力点追従を達成するとともに、同期発電機24を駆動する原動機22へ供給する燃料を最小とすることを実現できる。
【0041】
上述のとおり、実施例1の形態に係るハイブリッド風力発電システムによれば、蓄電池等のバッテリーが不要であるため、低コストで簡単な構成であるとともに、常に風力エネルギーを最大限に効率良く利用することができる。また、簡単な構成であることは、信頼性が高く高効率なシステムであることを示す。
【0042】
さらに、風速の変化にかかわらず、ハイブリッド風力発電システム全体の出力を常に一定に保つことができる。
【0043】
また、電流形インバータを採用することで、従来のような電圧型インバータのような定期的な平滑用コンデンサの交換にかかるメンテナンスコストを不要とするばかりでなく、整流素子にサイリスタを用いて安価で大容量のものが容易に実現できる。
【0044】
また、同期発電機24を備えているので、上述したようにハイブリッド風力発電システム全体の出力を一定に保持するため、負荷が必要とする電力に対して、風力エネルギーに基づく永久磁石同期発電機12の出力で賄うことのできない不足分の電力(有効分)を負荷に供給することができる。さらにこの同期発電機24は、負荷が必要とする無効電力を供給するとともに、サイリスタインバータ20の転流に必要な無効電力を供給する。したがって、サイリスタインバータ20が本来必要とする転流回路を不要とし、電流形インバータを本発明に採用することができる。よって、同期発電機24に原動機22を接続して積極的に発電することにより、同期発電機24は、上述した3つの作用・効果を本発明のハイブリッド風力発電システムに対して有する。
【0045】
さらに、波形改善リアクトル26を備えているので、出力電圧の波形歪みを原理的に完全に除去することができ、極めて良質の電力を負荷に対して供給することができる。
【0046】
また、本発明のハイブリッド風力発電システムは、地球上のある程度風の強いあらゆる場所において高効率で利用できるため、経済的・社会的効果は地球規模であり、極めて大きいと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明に係るハイブリッド風力発電システムは、既存の電力系統等と連係して運転される発電システムに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施例1の形態のハイブリッド風力発電システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例1の形態のハイブリッド風力発電システムの別の構成例を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例1の形態のハイブリッド風力発電システムの等価回路を示す回路図である。
【図4】本発明の実施例1の形態のハイブリッド風力発電システムの出力電圧波形の1例を示す図である。
【図5】本発明の実施例1の形態のハイブリッド風力発電システムにおける風速に対するハイブリッド風力発電システム全体の出力、同期発電機の出力、及び風力タービンの出力の特性を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
10 風力タービン
12 永久磁石同期発電機
14 サイリスタ整流器
16 DCリンク部
18 DCリアクトル
20、20a サイリスタインバータ
22 原動機
24、24a 同期発電機
26、26a 波形改善リアクトル
30 3相負荷
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4