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明細書 :画像処理による稜線・尾根線の判定方法とその装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4904449号 (P4904449)
公開番号 特開2008-276436 (P2008-276436A)
登録日 平成24年1月20日(2012.1.20)
発行日 平成24年3月28日(2012.3.28)
公開日 平成20年11月13日(2008.11.13)
発明の名称または考案の名称 画像処理による稜線・尾根線の判定方法とその装置
国際特許分類 G06T   1/00        (2006.01)
G01C  11/04        (2006.01)
G09B  29/00        (2006.01)
FI G06T 1/00 285
G01C 11/04
G09B 29/00 Z
請求項の数または発明の数 6
全頁数 8
出願番号 特願2007-118007 (P2007-118007)
出願日 平成19年4月27日(2007.4.27)
審査請求日 平成22年4月26日(2010.4.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504224153
【氏名又は名称】国立大学法人 宮崎大学
発明者または考案者 【氏名】竹下 伸一
個別代理人の代理人 【識別番号】240000039、【弁護士】、【氏名又は名称】弁護士法人 衞藤法律特許事務所
審査官 【審査官】▲広▼島 明芳
参考文献・文献 特開2002-365019(JP,A)
特開平10-261084(JP,A)
特開平09-069148(JP,A)
特開2004-341422(JP,A)
調査した分野 G06T 1/00
G01C 11/04
G09B 29/00
特許請求の範囲 【請求項1】
コンピュータに入力された画像上の任意の位置を領域指定する領域指定ステップと、該領域内に等間隔のラインを複数作成するステップと、該ライン上の画像の輝度値を抽出する輝度抽出ステップと、抽出された輝度値を平滑化及び基準化するステップと、基準化された輝度値を用いて前記ライン上の陵点・尾根点を判定し、該判定された陵点・尾根点を連結して前記領域内の稜線・尾根線を判定するステップと、から構成され、前記ライン上の陵点・尾根点の判定は、前記基準化した輝度値のうち輝度値の高いグループから輝度値の低いグループへの変位点のうち最後に出現する高い輝度値の変位点を選択することを特徴とする画像処理による稜線・尾根線の判定方法。
【請求項2】
コンピュータに入力された画像は衛星や航空機などによって上空から対象地を撮影した画像であることを特徴とする請求項1記載の画像処理による稜線・尾根線の判定方法。
【請求項3】
コンピュータに入力された画像は単一画像であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理による稜線・尾根線の判定方法。
【請求項4】
コンピュータに入力された画像はデジタル画像であることを特徴とする請求項1ないし3に記載の画像処理による稜線・尾根線の判定方法。
【請求項5】
画像上の任意の位置を領域指定する領域指定手段と、該領域内に等間隔のラインを複数作成する手段と、該ライン上の画像の輝度値を抽出する輝度抽出手段と、抽出された輝度値を平滑化及び基準化する手段と、基準化された輝度値を用いて前記ライン上の陵点・尾根点を判定し、該判定された陵点・尾根点を連結して前記領域内の稜線・尾根線を判定する手段と、から構成され、前記ライン上の陵点・尾根点の判定は、前記基準化した輝度値のうち輝度値の高いグループから輝度値の低いグループへの変位点のうち最後に出現する高い輝度値の変位点を選択することを特徴とする画像処理による稜線・尾根線の判定装置。
【請求項6】
画像は、稜線・尾根線の判定対象地を上空から撮影した画像であることを特徴とする請求項5に記載の画像処理による稜線・尾根線の判定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータを用いた画像処理による稜線・尾根線の判定方法とその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、資源調査・環境調査を実施する際には、まず対象とする地域の地形情報を把握することが基本となる。しかしながら地形図や標高データの入手が困難な地域、とくに途上国などにおいてはこれらの情報の把握には非常な困難を伴った。そのため航空写真や人工衛星からの画像を使用する技術が注目され、数々の方法が提案されている。
【0003】
例えば、空中写真を基本地図画像に変換し、この写真から特徴的な領域を抽出する工程と、3次元情報または勾配とを合成する工程から特徴的地形の判別を行なう方法が提案されている(特許文献1参照。)。また、高度上空から地表を撮影した観察画像に基づいて、農地等の土地区画のデータを作成する土地区画データ作成方法も提案されている(特許文献2参照。)。
【0004】

【特許文献1】特開2003-140544号公報
【特許文献2】特開2003-256807号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に提案されている特徴的地形の判別を行なう方法は、空中写真から地図画像に変換し、特徴的地形を抽出し、さらに3次元情報を合成する必要があり、作業工程が複雑であると共に、3次元情報が得られない地域の判別処理には適さないという問題点があった。
【0006】
また、上記特許文献2に記載の土地区画データ作成方法は、衛星や航空機などの高度飛翔体から地表を撮影した観測画像のエッジを抽出して、抽出した画像上の1点から放射状に伸ばした複数の直線とエッジの交点を求めて、これらの交点を連結することによって矩形領域を抽出処理する方法であり、土地の区画データを高速に作成するものであるが、撮影された画像の高度情報に関しては、なんら処理を行なうものではなく、山の稜線などを判定できるものではなかった。
【0007】
上記の問題点に鑑み本発明者らは、標高などの3次元情報などを使用することなく、しかも衛星や航空機などによって上空から対象地を撮影した単一画像から簡便かつ確実に稜線・尾根線の判読方法とその装置を提供するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため本発明の画像処理による稜線・尾根線の判定方法は、コンピュータに入力された画像上の任意の位置を領域指定する領域指定ステップと、該領域内に等間隔のラインを複数作成するステップと、該ライン上の画像の輝度値を抽出する輝度抽出ステップと、抽出された輝度値を平滑化及び基準化するステップと、基準化された輝度値を用いて前記ライン上の陵点・尾根点を判定し、該判定された陵点・尾根点を連結して前記領域内の稜線・尾根線を判定するステップと、から構成され、前記ライン上の陵点・尾根点の判定は、前記基準化した輝度値のうち輝度値の高いグループから輝度値の低いグループへの変位点のうち最後に出現する高い輝度値の変位点を選択することを第1の特徴とする。
【0009】
また、前記コンピュータに入力された画像は衛星や航空機などによって上空から対象地を撮影した画像であることを第2の特徴とする。
【0010】
そして、前記コンピュータに入力された画像は単一画像であることを第3の特徴とする。
【0011】
しかも、前記コンピュータに入力された画像はデジタル画像であることを第4の特徴とする。
【0012】
さらに、前記画像上の任意の位置を領域指定する領域指定手段と、該領域内に等間隔のラインを複数作成する手段と、該ライン上の画像の輝度値を抽出する輝度抽出手段と、抽出された輝度値を平滑化及び基準化する手段と、基準化された輝度値を用いて前記ライン上の陵点・尾根点を判定し、該判定された陵点・尾根点を連結して前記領域内の稜線・尾根線を判定する手段と、から構成され、前記ライン上の陵点・尾根点の判定は、前記基準化した輝度値のうち輝度値の高いグループから輝度値の低いグループへの変位点のうち最後に出現する高い輝度値の変位点を選択する画像処理による稜線・尾根線の判定装置であることを第5の特徴とし、前記画像は、稜線・尾根線の判定対象地を上空から撮影した画像であることを第6の特徴とする。
【0013】
尚、本発明の判読方法に使用される最適な画像としては、衛星や航空機などによって上空から対象地を撮影したモノクロデジタル画像データであるが、カラー画像であってもよく、またデジタル画像にかぎらずアナログ画像であってもかまわない。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る画像処理による稜線・尾根線の判定方法によれば、対象地の上空から撮影された単一画像から、標高の高い場所を特定することができるため、山地のみならず湿原や砂漠、平原などにある微地形を判別できるという優れた効果を有する。
【0015】
さらに、本発明に係る画像処理による稜線・尾根線の判定方法は、撮影された単一画像から輝度値を用いて陵点・尾根点を判定し、さらに判定された陵点・尾根点を連結して前記領域内の稜線・尾根線を判定するため、影が多く含まれる画像であっても確実に判定ができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施例を示す図面に基づいて説明するが、本発明が本実施例に限定されないことは言うまでもない。図1は、本発明に係る画像処理による稜線・尾根線の判定方法を示すフローチャート、図2は本発明の画像処理に使用されるハードウエア構成図、図3は衛星から対象地を撮影したデジタル画像、図4は図3の領域指定した任意の位置の拡大説明図、図5は領域指定した矩形内の複数のラインを示す、図6はライン上の画像の輝度値を表したグラフ、図7は図6のグラフを移動平均処理したグラフ、図8は図7のグラフを基準化処理したグラフ、図9は図8のグラフから稜点・尾根点を判定する例を示す説明図、図10は全てのラインで判定した稜点・尾根点から稜線・尾根線を判定した図である。
【実施例】
【0017】
図1のフローチャートに示すように、本発明の画像処理による稜線・尾根線の判定方法は、図3に示す衛星によって撮影されたデジタル画像を、コンピュータに入力するステップS1、画像中の任意の場所a、bを矩形に領域指定するステップS2、領域指定した矩形内に等間隔の複数のラインを作成するステップS3、複数のライン上の画像の輝度値を抽出するステップS4、得られたライン上の輝度値をグラフに表示して適正化処理の判断を行なうステップS5、輝度値を移動平均化処理し平滑化を行なうステップS6、平滑化した一連の輝度値の基準化を行なうステップS7、基準化された輝度値のグラフから陵点・尾根点を判定するステップS8、全てのラインで陵点・尾根点を判定するステップS9、判定された全てのラインの陵点・尾根点を連結し稜線・尾根線を判定するステップS10から構成される。尚、ステップS5において平滑化及び基準化が不用と判断される場合には、ステップS9へ進むことができる。この作業をデジタル画像の全画面において行なうことによって、衛星によって撮影された単一のデジタル画像から、稜線・尾根線の判定を行なうことができる。
【0018】
図3は衛星から撮影された単一デジタル画像を示しており、ステップS1において後述するコンピュータにデジタルデータとして入力されている。図においてa、bはステップS2において表示装置上で任意に指定した矩形の指定領域箇所を示している。図4はこの指定された領域の拡大図であり、矩形に囲まれた領域内にはそれぞれ陵点・尾根点を含んでいる。尚、この矩形領域の大きさは全体画面の大きさを考慮した最適の数値が選択される。
【0019】
図5は領域指定する矩形に複数のラインを作成する例を示しており、ステップS3において複数のラインが水平方向に同間隔で設けられている。このライン同士の間隔は上記のデジタル画像の解像度と同等であれば理想的であるが、演算を行なうデータ量を考慮した最適な間隔が設定される。
【0020】
図6はライン上の画像の輝度値を表したグラフを示しており、ステップS3において作成されたライン上のデジタル画像を、画像処理用ソフトウエアであるアドビ社製(Photoshop)によって輝度値を測定しグラフを表している。ここで縦軸は反射の強さを示すDN値であり、横軸はライン上の位置を示しPixel値を示す。このグラフによってライン上の画像の陵点・尾根点を判定することも可能であるが、画像上に構築物や土地利用による影の影響を考慮し、ステップS5において適正化処理を行なうかどうかの判断を行う。
【0021】
図7はステップS5において適正化処理を行なうと判断したグラフの移動平均化処理を行なう処理ステップS6によって平滑化された結果であり、図6のライン上の位置の前後2点の移動平均を用いて演算したものである。このステップS6によって上記の画像上に構築物や土地利用による影の影響からくるDN値の変化を安定させることができる。尚、演算には表計算ソフトであるマイクロソフト社製(Excel)を使用した。
【0022】
図8は図7のグラフにおけるDN値の桁数を最大値が10に最小値が0となるように基準化を行なう処理ステップS7を示すグラフであり、この処理によって相対的な変化を強調することが可能となり、陵点・尾根点の判定が容易となる。図9は図8のグラフから稜点・尾根点を判定する(ステップS8)例を示しており、基準化した輝度値のうち輝度値の高いグループ(太陽光の当たる斜面で1番暗いライン)から輝度値の低いグループ(太陽光の当たらない斜面で1番暗いライン)への変位点のうち最後に出現する高い輝度値の変位点を陵点・尾根点として判定を行なう。
【0023】
図10は全てのラインにおいて稜点・尾根点を判定する(ステップS9)によって得られたグラフを同一の画面上に表示し、各稜点・尾根点を連結させた状態を示しており、図10aは稜線・尾根線が明確に表示されている。また図10bは一部のラインにおいて陵点・尾根点が判定できなかったものであるが、不明な箇所の前後のラインから稜線・尾根線を判定した例を示している。
【0024】
以上のフローチャートに示す処理によって、衛星によって撮影された単一デジタル画像から稜線・尾根線の判定を行なうことができる。
【0025】
図2は本発明の画像処理による稜線・尾根線の判定方法に使用されるハードウエア構成を示しており、画像処理装置100は、衛星によって撮影されたデジタル画像を入力するスキャナーなどの入力装置120と、画像を表示するディスプレイなどの表示装置121と、画像処理した結果を出力するプリンターなどの出力装置122と、画像データを保存する記憶装置130と、処理装置本体110からなり、処理装置本体110はCPU(中央演算装置)111と、RAM112と、ROM113から構成されている。
【0026】
上記の構成において、衛星によって撮影されたデジタル画像は、CD-ROMやDVDなどから直接処理装置本体110に入力することができ、またスキャナーなどの入力装置120によって入力することもできるため、アナログ画像(例えば印画紙などの写真画像)も使用可能である。入力された画像データは元画像データとして記憶装置130に保存され、表示用ソフトによって表示装置121に表示される。

【0027】
処理装置本体110は、入力されたデジタル画像の領域指定処理、ライン作成処理、輝度値抽出処理、移動平均化処理、基準化処理、陵点・尾根点判定処理、全ラインの陵点・尾根点判定処理、稜線・尾根線判定処理を行なう。そして、記憶装置130には領域指定データ、ライン毎の処理データ、陵点・尾根点データ、稜線・尾根線データが格納される。尚、上記処理装置において使用されるソフトとしてはGIS(地理情報システム)やアドビ社製(Photoshop)等があり、人為的な処理と組み合わせて有効に使用される。そして必要に応じてプリンターなどの出力装置122からデータ出力される。
【0028】
以上の構成からなる、本発明のデジタル画像による稜線・尾根線の判別方法とその装置によれば、撮影された単一画像から輝度値を用いて陵点・尾根点を判定し、さらに判定された陵点・尾根点を連結して前記領域内の稜線・尾根線の判定を行なうことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明によるデジタル画像による稜線・尾根線の判別方法とその装置によれば、山地のみならず湿原、平原などにある微地形の判別が可能となり、環境調査の困難な地域の各種の調査、また広大な地域の資源調査において有効に利用される。さらに上記の技術をGISソフトやリモートセンシング画像解析ソフト上に組み込むことでより付加価値の高い情報が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る画像処理による稜線・尾根線の判定方法を示すフローチャート図である。
【図2】本発明の画像処理に使用されるハードウエア構成図である。
【図3】衛星から対象地を撮影したデジタル画像である。
【図4】図3の領域指定した任意の位置の拡大説明図である。
【図5】領域指定した矩形内の複数のラインを示す説明図である。
【図6】ライン上の画像の輝度値を表したグラフである。
【図7】図6のグラフを移動平均処理したグラフである。
【図8】図7のグラフを基準化処理したグラフである。
【図9】図8のグラフから稜点・尾根点を判定する例を示す説明図である。
【図10】全てのラインで判定した稜点・尾根点から稜線・尾根線を判定した図である。
【符号の説明】
【0031】
100 画像処理装置
110 処理装置本体
111 CPU
112 RAM
113 ROM
120 入力装置
121 表示装置
122 出力装置
130 記憶装置
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9