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明細書 :微細粒子粉末が複合化された微細粒子複合材料の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5077933号 (P5077933)
公開番号 特開2008-284589 (P2008-284589A)
登録日 平成24年9月7日(2012.9.7)
発行日 平成24年11月21日(2012.11.21)
公開日 平成20年11月27日(2008.11.27)
発明の名称または考案の名称 微細粒子粉末が複合化された微細粒子複合材料の製造方法
国際特許分類 B22D  19/14        (2006.01)
C22C   1/10        (2006.01)
B22D  13/02        (2006.01)
FI B22D 19/14 A
C22C 1/10 G
B22D 13/02 503G
請求項の数または発明の数 1
全頁数 6
出願番号 特願2007-132127 (P2007-132127)
出願日 平成19年5月17日(2007.5.17)
審査請求日 平成22年5月11日(2010.5.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
発明者または考案者 【氏名】渡辺 義見
【氏名】佐藤 尚
審査官 【審査官】池ノ谷 秀行
参考文献・文献 特開平08-092671(JP,A)
特開2001-200322(JP,A)
特開昭58-116968(JP,A)
特開2003-112251(JP,A)
特開2008-049399(JP,A)
調査した分野 B22D 19/00-19/16
B22D 13/02
特許請求の範囲 【請求項1】
材である金属粉末と複合化させたい微細粒子粉末が混合している混合粉末を作製し、この混合粉末を遠心力鋳造装置の型に投入して、型を回転させることによって遠心力印加および型の予備加熱を行い、回転中の型へ溶解炉で溶解された前記金属母材の溶湯を流し込むことによって、微細粒子が前記母材からなる母相に強固に固定され母相中に均一あるいは傾斜分散された微細粒子複合材料を製造する方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明内容は、金属母相と濡れ性が悪く微細な粉末を金属母相中に均一あるいは傾斜分散させた微細粒子複合材料の製造方法に関するものである。

【背景技術】
【0002】
金属との濡れ性が悪く微細な粉末を金属母相中に複合化することは困難である。これまで、微細粒子を金属母相に複合化する方法として、非特許文献1に示される溶湯攪拌混合法が用いられてきた。溶湯攪拌混合法とは、母相となる金属溶湯を攪拌し、攪拌中の溶湯に微細粒子粉末を少量ずつ添加することによって金属母相と微細粉末を複合化させる方法である。この方法は、金属母相中に微細粒子を均一分散させる事ができるが傾斜分散させることが不可能である欠点をもつ。また、この方法は、少量の鋳造においても攪拌時間を2時間程度必要とするため実用的でない。
【0003】
金属母相中に粒子を傾斜分散させる方法として、遠心力鋳造法が提案されている。非特許文献2に示されているように、遠心力鋳造法は、安価な設備で巨大な製品の製造が可能であるという長所を有するが、微細粒子を傾斜分散させる事が困難である欠点を有する

【0004】
従来、微細粒子粉末などを傾斜分散させる手段として、特許文献1に示されるような放電プラズマ焼結法(SPS法)が用いられてきた。SPS法は、低温・短時間で微細粒子が傾斜分散した製品を作製する事ができるが、巨大な製品を製造することが不可能であることや設備費が高価である欠点を有するために実用的でない。しかしながら、微細粉末を用いた微細粒子複合材料を作製する方法は、現時点でSPS法のみである。

【特許文献1】特開2002-47504
【非特許文献1】彦坂武夫,木村與司雄,川本直樹,黒沢和芳; 愛知県工業技術センター報告, 30(1994)13.
【非特許文献2】Y. Watanabe, A. Kawamoto and K. Matsuda; Comp. Sci. Tech., 62 (2002) 881.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明で解決しようとする問題点は、従来の技術において、微細粒子が均一あるいは傾斜分散し、かつ製品の大きさが比較的大きな複合材料を製造できない点である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の微細粒子粉末が複合化された微細粒子複合材料の製造方法は、金属粉末と複合化させたい微細粒子粉末が混合している混合粉末を作製し、その混合粉末を遠心力鋳造装置の型に投入して、型を回転させることによって遠心力印加および型の予備加熱を行い、回転中の型へ溶解炉で溶解された金属母材溶湯を流し込むことによって、微細粒子が母相に強固に固定され母相中に均一あるいは傾斜分散された微細粒子複合材料を製造する方法である。また、本発明は、寸法の制限がないために比較的大きな製品を製造することができる。
【0007】
発明の微細粒子粉末が複合化された微細粒子複合材料の製造方法は、以下の手順でおこなわれる。
(1)金属母相と微細粒子の混合粉末を作製する。このとき、微細粒子の体積分率が異なる混合粉末を数種類作製することによって、材料内部における微細粒子体積分率の分布を制御する。
(2)遠心力鋳造装置の型を回転させ、作製した混合粉末を回転中の型に投入する。混合粉末は、微細粒子の体積分率が目的の分布になるように投入する。
(3)金属母材を溶解し、遠心力鋳造装置の型加熱炉で加熱された回転中の型に金属母材溶湯を流し込む。そのとき、型に流れ込んだ金属母材溶湯によって、混合粉末中の金属母材粉末も溶解する。その結果、微細粒子が金属母相に強固に固定される。
(4)型および材料を冷却後、型の回転を停止する。
【0008】
本発明の製造方法によって、微細粒子が母相に強固に固定され、かつ母相中に均一あるいは傾斜分散したリング状の複合材料を製造することができる。さらに、本発明の製造方法は、微細粉末の体積分率分布をコントロールすることによって微細粉末が有する機能特性や複合材料の強度をコントロールすることができる。また、本発明には寸法の制限がないために比較的大きな製品を製造することができる。

【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を具体化した実施例を図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、具体例として横型遠心力鋳造装置の模式図を示している。本発明で使用する鋳造装置は、遠心力鋳造装置であればいかなる形式(縦型や横型など)でも良い。
【0011】
図2は、金属母相と微細粒子の混合粉末を回転中の金型に投入する方法を模式的に描いた図である。図2に示されるように、微細粒子の体積分率が異なる混合粉末をいくつか作製し、それらを微細粒子の体積分率が目的の分布になるように回転中の金型へ投入する。
【0012】
図3は、溶解した金属母材溶湯を回転中の金型へ流し込む方法を示した模式図である。これによって、混合粉末中の金属母相粉末も溶解し、微細粒子が金属母相に強固に固定される。
【0013】
図4は、一次粒子径が約300nmであるTiO粒子が純Alを母相とするリング状材料表面に傾斜分布したAl-TiO複合材料の巨視的な写真である。写真右はAl-TiO複合材料であり、写真左は比較材である純Al遠心力鋳造材である。このAl-TiO複合材料は、重力倍数G=50(G=1が重力場)、純Al母材の溶解温度900℃および金型予備加熱温度500℃の条件で遠心力混合粉末法にて作製された。Al-TiO複合材料の表面は、比較材である純Al遠心力鋳造材の材料表面よりも白色を有している。これは、遠心力混合粉末法にて作製した材料の表面に白色であるTiO粒子が分散しているためである。
【0014】
図5は、遠心力混合粉末法によって作製したAl-TiO複合材料の材料表面における微細組織写真(左)とTi分布を示した写真(右)である。TiO粒子は材料表面に凝集した形で分散していることが分かる。これより、遠心力混合粉末法は微細粒子が母相中に複合化された微細粒子複合材料の製造に適していることが分かる。
【0015】
図6は、遠心力混合粉末法によって作製したAl-TiO複合材料内部のビッカース硬さ分布と材料表面のビッカース硬さを示したグラフである。実線はAl-TiO複合材料内部の硬さ分布を示し、破線は材料表面の硬さを示す。また、横軸はリング状材料の内側からの距離を材料厚さで規格化した値である。すなわち、0.0が材料内側、0.5が材料中央および1.0が材料表面を示している。このグラフより、材料表面の硬さは、材料内部の硬さに比べて高いことが分かる。これは、TiO粒子が材料表面に分布しているために、材料表面の強度が向上したことに起因する。すなわち、遠心力混合粉末法にて微細粒子の分布をコントロールすることによって、材料強度の分布もコントロールすることができる。
【0016】
本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、微細粒子を複合化した複合材料製造等の分野に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】遠心力鋳造装置の具体例として示す横型遠心力鋳造装置の模式図である。
【図2】金属母相と微細粒子の混合粉末を回転中の金型に投入する方法を模式的に描いた図である。
【図3】溶解した金属母相溶湯を回転中の金型へ流し込む方法を示した模式図である。
【図4】遠心力混合粉末法を用いて製造したAl-TiO複合材料(右)と比較材である純Al遠心力鋳造材(左)の写真である。
【図5】遠心力混合粉末法によって作製したAl-TiO複合材料の材料表面における微細組織(左)とTi分布(右)を示した写真である。
【図6】遠心力混合粉末法によって作製したAl-TiO複合材料内部の硬さ分布と材料表面の硬さを示したグラフである。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
4
【図6】
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