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明細書 :18F標識フルオロベンゼン環を有する放射性リガンドの合成法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4931181号 (P4931181)
公開番号 特開2007-204383 (P2007-204383A)
登録日 平成24年2月24日(2012.2.24)
発行日 平成24年5月16日(2012.5.16)
公開日 平成19年8月16日(2007.8.16)
発明の名称または考案の名称 18F標識フルオロベンゼン環を有する放射性リガンドの合成法
国際特許分類 C07C 231/12        (2006.01)
C07C 233/25        (2006.01)
C07B  59/00        (2006.01)
FI C07C 231/12
C07C 233/25
C07B 59/00
請求項の数または発明の数 9
全頁数 15
出願番号 特願2006-021967 (P2006-021967)
出願日 平成18年1月31日(2006.1.31)
審査請求日 平成20年8月15日(2008.8.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301032942
【氏名又は名称】独立行政法人放射線医学総合研究所
発明者または考案者 【氏名】鈴木 和年
【氏名】張 明栄
【氏名】熊田 勝志
個別代理人の代理人 【識別番号】100066692、【弁理士】、【氏名又は名称】浅村 皓
【識別番号】100072040、【弁理士】、【氏名又は名称】浅村 肇
【識別番号】100107504、【弁理士】、【氏名又は名称】安藤 克則
【識別番号】100102897、【弁理士】、【氏名又は名称】池田 幸弘
審査官 【審査官】安田 周史
参考文献・文献 米国特許第05073643(US,A)
特開2004-298802(JP,A)
J. Org. Chem.,1983年,48(15),p.2534-2539
Tetrahedron,1997年,53(17),p.6097-6112
Organic Letters,2005年,7(18),p.3961-3964
J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1,1999年,(3),p.245-248
J. Organomet. Chem.,2003年,671,p.113-119
第45回 日本核医学会総会,2005年,p.363
J. Label. Compd. Radiopharm.,2003年,46(8),p.699-713
J. Chem. Soc., Chem. Commun.,1995年,(21),p.2215-2216
調査した分野 C07C 231/12
C07C 233/25
特許請求の範囲 【請求項1】
(A)一般式(1)
【化1】
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(式中、Xは、Br又はIであり;R、R、R、R及びRは、それぞれ同一でも異なってもよく、水素、アルキル基又はヘテロ原子を含有する官能基を表すが、但し、R、R、R、R及びRがすべて水素又はアルキル基である場合を除く)
のフェニルハライド化合物を、パラジウム触媒存在下、ヘキサブチル二スズと反応させて、
一般式(3)
【化2】
JP0004931181B2_000020t.gif

(式中、X、R、R、R、R及びRは上記と同じ意味を表し、R10はn-ブチル基を表す)
のフェニルスズ化合物を得る工程、
(B)一般式(4)
【化3】
JP0004931181B2_000021t.gif

(式中、Eはπ-電子系に対して電子を供与する官能基を表し、nは1、2、3、4又は5である)
のヨードベンゼン化合物を酸化し、次いでトルエンスルホン酸の一水和物と反応させることにより、一般式(5)
【化4】
JP0004931181B2_000022t.gif

(式中、Tsはトルエンスルホニル基を表し;E及びnは上記と同じ意味を表す)
のヒドロキシトシルヨードベンゼン化合物を得る工程、
(C)一般式(5)のヒドロキシトシルヨードベンゼン化合物を一般式(3)のフェニルスズ化合物と反応させることにより、一般式(6)
【化5】
JP0004931181B2_000023t.gif

(式中、R、R、R、R、R、E、n、Tsは上記と同じ意味を表す)
のジフェニルヨードニウム塩を得る工程、及び
(D)一般式(6)のジフェニルヨードニウム塩を[18F]Fと反応させることにより、一般式(7)
【化6】
JP0004931181B2_000024t.gif

(式中、R、R、R、R、Rは上記と同じ意味を表す)
18F標識フルオロベンゼン環を有する放射性リガンドを得る工程
を含む、一般式(7)の18F標識フルオロベンゼン環を有する放射性リガンドの合成法。
【請求項2】
が-NR(C=O)Rであり、Rが2,5-ジメトキシベンジル基であり、Rがメチル基であり、Rがフェノキシ基であり、R、R及びRが水素である、請求項1に記載の放射性リガンドの合成法。
【請求項3】
が-CHCH(NHR)COORであり、R及びRが-OR又は-OCORであり、RがC1-6アルキル基であり、R及びRが水素である、請求項1に記載の放射性リガンドの合成法。
【請求項4】
Rがメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル又はヘキシル基である、請求項3に記載の放射性リガンドの合成法。
【請求項5】
Eが-NR、-OR、-NHCOR、-NHSOR、-OCOR、-SR又は-R(ここでRは水素又は炭素数1-6のアルキル基である)である、請求項1に記載の放射性リガンドの合成法。
【請求項6】
nが1、2、3、4又は5である、請求項1に記載の放射性リガンドの合成法。
【請求項7】
n=1であり、1個のEがメトキシ基であり、Iに対してベンゼン環のパラ位に置換している、請求項1に記載の放射性リガンドの合成法。
【請求項8】
n=2であり、2個のEがいずれもメトキシ基であり、Iに対してベンゼン環のメタ位とパラ位に置換している、請求項1に記載の放射性リガンドの合成法。
【請求項9】
工程(B)において、一般式(4)のヨードベンゼン化合物を過酢酸あるいはホウ酸ナトリウム(酢酸中)にて過ヨウ素化合物とする、請求項1に記載の放射性リガンドの合成法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、18F標識フルオロベンゼン環を有する放射性リガンドの実用的な合成法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在まで18F標識フルオロベンゼン環を有する放射性リガンドを製造するにあたり、求電子性置換反応と求核性置換反応とが利用されている。
求電子性置換反応については、フェニルスズ誘導体が標識原料として使われている。また、フッ素試薬として、18Fフッ素ガスが利用されている。しかしながら、求電子性置換反応では標識効率及び反応収率が低いという欠点がある。また、放射性医薬品において重要なファクターとされる比放射能について、この反応によって得られる化合物の比放射能は低く、わずか数mCi/μmolである。
そのため、これらの欠点を補うため、18Fによるベンゼン環に対する求核性置換反応がしばしば利用されている。また、求電子置換反応に比べ、求核性の反応では、反応収率が高く得られた化合物の比放射能も高いレベルが期待できる。
しかし、本反応の最も大きい特徴として、ベンゼン環に置換基の有無あるいは位置と種類によって、反応の収率のみならず、進行の有無まで影響される。すなわち、ベンゼン環のパラ、あるいはオルトの位置に電子吸引性置換基(NO2、CN、CHO、COOMe、COOH)の存在が必要となる。また、脱離基として、NO2、Cl、Br、I、+NMe3などが必要となる。そのため、本反応を利用し、フルオロベンゼン環を有する放射性リガンドを製造すること、基質に対する要求が大きく、一般性が欠けるといえよう。
我々は18F標識フルオロベンゼン環を有する放射性リガンドを合成するため、ジフェニルヨードニウム塩と[18F]F-との反応を利用することを考えた。
従来、標識前駆体であるジフェニルヨードニウム塩の合成に種々な方法が報告されている。しかしながら、どの方法も酸化剤を使用するなどの過酷な条件で合成を行わなければならない。そのため、様々な複雑の構造を有する放射性リガンドを想定したジフェニルヨードニウム塩の合成は、従来法では困難である。実際、現在までジフェニルヨードニウム塩と[18F]F-との反応を利用した放射性リガンドの報告例はなく、簡単な(置換基:H、Me、Cl、OMe等)[18F]フルオロベンゼン誘導体の合成に止まっている。
【0003】
非特許文献1には、ヒドロキシ(トシルオキシ)ヨードベンゼンの製造法が記載されている。非特許文献2には、ジアリールヨードニウムトリフレート類の製造法が記載されている。非特許文献3には、ジアリールヨードニウムトリフレートと[18F]Fとの反応が記載されている。
【0004】

【非特許文献1】G. F. Koser et al., J. Org. Chem., 42, 1476 (1977)
【非特許文献2】T. Kitamura et al., Synthesis, 147 (1994)
【非特許文献3】V. W. Pike et al., J. Chem. Soc. Chem. Commun., 2215 (1995)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ジフェニルヨードニウム塩に対する[18F]F-の求核性置換反応を利用した、異なる位置に種々の置換基を有する18F標識フルオロベンゼン環を有する放射性リガンド及び放射性薬剤の実用的な合成法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上に述べたように、一般的に18F標識リガンドとして利用されている化合物は、激しい反応条件下では化学的に不安定で、生理あるいは薬理活性を失ってしまう場合が多い。旧来法では、標識リガンドとなる方のベンゼン環に過激な過酢酸などとの反応を行い、それにもう片方のベンゼン化合物(脱離基となる方)を反応させる方式であった。本発明の方法は、その逆で、脱離される側のベンゼン環の方にそのような過激な反応を行い、標識リガンドとなる方のベンゼン環とは穏和な条件で反応を遂行することが可能なため、比較的不安定なリガンドなどに対しても応用可能となっている。
本発明は、(A)一般式(1)
【化1】
JP0004931181B2_000002t.gif

(式中、Xは、Br又はIであり;R、R、R、R及びRは、それぞれ同一でも異なってもよく、水素、アルキル基又はヘテロ原子を含有する官能基を表すが、但し、R、R、R、R及びRがすべて水素又はアルキル基である場合を除く)
のフェニルハライド化合物を、金属マグネシウムと反応させ、グリニャール試薬とし、このグリニャール試薬を塩化スズで処理するか、又は、上記フェニルハライド化合物を、パラジウム触媒存在下、一般式(2)
【化2】
JP0004931181B2_000003t.gif

(式中、R10はアルキル基を表す)
のトリアルキルスズと反応させて、
一般式(3)
【化3】
JP0004931181B2_000004t.gif

(式中、X、R、R、R、RびR10は上記と同じ意味を表す)
のフェニルスズ化合物を得る工程、
(B)一般式(4)
【化4】
JP0004931181B2_000005t.gif

(式中、Eはπ-電子系に対して電子を供与する官能基を表し、nは1、2、3、4又は5である)
のヨードベンゼン化合物を酸化し、次いでトルエンスルホン酸の一水和物と反応させることにより、一般式(5)
【化5】
JP0004931181B2_000006t.gif

(式中、Tsはトルエンスルホニル基を表し;E及びnは上記と同じ意味を表す)
のヒドロキシトシルヨードベンゼン化合物を得る工程、
(C)一般式(5)のヒドロキシトシルヨードベンゼン化合物を一般式(3)のフェニルスズ化合物と反応させることにより、一般式(6)
【化6】
JP0004931181B2_000007t.gif

(式中、R、R、R、R、R、E、n、Tsは上記と同じ意味を表す)
のジフェニルヨードニウム塩を得る工程、及び
(D)一般式(6)のジフェニルヨードニウム塩を[18F]Fと反応させることにより、一般式(7)
【化7】
JP0004931181B2_000008t.gif

(式中、R、R、R、R、Rは上記と同じ意味を表す)
18F標識フルオロベンゼン環を有する放射性リガンドを得る工程
を含む、一般式(7)の18F標識フルオロベンゼン環を有する放射性リガンドの合成法を提供する。
【0007】
また、本発明は、一般式(4)
【化8】
JP0004931181B2_000009t.gif

(式中、Eはπ-電子系に対して電子を供与する官能基を表し、nは1、2、3、4又は5である)
のヨードベンゼン化合物を酸化し、次いでトルエンスルホン酸の一水和物と反応させることにより、一般式(5)
【化9】
JP0004931181B2_000010t.gif

(式中、Tsはトルエンスルホニル基を表し;E及びnは上記と同じ意味を表す)
のヒドロキシトシルヨードベンゼン化合物を得る方法を提供する。
【0008】
また、本発明は、一般式(5)のヒドロキシトシルヨードベンゼン化合物。
【化10】
JP0004931181B2_000011t.gif

(式中、Tsはトルエンスルホニル基を表し;Eはπ-電子系に対して電子を供与する官能基を表し、nは1、2、3、4又は5である)を提供する。
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
工程A
本工程は、(A)一般式(1)
【化11】
JP0004931181B2_000012t.gif

(式中、Xは、Br又はIであり;R、R、R、R及びRは、それぞれ同一でも異なってもよく、水素、アルキル基又はヘテロ原子を含有する官能基を表すが、但し、R、R、R、R及びRがすべて水素又はアルキル基である場合を除く)
のフェニルハライド化合物を、金属マグネシウムと反応させ、グリニャール試薬とし、このグリニャール試薬を塩化スズで処理するか、又は、上記フェニルハライド化合物を、パラジウム触媒存在下、一般式(2)
【化12】
JP0004931181B2_000013t.gif

(式中、R10はアルキル基を表す)
のトリアルキルスズと反応させて、
一般式(3)
【化13】
JP0004931181B2_000014t.gif

(式中、X、R、R、R、RびR10は上記と同じ意味を表す)
のフェニルスズ化合物を得る工程である。
【0011】
XはBr又はIであり、好ましくはBrである。
、R、R、R及びRは、それぞれ同一でも異なってもよく、水素、アルキル基又はヘテロ原子を含有する官能基を表すが、但し、R、R、R、R及びRがすべて水素又はアルキル基である場合を除く。
【0012】
ヘテロ原子とは、有機化学において炭素、水素以外の原子をいい、一般にO、N、S及びハロゲン原子をいう。
ハロゲン原子とは、F、Cl、Br及びI原子をいう。好ましくはF及びCl原子である。
アルキル基とは、たとえば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチルおよびヘキシル基などのC1-6アルキル基をいう。
ヘテロ原子を含有する官能基とは、アミノ基、アミノアルキル基、カルボニルアルキル基、アシル基、アシルオキシ基、カルボニル基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルアルキル基、アリールアミノ基、アルケニルオキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、ハロアルキル基、アリールオキシ基、アルアルコキシ基、アルアルキルチオ基、アルキレンジオキシ基、アシル基、アロイル基、アルキルスルホニル基、アルアルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アリールスルホニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アンモニオ基、複素環式基、複素環式カルボニル基などをいう。
アミノアルキル基の例は、アミノ-C1-6アルキル基である。アルキルアミノアルキル基の例は、C1-6アルキルアミノ-C1-6アルキル基である。カルボニルアルキル基の例は、カルボニルC1-6アルキル基である。アシル基の例は、ホルミル、アセチルなどのC1-4アシル基である。アルキルカルボニル基の例は、メチルカルボニル、エチルカルボニルなどのC1-6アルキルカルボニル基である。アルキルカルボニルアルキル基の例は、C1-6アルキルカルボニルC1-6アルキル基である。アリールアミノ基の例は、フェニルアミノ、ナフチルアミノ、ベンジルアミノ、インダニルアミノおよびインデニルアミノ基である。アルケニルオキシ基の例は、C2-6アルケニル-O-基である。アルコキシ基の例は、C1-6アルキル-O-基である。アルキルチオ基の例は、C1-6アルキル-S-基である。ハロアルキル基の例は、ハロゲン-C1-6アルキル基である。アリールオキシ基の例は、フェノキシ、ナフチルオキシ、ベンジルオキシ、インダニルオキシおよびインデニルオキシ基である。アルアルコキシ基の例は、フェニル-C1-4アルキル-O-基、ナフチル-C1-4アルキル-O-基、ベンジル-C1-4アルキル-O-基、インダニル-C1-4アルキル-O-基、インデニル-C1-4アルキル-O-基である。アルアルキルチオ基の例は、フェニル-C1-4アルキル-S-基、ナフチル-C1-4アルキル-S-基、ベンジル-C1-4アルキル-S-基、インダニル-C1-4アルキル-S-基、インデニル-C1-4アルキル-S-基である。アルキレンジオキシ基の例は、メチレンジオキシおよびエチレンジオキシ基などのC1-4アルキレンジオキシ基である。アシル基の例は、ホルミル、アセチルおよびブチリル基などのC1-6アシル基である。アロイル基の例は、フェニル-CO-基、ナフチル-CO-基、ベンジル-CO-基、インダニル-CO-基、インデニル-CO-基である。アルキルスルホニル基の例は、C1-6アルキル-SO2-基である。アルアルキルスルホニル基の例は、フェニルC1-6アルキル-SO2-基、ナフチルC1-6アルキル-SO2-基、ベンジル-C1-4アルキル-SO2-基、インダニルC1-6アルキル-SO2-基、インデニルC1-6アルキル-SO2-基である。アリールスルホニル基の例は、フェニル-SO2-基、ナフチル-SO2-基、ベンジル-SO2-基、インダニル-SO2-基、インデニル-SO2-基である。アリールスルホニルアミノ基の例は、フェニル-SO2NH-基、ナフチル-SO2NH-基、ベンジル-SO2NH-基、インダニル-SO2NH-基、インデニル-SO2NH-基である。アルキルスルホニルアミノ基の例は、C1-6アルキル-SO2NH-基である。ジアルキルアミノ基の例は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ基などの(C1-6アルキル)2N-基である。アンモニオ基の例は、トリメチルアンモニオおよびトリエチルアンモニオ基などのトリアルキルアンモニオ基である。
【0013】
また、複素環式基の例は、含窒素複素環式基、たとえば、ピロリル、ピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、テトラヒドロピリジル、ピリミジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、キノリル、キノリジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、キヌクリジニル、チアゾリル、テトラゾリル、チアジアゾリル、ピロリニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、プリニルおよびインダゾリル基などの該環を形成する異項原子として1つ以上の窒素原子を含み、さらに1つ以上の酸素原子または硫黄原子を含んでいてもよい5員もしくは6員環、縮合環または架橋環の複素環式基;並びにたとえば、フリル、チエニル、ベンゾチエニル、ピラニル、イソベンゾフラニル、オキサゾリル、ベンゾフラニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノキサリル、ジヒドロキノキサリニル、2,3-ジヒドロベンゾチエニル、2,3-ジヒドロベンゾピロリル、2,3-ジヒドロ-4H-1-チアナフチル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾ[b]ジオキサニル、イミダゾ[2,3-a]ピリジル、ベンゾ[b]ピペラジニル、クロメニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリダジニル、イソインドリルおよびイソキノリル基などの該環を形成する異項原子として1つ以上の酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい、窒素、酸素もしくは硫黄原子から選ばれる少なくとも1つ以上の異項原子を含有する5員もしくは6員環、縮合環または架橋環の複素環式基である。
そして複素環式カルボニル基とは、複素環式-CO-基を意味する。
以上の基は、アミノ基、C1-6アルキルアミノ基、カルボニル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルカルボニル基などの置換基を有してもよい。
【0014】
一般式(1)の化合物として最も好ましいのは、Rが-NR(C=O)Rであり、Rが2,5-ジメトキシベンジル基であり、Rがメチル基であり、Rがフェノキシ基であり、R、R及びRが水素である化合物、及び、Rが-CHCH(NHR)COORであり、R及びRが-OR又は-OCORであり、Rがたとえば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチルおよびヘキシル基などのC1-6アルキル基であり、R及びRが水素である化合物である。
【0015】
一般式(2)において、R10はアルキル基を表す。
アルキル基の例は、たとえば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチルおよびヘキシル基などである。好ましくはC1-6アルキル基、より好ましくはn-ブチル基である。
本工程は、有機化学合成反応において一般に用いられている方法により行うことができる。
【0016】
工程B
本工程は、(B)一般式(4)
【化14】
JP0004931181B2_000015t.gif

(式中、Eはπ-電子系に対して電子を供与する官能基を表し、nは1、2、3、4又は5である)
のヨードベンゼン化合物を酸化し、次いでトルエンスルホン酸の一水和物と反応させることにより、一般式(5)
【化15】
JP0004931181B2_000016t.gif

(式中、Tsはトルエンスルホニル基を表し;E及びnは上記と同じ意味を表す)
のヒドロキシトシルヨードベンゼン化合物を得るという工程である。
【0017】
π-電子系に対して電子を供与する官能基の例は、-NR、-OR、-NHCOR、-NHSOR、-OCOR、-SR、-R(ここでRは水素又は炭素数1-6のアルキル基である)である。nは1、2、3、4又は5であり、2以上であることが好ましい。nが2以上の場合、n個のEは各々同一であってもよく、異なっていてもよい。好ましいヒドロキシトシルヨードベンゼン化合物の例は、n=1であり、1個のEがメトキシ基であり、Iに対してベンゼン環のパラ位に置換しているもの、及び、n=2であり、2個のEがいずれもメトキシ基であり、Iに対してベンゼン環のメタ位とパラ位に置換しているものである。
本工程は、文献(G. F. Koser et al., J. Org. Chem., 42, 1476 (1977))などに記載された、一般に用いられている方法により行うことができる。例えば、一般式(4)のヨードベンゼン化合物を過酢酸あるいはホウ酸ナトリウム(酢酸中)にて過ヨウ素化合物とし、室温下アセトニトリル、エーテル中トシル酸の1水和物で処理する。電子供与性基を有するヒドロキシルヨードベンゼンが、空気中で分解するなど、不安定な場合には、1)すべての反応を窒素雰囲気中で行う、2)化合物を単離することなく次の反応に使用する、などの手段を用いることができる。
【0018】
工程C
本工程は、(C)一般式(5)のヒドロキシトシルヨードベンゼン化合物を一般式(3)のフェニルスズ化合物と反応させることにより、一般式(6)
【化16】
JP0004931181B2_000017t.gif

(式中、R、R、R、R、R、E、n、Tsは上記と同じ意味を表す)
のジフェニルヨードニウム塩を得るという工程である。
【0019】
本工程は、ヒドロキシトシルヨードベンゼン化合物とフェニルスズ化合物との反応に一般に採用されている方法及び条件により行うことができる。
【0020】
工程D
本工程は、(D)一般式(6)のジフェニルヨードニウム塩を[18F]Fと反応させることにより、一般式(7)
【化17】
JP0004931181B2_000018t.gif

(式中、R、R、R、R、Rは上記と同じ意味を表す)
18F標識フルオロベンゼン環を有する放射性リガンドを得るという工程である。
【0021】
本工程は、文献(V. W. Pike et al., J. Chem. Soc. Chem. Commun., 2215 (1995))などに記載された、一般に用いられている方法により行うことができる。
例えば、一般式(6)のジフェニルヨードニウム塩を[18F]Fと適当な溶媒(例、THF、DMF、DMSO、HMPA、Sulfone)中0~30分間加熱すると、[18F]PhFが50%程度の収率で得られる。また、マイクロウェーブ照射下DMSOを反応溶媒とすると、反応時間がわずか5 分でも[18F]PhFの収率が80%以上に達する(n>5)。
このようにして得られる18F標識フルオロベンゼン環を有する放射性リガンドは、有用な生理あるいは薬理活性を有し、生体機能の解明に使用できることが期待されるところである。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る合成法を用いることにより、様々な置換基をもち、生理あるいは薬理活性を有する放射性リガンドを対応することができる。今後、18F標識フルオロベンゼン環を有する放射性リガンドの製造に本標識法を利用していきたいと考えている。特に、[18F]FDOPA、[18F]DAA1106、[18F]Spiperone、[18F]Ketaserine、[18F]Flumazenil、[18F]Resperidoneなどの合成に使用できる。しかも、これら一連の反応は、条件が温和で、短時間で収率が高い、という利点がある。
【実施例】
【0023】
以下に、本発明の理解を更に容易にするために、例を挙げて更に詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものでないことは言うまでもない。
【0024】
例1:[2,5-ジメトキシベンジル)-N-(5-(18F)フルオロ-2-フェノキシフェニル)アセトアミド(以下[18F]DAA1106)の製造
1-1) N-(2,5-ジメトキシベンジル)-N-(5-ブロモ-2-フェノキシフェニル)アセトアミド(510 mg、 1.12 mmol)をトルエンに溶解し、ヘキサブチル二スズ(IV)とジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)を加え4日間回流させる。トルエン除去後、反応物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:4にて溶出)にて精製し、N-(2,5-ジメトキシベンジル)-N-(5-トリブチルスタニル-2-フェノキシフェニル)アセトアミド320 mg (43%)を得た。
FABMS C36H48FNO3Sn (m/z) 680.5 (m++1).
4-メトキシヨードベンゼンジアセテート (350 mg、 1 mmol)をCH3CN (5 mL)中に懸濁させ、氷冷下トシル酸-水和物(172 mg、 1 mmol)を滴下した。
滴下し終わったら、反応液中のジアセテートが溶解し、反応液の色が無色から黄色になったら、上記スズ化合物(681 mg、1 mmol)のCH3CN溶液(1 mL)を滴下した。反応液を室温で2時間攪拌し、CH3CNを除去した。残渣をエーテルとヘキサンなどの溶媒で結晶化を行い、ジフェニルヨードニウム塩化合物を得た。ここまでの操作はすべて窒素雰囲気下で行う。
上記ジフェニルヨードニウム塩化合物(5 mg)をDMSO(200 ml)に溶解し、 [18F]KF(5 mCi)/クリフトフィクスを入れ、80℃20 分加熱した。反応終了後、反応混合物を逆相セミ分離HPLC (YMC J’sphere ODS-H80カラム、10mmID×250mm)に注入した。移動相がCH3CN/H2O(6/4)で、流速が6mL/minで[18F]DAA1106のフラクションを取得した。本フラクションに対し、減圧下で溶媒を除去し、生理食塩水(1mL)に溶解し、0.22・m ミリポアフィルターを通過し、[18F]DAA1106(1.3 mCi、比放射能:4.5 Ci/μmol、放射化学純度:99%) を得ることができた。