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明細書 :照射計画装置、粒子線照射システム、及び、これらに用いるコンピュータプログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4877784号 (P4877784)
公開番号 特開2008-136523 (P2008-136523A)
登録日 平成23年12月9日(2011.12.9)
発行日 平成24年2月15日(2012.2.15)
公開日 平成20年6月19日(2008.6.19)
発明の名称または考案の名称 照射計画装置、粒子線照射システム、及び、これらに用いるコンピュータプログラム
国際特許分類 A61N   5/10        (2006.01)
FI A61N 5/10 P
請求項の数または発明の数 6
全頁数 11
出願番号 特願2006-322939 (P2006-322939)
出願日 平成18年11月30日(2006.11.30)
審査請求日 平成21年9月17日(2009.9.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301032942
【氏名又は名称】独立行政法人放射線医学総合研究所
発明者または考案者 【氏名】稲庭 拓
【氏名】古川 卓司
【氏名】佐藤 眞二
【氏名】野田 耕司
個別代理人の代理人 【識別番号】100080458、【弁理士】、【氏名又は名称】高矢 諭
【識別番号】100076129、【弁理士】、【氏名又は名称】松山 圭佑
【識別番号】100089015、【弁理士】、【氏名又は名称】牧野 剛博
審査官 【審査官】武山 敦史
参考文献・文献 特開2007-311125(JP,A)
特開2006-087649(JP,A)
特開2006-043235(JP,A)
特開2005-050823(JP,A)
特開2000-111700(JP,A)
特開平09-099108(JP,A)
国際公開第2005/120641(WO,A1)
調査した分野 A61N 5/10
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
加速器から出射された荷電粒子ビームを照射装置により照射対象に照射する粒子線照射システムの照射パラメータを決定する照射計画装置において、
前記粒子線照射システムに起因する照射誤差を推定する手段と、
該推定された照射誤差も加味して照射パラメータを決定する手段と、
を備えたことを特徴とする照射計画装置。
【請求項2】
前記粒子線照射システムが荷電粒子ビームの強度変調機能を具備する場合に、
前記照射パラメータを決定する手段が、
照射パラメータの仮値を繰り返し演算により算出する手段と、
該算出された照射パラメータの仮値に基づき荷電粒子ビームの強度を算出する手段と、
該算出された荷電粒子ビームの強度の条件下で、前記推定された照射誤差も加味して照射パラメータを決定する手段と、
を含むことを特徴とする請求項に記載の照射計画装置。
【請求項3】
前記照射誤差が、前記荷電粒子ビームの強度により前記照射対象の所定位置に照射する荷電粒子ビームの計画粒子数からの誤差を求めて、推定されたものであることを特徴とする請求項又はに記載の照射計画装置。
【請求項4】
前記照射対象の各照射スポットを前記照射装置によりスキャニング照射して行く場合に、前記計画粒子数からの誤差が、前記荷電粒子ビームの強度、前記照射スポット間の距離、及び、前記照射のスキャニング速度により推定されたものであることを特徴とする請求項に記載の照射計画装置。
【請求項5】
前記請求項乃至のいずれかに記載の照射計画装置を備えたことを特徴とする粒子線照射システム。
【請求項6】
加速器から出射された荷電粒子ビームを照射装置により照射対象に照射する粒子線照射システムの照射パラメータを決定するためのコンピュータプログラムであって、
前記粒子線照射システムに起因する照射誤差を推定するステップと、
該推定した照射誤差も加味して照射パラメータを決定するステップと、
を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、照射計画装置、粒子線照射システム、及び、これらに用いるコンピュータプログラムに関する。特に、放射線治療装置に用いるのに好適な、ターゲットでの平坦で一様な線量分布を保障しつつ、照射時間を短縮し、照射対象の負担を軽減できる照射計画装置、粒子線照射システム、及び、これらに用いるコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、荷電粒子ビームを用いた放射線照射は、動植物の放射線感受性を利用した品種改良や、物質の物理的変化及びがん治療等、広く使用されている。この荷電粒子ビームの照射方法の一つとして、3次元的に局所集中した線量分布を持つ荷電粒子ビームによるスポットビームによりターゲット部を3次元的に塗りつぶすように照射するスキャニング法がある。
【0003】
このスキャニング法では、設定された目標照射線量(目的線量とも称する)をターゲット部(例えば腫瘍部)に対し一様に照射できるように、照射計画装置(治療計画装置とも称する)により照射パラメータ(各スポットビームの照射位置・照射線量等)を最適化計算で決定し、この照射パラメータに基づき計画通りに照射することが求められている(非特許文献1)。
【0004】

【非特許文献1】M. Kramer et al, Treatment planning for heavy-ion radiotherapy: physical beam model and dose optimization, Phys. Med. Biol.45,pp3299-3317,2000
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、照射計画の計画通りに照射することは困難である。一般に計画値と実照射値との誤差はビーム強度に比例するため、従来はビーム強度を落とすことでこの誤差を無視できるレベルに低く抑えて計画通りに照射することが考えられてきた。
【0006】
しかし、ビーム強度を落とすことは、目標照射線量に達するのに要する時間、即ち照射時間が長引くことを意味する。この照射時間が長引くことによる照射対象への負担等を考慮すれば、照射時間をできるだけ短縮することが望ましい。特に、周期変動するターゲット部に、周期変動が少ない特定期間を利用して複数回スキャニング照射する際には、照射時間の短縮が更に必要となる。
【0007】
以上のように、照射誤差の低減と照射時間の短縮とはトレードオフの関係にあり、従来の技術では、計画通りに平坦で一様な線量分布を達成し、かつ照射時間を短縮することには限界があった。
【0008】
本発明は、前記従来の問題点を解消すべくなされたもので、ターゲットでの平坦で一様な線量分布を保障しつつ、照射時間を短縮し、照射対象の負担を軽減できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、加速器から出射された荷電粒子ビームを照射装置により照射対象に照射する粒子線照射システムの照射パラメータを決定する照射計画装置において、前記粒子線照射システムに起因する照射誤差を推定する手段と、該推定された照射誤差も加味して照射パラメータを決定する手段と、を備えたことで、前記課題を解決したものである。
【0011】
本発明は、又、前記照射計画装置を備えた粒子線照射システムを提供するものである。
【0012】
本発明は、又、加速器から出射された荷電粒子ビームを照射装置により照射対象に照射する粒子線照射システムの照射パラメータを決定するためのコンピュータプログラムであって、前記粒子線照射システムに起因する照射誤差を推定するステップと、該推定した照射誤差も加味して照射パラメータを決定するステップと、を含むことで、前記課題を解決したものである。
【0013】
本発明は、又、前記コンピュータプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供するものである。
【0014】
前記粒子線照射システムが荷電粒子ビームの強度変調機能を具備する場合に、前記照射パラメータの決定を、照射パラメータの仮値を繰り返し演算により算出し、該算出した照射パラメータの仮値に基づき荷電粒子ビームの強度を算出し、該算出した荷電粒子ビームの強度の条件下で、前記推定した照射誤差も加味して行うことができる。
【0015】
又、前記荷電粒子ビームの強度を、前記粒子線照射システムが照射可能なビーム強度テーブルに従い算出することができる。
【0016】
又、前記荷電粒子ビームの強度を、前記照射対象の照射スポット毎に算出することができる。
【0017】
又、前記荷電粒子ビームの強度を、前記照射対象を所定ビーム軸方向に分割した、その軸方向と交差するスライス領域毎に算出することができる。
【0018】
又、前記照射誤差を、前記荷電粒子ビームの強度により前記照射対象の所定位置に照射する荷電粒子ビームの計画粒子数からの誤差を求めて、推定することができる。
【0019】
又、前記照射対象の各照射スポットを前記照射装置によりスキャニング照射して行く場合に、前記計画粒子数からの誤差を、前記荷電粒子ビームの強度、前記照射スポット間の距離、及び、前記照射のスキャニング速度により推定することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、加速器や照射装置等の粒子線照射システムに起因する照射誤差を推定し、これを加味して照射パラメータを決定するようにしたので、ターゲットでの平坦で一様な線量分布を保障しつつ、照射時間の短縮を達成することができる。これにより、これまでの技術では照射時間を要し、照射対象の負担等があったため、実現が困難と考えられていた周期変動を伴うターゲット(例えば呼吸性変動を伴う臓器)へのスキャニング照射が可能となり、照射(例えば治療)を現実的な時間内に完了することが可能となる。
【0021】
特に、粒子線照射システムが荷電粒子ビームの強度変調機能を具備し、照射パラメータの仮値に基づいた荷電粒子ビームの強度の条件下で照射パラメータが決定される場合は、平均的なビーム強度を上げることができ、更に照射時間を短縮することが可能となる。
【0022】
又、荷電粒子ビームの強度を算出する際、ビーム強度テーブルを用いる場合は、計算時間の短縮を図ることができる。
【0023】
又、荷電粒子ビームの強度を、照射スポット毎又はスライス領域毎に算出する場合は、
ターゲットでの平坦で一様な線量分布の更なる保障を図ることができる。
【0024】
又、前記照射誤差を、照射対象の所定位置に照射する荷電粒子ビームの計画粒子数からの粒子数誤差(以下、漏れ線量と称する)として推定する場合や、照射装置によりスキャニング照射して行く際に漏れ線量として推定する場合は、粒子線照射システムにおける制御の遅延等による漏れ線量の影響を照射計画の最適化計算に反映させることが可能となる。
【0025】
又、前記漏れ線量を、荷電粒子ビームの強度により推定する場合は、ラスタスキャンやスポットスキャンといったスキャニング照射においても、簡便に照射誤差を推定することができる。
【0026】
又、前記漏れ線量を、荷電粒子ビームの強度、照射スポット間の距離、及び、照射のスキャニング速度により推定する場合は、簡便かつより正確に照射誤差を推定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0028】
図1は、本発明の第1実施形態に係る粒子線照射システムの全体構成を示す説明図である。
【0029】
図1に示される如く、粒子線照射システム20は、荷電粒子ビーム2を加速して出射する加速器22と、該加速器22から出射された荷電粒子ビーム2を輸送するビーム輸送系24と、該ビーム輸送系24を経た荷電粒子ビーム2を患者4の照射対象であるターゲット部6(例えば、腫瘍部)に照射する照射装置(スキャニング照射装置)30と、前記粒子線照射システム20を制御する制御装置40と、粒子線照射システム20の照射パラメータを決定する照射計画装置42とを備えている。
【0030】
前記加速器22は荷電粒子ビーム2の強度を調整するようになっている。
【0031】
前記照射装置30は、図2に詳細に示される如く、荷電粒子ビーム2をビーム進行方向(Z方向)に垂直な平面を形成するX-Y方向に偏向させるスキャニングマグネット32、34と、荷電粒子ビーム2の位置を監視する線量モニタ36と、Z方向の荷電粒子ビーム2の停止位置を調整するレンジシフタ38とを備え、ターゲット部6に対しスキャン軌道8に沿って荷電粒子ビーム2をスキャンするようになっている。
【0032】
前記制御装置40は、加速器22からの荷電粒子ビーム2の強度や、ビーム輸送系24内での荷電粒子ビーム2の位置修正や、照射装置30のスキャニングマグネット32、34によるスキャニングや、レンジシフタ38によるビーム停止位置等を制御するようになっている。
【0033】
前記照射計画装置42は、図1に示される如く、照射パラメータを決定するためのコンピュータのCPU42Aと、照射誤差も加味して照射パラメータを決定するようにコンピュータを機能させるためのプログラムと必要なデータとを記憶するメモリ部42Bと、前記メモリ部42Bのインターフェース44とを備えている。
【0034】
そして、照射計画装置42は、照射対象における各スポットビームの照射位置、照射線量(重み)等の最適な照射パラメータを算出するようになっていて、この照射パラメータに基づき、計画通りに粒子線照射システム20がスポットビームを照射するようになっている。
【0035】
照射方法として、図3に示される如く、計画位置に最適化された重みに従って、前記照射装置30によりスポットビームを照射することで、図4に示される如く、ターゲット領域Tに対し一様な線量分布の照射を与えるスキャニング照射法がよく用いられる。図3は、照射計画装置42の最適化計算により決定された各スポットビームの照射位置・重み分布を示す分布図である。図4は、照射装置30のスキャニング照射により得られる線量分布、即ち、各スポットビームの総和による線量分布である。
【0036】
次に、従来法を示す図5(A)を参照しながら、図5(B)に基づき、一例として患者の腫瘍に照射する場合を想定した第1実施形態の照射手順を説明する。
【0037】
まず、ステップS1で、X線等のCT撮影により腫瘍であるターゲット部6を特定する。
【0038】
このCT撮影に基づき、ステップS2で、医者が照射計画装置42にターゲット部6のターゲット領域Tを入力する。ターゲット領域Tが入力されたら、本発明による図5(B)のステップS13で照射計画装置42の照射計画部46により、最適化計算を行う。
【0039】
この最適化計算のステップS13では、加速器22や照射装置30等の粒子線照射システム20の性能に起因する、照射の計画値と実照射値との照射誤差を推定し、この推定した照射誤差も加味して、目的となる線量分布を達成するための照射パラメータを決定する。一方、図5(A)に示される如く、従来の照射計画装置10の照射計画部12におけるステップS3では、前記照射誤差を加味していない。
【0040】
線量分布が算出されたら、ステップS4で、ターゲット領域Tでの平坦度を判定する。ここで、平坦度は、例えば、ターゲット領域Tにおける設定された目標照射線量からの標準偏差の逆数とすることができる。
【0041】
平坦度が計画値より低いなら、ステップS13に戻り、照射パラメータを変えて、再度、線量分布を算出する。平坦度が計画値より高くなったら、ステップS5で、このときの照射パラメータを計画データとして制御装置40に入力する。この計画データに基づいて、ステップS6で、照射装置30によりターゲット部6に照射して腫瘍細胞を死滅させて治療を行う。
【0042】
このとき、加速器22や照射装置30等に起因する照射誤差があっても、計画通りの一様で平坦な線量分布を得ることができる。一方、従来法では、照射誤差を加味していないため、一様で平坦な線量分布を得ることができない。
【0043】
次に、本実施形態の照射計画について詳細に説明する。
【0044】
実際の治療では、照射計画に基づいて、この計画通りに照射することが必要であるが、従来の技術では、計画通りに照射することは難しかった。そこで、本発明者らは、鋭意研究の結果、加速器22や照射装置30等の性能が照射誤差の一要因であることを見出した。
【0045】
この研究結果に基づき、本実施形態の照射計画は、それらの性能に起因する照射誤差を推定し、この照射誤差を照射計画での各スポットビームの照射位置・照射線量の最適化計算に組み込むことで、照射誤差を積極的に利用している。
【0046】
例えば、図6に示される如く、照射範囲に計画された多数の照射位置(照射スポット)Sの一点ごとにスポットビーム軸を一旦停止させて照射していく、スポットスキャン照射では、所定位置へ照射される荷電粒子ビーム2の計画粒子数からの粒子数のオーバーによる線量誤差R1が照射誤差の原因となり、加速器22や照射装置30などの応答の遅れなどにより生じる。照射された荷電粒子ビーム2の粒子数は、(ビーム電流)×(照射時間)/(1粒子の電荷量)の関係から見積もることができることから、加速器22からの荷電粒子ビームの強度により推定される。
【0047】
一方、図7に示される如く、照射スポットSでビーム軸の動きを停止させないラスタスキャニング照射では、照射スポットS間に照射されてしまう漏れ線量R2も照射誤差の原因となる。ここで、図中8はスキャンの軌道を表す。
【0048】
この漏れ線量R2、即ち、照射対象の所定位置に向けて照射されたが、その所定位置内に計画通りに照射されなかった粒子数、即ち、漏れ粒子数による粒子数誤差は、加速器22や照射装置30等の応答の遅れ等により生じ、加速器22からの荷電粒子ビーム2の強度、照射スポットS間の距離、及び、照射装置30の照射のスキャニング速度により推定される。
【0049】
そして、推定された線量誤差R1及び漏れ線量R2を線量分布の算出に付加していくことで、照射誤差の影響を照射計画の最適化計算に反映させることが可能となっている。
【0050】
具体的には、各スポットビームの正確な線量、即ち、漏れ線量R2を加味して補正された線量の下、スキャニング照射した場合の線量分布を算出して平坦度を求める。平坦度が計画値より低いなら、照射パラメータを変え、漏れ線量R2も推定し直し、線量分布を算出して平坦度を求める。上記の手順を平坦度が計画値以下になるまで繰り返し、最適なパラメータを求めることで、漏れ線量R2の影響を照射計画の最適化計算に反映させることができる。
【0051】
次に、図8に、従来の照射計画、及び、本実施形態の照射計画に従う高強度のビーム照射により達成される線量分布計算の一例を示す。
【0052】
図8に示される如く、A-A断面のターゲット領域Tでの線量分布は、従来法(A)では傾いているが、本実施形態の照射計画(B)では、平坦になっている。又、B-B断面のターゲット領域Tでの線量分布は、従来法(A)では山なりにカーブしているが、本実施形態の照射計画(B)では、平坦になっている。
【0053】
この計算例のように高強度のビームにより照射時間を短縮することが求められる場合に、漏れ線量がビーム強度に比例する量であるので、漏れ線量に基づかない従来法の照射によって実際に得られる線量分布は、平坦ではなくなってしまう。このため、従来法では、平坦な線量分布によって治療効果を高めるのにビーム強度を弱くしていたため、照射時間が長引いていた。
【0054】
一方、本実施形態の照射計画では、最適化計算において照射誤差を加味しているため、高強度のビームでもターゲット領域Tにおいて平坦な線量分布が得られるので、照射時間の短縮が可能となり、患者の負担を軽減させることが可能となる。
【0055】
又、呼吸により周期変動するターゲット部6に、呼吸性変動が少ない特定期間(呼吸ゲート)を利用して複数回スキャニング照射する治療の際にも有効である。
【0056】
次に、本発明に係る第2実施形態の照射手順について図9に基づいて説明する。
【0057】
本実施形態は、図1に示した加速器22及び照射装置30がビーム強度変調の機能を有する場合において、照射パラメータを決定する手順である。具体的には、図5(B)に示した照射計画部46に対応する、図9に示される照射計画部56における手順である。
【0058】
まず、ターゲット領域を入力(ステップS2)したら、ステップS21で、小数回の繰り返し演算による第1の最適化計算を行い、照射パラメータの仮値を算出する。
【0059】
ここで、小数回の繰り返し演算とは、例えば、線量分布の平坦度が計画値より高くなるまで、演算を繰り返すのではなく、予め設定した回数で繰り返し演算を、打ち切ることである。
【0060】
次に、ステップS22で、この照射パラメータの仮値から、加速器22が照射可能なビーム強度テーブル58に従い、治療でのビーム強度を照射スポット毎に算出する。ここで、加速器22のビーム強度テーブル58は、照射パラメータとビーム強度との対応表であり、例えば予め実験等で求めておくことができる。又、照射スポット毎の代わりに、照射対象を所定ビーム軸方向に分割した、その軸方向と交差するスライス領域毎に、ビーム強度を算出することも可能である。
【0061】
ビーム強度が算出されたら、ステップS23で、そのビーム強度での照射を行うという条件の下で、加速器22や照射装置30等の性能を加味した本発明に係る第2の最適化計算を行う。
【0062】
このような手順をとることにより、照射スポット毎又はスライス領域毎に最適化されたビーム強度での治療が可能となり、更に照射時間を短縮することが可能となる。
【0063】
なお、平坦度の判定において、例えば、図7中の本来照射すべきでない場所(例えば、眼や生殖器)や照射スポット間での漏れ線量R2をできる限り少なくするという判定基準を加えてもよい。
【0064】
又、照射誤差は、線量誤差R1や漏れ線量R2の他に、ビーム位置のずれや、ビーム焦点のぼやけ等でもよい。
【0065】
又、スポットスキャン照射は、照射野全体を覆うスポットでビーム軸を動かすことなく照射する場合であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る第1実施形態の粒子線照射システムの全体構成を示す説明図
【図2】前記粒子線照射システムの照射装置の構成を示す説明図
【図3】前記粒子線照射システムの照射計画装置の最適化計算により決定された各スポットビームの照射位置・重み分布を示す分布図
【図4】前記照射装置のスキャニング照射により得られる線量分布を示す分布図
【図5】(A)従来の照射手順と(B)前記実施形態の照射計画装置を用いた照射手順との比較を示す説明図
【図6】スポットスキャニング照射における最適化計算への線量誤差を示す説明図
【図7】ラスタスキャニング照射における最適化計算への漏れ線量を示す説明図
【図8】(A)従来の照射計画及び(B)前記実施形態の照射計画による線量分布の比較を示す分布図
【図9】本発明に係る第2実施形態の照射手順を示す説明図
【符号の説明】
【0067】
2…荷電粒子ビーム
6…ターゲット部(照射対象)
20…粒子線照射システム
22…加速器
30…照射装置
42…照射計画装置
42A…CPU(コンピュータ)
42B…メモリ部(プログラム)
58…ビーム強度テーブル
R1…線量誤差(照射誤差)
R2…漏れ線量(照射誤差)
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8