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明細書 :放射性薬剤自動分注投与装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4984286号 (P4984286)
公開番号 特開2008-212201 (P2008-212201A)
登録日 平成24年5月11日(2012.5.11)
発行日 平成24年7月25日(2012.7.25)
公開日 平成20年9月18日(2008.9.18)
発明の名称または考案の名称 放射性薬剤自動分注投与装置
国際特許分類 A61M   5/14        (2006.01)
A61N   5/10        (2006.01)
G01T   1/161       (2006.01)
G21F   1/08        (2006.01)
FI A61M 5/14 345
A61N 5/10 Z
G01T 1/161 D
G21F 1/08
請求項の数または発明の数 5
全頁数 17
出願番号 特願2007-049945 (P2007-049945)
出願日 平成19年2月28日(2007.2.28)
審査請求日 平成22年1月18日(2010.1.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】301032942
【氏名又は名称】独立行政法人放射線医学総合研究所
発明者または考案者 【氏名】鈴木 和年
【氏名】鈴木 寿
個別代理人の代理人 【識別番号】100064414、【弁理士】、【氏名又は名称】磯野 道造
【識別番号】100111545、【弁理士】、【氏名又は名称】多田 悦夫
審査官 【審査官】岩田 洋一
参考文献・文献 特開2006-043212(JP,A)
特開平08-075618(JP,A)
実開平06-069899(JP,U)
特開2000-350783(JP,A)
調査した分野 A61M 5/14
A61N 5/10
G01T 1/161
G21F 1/08
特許請求の範囲 【請求項1】
異時的に複数の種類の放射性薬剤を用いることができ、これを自動的に分注して被検体に投与することのできる放射性薬剤自動分注投与装置であって、
移動させるための移動手段と、前記放射性薬剤を密封した容器を受け取る容器受取手段と、を備えた筐体内に、
放射線を遮蔽する放射線遮蔽体と、
前記容器受取手段の下方に設けられ、当該容器受取手段で受け取った容器を、移送手段を通じて容器保持部に移送させてこれを保持し、かつ当該容器保持部を、予め設定された複数の位置を自在に移動させる第1のアクチュエータを含んでなる容器保持移動手段と、
前記放射性薬剤を前記容器から分注するための分注ノズルと、この分注ノズルと接続され、前記放射性薬剤を前記容器から吸い出し、吸い出した当該放射性薬剤を、当該放射性薬剤を保持するための薬剤保持部で保持させ、かつ前記薬剤保持部から送出させる第2のアクチュエータと、を含んでなる薬剤保持手段と、
前記薬剤保持部と接続され、当該薬剤保持部から送出された前記放射性薬剤を被検体に投与するための投与手段と、
前記容器の蓋部材を洗浄する洗浄ノズルと、前記分注ノズルを洗浄する洗浄槽と、に接続され、前記洗浄ノズルおよび前記洗浄槽に前記洗浄液を送出する第3のアクチュエータと、を含んでなる洗浄手段と、
前記洗浄手段で用いた洗浄液を廃液として廃液容器に廃棄させる第4のアクチュエータを含んでなる廃棄手段と、
前記容器を前記筐体外へ取り出すための容器取出手段と、
を備え、
前記容器保持部、前記分注ノズル、前記薬剤保持部、前記洗浄ノズル、および前記廃液容器を前記放射線遮蔽体内に設け、
前記第1のアクチュエータ、前記第2のアクチュエータ、前記第3のアクチュエータ、および前記第4のアクチュエータのうち1つまたは2つ以上を前記放射線遮蔽体外に設けた
ことを特徴とする放射性薬剤自動分注投与装置。
【請求項2】
さらに、前記洗浄ノズルと前記分注ノズルに接続され、これらを移動させる第5のアクチュエータを備え、
当該第5のアクチュエータを前記放射線遮蔽体外に設けたことを特徴とする請求項に記載の放射性薬剤自動分注投与装置。
【請求項3】
前記移送手段および前記容器保持部のうちの少なくとも一方に、前記容器の割れを防止する割れ防止手段を設けたことを特徴とする請求項または請求項に記載の放射性薬剤自動分注投与装置。
【請求項4】
前記薬剤取出保持手段が、前記放射性薬剤の放射能量を検知するための放射能検出器を備えていることを特徴とする請求項から請求項のいずれか1項に記載の放射性薬剤自動分注投与装置。
【請求項5】
前記放射線遮蔽体が、鉛、鉄、ステンレス、劣化ウラン、タングステンよりなる群から選択された少なくとも一種を含んで作製されていることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか1項に記載の放射性薬剤自動分注投与装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性薬剤を自動的に分注して被検体に投与することのできる放射性薬剤自動分注投与装置に関し、より詳しくは、配管内等を洗浄することによって異時的に複数の種類の放射性薬剤を用いることができ、これを自動的に分注して被検体に投与することのできる放射性薬剤自動分注投与装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、被検体の生体内におけるがん細胞などの病変部位を検出する装置としてPET検査(Positron Emission Tomography)がある。PET検査は、がん細胞などの病変部位に蓄積しやすいFDG(fluorodeoxyglucose)などの薬剤の元素の一部を、陽電子を放出する18Fなどの放射性同位元素で置換したもの(例えば、18F-FDG)を被検体に投与し、所定時間経過後に生体内に拡散し、特定の部位に蓄積した当該薬剤に含まれる放射性同位元素の陽電子に起因するγ線を検出することでがんなどの病変部位を検出する。
【0003】
従来、PET検査で用いられる放射性同位元素を含んでなる薬剤は、通常、病院などにおいて被検体に投与する処置室に近接して設けられたサイクロトロンなどの加速器を用いて複数人分まとめて製造される。そして、ホットラボ室で必要分量をバイアルなどの容器に分注した後、ホットラボ室から処置室まで作業者の手によって運搬されるか、あるいはワゴンに載せて運搬される。そして、運搬された薬剤を看護士や放射線技師が必要量分注するなどして、医師が被検体に直接投与するか、分注した薬剤をシリンジに入れ、これを投与装置にセットして投与するか、薬品会社からデリバリーされてきた薬品をそのまま投与装置にセットして投与していた。
しかし、このような手順を踏んで放射性薬剤を被検体に投与すると、医師や看護士、放射線技師などの術者が被ばくする危険性があった。
【0004】
このような問題を解決するため、例えば、特許文献1には、図4に示すように、主として、放射性同位元素(特許文献1では放射性核種と記載)で標識された放射性薬剤を合成する薬剤合成手段(薬剤合成部910)と、所定の投与量で前記放射性薬剤を投与するための薬剤投与手段(薬剤投与部913)と、前記放射性薬剤のサンプルを分注するサンプル分注手段(サンプル分注部914)と、前記薬剤合成手段に対して前記薬剤投与手段及び前記サンプル分注手段のそれぞれを接続するとともに、前記放射性薬剤の前記薬剤投与手段への移送、及び前記サンプル分注手段への移送を切換え可能に構成された薬剤移送手段(薬剤移送部911)とを備えてなる放射性薬剤合成投与装置900が記載されている。なお、図4は、従来の放射性薬剤合成投与装置の構成を示す図である。
かかる発明によれば、放射性同位元素を含んでなる薬剤の輸送等の作業を簡単化することができる結果、医師や看護士などの術者が被ばくする危険性を低減することが可能である旨が記されている。

【特許文献1】特開2005-230366号公報(請求項1、段落0018~0028、段落0038~0050、図1~3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この放射性薬剤合成投与装置900は、当該文献中に明記されているように、サイクロトロンと直接接続されており、サイクロトロンで生成した放射性核種を直接用いて放射性薬剤を合成し、必要量分注して被検体に投与するものである。
つまり、この放射性薬剤合成投与装置900は、処置室に設置して用いることが前提とされているために、軽量化を図る必要がなく、当該装置900の外装内側のほぼ全面に、鉛などの比重の重い放射線を遮蔽するための放射線遮蔽体を設けているので、重量が非常に重くなっている。
【0006】
結果的に、放射性薬剤合成投与装置900は、放射性薬剤を投与する際における術者と被検体の便宜についてはあまり考慮されていなかったので、例えば、被検体の右手側に当該装置が設置されている場合などにおいて、被検体の左手側に薬剤を投与したいと所望したときや、処置室内において、当該装置から離れた場所で被検体に薬剤を投与したいと所望したときに扱いにくいという問題があった。
【0007】
また、放射性薬剤合成投与装置900は、放射性薬剤の合成から投与までを行うので製品寸法が大きくならざるを得ず、また、前記したように重量も重くなるので、例えば、PET装置と同室に設置して使用することが困難な場合が多かった。
【0008】
本発明は前記課題に鑑みてなされたものであり、処置室内において任意の位置まで容易に移動させることができて、取扱いやすい放射性薬剤自動分注投与装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは前記課題を解決するため鋭意研究した結果、放射線遮蔽体の構成と、これによって被覆される部材の構成と、を適切なものとすることで大幅に軽量化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
記課題を解決した本発明に係る放射性薬剤自動分注投与装置は、異時的に複数の種類の放射性薬剤を用いることができ、これを自動的に分注して被検体に投与することのできる放射性薬剤自動分注投与装置であって、移動させるための移動手段と、前記放射性薬剤を密封した容器を受け取る容器受取手段と、を備えた筐体内に、放射線を遮蔽する放射線遮蔽体と、前記容器受取手段の下方に設けられ、当該容器受取手段で受け取った容器を、移送手段を通じて容器保持部に移送させてこれを保持し、かつ当該容器保持部を、予め設定された複数の位置を自在に移動させる第1のアクチュエータを含んでなる容器保持移動手段と、前記放射性薬剤を前記容器から分注するための分注ノズルと、この分注ノズルと接続され、前記放射性薬剤を前記容器から吸い出し、吸い出した当該放射性薬剤を、当該放射性薬剤を保持するための薬剤保持部で保持させ、かつ前記薬剤保持部から送出させる第2のアクチュエータと、を含んでなる薬剤保持手段と、前記薬剤保持部と接続され、当該薬剤保持部から送出された前記放射性薬剤を被検体に投与するための投与手段と、前記容器の蓋部材を洗浄する洗浄ノズルと、前記分注ノズルを洗浄する洗浄槽と、に接続され、前記洗浄ノズルおよび前記洗浄槽に前記洗浄液を送出する第3のアクチュエータと、を含んでなる洗浄手段と、前記洗浄手段で用いた洗浄液を廃液として廃液容器に廃棄させる第4のアクチュエータを含んでなる廃棄手段と、前記容器を前記筐体外へ取り出すための容器取出手段と、を備え、前記容器保持部、前記分注ノズル、前記薬剤保持部、前記洗浄ノズル、および前記廃液容器を前記放射線遮蔽体内に設け、前記第1のアクチュエータ、前記第2のアクチュエータ、前記第3のアクチュエータ、および前記第4のアクチュエータのうち1つまたは2つ以上を前記放射線遮蔽体外に設けたことを特徴とする。
【0013】
かかる構成を有する本発明の放射性薬剤自動分注投与装置は、高い放射能量を有する放射性薬剤が保持または通過する構成要素、つまり、主として、容器保持部、分注ノズル、薬剤保持部、洗浄ノズル、および廃液容器を放射線遮蔽体の内側に収め、これらの構成要素に接続等された複数のアクチュエータのうちの少なくとも1つを放射線遮蔽体の外側に配置することによって、重量のかさむ放射線遮蔽体の使用量を減らすことが可能となり、従来よりも大幅に軽量化された、放射性薬剤を自動的に分注して被検体に投与するための装置を確実に具現することができる。
【0014】
本発明の放射性薬剤自動分注投与装置は、さらに、前記洗浄ノズルと前記分注ノズルに接続され、これらを移動させる第5のアクチュエータを備え、当該第5のアクチュエータを前記放射線遮蔽体外に設けるのが好ましい。
このような構成の放射性薬剤自動分注投与装置とすれば、簡易な構成で軽量化を図りつつ、アクチュエータを放射線遮蔽体の外側に設けているので、放射線遮蔽体の使用量を減らすことが可能となり、より軽量化することができる。
【0015】
本発明の放射性薬剤自動分注投与装置において、前記移送手段および前記容器保持部のうちの少なくとも一方に、前記容器の割れを防止する割れ防止手段を設けるのが好ましい。
このような構成の放射性薬剤自動分注投与装置とすれば、放射性薬剤の密封された容器が容器受取手段で受け取られて、容器保持部に移送されるまでの間に割れてしまうなどといった危険性を減じることができる。
【0016】
本発明の放射性薬剤自動分注投与装置において、前記薬剤取出保持手段が、前記放射性薬剤の放射能量を検知するための放射能検出器を備えているのが好ましい。
このような構成の放射性薬剤自動分注投与装置とすれば、投与する放射性薬剤の放射能量を正確かつ迅速に検知することができるので、適切な投与量の放射性薬剤を被検体に投与することができる。
【0017】
本発明の放射性薬剤自動分注投与装置において、前記放射線遮蔽体は、鉛、鉄、ステンレス、劣化ウラン、タングステンよりなる群から選択された少なくとも一種を含んで作製されているのが好ましい。
放射線を遮蔽する能力の高いこれらの材質を用いて放射線遮蔽体を構成すれば、放射線遮蔽体の厚さ寸法を小さくすることができる。これにより、本発明の放射性薬剤自動分注投与装置の小型化を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の放射性薬剤自動分注投与装置によれば、従来の放射性薬剤を投与するための装置よりも大幅に軽量化することができる。
そのため、本発明の放射性薬剤自動分注投与装置は、筐体に備えた移動手段によって、容易に移動させることが可能となり、処置室内において任意の位置まで容易に移動させることができる。したがって、取扱いやすい放射性薬剤自動分注投与装置を提供することができる。
また、本発明の放射性薬剤自動分注投与装置によれば、製品寸法を小さくすることができるので、例えば、PET装置と同室に設置して使用することが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、適宜図面を参照して本発明に係る放射性薬剤自動分注投与装置について詳細に説明する。参照する図面において図1は、本発明に係る放射性薬剤自動分注投与装置の構成内容を説明する図である。図2は、本発明に係る放射性薬剤自動分注投与装置の一構成例を示す図である。
【0020】
図1および図2に示すように、この放射性薬剤自動分注投与装置1は、異時的に複数の種類の放射性薬剤を用いることができ、これを自動的に分注して被検体Hに投与することのできる放射性薬剤自動分注投与装置1であって、外装となる筐体11内に、放射線を遮蔽する放射線遮蔽体12と、放射性薬剤Xを分注して保持する薬剤保持手段4と、薬剤保持手段4から送出された放射性薬剤Xを被検体に投与する投与手段5と、複数のアクチュエータと、を備え、複数のアクチュエータのうち1つまたは2つ以上を、放射線遮蔽体12外に設けた構成となっている。
ここで、異時的に複数の種類の放射性薬剤を用いるとは、例えば、ある種類の放射性薬剤を分注して投与し、洗浄して乾燥させた後、他の種類の放射性薬剤を分注して投与し、洗浄して乾燥させるというように、時間を違えて、複数の種類の放射性薬剤(同じ種類の放射性薬剤を2回以上連続して用いた場合は、同じ種類の放射性薬剤である場合を含む。)を用いることをいう。
【0021】
より具体的には、本発明に係る放射性薬剤自動分注投与装置1は、図1および図2に示すように、移動させるための移動手段9(図2参照)を備えた筐体11内に、主として、放射線遮蔽体12と、容器受取手段2(図2参照)と、容器保持部32を備えた容器保持移動手段3(図2参照)と、分注ノズル41および薬剤保持部44を備えた薬剤保持手段4(図2参照)と、投与手段5と、洗浄ノズル62と洗浄槽61を備えた洗浄手段6と、廃液容器71を備えた廃棄手段7と(図2参照)、容器取出手段8(図2参照)と、を備えた構成となっている。
そして、放射性薬剤自動分注投与装置1は、容器保持部32、分注ノズル41、薬剤保持部44、洗浄ノズル62、および廃液容器71などの、放射性薬剤Xが通過、保持される、望ましくは最小構成要素を放射線遮蔽体12内に設け、当該装置に備えられる複数のアクチュエータのうち1つまたは2つ以上を放射線遮蔽体12外に設けた構成となっている。
かかる構成について、後記に詳述する。
【0022】
ここで、放射線遮蔽体12は、放射線を遮蔽する役割を担うが、材質が鉛などの重金属を使用することが多く、その重量は非常に重いものである。
つまり、本発明の放射性薬剤自動分注投与装置1は、この放射線遮蔽体12をできる限り小さくすることで軽量化を図っている。
以下、図1および図2を参照して、各構成について詳細に説明する。
【0023】
容器受取手段2は、放射性薬剤Xを密封した容器22を受け取る。具体的には、容器受取手段2は、複数の種類の放射性薬剤Xの中から任意に選択された一の放射性薬剤Xが、挿通可能な部位を有する蓋部材21を備えた容器22に密封された状態で適宜の輸送手段Tによって輸送され、当該容器受取手段2では、輸送手段Tによって輸送されてきた容器22を受け取る。なお、複数の種類の放射性薬剤Xについては後記で説明する。
【0024】
ここで、適宜の輸送手段Tとしては、例えば、特開2001-199542号公報や特開2001-199543号公報に記載されている搬送システムを好適に適用することができる。かかる搬送システムによれば、放射性薬剤Xの入った容器22を、近設されたホットセルなどから自動的に輸送し、当該容器受取手段2によって受け取ることが可能である。しかし、これに限定されるものではなく、例えば、近設されたホットセルなどからコンベア等によって輸送することもできるほか、術者が手に持ったり、ワゴンに載せたりして輸送し、当該容器受取手段2にセットすることも可能であることはいうまでもない。
【0025】
また、挿通可能な部位を有する蓋部材21を備えた容器22としては、放射性薬剤Xを密封して保存するために通常用いられるバイアルに、分注ノズル41などを挿通することのできるシリコンやゴムなどを蓋部材21に取り付けたものを好適に用いることができる。
【0026】
容器保持移動手段3は、容器受取手段2の下方に設けられ、容器受取手段2で受け取った容器22を、移送手段31で容器保持部32に移送させてこれを保持するものである。移送手段31は、容器受取手段2で受け取った容器22を容器保持部32に移送できればよく、例えば、容器受取手段2から容器保持部32まで繋がった、内径が容器22よりも若干大きい連通路などの筒状の案内部材とすると、容器22を移送させるアクチュエータなどが不要となるため好適である。しかし、本発明ではこれに限定されるものではなく、容器22を移送させるアクチュエータを備えた移送手段としてもよいことはいうまでもない。
【0027】
ここで、この移送手段31または容器保持部32には、これらのうちの少なくとも一方に、容器22が割れるのを防止する割れ防止手段を設けるのが好ましい。このような割れ防止手段としては、例えば、容器22の移送速度(落下速度)を減じることのできる減速手段を備えるとよい。減速手段としては、例えば、移送手段31の少なくとも一部を略「く」字状に曲折させた曲折部31aを形成したり、緩やかなカーブを備えるように形成したりするほか、容器保持部32の近傍で移送手段31の内径を若干小さくしたりしてもよい。なお、移送手段31に曲折部31aを形成する場合は、その曲折させる角度δを10~30°とするとよい。
【0028】
また、割れ防止手段としては、例えば、容器22と容器保持部32が衝突しやすい箇所をスポンジやシリコンゴム、天然ゴムなどの弾性部材で被覆してもよい。この場合、容器22および容器保持部32の少なくとも一方に弾性体部材を設ければよいが、両方に設けるとより好ましい。
【0029】
そして、容器保持手段3は、容器22に入った放射性薬剤Xを全量採集することができるように、容器22を水平位置から適宜の角度θ傾斜できるようにするとよい。このようにすれば、放射性薬剤Xを取り出す分注ノズル41の先端が、傾斜した容器22の一番低い位置に配置することができる。この角度θは、15~30°とするとよい。
【0030】
また、この容器保持移動手段3は、電動モータ40などの第1のアクチュエータA1に接続されることで、容器受取手段2から移送された容器22を容器保持部32で受け取り、これを保持するためのポジションP1、分注ノズル41で放射性薬剤Xを取り出すためのポジションP2、および容器22を放射線遮蔽体12および筐体11外に取り出すためのポジションP3、を摺動自在に構成されている。そして、それぞれのポジションP1,P2,P3で前記したように、容器22を受け取って保持し、分注ノズル41で放射性薬剤Xを取り出し、容器22を放射線遮蔽体12および筐体11外に取り出すなどの所定の動作を行う。なお、この第1のアクチュエータA1は、放射線遮蔽体12外に設けると、放射線遮蔽体12の使用量が減るので、放射性薬剤自動分注投与装置1の軽量化を図ることができるので好ましい。
【0031】
なお、第1のアクチュエータA1と容器保持部32とは、例えば、放射線遮蔽体12の一部を切り欠いて形成した切欠溝(図示せず)を通じて連結部材(図示せず)等で連結している。そのため、容器保持部32をこの切欠溝に沿って予め設定されたポジションP1,P2,P3を摺動させることができる。放射線が漏れるのを防ぐため、切欠溝の形状は、いわゆるインロー形状とするのが好ましく、連結部材もこれに合った形状とするのが好ましい。
また、ポジションP1~P3は、前記した内容に限定されるものではなく、それぞれの位置を相互に入れ換えて構成してもよく、また、ポジションの数を減じたり、増やしたりしてもよい。
【0032】
容器保持部32は、例えば、図2に示すように、容器22を保持することのできる高さを有し、かつ容器22が通過可能なように容器22よりも若干大きい径を有する無底の円筒状のホルダとするとよい。このようにすると、この容器保持部32を、後記するように容器22を放射線遮蔽体12外へ取り出すための穴部12b(図2参照)が設けられた放射線遮蔽体12の底部分12a上を摺動自在に設けることによって、当該容器22を放射線遮蔽体12および筐体11外、つまり、放射性薬剤自動分注投与装置1外へと取り出すことができる。詳しくは、後記する。
【0033】
薬剤取出保持手段4は、容器保持手段3で保持された容器22の挿通可能な部位に、チューブ42aと接続されている分注ノズル41を、好ましくは、容器22内に空気を導入して通気させる通気ノズル(不図示)とともに挿通し、分注量と容器への通気量とのバランスを調整しながら放射性薬剤Xを吸い出し、吸い出した放射性薬剤Xを薬剤保持部44で保持する。
なお、本発明の放射性薬剤自動分注投与装置1は、容器22から放射性薬剤Xを吸い出すための分注ノズル41や薬剤保持部44、その他、放射性薬剤Xが通過する部分などを洗浄することで、放射線遮蔽体12内の部品(例えば、チューブ42a、42b、後記するチューブ55などのディスポーザブル部品)を交換することなく、速やかに異なる種類の放射性薬剤を交換して、これを分注し、投与することができる。
【0034】
薬剤保持部44としては、分注ノズル41と接続されているチューブ42aと、三方活栓や四方活栓などの切替弁43を介して接続されているチューブ42bを放射性薬剤保持用に長さ寸法を長く設定し、巻回してループを形成したループ部44aを好適に示すことができる。
つまり、容器22から取り出された放射性薬剤Xは、分注ノズル41からチューブ42a、切替弁43を経てループ部44aまで吸引等されて保持される。なお、本発明においてはこれに限定されることはなく、ループ部44aの代わりに放射性薬剤Xを保持する容器などを用いることもできる。
【0035】
この切替弁43は、その一つがチューブ42aを介して放射性薬剤Xを取り出す分注ノズル41に接続され、他の一つが放射性薬剤Xを保持するループ部44aと接続され、さらに他の一つが後記する投与手段5に接続されている。なお、ループ部44aを形成しているチューブ42bの他端は、放射性薬剤Xを取り出したり、人間や動物などの被検体Hへの投与のための気圧を調整したりする気圧調整手段45に接続されている。
ここで、放射性薬剤Xを容器22から取り出す手段としては、気圧調整手段45による気圧の操作によって吸引することを好適に例示することができる。
【0036】
気圧調整手段45としては、容器22内の放射性薬剤Xや容器48内の生理食塩水PSSを短時間で大量に吸引/吐出することを可能とするとともに、少量の放射性薬剤Xや洗浄液Wを吸引/吐出することができるように、例えば、50ml容のシリンジ45aと、5ml容のシリンジ45bと、を用いて、それぞれを切替弁46a,46bを介して直列に接続することを例示することができる(図1参照)。なお、これらのシリンジ45a,45bは、それぞれ独立してシリンジモータ45Sなどの第2のアクチュエータA2によって動作させるのが好ましい。また、このシリンジモータ45Sを放射線遮蔽体12外に設けると、放射線遮蔽体12の使用量が減り、軽量化を図ることができるのでより好ましい。
【0037】
なお、図1に示すように、例えば、50ml容のシリンジ45aの切替弁46aの他の接続口は、チューブ42cおよび切替弁47を介して生理食塩水PSSや蒸留水DWの入った容器48と接続されており、また、さらに他の接続口には、チューブ42dとバルブ49を介してNガスなどのエア吹き込み口と接続されている。
このような構成とすれば、切替弁43,46a,46b,47およびバルブ49を適宜に制御することによって、容器22に収められている放射性薬剤Xの所定量をループ部44aまで吸引し、さらに後記するように適宜の量をもって放射性薬剤Xを被検体Hに投与することができる。また、必要に応じてNガスを利用することで、生理食塩水PSSなどを適宜の流速で吐出することも可能である。
【0038】
この分注ノズル41(および、通気ノズル)は、放射性薬剤Xの入った容器22に挿入するために上下動できるようになっている(図2参照)が、これに限定されるものではなく、例えば、容器保持部32を上下動させるようにしてもよい。
分注ノズル41を上下動させる場合、分注ノズル41と接続されるチューブ42aは、形状弾性を有することが好ましく、フッ素樹脂などの合成樹脂で形成するのが好ましい。このような分注ノズル41の上下動は、例えば、電動モータなどのアクチュエータ45S’(図2参照)に接続することで行うことができる。なお、このようなアクチュエータ45S’も、放射線遮蔽体12の外側に配置することが好ましいことはいうまでもない。
【0039】
なお、この薬剤取出保持手段4に用いられるチューブ42aの一部には、被検体Hに投与する放射性薬剤Xの正確な放射能量を検知するための放射能検出器RDを設けるのが好ましい。このような放射能検出器RDとしては、放射線を検出するために通常用いられる比例計数管、GM計数管、シンチレーション検出器、半導体検出器などを好適に用いることができる。放射能検出器RDは、図示しない制御部に接続されているのが好ましい。放射能検出器RDで検知した放射能量をもとにこの制御部で放射性薬剤Xの投与量を算出し、その算出結果にしたがって、第2のアクチュエータA2を作動させて後記する投与手段5により被検体Hに放射性薬剤Xを投与することができる。
【0040】
投与手段5は、薬剤取出保持手段4で取り出して保持している放射性薬剤Xを、注射針51などを介して被検体Hに投与するものである。そのため、投与手段5で用いる注射針51は、被検体Hごとに交換する。したがって、この注射針51、およびこれを接続するためのバルブ(例えば、切替弁52)は、ディスポーザブルのものを用いると好適である。また、被検体Hに近いチューブ53についても注射針51と同様に、被検体Hごとに交換するのが好ましいので、放射性薬剤自動分注投与装置1から延出しているチューブ55、53にジョイント部54を設け、当該ジョイント部54でディスポーザブルのチューブ53と、切替弁43と接続されているチューブ55と、を着脱できるようにするとよい。
放射性薬剤Xを投与する操作自体は、正確な量の放射性薬剤Xを吸引し投与することが求められていることから、主として前記した5ml容のシリンジ45bと、これを動作させるシリンジ駆動手段45Sを用いて吸引し、投与することが好ましい。
【0041】
洗浄手段6は、容器22の蓋部材21および分注ノズル41を洗浄するものである。
そのため、洗浄手段6は、容器22の蓋部材21を洗浄する洗浄ノズル62と、分注ノズル41を洗浄する洗浄槽61と、洗浄ノズル62および洗浄槽61に洗浄液Wを送出する第3のアクチュエータA3と、この第3のアクチュエータA3と接続された、洗浄液Wを貯留するための洗浄液貯留容器64と、を含んで構成されている。
第3のアクチュエータA3は、容器22の蓋部材21を洗浄する洗浄ノズル62と切替弁66bを介して接続され、また、分注ノズル41を洗浄する洗浄槽61と切替弁67cを介して接続されているので、これらの切替弁66b、67cを適宜に操作することによって、洗浄ノズル62および/または洗浄槽61に洗浄液Wを送出することができる。
【0042】
この洗浄手段6は、分注ノズル41に付着した洗浄液Wを乾燥させるためエアを吹き付けるエアノズル63を有していると、速やかに分注ノズル41や蓋部材21を乾燥させることができるので、異時的に、異なる種類の放射性薬剤を早期に使用することが可能となり好適である。エアノズル63は、バルブ67aを介して放射性薬剤自動分注投与装置1外からNガスが供給されるようにするとよい。
【0043】
第3のアクチュエータA3としては、電動ポンプ65などを例示することができ、第3のアクチュエータA3とバルブ66bを操作することによって、洗浄液Wを送液させ、吐出させることができる。なお、この洗浄ノズル62は、バルブ67bを介してNガスが供給されるようになっており、バルブ67bの操作によってNガスを吐出させることもできる。これにより、洗浄後の容器22や洗浄槽61を速やかに乾燥させることができる。
【0044】
そして、本発明においては、洗浄手段6のうち、アクチュエータA3と洗浄液貯留容器64を放射線遮蔽体12外に設けるのが好ましい。このようにすると放射線遮蔽体12の使用量を減らすことができる。つまり、放射性薬剤自動分注投与装置1の軽量化を図ることができる。
本発明で用いる洗浄液Wとしては、例えば、エタノール、消毒用エタノール、生理食塩水、蒸留水などを用いることができる。
【0045】
また、洗浄槽61は、上面に大きく開口した開口部61aを有し、当該開口部61a付近に前記したエアノズル63が配置される。
また、洗浄槽61は、この開口部61aの他にも、同一の底部から立設された、高さの低い壁部61bを有しており、内側と外側の二つの部分に区分された二重隔壁構造となっている。そして、当該壁部61bの外側の区分(導入区分61e)の底部に、洗浄液Wを導入するための洗浄液導入口61cが設けられ、壁部61bの内側の区分(洗浄排出区分61f)の底部に、洗浄に用いた洗浄液Wを廃液として排出するための排出口61dが設けられている。そして、これら洗浄液導入口61cおよび排出口61dは、それぞれに接続されているチューブ66c,66dにそれぞれバルブ67c,67dが設けられており、これらのバルブ67c,67dを適宜開閉することによって、洗浄液Wの導入や、洗浄に用いた洗浄液Wの排出などを行うことができる。
【0046】
つまり、洗浄液Wは、導入区分61eの底部に接続された洗浄液導入口61cから導入され、さらに導入を続けることにより、壁部61bを越えて洗浄排出区分61fに流入し、ここにストックされる。分注ノズル41の洗浄は、洗浄排出区分61fにストックされた洗浄液Wに浸漬することで行い、洗浄に用いられた洗浄液Wは、廃液として排出口61dから排出される。
【0047】
また、投与されなかった放射性薬剤Xは、分注ノズル41およびシリンジ駆動手段45Sにより、容器22より吸引され、洗浄排出区分61fに排出される。さらに容器22中に残存する微量の放射性薬剤Xを容器48の生理食塩水PSSで洗浄し、同様に洗浄排出区分61fより排出することができる。結果として、使用済み容器22を安全に外部に取り出すことができる。
【0048】
廃棄手段7は、分注ノズル41の洗浄に用いられた洗浄液Wを廃棄したり、投与されなかった放射性薬剤Xを廃棄したりするためのものである。
廃棄手段7は、前記した排出口61dに接続された廃液容器71と、当該廃液容器71内を陰圧にする真空ポンプ72などの第4のアクチュエータA4と、を備えている。
【0049】
前記したように、分注ノズル41の洗浄に用いられた洗浄液Wが廃液として洗浄排出区分61fの排出口61dから排出される。また、被検体Hに投与されなかった放射性薬剤Xも同様に、洗浄排出区分61fに分注ノズル41から吐出され、排出口61dから排出される。排出口61dから排出された廃液は、真空ポンプ72などの第4のアクチュエータA4によって陰圧にされた廃液容器71に廃棄される。ここで、本発明においては、廃棄手段7のうち、洗浄槽61と廃液容器71を放射線遮蔽体12の内側に設け、第4のアクチュエータA4を放射線遮蔽体12の外側に設けるのが好ましい。このようにしても放射線遮蔽体12の使用量を減らすことができる。つまり、放射性薬剤自動分注投与装置1の軽量化を図ることができる。
【0050】
容器取出手段8は、放射性薬剤Xを吸い出して残液を排出した後に、使用済みとなった容器22を筐体11外に取り出すものである。
前記したように、この実施形態に係る容器保持手段3の容器保持部32は、容器22よりも若干大きい径を有する無底の円筒状のホルダとしており、また、前記した3つのポジションP1,P2,P3のうち、容器保持手段3(容器保持部32)が容器22を放射性薬剤自動分注投与装置1外に廃棄するためのポジションP3には、放射線遮蔽体12に穴部12b(図2参照)が設けられている。
【0051】
したがって、容器保持部32の位置と、放射線遮蔽体12の穴部12bの位置とを一致させると、当該位置において放射線遮蔽体12の内外がつながることになり、放射線遮蔽体12内の容器22を、取出口81を介して放射線遮蔽体12外に取出すことができる。ここで、放射線遮蔽体12の下部分には、取出した容器22を受け取るための手段を設けておくのが好ましい。なお、当該受け取るための手段も放射線遮蔽体12と同じ素材で構成するのが好ましいことはいうまでもない。
【0052】
放射線遮蔽体12は、鉛、鉄、ステンレス、劣化ウラン、タングステンよりなる群から選択された少なくとも一種を含んで作製されているのが好ましく、強度保持や取扱いの安全性の観点から、放射線遮蔽体12の表面をステンレスなどで覆うのがより好ましい。
また、放射線遮蔽体12は、同一の板厚の厚さ寸法で形成してもよいが、放射性薬剤Xが大量および/または長時間保持または通過する部分やその近傍についてのみ、その厚さ寸法を、例えば50mmなどと大きくし、放射性薬剤Xが比較的少量および/または短時間保持または通過する部分やその近傍については、その厚さ寸法を、例えば20mmなどと小さくするのがよい。このようにすれば、比重の重い鉛などで構成される放射線遮蔽体12をより軽量化することができる結果、放射性薬剤自動分注投与装置1を軽量化することが可能となる。
【0053】
放射性薬剤自動分注投与装置1の筐体11は、消毒用アルコールなどの殺菌消毒に耐えることができるステンレスやアルミニウムなどの素材で構成するのが好ましい。また、必要に応じて当該放射性薬剤自動分注投与装置1の表面を焼付塗装などしてもよい。また、この放射性薬剤自動分注投与装置1は移動させて使用するので、その取扱いを容易とするためのハンドルなどを当該装置1の任意の箇所に設けるのが好ましい。
【0054】
筐体11に備えられた移動手段9としては、筐体11の下部にキャスタなどを取り付けることで具現し得る。また、放射性薬剤自動分注投与装置1は移動させて使用するので、安全のためにブレーキや、当該装置1を固定するためにキャスタの車輪を固定するストッパを備えるのが好ましい。
【0055】
なお、本発明の放射性薬剤自動分注投与装置1は、その他の構成として、放射性薬剤Xの投与速度や投与分量などを操作する操作パネル、放射性薬剤自動分注投与装置1の電源をON/OFFするためのスイッチ、緊急的に投与を停止するための緊急停止スイッチなどを配した操作部や、操作部から入力された命令に基づいて各種の動作を制御するCPU(中央処理装置)を備えた制御部などを備えている。
前記した操作部の操作パネルや各種スイッチには、誤操作防止用のカバーを設けるなどのインターロック機構や、操作パネルからの入力の際には暗証番号を入力してからキー入力を行わなければならないなどのインターロック回路を採用するのが好ましい。
【0056】
特に、本発明の放射性薬剤自動分注投与装置1は、被検体Hに放射性薬剤Xを投与するのを自動で行うため、投与時における放射性薬剤Xの気泡の混入の有無を検知するセンサや、投与圧力の適否を検知するセンサを設けてこれらを監視し、異常があるときは投与を自動停止するインターロック機構を採用するのが好ましい。
【0057】
本発明の放射性薬剤自動分注投与装置1において使用することのできる放射性薬剤Xは、特に限定されることなく、現在または将来用いられる全ての放射性薬剤を用いることができる。例えば、11C、18F、13N、15Oおよびその他の陽電子放出核種よりなる群から選択された放射性同位元素を含んでなる薬剤を用いることができ、中でも、例えば、18F-FDG、11C-メチオニンなどを用いることができる。これらの放射性同位元素を含んでなる薬剤を用いた場合、被検体Hの体内で陽電子(Positron)に起因するγ線を検出することができる。
【0058】
つまり、以上に説明したように、本発明に係る放射性薬剤自動分注投与装置1は、第1のアクチュエータA1、第2のアクチュエータA2、第3のアクチュエータA3、および第4のアクチュエータA4のうち1つまたは2つ以上、最も好ましくはこれら全てのアクチュエータを放射線遮蔽体12の外側であって、かつ筐体11の内側に収めることによって、放射線遮蔽体12の使用量を減らし、軽量化を図ることができる。
また、本発明に係る放射性薬剤自動分注投与装置1は、放射性薬剤Xを受け取った後、使用する放射性薬剤Xの適切な量の分注、被検体Hへの適切な量の投与、放射性薬剤Xや使用した洗浄液Wの廃棄といった操作を自動的に行うことができるので、術者が被ばくするおそれもない。
【0059】
そして、本発明の放射性薬剤自動分注投与装置1は、洗浄ノズル62と分注ノズル41とを連結部材B(図1参照)等により一体的に形成し、これらを水平方向に、例えば、ポジションP2と洗浄槽61の間の2地点で移動可能とするエアシリンダー、電動モータなどの第5のアクチュエータA5に接続させる構成としてもよい。このような構成とすると、分注ノズル41を洗浄槽61まで容易に移動させ得るので好ましい。
なお、このような第5のアクチュエータA5を備えた場合は、第1のアクチュエータA1、第2のアクチュエータA2、第3のアクチュエータA3、および第4のアクチュエータA4、および第5のアクチュエータA5のうち1つまたは2つ以上、最も好ましくはこれら全てのアクチュエータを放射線遮蔽体12の外側であって、かつ筐体11の内側に収めることによって、放射線遮蔽体12の使用量を減らし、軽量化を図ることができる。
【0060】
かかる構成の本発明に係る放射性薬剤自動分注投与装置1は、PET検査などを行う際に、病院の処置室などにおいて、例えば、人間や動物などの被検体Hに放射性薬剤Xを自動で投与するために用いられる。
以下、図3を参照しつつ、PET検査に使用される場合を例に、PET室R内における本発明の放射性薬剤自動分注投与装置1の動作について説明する。参照する図面において図3は、PET室内に配置された本発明の放射性薬剤自動分注投与装置の動作の様子を示す図であって、(a)は、PET室の平面図、(b)は、PET室の側面図である。
【0061】
図3(a)(b)に示すように、本発明の放射性薬剤自動分注投与装置1が配置されるPET室Rは、その天井部分にレール100が設けられており、放射性薬剤自動分注投与装置1に電源を供給するための電線やN2ガスを供給するためのホースなどの配線110が適宜の数の掛止手段120によって掛止されている。この掛止手段120は、レール100に沿って移動させることができる構成となっており、放射性薬剤自動分注投与装置1の移動に合わせて自在に進退させることができる。
【0062】
また、放射性薬剤自動分注投与装置1に最も近い位置にある掛止手段120は、下方に向けて「L」字状のアーム130が取り付けられている。このアーム130は、掛止手段120に取り付けられている基端部、この基端部から下方に延びる棒部材の一部、または当該棒部材の他端部において、PET室Rの床面と平行な方向に回動できるように連結されている。そして、このアーム130の端部130aから前記した配線110が放射性薬剤自動分注投与装置1に向かって延出して接続されている。なお、このアーム130の形状はL字状とするのに限られないことはいうまでもない。
【0063】
前記したように、軽量化が図られている本発明の放射性薬剤自動分注投与装置1は、回動自在なアーム130を介してレール100に沿って移動させることができるので、例えば、図3(a)の破線で示すような複雑な軌跡を描いてPET室R内を自在に移動させることも可能である。
【0064】
そのため、例えば、放射性薬剤自動分注投与装置1の移動可能な範囲内の任意の場所に前記した輸送手段Tの受取口T1を設け、当該受取口T1に放射性薬剤自動分注投与装置1の容器受取手段2を適切に接合等することによって、放射性薬剤自動分注投与装置1は、輸送手段Tで自動的に輸送されてきた容器22を受け取ることができる。そして、前記したように容器22から放射性薬剤Xを取り出して、必要分量を被検体Hに投与することができる。
【0065】
次に、本発明の放射性薬剤自動分注投与装置1の使用方法の一例について、図1から図3を参照して説明する。
本発明の放射性薬剤自動分注投与装置1にディスポーザブル製品(シリンジ、エクステンションチューブ等)を取り付けたり、生理食塩水、洗浄液などの準備をしたりする。次に、取り付けたエクステンションチューブなどの内部のエア抜き作業を自動で行い、生理食塩水PSSにてエクステンションチューブ内を満たした状態にする。
そして、輸送手段Tによって輸送されてきた、放射性薬剤X(密封された容器22)を容器受取手段2によって受取口T1から受け取った後、PET室Rまたは処置室内の被検体Hまで当該放射性薬剤自動分注投与装置1を移動させることができる。
【0066】
そして、輸送手段Tによって輸送されてきた容器22内の放射性薬剤Xを、その放射能量と溶液量、および投与予定放射能量などから適切な投与量を算出し、気圧調整手段45を作動させて適宜の量を吸い出し、薬剤保持部44で保持する。なお、吸い出された放射性薬剤Xは、放射能検出器RDによって放射能量が測定され、そのデータは図示しない制御部に入力され、その放射能量が算出された投与量に対して適切かどうかを判断し、適切であれば放射性薬剤Xを被検体Hに投与する。
【0067】
算出した投与量で吸引された放射性薬剤Xを被検体Hに投与する際は、シリンジ45aと、放射性薬剤Xが保持された薬剤保持部44を有するチューブ42bと、投与手段5のチューブ55,53と、注射針51と、が通じるように切替弁43,52を操作し、シリンジ45aおよびシリンジ駆動手段45Sを作動させて生理食塩水を押し出すことで放射性薬剤Xを被検体Hに投与する。
【0068】
被検体Hに放射性薬剤Xを投与した後、不要となった容器22内の放射性薬剤Xは、分注ノズル41で、容器22内の放射性薬剤Xを吸出し、洗浄槽61の洗浄排出区分61fでこれを吐出させ、洗浄排出区分61fに吐出された放射性薬剤Xは、切替弁67dを操作して開くことによって、排出口61dから廃棄手段7の廃液容器71に廃棄する。なお、廃液容器71への廃棄を迅速に行うために、真空ポンプ72で当該廃液容器71内を陰圧にすると好適である。
【0069】
また、分注ノズル41の表面を洗浄する場合は、切替弁67cを開き、切替弁67dを閉じた状態で、電動ポンプ65を作動させることによって、洗浄液Wを洗浄槽61内に導入する。導入された洗浄液Wが壁部61bを越えて洗浄排出区分61fにストックすることができる。そして、分注ノズル41を洗浄排出区分61fにストックした洗浄液Wに浸漬して洗浄する。
【0070】
なお、チューブ42a,42b内などを洗浄したい場合は、切替弁47を開いて容器48に収容された生理食塩水PSSや蒸留水DWをチューブ42cに導入し、適宜バルブ49を開いてN2ガスを導入して行う。洗浄に用いた生理食塩水PSSや蒸留水DWの廃棄は、前記した洗浄液Wを廃棄する場合と同じである。また、容器22の蓋部材21の表面を洗浄したい場合は、切替弁66bを開いて洗浄ノズル62から洗浄液Wを吐出することにより行うことができる。そして、バルブ67aを開いてN2ガスをエアノズル63から吐出することによって、分注ノズル41の表面を乾燥させることができる。
【0071】
次いで、図2に示すように、電動モータ40を作動させて容器保持部32をポジションP3まで移動させ、これに保持された容器22を穴部12bから容器取出手段8に移送させる。そして、容器取出手段8に移送された容器22は、容器取出手段8に設けられた取出口81から術者によって取り出されて回収される。その後、再び電動モータ40を作動させて容器保持部32をポジションP1に移動させることによって、最初の状態、つまり、容器22を受け取ることができる状態とすることができる。
【0072】
以上に説明したように、本発明の放射性薬剤自動分注投与装置1によれば、放射性薬剤Xの密封された容器22を受け取った後、放射性薬剤Xを被検体Hに投与し、容器取出手段8から回収されるまで、術者が容器22を直接的に触れることがないので、被ばく等するおそれがない。また、複数のアクチュエータのうち1つまたは2つ以上を放射線遮蔽体12外に設けることによって計量化を図っているので、処置室内において任意の位置まで容易に移動させることができて取扱いやすい。
【0073】
以上、本発明の放射性薬剤自動分注投与装置1の好適な実施形態について説明したが、本発明の趣旨は前記の内容に限定されるものではなく、種々の変更、改変を行うことができ、そのような変更例、改変例も本発明の権利範囲に含まれる。
【0074】
例えば、本発明の一実施形態として、容器受取手段2および移送手段31と、分注ノズル41を備えた薬剤保持手段4と、を固定して設け、容器保持移動手段3の容器保持部32を放射線遮蔽体12の底部分12aを摺動させる構成を例示して説明したが、これに限定されるものではない。例えば、容器保持移動手段3の容器保持部32を固定して設け、移送手段31および薬剤保持手段4の分注ノズル41を適宜移動させる構成とすることもできる。
また例えば、本願の明細書においては、アクチュエータA1~A5を備えた場合について具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、さらに多く若しくは少なくアクチュータを備えた場合は、それらのアクチュエータの1つまたは2つ以上を放射線遮蔽体12外に設けた構成とすればよく、このような変形例も本発明の権利範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明に係る放射性薬剤自動分注投与装置の構成内容を説明する図である。
【図2】本発明に係る放射性薬剤自動分注投与装置の一構成例を示す図である。
【図3】PET室内に配置された本発明の放射性薬剤自動分注投与装置の動作の様子を示す図であって、(a)は、PET室の平面図、(b)は、PET室の側面図である。
【図4】従来の放射性薬剤合成投与装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
1 放射性薬剤自動分注投与装置
11 筐体
12 放射線遮蔽体
12a 底部分
12b 穴部
2 容器受取手段
21 蓋部材
22 容器
3 容器保持移動手段
31 移送手段
32 ホルダ
4 薬剤保持手段
40 電動モータ
41 分注ノズル
42a,42b,42c,42d チューブ
43 切替弁(三方活栓)
44 薬剤保持部
44a ループ部
45 気圧調整手段
45a,45b シリンジ
45S シリンジモータ
45S’ アクチュエータ(電動モータ)
46a,46b 切替弁(三方活栓)
47 切替弁(三方活栓)
48 容器
49 バルブ
5 投与手段
51 注射針
52 切替弁(三方活栓)
53 チューブ
54 ジョイント部
55 チューブ
6 洗浄手段
61 洗浄槽
61a 開口部
61b 壁部
61c 洗浄液導入口
61d 排出口
62 洗浄ノズル
63 エアノズル
64 洗浄液貯留容器
65 電動ポンプ
66b バルブ
66c,66d チューブ
67a,67b,67c バルブ
7 廃棄手段
71 廃液容器
72 真空ポンプ
8 容器取出手段
9 移動手段
100 レール
110 配線
120 掛止手段
130 アーム
130a 端部
H 被検体
A1 第1のアクチュエータ
A2 第2のアクチュエータ
A3 第3のアクチュエータ
A4 第4のアクチュエータ
A5 第5のアクチュエータ
RD 放射能検出器
W 洗浄液
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3