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明細書 :高赤外線放射機能を有する発光装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4029143号 (P4029143)
公開番号 特開2004-053155 (P2004-053155A)
登録日 平成19年10月26日(2007.10.26)
発行日 平成20年1月9日(2008.1.9)
公開日 平成16年2月19日(2004.2.19)
発明の名称または考案の名称 高赤外線放射機能を有する発光装置
国際特許分類 F42B   5/15        (2006.01)
F42B  12/70        (2006.01)
FI F42B 5/15
F42B 12/70
請求項の数または発明の数 3
全頁数 8
出願番号 特願2002-212182 (P2002-212182)
出願日 平成14年7月22日(2002.7.22)
審査請求日 平成17年7月12日(2005.7.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛省技術研究本部長
【識別番号】303046314
【氏名又は名称】旭化成ケミカルズ株式会社
発明者または考案者 【氏名】春川 順市
【氏名】清水 俊彦
【氏名】横山 英明
【氏名】上本 進
【氏名】甲斐 光男
【氏名】中島 真司
【氏名】水内 陽造
個別代理人の代理人 【識別番号】100094709、【弁理士】、【氏名又は名称】加々美 紀雄
【識別番号】100089299、【弁理士】、【氏名又は名称】旭 宏
【識別番号】100078994、【弁理士】、【氏名又は名称】小松 秀岳
【識別番号】100116713、【弁理士】、【氏名又は名称】酒井 正己
【識別番号】100117145、【弁理士】、【氏名又は名称】小松 純
【識別番号】100094709、【弁理士】、【氏名又は名称】加々美 紀雄
【識別番号】100116713、【弁理士】、【氏名又は名称】酒井 正己
【識別番号】100117145、【弁理士】、【氏名又は名称】小松 純
審査官 【審査官】杉山 悟史
参考文献・文献 特開2000-055598(JP,A)
特開2000-028299(JP,A)
特開2000-018897(JP,A)
特開平07-190699(JP,A)
特開昭57-131846(JP,A)
米国特許第05610364(US,A)
米国特許第03453958(US,A)
米国特許第03341129(US,A)
調査した分野 F42B 3/00 - 15/00
F02K 9/00
特許請求の範囲 【請求項1】
赤外線誘導による飛しょう体から航空機を防御する点火装置と発光剤と該発光剤を燃焼させるためのケースと燃焼によって生じた赤外線放射生成物を放出する排気装置と飛しょう安定翼から成る赤外線発光装置において、該排気装置の排気口の開口角が50°以上で且つ空気取り入れ孔を有し燃焼ガスに空気を混合する部材を排気口の後部に備えたことを特徴とする高赤外線放射機能を有する発光装置。
【請求項2】
赤外線誘導による飛しょう体から航空機を防御する点火装置と発光剤と該発光剤を燃焼させるためのケースと燃焼によって生じた赤外線放射生成物を放出する排気装置と飛しょう安定翼から成る赤外線発光装置において、該排気装置の排気口の開口角が50°以上で且つ排気口後部にプルーム形状制御用の整流器を備えたことを特徴とする高赤外線放射機能を有する発光装置。
【請求項3】
赤外線誘導による飛しょう体から航空機を防御する点火装置と発光剤と該発光剤を燃焼させるためのケースと燃焼によって生じた赤外線放射生成物を放出する排気装置と飛しょう安定翼から成る赤外線発光装置において、該排気装置の排気口の開口角が50°以上で且つ空気取り入れ孔を有し燃焼ガスに空気を混合する部材を排気口の後部に備え、さらにその後部にプルーム形状制御用の整流器を備えたことを特徴とする高赤外線放射機能を有する発光装置。
発明の詳細な説明
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は航空機の飛行中において、他の航空機等の赤外線誘導飛しょう体から追尾を受けた際に、自己の航空機を防御するために放出される赤外線発光装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の赤外線発光装置は、図10に示すように筒状のケース6と、発光剤7と、発光剤を燃焼させるための点火装置8と、発光剤の燃焼により発生する火炎を放出する排気装置1(推進ノズル兼火炎放出口2)及び飛しょう安定翼9から構成される。また、その火炎から効率的な赤外線を放射させるための技術として、上記排気装置の推進ノズルと火炎放出口が別々に設けられ、発光剤の燃焼により発生する火炎を1個又は複数個の推進ノズル及び複数個の火炎放出口から放出するものがある。尚、推進ノズル及び火炎放出口は火炎温度を低下させないため、単純な円筒状の孔が好ましいとされている(特開2000-28299)。さらに、プルームを増強するために火炎放出口を円錐台の形状にしたものも開示されている(United States Patent Number:5,610,364)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開2000-28299によれば、排気装置は円筒状のノズルが好ましいとされている。この事を確認するために、本発明者は排気装置の排気口の開口角(図10の10)をロケット推進ノズルの最適膨張とされる24°と、排気装置の開口角90°及び180°(円筒状)で実施した。その結果、排気装置の開口角を大きくすることでCO、H等の再燃焼による2次燃焼効果が得られ、赤外線放射強度が増大することが確認された。また、特に開口角50°以上で顕著に赤外線放射強度の増大が認められた。
【0004】
しかしながら、上記のような排気装置では、赤外線放射生成物が放出口から一気に大気に開放されるため、放出された赤外線放射生成物で形成されるプルームの温度は急激に下がることになる。そのため、赤外線の放射量は低下してしまい欺瞞効果が劣ることとなる。
【0005】
本発明は、この2次燃焼効果を更に高めて、より効率的に高赤外線を放射することができ、欺瞞効果を高めた発光装置を提供することを目的とする。
【0006】
更に、従来の排気装置で放出される赤外線生成物から形成されるプルームは、航空機のプルームと同様細長い三角形の形状となっているが、得られる赤外線放射強度の分布は航空機のプルームとは異なり、真後から見た方向を0°、真横から見た方向を90°とした場合、航空機のプルームは全視野角にわたってほぼ一定の放射強度を示すのに対し、従来排気装置での放射強度は0°方向は小さく90°方向になるにつれ大きくなっている。すなわち、プルーム形状は真横から見たとき楕円形で真後から見たときその短径が見えるが、従来の排気装置では短径の小さい楕円形状となる。本発明は、プルームの形状、大きさを任意に変化させることにより、航空機と同特性の放射強度を得て且つ赤外線放射量の大きい高赤外線を放射させ、より欺瞞効果が発揮できる高赤外線放射機能を有する発光装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、前記2次燃焼効果を高めるには、排気装置内において排気口の後部に空気取り入れ孔を有し、燃焼ガスに空気を混合する部材を設けることが有効であること、また、プルームの形状についてはこれを制御する整流器を排気口の後部に設けることが航空機のプルームにより近似させるのに有効であることを知見し、本発明をなすに至った。
【0008】
即ち、第1の発明は、赤外線誘導による飛しょう体から航空機を防御する点火装置と発光剤と該発光剤を燃焼させるためのケースと燃焼によって生じた赤外線放射生成物を放出する排気装置と飛しょう安定翼から成る赤外線発光装置において、該排気装置の排気口の開口角が50°以上で且つ空気取り入れ孔を有し燃焼ガスに空気を混合する部材を排気口の後部に備えたものである。
第2の発明は、赤外線誘導による飛しょう体から航空機を防御する点火装置と発光剤と該発光剤を燃焼させるためのケースと燃焼によって生じた赤外線放射生成物を放出する排気装置と飛しょう安定翼から成る赤外線発光装置において、該排気装置の排気口の開口角が50°以上で且つ排気口後部にプルーム形状制御用の整流器を備えたものである。
第3の発明は、赤外線誘導による飛しょう体から航空機を防御する点火装置と発光剤と該発光剤を燃焼させるためのケースと燃焼によって生じた赤外線放射生成物を放出する排気装置と飛しょう安定翼から成る赤外線発光装置において、該排気装置の排気口の開口角が50°以上で且つ空気取り入れ孔を有し燃焼ガスに空気を混合する部材を排気口の後部に備え、さらにその後部にプルーム形状制御用の整流器を備えたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。高赤外線放射機能を有する発光装置は、赤外線誘導による飛しょう体から航空機を防御するための点火装置と発光剤と該発光剤を燃焼させるためのケースと燃焼によって生じた赤外線放射生成物を放出する排気装置と飛しょう安定翼から構成されており、該排気装置の排気口の開口角が50°以上で且つ空気取り入れ孔を有した部材又はプルーム形状制御用の整流器を備えている。また、高赤外線放射機能を有する発光装置は、赤外線誘導による飛しょう体から航空機を防御するための点火装置と発光剤と該発光剤を燃焼させるためのケースと燃焼によって生じた赤外線放射生成物を放出する排気装置と飛しょう安定翼から構成されており、該排気装置の排気口の開口角が50°以上で且つ空気取り入れ孔を有した部材とプルーム形状制御用の整流器を備えている。
【0010】
前記空気取り入れ孔は、排気装置の周側面部に備えている。この空気取り入れ孔を設ける部材の材質としては、発光剤の燃焼温度に耐えうることが出来る金属又はグラファイトが使用される。空気取り入れ孔の形状は、断面円形、断面四角形のほか、細長いスリット状のものでもよいが、製造性の点では単純な円孔が好ましい。設ける孔の数としては、数個~数十個、好ましくは周対象位置に4~8個設けられる。前記プルーム形状制御用の整流器は、排気装置の赤外線放射生成物放出方向後部に設けられ、プルームの形状を制御するためのものである。プルーム形状制御用の整流器の形状としては、円錐、円柱、三角錐、四角錐、多角推のほか、球、半球でもよいが、製造性及び赤外線放射生成物を円周方向に均一に拡散させることから円錐形のものが好ましい。これらの整流器は排気装置の最後部において、支持部材に支持されて設けられる。プルーム形状制御用の整流器のプルームを制御する面の角度は、赤外線放射生成物の放出方向の軸を0°とした時、90°以下であればよいが、好ましくは15°~50°が良い。プルーム形状制御用の整流器の材質としては、発光剤の燃焼温度に耐えうることが出来る金属又はグラファイトが使用される。
以上のような実施形態により発揮される効果について以下に記載する。
【0011】
実施形態の排気装置の排気口の開口角が50°以上で且つ空気取り入れ孔を有した部材を備えた高赤外線放射機能を有する発光装置によれば、排気装置に空気取り入れ孔を設けたことで、発光剤が燃焼して赤外線放射生成物が大気に放出される前に排気装置内で空気取り入れ孔より空気(空気中の酸素)を取り入れることにより、赤外線放射生成物が大気に放出された時に発生する2次燃焼の効果が更に高まり、発生するプルーム面積が増大され、赤外線放射量も大きくなることで欺瞞効果をさらに発揮することができる。空気取り入れ孔は、発光剤組成の酸素バランスが負であるほどその効果が更に発揮される。
【0012】
実施形態の排気装置の排気口の開口角が50°以上で且つプルーム制御用の整流器を備えた高赤外線放射機能を有する発光装置によれば、排気装置から放出された赤外線放射生成物がプルーム制御用の整流器の面に当たることにより、赤外線放射生成物は円周方向に拡散されプルーム形状としては円周方向が増大された形状となる。更に制御装置の面の角度を調整することにより、プルームの形状を任意に変化させることができる。また、排気装置の排出方向0°から見たプルームの断面積と真横から見た方向90°のプルームの断面積を同等にすることにより、放射される赤外線の量も同等となり、航空機のプルームと同様の赤外線放射強度特性を得ることができ、欺瞞効果をさら発揮することができる。
【0013】
下記実施例では従来の赤外線発光装置(図10に示すもの)において、排気装置を各実施例に示す構造のもので置き換えて使用した。また、各実施例で使用したダブルベース組成の発光剤は下記に示すものである。
JP0004029143B2_000002t.gif
【0014】
【実施例1】
ダブルベース組成の発光剤を収納ケース内で約6MPaの圧力で燃焼させ、排気装置の排気口の開口角が180°で、かつ空気取り入れ孔を有した部材を用いて赤外線放射生成物を放射させたところ、従来排気装置の開口角180°に比較し、排気装置の排出方向から見たプルームの径は約1.1倍に増大した。また、その時の赤外線放射強度を赤外線スペクトルメータで測定した結果、従来排気装置の開口角180°に比較し約1.2倍の赤外線放射強度を得た。
【0015】
前記排気装置の横方向断面形状を図1に、後方向形状を図2に示す。また、得られたプルームの可視画像を図3に示す。図1、2中、1は排気装置本体、2は排気口、3は空気取り入れ孔、6は3を備えた部材を示す。
【0016】
【実施例2】
ダブルベース組成の発光剤を収納ケース内で約6MPaの圧力で燃焼させ、排気装置の排気口の開口角が180°で、かつプルーム形状制御用の整流器の制御面角度22.5°のプルーム形状制御用の整流器を備えた排気装置を用いて赤外線放射生成物を放射させたところ、従来排気装置の開口角180°に比較し、排気装置の排出方向から見たプルームの径は約1.4倍に増大した。また、その時の赤外線放射強度を赤外線スペクトルメータで測定した結果、従来排気装置に比較し約1.7倍の赤外線放射強度を得た。
【0017】
前記排気装置の横方向部分断面形状を図4に、後方向形状を図5に示す。また、得られたプルームの可視画像を図6に示す。図4、5中、5は整流器、4は整流器5を支える支柱を示す。なお、図4は左側の排気装置本体1部分のみ断面で示し、整流器部分は側面図である。支柱4は円盤の4ケ所に等間隔に断面矩形の支柱を備えた構造であり、この支柱内に中実の円錐形整流器5が支持されている。
【0018】
【実施例3】
ダブルベース組成の発光剤を収納ケース内で約6MPaの圧力で燃焼させ、排気装置の排気口の開口角が180°で、かつ空気取り入れ孔を有した部材(実施例1に記載のも)とプルーム形状制御用の整流器の制御面角度22.5°のプルーム形状制御用の整流器(実施例2に記載のもの)を組み合わせた排気装置を用いて赤外線放射生成物を放射させた時、従来排気装置の開口角180°に比較し、排気装置の排出方向から見たプルームの径は約1.5倍に増大した。また、その時の赤外線放射強度を赤外線スペクトルメータで測定した結果、従来排気装置の開口角180°に比較し約1.8倍の赤外線放射強度を得た。
【0019】
前記排気装置の横方向部分断面形状を図7に、後方向形状を図8に示す。また、得られたプルームの可視画像を図9に示す。なお、図7は左側の排気装置本体と空気取り入れ孔を有した部材部分のみ断面で示し、整流器部分は側面図である。
【0020】
【発明の効果】
本発明は、排気装置から放出される赤外線放射生成物の2次燃焼効果を高め、放出された赤外線放射生成物のプルーム温度を高くすることができるので、放射される赤外線の量を増大させることができる。また、赤外線放射生成物が放出された時に形成するプルームの径が大きくなり、高赤外線を放射することができ、航空機のプルームにより近似した形状とすることができるので、航空機赤外線誘導体への欺瞞効果が高まる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排気装置に空気取り入れ孔を有した部材の横方向から見たときの断面構造を示す図である。排気装置本体1、排気口2の後方に空気取り入れ孔3を有した部材6を備えている。
【図2】本発明の排気装置に空気取り入れ孔を有した部材の後方から見たときの構造を示す図である。
【図3】実施例1で得たプルームの可視画像である。
【図4】本発明の排気装置にプルーム形状制御用の整流器を備えたものの横方向から見たときの部分断面構造を示す図である。排気装置本体1、排気口2の後方に整流器を支える支柱4を経て整流器5を備えている。
【図5】本発明の排気装置にプルーム形状制御用の整流器を組み合わせたものの後方から見たときの構造を示す図である。
【図6】実施例2で得たプルームの可視画像である。
【図7】本発明の排気装置に空気取り入れ孔を有した部材とプルーム形状制御用の整流器を組み合わせたものの横方向から見たときの部分断面構造を示す図である。
【図8】本発明の排気装置に空気取り入れ孔を有した部材とプルーム制御装置を組み合わせたものの後方から見たときの構造を示す図である。
【図9】実施例3で得たプルームの可視画像である。
【図10】従来赤外線発光装置の構造である。従来排気装置1、火炎放出口2、収納ケース6、燃焼剤7、点火装置8、安定翼9から構成されている。10は火炎放出口の開口角である。
【図11】従来排気装置(開口角度180°)のプルーム可視画像である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10