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明細書 :冷凍チャック装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4025877号 (P4025877)
公開番号 特開2006-012941 (P2006-012941A)
登録日 平成19年10月19日(2007.10.19)
発行日 平成19年12月26日(2007.12.26)
公開日 平成18年1月12日(2006.1.12)
発明の名称または考案の名称 冷凍チャック装置
国際特許分類 H01L  21/683       (2006.01)
B23Q   3/08        (2006.01)
FI H01L 21/68 N
B23Q 3/08 Z
請求項の数または発明の数 14
全頁数 11
出願番号 特願2004-184490 (P2004-184490)
出願日 平成16年6月23日(2004.6.23)
審査請求日 平成16年6月23日(2004.6.23)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛省技術研究本部長
発明者または考案者 【氏名】宇根 篤暢
個別代理人の代理人 【識別番号】100067323、【弁理士】、【氏名又は名称】西村 教光
審査官 【審査官】植村 森平
参考文献・文献 特開平07-237066(JP,A)
調査した分野 H01L 21/67-21/687
B23Q 3/08
特許請求の範囲 【請求項1】
凝固させた液体を介して試料を固着するためのチャックプレートと、この上面に凝固した液体を形成するための液体を供給する液体供給手段と、この液体供給手段によって前記チャックプレート上に供給された液体を冷凍して、凝固した液体を形成する冷凍手段とを具備するチャック装置において、前記チャックプレートは上面に複数の突起をもち、この突起上面と突起の回りに前記液体供給手段によって前記液体を送り込み、前記チャックプレートの下部に配置された前記冷凍手段によって前記液体を冷却させ、この突起上面と試料裏面間に存在する液体のみを凝固して試料を固着する構造を有することを特徴とする冷凍チャック装置。
【請求項2】
請求項1に記載の冷凍チャック装置において、複数の突起に加え、この突起を取り囲む環状突起を有し、複数の突起および環状突起の上面と試料裏面間に存在する液体のみを凝固して試料を固着する構造を有することを特徴とする冷凍チャック装置。
【請求項3】
請求項2に記載の冷凍チャック装置において、複数の突起とこの突起を取り囲む環状突起の上面と試料裏面間に存在する液体のみを凝固した後、環状突起とチャックプレート表面の外周縁に沿って突設された外周壁に取り囲まれた液体を凝固して試料外周を固着する手段を有することを特徴とする冷凍チャック装置。
【請求項4】
請求項1に記載の冷凍チャック装置において、複数の突起の上面と試料裏面間に存在する凝固した液体以外の液体を、チャックプレートに連結された給排液孔を通して保留液漕に排出する手段を有することを特徴とする冷凍チャック装置。
【請求項5】
請求項2に記載の冷凍チャック装置において、複数の突起および環状突起の上面と試料裏面間に存在する凝固した液体以外の液体を、チャックプレートに連結された給排液孔を通して保留液漕に排出する手段を有することを特徴とする冷凍チャック装置。
【請求項6】
請求項5に記載の冷凍チャック装置において、凝固した液体以外の液体をチャックプレートに連結された給排液孔を通して保留液漕に排出した後、環状突起とチャックプレート表面の外周縁に沿って突設された外周壁に取り囲まれた領域に液体を供給し、この液体を凝固して試料外周を固着する手段を有することを特徴とする冷凍チャック装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の冷凍チャック装置において、試料を固着するために不必要な液体を保留液漕に排出した後、給排液孔を通して複数の突起の周りに存在する空気を真空排気する手段を併せもつことを特徴とする冷凍チャック装置。
【請求項8】
請求項4、5又は6に記載の冷凍チャック装置において、試料を固着するために不必要な液体をチャックプレートに連結された給排液孔を通して保留液漕に排出する手段により排出した後、試料を複数の突起上に載置し、複数の突起あるいは環状突起の上面と試料裏面間に存在する液体を凝固して試料を固着することを特徴とする冷凍チャック装置。
【請求項9】
請求項8に記載の冷凍チャック装置において、試料を固着した後、給排液孔を通して複数の突起の周りに存在する空気を真空排気する手段を併せもつことを特徴とする冷凍チャック装置。
【請求項10】
請求項8に記載の冷凍チャック装置において、試料を固着した後、給排液孔を通して複数の突起の周りに凝固点以下の温度の空気を供給する手段を有することを特徴とする冷凍チャック装置。
【請求項11】
チャックプレート表面を、前記複数の突起あるいは環状突起の上面を除いてチャックプレート材料よりも熱伝導し難い材料で覆ったことを特徴とする上記請求項1乃至10のいずれか1項に記載の冷凍チャック装置。
【請求項12】
前記複数の突起と環状突起の上面が同一平面上にあることを特徴とする請求項2、3、5乃至10のいずれか1項に記載の冷凍チャック装置。
【請求項13】
前記複数の突起と比較して、環状突起の上面が低く形成されていることを特徴とする請求項2、3、5乃至10のいずれか1項に記載の冷凍チャック装置。
【請求項14】
前記突起が、前記固着される試料の裏面に対向するチャック装置の面の一部、若しくは、少なくとも位置的に離れた三点の部分に配置されていること特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の冷凍チャック装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウエハや薄板を固定して平面加工等を行う加工装置、シリコンウエハや薄板を固定して描画を行う描画装置、およびマスクのパターンを転写するパターン転写装置などにおいて、試料やマスクを固定する装置のチャック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、加工に用いられている一般的な冷凍チャック装置は、図9(a)、(b)に示すように、チャックプレート表面5に設けられた多数の給排液孔2、これに連結されるチャックプレート表面下に設けられた中心から放射状および環状に延びた液体給排液溝3、およびチャックプレート表面上に供給される液体を保持する外周壁4からなる冷凍チャックプレート8、このチャックプレート8の側面に設けられた液体給排液孔7から液体を供給する液体供給装置(図示せず)、このチャックプレート8の下部に設けられた不凍液を循環させる冷凍プレート9ならびにこの冷凍プレート9の側面に設けられた不凍液供給・戻り孔10、11を通じて冷凍プレート9に不凍液を供給する冷凍液恒温装置(図示せず)から構成される
【0003】
この冷凍チャック装置のチャックプレート表面5の上面に、液体供給装置から液体給排液孔7、液体給排液溝3、多数の給排液孔2を通じて、矢印で示す方向に液体を供給した後、シリコンウエハなどの試料12を、試料裏面間と液体表面間に泡を発生させないように載置する。つぎに、チャックプレート8の下部に設けられた冷凍プレート9に、不凍液供給・戻り孔10、11を通じて冷却された不凍液を冷凍液供給装置から供給する。これによってチャックプレート表面5上の液体は凝固し、試料12は固定される。しかし、通常、不凍液は凝固時に膨張するため試料12が薄板の場合は変形を生じる。
【0004】
一方、薄板を固定する下記特許文献1に記載の冷凍チャック装置は、薄板の変形をできる限り小さくして試料を固定することができる冷却手段と加熱手段を備えている。
【0005】
本装置は、図9に示すように冷凍チャック装置30は、テーブル32、冷却手段34、加熱手段36、検知手段38およびコントローラ40からなり、冷却手段34、加熱手段36およびコントローラ40は制御手段43を構成している。テーブル32の表面32Bには試料41が載置され、試料41とテーブル32との隙間には冷凍チャック用の水52が供給されている。
【0006】
テーブル32には流路32Aが形成され、この両端部に連通する流路34A、34Bを通じてクーラ部42から冷媒が送られる。これによりテーブル32は常時冷却状態に維持され、テーブルの表面32Bは一定温度に冷却される。
【0007】
加熱手段36はテーブル32の全域に所定間隔で埋設された複数のヒータ部材44からなり、それぞれドライバ46に独立して電気的に連結されている。ドライバ46はコントローラ40からの信号に基づいて、それぞれのヒータ部材44に電圧を印加し、常時冷却状態に維持されているテーブル32の表面32Bを所定温度に設定する。
【0008】
検知手段38は所定間隔をおいて埋設された複数の温度センサー48からなり、埋設位置のテーブル32の温度を検知する。検知されたテーブル32の温度は温度・電圧変換器50で電圧に変換されて、後述するコントローラ40に入力される。温度・電圧変換器50は入力された検知温度に比例した電圧を出力する。
【0009】
前述したコントローラ40は予め入力されている冷凍チャック用の水52の凝固パターンに基づいてドライバ46に信号を出力する。また、コントローラ40は水52の凝固パターンと温度・電圧変換器50から入力された検知温度に比例した電圧に基づいてドライバ46に信号を出力する。これにより、常時冷却状態に維持されているテーブル32の表面32Bが設定温度に加熱されて、冷凍チャック用の水52が予め入力されている凝固パターンで凝固する。
【0010】
図10(A)、(B)に凝固パターンの好ましい例を示す。図10(A)の凝固パターンは試料41の右端部から水52が凝固を開始して、その凝固が順次左方向に移動するように設定されている。したがって、凝固時の水52の膨張量分を試料41の右側の外部に逃がすことができる。また、図10(B)の凝固パターンは試料41の中央部から水52が凝固を開始して、その凝固が順次試料41の外周方向に移動するように設定されている。したがって、凝固時の水52の膨張量分を試料41の外周から外部に逃がすことができる。したがって、試料41の形状変化を極力小さくすることができる。

【特許文献1】特開平6-246567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記した図9に示す冷凍チャック装置は、冷凍温度を正確にコントロールするために冷却手段と加熱手段の両方を必要とし、且つ、冷却方向もコントロールしなければならないため、きわめて複雑な冷却・加熱機構と制御手段を要し、価格が高騰する欠点があった。また、所定間隔で多数のセンサーや加熱手段を埋め込まなければならなく、ペルチェ素子などを使用する場合には、この間隔をあまり小さくすることは不可能であり、かなりの大面積の液体が同時に凝固することになり、変形を無視できるほど小さくできないという欠点があった。
【0012】
本発明は上記した従来の問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、チャック表面と試料裏面間に供給した液体のうち、多数の突起と試料裏面間に存在する液体のみを凝固することにより、凝固時に発生する液体の膨張による薄板の変形を無視できるほど小さくすることができる冷凍チャック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明は、図1(a)、(b)の第1の実施の形態に示すように、チャックプレート表面5に設けられた多数の給排液孔2、これに連結されるチャックプレート表面下に設けられた中心から放射状および環状に延びた液体給排液溝3、およびチャックプレート表面上に液体を保持する外周壁4からなるチャックプレート8、このチャックプレート8の側面に設けられた液体給排液孔7から液体を供給する液体供給装置(図示せず)、このチャックプレート8の下部に設けられた不凍液を循環させる冷凍プレート9ならびにこの冷凍プレート9の側面に設けられた不凍液供給・戻り孔10、11を通じて冷凍プレート9に不凍液を供給する冷凍液恒温装置(図示せず)から構成される冷凍チャック装置において、チャックプレート表面5の上面に試料を支承する多数の突起1を形成し、この多数の突起1の上面と試料12の裏面間に存在する液体6(黒色で塗りつぶし)のみを凝固して試料を固着する構造を有することを特徴としている。
【0014】
図2(a)、(b)の第2の実施の形態に示すように、第1の実施例に加え、多数の突起1を取り囲む環状突起13を形成し、多数の突起1と前記環状突起13の上面と試料12の裏面間に存在する液体6(黒色で塗りつぶし)のみを凝固して試料を固着する構造を有することを特徴としている。
【0015】
図3の第3の実施形態に示すように、第2の実施例に加えて、多数の突起1とこの突起を取り囲む環状突起13の上面と試料12の裏面間に存在する液体を凝固した後、環状突起13と外周壁4に取り囲まれた液体14(黒色で塗りつぶし)を凝固して試料外周を固着する手段15を有することを特徴としている。
【0016】
上記多数の突起1は、高さが数10μm~1mm程度であって、直径が数10μm~1mm程度の上記冷凍チャックプレートと同質のセラミックス材料、または金属および無機または有機材料のような材料により形成されている。また、環状突起13は、高さが数10μm~1mm程度であって、幅が数10μm~1mm程度の上記冷凍チャックプレートと同質のセラミックス材料、または金属および無機または有機材料のような材料により形成されている。さらに、上記多数の突起1は、加工時や真空排気時に薄板が変形しない間隔で形成されており、研磨加工時に利用される冷凍チャックでは、厚さ1mm程度のシリコンウエハに対して、間隔1mm程度のものが使用されている。
【0017】
その上、上記目的を達成するため、本発明は、図4(a)、(b)の第4の実施の形態に示すように、多数の突起1もしくは前記環状突起13の上面と試料12の裏面間に存在する凝固した液体以外の液体を、チャックプレート8に連結された給排液孔2と中心から放射状および環状に延びた液体給排液溝3、および液体給排液孔7を通して保留液漕(図示せず)に真空ポンプなどにより排出する手段を有することを特徴としている。これに加え、前記給排液孔2を通して多数の突起1の周りに存在する空気を真空排気する手段を併せもつことを特徴としている。
【0018】
また、本発明は、図5の第5の実施形態に示すように、試料12を固着し、これに不要な液体を保留液漕(図示せず)に真空ポンプなどにより排出した後、もしくは、試料12の固着に不要な液体を保留液漕(図示せず)に真空ポンプなどにより排出し、試料12を載置し、多数の突起1もしくは環状突起13の上面と試料12の裏面間に存在する液体を凝固して試料を固着させた後、環状突起13と外周壁4に取り囲まれた領域に液体14(黒色で塗りつぶし)を供給する手段16を有し、凝固して試料12の外周を固着することを特徴としている。
【0019】
上記冷凍チャック装置は、熱伝導し易い材料からなるチャックプレート8の表面5を、前記多数の突起1の上面、もしくは環状突起13の上面を除いて熱伝導し難い材料で覆ったことを特徴としている。
また、本発明は、多数の突起1と環状突起13の上面が同一平面上にある、もしくは多数の突起1と比較して、環状突起13の上面がわずか数10μm~数100μm低く形成されていることを特徴としている。
さらに、本発明は、多数の突起1の代わりに数本もしくは限られた本数からなる突起1から構成されることを特徴としている。また、突起1の配置位置についても、上記突起が、上記固着される試料の裏面に対向するチャック装置の面の一部、若しくは、少なくとも位置的に離れた三点の部分に配置されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
上記本発明においては、チャックプレート表面5上に、多数の突起1や環状突起13を設けることによって、試料12との裏面間に存在する液体6の量を多数の突起や環状突起以外のすきまに存在する液体の量と比較してきわめて小さくすることができる。したがって、上記多数の突起1や環状突起13と試料12の裏面間に存在する液体6の熱容量は小さくなり、凝固点に到達した液体6は凝固し、試料12を固着する。この時多数の突起1や環状突起13の周りの液体は凝固していないので、凝固時に発生する固化による膨張を逃がすことが可能になり、薄板の変形は生じない。描画装置やパターン転写装置などの横方向に大きな力が発生しない場合には、多数の突起1上のみの液体を凝固することにより試料12を固着することができる。
【0021】
加工時に試料12の接線方向へ大きな力が発生する場合には、環状突起13と外周壁4の間の液体を凝固することによりさらに強固に試料12を固着することができる。また、多数の突起1の周りに存在する液体を排液し、冷凍プレート9の温度を降下することにより試料12の固着を完全なものにすることができる。その上で、真空排気を行うことにより試料12の垂直方向の力を増加させることが可能になる。この時、突起1の間隔を試料12の厚さに応じて適切に決めることにより薄板試料においても変形を限りなく小さくすることができる。
【0022】
さらに、熱伝導し易い材料からなるチャックプレート表面5を、多数の突起1、もしくは環状突起13の上面を除いて、熱伝導し難い材料で覆うことにより、この部分に存在する液体の固化を遅らし、多数の突起1、もしくは環状突起13の上面の液体凝固による膨張を逃がすことが可能になる。したがって、薄板試料の変形を極限まで減少させることができる。同様に、多数の突起1を同一平面上に形成し、環状突起13の上面をわずかに低く形成することにより、多数の突起1の上面に存在する液体量と比較し、環状突起13の上面の液体量を多くできるので、この部分の液体の凝固を遅らすことができ、試料周辺の変形を抑制することができる。
【0023】
すなわち、本発明に係わる冷凍チャック装置においては、突起の上面と試料の裏面に挟まれる液体のみを凝着させることにより、薄板試料を変形無く保持することを可能としている。環状突起を用いる場合には、加工液などのチャック表面への浸入を防止することができるので、チャック表面汚染を避けることができる。さらに、突起周りの空気を真空排気することによりチャックの保持能力を高め、試料外周部に形成した凝固液体により試料接線方向の保持能力を飛躍的に増加させることが可能になる。したがって、反りをもつ試料の両面を加工することにより反りのない試料を作製するも可能になる。また、試料が接触する突起面を高度の平坦面に加工する必要が無くなる利点も併せもっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1(a)、(b)は、本発明に係わる冷凍チャック装置の第1の実施形態を示す平面図とB-B'断面図である。
図に示すように、セラミックスからなるチャックプレート8の上面に、多数の円形断面をもつピン状の微小突起1が設けられ、微小突起1は加工時や真空排気時に試料12にたわみを生じないように試料12の厚さに応じた間隔にて離散配置されている。そのチャックプレート8の表面には試料12を固着する液体を供給する給排液孔2、チャックプレート8の表面下には給排液孔2に連なる中心から放射状、および環状に延びた液体給排液溝3が設けられ、液体給排液孔7から液体供給装置(図示せず)を介して試料固着用液体が供給される。このチャックプレート8の表面5に液体が供給された後、冷凍プレート9に不凍液供給・戻り孔10、11を通じて、試料固着用液体の凝固点以下に冷却した不凍液を冷凍液恒温装置(図示せず)から流し、多数の突起1と試料12の裏面間に存在する液体6を冷却凝固し試料12を固着する。
本実施例では、多数の突起1と試料12の裏面間に存在する液体のみが凝固するため液体の膨張を容易に逃がすことが可能で,これによる変形は発生せず、薄板試料を無変形で固着することが可能になる。
【0025】
図2(a)、(b)は、本発明に係わる冷凍チャック装置の第2の実施形態を示す平面図とB-B'断面図である。
図に示すように、実施例1に加えて、多数の突起1を取り囲む環状突起13とこの環状突起13と外周壁4の間に液体を供給する給排液孔2が付加されている。
本実施例では、多数の突起1を取り囲む環状突起13と試料12の裏面の凝着により試料12との間の凝着面積が増大し、試料12の接線方向に対する固着力が大きく増加する。
【0026】
図3(a)、(b)は、本発明に係わる冷凍チャック装置の第3の実施形態を示す平面図とB-B'断面図である。
図に示すように、実施例1に加えて、多数の突起1を取り囲む環状突起13とこの環状突起13と外周壁4間の環状領域に存在する液体を凝固させるためのペルチェ素子などの冷却手段15が環状領域下に設けられている。この環状領域に存在する液体14の凝固は、多数の突起1や環状突起13と試料12の裏面間の液体6が凝固した後に、冷却手段15により冷却されて行われるので、薄板を変形させることなく、試料外周を確実に強固な力で固着させることができる。この固着は、図に示すように液体の量を増やすことにより試料12を埋め込むようにもできるので、接線方向力に対しきわめて強大な固着力となる。
【0027】
図4(a)、(b)は、本発明に係わる冷凍チャック装置の第4の実施形態を示す平面図とB-B'断面図である。
図に示すように、実施例1、2における不要な液体を給排液孔2、液体給排液溝3、液体給排液孔7を通して、保留液漕(図示せず)に真空ポンプなどを用いて排液することによって不要な液体の凝固により発生する試料12の変形を無くし、且つ、冷凍プレートの温度を下げることによって試料12との固着力を一層高めることが可能になる。それと同時に、図4(b)の実施例の場合には、試料12に対し垂直方向の固着力が弱い場合には、真空排気を行って固着力を高めることができる。その上、環状突起13によって加工時に生じる加工液の浸入を防ぐことになるので、チャック表面の汚染をなくすことができる。
【0028】
図5は、本発明に係わる冷凍チャック装置の第5の実施形態を示す正断面図である。
図に示すように、実施例4(b)に加えて、環状突起13とこの環状突起13と外周壁4間の環状領域に凝固させる液体を供給する手段16を設けたものであり、供給した液体14の凝着により実施例3の場合と同じ効果を得ることが可能になる。
【0029】
図6は、本発明に係わる冷凍チャック装置の第6の実施形態を示す突起の拡大図である。図に示すように、多数の突起1や環状突起13を含むチャックプレート8は熱伝導の大きい材料で製造されており、凝固した液体を形成する面、すなわち多数の突起1や環状突起13の上面、および環状突起13と外周壁4に囲まれる環状領域を除いて熱伝導の悪い材料で覆われている。このことにより多数の突起1や環状突起13の上面では、液体が早めに凝固し、そのさい周りには多量の液体があるので膨張しても試料12の変形を生じさせないで試料12を固着させることができる。
【0030】
なお、上述実施の形態においては、突起としてピン状の微小突起1を設けたが、突起として断面が矩形等の微小突起を設けてもよい。また、上述実施の形態においては、円形のチャックプレート8を設けたが、矩形、楕円等のチャックプレートを設けてもよい。
【0031】
さらに、転写装置に用いるマスクなどを固定する場合には、図7に示すように、マスク中央部は露光光を通す必要があり、矩形の周辺のみに多数の突起1を設け、この上部のみの液体を凝固させることによって試料12を固着することができる。さらに、この場合、加工時と比較して垂直方向に働く力はマスクの自重のみになり、且つ、水平方向に働く力はマスクを左右方向に移動するさいの加速度による力に限定される。したがって、突起の本数は、マスクが変形せず、且つ、変位しない本数に減らすことができ、極端な場合には3本のみでマスクを支持することも可能になる。
【0032】
また、上記実施例では、突起上部の液体を凝固後に、それ以外の部分にある液体を排液したが、液体をチャック吸着面に供給した後、多数の突起や環状突起上部以外の液体を排液し、その後で多数の突起や環状突起上部の液体を凝固する手順をとってもよい。さらに、上記実施例では、液体を供給する溝と排液する溝、ならびに空気を真空排気する溝は液体給排液溝を共有する場合について述べたが、これらは個別に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】(a)、(b)は本発明の第1の実施形態に係る冷凍チャック装置の一実施例を示す平面図および正断面図である。
【図2】(a)、(b)は本発明の第2の実施形態に係る冷凍チャック装置の一実施例を示す平面図および正断面図である。
【図3】(a)、(b)は本発明の第3の実施形態に係る冷凍チャック装置の一実施例を示す平面図および正断面図である。
【図4】(a)、(b)は本発明の第4の実施形態に係る冷凍チャック装置の一実施例を示す正断面図である。
【図5】は本発明の第5の実施形態に係る冷凍チャック装置の一実施例を示す正断面図である。
【図6】は本発明の第6の実施形態に係る冷凍チャック装置の一実施例を示す突起の拡大図である。
【図7】(a)、(b)は本発明の第1の実施形態に係る冷凍チャック装置の他の一実施例を示す平面図および正断面図である。
【図8】(a)、(b)は従来の冷凍チャック装置の一実施例を示す平面図および正断面図である。
【図9】は従来の冷凍チャック装置の一実施例を示す正断面図である。
【図10】(a)、(b)は従来の冷凍チャック装置において、冷却により試料を変形させることなく液体を凝固させる凝固パターンである。
【符号の説明】
【0034】
1…突起、2…給排液孔、3…液体給排液溝、4…外周壁、5…チャックプレート表面、6…凝固した液体、7…液体給排液孔、8…チャックプレート、9…冷凍プレート、10…供給孔、11…戻り孔、12…試料、13…環状突起、14…環状領域の凝着液体、15…冷却手段、16…液体供給手段
30…冷凍チャック装置、32…テーブル、32B…テーブルの表面、32A、34A、34B…流路、34…冷却手段、36…加熱手段、38…検知手段、40…コントローラ、41…ワーク、41…クーラ部、43…制御手段、44…ヒータ部材、46…ドライバ、48…温度センサー、50…温度・電圧変換器、52…冷凍チャック水
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9