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明細書 :画像処理装置及び撮像機

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3937022号 (P3937022)
公開番号 特開2006-060276 (P2006-060276A)
登録日 平成19年4月6日(2007.4.6)
発行日 平成19年6月27日(2007.6.27)
公開日 平成18年3月2日(2006.3.2)
発明の名称または考案の名称 画像処理装置及び撮像機
国際特許分類 H04N   5/20        (2006.01)
G06T   5/20        (2006.01)
H04N   1/409       (2006.01)
H04N   5/232       (2006.01)
H04N   5/243       (2006.01)
FI H04N 5/20
G06T 5/20 B
H04N 1/40 101D
H04N 5/232 Z
H04N 5/243
請求項の数または発明の数 8
全頁数 13
出願番号 特願2004-237028 (P2004-237028)
出願日 平成16年8月17日(2004.8.17)
審査請求日 平成16年8月17日(2004.8.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛省技術研究本部長
発明者または考案者 【氏名】和田 英男
【氏名】長嶋 満宏
【氏名】林 健一
個別代理人の代理人 【識別番号】100079290、【弁理士】、【氏名又は名称】村井 隆
審査官 【審査官】西谷 憲人
参考文献・文献 特開平07-209402(JP,A)
実開平05-023683(JP,U)
特開2003-289452(JP,A)
特開平10-210324(JP,A)
調査した分野 H04N 5/14-5/217
G06T 5/20
H04N 1/409
H04N 5/232
H04N 5/243
特許請求の範囲 【請求項1】
入力画像信号に対し各画素毎に近傍の局所領域の輝度標準偏差を局所輝度標準偏差として計測する局所輝度標準偏差計測手段と、
上記各画素毎に上記局所領域の平均輝度を計測する局所輝度平均計測手段と、
上記各画素毎に上記入力画像信号の輝度から上記局所輝度平均計測手段で計測された平均輝度を減算し、局所輝度平均差分を算出する局所輝度平均差分算出手段と、
上記局所輝度平均差分算出手段で算出された局所輝度平均差分と上記局所輝度標準偏差計測手段で算出された局所輝度標準偏差とに基いて、上記入力画像信号に対応した各画素の輝度値を演算する輝度値演算手段と、
を備え、
上記輝度値演算手段は、上記局所輝度標準偏差計測手段で算出された局所輝度標準偏差に基いて第1の係数を算出する係数算出手段と、上記局所輝度平均差分算出手段で算出された局所輝度平均差分に上記第1の係数を乗ずる第1の乗算器とを有して、上記局所輝度標準偏差に応じて局所領域毎に画像の鮮鋭化と平滑化の強弱を調整するように、上記各画素の輝度値の演算を行うことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
画面全体の輝度標準偏差を計測する全画面輝度標準偏差計測手段をさらに備え、
上記係数算出手段は、上記全画面輝度標準偏差計測手段の計測結果と上記局所輝度標準偏差計測手段の計測結果に基いて上記第1の係数を算出することを特徴とする請求項記載の画像処理装置。
【請求項3】
上記各画素毎における局所輝度標準偏差計測手段からの局所輝度標準偏差の全画面平均を算出する局所輝度標準偏差全画面平均計測手段をさらに備え、
上記係数算出手段は、上記局所輝度標準偏差計測手段の計測結果と上記局所輝度標準偏差全画面平均算出手段の計測結果とに基いて、上記第1の係数を算出することを特徴とする請求項記載の画像処理装置。
【請求項4】
上記係数算出手段は、予め計測しておいた撮像機のノイズ成分による輝度標準偏差と上記局所輝度標準偏差計測手段の計測結果とに基いて、上記第1の係数を算出することを特徴とする請求項記載の画像処理装置。
【請求項5】
ノイズによる全画面輝度標準偏差を計測するノイズ全画面輝度標準偏差計測手段をさらに備え、
上記係数算出手段は、上記ノイズ全画面輝度標準偏差計測手段の計測結果と上記局所輝度標準偏差計測手段の計測結果とに基いて、上記第1の係数を算出することを特徴とする請求項記載の画像処理装置。
【請求項6】
ノイズによる局所輝度標準偏差の全画面平均を計測するノイズ局所輝度標準偏差全画面平均計測手段をさらに備え、
上記係数算出手段は、上記ノイズ局所輝度標準偏差全画面平均計測手段の計測結果と上記局所輝度標準偏差計測手段の計測結果とに基いて、上記第1の係数を算出することを特徴とする請求項記載の画像処理装置。
【請求項7】
画面全体の輝度平均を計測する全画面輝度平均計測手段と、
上記各画素毎に上記入力画像信号から上記全画面輝度平均計測手段で計測された輝度平均を減算する全画面輝度平均差分算出手段と、
上記全画面輝度平均差分算出手段の減算結果に第2の係数を乗ずる第2の乗算器とをさらに備え、
上記係数算出手段は、上記第2の係数に応じて上記第1の係数を算出することを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
上記請求項1乃至のいずれかに記載の画像処理装置と、上記画像処理装置に画像信号を入力する撮像素子とを備えたことを特徴とする撮像機。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、演算対象画素近傍の局所領域の画素輝度を用いて輝度値演算を行う空間フィルタを利用した画像処理装置及び撮像機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、赤外線撮像機においては、撮像する温度のダイナミックレンジに比べ、画像として表示できる輝度のダイナミックレンジが狭いため、撮像機のもつ温度分解能にて外界を撮像した場合、高温領域と低温領域が混在するシーンでは高温部分の白つぶれ、低温部分の黒つぶれが発生する。
【0003】
これらを回避し、それぞれの細部のコントラストを改善するために、従来、空間フィルタを用いて自動的に画像の強調処理又は平滑化処理を行っていた。この種の空間フィルタとして、対象画像における各画素の輝度値の標準偏差を演算し、演算した標準偏差に基いて、対象画像に対する強調又は平滑化処理の度合いを決定する画像処理技術が知られている(例えば、下記特許文献1参照)。これによって、黒つぶれ、白つぶれの抑制と同時に局所的なコントラストが改善される。
【0004】

【特許文献1】実開平5-23683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の画像処理技術では、対象画像の局所領域内で部分的な強調処理を行うことができず、強調処理によって輝度変化の少ない部分でノイズが顕著になるという課題があった。例えば、全画面にわたり画一的に強調処理を行った場合、輝度分布の小さい画面平坦部では局所的なコントラスト強調によって、ノイズが目立つようになるという課題があった。
【0006】
本発明は、上記の様な課題を解決するためになされたものであり、空間フィルタによって映像の局所的なコントラストを強調した場合に、顕著になるノイズを抑制可能な画像処理装置、及びこれと撮像素子とを組み合わせた撮像機を提供することを目的とする。
【0007】
本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像処理装置は、
入力画像信号に対し各画素毎に近傍の局所領域の輝度標準偏差を局所輝度標準偏差として計測する局所輝度標準偏差計測手段と、
上記各画素毎に上記局所領域の平均輝度を計測する局所輝度平均計測手段と、
上記各画素毎に上記入力画像信号の輝度から上記局所輝度平均計測手段で計測された平均輝度を減算し、局所輝度平均差分を算出する局所輝度平均差分算出手段と、
上記局所輝度平均差分算出手段で算出された局所輝度平均差分と上記局所輝度標準偏差計測手段で算出された局所輝度標準偏差とに基いて、上記入力画像信号に対応した各画素の輝度値を演算する輝度値演算手段と、
を備え、
上記輝度値演算手段は、上記局所輝度標準偏差計測手段で算出された局所輝度標準偏差に基いて第1の係数を算出する係数算出手段と、上記局所輝度平均差分算出手段で算出された局所輝度平均差分に上記第1の係数を乗ずる第1の乗算器とを有して、上記局所輝度標準偏差に応じて局所領域毎に画像の鮮鋭化と平滑化の強弱を調整するように、上記各画素の輝度値の演算を行うことを特徴としている。
【0011】
上記画像処理装置において、画面全体の輝度標準偏差を計測する全画面輝度標準偏差計測手段をさらに備え、上記係数算出手段は、上記全画面輝度標準偏差計測手段の計測結果と上記局所輝度標準偏差計測手段の計測結果に基いて上記第1の係数を算出する構成でもよい。
【0012】
上記画像処理装置において、上記各画素毎における局所輝度標準偏差計測手段からの局所輝度標準偏差の全画面平均を算出する局所輝度標準偏差全画面平均計測手段をさらに備え、上記係数算出手段は、上記局所輝度標準偏差計測手段の計測結果と上記局所輝度標準偏差全画面平均算出手段の計測結果とに基いて、上記第1の係数を算出する構成でもよい。
【0013】
上記係数算出手段は、予め計測しておいた撮像機のノイズ成分による輝度標準偏差と上記局所輝度標準偏差計測手段の計測結果とに基いて、上記第1の係数を算出する構成でもよい。
【0014】
前記画像処理装置において、ノイズによる全画面輝度標準偏差を計測するノイズ全画面輝度標準偏差計測手段をさらに備え、上記係数算出手段は、上記ノイズ全画面輝度標準偏差計測手段の計測結果と上記局所輝度標準偏差計測手段の計測結果とに基いて、上記第1の係数を算出する構成でもよい。
【0015】
前記画像処理装置において、ノイズによる局所輝度標準偏差の全画面平均を計測するノイズ局所輝度標準偏差全画面平均計測手段をさらに備え、上記係数算出手段は、上記ノイズ局所輝度標準偏差全画面平均計測手段の計測結果と上記局所輝度標準偏差計測手段の計測結果とに基いて、上記第1の係数を算出する構成でもよい。
【0016】
前記画像処理装置において、画面全体の輝度平均を計測する全画面輝度平均計測手段と、上記各画素毎に上記入力画像信号から上記全画面輝度平均計測手段で計測された輝度平均を減算する全画面輝度平均差分算出手段と、上記全画面輝度平均差分算出手段の減算結果に第2の係数を乗ずる第2の乗算器とをさらに備え、上記係数算出手段は、上記第2の係数に応じて上記第1の係数を算出する構成でもよい。
【0017】
本発明に係る撮像機は、上記画像処理装置と、上記画像処理装置に画像信号を入力する撮像素子とを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、画像全体として、輝度勾配の小さい画面平坦部でノイズを目立たせることなく、輝度勾配の大きい領域で鮮鋭化の効果を強めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための最良の形態として、画像処理装置及び撮像機の実施の形態について説明する。
【0020】
実施の形態1.
以下、図1を用いて本発明に係る実施の形態1について説明する。
図1において、撮像素子(図示せず)がレンズ(図示せず)を介して外部の入射光を受光すると、撮像素子から得られた入力画像信号1(画面を構成する各画素の輝度情報を含む信号)は全画面輝度平均差分算出手段としての全画面輝度平均差分算出器3、局所輝度平均差分算出手段としての局所輝度平均差分算出器6、局所輝度標準偏差計測手段としての局所輝度標準偏差計測器8、及び全画面輝度標準偏差計測手段としての全画面輝度標準偏差計測器9に入力される。
【0021】
全画面輝度平均差分算出器3は、全画面(つまり全画面を構成する多数の画素)の平均輝度を計測する全画面輝度平均計測手段としての全画面輝度平均計測器2に入力画像信号1を入力し、全画面輝度平均計測器2で計測された平均輝度と入力画像信号1との差分として全画面輝度平均差分を演算する。全画面輝度平均差分乗算器4(第2の乗算器)は、全画面輝度平均差分算出器3で演算された全画面輝度平均差分に係数B(第2の係数)を乗算する。
【0022】
局所輝度平均計測手段としての局所輝度平均計測器5は局所領域(図2で後述する演算対象画素を含む演算カーネル内の各画素)の輝度平均を計測する。局所輝度平均差分算出器6は入力画像信号1と局所輝度平均計測器5で計測された輝度平均との差分として局所輝度平均差分を演算する。
【0023】
局所輝度平均差分乗算器7(第1の乗算器)は局所輝度平均差分算出器6の演算結果に係数A(第1の係数)を乗ずる。局所輝度標準偏差計測器8は上記局所領域の輝度標準偏差を局所輝度標準偏差として計測する。全画面輝度標準偏差計測器9は全画面の輝度標準偏差を全画面輝度標準偏差として計測する。係数算出手段としての係数算出器13は、局所輝度標準偏差計測器8の出力する局所輝度標準偏差と全画面輝度標準偏差計測器9の出力する全画面輝度標準偏差に基いて、局所輝度平均差分算出器6で演算された局所輝度平均差分に乗ずるための係数Aを算出する。
【0024】
加算手段としての加算器14は、全画面輝度平均差分乗算器4の乗算結果と、全画面輝度平均計測器2で計測された平均輝度と、局所輝度平均差分乗算器7の乗算結果とを加算し、加算結果として出力画像15を得る。
【0025】
全画面輝度平均差分算出器3、全画面輝度平均差分乗算器4、局所輝度平均差分算出器6、局所輝度平均差分乗算器7、局所輝度標準偏差計測器8、全画面輝度標準偏差計測器9、係数算出器13、及び加算器14は、画像処理装置を構成する。また、局所輝度平均差分乗算器7及び係数算出器13は、輝度値演算手段を構成する。
【0026】
上述した図示しない撮像素子、レンズ、及び画像処理装置は撮像機を構成する。この際、撮像素子に赤外領域に感度を有する赤外線撮像素子を用いて、本実施の形態1による画像処理装置とともに赤外線撮像機を構成した場合は、出力画像中に高温部分の白つぶれ、低温部分の黒つぶれの少ない好適な赤外線撮像機を得ることができる。
【0027】
以下に、本実施の形態1による画像処理装置の動作の詳細について説明する。図2は、局所輝度平均差分を演算するための演算カーネルの概念を示す説明図であり、画面を構成する入力画像信号1の各画素のうち演算対象とする画素である演算対象画素16の周辺に、演算対象画素16を中心とする演算カーネル17が設定されて、演算対象画素16の周囲の局所領域を形成する。なお、演算対象画素16及び演算カーネル17は、図2の入力画像の画面左上から右下に向けて図2中矢印のように順次走査、選択されて行く。
【0028】
上述したように、撮像機のもつ温度分解能にて外界を撮像した場合、高温領域と低温領域が混在するシーンでは高温部分の白つぶれ、低温部分の黒つぶれが発生する。これらを回避し、それぞれの細部のコントラストを改善するために、局所領域の輝度平均と入力画像との差分と、原画像との加重加算をとることにより、画像内の大局的な輝度差を緩和するとともに局所的なコントラスト強調を行う。この処理を画像の鮮鋭化と呼ぶ。画面を構成する各画素における元の輝度値から輝度平均値を差分(局所平均差分)し、この差分値を元の輝度値と置き換える処理をラプラシアンフィルタという。ラプラシアンフィルタでは、空間的なハイパスフィルタとして作用してエッジ部分のみが強調された微分画が得られる。これに対して鮮鋭化では、元の輝度値に局所平均差分を加える、すなわち原画にある割合で微分画を加えることによって、エッジ部分が強調されたシャープな画像を得ることができる。
【0029】
画像の鮮鋭化においては、演算対象画素16を中心として演算カーネル17(局所領域とする)を設定する。局所輝度平均差分算出器6は、画素輝度から局所輝度平均計測器5により計測したカーネル内の輝度平均を減算して、局所輝度平均差分を得る。全画面輝度平均差分算出器3は、画素輝度から全画面輝度平均計測器2により計測した全画面の輝度平均を減算して全画面輝度平均差分を得る。更に、局所輝度平均差分及び全画面輝度平均差分に対して、それぞれ係数A及び係数Bを乗じて重み付けを行い、全画面輝度平均と加算した結果を出力する。ここで本質的に重要なのは、それぞれの係数の絶対値ではなく比率である。この係数の比率については、撮像機の使用目的に応じて、最適な比率を設定する必要がある。
【0030】
この際、撮像機の使用目的、すなわち運用時に想定される被写体又は撮像シーンに応じて画像評価を行うことで最適な比率を求め、得られた比率を固定して係数設定した場合を想定する。例えば、係数Aを0.5、係数Bを0.5に設定したと仮定する。
【0031】
この場合、全画面輝度差分が入力画の0.5倍となるため、画面内の大局的な輝度勾配は、半分になる。一方、局所的な輝度勾配は、全画面輝度差分の0.5倍に局所輝度差分の0.5倍を加えることで、入力画と同等に保持される。これにより、鮮鋭化の出力画像においては画面内の大局的な輝度勾配に対して局所的な輝度勾配が相対的に強調される結果となり、黒つぶれ、白つぶれの抑制と同時に局所的なコントラストの改善が果たされる。また、鮮鋭化は高温領域と低温領域の境界部の輪郭を強調する効果があるため、輪郭強調の目的でもしばしば用いられる。
【0032】
しかし、このように係数比率を全画面内で一定に設定し、全画面で画一的な鮮鋭化を行った場合、上述したように輝度分布の小さい画面平坦部では局所的なコントラスト強調によって、ノイズが目立ってしまう。
【0033】
そこで、この実施の形態1では、係数算出器13を設けることによって、局所領域毎に、係数Aの値を適宜設定する。係数算出器13は、局所輝度標準偏差と全画面輝度標準偏差とから、例えば次式(1)に基いて係数を算出する。
【0034】
【数1】
JP0003937022B2_000002t.gif

【0035】
ここで、Aは局所輝度平均差分に乗ずる係数、Bは全画面輝度平均差分に乗ずる係数で値は正、Cは局所輝度標準偏差、Dは全画面輝度標準偏差である。
【0036】
この式(1)の例による係数Aのグラフを図3に示す。この図で横軸は局所輝度標準偏差C、縦軸は局所輝度平均差分に乗ずる係数Aである。
【0037】
図3に示すように、係数Aは0からBまでの正の値をとり、係数Aの大小は鮮鋭化の強弱に比例する。この結果、画像全体としては、局所輝度標準偏差が大きいほど鮮鋭化の効き具合を強め、入力画像における局所輝度標準偏差が小さいほど鮮鋭化の効き具合を弱める。
【0038】
これにより、輝度勾配の小さい画面平坦部では鮮鋭化を弱めることによりノイズを目立たせることなく、輝度勾配の大きい領域において鮮鋭化の効果を強めることができる。
【0039】
実施の形態2.
以下、図4を用いて本発明に係る実施の形態2について説明する。
図4において、実施の形態1と同一又は相当部分には同一符号を付し、説明は省略する。この実施の形態2では、実施の形態1で示した全画面輝度標準偏差計測器9の代わりに、局所輝度標準偏差全画面平均計測手段としての局所輝度標準偏差全画面平均計測器10を用いる。局所輝度標準偏差全画面平均計測器10は、局所輝度標準偏差計測器8からの局所輝度標準偏差の計測結果について、全画面平均を局所輝度標準偏差全画面平均として計測する。係数算出器13は、局所輝度標準偏差計測器8の出力する局所輝度標準偏差と局所輝度標準偏差全画面平均計測器10の出力する局所輝度標準偏差全画面平均とから、係数Aを算出する。例えば、次式(2)により係数を算出する。
【0040】
【数2】
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【0041】
ここで、Aは局所輝度平均差分に乗ずる係数 Bは全画面輝度平均差分に乗ずる係数で値は正、Cは局所輝度標準偏差、Eは局所輝度標準偏差全画面平均である。この例による係数Aのグラフを図5に示す。この図で横軸は局所輝度標準偏差C、縦軸は局所輝度平均差分に乗ずる係数Aである。
【0042】
図5において、係数Aは-Bから0までの負の値をとる。係数Aが負の場合は全画面輝度平均差分から局所輝度平均差分が減算されるため局所的な輝度勾配が小さくなる作用が働き、結果として出力画像における当該領域は平滑される。また、係数Aの絶対値の大小は平滑の強弱に比例する。
【0043】
係数Aの値が-Bとなる領域での処理内容は、一般的な平均値フィルタによる処理と同等の効果を得る。このため、局所的な輝度勾配が消滅し、画素輝度値は局所輝度平均と全画面輝度平均との差をB倍し、全画面輝度平均を加えた値になる。係数Aの絶対値が小さくなるにつれ平滑作用は弱まり、係数Aが0の領域では平滑作用がなくなる。この結果、画像全体としては、入力画像における局所輝度標準偏差が小さいほど平滑の効き具合を強め、局所輝度標準偏差が大きいほど平滑の効き具合を弱める結果となる。
【0044】
これにより、輝度勾配の小さい画面平坦部では平滑を強めてノイズを低減し、輝度勾配の大きい領域では平滑を弱めて輪郭のぼけを抑制することができる。
【0045】
実施の形態3.
以下、図6を用いて本発明に係る実施の形態3について説明する。
図6において、実施の形態1と同一又は相当部分には同一符号を付してあるので、説明は省略する。この実施の形態3では、実施の形態1の全画面輝度標準偏差計測器9の代わりに、ノイズ全画面輝度標準偏差計測手段としてのノイズ全画面輝度標準偏差計測器11を用いている。
【0046】
このノイズ全画面輝度標準偏差計測器11は、ノイズによる全画面の輝度標準偏差を計測する。すなわち、ノイズ全画面輝度標準偏差計測器11は、全画面にわたりレンズで捉えた被写体の画像において輝度勾配がなく、ノイズによる輝度勾配のみが存在する画像について全画面の輝度標準偏差を計測する。これによって、全画面の輝度標準偏差をノイズ全画面輝度標準偏差として記憶する。全画面にわたり被写体による輝度勾配のない画像を得るには、輝度勾配のない被写体を画角いっぱいに写してもよい。例えば、撮像機にシャッタを設置し、一定期間おきに撮像機に設置したシャッタを閉じて、このときの画像について全画面の輝度標準偏差を計測し、ノイズ全画面輝度標準偏差として用いることができる。
【0047】
係数算出器13は、局所輝度標準偏差とノイズ全画面輝度標準偏差とから、例えば次式(3)により係数を算出する。
【0048】
【数3】
JP0003937022B2_000004t.gif

【0049】
ここで、Aは局所輝度平均差分に乗ずる係数 Bは全画面輝度平均差分に乗ずる係数で値は正、Cは局所輝度標準偏差、Fはノイズ全画面輝度標準偏差である。
【0050】
この例による係数Aのグラフを図7に示す。この図で横軸は局所輝度標準偏差C、縦軸は局所輝度平均差分に乗ずる係数Aである。この例では、局所輝度標準偏差がノイズ全画面輝度標準偏差の2倍と等しい領域では係数Aは0、それより小さい領域では係数Aは負の値、それより大きい領域では係数Aは正の値で、局所輝度標準偏差が小さいほど係数Aの値は-Bに近づき、局所輝度標準偏差が大きいほど係数Aの値はBに近づく。係数Aが負の領域については、全画面輝度平均差分から局所輝度平均差分が減算されるため局所的な輝度勾配が小さくなる作用が働き、結果として出力画像における当該領域は平滑される。一方、係数Aが正の領域については、全画面輝度平均差分に局所輝度平均差分が加算されるため、局所的な輝度勾配が大きくなる作用が働き、結果として出力画像における当該領域は鮮鋭化される。係数が0の領域については平滑も鮮鋭化も作用しない。
【0051】
これにより、画像全体としては、輝度勾配の小さい画面平坦部では平滑によりノイズを抑制するとともに、輝度勾配の大きい部分では鮮鋭化が果たされる。すなわち、平滑化と鮮鋭化を切替ることによって、局所領域輝度標準偏差に応じてある画素では平滑、ある場所では鮮鋭化というように領域毎、画素毎に違う作用が得られるようにする。出力画像には鮮鋭化された領域と平滑された領域が混在することになるが、局所輝度標準偏差の大小と平滑及び鮮鋭化の強弱とを対応させているため、シームレスに平滑領域と鮮鋭化領域とが分布し、見た目に自然な処理画が得られる。
【0052】
この例では局所輝度標準偏差がノイズ全画面輝度標準偏差に等しい領域では、係数AはB×(-3/5)となり、入力画像と比較して-60%のノイズ低減効果が得られる。
【0053】
この実施の形態3による画像処理方式では、ノイズ全画面輝度標準偏差を基準として鮮鋭化と平滑及びそれぞれの強弱が決まるため、局所輝度標準偏差が同じ領域においては入力画像の全画面の輝度勾配に依らず常に同じ効果が得られる。
【0054】
また、必要時にノイズ全画面輝度標準偏差を再計測することで、ノイズパターンの時間的変化に対応して効果を維持することができる。
【0055】
実施の形態4.
以下、図8を用いて本発明に係る実施の形態4について説明する。
図8において、実施の形態2と同一又は相当部分には同一符号を付してあるので、説明は省略する。この実施の形態4では、実施の形態2の局所輝度標準偏差全画面平均計測器10の代わりに、ノイズ局所輝度標準偏差全画面平均計測手段としてのノイズ局所輝度標準偏差全画面平均計測器12を用いている。
【0056】
このノイズ局所輝度標準偏差全画面平均計測器12は、ノイズによる局所輝度標準偏差の全画面平均を計測する。すなわち、ノイズ局所輝度標準偏差全画面平均計測器12は、全画面にわたり被写体による輝度勾配がなくノイズによる輝度勾配のみが存在する画像について、局所領域毎の輝度標準偏差の全画面平均を計測し、ノイズ局所輝度標準偏差全画面平均として記憶する。全画面にわたり被写体による輝度勾配のない画像を得るには、輝度勾配のない被写体を画角いっぱいに写してもよい。例えば一定期間おきに撮像機に設置したシャッタを閉じ、このときの画像について局所領域毎の輝度標準偏差の全画面平均を計測しノイズ局所輝度標準偏差全画面平均として用いることができる。
【0057】
係数算出器13は、局所輝度標準偏差とノイズ局所輝度標準偏差全画面平均とから、例えば次式(4)により係数を算出する。
【0058】
【数4】
JP0003937022B2_000005t.gif

【0059】
ここで、Aは局所輝度平均差分に乗ずる係数 Bは全画面輝度平均差分算出器に乗ずる係数で値は正、Cは局所輝度標準偏差、Gはノイズ局所輝度標準偏差全画面平均である。
この例による係数Aのグラフを図9に示す。この図で横軸は局所輝度標準偏差C、縦軸は局所輝度平均差分に乗ずる係数Aである。
【0060】
この場合の作用は、実施の形態3におけるノイズ全画面輝度標準偏差をノイズ局所輝度標準偏差全画面平均に置き換えたものとなり、実施の形態3と同様の効果を得ることができる。
【0061】
なお、実施の形態3又は4において、ノイズによる全画面輝度標準偏差又はノイズによる局所輝度標準偏差全画面平均値が既知の固定的な値をとる場合(時間によるノイズ変動や装置環境変化によるノイズ変動がない場合)には、式(3)におけるF又は式(4)におけるGを相応の定数に置き換えて、それぞれ係数Aを算出することができる。このため、それぞれ、ノイズ全画面輝度標準偏差計測器11、ノイズ局所輝度標準偏差全画面平均計測器12を省略した構成とし、同様の効果を得ることができる。この場合、係数算出器13は、予め計測しておいたノイズ全画面輝度標準偏差又はノイズ局所輝度標準偏差全画面平均から求めた定数を内包し、局所輝度標準偏差計測器8による計測結果と係数Bとに基いて係数Aを算出する。
【0062】
また、ノイズの分布が画面内の領域に依存せず全画面にわたり一様で、且つ局所領域の大きさがノイズの空間的な周期に対して十分に大きい場合、すなわちどの局所領域においてもノイズ局所輝度標準偏差が一定とみなせる場合には、任意の一局所領域に関するノイズ局所輝度標準偏差を用いても同様の効果が得られる。この場合、わざわざ全画面のノイズ輝度標準偏差を計測したりノイズ局所輝度標準偏差の全画面平均値を算出する必要はない。
【0063】
さらに、実施の形態1では式(1)、実施の形態2では式(2)、実施の形態3では式(3)、実施の形態4では式(4)を用いたが、各実施の形態で使用する式は適宜変更可能であり、上記局所輝度標準偏差に応じて局所領域毎に画像の鮮鋭化の強弱を調節可能な式、上記局所輝度標準偏差に応じて局所領域毎に画像の平滑化の強弱を調節可能な式、あるいは上記局所輝度標準偏差に応じて局所領域毎に画像の鮮鋭化と平滑化の強弱を調整可能な式を選定できる。
【0064】
以上、実施の形態1乃至実施の形態4で説明した画像処理装置は、本発明の主旨から逸脱しない限りであれば、種々の変形があっても良い。勿論、全画面輝度平均計測器、局所輝度標準偏差計測器、局所輝度平均計測器、局所輝度平均差分算出器、係数算出器、及び各乗算器などは、アナログ回路で構成されていてもいいし、それぞれの処理アルゴリズムがプログラム化されて、全体として画像処理を行うための一連の処理プログラムで構成されていても良い。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明に係る画像処理装置及び撮像機の実施の形態1による画像処理を示すブロック図である。
【図2】画像処理の演算カーネルの概念を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1による画像処理の係数Aの算出例を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態2による画像処理を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施の形態2による画像処理の係数Aの算出例を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態3による画像処理を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施の形態3による画像処理の係数Aの算出例を示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態4による画像処理を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態4による画像処理の係数Aの算出例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0066】
1 入力画像信号
2 全画面輝度平均計測器
3 全画面輝度平均差分算出器
4 全画面輝度平均差分乗算器
5 局所輝度平均計測器
6 局所輝度平均差分算出器
7 局所輝度平均差分乗算器
8 局所輝度標準偏差計測器
9 全画面輝度標準偏差計測器
10 局所輝度標準偏差全画面平均計測器
11 ノイズ全画面輝度標準偏差計測器
12 ノイズ局所輝度標準偏差全画面平均計測器
13 係数算出器
14 加算器
15 出力画像
16 演算対象画素
17 演算カーネル
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8