TOP > 国内特許検索 > 船体方位概定装置 > 明細書

明細書 :船体方位概定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第3968442号 (P3968442)
公開番号 特開2006-162406 (P2006-162406A)
登録日 平成19年6月15日(2007.6.15)
発行日 平成19年8月29日(2007.8.29)
公開日 平成18年6月22日(2006.6.22)
発明の名称または考案の名称 船体方位概定装置
国際特許分類 G01C  15/00        (2006.01)
B63B  49/00        (2006.01)
FI G01C 15/00 101
G01C 15/00 104Z
B63B 49/00 Z
請求項の数または発明の数 3
全頁数 9
出願番号 特願2004-353486 (P2004-353486)
出願日 平成16年12月7日(2004.12.7)
審査請求日 平成16年12月7日(2004.12.7)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛省技術研究本部長
発明者または考案者 【氏名】国枝 健一
【氏名】里見 晴和
個別代理人の代理人 【識別番号】100079290、【弁理士】、【氏名又は名称】村井 隆
審査官 【審査官】▲うし▼田 真悟
参考文献・文献 特開2004-050970(JP,A)
調査した分野 G01C 21/00
G01C 15/00
B63B 49/00
特許請求の範囲 【請求項1】
相互に直交する第1及び第2の軸線上のそれぞれ2点の水中の電位差を検出する第1の電極の対及び第2の電極の対とを有し、さらに、前記第1及び第2の軸線の交点を通り前記第1及び第2の軸線に垂直な第3の軸線上で前記交点よりも上方の1点にある第3の電極を有し、水中に配置されて水中の電界を検知する電界検出器と、
前記第1の電極の対の電位差に比例した信号を出力する第1の電位差計と、
前記第2の電極の対の電位差に比例した信号を出力する第2の電位差計と、
前記第1の電極の対及び第2の電極の対の合計4点の電極の合成電位を計算する合成回路と、
前記第3の電極と前記合成電位との電位差に比例した信号を出力する第3の電位差計と、
前記第1及び第2の電位差計の出力から船体の水平面内の相対方位を計算する水平方位計算回路と、
前記第1、第2及び第3の電位差計の出力から船体の仰角を計算する仰角計算回路とを備えていることを特徴とする船体方位概定装置。
【請求項2】
深度計をさらに備えている請求項記載の船体方位概定装置。
【請求項3】
前記水平方位計算回路及び前記仰角計算回路の出力情報を保管するデータ記憶器をさらに備えている請求項1又は2記載の船体方位概定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、海を航行する船体の相対方位を概定する装置に係り、特に電界信号の検出手段を備えて、静的な電界信号を有する船体の相対方位を海中にて概定する船体方位概定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電界信号により船体と検出器との位置偏奇量を推定する方法(下記特許文献1)があるが、この方法では航走もしくは停止している船体の相対的な方位を知ることは出来ない。
【0003】
さらに、1個の検出器により移動目標の相対位置を推定する方法(下記特許文献2)があるが、この方法では船体が等速直線運動していない場合若しくは停止している場合には相対的な船体方位を知ることは出来ない。
【0004】
また、複数の検出器を所定距離で配置し、それぞれの受信信号の差から移動目標の相対位置を検出する方法(下記特許文献3)があるが、複数の検出器を離して配置するため、装置の小型化が図れないこと及び配置に高精度を要するため製造が難しいという問題がある。
【0005】
また、船舶が発生する振動を基に各成分の大きさを正規化した数値により船舶の直上通過を検出する方法(下記特許文献4)があるが、この方法は逆正接の計算を要するため、船舶の航走位置によっては計算値が極めて大きな値となるため産業上利用する場合においては係る状況を回避するための手段が必要となり実用性に乏しい問題がある。
【0006】
上述の如く、磁気信号、音響信号又は船体振動を用いずに船体の相対的な方位を概定するための有効な方法が従来無かった。
【0007】

【特許文献1】特許第3148986号公報
【特許文献2】特許第3395136号公報
【特許文献3】特許第2500347号公報
【特許文献4】特開平5-187912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の点に鑑み、1個所に配置した電界検出器を用いて、検出器から見た船体の相対方位を概定する船体方位概定装置を提供することを目的とする。
【0009】
本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の船体方位概定装置は、相互に直交する第1及び第2の軸線上のそれぞれ2点の水中の電位差を検出する第1の電極の対及び第2の電極の対とを有し、さらに、前記第1及び第2の軸線の交点を通り前記第1及び第2の軸線に垂直な第3の軸線上で前記交点よりも上方の1点にある第3の電極を有し、水中に配置されて水中の電界を検知する電界検出器と、
前記第1の電極の対の電位差に比例した信号を出力する第1の電位差計と、
前記第2の電極の対の電位差に比例した信号を出力する第2の電位差計と、
前記第1の電極の対及び第2の電極の対の合計4点の電極の合成電位を計算する合成回路と、
前記第3の電極と前記合成電位との電位差に比例した信号を出力する第3の電位差計と、
前記第1及び第2の電位差計の出力から船体の水平面内の相対方位を計算する水平方位計算回路と、
前記第1、第2及び第3の電位差計の出力から船体の仰角を計算する仰角計算回路とを備えていることを特徴としている。
【0011】
前記船体方位概定装置において、深度計を備えているとよい。
【0012】
前記船体方位概定装置において、前記水平方位計算回路及び仰角計算回路の出力情報を保管するデータ記憶器をさらに備えるとよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る船体方位概定装置はパッシブ方式である。すなわち本装置は、アクティブではないため周囲に影響を及ぼすことなく目標船の相対方位を概定できる。また、自然に海面に発生している電界雑音は存在せず、本装置を欺瞞することが難しい。すなわち、人工的にしか発生しえない電界を比較の対象とするため、従来の音響や磁気による検出方法と異なり、魚類等から発生する音響雑音や地磁気の変動による影響を受けない。また、船体が停泊している場合又は変速若しくは針路変更しながら航行している場合にも概定可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態として、船体方位概定装置の実施の形態を図面に従って説明する。
【0015】
図1は本発明に係る船体方位概定装置の実施の形態の全体的回路構成を示すブロック図、図2は実施の形態で用いる電極棒構造の斜視図、図3は装置全体の外観を示す斜視図をそれぞれ示す。
【0016】
これらの図において、海底に設置された電界検出器10は海底において水平配置されており、電極棒(端位置に電極を有する絶縁棒をいう。以下同じ。)1-1、同一構造でそれと同一水平面で直交する電極棒1-2、さらに片側のみ同一構造でこれらに直交する垂直配置の電極棒1-3を図2のように有している。そして各電極棒1-1,1-2の両端位置に、相互に直交する水平軸線の互いに離間した各々2点の水平方向電位差を検出する電極2-1,2-2及び2-3,2-4が内蔵、配置されている。前記2本の水平軸に直交する電極棒1-3の上端には電極2-5が内蔵、配置されている。ここでは、便宜上、電極棒1-1の置かれた水平軸線がX方向、電極棒1-2の置かれた水平軸線がY方向、電極棒1-3の置かれた垂直軸線がZ方向であるものとする。
【0017】
ここで、電極2-1と電極2-2の距離と、電極2-3と電極2-4の距離とは等しく、かつ船体の長さよりも十分短いものとする。
【0018】
また、電極2-1と電極2-2を結ぶ直線と電極2-3と電極2-4を結ぶ直線との交点から見た各電極までの距離は相等しいものとする。
【0019】
電極2-5は、電極2-1と電極2-2を結ぶ直線と電極2-3と電極2-4を結ぶ直線との交点の垂直上方に配置されており、その交点と電極2-5間の距離は前記電極2-1と電極2-2の距離若しくは電極2-3と電極2-4の距離と等しいものとする。
【0020】
同一軸線上にある対をなした電極同士の出力(電位差)はそれぞれ電位差計に加えられる。つまり、X方向の電極棒1-1の両端位置の電極2-1,2-2の電位差は電位差計4-1で所定レベルまで電圧増幅される。同様に、Y方向の電極棒1-2の両端位置の電極2-3,2-4の電位差は電位差計4-2で所定レベルまで電圧増幅される。
【0021】
前記電極2-1、2-2、2-3及び2-4の各出力値は合成回路3に加えられる。合成回路3はこれら4個の電極の和を4で除した値を出力する。
【0022】
合成回路3と前記電極2-5の出力(電位差)は電位差計4-3で所定レベルまで電圧増幅される。
【0023】
ここで、電位差計4-1~4-3は入力された電位差に比例した信号を出力するものとし、また、各電位差計の増幅度は等しいものとする。
【0024】
本装置の深度情報(電界検出器10の深度情報)は前記電極群のすぐ脇に設置された深度計6により検知する。
【0025】
さらに電位差計4-1及び4-2の出力は水平方向計算回路5に加えられ、この水平方向計算回路5により船体の水平方向の相対方位が計算される。
【0026】
また電位差計4-1~4-3の出力及び深度計6の出力は電界検出器10から見た船体の仰角を計算する仰角計算回路7に加えられる。
【0027】
水平方向計算回路5及び仰角計算回路7により計算された結果(出力情報)はデータ収録器8に格納される。なお、図示は省略したが、本装置は時刻情報を得るための内蔵時計を備えている。
【0028】
図2は3個の電極棒1-1,1-2,1-3の位置関係を示している。各電極棒1-1,1-2,1-3は互いに直交しており、かつ各電極棒が交わる箇所には内部への海水の浸入を防止した水密構造の接続箱9がある。なお、合成回路3,電位差計4-1,4-2,4-3、水平方位計算回路5,深度計6、仰角計算回路7、データ記憶器8等は前記接続箱9の中に格納されている。
【0029】
図3は本装置の外観である。本装置は、電極2-1~2-5を除き、海水に接触する外装ケース11は全て非金属性材料の絶縁体で構成されている。
【0030】
図4は水平方位計算回路5及び仰角計算回路7における計算内容を説明するためのものであり、図5及び図6は静的な電界信号を有する船体による海中での電界分布を説明するものである。
【0031】
図4は本装置と船体12との位置関係を表したものである。海底に設置された本装置を原点Oとし、電極棒1-1と同一直線上をX軸、電極棒1-2と同一直線上をY軸、電極棒1-3と同一直線上をZ軸とする。また原点Oから見て電極2-1のある方位をX軸の正値、電極2-3のある方位をY軸の正値、電極2-5のある方位をZ軸の正値とする。
【0032】
図4において海面上の点Pを航行している船体12からZ軸に並行に海底に垂下した点をQとする。このときX軸と直線OQがなす角度をφとする。また直線OQと直線OPがなす角度をθとする。以下ではφについてはX軸を基準に反時計回りを正値とする。またθについては直線OQを基準に反時計回りを正値とする。
【0033】
図5は船体から発生する電界値を上空から見た場合における等電位線として表したものである。図5において船体近傍の電位が最も高くなる(発電機やスクリュー回転等の活動に起因する。)。すなわち等電位線El>等電位線E2>等電位線E3>等電位線E4>等電位線E5である。
【0034】
図6は船体から発生する電界値を垂直断面から見た場合における等電位線として表したものである。図6において船体近傍の電位が最も高くなる。すなわち等電位線Ezl>等電位線Ez2>等電位線Ez3>等電位線Ez4である。
【0035】
この実施の形態による船体方位の検出動作は以下の通りである。
【0036】
初めに海底(又は海中)に設置された電界検出器10の電極棒1-1内の対を成した電極2-1,2-2によりX方向の電位差を、電極棒1-2内の対を成した電極2-3,2-4によりY方向の電位差を、電極棒1-3内の電極2-5と前記合成回路3の出力によりZ方向の電位差を検知する。つまり、前記の電極群が配置された海底側より、上向きに向かって海面からの電界値をモニターする。
【0037】
この後、各電位差計4-1~4-3により各電極棒内の対を成した2枚の電極間の電位差をそれぞれ差動増幅する。ここで電位差計4-1は電極2-1が電極2-2よりも大きい値であるときに正値を、電極2-2が電極2-1よりも大きい値であるときに負値を出力する。同様に電位差計4-2は電極2-3が電極2-4よりも大きい値であるときに正値を、電極2-4が電極2-3よりも大きい値であるときに負値を出力する。また電位差計4-3は電極2-5が合成回路3の出力値よりも大きい値であるときに正値を出力する。
【0038】
前述のように、電極2-1と電極2-2の距離と、電極2-3と電極2-4の距離とは等しく、かつ船体の長さよりも十分短いものとし、電極2-1と電極2-2を結ぶ直線と電極2-3と電極2-4を結ぶ直線との交点から見た各電極までの距離は相等しいものとする。
【0039】
電極2-5は、電極2-1と電極2-2を結ぶ直線と電極2-3と電極2-4を結ぶ直線との交点の垂直上方に配置されており、その交点と電極2-5間の距離は前記電極2-1と電極2-2の距離若しくは電極2-3と電極2-4の距離と等しいものとする。
【0040】
前記電位差計4-1の出力値をu、電位差計4-2の出力値をvとした場合、水平方位は近似的に次式で表される。
【0041】
初めに電位差計4-1の出力値及び電位差計4-2の出力値から次の場合分けを行う。
uが零を超える値(正値)、vが0のときは条件0とする。
u及びvの両方が正値であるときは条件1とする。
uが0、vが正値のときは条件2とする。
uが負値、vが正値であるあるときは条件3とする。
uが負値、vが0のときは条件4とする。
u及びvの両方が負値であるときは条件5とする。
uが0、vが負値のときは条件6とする。
uが正値、vが負値であるときは条件7とする。
u及びvのいずれもが0のときには直上と判断し推定を終了する。
【0042】
条件0が成立するときはφ=0°、
条件2が成立するときはφ=90°、
条件4が成立するときはφ=180°、
条件6が成立するときはφ=270°とする。
条件0、条件2、条件4若しくは条件6のいずれも成立しない場合には水平方位は近似的に以下の式により表される。
φ= t + 45°・(k・△+1) …(1)
但し、
t:条件1が成立するときは0°、
条件3が成立するときは90°、
条件5が成立するときは180°、
条件7が成立するときは270°とする。
k:条件1が成立するときは1、
条件3が成立するときは-1、
条件5が成立するときは1、
条件7が成立するときは-1とする。
n=(u+v1/2
△=(|v|-|u|)/n
【0043】
本装置から見た船体の仰角は近似的に次式で表される。
θ=45°・(▽+1) …(2)
但し、wは電位差計4-3の出力値であり
▽=(|w|-|n|)/(w+n1/2
【0044】
図4において本装置と船体12との直距離OPの値Lは深度計から得られた深度値をdとした場合、
L=d/cos(90°-θ)で与えられる。
【0045】
この実施の形態によれば、次の通りの効果を得ることができる。
【0046】
(A) 1個所に配置した電界検出器10を用いて、該検出器10から見た船体の相対方位を概定することができるため、装置の小型化を図ることが可能で、また、装置の配置に高精度が要求されることもない。
【0047】
(B) 水平方向の相対方位及び仰角は前記式(1)及び(2)により簡単に計算することが可能である。
【0048】
(C) アクティブ方式ではないため、周囲に影響を及ぼすことなく目標船の相対方位を概定できる。
【0049】
(D) 人工的にしか発生しえない電界を比較の対象とするため、従来の音響や磁気による検出方法と異なり、魚類等から発生する音響雑音や地磁気の変動による影響を受けないで目標船の相対方位を概定できる。
【0050】
(E) 静的な電界信号により目標船の相対方位を概定するため、船体が停泊している場合又は変速若しくは針路変更しながら航行している場合にも方位の概定が可能である。
【0051】
以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る船体方位概定装置の実施の形態の全体構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態で用いる電界検出器の構成を示す斜視図である。
【図3】実施の形態の外観を示す斜視図である。
【図4】船体方位の計算内容を説明するための説明図である。
【図5】船体が発生する電界信号の大きさを上空から見た場合を示す説明図である。
【図6】船体が発生する電界信号の大きさを垂直面から見た場合を示す説明図である。
【符号の説明】
【0053】
1-1~1-3 電極棒
2-1~2-5 電極
3 合成回路
4-1~4-3 電位差計
5 水平方位計算回路
6 深度計
7 仰角計算回路
8 データ記憶器
9 接続箱
10 電界検出器
11 外装ケース
12 船体
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5