TOP > 国内特許検索 > 2段階拡大ノズルを有するフルイディック推力偏向ノズル > 明細書

明細書 :2段階拡大ノズルを有するフルイディック推力偏向ノズル

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4081550号 (P4081550)
公開番号 特開2006-322395 (P2006-322395A)
登録日 平成20年2月22日(2008.2.22)
発行日 平成20年4月30日(2008.4.30)
公開日 平成18年11月30日(2006.11.30)
発明の名称または考案の名称 2段階拡大ノズルを有するフルイディック推力偏向ノズル
国際特許分類 F02K   1/28        (2006.01)
F02K   9/82        (2006.01)
FI F02K 1/28
F02K 9/82
請求項の数または発明の数 3
全頁数 6
出願番号 特願2005-146851 (P2005-146851)
出願日 平成17年5月19日(2005.5.19)
審査請求日 平成17年5月19日(2005.5.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛省技術研究本部長
発明者または考案者 【氏名】熊谷 義貴
個別代理人の代理人 【識別番号】100067323、【弁理士】、【氏名又は名称】西村 教光
審査官 【審査官】亀田 貴志
参考文献・文献 実開昭62-125896(JP,U)
特公昭50-022800(JP,B1)
特開2000-002154(JP,A)
米国特許第03353356(US,A)
調査した分野 F02K 1/28
F02K 9/82
特許請求の範囲 【請求項1】
コンバージェント・ダイバージェントノズルを有するジェットエンジン及びロケットエンジンにおいて、ダイバージェント出口部の略全周に2次流噴出孔を設け、偏向する方向と逆側の2次流噴出孔から2次流を噴き出し、推力を偏向させるとともに排気部に目標偏向角と同じ角度の2段階拡大部を設けることで、コアンダ効果により低流量の2次流での推力の偏向が行えることを特徴とする2段階拡大ノズルを有するフルイディック推力偏向ノズル。
【請求項2】
前記2次流噴出孔は、前記ダイバージェント出口部の内壁及び外壁に開口し、2次流噴出孔に供給される2次流を、開閉弁の操作により、遮断もしくは前記内壁側の任意の開口から噴出自在とした請求項1記載の2段階拡大ノズルを有するフルイディック推力偏向ノズル。
【請求項3】
前記2段階拡大部は、無偏向時は、前記2次流噴出孔への2次流の供給を遮断するとともに、全周に設けた前記2次流噴出孔を大気開放にすることで、過膨張流による推力損失を低減できる請求項1又は2記載の2段階拡大ノズルを有するフルイディック推力偏向ノズル。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバージェント・ダイバージェントノズルを有するジェットエンジン及びロケットエンジン等に関し、低流量の2次流での推力偏向と、無偏向時の推力損失の低減が実現できる2段階拡大ノズルを有するフルイディック推力偏向ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にコンバージェント・ダイバージェントノズルを有するジェットエンジンの排気ノズルは、図5に示すように燃焼室1を通過するガスをコンバージェント部2及びのダイバージェント部4を通して膨張、高速化させノズル排気部から噴出させ、その反作用により推力を発生させるものである。排気速度が音速を超える条件下ではスロート部3を通過するガス速度は音速であり、ダイバージェント部4で音速を超える速度に増速され排気される。
【0003】
推力の偏向は、この排気流の噴出角度を変えることにより行われる。
【0004】
現在、航空機で実現されている推力偏向は、可動式ノズルやフラップ等によって機械的に主流方向を変えることにより達成されている。
【0005】
しかしながら、この方式は機械的可動機構の付加を必要とするため、可動部の複雑性と重量の増加が航空機の性能低下に繋がっている。
【0006】
フルイディック推力偏向方式(下記非特許文献参照)は、固定ノズルで推力の偏向が実現できるため、複雑な機械的機構を必要としない。そのため機械的推力偏向機構に比べ信頼性の向上、重量・コストの低減が図れることから次世代の推力偏向機構として期待されている。

【非特許文献1】Karen A.Deere 著、「Summary of Fluidic Thrust Vectoring Research Conducted at NASA Langley Research Center」、AIAA Paper 2003-3800
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、フルイディック推力偏向ノズルの手段として次のものが挙げられている。
(1)対向流を流す方式
この方式は、図6に示すように、ノズル外部に壁を設け、その外部壁10とノズルよりの排気流の間を上流側に吸引することにより2次流5aを発生させ主流を偏向する方式であるが、有効な吸引の方法が無く、外部壁と機体との統合に問題があるなど不利な点が多く、実用化には至っていない。
【0008】
(2)スロート位置を変える方式
この方式は、図7に示すように、スロート部3に2次流5aを噴出させることで空力的にスロート位置を変更し、それにより生じたノズル表面への非対称な圧力負荷により主流を偏向させる方式であるが、大きな偏向角の達成が困難であるという問題がある。
【0009】
(3)衝撃波を利用した方式
この方式は、図8に示すように、ダイバージェント部4から2次流5aを噴出させることで斜め衝撃波を発生させ、その衝撃波8を通過する主流を偏向させる方式であるが、偏向させるためにダイバージェントの広がり角を大きくとらなければならないため、無偏向時は推力損失の大きい過膨張流となってしまう問題点がある。
【0010】
以上のように従来提案されているフルイディック推力偏向方式はいずれにも問題点があるものである。本発明は従来のフルイディック推力偏向方式の上記問題点を解決するためになされたもので、簡単な構造で低流量の2次流での推力偏向の実現と無偏向時の推力損失を低減できるフルイディック推力偏向ノズルを有するジェットエンジンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題を解決するため、本発明はコンバージェント・ダイバージェントノズルを有するジェットエンジン及びロケットエンジンにおいて、エンジンノズル出口部に2次流噴出孔を配置し、更にその外部に目標偏向角と同じ角度の2段階拡大部を設けるものである。
【発明の効果】
【0012】
このように、エンジンノズル出口部に2段階拡大部を設けることにより、2次流噴き出しにより偏向した排気流を更にコアンダ効果により偏向させることができる。
また、無偏向時は全周に設けた2次流噴出孔を大気開放にすることで、エジェクタ効果によって引き込まれた周囲空気により過膨張流の推力損失を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に実施例について説明する。図1は本発明に係る2段階拡大ノズルを有するフルイディック推力偏向ノズルの一実施例を示す概略構成図である。図1において1は燃焼室、2はコンバージェント部、3はスロート部、4はダイバージェント部でありこれらの構成は従来のものと同様である。6は発明に係る2段階拡大部で、2次流噴出孔5よりノズル内部に供給される図2の2次流5aによって偏向された排気流を更に偏向するためのもので目標偏向角と同じ広がり角となっている。2次流噴出孔5には、ノズル本体内において分岐状に形成される2次流供給孔11を介して、排気2次流が供給される。2次流噴出孔5は、ノズル内外壁の略全周に開口するように略等間隔で密に多数設けられる。図2のように推力偏向には偏向を行う方向と逆側の噴出孔5から2次流5aを噴出し、その他の噴出孔5からは供給を行わない。
【0014】
本発明の方式では偏向開始点までは通常のノズル効率を考慮した広がり角であるダイバージェント部4で膨張させ、その後の2段階拡大部6での過膨張流(図3)は三方弁7によって2次流供給側を閉じ、全周に設けた2次流噴出孔5を大気開放にすることで引き込まれた周囲空気9により推力損失を低減することができる(図4)。そのため、更に目標偏向角を大きくとる目的で2段階拡大部の広がり角を大きく設計しても、無偏向時の推力損失の増加を防ぐことができる。
【0015】
以上実施例に基づいて説明したように、本発明によれば、通常のノズル効率を考慮して設計したダイバージェント部に推力偏向のための2段階拡大部を設けたので、無偏向時は全周に設けている2次流噴出孔を大気開放することで推力損失を低減でき、推力偏向時はコアンダ効果により更に偏向できるため、低流量の2次流で推力の偏向が行える。上記説明では三方弁によって2次流供給側と大気開放側の開閉操作をしているが、2次流供給側、大気開放側双方に弁を設ける方法でも差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る2段階拡大ノズルを有するフルイディック推力偏向ノズルの構成例を示す断面図である。
【図2】同推力偏向時における態様を示す図である。
【図3】同無偏向時における態様を示す図である。
【図4】同2次流噴出孔大気開放方式による無偏向時における態様を示す図である。
【図5】従来のジェットエンジンの構成例を示す断面図である。
【図6】従来のフルイディック推力偏向ノズルの構成例を示す断面図である。
【図7】従来の他のフルイディック推力偏向ノズルの構成例を示す断面図である。
【図8】従来のさらに他のフルイディック推力偏向ノズルの構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 燃焼室
2 コンバージェント部
3 スロート部
4 ダイバージェント部
5 2次流噴出孔
5a 2次流
6 2段階拡大部
7 三方弁
8 衝撃波
9 周囲空気
10 外部壁
11 2次流供給孔
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7