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明細書 :放電衝撃破壊装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4074889号 (P4074889)
公開番号 特開2007-021418 (P2007-021418A)
登録日 平成20年2月8日(2008.2.8)
発行日 平成20年4月16日(2008.4.16)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
発明の名称または考案の名称 放電衝撃破壊装置
国際特許分類 B02C  19/18        (2006.01)
E04G  23/08        (2006.01)
F42D   3/04        (2006.01)
FI B02C 19/18 Z
E04G 23/08 F
F42D 3/04
請求項の数または発明の数 4
全頁数 12
出願番号 特願2005-209327 (P2005-209327)
出願日 平成17年7月20日(2005.7.20)
審査請求日 平成17年7月20日(2005.7.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛省技術研究本部長
発明者または考案者 【氏名】荒井 浩成
【氏名】榎本 俊明
【氏名】柳井 知宏
【氏名】柳田 保雄
【氏名】江刺家 大亮
個別代理人の代理人 【識別番号】100113859、【弁理士】、【氏名又は名称】板垣 孝夫
【識別番号】100068087、【弁理士】、【氏名又は名称】森本 義弘
【識別番号】100096437、【弁理士】、【氏名又は名称】笹原 敏司
【識別番号】100100000、【弁理士】、【氏名又は名称】原田 洋平
審査官 【審査官】志水 裕司
参考文献・文献 特開平11-076854(JP,A)
特開平01-118100(JP,A)
特表平11-510244(JP,A)
特開平01-049897(JP,A)
実用新案登録第2575595(JP,Y2)
特許第3442066(JP,B2)
特開2000-018900(JP,A)
特開平10-331447(JP,A)
特開平07-103693(JP,A)
調査した分野 B02C 19/18
E04G 23/08
F42D 3/04
特許請求の範囲 【請求項1】
底壁部を有するとともに内側に空間室が形成された箱状体と、この箱状体に複数の棒状係止部材により係止されて当該箱状体の上方開口部を閉鎖し得る蓋体と、上記箱状体の空間室内に配置されるとともに電源装置に接続される一対の電気配線に接続された金属細線と、上記空間室内に充填された爆発性物質とから構成するとともに、
上記蓋体の内側表面に、空間室内に入り込むとともに当該空間室の内周面に沿うように環状突出部を形成し、
且つ上記箱状体および蓋体については、空間室内に充填された爆発性物質の爆発力で破損しない強度を持たせるとともに、蓋体の環状突出部については、爆発性物質の爆発力で変形するような強度を持たせたことを特徴とする放電衝撃破壊装置。
【請求項2】
所定高さの枠状側壁体と、この枠状側壁体に複数の棒状係止部材を介して係止されて両側の開口部を閉鎖し得る蓋体と、上記枠状側壁体の内側に形成される空間室内に配置されるとともに電源装置に接続される一対の電気配線に接続された金属細線と、上記空間室内に充填された爆発性物質とから構成するとともに、
上記各蓋体の内側表面に、空間室内に入り込むとともに当該空間室の内周面に沿うように環状突出部を形成し、
且つ上記箱状体および蓋体については、空間室内に充填された爆発性物質の爆発力で破損しない強度を持たせるとともに、蓋体の環状突出部については、爆発性物質の爆発力で変形するような強度を持たせたことを特徴とする放電衝撃破壊装置。
【請求項3】
爆発性物質がニトロメタンであることを特徴とする請求項1または2に記載の放電衝撃破壊装置。
【請求項4】
棒状係止部材が、ボルトであることを特徴とする請求項1または2に記載の放電衝撃破壊装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、放電により発生する衝撃力で爆発性物質を爆発させて、例えばコンクリートなどの構造物を破壊し得る放電衝撃破壊装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、コンクリートなどの構造物を安全に破壊する装置として、ダイナマイトの替わりに、取り扱いが安全である放電カートリッジを用いたものが提案されている。
なお、この放電カートリッジは、例えば筒状容器内に、一対の電極間に接続された金属細線を配置するとともに水、油などの力伝達物質を充填しておき、電源装置から金属細線に、所定の電気エネルギーを一気に供給して金属細線を溶融気化させ、その溶融気化時の体積膨張に起因して発生する衝撃力(以下、放電衝撃力ともいう)を、力伝達物質を介して周囲に伝えることにより、構造物を破壊するものである。
【0003】
そして、構造物を部分的に破壊する場合、その破壊部分に穴を形成するとともにこの穴内に放電カートリッジを挿入しておき、金属細線に電気エネルギーを供給して破壊が行われている(特許文献1参照)。
【0004】
ところで、放電カートリッジを挿入するための穴を形成することができない場合には、筒状容器の末端部分に、構造物に直接衝突させて破壊するための砲弾のような破壊用部材(例えば、楔)を挿入しておき、そしてこの末端部分に隣接して配置された放電衝撃力の発生部分にすなわち金属細線に電気エネルギーを供給し、その溶融気化により発生する放電衝撃力により破壊用部材を筒状容器から発射させて、部分的に破壊が行われていた(特許文献2参照)。

【特許文献1】特開平10-331447号公報参照
【特許文献2】特開平11-76854号公報参照
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の放電カートリッジの構成によると、砲弾形状の破壊用部材を発射させる関係上、筒状容器がどうしても長くなるため、例えば破壊部分が狭隘な場所に位置している場合には、放電カートリッジ自体の設置が困難となり、また現地で、筒状体内に破壊用部材を装填する作業を行う必要があり、面倒な準備作業を必要としていた。
【0006】
そこで、本発明は、放電衝撃力を用いて構造物を破壊する際に、面倒な準備作業を必要としないとともに、狭隘な場所であっても、容易に破壊作業を行い得る放電衝撃破壊装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る放電衝撃破壊装置は、底壁部を有するとともに内側に空間室が形成された箱状体と、この箱状体に複数の棒状係止部材により係止されて当該箱状体の上方開口部を閉鎖し得る蓋体と、上記箱状体の空間室内に配置されるとともに電源装置に接続される一対の電気配線に接続された金属細線と、上記空間室内に充填された爆発性物質とから構成するとともに、
上記蓋体の内側表面に、空間室内に入り込むとともに当該空間室の内周面に沿うように環状突出部を形成し、
且つ上記箱状体および蓋体については、空間室内に充填された爆発性物質の爆発力で破損しない強度を持たせるとともに、蓋体の環状突出部については、爆発性物質の爆発力で変形するような強度を持たせたものである。
【0008】
また、本発明の請求項2に係る放電衝撃破壊装置は、所定高さの枠状側壁体と、この枠状側壁体に複数の棒状係止部材を介して係止されて両側の開口部を閉鎖し得る蓋体と、上記枠状側壁体の内側に形成される空間室内に配置されるとともに電源装置に接続される一対の電気配線に接続された金属細線と、上記空間室内に充填された爆発性物質とから構成するとともに、
上記各蓋体の内側表面に、空間室内に入り込むとともに当該空間室の内周面に沿うように環状突出部を形成し、
且つ上記箱状体および蓋体については、空間室内に充填された爆発性物質の爆発力で破損しない強度を持たせるとともに、蓋体の環状突出部については、爆発性物質の爆発力で変形するような強度を持たせたものである。
【0009】
さらに、請求項3に係る放電衝撃破壊装置は、請求項1または2に記載の破壊装置において、爆発性物質としてニトロメタンを用いたものである。
また、請求項4に係る放電衝撃破壊装置は、請求項1または2に記載の破壊装置において、棒状係止部材としてボルトを用いたものである。
【発明の効果】
【0010】
上記請求項1または請求項2に記載の構成によると、棒状係止部材を介して蓋体が取り付けられた箱状体または枠状側壁体の空間室内に、金属細線およびニトロメタンなどの爆発性物質を充填するとともに、金属細線の溶融気化により発生する放電衝撃力で爆発性物質を爆発させて蓋体を飛ばす(放出する)ようにしたので、従来のように、筒状容器に砲弾形状の破壊用部材を装填したものと異なり、装置自体を短く、すなわち薄くすることができ、したがって放電カートリッジを挿入するための穴を形成する必要がなく、また穴を形成することができないような狭隘な場所においても、隙間に挿入して電気エネルギーを供給するだけで、部分的に且つ容易に破壊を行うことができる。
【0011】
また、蓋体の内側表面に、箱状体内に突出する環状突出部を形成したので、爆発性物質の爆発による空間室外方に向かう力により、環状突出部が膨出して(外側に膨らんで)箱状体または枠状側壁体に強く接触することにより、蓋体の飛び出しが制御されるため、空間室内での爆発性物質の爆発反応時間が長くなって爆発の威力が増し、したがって威力が増した爆発により当該蓋体が飛び出し破壊力が増大するとともに、爆発性物質の使用効率が高くなって経済性が向上する。
【0012】
さらに、蓋体を箱状体に係止する棒状係止部材としてボルトを用いるとともにその断面積を調節することにより、爆発反応時間を調節して爆発力を制御することができ、またボルト毎の断面積を適宜変更することにより、蓋体の飛び出す方向についても制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
[実施の形態]
以下、本発明の実施の形態に係る放電衝撃破壊装置を図面に基づき説明する。
まず、放電衝撃破壊装置を、図1~図3に基づき説明する。
【0014】
図1および図2に示すように、この放電衝撃破壊装置1は、平面視が矩形状、例えば正方形にされた底壁部11aおよびその周囲に立設された側壁部11bから成るとともに中央に平面視が円形の空間室11cが形成された薄い弁当箱のような形状をした金属製の箱状体11と、この箱状体11の上方の円形開口部(上方開口部)11dを閉鎖し得る金属製の蓋体12と、上記箱状体11の空間室11c内に配置されるとともに一対の装置側電気配線13の各一端側に両端部が接続された金属細線14と、同じく空間室11c内に充填された液体のニトロメタン(爆発性物質の一例で、例えばガソリンを用いることもできる)15と、上記箱状体11から引き出された装置側電気配線13の各他端側に接続された電源装置16(図3に示す)とから構成されるとともに、上記箱状体11に蓋体12を係止するための棒状係止部材、例えばボルト(リベットでもよい)17およびナット18が、所定個数ずつ具備されている。
【0015】
また、上記金属細線14については、その両端に接続されている装置側電気配線(被覆線が用いられる)13が、固定材(例えば、金属製または合成樹脂製のバンドなどが用いられるが、配線が裸線である場合には、当然に、合成樹脂製のものが用いられるとともに、当該装置側電気配線と箱状体との間で絶縁が行われる)19にて、箱状体11の底壁部11aに固定されている。なお、装置側電気配線13については、箱状体11の側壁部11bに形成された貫通穴11eを挿通して設けられるとともに、当該装置側電気配線13が挿通された後の貫通穴11eには詰め物(例えば、パテ材)が施されて密閉状態が保持される。また、側壁部11bの適所には、空間室11c内にニトロメタン15を充填するための充填口11fが形成されており、充填後には栓20が施されて(例えば、ねじ止めされて)塞がれる。
【0016】
そして、箱状体11については、弁当箱のように薄くされていると説明したが、具体的に述べると、箱状体11の高さ(H)とその一辺の長さ(L)との比率は1対2以下が好ましい。なお、箱状体11に蓋体12を取り付けた状態での高さ(H′)とその一辺の長さ(L)との比率は、最大でも1対1とされる。
【0017】
また、上記蓋体12の内側表面には、空間室11c内に所定高さ(h)だけ入り込む所定厚さ(t)の環状突出部(円筒状部ともいえる)12aが形成されている。そして、この環状突出部12aは、空間室11cの内周面に沿うように、すなわちその外周面と空間室11cの内周面(側壁部11bの内周面である)との間に、当該環状突出部12aの空間室11cへの挿入を支障なく行い得るような僅かな隙間で、且つ起爆力で環状突出部12aが変形した際に、その隙間が塞がれるような寸法でもって形成されている。
【0018】
さらに、上記箱状体11および蓋体12の材質[例えば、鉄鋼(特に鋳鋼)、ステンレス、アルミニウムなどが用いられる]および厚さなどについては、空間室11c内に充填されたニトロメタン15の爆発力で破損しない強度を有するように選択されるとともに、蓋体12の環状突出部12aについても、ニトロメタン15による爆発力で変形するような強度を有するようにされている。より具体的には、蓋体12における環状突出部12aの厚さ(t)については、ニトロメタン15の爆発力が作用した際に、当該環状突出部12aが外側に僅かに膨出(変形)して、その隙間を塞ぎ得るような寸法にされている。なお、蓋体12の外形は、箱状体11の外形に一致する形状、すなわち正方形にされている。
【0019】
また、蓋体12を取り付けるためのボルト17については、図1に示すように、空間室11cの周囲に均等に複数本、例えば8本配置されるとともに、充填されたニトロメタン15の量に応じて、すなわち所望の爆発力が出るような強さのものが選択され、所定の爆発反応率が得られるようにされている。この爆発反応率は、爆発性物質のうち、どれだけの割合が爆発するのかを示すもので、この反応率が高ければ、爆発の威力が大きいことを示している。
【0020】
上記ボルト17の強さについては、例えば放電衝撃力だけで起爆できないような、金属細線14から遠く離れた位置のニトロメタン15を、金属細線14付近の起爆したニトロメタン15の爆発力で爆発(伝爆)させるために、爆発反応率が十分に高まるまでの間にボルト17が伸びてニトロメタン15の収容空間(空間室11cの部分)が増えても、ニトロメタン15を殆ど外部に漏らさない程度の強度(係止能力)を有するようにされている。
【0021】
例えば、実際の爆発を観察した場合、放電衝撃力によりニトロメタン15が起爆すると、爆発により、蓋体12が押し出され始めるため、ボルト17が伸び始める(このとき、ニトロメタンの漏れはない)。その後、ボルト17が破断して蓋体12が飛び出そうとするが、このとき、ニトロメタンの収容空間が増えることになるが、蓋体12の環状突出部12aが外方に変形して空間室11cの内周面に押し付けられた状態(密着)になっているため、ニトロメタン15が漏れるのが防止されており、最後に、環状突出部12aが空間室11cから飛び出し、その後、蓋体12が勢いよく飛び出していることが分かった。
【0022】
このように、起爆から蓋体12の飛び出しまで、非常に短時間であるが時間差があり、伝爆自体も短時間で起こることから、ボルト17が破断するまでに、80~90%程度の爆発反応率が得られれば、全体として100%の爆発反応率に近づくと推定され、したがってボルト17については、伸びなどの変形をしてもよいが、目標の爆発反応率まで係止状態が維持できるような所定強度を有するようにされている。この所定強度に対応する爆発力について具体的に説明するとしたら、爆発反応率が十分に(例えば、80~90%程度)高まる準完爆程度の爆発力である。
【0023】
なお、ボルト17の強度が小さいと、蓋体12が早く飛び出すことになり、ニトロメタン15の爆発反応量が少なくなって(使用効率が低下して)、非経済的となり、また当然に、全体としての爆発力が小さくなる。
【0024】
また、上記電源装置16は、図3に示すように、高電圧の直流電源21と、この直流電源21に充電用電気配線22を介して並列に接続されたコンデンサ23と、この充電用電気配線22の途中に設けられて上記コンデンサ23に充電する電気量を制御するための充電制御回路24と、上記コンデンサ23に金属細線14を並列に接続するための接続用電気配線25と、この接続用電気配線25の途中に設けられた放電用スイッチ26とから構成されている。
【0025】
上記電源装置16において、充電制御回路24により所定の電気量をコンデンサ23に蓄積しておき、放電用スイッチ26をオンにすることにより、一気に所定の電気エネルギー(電気量)を金属細線14に供給して当該金属細線14を瞬時に溶融気化させ、この瞬時の溶融気化による放電衝撃力が発生して瞬時に伝わり、この放電衝撃力により所定範囲(起爆条件を満たす範囲)のニトロメタン15が起爆し、極めて僅かな時間でもって、金属細線14から外側に向かって残りのニトロメタン15の爆発反応(伝爆)が進行し、最終的には、全てのニトロメタン15が爆発(完爆)して所定の爆発力が得られる。
【0026】
次に、上記放電衝撃破壊装置により、コンクリート製の構造物を、例えば部分的に破壊する方法について説明する。
まず、放電衝撃破壊装置1そのものに着目して、放電衝撃力の発生メカニズムについて説明する。
【0027】
放電前においては、図4(a)に示すように、装置側電気配線13に接続された金属細線14を、固定材19を介して箱状体11の底壁部11aに固定しておき、そして蓋体12をボルト17およびナット18を介して箱状体11に係止した後、箱状体11の適所に形成された充填口11fから空間室11c内にニトロメタン15を充填する。勿論、蓋体12と箱状体11との接触部分には、シール剤(例えば、シリコングリースなどが用いられる)31が配置されて密封状態にされており、充填後、充填口11fは栓20により塞がれる。なお、ボルト17の装着穴および栓20のねじ部についても、上記と同様のシール剤が充填されている。
【0028】
この状態で、電源装置16にて所定の電気エネルギーを金属細線14に一気に供給すると、図4(b)に示すように、金属細線14は溶融気化し、そのときの放電衝撃力によりニトロメタン15を起爆させる。ニトロメタン15の起爆時には、金属細線14近傍の部分が爆発し、引き続いて、その周囲の残りの部分については、既に起爆した衝撃力により、蓋体12側に且つ半径方向に爆発反応が連鎖的に生じ、順次、爆発力が大きくなる。この爆発力により、蓋体12が飛び出すとともに環状突出部12aが外側に移動するが、この環状突出部12aの厚さ(t)は、起爆力でもって変形するようにされているため、外側に膨出して側壁部11bに接触(密着)し、蓋体12の飛び出しにも拘わらず、空間室11cの密閉状態が維持される。
【0029】
そして、図4(c)~(d)に示すように、ニトロメタン15の爆発反応が進み、その爆発力がボルト17の総破断力を超えた場合、すなわち準完爆程度の爆発力を超えた場合に、蓋体12が外側に飛び出す。
【0030】
このため、空間室11c内でのニトロメタン15が外側に噴出する(漏れる)ことなく、爆発反応が持続して行われ、爆発力が増大することになる。すなわち、爆発力の威力が増して、より大きい爆発力が蓋体12に作用する。言い換えれば、蓋体12の運動エネルギーが増大して、破壊力が大きくなる。当然に、ニトロメタン15の反応効率が向上するため、経済的となる。
【0031】
ここで、蓋体12の内側表面に環状突出部12aを設けた場合の効果、すなわち環状突出部12aの変形による(空間室11cの密閉状態の存在)効果を、環状突出部の内側の座ぐり部分を設けない場合すなわち単なる円形板状部が形成されたものと比較することにより説明しておく。
【0032】
図5に、環状突出部12aの空間室11cへの挿入深さと、ニトロメタンの反応率(爆発反応の割合)および発生エネルギーとの関係をグラフにて示す。図5中、実線は本発明に係る環状突出部がある(内側に座ぐり部がある)場合を示し、波線は比較用の円形板状部がある(内側に座ぐりがない)場合を示す。
【0033】
図5のグラフから、蓋体12の内側表面に環状突出部12aがある方が、円形板状部(薄い円柱状部でもある)を設けた場合よりも、ニトロメタンの反応率および発生エネルギーとも、向上しているのが分かる。すなわち、蓋体の内側表面に円形板状部を形成したものよりも、この円形板状部の内側をさらにくり貫いて座ぐりを形成したものの方が有利である。
【0034】
次に、破壊作業の具体例について、簡単に説明しておく。
図6は岩盤Gなどを破壊する場合を示している。
図6(a)に示すように、予め、岩盤に裂け目Gsを入れておくか、または自然にできた裂け目Gsに、上述した放電衝撃破壊装置1、すなわち金属細線14およびニトロメタン15が充填されて蓋体12が取り付けられた箱状体11を配置した後、電気配線13を介して接続された電源装置16より、電気エネルギーを金属細線14に一気に供給すれば、図6(b)に示すように、その裂け目Gsを破壊して破壊対象の岩盤部分Gpを落下させて破壊することができる。
【0035】
図7は、鉄筋コンクリート製の構造物の表面部分を破壊する場合を示している。
図7(a)に示すように、放電衝撃破壊装置1を作業用重機のアーム部Raの先端に保持させるとともに、その蓋体12が破壊面Kに対向するように移動させて、金属細線14に電気エネルギーを一気に供給すれば、蓋体12が破壊面Kに向かって飛び出され(放出されて)、その衝突力により、図7(a)および(b)に示すように、破壊面Kを部分的に破壊することができる。
【0036】
図8は、鉄筋コンクリート製の床、壁などの一部を限定的に破壊する場合を示している。
図8に示すように、鉄筋コンクリート製の床、壁などの壁体部Fを限定的に破壊する場合には、その壁体部Fを覆い得る有底筒状取付体41の内底面に、放電衝撃破壊装置1を取り付けておき、そしてこの筒状取付体41の開口部を、その破壊部分を覆うように押し付けて、金属細線14に電気エネルギーを一気に供給すれば、その部分だけを安全に破壊することができる。なお、この筒状取付体41は、破壊物の飛散防止部材(安全部材)としての機能も有している。
【0037】
このように、ボルト17を介して蓋体12が取り付けられた箱状体11の空間室11c内に、金属細線14を配置しおよびニトロメタン15を充填するとともに、金属細線14の溶融気化により発生する放電衝撃力でニトロメタン15を爆発させるようにしたので、従来のように、筒状容器に砲弾形状の破壊用部材を装填したものと異なり、装置自体を短く、すなわち薄くすることができ、したがって放電カートリッジを挿入するための穴を形成したり、また穴を形成することができないような狭隘な場所においても、隙間に挿入して電気エネルギーを供給するだけで、部分的に且つ容易に破壊を行うことができる。
【0038】
また、蓋体12の内側表面に、箱状体11内に突出する環状突出部12aを形成したので、ニトロメタン15が爆発した際の空間室11cの外方に向かう力により、環状突出部12aが膨出して(外側に膨らんで)箱状体11の空間室11cの内周面に強く接触(密着)することにより、蓋体12の飛び出しが抑制されるため、空間室11c内でのニトロメタン15の爆発反応時間が長くなり、したがって威力が増した爆発により蓋体12が飛び出し破壊力が増大するとともに、ニトロメタン15の使用効率が高くなって経済性が向上する。
【0039】
さらに、蓋体12を箱状体11に係止するのに、棒状係止部材、例えばボルト17およびナット18を用いたので、ボルト17の断面積を調節することで、起爆力すなわち爆発反応時間を調節して、爆発力を制御することができるとともに、例えば各ボルト17毎の断面積を適宜変更することにより、蓋体12の飛び出す方向についても制御することができる。
【0040】
ところで、上記実施の形態においては、放電衝撃破壊装置のニトロメタンの収容部(カートリッジ部でもある)を、有底の箱状体と、この箱状体の開口部を塞ぐ蓋体とにより構成したが、例えば中央に空間室が形成された枠状側壁体と、この枠状側壁体の両開口部を塞ぐ一対の蓋体とから構成してもよい。
【0041】
すなわち、図9に示すように、この放電衝撃破壊装置51は、中央に空間室52aを有する所定高さの枠状側壁体52と、この枠状側壁体52に複数の棒状係止部材であるボルト53およびナット54を介して係止されて両側の開口部を閉鎖し得る蓋体55と、上記枠状側壁体52の内側に形成される空間室52a内に配置されるとともに電源装置(図示せず)に接続される一対の電気配線56の各一端側に両端部が接続された金属細線57と、上記空間室52a内に充填された爆発性物質であるニトロメタン58とから構成されるとともに、上記各蓋体55の内側表面に、空間室52a内に入り込むとともに当該空間室52aの内周面に沿うように環状突出部55aが形成され、且つ上記枠状側壁体52および蓋体55については、空間室52aに充填されたニトロメタン58の爆発力で破損しない強度を有するとともに、蓋体55の環状突出部55aについては、ニトロメタン58の爆発力で変形するような強度にされている。例えば、上述した実施の形態と同様に、枠状側壁体52および各蓋体55については、金属製材料(所謂、導電性材料)により構成されている。
【0042】
なお、この放電衝撃破壊装置51においても、上述した放電衝撃破壊装置1と同様の効果が得られる他に、破壊部分に配置(挿入)した際に、両蓋体55の外方に空間が存在している場合には、両蓋体55の飛び出しにより、両側の破壊を一度に行うことができ、したがって破壊作業効率の向上を図ることができる。
【0043】
また、上記実施の形態においては(図9に示したものも含む)、箱状体の外形を正方形に、空間室を円形に形成したが、逆に、箱状体の外形を円形に、空間室を正方形に形成してもよく、また両者とも正方形にしてもよく、若しくは両者とも円形に形成してもよく、さらに少なくとも、空間室については、円形の他に、多角形状であってもよい。
【0044】
さらに、上記実施の形態においては、箱状体、蓋体および枠状側壁体を金属製材料(所謂、導電性材料)として説明したが、場合によっては、セラミックまたは強化プラスチックなどの強化合成樹脂を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態に係る放電衝撃破壊装置の一部切欠正面図である。
【図2】同放電衝撃破壊装置の断面図である。
【図3】同放電衝撃破壊装置における電源装置の概略構成を示す電気回路図である。
【図4】同放電衝撃破壊装置における放電衝撃力による爆発作用を説明する断面図である。
【図5】同放電衝撃破壊装置の蓋体の作用を説明するための挿入深さとニトロメタンの反応率および発生エネルギーとの関係を示すグラフである。
【図6】同放電衝撃破壊装置による破壊作業を説明する断面図である。
【図7】同放電衝撃破壊装置による破壊作業を説明する断面図である。
【図8】同放電衝撃破壊装置による破壊作業を説明する断面図である。
【図9】同放電衝撃破壊装置の変形例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 放電衝撃破壊装置
11 箱状体
11a 底壁部
11b 側壁部
11c 空間室
11d 開口部
12 蓋体
12a 環状突出部
13 装置側電気配線
14 金属細線
15 ニトロメタン
16 電源装置
17 ボルト
51 放電衝撃破壊装置
52 枠状側壁体
52a 空間室
53 ボルト
55 蓋体
55a 環状突出部
56 電気配線
57 金属細線
58 ニトロメタン
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
3
【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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