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明細書 :水中受波アレイ用受波素子の感度比試験装置又は試験方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4065956号 (P4065956)
公開番号 特開2007-049416 (P2007-049416A)
登録日 平成20年1月18日(2008.1.18)
発行日 平成20年3月26日(2008.3.26)
公開日 平成19年2月22日(2007.2.22)
発明の名称または考案の名称 水中受波アレイ用受波素子の感度比試験装置又は試験方法
国際特許分類 H04R  29/00        (2006.01)
G01S   7/52        (2006.01)
FI H04R 29/00 330
G01S 7/52 U
請求項の数または発明の数 5
全頁数 11
出願番号 特願2005-231617 (P2005-231617)
出願日 平成17年8月10日(2005.8.10)
審査請求日 平成17年8月10日(2005.8.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛省技術研究本部長
発明者または考案者 【氏名】三上 宏幸
【氏名】嶋村 英樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100067323、【弁理士】、【氏名又は名称】西村 教光
審査官 【審査官】志摩 兆一郎
参考文献・文献 特開平04-142485(JP,A)
特開平10-210589(JP,A)
特開平06-339193(JP,A)
特開平10-304488(JP,A)
調査した分野 H04R 29/00
特許請求の範囲 【請求項1】
海上等の振動環境下で使用する音響探査装置等の水中受波アレイ用受波素子の受波感度の加速度感度に対する感度比を測定する水中受波アレイ用受波素子の感度比試験装置において、
内空部に供試品としての前記受波素子を支持する密閉構造の音響容器と、
前記音響容器内に設けられる駆動音源及び音圧センサと、
前記音響容器を振動させる加振手段と、
前記音響容器若しくはその連続部分又は前記加振手段の側に設けられる加速度センサと、
を具備し、
前記駆動音源からの駆動音を前記受波素子及び前記音圧センサで受波して、音圧センサと受波素子との出力電圧の比較演算により受波素子の受波感度を得、前記加振手段による加振時の加速度センサと受波素子との出力電圧の比較演算により受波素子の加速度感度を得、これにより受波素子の受波感度の加速度感度に対する感度比を測定するようにした水中受波アレイ用受波素子の感度比試験装置。
【請求項2】
前記音響容器は、略密閉円筒形をなし、その内空部の略中央に前記供試品としての受波素子を着脱自在に設置し、
前記加振手段は、略U形乃至略コ形の二股状傾動治具と、傾動治具の底部に取り付けられた加振体とを有し、
前記傾動治具の二股状腕部の間に、前記音響容器の略中央外側部を挟持して、保持具により所定角度に回動固定自在に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の水中受波アレイ用受波素子の感度比試験装置。
【請求項3】
前記音響容器は、略密閉円筒形をなし、その筒形主筒の両端面に蓋体を開閉自在に設け、その内空部の略中央に前記供試品としての前記受波素子を着脱自在に設置し、容器の外壁から、受波素子出力系導線、音圧センサ出力系導線、駆動音源系導線を導出させるようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の水中受波アレイ用受波素子の感度比試験装置。
【請求項4】
前記保持具は、前記傾動治具の二股状腕部の外側から、前記音響容器の略中央外側壁部内に螺締されるボルト保持具よりなり、該ボルト保持具を緩めることにより前記音響容器を所定角度回動させて、螺締固定させるようにしたことを特徴とする請求項2に記載の水中受波アレイ用受波素子の感度比試験装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項記載の水中受波アレイ用受波素子の感度比試験装置を用い、前記駆動音源の駆動音を受波素子と音圧センサで受波してレベル計測を行うと共に、音圧センサからの基準音圧に対する受波素子出力電圧との比較によって受波素子の受波感度を算出させ、前記加振手段による加振時の受波素子と加速度センサの各出力電圧を計測し、加速度センサからの基準加速度に対する受波素子出力電圧によって受波素子の加速度感度を算出し、前記受波素子の受波感度の加速度感度に対する感度比の測定を行わせることを特徴とする水中受波アレイ用受波素子の感度比試験方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、海上等の振動環境下で使用する音響探査装置等に用いる水中受波アレイ用受波素子の受波感度の加速度感度に対する感度比を測定する水中受波アレイ用受波素子の感度比試験装置又は該試験装置を用いる試験方法に関するものである。
【0002】
本発明では、水中受波アレイ用受波素子の性能指標である感度比(受波感度の加速度感度に対する比)を海上へ進出すること無く、また、水槽施設や水密容器による受波感度測定を不要とし、かつ、試験室内の大気中において受波感度と加速度感度の両方の測定を別箇の計測施設で行うこと無く、計測環境と計測条件の同一化と加速度感度と受波感度の測定を共通周波数領域で計測実施可能とする。
【背景技術】
【0003】
例えば、付図1で示すように、試験船1を使って船尾2から水中に繰出し、船体から遠く離して観測機器をえい航しながら遠隔海中観測を行う観測装置など、水面下所要深度の遠隔水中観測を行う場合には、試験船1から遠方に向かって、長尺・小径・重比重で所要強度を有して、繰出し長さと船速によって所要の深度に至らせるためのえい航ケーブル3があり、さらに、電気的・機械的に接続された水中飛行体状を成すえい航体4があり、音波5を所要方向に送波すると共に水平翼に系着し、その後続に多数個の受波素子6を内装して高性能化した受波アレイ7を複数本えい航する観測器がある。
【0004】
この受波アレイ7の受波素子は、微弱な音波を受波するために、高感度で広帯域、かつ、ほぼ平坦な受波感度周波数特性を有している必要がある。これらの受波素子は音波以外に低周波の機械的振動加速度によって圧電磁器の中に応力が生じて電圧が発生し、受波素子の雑音になる。
そのため、振動加速度による発生電圧を少なくする方法がとられている。その場合の受波素子構造は、二つの圧電素子を支持位置に対して相対するように取り付け、音圧には同相で受波し、振動に対しては逆相で電圧が発生するようにしたもので、振動で発生する電圧のみを電気的に相殺するものである。
【0005】
海上等の振動環境下で使用する水中受波アレイ用センサの受波素子の性能指標である感度比(受波感度の加速度感度に対する比)は、性能設計に不可欠な音響定数であるが、以前には、感度比の概念も無かったので、上記のように受波素子を複数個用いて、機械的振動の抑制構造設計と加速度出力電圧を相殺する構造と加速度出力電圧のキャンセル方法等についての努力が払われていただけであった。
【0006】
しかし、発明者等によって受波感度と雑音に関する理論的検討に基づく実験検証により、水中受波アレイ用受波素子の受波感度と加速度感度の比を大きくすることにより、S(信号)N(雑音)比が向上できることを実証して、感度比の概念が受波素子設計等に取り入れられるに至った。
【0007】
感度比は、振動環境下で使用する水中受波アレイ用受波素子の受波感度の加速度感度に対する比として、水中受波アレイ用受波素子の音圧による出力電圧が振動により生ずる加速度出力電圧に対して、どの程度相当するかを表す。その値を得るには、受波素子の受波感度と加速度感度の両方を測定する必要がある。
【0008】
水中受波アレイ用受波素子の端子からみた雑音が振動加速度に支配されている環境下の水中用受波器のS/N(信号対雑音比)は、Moを受波感度(V/μPa)、Goを加速度感度(V/G、G:重力加速度)、水中受波アレイ用受波素子の入力雑音をn、入力加速度をαとすると次式で表され、(Go/Mo)の逆数が感度比を与える。
【0009】
【数1】
JP0004065956B2_000002t.gif

【0010】
したがって、上式の(Go2 /Mo2 )項において、加速度感度(Go)を低減すること及び受波感度(Mo)を良くすることによって水中受波アレイ用受波素子のS/Nが向上出来ることを示すものであり、これは、特に、海上等の船舶から長尺のケーブルに連接されて海中をえい航され、カルマン渦等の振動環境下で使用されるえい航式の水中受波アレイ用受波素子に有効である。
【0011】
上記の結果を踏まえると共に、感度比の実現以来、水中受波アレイ用受波素子の感度比を次のような方法で受波感度と加速度感度を各々別個の計測系によって測定・算出していた。
【0012】
すなわち、水中受波アレイ用受波素子の受波感度は、比較的高い周波数域の測定には水槽、比較的低い周波数域の測定は海上、さらに低い周波数域の測定には試験施設設置の水密構造の音響カップラにおいて各々を実施していた。
【0013】
なお、基本的な等価回路による計算から求める水中受波アレイ用受波素子の周波数特性において、共振周波数以下の周波数に依存しない平坦特性帯での使用が好適であり、受波感度は、空中と水中で同一である。
【0014】
しかし、実際の感度校正結果において、圧電素子の支持方法、締め付け具合等で筺体を含めた構造物による機械的、電気的及び音響的な抵抗の影響によって疑似共振が表れるほか、さらに、非常に低い周波数域において、周波数が低くなるにつれて感度が低下する圧電素子の漏洩抵抗の影響によるカットオフ特性が現れる等、理想的なカーブになることはほとんど無いので、感度測定の実施は水中音響において必須である。
【0015】
一方、水中受波アレイ用受波素子の加速度感度は、機械試験施設の室内に設置してある主目的が重量物用大型揺すり震動台の片隅に冶具で受波素子を横置きセットし、揺すり震動の機械的振動に対する出力電圧を測定していた。
【0016】
加速度感度及び受波感度の個々の計測方法共に、個別の周波数特性の計測に問題等のないように留意して実施しているものの、運用時の実海面で観測される計測雑音は、低周波数域にあって速度に関係している。その主要因がカルマン渦によるものとされ、好ましくないえい航雑音源として扱われている。
【0017】
このような低周波周波数域に対応する受波素子の加速度感度試験は、機械振動施設に設置してある大電力駆動の主目的が重量物用大型揺すり震動台の片隅に冶具で受波素子を横置きセットし、揺すり振動の機械的振動に対する出力電圧を測定している。この状況には、ガタツキ振動の混入、電気的誘導雑音の抑制が必要である。また、受波感度について実施ししている音響カプラ試験は、受波素子の水密化構造組立が必要であると共に、計測が煩雑で至難であるという問題点がある。
【0018】
なお、音響カプラによる測定は、受波素子の外周面及び接続した計測用のキャブタイヤケーブルに付着した空気泡が音響計測に悪影響を及ぼすので、これを避けるために所要の水圧を印加する必要上、受波素子やケーブル部の水密防水処置を行っておかなければならないという計測技術の他にも難しさと煩雑さがある上、施設周辺の環境による振動絶縁等の対策が難しいので、限られた使用になっている。
【0019】
さらに、海上、水槽及び音響カプラの各々による受波感度の運用周波数域の計測には、水中受波アレイ用受波素子の感度測定するために、受波素子に計測用のキャブタイヤケーブルを接続し、絶縁のためのモールド加工に必要な構造設計、組立作業及び途中工程での確認用インピーダンスの測定等、製作には多くの工数と煩雑な作業および組立熟練が必要である。
加えて、感度測定するための特別に構築設計し、かつ、高精度の性能を保持させた計測装置も不可欠である。
【0020】
受波感度試験方法によっては、音源として厳密に感度校正された基準送波器も必要であり、それに加え、周波数が比較的高い周波数域の場合には、水槽測定によって計測できるが、長さ、幅及び深さ寸法が少なくとも、各面共に数メータの水槽施設が必要である。
【0021】
低周波数域の場合、海上等での測定に際しては、計測船のほか、水中受波器や基準送波器を舷側から吊下・展張するための作業員、計測装置の搭載設置、結線調整、総合調整の各作業、泊地から洋上への進出等、多くの日数、工数、経費が必要となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明が解決しようとする課題は、上記水中受波アレイ用受波素子について、受波感度と加速度感度の両方の測定を別箇の大掛かりな計測施設で行うことなしに、試験室内の大気中において、特に、試作の前段階での研究担当者のデスクサイドの傍らに置くことが出来、かつ、計測環境と計測条件の同一化と加速度感度と受波感度の測定が共通周波数領域における計測実施を可能としたことにある。
【0023】
また、現場出力データに基づく結果が設計製作技術に逸早く反映できるようにすると共に、小型軽量で持ち運びが出来、かつまた、計測作業の煩雑性の解消と計測作業の短縮と向上が図れる極めて簡便にして容易で有用なる水中受波アレイ用受波素子の感度比試験装置及び該試験方法を実現させることにある。
【0024】
上記の課題を解決するために本発明は、海上等の試験船の波浪動揺振動環境下で使用する水中受波アレイ用受波素子の感度比である加速度感度と受波感度の両方について、えい航時に観測される振動雑音の周波数範囲に対して、設計者や組立担当者が手の届く範囲のデスクサイドの傍らに置き、同一の計測環境及び同一測定系統で安直に測定し、設計製作技術に逸早く反映できるようにした水中受波アレイ用受波素子の感度比試験装置とその試験方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0025】
以下本発明に係わる水中受波アレイ用受波素子の感度比試験装置及び該装置を用いる試験方法を、図の実施の態様を参照して説明する。
【0026】
すなわち、本発明では、海上等の振動環境下で使用する音響探査装置等の水中受波アレイ用受波素子の受波感度の加速度感度に対する感度比を測定する水中受波アレイ用受波素子の感度比試験装置において、内空部に供試品としての受波素子11を着脱自在に支持する密閉構造の音響容器14と、音響容器14内に設けられる駆動音源26及び音圧センサ20と、音響容器14を振動させる加振手段と、音響容器14若しくはその連続部分又は加振手段の側に設けられる加速度センサ23と、を具備している。
【0027】
そして、前記駆動音源26からの駆動音を前記受波素子11及び前記音圧センサ20で受波して、音圧センサ20と受波素子11との出力電圧の比較演算により受波素子11の受波感度を得、別途、加振手段による加振時の加速度センサ23と受波素子11との出力電圧の比較演算により受波素子11の加速度感度を得る。これにより受波素子11の受波感度の加速度感度に対する感度比を測定するようにしている。
【0028】
前記音響容器14は、略密閉円筒形をなし、その内空部の略中央に前記供試品としての受波素子11を着脱自在に設置し、前記加振手段は、略U形乃至略コ形の二股状傾動治具27と、傾動治具27の底部に取り付けられた加振体24とを有している。傾動治具27の二股状腕部の間に、音響容器14の略中央外側部を挟持して、左右一対の保持具29,29により所定角度に回動固定自在に設けられていることを特徴としている。
【0029】
前記音響容器14は、略密閉円筒形をなし、その筒形主筒30の両端面に蓋体13,21を開閉自在に設け、その内空部の略中央に供試品としての受波素子11を着脱自在に設置し、容器の外壁から、受波素子出力系導線35、音圧センサ出力系導線36、駆動音源系導線37を導出させるようにしている。前記加速度センサ23には、加速度出力系導線38が接続される。動電型加振器40は管制計測部34により、加振器駆動系導線39を介して加振制御される。
【0030】
前記保持具29,29は、傾動治具27の二股状腕部の外側から、音響容器14の略中央外側壁部内に螺締されるボルト保持具よりなり、該ボルト保持具29,29を緩めることにより音響容器14を所定角度回動させて、所定回動角度で固定させるようにしている。
【0031】
上記の水中受波アレイ用受波素子の感度比試験装置を用た試験方法は、駆動音源26の駆動音を受波素子11と音圧センサ20で受波してレベル計測を行うと共に、音圧センサ20からの基準音圧に対する受波素子11出力電圧との比較によって受波素子11の受波感度を算出させる。これとは別に、加振手段による加振時の受波素子11と加速度センサ23の各出力電圧を計測し、加速度センサ23からの基準加速度に対する受波素子23出力電圧によって受波素子11の加速度感度を算出させる。これにより、受波素子の受波感度の加速度感度に対する感度比の演算測定を行わせることを特徴としている。
【発明の効果】
【0032】
本発明では、海上等の振動環境下で使用される水中受波アレイ用受波素子の性能指標である感度比について海上へ進出すること無く、また、水槽施設や水密容器による受波感度測定を不要とし、かつ、室内において受波感度と加速度感度の両方の測定を、研究者や担当者がデスクサイド傍らの手の届く範囲に置いて、同一環境のもとで、安直に一連の直接測定により実施が出来、その結果を設計製作技術に逸早く反映できるようにさせる著しい効果を発揮させる。
【0033】
また、加振体24に対して音響容器14を回転させる傾動治具27により、加速度の印加方向に対する所要の角度における感度比が取得出来るようになり、さらに、感度比の向上に寄与出来る設計データが蓄積できる。
【0034】
本発明の装置及び方法は、極めて簡便・有用であり、安直な音響性能指標の効果的な試験装置の実現により、海上に進出する事が不必要になって、試験船の借り上げ経費、荒天対策の増員配置等の作業時間、労力工数等の経費及び危険を回避できるなどの多くの効果がある。
【0035】
試験室内において受波感度と加速度感度の両方の測定を実現させたことにより、従来海上や水槽の水中にて受波感度の試験を実施し、また、加速度感度は別棟建家で主目的が重量物用大型揺すり震動台の片隅で実施等の別箇に測定し、その後、両データを持ち寄り、感度比を算出していた従来手法よりも、煩雑性、労力工数、危険性を大幅に改善した効果がある。
【0036】
本発明の感度比試験装置で調整された受波素子を組み入れしたえい航受波アレイは、従来では検出困難な雑音に埋もれた微弱な信号を際立てて検出可能とさせ、ひいては、捜索エリアの増大による試験日数短縮と、それに伴う大幅な経費節減等、著しい波及効果がある。
【0037】
受波アレイに組み入れる受波素子の感度比を全数について確認出来る事によって、良好な受波素子の選択と整合度毎の選定が実現し、効果的な指向性形成及び配列利得向上のための最適受波素子配列の受波アレイが出来ると共に音響性能が飛躍的に向上する。
【0038】
本発明によって得られた感度比は、振動環境下で運用される各種音響器材の性能指標として、さらに活用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明の一実施形態である水中受波アレイ用受波素子の感度比試験装置及び該装置を用いた試験方法について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0040】
本発明に係る試験装置では、図4に示すような密閉筒型の音響容器14を用いる。音響容器14は、筒型主筒30の両端面に金属蓋よりなる蓋体13,21を着脱自在に設けた肉厚分割円筒形である。音響容器14の内空部には、音圧を発生させる駆動音源26と円筒内の音圧レベルを測定する音圧センサ20を駆動音源26の近傍に装着している。駆動音源26は、音響容器14の内底部に押えリング19を介して固定されている。音響容器14の内空部の中心部には、供試品としての水中受波アレイ用受波素子11を支持して着脱自在に設けている。この受波素子11は、例えば、2個の圧電子(1)18と圧電子(2)16を、その対向する一端で金属ベース17に取り付けて成る水中受波アレイ用受波素子である。受波素子11は、音響容器14の主筒30外縁両側から座金32を介して、一対のボルト支持具28,28の2本で係着締結させて、容器の内空中心部に支持している。受波素子11には、受波素子信号線12が接続され、音響容器14から貫通導出される。蓋体13は、押えナット15により押さえられ、Oリングよりなるパッキング31により気密的に閉鎖される。
【0041】
音響容器14は、加振手段によって、加振される。加振手段は、略U形乃至略コ形の二股状傾動治具27と、傾動治具27の底部に取り付けられた加振体24とを有している。傾動治具27の二股状腕部の間に、音響容器14の略中央外側部を挟持して、左右一対の保持具29,29により所定角度に回動固定自在に設けられている。保持具29,29は、傾動治具27の二股状腕部の外側から、音響容器14の略中央外側壁部内に螺締されるボルト固定具よりなり、該ボルト保持具29,29を緩めることにより音響容器14を所定角度回動させて、所定回動角度で固定させるようにしている。
【0042】
駆動治具27の円形内底面25上に加速度センサ23を固着させる。動電型加振器40の加振軸を構成する加振体24に直結している上端面の加振円形台に、駆動治具27をボルト固定具22で締め付け固定させる。さらに、加速度印加方向に対して所要角度毎に回転出来る傾動治具27の二股部に組み入れて音響容器14の主筒30を挟持し、両側からボルト保持具29の2本でネジ締めする事によって、音響容器14を加速度印加方向に対して所要角度毎に回転出来るようにしている。
【0043】
受波感度の計測は、受波感度試験時の駆動音源26の駆動音を受波素子11と音圧センサ20で受波し、図2の管制計測部34へ送出して、レベル計測を行うと共に演算表示部33で基準音圧に対する受波素子11出力電圧によって受波感度を算出する。なお、駆動音源26は、例えば、所要個数のピストンホンと回転凸円盤の組み合わせによって構成され、直流電源の供給によって低周波域以下の所要周波数範囲において作動できるものである。
【0044】
また、加速度感度の計測は、加速度感度試験時の加振時の受波素子11と加速度センサ23の各出力電圧を管制計測部34で計測し、演算表示部33で基準加速度に対する受波素子出力電圧によって加速度感度を算出することを特徴としている。なお、別途行う計測時に軽量化の必要があれば、音響容器の両端にある蓋体21と蓋体13を取り外した状態での計測が可能である。
【0045】
さらに、受波感度の加速度感度に対する比で表される感度比について、管制計測部34で計測した受波感度と加速度感度に基づき演算表示部33で算出・表示させて、試験室10内の大気中において、計測環境と計測条件の同一化と加速度感度と受波感度の両方を測定する。
【0046】
管制計測部34は、加振の周波数、振幅及び繰り返し周期を設定して電力増幅器へ送出させる加振制御器と動電型加振器40を加振する電力を供給する電力増幅器による動電型加振器駆動系と、駆動音源の加振の周波数と振幅を設定する駆動音源管制器による駆動音源系、及び受波素子系出力信号と加速度センサ系出力信号と動電型加振器40への入力信号系と駆動音源26への入力信号系の系統毎に信号レベルを計測又はモニタのためのディジタルオッシロスコープで構成する。
【0047】
演算表示部33は、加速度感度及び受波感度を算出し、演算させ、両方の比で表される感度比を演算させる演算器と、試験結果を出力するプリンタと共に構成する。
【0048】
上記において、受波感度の計測時は、駆動音源系及び音圧センサ出力系の作動と共に演算表示部33を作動させる。このとき、駆動音源26が所要の周波数駆動による音響容器14内の音圧が受波素子11に加わって電圧が誘起される。この出力電圧を計測し、演算器にて基準とする校正済みの音圧センサ出力値と比較する事によって受波感度を求める。 さらに、駆動周波数を変え、これを繰り返すことによって所要帯域の受波感度周波数特性を得るものである。
【0049】
次に、駆動音源系を断にすると共に、動電型加振器系を作動させ、動電型加振器40を加振管制器より所要の周波数・振幅で加振して、受波素子11に誘起した加速度出力電圧を計測し、演算器にて基準とする校正済みの加速度センサ23の出力値と比較する事によって加速度感度を求める。さらに、駆動周波数を変え、これを繰り返すことによって所要帯域の加速度感度周波数特性を得るものである。
【0050】
上記の周波数ごとの受波感度と加速度感度の両方を用いて、演算表示部33によって感度比を演算させ、その結果を表示器で表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る試験装置の実施の概要を説明する説明図である。
【図2】本発明に係る試験装置の構成概念図である。
【図3】本発明に係る試験装置の拡大図である。
【図4(A)】本発明に係る試験装置の縦断面図である。
【図4(B)】本発明に係る試験装置のA-A線断面図である。
【符号の説明】
【0052】
1試験船
2船尾
3えい航ケーブル
4えい航体
5音波
7受波アレイ
11受波素子
12受波素子信号線
13蓋体
14音響容器
15押さえナット
16圧電子(2)
17金属ベース
18圧電子(1)
19押えリング
20音圧センサ
21蓋体
22固定具
23加速度センサ
24加振軸
25傾動治具円形底面
26駆動音源
27傾動治具
28支持具
29保持具
30主筒
31パッキング
32座金
33演算表示部
34管制計測部
35受波素子出力系導線
36音圧センサ出力系導線
37駆動音源系導線
38加速度出力系導線
39加振器駆動系導線
40動電型加振器
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4(A)】
3
【図4(B)】
4