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明細書 :距離推定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4081553号 (P4081553)
公開番号 特開2007-078454 (P2007-078454A)
登録日 平成20年2月22日(2008.2.22)
発行日 平成20年4月30日(2008.4.30)
公開日 平成19年3月29日(2007.3.29)
発明の名称または考案の名称 距離推定装置
国際特許分類 G01C   3/06        (2006.01)
G06T   1/00        (2006.01)
FI G01C 3/06 120S
G06T 1/00 315
請求項の数または発明の数 4
全頁数 10
出願番号 特願2005-265271 (P2005-265271)
出願日 平成17年9月13日(2005.9.13)
審査請求日 平成17年9月13日(2005.9.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】390014306
【氏名又は名称】防衛省技術研究本部長
発明者または考案者 【氏名】木村 茂
【氏名】大橋 洋一
【氏名】石丸 光宏
【氏名】佐藤 史生
個別代理人の代理人 【識別番号】100079290、【弁理士】、【氏名又は名称】村井 隆
審査官 【審査官】須中 栄治
参考文献・文献 特開平07-095560(JP,A)
特開平08-219775(JP,A)
特開2001-108434(JP,A)
特開平11-317939(JP,A)
特開2002-133413(JP,A)
調査した分野 G01C3/00-3/32
G01B11/00-11/30
G06T1/00-1/40;3/00-5/50;9/00-9/40
特許請求の範囲 【請求項1】
画像中の目標までの距離を推定する距離推定装置であって、
距離を推定したい目標を含む画像の情報を取得するための画像情報取得部と、
前記距離を推定したい目標に相当する実物の大きさの情報を含む形状モデルを保持するためのモデルデータ部と、
前記画像情報取得部の画像と前記モデルデータ部の形状モデルとを表示するための表示部と、
前記表示部に表示された前記画像情報取得部の画像と前記形状モデルとを操作するための操作部と、
前記表示部に表示された前記距離を推定したい目標と前記形状モデルとを照合したときの、前記距離を推定したい目標までの距離を推定するための距離計算部とを備え、
前記モデルデータ部には、詳細度及び種別の異なる複数の形状モデルが保持され、前記操作部において、複数の形状モデルの詳細度と種別を、段階的に切替えて選択できる機能を有することを特徴とする距離推定装置。
【請求項2】
前記操作部を操作することにより、
前記画像情報取得部の画像の倍率、回転及び前記表示部における中心表示位置を変える機能と、
前記形状モデルの倍率、回転及び前記表示部における中心表示位置を変える機能を有することを特徴とする請求項記載の距離推定装置。
【請求項3】
前記画像情報取得部の画像の特性又は種別に応じて、前記形状モデルが自動的に選択される機能を有することを特徴とする請求項1又は2記載の距離推定装置。
【請求項4】
装置構成自体に起因する距離推定値の誤差又は前記操作部を操作する操作員に起因する距離推定値の誤差の誤差補正を行う機能を有することを特徴とする請求項1,2又は3記載の距離推定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、電波等を発射することなく、画像の情報と形状モデルの情報とを利用して、画像中の目標までの距離をパッシブに計測することができる距離推定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、目標までの距離を計測する場合、電波等を発射して、目標からの反射波を観測し、発射した時刻と反射波が観測された時刻の差と速度の関係から距離を算出している。あるいは、ステレオ視を利用して三角測量の原理から目標までの距離を計測する方法がある。
【0003】
従来の電波等を発射して目標までの距離を計測する装置は、例えば偵察・監視状況下では、電波等の発射により秘匿性が損なわれる問題がある。
【0004】
また、前記ステレオ視を利用して目標までの距離を計測する方法は、撮像装置が少なくとも一対必要であり、構成が複雑化する問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決すべき問題点としては、従来の電波等を利用した目標までの距離を計測する装置において、例えば偵察・監視状況下では、偵察・監視者が探知されない秘匿性が求められるため、電波等を発射することは好ましくないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑み、距離を推定したい目標を含む画像の情報と、距離を推定したい目標に相当する実物の大きさの情報を含む形状モデルとを照合し、画像中の目標までの距離をパッシブに推定でき、秘匿性を保証できる距離推定装置を提供することを目的とする。
【0007】
本発明のその他の目的や新規な特徴は後述の実施の形態において明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1発明は、画像中の目標までの距離を推定する距離推定装置であって、
距離を推定したい目標を含む画像の情報を取得するための画像情報取得部と、
前記距離を推定したい目標に相当する実物の大きさの情報を含む形状モデルを保持するためのモデルデータ部と、
前記画像情報取得部の画像と前記モデルデータ部の形状モデルとを表示するための表示部と、
前記表示部に表示された前記画像情報取得部の画像と前記形状モデルとを操作するための操作部と、
前記表示部に表示された前記距離を推定したい目標と前記形状モデルとを照合したときの、前記距離を推定したい目標までの距離を推定するための距離計算部とを備え、
前記モデルデータ部には、詳細度及び種別の異なる複数の形状モデルが保持され、前記操作部において、複数の形状モデルの詳細度と種別を、段階的に切替えて選択できる機能を有することを特徴としている。
【0010】
発明に係る距離推定装置は、第発明において、前記操作部を操作することにより、
前記画像情報取得部の画像の倍率、回転及び前記表示部における中心表示位置を変える機能と、
前記形状モデルの倍率、回転及び前記表示部における中心表示位置を変える機能を有することを特徴としている。
【0014】
発明に係る距離推定装置は、第1又は第2発明において、前記画像情報取得部の画像の特性又は種別に応じて、前記形状モデルが自動的に選択される機能を有することを特徴としている。
【0015】
発明に係る距離推定装置は、第1、第2又は第3発明において、装置構成自体に起因する距離推定値の誤差又は前記操作部を操作する操作員に起因する距離推定値の誤差の誤差補正を行う機能を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る距離推定装置によれば、以下に記載されているような効果を奏する。
(1) 電波等を発射する必要がないため、秘匿性に優れる。
(2) ステレオ視を利用する場合には少なくとも2台の撮像装置が必要となるが、本発明では1台の撮像装置から得られる目標を含む画像の情報とモデルデータ部に予め保持された前記目標に対応した形状モデル(実物の大きさの情報を含む)から、その画像に含まれる前記目標までの距離を推定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態として、距離推定装置の実施の形態を図面に従って説明する。
【0018】
図1乃至図5を用いて本発明に係る距離推定装置の実施の形態1を説明する。図1は距離推定装置の基本的な構成図であり、距離を推定したい目標を含む画像の情報を取得するための画像情報取得部1101と、前記距離を推定したい目標に相当する実物の大きさの情報を含む形状モデルを保持するためのモデルデータ部1102と、画像情報取得部1101の画像とモデルデータ部1102の形状モデルとを表示するための表示部1103と、表示部1103に表示された画像情報取得部1101の画像と前記形状モデルとを操作員が操作するための操作部1104とを備えている。
【0019】
前記画像情報取得部1101は前記距離を推定したい目標を含む画像を撮像する撮像装置と撮像した画像情報を記憶(保持)しておく機能とを有している。
【0020】
前記モデルデータ部1102には、前記距離を推定したい目標の現実世界における少なくとも実物の大きさの情報を含む形状モデルが予め保持されている。例えば、図2に例示するように、詳細度(立方モデル、簡易モデル、詳細モデル等)及び種別(2次元、3次元、ワイヤーフレーム、サーフェース、ソリッドモデル等)の異なる多種多様な形状モデルが格納されている。
【0021】
前記操作部1104からは画像情報取得部1101及びモデルデータ部1102の操作情報101が出力され、また表示部の操作情報103が出力される。前記画像情報取得部1101及びモデルデータ部1102からは表示情報102が表示部1103に出力され、また距離計算部1105への入力情報105が出力される。前記表示部1103からは操作員に視認情報104が表示(出力)されるようになっている。
【0022】
操作員が前記距離を推定したい目標とこれに対応する形状モデルとの照合を表示部1103で行う際には、操作員は表示部1103を見ながら操作部1104を操作し、モデルデータ部1102から出力される形状モデルの詳細度と2次元、3次元、ワイヤーフレーム、サーフェース、ソリッドモデル等の種別を、適宜選択し、切替えて段階的に照合することができる(表示部上の目標と形状モデルの大きさとを一致させる。)。
【0023】
図3は距離推定の原理を示す説明図である。図1の画像情報取得部1101に保持されている画像を撮像した撮像装置の照合終了時点の焦点距離fに相当する情報と、表示部1103に表示された距離を推定したい目標の前記撮像装置の撮像素子面での写像サイズp(写像が写っている画素の個数×1画素の長さ)に相当する情報と、照合に使用した形状モデルの現実世界での実物の大きさLに相当する情報の関係から、距離を推定したい目標までの距離推定値Zは、下記式(1)により算出できる。
Z=f・L/p …(1)
【0024】
図1の距離計算部1105は、上記のように、操作員が、表示部1103に表示された前記距離を推定したい目標と前記形状モデルとを表示部1103を見ながら、操作部1104を操作して照合したとき、照合終了時点にて前記式(1)を演算し、前記距離を推定したい目標までの距離推定値106を出力する。
【0025】
前記距離を推定したい目標と前記形状モデルとの照合に際して、図1の距離推定装置は、図4のように、操作部1104を操作することにより、画像情報取得部1101の画像の倍率、回転及び表示部1103における中心表示位置を変える機能と、形状モデルの倍率、回転及び表示部1103における中心表示位置を変える機能を有している。
【0026】
従って、距離を推定したい目標と形状モデルとの照合を行う際に、操作員が表示部1103を見ながら操作部1104を操作して、 図4のように表示部1103における画像の倍率、回転及び中心表示位置、また形状モデルの倍率、ロール、ピッチ、ヨー等の回転及び中心表示位置を変えることにより、距離を推定したい多様な姿勢の目標と形状モデルを高精度で照合して、前記目標までの距離を高精度で推定することができる。
【0027】
さらに、図1の距離推定装置は、図5のように、推定したい目標を含む画像に形状モデルを重畳して表示部1103に表示できる機能を備える。
【0028】
従って、表示部1103において前記距離を推定したい目標が含まれる画像上に形状モデルを重畳して表示し、操作員が表示部1103を見ながら操作部1104を操作し、画像の倍率及び中心表示位置、形状モデルの倍率、ロール、ピッチ、ヨー等の回転角度、画像中での表示位置を変えることにより前記距離を推定したい目標と形状モデルを図5のように重畳照合して、目標までの距離を高精度で推定可能である。
【0029】
この実施の形態1によれば、次の通りの効果を得ることができる。
【0030】
(1) 操作員が表示部1103を見ながら操作部1104を操作して、画像情報取得部1101の画像に含まれる距離を推定したい目標とモデルデータ部1102に保持された形状モデルとを照合し、画像情報取得部1101の画像を撮像した撮像装置の焦点距離と、撮像装置の撮像素子面での前記目標の写像の大きさ等の情報と、照合に使用した形状モデルの現実世界での実物の大きさ、倍率、回転、表示サイズ等の情報との関係から目標までの距離をパッシブに推定することが可能となり、電波等を発射する必要がないため、秘匿性を保証することができる。
【0031】
(2) ステレオ視を利用する場合には少なくとも2台の撮像装置が必要となるが、本実施の形態では画像情報取得部1101(少なくとも1台の撮像装置を含む)から得られる目標を含む画像の情報とモデルデータ部1102に予め保持された前記目標に対応した形状モデルから、その画像に含まれる前記目標までの距離を推定することができる。
【0032】
(3) 距離を推定したい目標とこれに対応する形状モデルとの照合を表示部1103で行う際に、操作員が、モデルデータ部1102から出力される形状モデルの詳細度(立方モデル、簡易モデル、詳細モデル等)及び種別(2次元、3次元、ワイヤーフレーム、サーフェース、ソリッドモデル等)を、適宜選択し、切替えて段階的に照合することで、照合操作を容易にかつ正確に行うことができる。つまり、照合動作の当初は詳細度の低い形状モデルで2次元モデルを用いて概略の照合を行い、順次段階的に詳細度の高い形状モデルで3次元、ワイヤーフレーム、サーフェース、ソリッドモデル等の種別に切り替えてより正確な照合を行う。
【0033】
(4) 表示部1103における画像の倍率、回転及び中心表示位置、また形状モデルの倍率、ロール、ピッチ、ヨー等の回転及び中心表示位置を変えることにより、距離を推定したい多様な姿勢の目標と形状モデルを高精度で照合して、前記目標までの距離を高精度で推定可能である。
【0034】
(5) 距離を推定したい目標と形状モデルを表示部1103において重畳照合して、目標までの距離を高精度で推定可能である。
【0035】
図6は本発明の実施の形態2を説明するものであって、図1の距離推定装置において、画像情報取得部1101の画像に対して、ノイズ除去、濃度変換、平滑化、特徴強調、特徴抽出、鮮鋭化の少なくとも一つを含む画像処理を行うフィルタを設けることを示す。
【0036】
図6の例では、特徴抽出、鮮鋭化のためのフィルタとして、原画像f(i,j)に対して、ガウシアン画像g(i,j)、ラプラシアン画像l(i,j)、LoG画像k(i,j)を形成する場合を示している。
【0037】
この場合、距離を推定したい目標と形状モデルとの照合の際に、画像情報取得部1101の画像に対して濃度変換、平滑化、特徴強調又は特徴抽出、鮮鋭化の少なくとも一つを含む画像処理を図6のフィルタ等により行った後、表示部1103に処理後の画像を表示して、前記距離を推定したい目標と形状モデルとを照合して、目標までの距離を高精度で推定する。
【0038】
図7は本発明の実施の形態3を説明するものであって、図1の距離推定装置において、距離を推定したい目標と形状モデルとの手動操作による照合の後、計算機処理により更に一致度が高くなるように自動で照合を行う機能を有すること示す。
【0039】
この場合、操作員が表示部1103を見ながら操作部1104を操作して、前記距離を推定したい目標と形状モデルとの大まかな照合を行い、その後に、より精緻な照合を距離推定装置による計算機処理で図7のステップ1、ステップ2、ステップ3の順に自動位置合わせで行い、前記目標までの距離を推定する。
【0040】
自動照合の方法として、例えば、図7に示したように、目標と形状モデルに対してパターン・マッチングを用いることができる。その際、距離を推定したい目標と形状モデルの類似度が最大になるように、画像、又は形状モデルそれぞれの倍率、回転、表示位置等を変換して自動照合することにより、目標までの距離を推定する。
【0041】
自動的に精緻な照合動作が可能であるから、操作員の負担が軽減されるとともに、照合終了までの時間の短縮が可能である。
【0042】
図8は本発明の実施の形態4を説明するものであって、図1の距離推定装置において、装置構成自体に起因する距離推定値の誤差又は操作部を操作する操作員に起因する距離推定値の誤差の誤差補正を行う誤差補正テーブルを有する場合を示す。誤差補正テーブルの作成は、例えば、同一の目標に対して事前にレーザ測距で得られた距離情報と距離推定装置で得られた距離推定値を比較し、統計的な処理を行い、誤差補正テーブルを作成する方法や焦点距離に応じて誤差補正テーブルを作成する方法等がある。
【0043】
この場合、距離推定値の暫定値Zに対して補正係数α,βを用いて下記式(2)により補正値Zを算出できる。
=αZ+β …(2)
図8の誤差補正テーブルでは、所定距離範囲毎に使用すべき補正係数α,βの値が格納されている。例えば、暫定値Zが0~100ではα,βを使用して上記式(2)で補正値Zを計算する。
【0044】
このように誤差補正テーブルを用いて、距離推定装置自体に起因する距離推定値の誤差又は操作員に起因する距離推定値の誤差の誤差補正を行うことで、距離推定値の精度を向上させることが可能となる。
【0045】
なお、図1の距離推定装置において、画像情報取得部1101の画像の特性又は種別に応じて、モデルデータ部1102から呼び出す形状モデルが自動的に選択される機能を有するとよい。つまり、前記距離推定装置において、可視又は赤外センサ等の撮像装置から得られる画像の特性、又はカラー、モノクロ等の種類に応じて、適切な形状モデルが自動的に選択される。一例として、画像が赤外センサで取得されたものの場合には、ワイヤーフレームモデルが選択される等がある。
【0046】
以上本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されることなく請求項の記載の範囲内において各種の変形、変更が可能なことは当業者には自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る距離推定装置の実施の形態1を示す基本的な構成図である。
【図2】実施の形態1において、モデルデータ部に格納された形状モデルの例を示す説明図である。
【図3】距離推定の原理説明図である。
【図4】画像の倍率、回転率と中心表示位置、又は形状モデルの倍率、回転率と中心表示位置を変えた例を示す説明図である。
【図5】表示部において目標が含まれる画像と形状モデルを重畳表示した例を示す説明図である。
【図6】本発明に係る距離推定装置の実施の形態2において、画像の特徴抽出及び鮮鋭化のためのフィルタの例を示す説明図である。
【図7】本発明に係る距離推定装置の実施の形態3において、目標と形状モデルの自動位置合わせの一方法を示す説明図である。
【図8】本発明に係る距離推定装置の実施の形態4において、暫定値として得られた距離推定値に応じて誤差補正テーブルを利用した距離推定値の誤差補正の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0048】
101 画像情報取得部及びモデルデータ部の操作情報
102 表示情報
103 表示部の操作情報
104 視認情報
105 距離計算部への入力情報
106 距離推定値
1101 画像情報取得部
1102 モデルデータ部
1103 表示部
1104 操作部
1105 距離計算部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7