TOP > 国内特許検索 > 注釈表示装置およびこれを用いた注釈表示システム > 明細書

明細書 :注釈表示装置およびこれを用いた注釈表示システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4972738号 (P4972738)
公開番号 特開2008-065567 (P2008-065567A)
登録日 平成24年4月20日(2012.4.20)
発行日 平成24年7月11日(2012.7.11)
公開日 平成20年3月21日(2008.3.21)
発明の名称または考案の名称 注釈表示装置およびこれを用いた注釈表示システム
国際特許分類 G06K   7/00        (2006.01)
G02B  26/10        (2006.01)
FI G06K 7/00 U
G02B 26/10 104Z
請求項の数または発明の数 7
全頁数 16
出願番号 特願2006-242148 (P2006-242148)
出願日 平成18年9月6日(2006.9.6)
審査請求日 平成21年7月28日(2009.7.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304019399
【氏名又は名称】国立大学法人岐阜大学
発明者または考案者 【氏名】木島 竜吾
個別代理人の代理人 【識別番号】100076048、【弁理士】、【氏名又は名称】山本 喜幾
【識別番号】100141645、【弁理士】、【氏名又は名称】山田 健司
審査官 【審査官】川口 美樹
参考文献・文献 特開平08-044814(JP,A)
特開2001-124996(JP,A)
特開2001-188880(JP,A)
調査した分野 G06K 7/00
G02B 26/10
特許請求の範囲 【請求項1】
光学的に認識した対象物(O)に対応する注釈情報(AI)を出力する注釈表示装置において、
出力光(OR)を出力する光線出力手段(30)と、
前記光線出力手段(30)に設けられ、前記出力光(OR)を偏向させ走査する偏向手段(34)と、
前記光線出力手段(30)からの出力光(OR)を前記対象物(O)で反射した反射光(RR)が入力される光線入力手段(40)と、
前記光線入力手段(40)に入力された反射光(RR)から認識される対象物(O)に対応する注釈情報(AI)を表示するよう前記光線出力手段(30)を制御する制御手段(50)と
前記光線出力手段(30)の運動を計測する運動計測手段(70)とを備える
ことを特徴とする注釈表示装置。
【請求項2】
前記光線出力手段(30)から出力される出力光(OR)の経路上に、該出力光(OR)および反射光(RR)を分離する入出力光分離手段(32)で分離した反射光(RR)を前記光線入力手段(40)に入力するようにした請求項1記載の注釈表示装置。
【請求項3】
前記光線出力手段(30)は、前記対象物(O)の光学的読み取り時の出力光(OR)の強度と、前記注釈情報(AI)の表示時の出力光(OR)の強度とが異なるように制御手段(50)で制御される請求項1または2記載の注釈表示装置。
【請求項4】
前記光線出力手段(30)は、前記偏向手段(34)によって前記出力光(OR)を沿わせた方向の直交方向に分割された複数の情報を、連続して出力することにより注釈情報(AI)を表示するように制御される請求項1~3の何れか一項に記載の注釈表示装置。
【請求項5】
請求項1~の何れか一項に記載の注釈表示装置を備えると共に、光線出力手段(30)からの出力光(OR)を対象物(O)に付与したIDタグ(TG)で反射させた反射光(RR)を光線入力手段(40)に入力させることで対象物(O)を認識する
ことを特徴とする注釈表示システム。
【請求項6】
請求項1~4の何れか一項に記載の注釈表示装置を備えると共に、光線出力手段(30)からの出力光(OR)を対象物(O)に付与したIDタグ(TG)で反射させた反射光(RR)を光線入力手段(40)に入力させることで対象物(O)を認識する該注釈表示装置(20)が備える偏向手段(34)は、該偏向手段(34)によって一定方向に沿わせた出力光(OR)の向きと、前記IDタグ(TG)を読み取る向きとが一致するようにした
ことを特徴とする注釈表示システム。
【請求項7】
前記IDタグ(TG)には、再帰反射性が付与されている請求項5または6記載の注釈表示システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、物等を認識し、これに関連付けられた情報を表示する注釈表示装置およびこれを用いた注釈表示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等を使用して、自分(以下、ユーザーと云う)が興味を持つ対象物についての情報を取得する方法が知られている。この方法は、対象物を認識するための情報を符号化したコード等を、対象物に予め付与し、該コードを携帯電話の撮影機能により読み取り、更に携帯電話の通信機能を利用した検索によって、この対象物(対象物情報)に対応的に関連付けられた情報(以下、注釈情報と云う)を取得して携帯電話画面上に表示するものである。このように、物や場所等の注釈情報を取得して表示するシステムは注釈表示システムと呼ばれ、一般に(1)注釈情報を取得したい対象物の認識、(2)認識した対象物に対応する注釈情報の検索、(3)検索された注釈情報の表示の各段階から構成される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしこの注釈表示システムでは、ユーザーが予め注釈情報を取得したい対象物を特定することが前提となっているため、ユーザーが対象物を特定する前には注釈情報を取得することができない。この問題は、例えば多種類の物品(対象物)を梱包集積して管理する倉庫等で発生する。このような管理倉庫では、対象物を収納する梱包材に対して、対象物情報を符号化したIDタグが付与されている。従って、このIDタグを読み取ることで、該IDタグの付与された梱包内に収納された対象物を認識し、これに対応した注釈情報の取得は容易である。しかし、特定の対象物を取り出そうとする場合、個々の物品は夫々梱包状態となっているため、注釈情報を取得したい物品が特定はできない。この問題を解決する注釈表示システムが、例えば以下の非特許文献1に開示されている。
<nplcit num="1"> <text>"RFIG Lamp:Interacting with a Self-Describing World via Photosensing Wireless Tags and Projectors", ACM Trans on Graphics(TOG) SIGGRAPH, 23-3,, pp.406-415, ACM, 2004.</text></nplcit>
【0004】
非特許文献1に開示された注釈表示システム80は、図12に示す如く、IDタグとしてのRFID(Radio Frequency ID)と、このRFIDを認識すると共に、認識したIDに対応した注釈情報AIを出力表示する注釈表示装置82とを有する。前記注釈表示装置82は、RFIDに対して対象物Oに係る対象物情報の発信要求をなす出力手段としての電波発信機84、RFIDからの対象物情報を読み取る入力手段としての光学カメラ86および該光学カメラ86に入力された対象物情報に対応した注釈情報AIを表示する表示出力手段としてのプロジェクタ88を備える注釈表示装置82を有する。この注釈表示装置82の作動について、図13を用いて説明する。ここで電波発信機84は任意の周波数を発信し(図13(a)参照)、RFIDは設定された周波数を受信すると、付与された対象物Oに係る対象物情報を発光によって出力する(図13(b)参照)。このRFIDから光として出力される対象物情報は、光学カメラ86によって読み取られる(図13(c)参照)、対象物情報の読み取りにより対象物Oが認識されて、認識された対象物Oに対応する注釈情報AIが、図示しない検索手段によって検索される。そしてこの注釈情報AIが、プロジェクタ88によって対象物O上に投影(出力)される(図13(d)参照)。
【0005】
なお、前記注釈表示装置82は、当該装置82自体の配置位置または方位の変更を適宜検知して、発光した対象物情報を出力したRFIDが付与された対象物Oと、注釈情報AIの投影位置とを合致させるための位置センサ89を備えている。このように対象物Oを特定しない段階において、出力手段84からの出力で注釈情報AIを表示する対象物Oを特定し、かつ該対象物Oに付与されたRFIDに対応した注釈情報AIが表示を達成するようになっている。
【0006】
しかしこの注釈表示システムで使用される注釈表示装置は、構成要素が数多く、嵩高い大きな構成となってしまう。このため、前述した携帯電話のように、ユーザーが適宜持ち運ぶような使用は不可能であり、利用範囲が限定される問題が指摘される。また構造が複雑となってしまうため、製造コストおよび運用コストが嵩む問題もあった。またRFIDは価格が高く、かつ作動に電力を必要とするため、この点でも製造コストおよび運用コストが嵩む。
【0007】
この発明は、前述した従来の技術に内在している前記問題に鑑み、これを好適に解決するべく提案されたものであって、対象物と、この対象物に対応した注釈情報とを一体的に認識可能とすると共に、構成を簡略化することで可搬性を高め、取り扱い性を向上させ得る注釈表示装置およびこれを用いた注釈表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、請求項1に記載の発明に係る注釈表示装置は、
光学的に認識した対象物に対応する注釈情報を出力する注釈表示装置において、
出力光を出力する光線出力手段と、
前記光線出力手段に設けられ、前記出力光を偏向させ走査する偏向手段と、
前記光線出力手段からの出力光を前記対象物で反射した反射光が入力される光線入力手段と、
前記光線入力手段に入力された反射光から認識される対象物に対応する注釈情報を表示するよう前記光線出力手段を制御する制御手段と
前記光線出力手段の運動を計測する運動計測手段とを備えることを要旨とする。
従って、請求項1に係る発明によれば、注釈表示装置で必要とされる出力手段を1つとし得るので、構成の小型化および簡略化が可能となり、これにより可搬性や、取り扱い性を向上させ得る。また対象物と、これに対応した注釈情報とを一体的に認識可能とし得るから、当該2つの情報統合して認識しなければならないユーザーの認識負荷をなくし得る。また、対象物を認識させる情報の読み取りを確実かつ効率的になし得る。更に、ユーザー操作に係る注釈表示装置の運動を計測することで、対象物を認識させる情報の読み取りおよび対象物に対応した注釈情報の表示の双方を適切になし得る。
【0009】
請求項2に記載の発明では、前記光線出力手段から出力される出力光の経路上に、該出力光および反射光を分離する入出力光分離手段で分離した反射光を前記光線入力手段に入力するようにしたことを要旨とする。
従って、請求項2に係る発明によれば、注釈表示装置で対象物の読み取りに必要な出力光および反射光の経路をまとめて、注釈表示装置内のスペースを有効利用して小型化し得るので、可搬性や取り扱い性を向上させ得る。また反射光の誤入力を防止して、対象物の誤認識を防止し得る。
【0010】
請求項3に記載の発明では、前記光線出力手段は、前記対象物の光学的読み取り時の出力光の強度と、前記注釈情報の表示時の出力光の強度とが異なるように制御手段で制御されることを要旨とする。
従って、請求項3に係る発明によれば、出力光の強度を必要に応じてエネルギー消費を制御し得るため、省エネルギー性および使い勝手の双方を向上させ、また省エネルギー性の向上により、電力供給部位を小型化し得る。
【0013】
請求項に記載の発明では、前記光線出力手段は、前記偏向手段によって前記出力光を沿わせた方向の直交方向に分割された複数の情報を、連続して出力することにより注釈情報を表示するように制御されることを要旨とする。
従って、請求項に係る発明によれば、注釈表示装置を簡便なユーザー操作の介在等により、偏向手段が偏向する出力光の方向の直交方向に移動させるだけで、注釈情報を二次元方向に広がりを有する文字等として好適に表示し得る。
【0014】
請求項に記載の発明では、請求項1~の何れか一項に記載の注釈表示装置を備えると共に、光線出力手段からの出力光を対象物に付与したIDタグで反射させた反射光を光線入力手段に入力させることで対象物を認識することを要旨とする。
従って、請求項に係る発明によれば、対象物を認識させる情報を容易かつ確実に取得して、対象物の認識をなし得る。また、対象物を認識させる情報が符号化されているため、短時間での取得が可能となり、注釈表示システムの運用性が向上する。
【0015】
請求項に記載の発明では、請求項1~4の何れか一項に記載の注釈表示装置を備えると共に、光線出力手段からの出力光を対象物に付与したIDタグで反射させた反射光を光線入力手段に入力させることで対象物を認識する該注釈表示装置が備える偏向手段は、該偏向手段によって一定方向に沿わせた出力光の向きと、前記IDタグを読み取る向きとが一致するようにしたことを要旨とする。
従って、請求項に係る発明によれば、対象物を認識させる情報を容易かつ確実に取得して、対象物の認識をなし得る。また、対象物を認識させる情報が符号化されているため、短時間での取得が可能となり、注釈表示システムの運用性が向上する。更にIDタグを読み取るための出力光の動きを、注釈表示装置に自動的させ得るため、効率的な対象物の認識が可能となる。また更にIDタグとして、読み取られる一定方向にだけ内容が変化しているコードを使用することで、短時間に複数回に亘って情報の読み取りがなされることになるため、確実な対象物の認識もが可能となる。
【0016】
請求項に記載の発明では、前記IDタグには、再帰反射性が付与されていることを要旨とする。
従って、請求項に係る発明によれば、対象物を認識するための情報を確実に読み取ることを可能とすると共に、該情報の読み取りに使用する出力光の出力を低い光学的出力強度でなし得るので、省エネルギー性が向上し、またこの向上により電力供給部位を小型化し得る。
【発明の効果】
【0017】
以上に説明した如く、本発明に係る注釈表示装置およびこれを用いた注釈表示システムによれば、対象物と、この対象物に対応した注釈情報とを一体的に認識可能とすると共に、構成を簡略化することで可搬性を高め、取り扱い性を向上させ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明に係る注釈表示装置およびこれを用いた注釈表示システムにつき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下説明する。なお実施例では、梱包材に入れられて外部から内容を確認できない状態とされた物品を対象物とし、多数の対象物が収容されている倉庫内で好適に運用される注釈表示システムを例を用いて説明する。
【実施例】
【0019】
実施例に注釈表示システム10は、図1に示す如く、注釈情報AIを表示する対象である対象物Oと、この対象物Oに対して光学的な読み取りを行なって該対象物Oを特定し、これに対応した注釈情報AIを表示する注釈表示装置20とを構成要素として有する。前記対象物Oとしては、各種の物品や場所が挙げられる。注釈情報AIは、対象物Oの内容をユーザーに理解させるための各種固有情報を指し、運用される注釈表示システム10の目的等に応じて、適宜最適な内容とされている。例えば、倉庫内の物品を対象物Oとする場合には、物品名や識別番号等が注釈情報AIとして好適であり、百貨店等で扱う物品を対象物Oとする場合には、値段、実物の大きさおよび重量等が注釈情報AIとして好適である。
【0020】
そして実施例では、前記対象物Oの梱包材に予め付与されたIDタグTGを読み取って認識して対象物Oを特定するようにしている。本実施例においては、IDタグTGは梱包材に付与されているが、対象物O自体にIDタグTGを直接的に付与してもよい。このIDタグTGは、固有のIDコード(識別コード)を持った小型のタグであって、「ON/OFF」を表す1ビットを最小単位として符号化・収納する手段である。IDタグTGとしては、例えば、従来公知の一次元または二次元の各種コード等の光学的読み取りが瞬時に可能であって、規格が整備されているものが好適である。本実施例では、一次元で表されたコードが採用される。この一次元で表されたコードの読み取りは、情報の記載開始位置であるスタートビットから情報の記載終了位置であるストップビットまでを、該スタートビットからストップビットに向かう方向に沿って実施される。また本実施例で前記IDタグTGは、再帰反射性を有する塗料(再帰反射材)によって構成されている。なお再帰反射性とは、入射した光を、常に入射した方向に返す性質である。
【0021】
実施例に係る注釈表示装置20は、図1~図3に示すように、光線出力手段30と、光線入力手段40と、制御手段50とを基本的に備えている。また、注釈表示装置20の運動を常に計測する運動計測手段70も備えている。ここで注釈表示装置20の運動は、例えば角速度のような該注釈表示装置20の位置的または姿勢的な変位を意味し、位置変化や姿勢変化を相対的に示す運動情報として出力される。そして、出力光ORを利用したIDタグTGの読み取りおよびIDタグTGに対応した注釈情報の表示とを行ない得るよう構成されている。ここで前記光線出力手段30は、IDタグTGの(反射光を利用した)光学的な読み取りと、注釈情報AIの表示との双方に供される出力光ORを出力する装置である。前記光線入力手段40は、前記光線出力手段30からの出力光ORをIDタグTGで反射させた反射光RRが入力される装置である。前記制御手段50は、光線入力手段40に入力された反射光RRから認識されたIDタグTGに対応する注釈情報AIを検索して、この注釈情報AIを表示するよう光線出力手段30を制御する等の、注釈表示装置20全体に係る制御を担っている。また、これらの各手段30,40,50,70等は、電気的信号(以下、単に信号と云う)を電送可能な電送路Eで接続されている。なお注釈表示装置20には、前記各手段30,40,50,70等の作動用電源であるバッテリー(図示せず)が内蔵されている。
【0022】
前記光線出力手段30は、出力光OR(レーザー光:650nm,1mW)を発生させる光源としての半導体レーザー31aおよびこの出力光ORを直線光線とするコリメーターレンズ31bを有するレーザーダイオード31と、レーザーダイオード31で発生した出力光ORの経路(以下、出力経路と云う)上に配置される入出力光分離手段32と、更に入出力光分離手段32を経た出力光ORの出力経路上に配置される偏向手段34とを備える。前記入出力光分離手段32としては半透明鏡が使用され、前記光線出力手段30からの出力光ORを偏向手段34側に反射し、IDタグTGで反射された反射光RR(後述)をそのまま通過させるように構成されている。また偏向手段34としては、図4に示すような、回転軸Cを中心とする周方向の一定範囲で定常的に反復移動するように設計されたMEMS(Micro Electro Mechanical System)を組み込んだ鏡(以下、単にMEMS鏡と云う)が使用される。すなわちレーザーダイオード31から出力された出力光ORは、入出力光分離手段32および偏向手段34で反射された後に、注釈表示装置20の照射孔20aからIDタグTGに向けて出力される(図1参照)。
【0023】
なお、偏向手段34は、IDタグTGを読み取るように出力光ORを偏向して走査するものであれば殊に限定されないが、本実施例では、出力光ORをIDタグTGを読み取る向きに沿わせて連続的に偏向されるようになっている。また前記入出力光分離手段32として、出力光ORおよび反射光RRを円偏向させ得るものも採用し得る。この場合、出力光ORおよび反射光RRの略全量を一定方向に偏向させ得る。従って、出力光ORおよび反射光RRを円偏向させた場合には、IDタグTGを読み取るのに充分な光学的な強度を有する反射光RRを、光学的な出力強度の小さい出力光ORで達成し得るため、不要な電力の消費を抑制してバッテリーを小型化し得る。
【0024】
前記偏向手段34は、中心部分に配置される鏡部34aと、この鏡部34aの周りに配置されたコイル(図示せず)と、このコイルに電流を流した際に駆動力を与える永久磁石(図示せず)とを備えている(図4参照)。そして、コイルおよび永久磁石を利用して、鏡部34aが前記回転軸Cを中心とした周方向の一定範囲を約6.4kHzで定常的に反復移動するようにされている。このような作動をなす前記偏向手段34により、レーザーダイオード31から連続的に出力される出力光ORをIDタグTG上で一定方向に拡がった長さを有する線状に投影(出力)される。すなわち偏向手段34は、単なる点部分(地点)の読み取りおよび表示しかできない出力光ORに、一次元方向の読み取りおよび表示能力を与えるものである。すなわち、前記IDタグTGにおける出力光ORの到達位置は、本実施例に如く、IDタグTGと注釈表示装置20との距離は一定に保たれている場合には、当該出力光ORの出力された時点における偏向手段34の反復移動に係る位置情報から演算可能である。
【0025】
なお、本実施例において前記入出力光分離手段32は、出力光ORを略直角に偏向し、偏向手段34は該入出力光分離手段32で偏向された出力光ORを更に略直角に反射している(図2参照)。但し、入出力光分離手段32および偏向手段34の出力光ORの出力経路に対する角度を変化させることで、注釈表示装置20内における入出力光分離手段32および偏向手段34等の配置位置を自在に設定し得る。すなわち注釈表示装置20内における各手段30,40,50,70等の大きさ・形状によって、注釈表示装置20内における各手段30,40,50,70等の配置位置を適宜変更した最適化が可能である。
【0026】
前記光線入力手段40は、出力光ORがIDタグTGに到達して反射された反射光RRの経路(以下、反射経路と云う)上であって、出力光ORと反射光RRとを分離する前記入出力光分離手段32の下流側に配置されている。すなわち、前述したように前記偏向手段34に反射された反射光RRは、前記入出力光分離手段32で出力光ORとは違う方向へ分離されて光線入力手段40に入力される。この光線入力手段40としては、連続的に入力される反射光RRを好適に検知し得るフォトダイオードが使用される。ここで入力される反射光RRは、出力光ORが反射(到達)した位置(地点)におけるIDタグTGの状態を表す光学的要素情報と、該出力光ORがIDタグTGで反射(到達)した時点を表す時間的要素情報とを有している。ここで光学的要素情報は、前記IDタグTGを認識するための反射光RRの光学的な強度を示す情報である。また時間的要素情報は、前記反射光RRが光線入力手段40に入力された時間的情報であり、該反射光RRがIDタグTGに反射された時点を算出するための情報である。
【0027】
前記運動計測手段70は、注釈表示装置20の運動を計測・出力する装置であって、ジャイロスコープが使用されている。注釈表示装置20の位置変化に係る情報や姿勢変化に係る情報は、前記反射光RRが有する時間的要素情報を、出力光ORが反射した地点の位置を表す位置的要素情報へ変換するために用いられる。また本実施例では、前記運動計測手段70は、光線出力手段30の一時休止および作動再開の役割も担っている。すなわち、注釈表示装置20の動きが一定時間ない場合(運動計測手段70が注釈表示装置20の運動を計測しない場合)は、光線出力手段30の作動を一時休止することで、電力消費の低減を図っている。
【0028】
前記制御手段50は、前記光線出力手段30の駆動等に係る信号を生成・出力するドライバアンプ52と、前記光線入力手段40および運動計測手段70からの情報(注釈表示装置20に係る運動情報)に係る信号を受け入れて加工するセンサアンプ54と、注釈表示装置20全体の作動・停止をなす作動手段としての作動スイッチ56と、これら各手段52,54,56を統括し、注釈表示装置20が扱う全情報を演算する演算部58とを備える。ここで前記作動スイッチ56は、注釈表示装置20を使用する際に操作し易い位置に設けられている(図1参照)。
【0029】
前記ドライバアンプ52は、レーザーダイオード駆動回路52aおよび偏向手段駆動回路52bを備え、光線出力手段30が備えるレーザーダイオード31および偏向手段34の双方に係る駆動を制御している(図3参照)。具体的には、前記レーザーダイオード駆動回路52aは、レーザーダイオード31からの出力光ORの出力を制御して、IDタグTGを読み取る際には、該IDタグTGを読み取り得る光学的な出力強度とした出力光ORを連続的に出力し、注釈情報AIを表示する際には、表示する内容に従った出力光ORを出力する。また、偏向手段駆動回路52bは、偏向手段34の反復移動範囲の制御を行なっている。なお、前記偏向手段駆動回路52bには、演算部58内に設けられている正弦波生成器62からの信号を、偏向手段34の位置情報に変換する変換器が内蔵されている。
【0030】
前記センサアンプ54は、光線-信号変換比較器54aおよび位置・姿勢-信号変換器54bを備える。そして光線-信号変換比較器54aは、光線入力手段40に入力された光学的要素情報および時間的要素情報を入力・加工し、光学的要素情報を反射光RRの光学的な強度に比例した信号に変換し、時間的要素情報を反射光RRの入力時間に対応した信号に変換している。また位置・姿勢-信号変換器54bは、運動計測手段70が計測した注釈表示装置20の位置変化に係る情報および姿勢変化に係る情報を入力・加工し、前記運動計測手段70からの注釈表示装置20の運動情報を信号に変換している。
【0031】
前記演算部58は、制御手段50の中核をなし、前記ドライバアンプ52およびセンサアンプ54を介してレーザーダイオード31、偏向手段34、光線入力手段40および運動計測手段70等を制御している。この演算部58には、検索手段60としてのIDタグ-注釈情報変換器と、正弦波生成器(スキャナドライバ)62と、IDタグ分析器(IDタグリーダー)64と、画像生成回路66とが備えられている。ここで正弦波生成器62は、偏向手段34の反復移動を規定する正弦波を発生させる役割を果たす。IDタグ分析器64は、センサアンプ54からの情報(光線入力手段40に入力された光学的要素情報および時間的要素情報並びに運動計測手段70が計測した注釈表示装置20の運動情報)を統合して、IDタグTGを認識する役割を果たす。検索手段60は、認識されたIDタグTGからこれに対応する注釈情報AIを検索する。画像生成回路66は、センサアンプ54からの情報(光線入力手段40に入力された光学的要素情報および時間的要素情報並びに運動計測手段70が計測した注釈表示装置20の運動情報)と、検索手段60で検索されたIDタグTGに対応する注釈情報AIとから、該注釈情報AIを表示するように光線出力手段30を制御する。
【0032】
実施例では、前述の各構成要素62、64および66は、1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、すなわちプログラミング可能なLSIから構成されている。なお前記画像生成回路66は、正弦波生成器62からの偏向手段34の反復移動を規定する正弦波から、常に該偏向手段34の反復移動に係る位置情報を把握する機能も有する。また検索手段60は、認識されたIDタグTGと、これに対応した注釈情報AIとを関連付けているデータベースに過ぎないので、注釈表示装置20内における配置部位や収納している注釈情報AIの内容は殊に限定されない。またこの検索手段60を注釈表示装置20の外部に別途設置して、注釈表示装置20内には検索手段60に代えて、外部の検索手段との双方向通信なす通信機器を配置する構成も採用し得る。この場合、双方向通信手段としては、注釈情報AI検索のリアルタイム性を重視した無線LAN等が好適である。
【0033】
前記検索手段60で検索されたIDタグTGに対応した注釈情報AIは、画像生成回路66に送られる。そして画像生成回路66は、注釈情報AIから偏向手段34で連続的に偏向された出力光ORに沿った方向に直交する方向(ユーザー操作による注釈表示装置20の移動方向)に分割された情報(以下、分割情報と云う。)DIを生成する。この複数の分割情報は、注釈表示装置20の移動方向に沿って投影され、IDタグTG近傍に注釈情報AIを表示するものである。ここで画像生成回路66には、運動計測手段70が計測した注釈表示装置20の運動情報も入力されている。前記画像生成回路66は、複数の分割情報DIを、注釈表示装置20の移動に対応させて注釈情報AIを表示するように、レーザーダイオード駆動回路52aに出力される。この出力によりレーザーダイオード31は、注釈表示装置20の移動に対応して注釈情報AIを順次出力されるように制御されている。
【0034】
〔実施例の作用〕
次に、実施例に係る注釈表示装置20の作用について説明する。前記注釈表示装置20は、IDタグTGの読み取り方向と、前記偏向手段34によって連続的に偏向された前記出力光ORが沿う方向とを一致させ、停止状態からユーザーの操作によって、IDタグTGを読み取る方向と直交する方向に移動しているものとする。また、前記作動スイッチ56はONの状態で、前記注釈表示装置20がユーザー操作によって移動し始め、該注釈表示装置20の運動が運動計測手段70に計測され、光線出力手段30の作動が再開されたものとする。なお、前記光線出力手段30が、IDタグTGの光学的な読み取りを好適になし得る光学的な出力強度を備える出力光ORを出力する状態を走査状態と呼称し、注釈情報AIの表示を好適になし得る光学的な出力強度を備える出力光ORを出力する状態を表示状態と呼称する。
【0035】
(走査状態について)
先ず、光線出力手段30が作動して出力光ORを出力し始めた直後であって、注釈表示装置20がIDタグTGを読み取る方向と直交する方向に移動し始めていない時点を説明する。前記光線出力手段30の作動により、レーザーダイオード31および偏向手段34に電力が供給されて、出力光ORが生起され、該偏向手段34の反復移動方向に対応して、該出力光ORが一方向への拡がりを有する線状に出力される(図2および図4参照)。前記光線出力手段30における走査状態と表示状態とでは、レーザーダイオード31からの出力光ORの光学的な出力強度が異なるように、該レーザーダイオード31がレーザーダイオード駆動回路52aによって制御されている。基本的に出力光ORには、走査状態ではIDタグTGの光学的読み取りが可能な程度(光線入力手段40が反射光RRを読み取れる程度)の光学的な出力強度があればよく、表示状態では、投影された出力光ORがユーザーに明瞭に目視可能となる光学的な出力強度が求められる。そこで本実施例では、走査状態におけるレーザーダイオード31による出力光ORの光学的な出力強度は、表示状態におけるレーザーダイオード31の出力光ORの光学的な出力強度の約半分に設定されている。この設定により、不要な電力の消費を抑制してバッテリーの小型化を達成している。
【0036】
走査状態の光学的な出力強度で出力された出力光ORの挙動は、以下のように観察される。すなわち、図5に示す如く、レーザーダイオード31から出力された出力光ORは入出力光分離手段32で反射され(図5(a)参照)、次いで偏向手段34で反射されてIDタグTGに到達する(図5(b)参照)。そして前記IDタグTGに到達した出力光ORは、到達した地点で反射され、反射光RRとして出力光ORの出力経路を、入出力光分離手段32までは逆向きとした反射経路で、IDタグTG→偏向手段34→入出力光分離手段32の順に戻ってくる(図5(c)参照)。この出力光ORが偏向手段34で偏向されてIDタグTGで反射され、反射光RRとして該偏向手段34に戻ってくるまでの時間的な経過は殆どないため、偏向手段34の姿勢は変化しない。従って、偏向手段34を経た出力経路と反射経路とのずれはない。最終的に偏向手段34を経て入出力光分離手段32に到った反射光RRは、該入出力光分離手段32を透過して光線入力手段40に入力される(図5(d)参照)。
【0037】
そして偏向手段34は、時間の経過によって回転軸Cを中心とした周方向に反復移動する。このため、図6に示す如く、光線出力手段30からの出力光ORは図5で到達(反射)した位置を表す地点Aから、偏向手段34の移動方向に対応してずれた別の位置を表す地点Bに到達することになる。なお地点Aは、IDタグTGに出力された出力光ORの一方の端であって、地点Bは、IDタグTGに出力された出力光ORの他方の端である。このとき、偏向手段34が移動して出力光ORの出力方向が地点Aから地点Bに変化しても、該地点Aに出力光ORが出力された場合と同様に、反射光RRが該出力光ORの経路を辿って入出力光分離手段32に到る。このため、IDタグTGで反射された反射光RRは、常に光線入力手段40に入力される。
【0038】
そして、図7に示す如く、前記IDタグTGにおいて出力光ORの到達する位置(地点)が集合した線分ABの長さL1は、前記偏向手段34の反復移動に係る距離Dに依存している。すなわち前記距離Dの長さに比例して、線分ABの長さL1が変化する。また、図5で説明した出力光ORおよび反射光RRの動きは、時間の経過の中で連続的かつ繰り返し行なわれている。すなわち前記偏向手段34の動きに連動して、地点Aから地点Bに移動する間の全ての地点について出力光ORが到達し、線分ABについての光学的要素情報を全て得ることができる。ここで前記偏向手段34の反復移動は自動的になされるため、線分ABに係る全ての光学的要素情報も自動的に取得される。なお図6においては、出力光ORが地点Aに到達する際の出力経路および鏡部34aは2点鎖線で表示し、出力光ORが地点Bに到達する際の出力経路および鏡部34aは実線で表示している。
【0039】
ここで前記距離Dは、これに依存する長さL1が、IDタグTGの読み取り方向に沿った長さと略同等以上になるようされる。この設定により、注釈表示装置20を動かさなくても、IDタグTGの読み取りをなし得る。また本実施例では、前記偏向手段34によって連続的に偏向された前記出力光ORが沿う方向と、IDタグTGの読み取り方向とが一致しているため、出力光ORが地点Aから地点Bまでの間を一度だけ走査すればIDタグTGの読み取りが完了する。本実施例においては、前記偏向手段34は6.4kHzで反復移動して、短時間に繰り返し地点Aから地点Bまでの間を走査している。この走査の繰り返しによって、光線出力手段30はIDタグTGの読み込みが確実になされる。このように光線出力手段30から出力光ORが出力される際に、注釈表示装置20の姿勢が一定にされる場合には、IDタグTGを読み取ることは可能である。
【0040】
更に、偏向手段34によって連続的に偏向された前記出力光ORが沿う方向と直交する方向に注釈表示装置20を移動させて、IDタグTGにおける該出力光ORの出力位置(地点)を変えるユーザー操作を加えた場合を、図8を用いて説明する。この場合、注釈表示装置20によって走査される領域は、偏向手段34が反復移動する距離Dに対応して自動的に走査される地点Aから地点Bの間の一方向にだけ拡がる線から、該注釈表示装置20の移動距離Wに対応した光線出力手段30からの出力光ORの移動距離L2だけ拡がる二次元的な矩形形状になる。このような偏向手段34とユーザー操作とによって注釈表示装置20は、IDタグTGにおける矩形形状の領域を走査し得る。このような構成によって、実施例に係る注釈表示装置20は、二次元的な拡がりをもつコードの読み取り・認識にも使用し得る。
【0041】
そしてIDタグTGの認識は、前記光線入力手段40に入力される反射光RRから取得される光学的要素情報と、時間的要素情報とを特定することでなされる。この光学的要素情報および時間的要素情報の特定は、光線入力手段40から光線-信号変換比較器54aを介して送られるIDタグ分析器64でなされる。この光学的要素情報の特定によって、該光学的要素情報が取得された反射光RRの光学的な強度から、反射されたIDタグTGにおける位置(地点)がビットの状態(ONまたはOFF)が明らかになる。また時間的要素情報との特定によって、IDタグTGにおけるある位置(地点)で反射された反射光RRが有する光学的要素情報と、該反射光RRの入力時間との関係が明らかとなる。また位置的要素情報は、光学的要素情報を入力した反射光RRの時間的要素情報と、運動計測手段70が計測した注釈表示装置20の運動情報および画像生成回路66が常に把握している偏向手段34の反復移動に係る位置情報とを統合して特定される。
【0042】
前記IDタグ分析器64による光学的要素情報および時間的要素情報の特定によって認識されたIDタグTGは、検索手段60に送られて検索に供される。この検索手段60でIDタグTGから読み取り・認識された内容は、対応する注釈情報AIに変換される。この変換で得られた注釈情報AIは、前記画像生成回路66に送られることになる。
【0043】
(表示状態について)
このようにしてIDタグTGの認識が完了すると、前述の如くIDタグTGに対応する注釈情報AIが検索手段60から検索されて画像生成回路66へ送られると共に、光線出力手段30が注釈情報AIの表示を好適になし得る表示状態に移行制御される。この表示状態に移行することで光線出力手段30による出力光ORの光学的な出力強度は、走査状態に比較して2倍程度に向上される。この光学的な出力強度向上により、出力光ORが投影する注釈情報AIの認識容易性が高まる。なお以下の説明において、注釈情報AIの縦方向は、偏向手段34で出力光ORが連続的に偏向される一定方向であり、該注釈情報AIの横方向は、ユーザー操作による注釈表示装置20の移動方向であるとする。
【0044】
前記検索手段60から検索された注釈情報AIは、画像生成回路66によって注釈表示装置20での表示が可能な状態に演算される。この演算を、図9および図10を用いて説明すると、先ず、二次元的な拡がりを持つ注釈情報AIを、直交する二軸平面座標上で縦軸(Y軸)および横軸(X軸)の双方向に沿って分割・区分して二次元方向に分割された注釈情報AI(以下、区分情報と云う)を得る(図9参照)。そしてこの区分情報を縦軸方向(偏向手段34によって出力光ORを沿わせた方向)毎にまとめて横軸方向(ユーザー操作による注釈表示装置20の移動方向)に分割された分割情報DIとする(図10参照)。この各分割情報DIについては、便宜上、図10の左側から順に、DI01、DI02、DI03・・・DI25と呼称される。
【0045】
また区分情報DIは、注釈情報AIを構成する「注」より後の文字「釈情報AI」にも続き、DI01の側から順番にAInn(nは自然数)と呼称される。なおここでは説明上、注釈情報AIの「注」における部首である「さんずい」より左側の領域については、分割情報DIとしてカウントしていないが、実際の演算においては前述したように分割情報DIとして扱われる。この画像生成回路66で生成された分割情報DIは、注釈情報AIを偏向手段34によって出力光ORを沿わせた方向の直交方向に分割された複数の情報である。なお、区分情報に分割された注釈情報AIの最小単位をピクセルと呼称する(図9参照)。このピクセルの大きさは、光線出力手段30からの出力光ORが表示できる最小面積とされている。
【0046】
そして前記画像生成回路66で生成された各分割情報DIは、偏向手段34の反復移動に対応した出力光ORの移動だけで表示可能である。すなわち、注釈表示装置20をユーザー操作によって動かさなくても、注釈表示装置20によって自動的に表示される。この分割情報DIの表示の制御を、図10に記載されるDI01を用いて説明すると、画像生成回路66が、分割情報DI01をなす各ピクセルを表示するための出力光ORの光学的な出力強度についての情報(以下、出力強度情報と云う)を夫々演算・生成する。そして分割情報DI01を構成する各ピクセルの表示位置に対応した情報(以下、表示位置情報と云う)を夫々演算・生成する。
【0047】
この各ピクセルについての出力強度情報および表示位置情報によってレーザーダイオード駆動回路52aを制御して、偏向手段34の反復移動によって変位する位置が表示位置情報と合致するように、出力強度情報に従った出力光ORを出力させる。なお出力強度情報は、表示状態での出力光ORの出力強度(すなわちレーザーダイオード31が作動状態)または出力強度なし(すなわちレーザーダイオード31が停止状態)の何れかに生成される。なお、この光学的な出力強度の制御を多段階で実施すれば、注釈情報AIの表示にグラデーションを付加し得る。
【0048】
この分割情報DI01の表示は、ユーザー操作による注釈表示装置20の移動が検知するまで継続される(図11(a)参照)。そして注釈情報AIにおける横方向(偏向手段34で出力光ORを沿わせた方向に直交する方向)へのユーザー操作によって、分割情報DI01の(偏向手段34で出力光ORを沿わせた方向に直交する方向)についての長さ分だけ注釈表示装置20が移動すると、画像生成回路66は、表示する分割情報DI01からDI02に変化させるように光線出力手段30を制御する(図11(b)参照)。このように制御を繰り返すことで画像生成回路66は、ユーザー操作による横方向(偏向手段34で出力光ORを沿わせた方向に直交する方向)への注釈表示装置20の移動に対応して、表示される分割情報をDI01からDInnへと、順次連続して変化するようにしている(図11(c)参照)。この分割情報DIの注釈表示装置20の移動に対する変化により、注釈情報AIが表示されることになる。すなわち、注釈表示装置20は、表示した各分割情報DIの残像を利用して、注釈情報AIの全体を表示している。
【0049】
このように本実施例に係る注釈表示装置20によれば、IDタグTGを読み取る機能と注釈情報AIを表示する機能とを単一の光線出力手段30で達成し、また出力光ORの出力経路と反射光RRの反射経路とを一部重複させている。更に光線出力手段30をなすレーザーダイオード31や、光線入力手段40をなすフォトダイオードや、偏向手段34をなすMEMS鏡や、制御手段50をなすドライバアンプ52、センサアンプ54および演算部58は、何れも半導体プロセスで製作可能であって、ワンチップ化も可能である。従って、注釈表示装置20の小型化が容易であり、良好な可搬性や、出力光ORの出力先の容易な変更等をなし得る高い取り扱い性を獲得し得る。
【0050】
また同位相によって干渉性がなく、光が集中して拡散しない指光性を備えるレーザー光線を出力光ORとして採用しているので、光線出力手段30から出力された出力光ORの確実な光線入力手段40への入力が担保されて、確実なIDタグTGの読み取りと、これによる正確なIDタグTGの認識が可能となる。そして光学的な読み取りが可能であるので、RFIDの如きIDタグTG価格が高い要素を採用しなくても、注釈表示システムを構築し得る。更にIDタグTGの近傍に注釈情報AIを、位置的に関連付けて表示し得るので、IDタグTGが付与された梱包材内に収納された対象物Oと、注釈情報AIとを一体的に認識するユーザーの対象物を認識負荷を低減し得る。この他、IDタグTGに再帰反射性を付与することで、確実なIDタグTGの読み取りと、これによる正確なIDタグTGの認識が可能となる。
【0051】
〔変更例について〕
なお光線出力手段30に、偏向手段34の反復移動方向と直交する方向へ該偏向手段34を定常的に反復変位させる変位手段を設けるようにしてもよい。具体的には、直交する2方向に、夫々定常的に反復的に回動変位するように設計されたMEMS鏡が好適である。このようなMEMS鏡の採用により、注釈表示装置20を移動させなくても、光線出力手段30からの出力光ORは二次元的な広がりをもつ矩形状に出力される。このため、IDタグとして二次元的なコードを採用した場合の好適な読み取りや、注釈情報AIの好適な表示が可能となる。この場合、ジャイロスコープの如き運動計測手段70はなくてもよい。また前記出力光ORを偏向させ走査する前記偏向手段34として、該出力光ORの走査方向を偏向させるようにレーザーダイオード31の向きを変える機構を採用してもよい。
【0052】
この他、前述の実施例では、出力光ORとしてレーザー光を例に挙げているが、本発明はこれに限定されない。例えば、実施例におけるレーザーダイオード31に代えて、注釈情報AIの表示が可能である単一色の可視光線を発光するダイオードまたは複数色の可視光線を夫々発光する複数のダイオードを適宜組み合わせたものが使用される。この場合、光線出力手段30による注釈情報AIの表示を、様々な色によってなし得る。また前述の実施例では、IDタグによって対象物O認識していたが、直接的に対象物Oの形状を読み取り、対象物Oに対応した注釈情報AIを検索・表示するようにしてもよい。

【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の好適な実施例に係る注釈表示システムを示す概略図である。
【図2】実施例に係る注釈表示装置の構成手段を、位置関係と共に示す概略図である。
【図3】実施例に係る注釈表示装置の各構成手段を、制御手段を中心に信号の流れと共に示す概略図である。
【図4】実施例に係る注釈表示装置が備える偏向手段の概略構成と、この偏向手段で反射された出力光がIDタグ上で線状になる様子を示す概略斜視図である。
【図5】実施例に係る注釈表示装置の走査状態を示す説明図である。
【図6】実施例に係る注釈表示装置が備える偏向手段の動きと、この動きに関連して変化する出力光のIDタグ上での到達する位置(地点)および出力光の経路とを示す概略図である。
【図7】実施例に係る注釈表示装置が備える偏向手段の反復移動距離と、この動きに関連して変化する出力光のIDタグ上での到達する位置(地点)が集合した線分の長さとの関係を示す概略斜視図である。
【図8】実施例に係る注釈表示装置が備える偏向手段によって連続的に偏向された出力光が沿う方向と直交する方向に注釈表示装置を移動させて、IDタグにおける該出力光の出力位置を変える操作を加えた場合を示す説明図である。
【図9】実施例に係る注釈表示装置で表示する注釈情報を、二次元方向に分割した区分情報とした状態を示す説明図である。
【図10】図9で区分情報とされた注釈情報を、分割情報とした状態を示す説明図である。
【図11】図10で分割情報とされた注釈情報を、注釈表示装置の移動に合わせて逐次連続的に表示する様子を示す説明図である。
【図12】従来技術に係る注釈表示システムを示す概略斜視図である。
【図13】従来技術に係る注釈表示システムの作動順序を示す状態図である。
【符号の説明】
【0054】
30 光線出力手段、32 入出力光分離手段、34 偏向手段
40 光線入力手段、50 制御手段、70 運動計測手段
AI 注釈情報、O 対象物、OR 出力光、RR 反射光、TG IDタグ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12