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明細書 :血管画像化方法、血管画像化システム及び血管画像化プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4892732号 (P4892732)
公開番号 特開2008-237670 (P2008-237670A)
登録日 平成24年1月6日(2012.1.6)
発行日 平成24年3月7日(2012.3.7)
公開日 平成20年10月9日(2008.10.9)
発明の名称または考案の名称 血管画像化方法、血管画像化システム及び血管画像化プログラム
国際特許分類 A61B   8/08        (2006.01)
FI A61B 8/08
請求項の数または発明の数 10
全頁数 19
出願番号 特願2007-084180 (P2007-084180)
出願日 平成19年3月28日(2007.3.28)
審査請求日 平成22年1月8日(2010.1.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304019399
【氏名又は名称】国立大学法人岐阜大学
発明者または考案者 【氏名】野方 文雄
【氏名】横田 康成
【氏名】河村 洋子
個別代理人の代理人 【識別番号】100068755、【弁理士】、【氏名又は名称】恩田 博宣
【識別番号】100105957、【弁理士】、【氏名又は名称】恩田 誠
審査官 【審査官】川上 則明
参考文献・文献 特開2005-185575(JP,A)
特開2005-270351(JP,A)
特開2003-305039(JP,A)
特開2006-247214(JP,A)
調査した分野 A61B 8/08
特許請求の範囲 【請求項1】
超音波診断装置と、
断層エコー像を作成する列方向アレー超音波振動子が2次元的に、すなわち列方向と行方向にそれぞれ配置され、同超音波振動子群を一体にして行方向に移動する移動体と、
複数の所定周期毎に前記移動体を前記行方向に沿って超音波振動子の行ピッチよりも短い距離で間欠移動制御を繰り返す制御手段と、
前記移動体の停止位置の位置情報が入力される位置情報入力手段と、
前記複数の所定周期内における前記超音波振動子により得られた原画像情報が前記超音波診断装置にて2次元化された2次元画像及び前記停止位置の位置情報を互いに関連づけて記憶する記憶手段と、
前記2次元画像と前記位置情報に基づいて3次元画像化処理し、又は、前記2次元画像と前記位置情報と前記複数の所定周期の時間情報に基づいて3次元画像の時間変化、すなわち、4次元画像化処理する画像処理手段と、
前記画像処理手段にて画像処理された画像情報に基づいて動脈血管における測定部位、すなわち、前記停止位置毎の最大径、最小径、及び前記最大径と最小径の差異の画像のうち、少なくとも1つの画像を生成する画像生成手段とを備えることを特徴とする血管画像化システム。
【請求項2】
心拍情報が入力される心拍情報入力手段を備え、
前記制御手段は、前記心拍情報に基づく心拍周期を前記所定周期とすることを特徴とする請求項1に記載の血管画像化システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記移動体が間欠駆動された結果の合計移動距離が前記超音波振動子の行ピッチ以上になったとき、前記移動体の間欠駆動を停止することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の血管画像化システム。
【請求項4】
動脈血管における測定部位、すなわち、前記停止位置毎の最大径と最小径の差異と、予め入力された安静時血圧に基づいて、前記測定部位の弾性率を算出する算出手段を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載の血管画像化システム。
【請求項5】
前記移動体は、列方向と行方向にそれぞれ複数の超音波振動子が配置された超音波プローブを備え、
該超音波プローブは、頸部表面形状に対応して凹設された面に対して前記複数の超音波振動子が列方向と行方向にそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載の血管画像化システム。
【請求項6】
コンピュータを、
断層エコー像を作成する列方向アレー超音波振動子が2次元的に、すなわち列方向と行方向に配置され、同超音波振動子群を一体にして行方向に移動する移動体の移動制御を行う制御手段であって、複数の所定周期毎に前記移動体を前記行方向に沿って超音波振動子の行ピッチよりも短い距離で間欠移動制御を繰り返す制御手段と、
前記移動体の停止位置の位置情報が入力される位置情報入力手段と、
前記複数の所定周期内における前記超音波振動子により得られた原画像情報が超音波診断装置にて2次元化された2次元画像及び前記停止位置の位置情報を互いに関連づけて記憶する記憶手段と、
前記2次元画像と前記位置情報に基づいて3次元画像化処理し、又は、前記2次元画像と前記位置情報と前記複数の所定周期の時間情報に基づいて3次元画像の時間変化、すなわち、4次元画像化処理する画像処理手段と、
前記画像処理手段にて画像処理された画像情報に基づいて動脈血管における測定部位、すなわち、前記停止位置毎の最大径、最小径、及び前記最大径と最小径の差異の画像のうち、少なくとも1つの画像を生成する画像生成手段として機能させることを特徴とする血管画像化プログラム。
【請求項7】
コンピュータを、
心拍情報が入力される心拍情報入力手段として機能させ、
前記心拍情報に基づく心拍周期を前記所定周期とすることを特徴とする請求項6に記載の血管画像化プログラム。
【請求項8】
前記制御手段は、前記移動体が間欠駆動された結果の合計移動距離が前記超音波振動子の行ピッチ以上になったとき、前記移動体の間欠駆動を停止することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の血管画像化プログラム。
【請求項9】
コンピュータを、
動脈血管における測定部位、すなわち、前記停止位置毎の最大径と最小径と、予め入力された安静時血圧に基づいて、前記測定部位の弾性率を算出する算出手段として機能させることを特徴とする請求項6乃至請求項8のうちいずれか1項に記載の血管画像化プログラム。
【請求項10】
断層エコー像を作成する列方向アレー超音波振動子が2次元的に、すなわち列方向と行方向にそれぞれ配置され、同超音波振動子群を一体にして行方向に移動する移動体を、複数の所定周期毎に前記行方向に沿って超音波振動子の行ピッチよりも短い距離で間欠移動制御を繰り返し、
前記移動体の停止位置の位置情報を入力し、
前記複数の所定周期内における前記超音波振動子により得られた原画像情報が超音波診断装置にて2次元化された2次元画像及び前記停止位置の位置情報を互いに関連づけて記憶し、
前記2次元画像と前記位置情報に基づいて3次元画像化処理し、又は、前記2次元画像と前記位置情報と前記複数の所定周期の時間情報に基づいて3次元画像の時間変化、すなわち、4次元画像化処理し、
前記画像処理された画像情報に基づいて動脈血管における測定部位、すなわち、前記停止位置毎の最大径、最小径、及び前記最大径と最小径の差異の画像のうち、少なくとも1つの画像を生成することを特徴とする血管画像化方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、血管画像化方法、血管画像化システム及び血管画像化プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
生活習慣の多様化、世界的高年齢化の進行や食生活の多様化により近年では若年層も含め動脈硬化が進行し、該症状に関連した心筋梗塞、脳梗塞、脳出血など血管系疾患による長期治療患者が増加している。この疾患を防止するためには血管系の力学的健全性、いわゆる血管が柔らかいこと(低剛性で破断ひずみ大)が重要である。
【0003】
血管の力学的健全性を非侵襲で計測する従来の方法は、脈波速度測定(PWM:血管を伝播する弾性波で、伝播速度と弾性係数は比例する),血管壁肥厚測定(内中膜複合厚IMT:内壁が粥状となり進行すると膨らみ血管壁IMTが増加し内径は小さくなる)などが動脈硬化検査法として用いられている。なお、IMT(intima-media thickness)は頸動脈エコー検査法の第一段階検査箇所である。
【0004】
これらの物理量計測において、前者の伝播速度測定における2点間距離は比較的大きく取られるため(例えば、身長の約1/3)、計測結果は計測長さの平均値となる。すなわち、局所的に生じる動脈硬化の進行状況と伝播速度とを関連づけるのは困難であった。又、後者は鮮明な血管像と壁厚さ測定の判断には特殊な技術と知識を必要としている。又、最近、指先などで光学的に血流の時間変化を2回微分した加速度脈波により検査する方法があるが、終末血管近傍での血流変化から動脈硬化が計測できるという物理的根拠は乏しい。さらに、PWM,IMT,加速度脈波などは、相当に動脈硬化が進行している時に差異が検出される量である。又、これらの計測値は血管の破裂圧力と直接関連づけることも困難である。
【0005】
なお、特許文献1、特許文献2には、動脈血管における測定部位毎に動的変形挙動を計測する際、短時間で計測するための技術的構成については、開示されていない。

【特許文献1】特開2005-185575号公報
【特許文献2】特開2005-270351号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、動脈は心臓の拡張と収縮による拍動流に伴い径変化を生じている。図10(a)、(b)には、拍動流に伴い、頸動脈Kにその径が上流から下流に変化している状態が示されている。しかしながら、高齢化や生活習慣病により血管内壁が変質してIMTの局所的増加により動脈硬化(剛性増加)が起こると、拍動流に伴う径変化は小さな変動となる。又、動脈硬化は局所的にも生じ、かつ、3層構造からなる血管は材料学的には粘弾性的性質の強く現れる素材であるため、安静時の生理的血圧変動領域(一般的には70~140mmHg程度)における剛性を計測、また拍動速度が高い状態(負荷試験)での動的変形挙動を計測し比較することは重要な指標を与える。
【0007】
しかしながら、従来はこのような方法による頸動脈血管画像化、変形能を計測する技術において、短時間で計測することは未解決の課題であった。
本発明は、安静時の生理的血圧変動領域の剛性の計測や、拍動速度が高い状態(負荷試験)での動的変形挙動を計測し比較する際、被験者の負担を大幅に軽減できる血管画像化システムを提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、安静時の生理的血圧変動領域の剛性の計測や、拍動速度が高い状態(負荷試験)での動的変形挙動を計測し比較する際、被験者の負担を大幅に軽減できる血管画像化プログラムを提供することにある。
【0009】
又、本発明の他の目的は、安静時の生理的血圧変動領域の剛性の計測や、拍動速度が高い状態(負荷試験)での動的変形挙動を計測し比較する際、被験者の負担を大幅に軽減できる血管画像化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、超音波診断装置と、断層エコー像を作成する列方向アレー超音波振動子が2次元的に、すなわち列方向と行方向にそれぞれ配置され、同超音波振動子群を一体にして行方向に移動する移動体と、複数の所定周期毎に前記移動体を前記行方向に沿って超音波振動子の行ピッチよりも短い距離で間欠移動制御を繰り返す制御手段と、前記移動体の停止位置の位置情報が入力される位置情報入力手段と、前記複数の所定周期内における前記超音波振動子により得られた原画像情報が前記超音波診断装置にて2次元化された2次元画像及び前記停止位置の位置情報を互いに関連づけて記憶する記憶手段と、前記2次元画像と前記位置情報に基づいて3次元画像化処理し、又は、前記2次元画像と前記位置情報と前記複数の所定周期の時間情報に基づいて3次元画像の時間変化、すなわち、4次元画像化処理する画像処理手段と、前記画像処理手段にて画像処理された画像情報に基づいて動脈血管における測定部位、すなわち、前記停止位置毎の最大径、最小径、及び前記最大径と最小径の差異の画像のうち、少なくとも1つの画像を生成する画像生成手段とを備えることを特徴とする血管画像化システムを要旨とするものである。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1において、心拍情報が入力される心拍情報入力手段を備え、前記制御手段は、前記心拍情報に基づく心拍周期を前記所定周期とする。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2において、前記制御手段は、前記移動体が間欠駆動された結果の合計移動距離が前記超音波振動子の行ピッチ以上になったとき、前記移動体の間欠駆動を停止することを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項において、動脈血管における測定部位、すなわち、前記停止位置毎の最大径と最小径の差異と、予め入力された安静時血圧に基づいて、前記測定部位の弾性率を算出する算出手段を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項において、前記移動体は、列方向と行方向にそれぞれ複数の超音波振動子が配置された超音波プローブを備え、該超音波プローブは、頸部表面形状に対応して凹設された面に対して前記複数の超音波振動子が列方向と行方向にそれぞれ配置されていることを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、コンピュータを、断層エコー像を作成する列方向アレー超音波振動子が2次元的に、すなわち列方向と行方向にそれぞれ配置され、同超音波振動子群を一体にして行方向に移動する移動体の移動制御を行う制御手段であって、複数の所定周期毎に前記移動体を前記行方向に沿って超音波振動子の行ピッチよりも短い距離で間欠移動制御を繰り返す制御手段と、前記移動体の停止位置の位置情報が入力される位置情報入力手段と、前記複数の所定周期内における前記超音波振動子により得られた原画像情報が前記超音波診断装置にて2次元化された2次元画像及び前記停止位置の位置情報を互いに関連づけて記憶する記憶手段と、前記2次元画像と前記位置情報に基づいて3次元画像化処理し、又は、前記2次元画像と前記位置情報と前記複数の所定周期の時間情報に基づいて3次元画像の時間変化、すなわち、4次元画像化処理する画像処理手段と、前記画像処理手段にて画像処理された画像情報に基づいて動脈血管における測定部位、すなわち、前記停止位置毎の最大径、最小径、及び前記最大径と最小径の差異の画像のうち、少なくとも1つの画像を生成する画像生成手段として機能させることを特徴とする血管画像化プログラムを要旨とするものである。
【0015】
請求項7の発明は、請求項6において、コンピュータを、心拍情報が入力される心拍情報入力手段として機能させ、前記心拍情報に基づく心拍周期を前記所定周期とすることを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、請求項6又は請求項7において、前記制御手段は、前記移動体が間欠駆動された結果の合計移動距離が前記超音波振動子の行ピッチ以上になったとき、前記移動体の間欠駆動を停止することを特徴とする。
【0017】
請求項9の発明は、請求項6乃至請求項8のうちいずれか1項において、コンピュータを、動脈血管における測定部位、すなわち、前記停止位置毎の最大径と最小径と、予め入力された安静時血圧に基づいて、前記測定部位の弾性率を算出する算出手段として機能させることを特徴とする。
【0018】
請求項10の発明は、断層エコー像を作成する列方向アレー超音波振動子が2次元的に、すなわち列方向と行方向にそれぞれ配置され、同超音波振動子群を一体にして行方向に移動する移動体を、複数の所定周期毎に前記行方向に沿って超音波振動子の行ピッチよりも短い距離で間欠移動制御を繰り返し、前記移動体の停止位置の位置情報を入力し、前記複数の所定周期内における前記超音波振動子により得られた原画像情報が超音波診断装置にて2次元化された2次元画像及び前記停止位置の位置情報を互いに関連づけて記憶し、前記2次元画像と前記位置情報に基づいて3次元画像化処理し、又は、前記2次元画像と前記位置情報と前記複数の所定周期の時間情報に基づいて3次元画像の時間変化、すなわち、4次元画像化処理し、前記画像処理された画像情報に基づいて動脈血管における測定部位、すなわち、前記停止位置毎の最大径、最小径、及び前記最大径と最小径の差異の画像のうち、少なくとも1つの画像を生成することを特徴とする血管画像化方法を要旨とするものである。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、安静時の生理的血圧変動領域の剛性の計測や、拍動速度が高い状態(負荷試験)での動的変形挙動を計測し比較する際、被験者の負担を大幅に軽減できる血管画像化システムを提供できる。
【0020】
又、請求項1の発明によれば、既設の超音波診断装置に血管動脈の動脈硬化分布図として表示される機能を追加することができ、短時間の動脈検査・診断支援を可能にすることができる。
【0021】
請求項2の発明及び請求項7の発明によれば、心拍周期を所定周期とすることにより、測定部位における心拍に伴う動脈血管の最大径、最小径の情報を確実に取得することができる。
【0022】
請求項3の発明及び請求項8の発明によれば、移動体が間欠駆動された結果の合計移動距離が超音波振動子の行ピッチ以上になったとき、移動体の間欠駆動を停止するため、動脈血管の必要な部位の測定を効率的に行うことができる。すなわち、仮に、合計移動距離が超音波振動子の行ピッチ以上になったとき、移動体の間欠駆動を停止しない場合は、必要でない測定を行うことになり、測定が非効率的となる。
【0023】
請求項4の発明及び請求項9の発明によれば、動脈血管における測定部位毎の最大径と最小径と、予め入力された安静時血圧に基づいて、前記測定部位の弾性率を得ることができ、測定部位の変形能(硬さ、動脈硬化)を知ることが可能になる。
【0024】
請求項5の発明によれば、超音波プローブが、頸部表面形状に対応して凹設された面に対して前記複数の超音波振動子が列方向と行方向にそれぞれ配置されているため、頸部の頸動脈血管に対して好適な血管画像化システムを提供できる。
【0025】
請求項6の発明によれば、安静時の生理的血圧変動領域の剛性の計測や、拍動速度が高い状態(負荷試験)での動的変形挙動を計測し比較する際、被験者の負担を大幅に軽減できる血管画像化プログラムを提供できる。又、請求項6の発明によれば、既設の超音波診断装置に血管動脈の動脈硬化分布図として表示される機能を追加することができ、短時間の動脈検査・診断支援を可能にすることができる。
【0026】
請求項10の発明によれば、安静時の生理的血圧変動領域の剛性の計測や、拍動速度が高い状態(負荷試験)での動的変形挙動を計測し比較する際、被験者の負担を大幅に軽減できる血管画像化方法を提供できる。又、請求項10の発明によれば、既設の超音波診断装置に血管動脈の動脈硬化分布図として表示される機能を追加することができ、短時間の動脈検査・診断支援を可能にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した第1実施形態を図1~6を参照して説明する。
図1、図2に示すように、本実施形態の血管画像化システム11は、コンピュータ12、ディスプレイ13、キーボード15、超音波診断装置16及び心電計31を備えている。
【0028】
この血管画像化システム11は、キーボード15及び超音波診断装置16からコンピュータ12に入力され、或いは算出された被検者の動脈情報に基づいて該被検者の動脈硬化状態を解析し、出力手段としてディスプレイ13や図示しないプリンタから動脈硬化解析結果を出力する。
【0029】
被検者の動脈情報には、頸動脈動画像、血圧情示報、氏名情報や、ID(識別)情報、年齢情報及び位置情報が含まれる。
頸動脈動画像は、被検者の頸動脈の拡張収縮変形を示す情報であり、画像処理された3次元画像又は4次元画像である。すなわち、この頸動脈動画像は拡張収縮変形を連続的に繰り返す頸動脈において、拡張収縮変形における少なくとも1周期の経時変化を示す情報である。図1に示すように、この動画は、周知の超音波診断装置16を用いたパルス反射法によって得られる。
【0030】
ここで、超音波診断装置16に接続されている超音波プローブ21について説明する。図3に示すように本実施形態では、複数個の超音波プローブ21が移動体としてのキャリッジ20に取付け支持されている。超音波プローブ21は、生体の断層像を得るための超音波振動子24を内臓したハウジングからなるプローブ本体22と、同プローブ本体22から延びるコード27(図2参照)とを備え、同コード27を介して超音波診断装置16に接続されている。なお、図3においては、説明の便宜上、超音波振動子24の配置状態を示すために、超音波プローブ21から透視した状態で示している。
【0031】
プローブ本体22の端面は、超音波の放射面となっており、表面には音響レンズ25が配設され、内部には圧電素子からなる電子走査式の超音波振動子24が配置されている。すなわち、プローブ本体22は、複数の超音波振動子24が直線状に、すなわち、ピッチAで列状に並んで配列されてリニア配列型で構成されている。なお、超音波振動子24の配列方向は、図3に示す矢印で示す列方向を指す。そして、プローブ本体22の列方向に沿って超音波の走査がなされるようにされている。又、隣接する超音波プローブ21同士は、列方向と直交する行方向において、ピッチS(すなわち、行ピッチ)で離間して配置されている。ピッチSは、例えば3~10mm程度である。このようにして、各プローブ本体22には断層エコー像を作成する複数の超音波振動子からなる列方向アレー超音波振動子が設けられ、複数の超音波プローブ21が行方向に配置されている。
【0032】
そして、前記キャリッジ20は、レール19に対して行方向に移動可能に支持されており、駆動装置18にて回転されるネジ棒(図示しない)により駆動される。そして、本実施形態ではレール19は、頸動脈血管が測定対象となるため、頸動脈血管が延びる方向に沿って配置されている。本実施形態では駆動装置18は、サーボモータにて構成されているが、例えばステップモータであってもよい。
【0033】
又、前記超音波診断装置16は、表示部及び超音波発生源(ともに図示しない)が備えられている。この超音波診断装置16は、超音波プローブ21の先端面から生体内にパルス波を送波するとともに頸動脈23(図1参照)からの反射波(エコー)を原画像情報として受波する。この超音波診断装置16は、前記超音波プローブ21の先端面が長四角形状に形成されており、頸動脈23をB/Mモードで取得されたエコー動画像である断層エコー像としての横断面画像を取得する。この超音波診断装置16の表示部(図示しない)には、被検者の頸動脈23が拡張収縮変形する際の2次元画像である動画が表示される。すなわち、超音波診断装置16では、模式的に示される頸動脈23に対する動画としての動脈横断面動画(2次元画像)等を表示部(図示しない)に表示する。動脈横断面動画は頸動脈23の径方向に断面を取った画像の動画である。
【0034】
この超音波診断装置16はコンピュータ12に接続されており、超音波診断装置16により取得された図示しない動脈横断面動画(2次元画像)等がコンピュータ12に入力されて記憶手段としての記憶装置44に被験者のID情報に関連づけられて格納される。
【0035】
又、1つの超音波プローブ21の側部には位置検出装置としての移動検出装置30が設けられている。移動検出装置30には、図示しないイメージセンサ及びデジタルシグナルプロセッサ(DSP)が備えられている。この移動検出装置30は、イメージセンサで撮影された被検者の身体表面の画像をDSPで処理することにより、被検者の身体表面における任意の基準位置からの超音波プローブ21の停止位置までの移動距離を測定する。前記移動距離は、位置情報としてコンピュータ12に入力される。位置情報は、被検者の身体において、動脈硬化状態が解析される、すなわち、頸動脈に関する動画像が取得される部位の位置を示す情報である。
【0036】
ところで、頸動脈の動脈硬化状態を解析する場合、例えば、総頸動脈が内頸動脈と外頸動脈とに分岐する分岐点を基準点として設定するのが最も簡便である。この血管画像化システム11では、予めコンピュータ12に基準点が入力又は記憶されており、その基準点に対応する身体表面の基準位置を上記移動検出装置30により検出するとともに、該基準位置からの超音波プローブ21の移動方向及び移動距離を同移動検出装置30で検出することによって停止位置の位置情報を取得する。さらに、この血管画像化システム11は、1つの頸動脈23について前記停止位置の位置情報をほぼ連続的に取得することによって、該頸動脈23に関し位置情報と動脈硬化解析結果とを組み合わせた詳細な解析結果が得られる。
【0037】
又、被験者の年齢情報や、氏名情報や、ID情報等の情報はキーボード15からコンピュータ12の記憶装置44に互いに関連づけられて格納される。
又、血圧情報は、図示しない血圧測定装置によって測定された安静時の最高血圧(すなわち、最大値)及び最低血圧(すなわち、最小値)からなり、キーボード15による入力、又は、前記血圧測定装置からの血圧情報に関する電気信号の入力によりコンピュータ12に入力され、被験者のID情報に関連づけられて記憶装置44に格納される。
【0038】
心拍情報は、本実施形態では図1に示されるように被験者の身体の所定箇所に電極31aを取付けした心電計31によって測定された心電図からなり、A/D32を介してコンピュータ12に入力されて、被験者のID情報に関連づけられて記憶装置44に格納される。なお、心拍情報は、前記心電図に限定されるものではなく、脈波、心音などがあり、脈波を入力する場合は、心拍情報入力手段として脈波計、心音を入力する場合は、心拍情報入力手段として心音計を挙げることができる。
【0039】
図1に示すように心電図の基本型はPQRSTといわれる棘波(きょくは)からなっており、Pは心房の興奮、QRSは心室の興奮過程、Tは心室の興奮消退過程を表わしている。棘波(きょくは)の時間的関係は、心臓の大きさや、心拍数によって異なる。しかし、成人の場合は、略一定で、PQは0.12~0.20秒、QRSは0.05~0.08秒、QTは0.3~0.4秒程度である。
【0040】
心拍情報に基づいて心拍周期を、例えば、RR間の時間を検出することによって得ることができる。なお、心拍周期は、RR間に限定されるものではなく、PP間や、QQ間等を検出するようにしてもよい。前記心拍周期は所定周期に相当する。
【0041】
図2に示すように、コンピュータ12はCPU41(中央処理装置)、ROM42,RAM43を備え、ROM42に格納された血管画像化プログラムを実行することにより前記動脈情報に基づいて動脈硬化状態を解析するとともに被検者の頸動脈23が拡張収縮変形する際の2次元画像である動画を画像処理して3次元画像又は4次元画像を生成する。RAM43は、前記プログラムを実行する際の作業用メモリである。記憶装置44は、コンピュータ12に外付けされるとともに、例えばハードディスクや半導体記憶装置からなり、前述した前記各種情報の読み出し及び書き込みが可能である。
【0042】
記憶装置44を有するコンピュータ12は、制御手段、位置情報入力手段、心拍情報入力手段、記憶手段、画像処理手段、画像生成手段、及び算出手段に相当する。
次に上記のように構成された血管画像化システム11において、CPU41が実行する血管画像化プログラムの処理を図4のフローチャートを参照して説明する。
【0043】
なお、レール19は、頸動脈血管が延びる方向に沿って配置され、各超音波プローブ21は被験者の首に当接されているものとし、キーボード15から、被験者の年齢情報や、氏名情報や、ID情報等、血圧情報が入力され、それらの情報は記憶装置44に格納されているものとする。
【0044】
(S10:拍動数回分の計測記録)
S10では、CPU41は心電計31からの心拍情報に基づいて拍動数回分、すなわち、心拍数回分の間、超音波診断装置16からB/Mモードでの画像、移動検出装置30からの位置情報を入力し、それらの情報を記憶装置44へ格納する。なお、この心拍数回分は、任意に設定できるものとし、キーボード15の入力により予め適宜設定すればよい。この結果、超音波プローブ21により得られた、任意の位置の断層像を用いて拍動(心拍)に伴う心拍数回分(すなわち、複数の心拍周期分)の血管径変化が、記憶装置44に記録される。従って、記憶装置44には、心拍数回分の心拍周期も併せて記録されることになる。心拍数回分の心拍周期は、複数の所定周期の時間情報に相当する。
【0045】
このようにして、記憶装置44には横断面画像と位置情報といった空間的な情報(3次元情報)と、複数の所定周期の時間情の4次元情報が格納される。
なお、超音波プローブ21は複数あるため、移動検出装置30が取付けられた超音波プローブ21を基準として、隣接する他の超音波プローブ21が取得した横断面画像には、基準となる超音波プローブ21からそれぞれの離間距離分が加算された位置情報が、関連付けられて記憶装置44に格納される。
【0046】
(S20:計測ピッチ距離P移動)
S20では、CPU41は心電計31からの心拍情報に基づいて心拍周期と同期して、制御信号を駆動装置18に出力し、駆動装置18を駆動して、キャリッジ20を計測ピッチ距離P移動する。この結果、各超音波プローブ21は、心拍周期と同期してレール19上を行方向に計測ピッチ距離P分移動する。なお、この計測ピッチ距離Pは、ピッチS(本実施形態では、例えば3~10mm程度)よりも短い微小距離(例えば、0.5mm)とされている。なお、微少距離は前記0.5mmに限定されるものではない。
【0047】
(S30:合計移動距離の算出)
次に、CPU41は、合計移動距離nPの算出を行う。この合計移動距離nPの算出は、S20において、過去に算出した合計移動距離nPに計測ピッチ距離P分を加算することである。なお、合計移動距離nPの初期値は0としている。nは超音波プローブ21の移動回数である。
【0048】
(S40:合計移動距離の判定)
次に、CPU41は、S30で合計移動距離nPが、ピッチS(行ピッチ)以上であるか否かを判定する。ここで、合計移動距離nPが、ピッチS(行ピッチ)未満である場合には、CPU41はS40の判定を「NO」として,S10に戻る。すなわち、S10にリターンすることにより、続けてS10の処理を繰り返すことになる。
【0049】
合計移動距離nPが、ピッチS(行ピッチ)以上である場合には、CPU41はS40の判定を「YES」として,S50に移行する。
この結果、「YES」と判定された際には、最初に超音波プローブ21が位置したときの頸動脈血管の測定部位から、ピッチS間に位置する頸動脈血管の全領域に亘って4次元情報が記憶装置44に格納されていることになる。
【0050】
(S50:画像の再構築)
CPU41は、記憶装置44に格納された頸動脈血管の2次元画像と位置情報に基づき3次元画像化処理、又は頸動脈血管の2次元画像と位置情報、及び時間情報に基づいて4次元画像化処理する。3次元画像化処理の場合、図5に示すように、超音波プローブ21により取得器された2次元画像(拡張時、及び収縮時の画像を含む)をサーフェスレンダリングや、或いはボリュームレンダリングを行って3次元画像処理を行い、頸動脈動画像を取得する。又、CPU41は、予め4次元化が設定されているのであれば、頸動脈血管の2次元画像を位置情報及び所定時間の時間情報に基づいてサーフェスレンダリングや、或いはボリュームレンダリングを行うとともに時間情報を加えて4次元画像化処理し、頸動脈動画像を取得する。
【0051】
又、CPU41は、弾性率Ethについて算出する。
(弾性率Eth算出)
又、CPU41は頸動脈動画像に基づいて、頸動脈の寸法解析を各画像を取得した部位毎に行う。
【0052】
(頸動脈の寸法解析)
頸動脈の寸法解析について説明する。
1. 頸動脈が横断面円形の場合
まず、頸動脈が横断面円形の場合について説明する。
【0053】
図7に示すように、CPU41は、動脈横断面動画26から動脈横断面画像51を抽出する。動脈横断面画像51は長四角形状をなし、動脈横断面動画26から一定時間毎(例えば、約0.05秒間隔)の静止画像として複数抽出される。各動脈横断面画像51は、中央部に頸動脈23の中心が位置するように抽出され、少なくとも頸動脈23の内半径及び外半径が表示可能なサイズに設定される。各動脈横断面画像51における短手方向の幅fは、いずれも同じ幅に設定される。動脈横断面画像51における幅fは、具体的にはディスプレイ13上で数ピクセル程度(頸動脈の太さ方向で0.5~1mm)に相当する。
【0054】
又、図8に示すように、CPU41は、各動脈横断面画像51における頸動脈23の下端をそれぞれ基準線52に沿って並列させることにより、並列画像としての動脈横断面並列画像53を作成する。この動脈横断面並列画像53において、各動脈横断面画像51は抽出された順に一部重なった状態で並列される。各動脈横断面画像51の間隔は、(幅f)/2+数mm程度に設定されることにより、動脈横断面画像51における頸動脈23の半径又は直径が表示されるように配置される。
【0055】
なお、動脈横断面画像51は、二値化、明暗逆転等の画像処理が行われることが好ましい。これらの画像処理によって、頸動脈壁が明瞭化され、血管径計測を行う際の画像解析の精度が向上する。
【0056】
CPU41は、前記動脈横断面並列画像53から頸動脈径の経時変化を示す変化曲線を作成する。CPU41は、図8に示す動脈横断面並列画像53において、各動脈横断面画像51における頸動脈23上端部の外面中点56同士及び内面中点57同士をそれぞれ連結することにより、図に破線で示す変化曲線としての横変化曲線58を作成する。この横変化曲線58から弾性率Ethを算出するための各種数値が抽出される。すなわち、CPU41は、横変化曲線58から最大拡張時における頸動脈23の外半径R'0、最大収縮時における頸動脈23の外半径R0及び内半径Ri、最大拡張時における頸動脈23の外半径と最大収縮時における頸動脈23の外半径との差ΔR0を抽出する(図7,8参照)。
【0057】
2. 頸動脈が横断面非円形の場合
又、CPU41は、頸動脈23が断面非円形か否かを判定し、頸動脈23が横断面非円形の場合、例えば、横断面が楕円形のような場合は、CPU41は下記のようにして頸動脈23の半径(外半径、内半径)を算出する。なお、この場合、CPU41は、動脈横断面画像51の重心から頸動脈23の外形に含まれる複数の任意の点までの距離が互いに等しい場合は円形と判定する。なお、円形、非円形の判定はパターンマッチングにより行われてもよい。
【0058】
CPU41は、最大拡張時の横断面画像から頸動脈23の外径面積(頸動脈23の外形が占める面積)を求め、この面積に相当する円形を想定して、該想定した円形の相当半径を算出し、これを最大拡張時の頸動脈23の外半径R'0とする。又、CPU41は、最大収縮時の横断面画像から頸動脈23の外径面積(頸動脈23の外形が占める面積)を求め、この面積に相当する円形を想定して、該想定した円形の相当径を算出し、これを最大収縮時の頸動脈23の外半径R0とする。又、CPU41は、最大収縮時の横断面画像から頸動脈23の内径面積(頸動脈23の血管内壁面で囲まれた面積)を求め、この面積に相当する円形を想定して、該想定した円形の相当径を算出し、これを最大収縮時の頸動脈23の内半径Riとする。
【0059】
そして、CPU41は、最大拡張時における頸動脈23の外半径と最大収縮時における頸動脈23の外半径との差ΔR0を抽出する。
(弾性率Ethの算出)
弾性率Ethは、頸動脈の機械的性質、すなわち、剛性を示すパラメータであり、頸動脈径の経時変化及び被検者の血圧変動値から求められる。具体的には、CPU41は下記式(1)を使用して、頸動脈23の各部位の弾性率Ethを算出する。なお、血圧変動値は血圧情報から算出され、被検者の最高血圧(すなわち、最大値)と最低血圧(すなわち、最小値)との差を示す。
【0060】
【数1】
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前述したように、R0は最大収縮時における頸動脈23の外半径、Riは最大収縮時における頸動脈23の内半径、ΔPは最高血圧と最低血圧との差、ΔR0は最大拡張時における頸動脈23の外半径と最大収縮時における頸動脈23の外半径との差を示す。
【0061】
この算出された弾性率Ethが、動脈硬化解析結果に相当する。
(S60)
S60では、S50において、画像処理化した3次元画像や、或いは4次元画像、及び弾性率Ethをディスプレイ13上に表示する。
【0062】
すなわち、CPU41は、被験者の年齢情報、氏名情報、ID情報、並びに、前記弾性率Ethと位置情報を互いに組み合わせて出力し、ディスプレイ13に弾性率Ethと位置情報を表示する。本実施形態では、ディスプレイ13に図9に示す動脈硬化解析シート71が表示される。図9は左右の頸動脈23R,23Lをそれぞれ各6箇所計測した場合を例示したものである。図9に図示された頸動脈23R,23Lは前記画像処理されて3次元画像の一例として表わされている。
【0063】
又、動脈硬化解析シート71には、人の上半身100と、左右の頸動脈23R,23Lと、位置情報77と、頸動脈動画像を取得した各位置における棒グラフ化された弾性率Ethが、動脈硬化分布図として示される。
【0064】
本実施形態では、位置情報77は、頸動脈動画像を取得した位置、すなわち前記分岐点を基準として、測定部位(すなわち、キャリッジ20の停止位置)の位置で示されている。この位置情報77が表示されることにより、局所的に生じている動脈硬化の位置を容易に識別することができる。この動脈硬化解析シート71は、プリンタ(図示しない)にて印刷することが可能である。そして、印刷された動脈硬化解析シート71は、被検者や医師に提供することができる。
【0065】
又、本実施形態では、左右の頸動脈23R,23Lにおいて、弾性率Ethが最小の部位のグラフ73,74を、他の部位のグラフよりも注目されやすいように他の部位のグラフとは異なる視認性の高い色で表示するようにしている。なお、注目されやすいためには、色表示を他のグラフと異なるようにすることだけに限定されるものではない。例えば、弾性率Ethが最小の部位のグラフを点滅表示したり、他の部位のものよりも幅広に棒グラフ化したりしてもよい。
【0066】
又、動脈硬化解析シート71では、左右の頸動脈23R,23Lにおいて、弾性率Ethが最小の部位における内径変位-時間曲線のグラフ73,74が表示されている。
なお、図9では内径変位-時間曲線のグラフ73,74は、弾性率Ethが最小の部位のものを示すようにしたが、図6に示すように基準位置から並ぶように各測定部位の位置情報77も示して、それぞれの部位の内径変位-時間曲線のグラフを表示するようにしてもよい。
【0067】
又、動脈硬化解析シート71には、径の最大・最小表示領域71a,71bが設けられている。径の最大・最小表示領域71aには、右頸動脈における内径の最大径画像80、内径の最小径81が3次元画像で表示されるとともに、前記最大径と最小径の径変化の2次元図82が表示される。径の最大・最小表示領域71bには、左頸動脈における内径の最大径画像90、内径の最小径91が3次元画像で表示されるとともに、前記最大径と最小径の径変化の2次元図92が表示される。なお、最大径と最小径の径変化の2次元図は、各位置における血管の変形能を表している。
【0068】
ここで、最大径と最小径の径変化の2次元図は、最大径と最小径の差異の画像に相当する。
このようにして、動脈硬化解析シート71により、被験者の頸動脈の動脈硬化解析結果が提示される。
【0069】
なお、プリンタ(図示しない)にて動脈硬化解析シート71を印刷する場合、左右の頸動脈23R,23Lにおいて、弾性率Ethが最小の部位を他の部位のグラフよりも注目されやすいように他の部位のグラフとは異なる視認性の高い色で印刷するようにする。
【0070】
本実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
(1) 本実施形態の血管画像化システム11は、超音波診断装置16と、列方向と行方向にそれぞれ複数の超音波振動子24が配置された複数の超音波プローブ21を一体にして行方向に移動するキャリッジ20(移動体)とを備えるようにした。又、血管画像化システム11は、複数の所定周期毎にキャリッジ20を行方向に沿って超音波振動子24のピッチS(行ピッチ)よりも短い距離で間欠移動制御を繰り返すようにしたコンピュータ12(制御手段)を備える。又、コンピュータ12は、記憶装置44を備えることにより位置情報入力手段としてキャリッジ20の停止位置の位置情報が入力されるようにした。そして、コンピュータ12は、複数の所定周期内における超音波振動子24により得られた原画像情報が超音波診断装置16にて2次元化された2次元画像及び停止位置の位置情報を互いに関連づけて記憶する記憶手段として機能するようにした。さらに、コンピュータ12は、2次元画像と前記位置情報に基づいて3次元画像化処理し、又は、前記2次元画像と前記位置情報と前記複数の所定周期の時間情報に基づいて4次元画像化処理する画像処理手段として機能するようにした。そして、コンピュータ12は、前記画像処理された画像情報に基づいて頸動脈(動脈血管)における測定部位、すなわち、前記停止位置毎の最大径、最小径、及び前記最大径と最小径の差異の画像を生成する画像生成手段として機能するようにした。
【0071】
この結果、本実施形態の血管画像化システム11は、安静時の生理的血圧変動領域(最高血圧と最低血圧の間)の弾性率Eth(剛性)の計測を、短時間で行うことができるため、被験者の負担を大幅に軽減できる。
【0072】
又、本実施形態の血管画像化システム11、既設の超音波診断装置16に血管動脈の動脈硬化分布図、すなわち、図9に示すように弾性率Ethと位置情報77とを組み合わせた分布図として表示される機能を追加することができ、短時間の動脈検査・診断支援を可能にすることができる。
【0073】
(2) 本実施形態では、血管画像化システム11のコンピュータ12は、心拍情報入力手段として心拍情報(心電図)が入力されるようにされ、制御手段として心拍情報に基づく心拍周期を所定周期とするようにした。
【0074】
この結果、心拍周期を所定周期とすることにより、測定部位における心拍に伴う頸動脈(動脈血管)の最大径、最小径の情報を確実に取得することができる。
(3) 本実施形態では、コンピュータ12は、制御手段としてキャリッジ20が間欠駆動された結果の合計移動距離nPが超音波振動子24のピッチS(行ピッチ)以上になったとき、キャリッジ20の間欠駆動を停止するようにした。
【0075】
この結果、キャリッジ20が間欠駆動された結果の合計移動距離nPが超音波振動子24のピッチS(行ピッチ)以上になったとき、キャリッジ20の間欠駆動を停止するため、頸動脈(動脈血管)の必要な部位の測定を効率的に行うことができる。すなわち、仮に、合計移動距離nPが超音波振動子24のピッチS以上になったとき、キャリッジ20の間欠駆動を停止しない場合は、必要でない測定を行うことになり、測定が非効率的となる。
【0076】
(4) 本実施形態では、血管画像化システム11のコンピュータ12は、算出として頸動脈(動脈血管)における測定部位、すなわち、停止位置毎の最大径と最小径の差異と、予め入力された安静時血圧に基づいて、前記測定部位の弾性率Ethを算出するようにした。
【0077】
この結果、頸動脈(動脈血管)における測定部位毎の最大径と最小径の差異と、予め入力された安静時血圧に基づいて、測定部位の弾性率Ethを得ることができ、測定部位の変形能(硬さ、動脈硬化)を知ることができる。
【0078】
(5) 本実施形態の血管画像化プログラムは、コンピュータ12を、超音波振動子群を一体にして行方向に移動するキャリッジ20の移動制御を行い、複数の所定周期毎にキャリッジ20を行方向に沿って超音波振動子24のピッチSよりも短い距離で間欠移動制御を繰り返す制御手段として機能させる。又、血管画像化プログラムは、コンピュータ12を位置情報入力手段としてキャリッジ20の停止位置の位置情報が入力されるようにし、記憶手段として複数の所定周期内における超音波振動子24により得られた原画像情報が超音波診断装置16にて2次元化された2次元画像及び停止位置の位置情報を互いに関連づけて記憶するように機能させる。
【0079】
又、血管画像化プログラムは、コンピュータ12を画像処理手段として、2次元画像と位置情報に基づいて3次元画像化処理し、又は、2次元画像と位置情報と複数の所定周期の時間情報に基づいて4次元画像化処理するように機能させる。そして、血管画像化プログラムは、コンピュータ12を画像処理された画像情報に基づいて動脈血管における測定部位、すなわち、停止位置毎の最大径、最小径、及び前記最大径と最小径の差異の画像を生成する画像生成手段として機能させる。
【0080】
この結果、血管画像化プログラムは、安静時の生理的血圧変動領域の剛性の計測の際、被験者の負担を大幅に軽減できる。又、本実施形態の血管画像化プログラムは、既設の超音波診断装置16に血管動脈の動脈硬化分布図として表示される機能を追加することができ、短時間の動脈検査・診断支援を可能にすることができる。
【0081】
(6) 本実施形態の血管画像化プログラムは、コンピュータ12を、心拍情報が入力される心拍情報入力手段として機能させ、心拍情報に基づく心拍周期を所定周期とするようにしている。この結果、心拍周期を所定周期とすることにより、測定部位における心拍に伴う頸動脈(動脈血管)の最大径、最小径の情報を確実に取得することができる。
【0082】
(7) 本実施形態の血管画像化プログラムは、コンピュータ12を、制御手段として、キャリッジ20が間欠駆動された結果の合計移動距離nPが超音波振動子24のピッチS以上になったとき、キャリッジ20の間欠駆動を停止するようにしている。この結果、キャリッジ20が間欠駆動された結果の合計移動距離nPが超音波振動子24のピッチS以上になったとき、キャリッジ20の間欠駆動を停止するため、頸動脈(動脈血管)の必要な部位の測定を効率的に行うことができる。すなわち、仮に、合計移動距離nPが超音波振動子24のピッチS以上になったとき、キャリッジ20の間欠駆動を停止しない場合は、必要でない測定を行うことになり、測定が非効率的となる。
【0083】
(8) 本実施形態の血管画像化プログラムは、コンピュータ12を、動脈血管における測定部位、すなわち、停止位置毎の最大径と最小径と、予め入力された安静時血圧に基づいて、測定部位の弾性率Ethを算出する算出手段として機能させるようにした。この結果、頸動脈(動脈血管)における測定部位毎の最大径と最小径と、予め入力された安静時血圧に基づいて、測定部位の弾性率Ethを得ることができ、測定部位の変形能(硬さ、動脈硬化)を知ることが可能になる。
【0084】
(9) 本実施形態の血管画像化方法では、列方向と行方向にそれぞれ複数の超音波振動子24が配置され、同超音波振動子群を一体にして行方向に移動するキャリッジ20を、複数の所定周期毎に行方向に沿って超音波振動子24のピッチSよりも短い距離で間欠移動制御を繰り返すようにした。そして、キャリッジ20の停止位置の位置情報を入力し、複数の所定周期内における超音波振動子24により得られた原画像情報が超音波診断装置16にて2次元化された2次元画像及び停止位置の位置情報を互いに関連づけて記憶するようにした。
【0085】
さらに、2次元画像と位置情報に基づいて3次元画像化処理し、又は、2次元画像と位置情報と複数の所定周期の時間情報に基づいて4次元画像化処理するようにした。さらに、前記画像処理された画像情報に基づいて動脈血管における測定部位、すなわち、停止位置毎の最大径、最小径、及び前記最大径と最小径の差異の画像を生成するようにした。
【0086】
この結果、血管画像化方法では、安静時の生理的血圧変動領域の剛性を計測する際、被験者の負担を大幅に軽減できる血管画像化方法を提供できる。又、既設の超音波診断装置に血管動脈の動脈硬化分布図として表示される機能を追加することができ、短時間の動脈検査・診断支援を可能にすることができる。
【0087】
(第2実施形態)
次に第2実施形態を図11を参照して説明する。なお、第1実施形態と同一構成ついては同一符号を付して、異なる構成を中心に説明する。
【0088】
第2実施形態では、超音波プローブ21、キャリッジ20の構成が第1実施形態と異なり、他の構成は同じであるため、超音波プローブ21、キャリッジ20の構成について説明する。
【0089】
図11に示すように、超音波プローブ21は、頸部表面形状に沿うように断面凹状に形成され、凹設された面(以下、内面という)には同図に示すように超音波振動子24がピッチAで列状に並んで配列されてリニア配列型で構成された群が複数互いにピッチS(行ピッチ)で配置されている。すなわち、列方向と行方向にそれぞれ複数の超音波振動子24が配置されている。ここで、行方向は、頸動脈23が延びる方向であり、列方向は、超音波プローブ21の内面が湾曲する方向である。
【0090】
内面と反対側に位置する外面にはキャリッジ20が設けられている。キャリッジ20には、頸動脈23が延びる方向と平行に図示しない固定部に固定された一対の棒状のガイドレール19aが摺動自在に貫通されている。そして、キャリッジ20に設けられたナット部(図示しない)にはガイドレール19aと平行に配置されたネジ棒19bが貫通して噛合されている。ネジ棒19bには駆動装置18が減速器18aを介して連結されている。又、超音波プローブ21には移動検出装置30が設けられている。
【0091】
そして、駆動装置18がコンピュータ12により回転制御されることにより、超音波プローブ21は、ピッチSで行方向に間欠移動制御される。
第2実施形態によって発揮される効果について、以下に記載する。
【0092】
(1) 第2実施形態では、キャリッジ20は、列方向と行方向にそれぞれ複数の超音波振動子24が配置された超音波プローブを備え、超音波プローブ21ブは、頸部表面形状に対応して凹設された面に対して複数の超音波振動子24が列方向と行方向にそれぞれ配置されている。この結果、頸部の頸動脈血管に対して好適な血管画像化システムを提供できる。
【0093】
なお、前記実施形態を次のように変更して構成することもできる。
○ 第2実施形態の超音波プローブ21の構成を図12に示すように変更してもよい。すなわち、超音波プローブ21の形状は第2実施形態と同様に構成し、内面には同図に示すように超音波振動子24がピッチAで列状に並んで配列されてリニア配列型で構成された群が複数互いにピッチS(行ピッチ)で配置されている。すなわち、列方向と行方向にそれぞれ複数の超音波振動子24が配置されている。ここで、列方向は、頸動脈23が延びる方向であり、行方向は、超音波プローブ21の内面が湾曲する方向である。
【0094】
そして、キャリッジ20の外周面には、ラックが形成され、同ラックに対して駆動装置18の出力軸に固定されたピニオン18bが噛合されている。そして、駆動装置18がコンピュータ12により回転制御されることにより、超音波プローブ21は、ピッチSで行方向に間欠移動制御される。
【0095】
このように構成しても、第2実施形態と同様の作用効果を得ることができる。 ○ 前記実施形態では、安静時の生理的血圧変動領域の剛性の計測として、安静時における最高血圧(すなわち、最大値)及び最低血圧(すなわち、最小値)の間において、弾性率Ethを測定(算出)し、これを表示するようにした。これに代えて、被験者に負荷をかけた状態で、すなわち、拍動速度を高い状態(負荷試験)での動的変形挙動を計測し、負荷が軽い安静時の動的変形挙動を計測した結果と比較して、その結果をディスプレイ13で表示するようにしてもよい。この場合、コンピュータ12には、負荷のかかった状態の血圧情報が前記実施形態と同様に入力されるものとする。
【0096】
このようにすれば、拍動速度が高い状態(負荷試験)での動的変形挙動を計測し比較する際、被験者の負担を大幅に軽減できる。
○ 前記実施形態では、所定時間として、心拍周期を採用したが、所定時間としては心拍周期に限定するものではなく心拍周期以上の周期であってもよい。
【0097】
○ 前記動脈硬化解析結果は、ディスプレイ13又はプリンタ(図示しない)のいずれか一方のみから出力されているように構成してもよい。
○ 前記実施形態では、グラフは棒グラフとしたが、折れ線グラフとしてもよい。
【0098】
○ 前記実施形態では、外付けの記憶装置44を設けることにより、コンピュータ12を記憶手段として機能させたが、コンピュータ12に内臓した記憶装置としてもよい。又、記憶装置としては、ハードディスクや、半導体素子からなるメモリで構成してもよい。
【0099】
○ 前記実施形態ではコンピュータ12は、画像処理された画像情報に基づいて頸動脈(動脈血管)における測定部位、すなわち、停止位置毎の内径の最大径、最小径、及び最大径と最小径の差異の画像を生成するようにした。これに代えて、頸動脈(動脈血管)における測定部位の停止位置毎の内径の最大径、最小径の画像、内径の最大径、及び最大径と最小径の差異の画像、内径の内径の最小径、及び最大径と最小径の差異の画像、内径の最大径の画像、内径の最小径の画像、或いは内径の最大径と最小径の差異の画像を生成するようにしてもよい。
【0100】
○ 前記実施形態では、頸動脈を測定対象としたが、頸動脈以外の他の動脈を測定対象としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】一実施形態の血管画像化システムの概略構成図。
【図2】同じく血管画像化システムのブロック図。
【図3】同じくキャリッジ、超音波プローブの概略斜視図。
【図4】コンピュータ12が実行する血管画像化プログラムのフローチャート。
【図5】3次元画像処理の説明図。
【図6】動脈血管の径の変化を表わすグラフ。
【図7】同じく実施形態の動脈横断面動画を示す概略図。
【図8】同じく実施形態の動脈横断面並列画像を示す概略図。
【図9】動脈硬化解析シート71の説明図。
【図10】(a)、(b)は拍動により頸動脈の径が変化している状態の説明図。
【図11】他の実施形態のキャリッジ、超音波プローブの概略斜視図。
【図12】他の実施形態のキャリッジ、超音波プローブの概略斜視図。
【符号の説明】
【0102】
11…血管画像化システム、
12…コンピュータ(制御手段、位置情報入力手段、心拍情報入力手段、記憶手段、画像処理手段、画像生成手段、算出手段)、
16…超音波診断装置、20…キャリッジ(移動体)、
30…移動検出装置、31…心電計、41…CPU。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11