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明細書 :風力発電装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4998720号 (P4998720)
公開番号 特開2008-297998 (P2008-297998A)
登録日 平成24年5月25日(2012.5.25)
発行日 平成24年8月15日(2012.8.15)
公開日 平成20年12月11日(2008.12.11)
発明の名称または考案の名称 風力発電装置
国際特許分類 F03D   3/04        (2006.01)
F03D   9/00        (2006.01)
FI F03D 3/04 B
F03D 3/04 Z
F03D 9/00 B
請求項の数または発明の数 3
全頁数 9
出願番号 特願2007-146228 (P2007-146228)
出願日 平成19年5月31日(2007.5.31)
審査請求日 平成22年4月27日(2010.4.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504155293
【氏名又は名称】国立大学法人島根大学
発明者または考案者 【氏名】土肥 誠
個別代理人の代理人 【識別番号】100081673、【弁理士】、【氏名又は名称】河野 誠
審査官 【審査官】大谷 謙仁
参考文献・文献 実開昭55-180082(JP,U)
特開2003-129941(JP,A)
特開昭62-197672(JP,A)
調査した分野 F03D 3/04
F03D 9/00
特許請求の範囲 【請求項1】
回転軸(5)に沿って該回転軸(5)の回りに複数の羽根(21)を配設した風車(2)と、上記回転軸(5)の回転によって駆動される発電機(7)と、上記風車(2)の外周側に該外周空間の風を受止めて風車(2)に向かって案内する集風部(4)とを設置し、該集風部(4)を、風車(2)への送風量が過剰となる強風時には風を風車(2)以外の方向に案内するように受止める風の風向又は風量を調節可能に構成し、風車(2)と集風部(4)を単一のユニットとして構成し、風車(2)の回転軸(5)を横方向に連結して上記ユニットを増設し、集風部(4)の風向又は風量の調整機構を制御する制御部(6)を設け、該制御部(6)によって、前記複数のユニットの各調節機構を連動可能に構成し、集風部(4)を構成する複数枚の集風板(3)を、風車(2)の外周の空間において、正面方向からの風を受止める向きに配置し、上記集風板(3)を通過する風の上記通過方向に対して傾斜調節可能に構成し、風車(2)に対する風の風向又は風量を調節せしめる風力発電装置。
【請求項2】
集風板(3)を風車(2)の回転軸(5)に対し傾斜させる方向に傾斜調節可能に構成し、風車(2)の回転軸(5)に沿う方向の風を風車(2)に向かって送風されるように案内する請求項1記載の風力発電装置。
【請求項3】
集風部(4)が防風柵を兼用する請求項1又は2の何れかに記載の風力発電装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、風力発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発電用の風車を集風部の風下側に設置して風力回転させて発電をする風力発電装置(風力利用装置)は特許文献1で示されるように既に公知である。
この風力発電装置は、横向回転型の風車を建物の壁面又は屋根に設置し、この設置面を集風部となして風を案内し、風下側の風車を回転させて発電する機構である。

【特許文献1】特開2001-193631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1の風力発電装置は、風車を建物や防波堤等の施設に設置するので、施設自体が有する設置面を利用して集風部を構成することができる利点がある。
然し、上記風力発電装置は広い設置面に強風が吹き付けた場合、単に平坦な設置面は強風をそのまま風車に向けて案内するので、風車に強大な風圧を与えると共に風車が過剰回転をして破損し易い等の欠点がある。また横向回転型の風車は、横方向(車軸方向)から吹いてくる横風に対して、回転適応範囲(風向範囲)を拡大し難く受風角度も固定されているため、集風部の下手側で風車を安定回転させて発電を効率よく行うことが困難である等の課題がある。
また、防風のために風力発電プラントを沿岸部に設置することも考えられているが、防風機能を発揮するには装置全体が大規模となりコスト的にも景観的にも課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための風力発電装置は、第1に、回転軸5に沿って該回転軸5の回りに複数の羽根21を配設した風車2と、上記回転軸5の回転によって駆動される発電機7と、上記風車2の外周側に該外周空間の風を受止めて風車2に向かって案内する集風部4とを設置し、該集風部4を、風車2への送風量が過剰となる強風時には風を風車2以外の方向に案内するように受止める風の風向又は風量を調節可能に構成し、風車2と集風部4を単一のユニットとして構成し、風車2の回転軸5を横方向に連結して上記ユニットを増設し、集風部4の風向又は風量の調整機構を制御する制御部6を設け、該制御部6によって、前記複数のユニットの各調節機構を連動可能に構成し、集風部4を構成する複数枚の集風板3を、風車2の外周の空間において、正面方向からの風を受止める向きに配置し、上記集風板3を通過する風の上記通過方向に対して傾斜調節可能に構成し、風車2に対する風の風向又は風量を調節せしめることを特徴としている。
【0005】
第2に、集風板3を風車2の回転軸5に対し傾斜させる方向に傾斜調節可能に構成し、風車2の回転軸5に沿う方向の風を風車2に向かって送風されるように案内することを特徴としている。
【0006】
第3に、集風部4が防風柵を兼用することを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
以上のように構成される本発明によれば、風量や風速が風車に過度な負担を掛けない通常状態では、風車の軸回りの風を集風部で風車に向かって案内するので、少ない風量でも風車は定格通りの出力で安定的に作動し、逆に風車に過度の負担を掛ける強風時には、風車軸回りの風を風車以外の方向(主として後方)に案内するので、集風部自体にも風車にも過度な風圧が掛かることもなく、それによって破損することもない。
【0008】
風車と集風部をユニット化して増設可能にすることにより、設置現場の条件や希望する発電能力等に応じて装置の大きさを自由に設定できる。
集風部において集風板を傾動調節可能に構成しているので、風の量や風力等を制御し、風車自体に過度な風圧を与えることがない。
【0009】
また上記集風板は風車の軸方向に沿う方向にも傾斜角を調節できるので、風車の側方から来る(軸方向の)風も風車に向かって案内することができ、所謂横風の場合も風車を作動させることが可能となる。
【0010】
さらに本発明の装置は、集風部を防風柵に兼用することにより、従来の防風柵に形状的に近いフェンス状の形態であって景観的にも違和感がなく、また、強風から植生及び各種施設を保護しながら発電を行うことができる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の風力発電装置1の全体構造を模式的に示す正面図であり、正面からの風を受けて発電する使用態様を示す。図2は図1の発電装置1が横方向からの風を受けて発電する使用態様を示す。図3は上記発電装置1を構成する風車2と複数の集風板3を有する集風部4等からなる発電ユニット1aのユニット構造を示す正面図である。図4は図3の構成を示す側面図である。図5は集風板3の閉状態を示す正面図であり、図6は図5の側面図である。図7は集風板3の半開状態を示す正面図であり、図8は図7の側面図である。図9は集風板3の全開状態を示す正面図であり、図10は図9の側面図である。
【0012】
先ず図示例の発電装置1は、例えば強風地帯の沿岸域に海に面して設置し、風力エネルギを利用した発電と植生及び農業用ハウス等の各種施設の保護や防風林の育成、或いは農水産業における強風害、交通障害等への防風対策を同時行うことができる構成となっている。
即ち、この発電装置1は集風部4の上部に風車2を備えた複数の発電ユニット1aを、各風車2の回転軸5を軸方向に連結して横方向に列設し、端部側の発電ユニット1aの風車2の回転軸5に制御部(発電制御ユニット)6が備える発電機7を設けている。
【0013】
以下各部の構成について説明する。図3,図4に示すように発電ユニット1aは、左右両端に位置する縦フレーム8(装置フレーム)の上部で回転軸5の両側を回転自在に軸支している。集風部4は左右の縦フレーム8を風車2の下方で、正面側からの風を遮るように複数枚の集風板3を配置して構成されている。各集風板3は、縦フレーム8と交差して設けられた横フレーム9に後端を軸支され、前端は上下揺動調節される。尚、上記縦フレーム8は側面視で二股形状をなし地面に安定的に立設される。また各縦フレーム8の下端の地中埋設部には、埋設後に土中で広がる爪を付した簡易施工法による埋設構造を採用することができる。
【0014】
図示例の集風板3は、それぞれ防風面の受風角度を調節する受風角度調節機構10を備えて連結フレーム9に取付支持しており、これにより風車2に案内する風の方向や強さを制御する機能を有して、集風部4の上部に設置された風車2に向かって風を案内し、且つ風車2に対して適切な防風効果を得ることができる。
【0015】
即ち、集風板3はその上辺の中央部にパイプ状の取付筒軸11を有し、且つ下辺(前端)の中央部に後述する開閉リンク12を枢支する連結軸13を設けている。一方縦フレーム8の最上段の横フレーム9には傾斜モータ14を設置しその回転軸15の先端に取付軸16を横設し、該取付軸16に最上段の集風板3の取付筒軸11を回動自在に挿入支持している。
また下段に位置する各集風板3は、その取付筒軸11を下段の横フレーム9の中央部に前方に向けて突設した回転軸15aの先端に横設された取付軸16aに回動自在に挿入支持している。
【0016】
この状態において上下段に支持される各集風板3は、各取付筒軸11の一側端を傾斜リンク17によって互いに連結している。これにより傾斜モータ13が制御部6の制御指令又は人為操作によって正逆回転すると、最上段の集風板3は回転軸15を支点とし上下方向に傾斜回動し、各傾斜リンク17を介し下段の各集風板3を共に同方向に追随回動させることができる。この集風板左右回動手段によって集風板3を正面視で右方向又は左方向に傾斜させ、横方向からの横風であっても風車2に向けて確実に案内することができる。
尚、図示例の集風板3は回転軸15を支点に、左右に各30度程度の範囲で傾斜調節することができる。
【0017】
また集風部4は最上段の横フレーム9の中央部に開閉モータ18を設け、モータ軸が備える作動リンク19の先端に、リンク軸20を介して最上段の集風板3の開閉リンク12を連結し、且つ各集風板3は各連結軸13を介して開閉リンク12で連結している。
これにより開閉モータ18が制御部6の制御指令又は人為操作によって正逆回転すると、最上段の集風板3が作動リンク19と開閉リンク12を介し下段の集風板3を上下方向に開閉回動させる。この集風板開閉手段によって正面方向からの風を風車2に向けて案内するほか、風の一部を集風板3の後方に向かって案内する(逃がす)ことができる。
【0018】
尚、上記風車2は回転軸5の回りに複数の羽根21を配置した籠型風車を横向に支持して回転させる方式である。即ち、図示例の風車2では回転軸5の外周に長板片からなる複数の羽根21を配設し、風車2に直接的に当たる風並びに集風部4で案内されて送られる風を受けて回転させることができる。
【0019】
以上のように構成される発電ユニット1aは、個々の風車2の回転軸5に制御部6を設けると各単体ユニット毎に発電をすることができるが、実施形態のように発電装置1を横方向に並設し、防風柵を兼ねて使用するような場合には、1つの発電ユニット1aに対してのみ発電機7を設置し、この発電ユニット1aに対し他の発電ユニット1aを風車2の軸方向に並べて縦フレーム8を連結し、また隣接する各風車2の回転軸5を自在継手型のジョイント22で着脱自在に連結することが望ましい。
【0020】
また上記発電装置1の制御部6は制御盤6aに発電機7と風センサ(風向風速センサ)23とを備え、且つバッテリ或いは電力利用施設等の電力利用部24に接続している。これにより風向風速センサ23による制御指令によって前記傾斜モータ14と開閉モータ18とを制御し、回転駆動することができる。
【0021】
また複数の発電ユニット1aの風車2を連結した発電装置1は、終段の発電ユニット1aに設置された発電機7によって発電された電力を、任意施設の原動機やバッテリ或いは売電施設等の電力利用部24に出力することができる。
尚、集風板3の受風角度及び風車2に対する傾斜角度の制御は、例えば風センサ23の数値をもとに、風力エネルギ利用と防風機能の目的が最適になるよう遺伝的アルゴリズム等の学習アルゴリズムによる最適化制御手段によって行うことが望ましい。
【0022】
以上のように構成される発電装置1は図1で示すように防風壁の機能を持たせる際に、例えば沿岸等現地において、地面に立設される縦フレーム8に複数の集風板3を備えた集風部4の上に風車2を設けた必要数の発電ユニット1aを、横方向に並べて隣接する回転軸5及び縦フレーム8等を連結して設置する。そして、終段の風車2の回転軸5に発電機7及び制御部6を設けることにより、簡潔で廉価な構成にすることができる。
【0023】
このように発電ユニット1aを増設して構成される発電装置1は、各発電ユニット1aが複数の集風板3の受風角度を調節自在としているので、風センサ23による風速検出信号により制御部6の指令に基づき開閉モータ18が正逆回転し、受風角度調節機構10を介し集風板3の受風角度を自動調節する。これにより隣接する集風板3の間を通過させる風の逃がし量を調節しながら風車2を回転させる。そして、強風時における風車2と集風部4が受ける風圧を低減させ装置の破損を防止した発電をスムーズに行う。
【0024】
即ち、各発電ユニット1aが正面から微風を受ける場合は、図5,図6で示すように集風板3の受風角度を最大にすると、上下に隣接する集風板3と集風板3の隙間を最小にし、上方に向けて後退傾斜する広い面積の集風部4で風を受けるので、集風作用を上げて風を上方後方の風車2の下部に案内し、風車2を矢印方向に回転させ効率よく発電することができる。
【0025】
また発電ユニット1aが正面から強風を受ける場合は、図7,図8で示すように集風板3の受風角度を小さくするように取付軸16,16aを支点に上方に回動すると、上下に隣接する集風板3と集風板3の隙間を大きく形成することができるので、この隙間から風を逃がしながら集風した風の流れを形成して上方に案内し、風車2を回転させることができる。
【0026】
さらに強風を受ける場合は、図9,図10で示すように集風板3は上方に回動し受風角度を最小にするので、前記隙間を最大にすることができ、大量の風を逃がしながら上方に案内して風車2を回転させる。
従って、強風時において発電ユニット1aが受ける風圧を簡単に緩和することができ、風車2や集風部4の破損を防止した発電を行うことができる。
【0027】
また発電ユニット1aは、風センサ23による風向検出信号により制御部6の指令によって傾斜モータ14を正逆回転し、受風角度調節機構10を介し集風板3を風車2の回転軸5に対し左右の傾斜角を方向調節自在に設けているので、前記受風角度の調節と組み合わせることにより、装置に対し左右方向から吹く横風を風車2に案内して発電をすることができる。
【0028】
即ち、発電ユニット1aに対し左方向から横風が吹く場合に、図2で示すように集風板3は左方を低く右方を高くするように方向調節することができるので、この傾斜調節に合わせて集風板3を例えば前記図10で説明したように上方全開側に開動すると、横風を集風板3に沿って効率よく方向変更させて風車2に向けて案内することができる。
【0029】
また強い横風の場合には、集風板3を図8で示すように半開状態に開動させ、且つ集風板3を緩傾斜方向に調節することにより風車2に対し風を適切に案内することができる。 従って、一般的には横向回転型の発電風車が有する欠点である、受風角度の狭さを克服し、発電に有効利用することができる風向範囲を拡大することができる。
【0030】
また横向の集風板3を上下段に有する集風部4の上部に横向の風車2を着脱自在に組付けて単体ユニット化した発電ユニット1aは、沿岸等の現場において組立て易く横方向に順次並べて連結するだけで簡単に増設することができる。従って、複数の発電ユニット1aを用いて大型の発電装置1を廉価に構成することができると共に、エネルギの利用形態や使用目的に合わせた回転出力やトルクを簡単に得ることができる。
【0031】
また発電装置1は横方向に広い面積の集風部4を連ねて構成するので、微風時においても所定の発電能力を確保することができる。さらに発電装置1は沿岸部において集風部4を海側に向け地表に低く沿わせて設置することが容易であり、地上に近い所に設置されて広い面積で風を受ける防風柵として好適化することができ、作物や各種の施設物に対する優れた風害防止の機能を備えることができる。
【0032】
尚、発電装置1の設置に当たり、風車2の設置高さは2.5~3.5メートル程度にすることにより、人との接触を防止しながら集風作用も好適に行うことができる。また発電ユニット1aは既設のビル等の施設物の鉛直方向の壁面に対し、集風部4及び風車2を縦方向に並べて設置することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係わる風力発電装置の全体構造を示す正面図である。
【図2】図1の作用を示す正面図である。
【図3】発電装置を構成する風車と複数の集風板を有する集風部等からなる発電ユニットのユニット構造を示す正面図である。
【図4】図3の構成を示す側面図である。
【図5】集風板の閉状態を示す正面図である。
【図6】図5の側面図である。
【図7】集風板の半開状態を示す正面図である。
【図8】図7の側面図である。
【図9】集風板の全開状態を示す正面図である。
【図10】図9の側面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 発電装置
1a 発電ユニット
2 風車
3 集風板
4 集風部
5 回転軸
6 制御部
7 発電機
12 開閉リンク
14 傾斜モータ
18 開閉モータ
19 作動リンク
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9