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明細書 :医用動画像による画像診断システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4701397号 (P4701397)
公開番号 特開2007-252763 (P2007-252763A)
登録日 平成23年3月18日(2011.3.18)
発行日 平成23年6月15日(2011.6.15)
公開日 平成19年10月4日(2007.10.4)
発明の名称または考案の名称 医用動画像による画像診断システム
国際特許分類 A61B   8/08        (2006.01)
FI A61B 8/08
請求項の数または発明の数 2
全頁数 12
出願番号 特願2006-083221 (P2006-083221)
出願日 平成18年3月24日(2006.3.24)
審査請求日 平成20年12月16日(2008.12.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304019399
【氏名又は名称】国立大学法人岐阜大学
発明者または考案者 【氏名】藤田 廣志
【氏名】福岡 大輔
【氏名】原 武史
個別代理人の代理人 【識別番号】110000659、【氏名又は名称】特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所
【識別番号】100083932、【弁理士】、【氏名又は名称】廣江 武典
【識別番号】100129698、【弁理士】、【氏名又は名称】武川 隆宣
【識別番号】100129676、【弁理士】、【氏名又は名称】▲高▼荒 新一
【識別番号】100130074、【弁理士】、【氏名又は名称】中村 繁元
【識別番号】100135585、【弁理士】、【氏名又は名称】西尾 務
審査官 【審査官】後藤 順也
参考文献・文献 特開2006-149524(JP,A)
調査した分野 A61B 8/00-8/15
特許請求の範囲 【請求項1】
被険部を撮影して医用動画像を生成する医用動画像生成装置と、
前記医用動画像をフレーム毎に解析して病変部の陽性候補を自動的に検出すると共に、その陽性候補を指示するマークを画像上に付与する病変部自動検出・マーキング装置と、
前記病変部自動検出・マーキング装置によって処理された前記医用動画像を読影用に編集する装置であって、前記医用動画像のフレームの中で病変部の陽性候補が検出されなかった一連のフレームについてフレーム数を低減して編集する読影用動画像編集装置と、
前記読影用動画像を再生表示するための再生表示装置と、
を備えることを特徴とする医用動画像による画像診断システム。
【請求項2】
前記医用動画像生成装置によって生成された原医用動画像における指定されたフレーム画像をそのフレーム情報と共にプリントアウトするプリンタ装置と、
前記原医用動画像のフレーム情報と前記読影用動画像のフレーム情報との対応を示す変換テーブル手段と
を更に備えることを特徴とする請求項に記載の医用動画像による画像診断システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、医用動画像を再生して読影することによって病変部の有無などを診断する画像診断システムに関し、特に、超音波による乳癌の集団検診に適した画像診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
乳癌は女性の癌罹患率第1位であり、検診によるその早期発見は医療分野における主要な項目の一つとなっている。そして近年では、X線画像であるマンモグラフィによる画像診断がそれに有効な検診手段として利用が始められている。それと共にそのためのCAD(コンピュータ支援診断)システムも開発され、すでに実用化の緒についている。なお『CAD』とは、医用画像をコンピュータによって解析して病変部などを自動的に検出し、その結果を「第二の意見」として医師に提示するもので、医師とコンピュータとの共同作業で画像診断の正確度を高めることを目的としたものである。
【0003】
その一方、超音波撮影による検査はリアルタイムの映像診断ができることから種々の診療分野で利用されており、乳癌検診においても有効な手段として利用されている。ただし、超音波画像は動画像であるだけに読影は実際上容易ではないこともあり、その利用はX線マンモグラフィによる一次検診の結果の確認などと言った二次的な(補助的な)意味合いのものとなっているのが現状である(参考 非特許文献3)。
【0004】
しかし、超音波検診は非侵襲性でありしかも非常に簡易であるという特長を有しており(超音波検診車も可能)、若年層あるいはデンスブレストの乳癌検診手段として、更には集団検診の手段として最適な条件を備えている。そのため、乳癌検診の一次的な手段としての期待は高く、それと共に超音波画像のCADの開発も推し進められている。特許文献1、2および非特許文献1、2、4はそのCADに関している。

【特許文献1】特開2003-575号公報
【特許文献2】特開2000-126181公報
【非特許文献1】福岡大輔,原 武史,藤田広志・他:「乳房超音波断層像における腫瘤像の自動検出法」医用画像情報学会雑誌,14・3,148~154,1997
【非特許文献2】福岡大輔,原 武史,藤田広志・他:「初期輪郭の自動生成と制御点の統合を含んだ動的領域輪郭抽出法」電子情報通信学会論文誌,J81-D-II・6,1448~1451,1998
【非特許文献3】角田博子:「乳癌検診(2);超音波検診の現状と課題」映像情報 MEDICAL,33・3,253~256,2001
【非特許文献4】Karen Drukker et al,"Computerized Detection and Classification of Cancer on Breast Ultrasound1"Academic Radiology,Vol 11,5,pp。526-535, 2004
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、超音波検査によればハンドプローブを操作しながらモニタ映像からリアルタイムの診断ができるとは言っても、早期癌のような微小な病変部の有無を予備知識も何もなしで検査することは時間もかかり、被検者が多数の時は実際上不可能である。そのため、超音波画像診断が乳癌の特に集団検診の一次的手段として適用される場合、超音波撮影は専門技師が行ってその時得られた動画像としての超音波画像を一旦適当な媒体に記録保存しておき、後から、医師がその記録された超音波画像を再生しながら読影(診断)するという方式が採られることになる。
【0006】
ただこの場合、医師による読影は必然的に長時間でしかも連続した作業になることになるが、読影する画像が動画像であるだけに、病変部などを3次元的に把握できる利点はあるものの、逆に目の疲れなど医師の負担も多くかかりやすい。そして、疲労が重なると、病変部の見落としや良悪性の判断の誤りなど正確な診断に支障をきたす可能性も生じるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、上記の超音波乳癌集団検診のような場合に特に適した医用動画像による画像診断システムであって、画像診断(読影)に際しての医師の負担を最小限にし、医師の能力が最大限に発揮できるようにする画像診断システムの提供をその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題の解決のために、前述のCADによる病変部の検出精度が現在では十分に高いレベルにあることに鑑み、そのCADを導入すると共にその検出結果に基づいて読影時間を短縮可能な読影用動画像を編集することを基本とするものである
【0009】
本発明によれば、医師は病変部の自動検出によって陽性候補にマークが付与された読影用動画像に基づいて読影診断することができるので、病変部の有無についての診断をその支援情報を参考にしながら行うことができ、特に「病変部は見出せない」と診断する上での読影上の負担を最小限に軽減することができる
【0010】
本発明の一態様によれば、上記の読影用動画像編集装置に関して、病変部の陽性候補が検出されなかった一連のフレームについてはそのままフレーム数を低減して編集することができる。すなわち、本発明の医用動画像による画像診断システムは、被険部を撮影して医用動画像を生成する医用動画像生成装置と、その医用動画像をフレーム毎に解析して病変部の陽性候補を自動的に検出すると共に、その陽性候補を指示するマークを画像上に付与する病変部自動検出・マーキング装置と、その病変部自動検出・マーキング装置によって処理された医用動画像を読影用に編集する装置であって、その医用動画像のフレームの中で病変部の陽性候補が検出されなかった一連のフレームについてフレーム数を低減して編集する読影用動画像編集装置と、読影用動画像を再生表示するための再生表示装置とを備えることを特徴とするものである(請求項)。
【0011】
(削除)
【0012】
上記請求項1の態様によれば、読影用動画像はデータ量が低減化されているので、その取扱い、保存が容易となる利点がある
【0013】
なお、本発明の更に別の形態は、上記請求項の医用動画像による画像診断システムにおいて、医用動画像生成装置によって生成された医用動画像における指定されたフレーム画像をそのフレーム情報と共にプリントアウトするプリンタ装置と、その医用動画像のフレーム情報と読影用動画像編集装置によって編集された読影用動画像のフレーム情報との対応を示す変換テーブル手段とを更に備えることを特徴とするものである(請求項)。ここで、フレーム情報は具体的には例えばフレーム番号であって、これを例えばバーコードとしてプリントアウトすることができる。
【0014】
上記の画像診断システムによれば、プリントアウトした紙面にはフレーム情報が合わせて印刷されているので、後で読影用動画像を再生する際、そのフレーム情報に基づいて該当する画面に容易にアクセスすることができる。被検部の撮影中にモニタ画面から病変部の存在など重要な所見が見出され、その画面を含む箇所を重点的に読影診断するような場合に特に有効である。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明の医用動画像による画像診断システムによれば、医用動画像を再生して読影診断するに際しての医師の負担を最小限にし、医師の能力が最大限に発揮できるようにすることができる。
【0016】
なお、本発明の更なる目的と効果は、以下に説明する実施形態からも明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の医用動画像による画像診断システムの好適な実施の形態を、図面と共に説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態の医用動画像による画像診断システムの概略的なシステム構成を示す説明図である。
【0019】
本実施形態の画像診断システムは、超音波による乳癌検診に適合されたものであって、医用動画像生成装置としての超音波検査装置10と、その医用動画像をフレーム毎に解析して病変部の陽性候補を自動的に検出すると共に、その陽性候補を指示するマークを画像上に付与する病変部自動検出・マーキング装置20と、そのマーキングされた医用動画像を読影用に編集する読影用動画像編集装置30と、その読影用動画像を再生表示するための再生表示装置40とを備えている。
【0020】
本実施形態において、超音波検査装置10としては、乳癌の検診だけでなく種々の検診に一般に利用可能な汎用型の装置がそのまま使用されている。つまり、本実施形態では、超音波検査装置10が他の装置20、30、40と独立した構成となっている。これにより、車両に積み込んだ超音波検査装置10で各地を巡回して、乳腺の超音波動画像を収集することができる。また、図1に示す記録装置13等を用いてモニタ画像をVHS(登録商標)方式で記録可能とすることが一般的であり、それを利用して画像診断は別個になされる。
【0021】
この超音波検査装置10は、超音波の送受信を行ってエコーデータを取り込むハンドプローブ11、プローブ11の振動子にパルス電圧を印加して超音波を発信させる送信回路、プローブ11から受信された反射エコーをフィルタ処理などの調整を行いB/W画像信号を生成する受信回路、TV信号を生成するDSC(digital scan converter)回路、これらの回路のタイミング・コントロール制御回路、及びモニタ12を含んでいる。
【0022】
これにより、被検部をプローブ11で手動走査することにより、その断層画像が超音波動画像として生成され、モニタ12に表示される。そのため、この超音波検査装置10によれば、リアルタイムの画像診断が可能である。
【0023】
なお、この超音波動画像は一般に、NTSC規格に基づく30フレーム/秒のインターレース画像となっている。
【0024】
そして、この種の超音波検査装置10では、モニタ12に表示される超音波動画像を記録可能な記録装置13を一般に備えている。この記録装置13によって適当な記録媒体に収録された超音波動画像(原医用動画像)は、医用画像として一般に所定の期間保存されるものであるが、本実施形態においては、後の病変部自動検出・マーキング装置20及び編集装置30で読影用動画像を別個に作成するためにも利用される。
【0025】
また、超音波検査装置10は一般にプリンタ14も装備しており、検査時に重要な所見が見出された場合などにその画面をプリントアウトできるようになっている。
【0026】
そして、本実施形態においては、そのプリントアウトの際にそのフレーム情報、すなわちフレーム番号または時間が、被験者情報などと合わせて印刷されるように構成されている。なお、このフレーム情報は、例えばバーコード等の機械的に読み取り可能な形態であることが好ましい。
【0027】
これによって、原医用動画像を再度再生して読影する際に該当する画面に直ちにアクセスすることができるだけでなく、後でも詳述するように、新たに作成した読影用動画像の該当する画面またはシーンに容易にアクセスすることができる。
【0028】
病変部自動検出・マーキング装置20はCADとして一般に知られ、医師による画像診断に際しての診断支援情報を作成するものであって、病変(本実施形態では、乳癌)に関連した特徴を有する部位を陽性候補として自動的に検出すると共に、その検出結果の出力としてその陽性候補を指示するマークを画像上に付与するものである。より具体的には、この装置20は病変部自動検出部及び陽性候補マーキング部を備えたコンピュータ装置からなり、超音波検査装置10で生成された超音波動画像をフレーム毎に解析し、処理する。
【0029】
図2は、この装置20における病変部自動検出のフローチャートを示すものである。図2のように、その病変部自動検出は、超音波フレーム画像入力ステップS1、前処理ステップS2、乳房領域抽出ステップS3、病変部陽性候補検出ステップS4、良悪性鑑別ステップS5、及び結果出力ステップS6を含んでいる。
【0030】
ステップS1では、超音波動画像がフレーム毎に入力される。次いで前処理ステップS2では、病変部検出のために画像ノイズの除去などの前処理が実行される。そして、乳房領域抽出ステップS3では、病変部の検出対象領域である乳房領域の抽出が行われる。この抽出にはエッジ検出などが適用され、一般に胸筋を境界として乳房領域が抽出される。
【0031】
病変部陽性候補検出ステップS4では、抽出された乳房領域の解析を行い、病変部(腫瘤)の特徴を有する陰影部位を陽性候補として検出する。この検出はX線画像などの場合と基本的には同じであり、一般に濃度勾配を利用した手法を主として行われる。なお、このステップS4での病変部陽性候補の検出は、読影時の見落としや見過ごしを無くすという観点から、偽陽性が多くなるとしても、僅かでも病変部の特徴を有する陰影部位は全てを陽性候補として検出することが好ましい。
【0032】
良悪性鑑別ステップS5は、ステップS4で検出された病変部陽性候補について更にその良悪性を鑑別するものである。この鑑別は陽性候補の領域の面積、形状(円形度)、濃度(分布)などに基づいてなされ、これによって例えば嚢胞は良性と鑑別され、悪性腫瘤である腫瘍と区別される。そして、「良性」と鑑別された陽性候補はもはや陽性候補ではなくなることになるが、この鑑別結果はそのまま診断支援情報として役立てることが好ましい。すなわち、結果出力ステップS6では、病変部陽性候補の検出結果がその鑑別結果と合わせて出力され、後のマーキングのための情報として利用される。
【0033】
装置20の陽性候補マーキング部では、陽性候補の位置(座標)と範囲(大きさ)に関するデータに基づき、その陽性候補を示すマークを画像上に重畳して付与する。図3はそうして形成されたフレーム画像を示すもので、そのマーク102は陽性候補を適度な距離をもって囲む楕円の形態で構成されている。このマーク102は矢印などの他の任意の形態であることができるが、いずれの形態であっても、陽性候補を確実に指示する一方その陽性候補の診断自体に邪魔にならないような形状と配置は考慮されるべきである。
【0034】
またここで、前述の良悪性の鑑別結果は、例えばそのマーク102の色を変えることによって利用することができる。つまり、良性と鑑別される陽性候補に対しては、悪性ないしは良悪不明な陽性候補を指示するマークとは異なるマークを適用することである。CADの分野では初期検出された病変部陽性候補のうち良性のものは偽陽性として削除されるのが一般的であるが、そうして良性の陽性候補をマーク102を変えて指示することは診断支援情報として役に立つだけでなく、装置20の病変部検出の性能または特性を把握する上でも有用である。
【0035】
なお、被験者の氏名などに関する情報が超音波検査装置10で生成された超音波動画像には表示されていない場合には、このマーキング段階で付け加えることもできる。そして、こうしてフレーム毎に処理された超音波動画像は、適当なバッファを介してまたは一旦適当な記録媒体Bに記録して、後の読影用動画像編集装置30に送られ、そこで読影用に更に編集される。
【0036】
なお、この病変部自動検出・マーキング装置20は病変部検出フレームデータ60の作成部を備えており、病変部陽性候補が検出されたフレームのフレーム情報(例えば、フレーム番号)に関するデータ60が作成される。そして、このデータ60は一旦記録され、読影用動画像編集装置30での編集データとして使用される。また、このデータ60は後述の『変換テーブル手段』としても利用される。
【0037】
読影用動画像編集装置30は、病変部自動検出・マーキング装置20によって処理された超音波動画像(以下、「CAD画像」という。)を読影用に編集する装置であって、そのCAD画像のフレームの中で病変部の陽性候補が検出されなかった一連のフレームについてフレーム数を低減する編集を行うものである。ただし、「病変部は見出せない」とするに必要な画像データおよび品質は維持されなければならない。そこで、より具体的には、その編集にあたってその目的と具体的な実施に関して以下の方式がある。
【0038】
図4は一の方式による編集方法の一態様を概略的に示す説明図である。図4のように、その編集方法は、動画像編集部が病変部の陽性候補が検出されなかった一連のフレームについてそのままフレーム数を低減して編集するものである。より具体的には、その編集のためにフレームメモリ等を用いてコンピュータ装置のプログラム実行により該当するフレームについて低減化する。この場合、最も最も簡単な手段は、一連のフレームについて例えば1フレーム置きにフレームの削除を行うことである。この手段はプローブ11のスキャンが非常にゆっくりとなされ、前後にほとんど同一な画像が続くような場合に適している。しかし、このような場合であってもより好ましい手段は、前後のフレームが同一の場合にのみその一方を削除することである。ただし、この手段の場合には、フレームの解析が必要となる。また、フレームの削除に代えて、例えば前後の例えば3フレームについて、それらの信号の加算平均をとって1のフレームを作成することもできる。そして、フレームの解析を含めた最も高度な手段は、全体のオプティカルフロー、濃度勾配変化を解析し、信号の変化が細かく再生できるようにフレーム数の低減化を行うことである。
【0039】
このフレームメモリには、CAD画像が1フィールド単位で書き込まれる。読影用動画像編集装置30は、病変部検出フレームデータ60によって病変部の陽性候補が検出されたフレーム(図4の該当CAD画像にMが記載されている。)とそうでないフレームを検知し、病変部の陽性候補が検出されたフレームとその前後の適当数のフレームについては、CAD画像の1フレーム分の映像信号をフレームメモリに1度読み出す。一方、これ以外の、病変部の陽性候補が検出されなかった一連のフレームについては、前後同一のフレーム分の映像信号をフレームメモリに1度読み出す。
【0040】
なおここで、病変部の陽性候補が検出されたフレームの前後の適宜数のフレームについてはフレーム数低減化の対象としないのは、一つには読影に際してその陽性候補の3次元形状などの把握がより正確になされるようにするためである。そして、そのようなフレームの数は任意に設定することができるが、一般には20フレーム程度が適当である。
【0041】
こうして作成された読影用動画像は、病変部の陽性候補が検出されたフレームを含む一連のフレームについてはフレーム数がそのままとされ、これ以外の病変部の陽性候補が検出されなかった一連のフレームについてはフレーム数が低減化されている。
【0042】
したがって、この編集によってその病変部の陽性候補が検出されなかった一連のフレームについてフレーム数が低減され、読影時間が短縮可能な画像とされている。これを、再生表示装置40により再生して読影が行われる。この場合、再生表示装置40としては、スロー、早送り、フリーズ、或いは巻き戻しなどの機能を一般的に有する通常のビデオ再生装置をそのまま使用することができる。しかも読影用動画像は、超音波動画像およびCAD画像よりもフレーム数が低減されてデータ量が低減化されている。
【0043】
図5は参考方式による編集の態様を模式的に示す説明図である(なお、同図では、読影用動画像のフレームは2倍に圧縮して示している)。図5に示すように、この参考方式は、病変部の陽性候補が検出されたフレームを含む一連のフレームについてそのフレーム数を増加して編集することで、病変部の陽性候補が検出されなかった一連のフレームについてフレーム数が相対的に低減化されるように編集するものである。
【0044】
より具体的には、このフレーム数の増加は、前後のフレーム間を補間する方法でも可能ではあるが、該当するフレームを単純に複写する方法が簡易でもあり好ましい。すなわち、病変部検出フレームデータ60に従って、フレームメモリに読み込まれたCAD画像のうち、病変部の陽性候補が検出されたフレームとその前後の適宜数のフレームについては複数回の、例えば2度の読み出しを行うことである(なお、それ以外の一連のフレームは1度の読み出しとなる)。
【0045】
この方式によって編集された読影用動画像の場合も、前述の方式の場合と同様に、再生表示装置40として通常のビデオ再生装置を使用して再生することができ、早送りで再生することによって、読影時間の短縮を図ることができる。そして、この方式の場合、フレーム数の増加によってデータ量が増加することにはなるが、原超音波動画像のデータをそのまま保持できる効果がある。
【0046】
なお、CAD画像の編集方式の他の参考方式として、上述の方式を組み合わせることができる。すなわち、CAD画像のうち、病変部の陽性候補が検出されなかった一連のフレームについてはフレーム数を低減する一方、病変部の陽性候補が検出されたフレームを含む一連のフレームについてはフレーム数を増加することである。
【0047】
そしてこの参考方式による場合、編集された読影用動画像を通常速度で再生することによって、病変部の陽性候補が検出されなかった部分は早送り状態で再生されると共に、病変部の陽性候補が検出された部分はスロー再生されることになる。したがって、場合によれば、この方式は最も有利な方式であることができる。
【0048】
こうして読影用動画像編集装置30によって編集作成された読影用動画像は、一旦適当な記録媒体に記録して、再生表示装置40による画像診断に供される。ただし、再生表示装置40を読影用動画像編集装置30に直結し、読影用動画像編集装置30で編集された読影用動画像をバッファを介して再生表示装置40に送るようにすることもできる。
【0049】
読影用動画像を再生して読影診断をおこなうための再生表示装置40としては、前述のように、早送り再生、スロー再生、コマ送り再生、これらの戻し再生、そしてフリーズ(一時停止)機能などを備えた通常のビデオ再生装置をそのまま使用することができる。また、この再生表示装置40には、読影時に特に重要と思われた画面などを適宜プリントアウトすることできるプリンタ41が装備されていることが好ましい。
【0050】
ところで、近年コンピュータ画像が増えてきており、再生表示装置40としてはそのような画像の表示装置とすることもできる。ただこの場合、コンピュータ画像は一般にプログレッシブ画像であり、原超音波動画像がインターレース画像である本実施形態ではいずれかの段階でそのインターレース画像をプログレッシブ画像に変換することが必要となる。しかし、このインターレース/プログレッシブ変換は、再生表示装置40自体、或いは、読影用動画像編集装置30にそのための装置を付設することによって容易に行うことができる。
【0051】
以上説明した本実施形態の画像診断システムは、乳癌の一次的な集団検診に特に適している。
【0052】
すなわち、超音波検査装置10によって収集された超音波動画像は被験者が多人数の場合は膨大な量となり、それを読影診断する医師にとっては大きな負担となる。しかも、刻々と変化する動画像の読影はさらにその負担を大きくする。しかし、本実施形態の画像診断システムによれば、読影する画像には病変部自動検出・マーキング装置20によって病変部の陽性候補が表示されているので、読影医師の負担は大きく軽減されることができる。
【0053】
つまり、一次的な検診の場合、医師にとって最も負担となるのは先ず病変部の見落としである。これに対し、本実施形態の病変部自動検出・マーキング装置20によれば、前述のように、病変部として少しでも疑わしい陰影は病変部の陽性候補として表示されるので、医師はその情報を有効に利用することができる。また、この病変部自動検出・マーキング装置20による病変部の検出精度は完全ではあり得ないが、医師はその特性または性向を考慮に入れて、その装置20では検出できない陰影のみに注意を払うことができる。このことは医師の負担の大幅な軽減となる。
【0054】
またそのため、病変部の陽性候補が検出されなかった部分を早送り状態で再生することが可能となり、本実施形態の読影用動画像編集装置30によって、医師はその早送り操作を一々しなくても済むことができる。これによって、読影時間を大幅に短縮することができ、医師の負担をさらに一層軽減することができる。
【0055】
こうして、本実施形態の画像診断システムによれば、読影診断に際しての医師の負担を最小にし、またそれによって、医師の能力が最大に発揮されることができる。
【0056】
なお、本実施形態の画像診断システムにおいて、超音波検査装置10のプリンタ14で打ち出されるフレーム画像には、読影用動画像へのアクセスを容易とするために、そのフレーム情報が合わせて印刷されることを前に述べたが、これについて更に説明する。
【0057】
すなわち、読影用動画像は超音波検査装置10で得られた原超音波動画像を編集して作成したものであるため、そのフレーム情報、具体的にはフレーム番号または時間が原超音波動画像のそれとは異なっている。そのため、原超音波動画像の特定のフレームが読影用動画像のどのフレームに該当するかは、それら相互のフレーム情報の対応を示す変換テーブル手段が必要である。この変換テーブル手段は別途に作成することもできるが、本実施形態では、病変部自動検出・マーキング装置20で作成される病変部検出フレームデータ60をその変換テーブル手段として有効に利用することができる。つまり、この病変部検出フレームデータ60は原超音波動画像に基づくものであるが、読影用動画像はこの病変部検出フレームデータ60に基づいて所定のフレーム数の低減を行ったものであるから、フレーム情報の対応はこの病変部検出フレームデータ60で示されるからである。
【0058】
こうして、超音波検査装置10による検査中にモニタ画面で重要な所見が見出されたような場合、その画面をプリントアウトしておくことによって、後での読影診断の際の要注意箇所としての情報を提示することができる。
【0059】
以上、本実施形態は汎用の超音波検査装置または設備をそのまま使用した現状対応型のものであるが、次に述べるようなシステムも可能である。
【0060】
<別の実施形態>
特に図示しないが、病変部自動検出・マーキング装置20は超音波検査装置10に一体化することができる。すなわち、病変部自動検出・マーキング装置20での診断支援情報の作成を超音波検査装置10で生成される超音波動画像に対して直接(記録媒体を介することなく)行うことである。
【0061】
病変部自動検出・マーキング装置20を超音波検査装置10に一体化した形態の場合、その診断支援情報のリアルタイム表示が可能となる。なお、この場合には超音波検査装置の改変が必要である。
【0062】
この場合の改変の例としては、例えば、モニタに供給されるNTSC規格によるデジタルフレームデータの解析を行うこと、モニタに供給されるNTSC規格によるアナログフレームデータの解析を行うこと、又はNTSC規格によるデータ処理以前のフレームデータの解析を行うことが挙げられる。
【0063】
このようにすれば病変部自動検出・マーキング装置20による診断支援情報を別のモニタにリアルタイムで画像表示させることができ、検査技師または医師はその表示を参考にしながら、病変部が検出された箇所ではプローブの走査を繰り返すなど特に入念な検査と記録を行うことができる。(ただし、超音波検査が胎児の検診などの他の診断に使用される場合には、その病変部自動検出・マーキング装置20は不要なものとなる。)
この別の実施形態は、病変部自動検出・マーキング装置20と一体の超音波検査装置10を移動車に搭載した「乳癌検診車」を実現する上ではより好ましい。
【0064】
なお、いずれの実施形態の場合においても、得られた超音波動画像データの記録と保存を行う総合データベースを構築して、読影診察部門との間にLANなどによるネットワークを形成することもできる。それによって、被験者の過去の超音波動画像データ、あるいはマンモグラフィによる検査結果などと合わせて医師は読影診断を行うことができる。
【0065】
なお、これらの実施の形態においては、超音波動画像がインターレース画像の場合について説明したが、何らこれに限定されるものではなく、例えばプログレッシブ画像の場合であってもよい。
【0066】
また、画像は例えば1フレームの走査線数が525本であってもよいし、異なる例えば走査線数1125本の場合であってもよい。また日本のテレビジョン信号に何ら限定されるものではなく、欧州等のPAL方式の映像信号の場合であってもよい。
【0067】
以上、本発明の画像診断システムについての最良の形態を、実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができる。
【0068】
例えば、超音波動画像としては、3次元プローブを使用して得られたものであってもよい(3次元プローブを使って、動画像を収集する場合と今回発明とを組み合わせたものであってもよい)
また、本発明については、特に超音波による乳癌の集団検診の場合を想定して述べたが、医師が超音波検査をしながら読影して診断するような一般の乳癌検診にもそのまま適用することができる。
【0069】
また、本発明の医用動画像による画像診断システムについては、特に超音波検査装置によって得られる医用動画像に基づいて乳癌の画像診断を行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、MRI或いはマルチスライスX線CTによる肺野の医用動画像に基づいて肺気腫の読影診断がなされるような場合にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の一実施形態の医用動画像による画像診断システムの概略的なシステム構成を示す説明図である。
【図2】上記実施形態の病変部自動検出・マーキング装置における病変部自動検出を示すフローチャートである。
【図3】病変部自動検出・マーキング装置により診断支援情報が付与されたフレーム画像を示す図である。
【図4】読影用動画像編集装置による一方式の編集方法の態様を模式的に示す説明図である。
【図5】読影用動画像編集装置による参考方式の編集方法の態様を模式的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0071】
10 超音波検査装置(医用動画像生成装置)
11 プローブ
12 モニタ
13 記録装置
14 プリンタ
20 病変部自動検出・マーキング装置
30 読影用動画像編集装置
40 再生表示装置
41 プリンタ
60 病変部検出フレームデータ
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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