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明細書 :リハビリテーション装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5024872号 (P5024872)
公開番号 特開2009-011687 (P2009-011687A)
登録日 平成24年6月29日(2012.6.29)
発行日 平成24年9月12日(2012.9.12)
公開日 平成21年1月22日(2009.1.22)
発明の名称または考案の名称 リハビリテーション装置
国際特許分類 A61H   1/02        (2006.01)
FI A61H 1/02 K
請求項の数または発明の数 5
全頁数 11
出願番号 特願2007-179094 (P2007-179094)
出願日 平成19年7月6日(2007.7.6)
審査請求日 平成22年6月9日(2010.6.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
発明者または考案者 【氏名】岡 久雄
【氏名】北脇 知己
【氏名】中山 淳
個別代理人の代理人 【識別番号】100080160、【弁理士】、【氏名又は名称】松尾 憲一郎
審査官 【審査官】毛利 大輔
参考文献・文献 特表平03-500731(JP,A)
特開昭62-161361(JP,A)
特開2001-333947(JP,A)
特公昭39-006189(JP,B1)
特開2001-087296(JP,A)
実開昭64-050817(JP,U)
調査した分野 A61H 1/02
特許請求の範囲 【請求項1】
手首部分及び掌部分にあてがって手首のかえりを規制する掌支持部と、
伸展位拘縮が生じている関節の指先側に位置した指骨部分に装着して指を拘束して支持する指支持部と、
この指支持部を牽引することにより指を曲げ方向に牽引する牽引手段と
記指支持部が装着された指を前記牽引手段で牽引する際に、前記指支持部を、前記関節の伸展方向に移動させる移動手段と、を有し、
前記牽引手段による前記指支持部の牽引、及び前記移動手段による前記指支持部の移動により、前記指支持部により拘束された指骨の前記関節側の端部に、前方上向きに押し上げる力を作用させ、前記関節を前記伸展方向に引っ張りながら、指を曲げるリハビリテーション装置。
【請求項2】
前記移動手段は、前記指の腹側に装着した前記指支持部の裏面側に設けた円筒状の回転ガイドと、この回転ガイドに挿入して前記回転ガイドを支持する支持軸を有し、
前記支持軸回りに回転ガイドを回転させることにより前記指支持部を前記伸展方向に移動させることを特徴とする請求項1記載のリハビリテーション装置。
【請求項3】
前記支持軸は、前記指と交差する方向に延伸させて前記回転ガイドに挿通させる挿通部と、この挿通部の両側にそれぞれ設けた接続部とを有し、この接続部の端部をそれぞれ前記掌支持部に接続するとともに、
前記挿通部は、人差し指側を小指側よりも前方に配置させた傾斜状とした
ことを特徴とする請求項2記載のリハビリテーション装置。
【請求項4】
前記指支持部は、前記指に当接させる支持板と、この支持板に前記指を拘束するベルトを有し、
前記ベルトには、前記支持板とともに前記指を挟持する補助板を設けた
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載のリハビリテーション装置。
【請求項5】
前記牽引手段は、前記掌支持部で支持された手の舟状骨に向けて牽引することを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載のリハビリテーション装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、リハビリテーション装置に関するものであり、特に、手の指の機能回復を目的として用いられるいわゆるスプリント装具からなるリハビリテーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、手や手の指を負傷したために、その治療として負傷部分の長期固定を余儀なくされた場合には、指の運動に必要な筋力の低下だけでなく指の靱帯に短縮が生じることにより、握力の低下だけでなく指の曲がり角度が小さくなるなどの機能低下が生じることが知られている。
【0003】
このような機能低下が生じると、日常生活の妨げとなることが多いため、低下した機能を少なくとも日常生活に支障をきたさない程度に回復させる機能回復の訓練が行われている。この機能回復の訓練を行う場合には、機能の回復を図る筋肉に所要の負荷を与えながら運動させるいわゆるリハビリテーション装置が一般的に用いられている。
【0004】
特に、手あるいは手の指を負傷した場合には、治療のために指の根本を固定することが多く、その結果、この指の根本の関節に伸展位拘縮が生じて指が曲がりにくくなることが知られており、リハビリテーションによってこのような伸展位拘縮を解消させることが行われている。なお、指の根本の関節はMP関節と呼ばれている。
【0005】
伸展位拘縮を解消させるリハビリテーションは、リハビリテーションの開始直後の場合には、療法士が手で伸展位拘縮の生じている手を直接曲げることによって行い、ある程度まで回復することによってリハビリテーション装置が利用可能となると、あとはリハビリテーション装置を用いて行っている。
【0006】
この場合のリハビリテーション装置としては、ゴム紐などの弾性体を用いて指を曲げ方向に付勢するものであり、ナックルベンダースプリント、エラスティックアウトリガースプリント、カーペナーズスプリント、ダイナミックフィンガーフレクションスプリントなどが知られている。これらのスプリントは、一般的に、手首部分及び前腕部分に装着する手首用装具と、指部分に装着する指用装具と、指用装具を手首用装具に牽引するゴム紐とで構成されるものであり、伸展位拘縮の形態に応じて指用装具の形態をそれぞれ工夫して、ゴム紐による牽引によって指を折り曲げ姿勢に付勢しているものである。
【0007】
指が十分に曲がるようになり、さらに筋力を向上させる必要がある場合には、手の甲側の所定位置にゴム紐の一端を固定する固定用装具を手首部分に装着するとともに、このゴム紐の他端側には所定の指を挿入可能とした指用装具を設け、この指用装具に指を挿入して、ゴム紐の付勢に抗して指を曲げることにより指の筋力を向上させるリハビリテーション装置も提案されている(例えば、特許文献1参照。)。

【特許文献1】特開2001-087296号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の指の関節における伸展位拘縮を解消するリハビリテーション装置では、単に指を曲げ姿勢としているだけでしかなく、側副靱帯や背側関節包の伸長には効果があるものの、未だに以下の問題を有していた。
【0009】
すなわち、伸展位拘縮が生じた関節では、筋肉をはじめとする組織の収縮が生じていることによって隣り合った骨の間の間隔が正常な状態よりも狭くなっており、この状態で強制的に指を曲げると、関節部分の軟骨が圧迫されることとなって、軟骨に損傷が生じるおそれがあった。
【0010】
療法士が直接的に行うリハビリテーションでは、このことを考慮したリハビリテーションが行われているが、リハビリテーション装置ではこの点が顧みられておらず、軟骨に損傷が生じるおそれがあるあいだはリハビリテーション装置を用いることができなかった。
【0011】
したがって、リハビリテーションのスケジュールは、療法士のスケジュールを考慮する必要があることから、いつでもリハビリテーションが行えるわけではなく、機能回復に要する時間が長くなることとなっていた。
【0012】
本発明者らはこのような現状に鑑み、伸展位拘縮が生じた指の関節のリハビリテーションに適したリハビリテーション装置を提供すべく研究開発を行って、本発明を成すに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のリハビリテーション装置は、手首部分及び掌部分にあてがって手首のかえりを規制する掌支持部と、伸展位拘縮が生じている関節の指先側に位置した指骨部分に装着して指を拘束して支持する指支持部と、この指支持部を牽引することにより指を曲げ方向に牽引する牽引手段と指支持部が装着された指を牽引手段で牽引する際に、指支持部を、伸展位拘縮が生じている関節の伸展方向に移動させる移動手段と、を有し、牽引手段による指支持部の牽引、及び移動手段による指支持部の移動により、指支持部により拘束された指骨の伸展位拘縮が生じている関節側の端部に、前方上向きに押し上げる力を作用させ、伸展位拘縮が生じている関節を伸展方向に引っ張りながら、指を曲げる
【0014】
さらに、本発明のリハビリテーション装置では、以下の点にも特徴を有するものである。すなわち、
(1)移動手段は、指の腹側に装着した指支持部の裏面側に設けた円筒状の回転ガイドと、この回転ガイドに挿入して回転ガイドを支持する支持軸を有し、支持軸回りに回転ガイドを回転させることにより指支持部を伸展位拘縮が生じている関節の伸展方向に移動させること。
(2)支持軸は、指と交差する方向に延伸させて回転ガイドに挿通させる挿通部と、この挿通部の両側にそれぞれ設けた接続部とを有し、この接続部の端部をそれぞれ掌支持部に接続するとともに、挿通部は、人差し指側を小指側よりも前方に配置させて傾斜状としたこと。
(3)指支持部は、指に当接させる支持板と、この支持板に指を拘束するベルトを有し、ベルトには、支持板とともに指を挟持する補助板を設けたこと。
(4)牽引手段が掌支持部で支持された手の舟状骨に向けて牽引すること。
【発明の効果】
【0015】
本発明のリハビリテーション装置は、指支持部が装着された指を牽引手段で牽引する際に、指支持部を、伸展位拘縮が生じている関節の伸展方向に移動させる移動手段を設けていることにより、指を曲げ姿勢とした際に関節部分の軟骨が圧迫されることを防止できる。
【0016】
したがって、指の伸展位拘縮の解消のために、比較的早い段階からリハビリテーション装置を用いることができ、療法士を伴う必要がなく、在宅でのリハビリテーションも可能となることにより、いつでもリハビリテーションを行えるので、短期間で機能回復を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のリハビリテーション装置は、伸展位拘縮が生じている指の関節のリハビリテーションを行う際に、伸展位拘縮が生じている関節の指先側に位置する指骨部分に装着した指支持部を、関節の伸展方向に移動させながら指を曲げ方向に牽引しているものである。
【0018】
図1は、本実施形態のリハビリテーション装置の斜視図、図2は同平面図、図3は同側面図であり、リハビリテーション装置は、手首部分及び掌部分にあてがって手首のかえりを規制する掌支持部10と、伸展位拘縮が生じている関節の指先側に位置した指骨部分に固定的に装着して指を支持する指支持部20と、この指支持部20を牽引することにより指を曲げ方向に牽引する牽引手段30(図3参照)とで構成している。
【0019】
掌支持部10は、図1に示すように、伸展位拘縮を患う患者の掌から手首、さらには前腕の中途部までにあてがう基体14と、この基体14の先端側で基体14に掌部分を拘束するための第1拘束ベルト11と、基体14の中間部で基体14に手首部分を拘束するための第2拘束ベルト12と、基体14の先端側で基体14に前腕部分を拘束するための第3拘束ベルト13を設けている。
【0020】
本実施形態では、基体14は熱可塑性プラスチック製であって、熱可塑性プラスチック製の板体を、手首部分を掌部分や前腕部分よりも細幅とした所定形状に整形し、加熱して軟らかくした後、患者の手にあてがって型取りすることにより、患者の手に合った基体14としている。
【0021】
また、基体14には、掌部分において親指と人差し指の間を通して手の甲側に反り返らせたガイド片14aを設けており、このガイド片14aを親指と人差し指との又部分に位置させて掌支持部10を手に装着することにより、適正位置に装着可能としている。
【0022】
さらに、基体14は、前腕部分を前腕に沿って湾曲させることにより、掌支持部10を患者の手に装着した際に、位置ズレを生じにくくすることができ、手首のかえりを規制しやすくすることができる。
【0023】
第1拘束ベルト11と、第2拘束ベルト12と、第3拘束ベルト13は、それぞれ一端を接着剤などで基体14に装着した帯体であって、裏面にはそれぞれ第1面ファスナ15を装着している。
【0024】
基体14の所定位置には、第1面ファスナ15と結合する第2面ファスナ16をそれぞれ設けている。特に、第1拘束ベルト11の第1面ファスナ15と結合する第2面ファスナ16はガイド片14aに設けて、手を確実に基体14に拘束して手首のかえりを防止している。
【0025】
指支持部20は、図4に示すように、伸展位拘縮が生じている関節の指先側に位置した指骨部分にあてがう略平板状の支持板21を備えており、この支持板21には支持板21に当接させた指を拘束する指拘束用ベルト22を設けている。
【0026】
本実施形態では、指拘束用ベルト22は、図1に示すように、支持板21の左側に延出させた左側ベルト22Lと、支持板21の右側に延出させた右側ベルト22Rとで構成し、左側ベルト22Lと右側ベルト22Rにはそれぞれ互いに結合する面ファスナを装着している。そして、支持板21に所定の指を当接させた後、左側ベルト22Lと右側ベルト22Rとを指に巻き回して面ファスナを結合させることにより、指を支持板21に拘束している。
【0027】
さらに、図5に示すように、指拘束用ベルト22'には、支持板21とともに指を挟持する補助板25を設けてもよい。補助板25は、拘束する指の形状に沿って湾曲させておくことが望ましい。
【0028】
ここで、指拘束用ベルト22'は、支持板21の裏面側に設けたベルトガイド26によって形成したベルト挿通孔27に挿通させて支持板21に装着している。
【0029】
補助板25は、指拘束用ベルト22'の一方の端部に接着剤によって接着しており、補助板25の上側面側の指拘束用ベルト22'の表面には第1面ファスナ28を設け、指拘束用ベルト22'の他端に設けた第2面ファスナ29と結合可能としている。
【0030】
この指拘束用ベルト22'で指を拘束する場合には、支持板21に当接させた指の背側に補助板25を当接させ、補助板25の上側に位置した第1面ファスナ28に、指拘束用ベルト22'の他端側の第2面ファスナ29を結合させて拘束している。
【0031】
この場合、指拘束用ベルト22'で拘束された指は、剛性を有する支持板21と補助板25とで上下に挟まれることにより、指拘束用ベルト22'によって指の横腹に存在する欠陥を圧迫することを防止できるので、血流を阻害することを防止できる。したがって、指拘束用ベルト22'で指を比較的長時間拘束したとしても血行障害が生じることなく、リハビリテーション装置を使用できる。
【0032】
本実施形態では、支持板21は、熱可塑性プラスチック製の平板で形成しており、特に、所定幅の短冊状とした熱可塑性プラスチック製の平板を用いて以下のようにして形成している。
【0033】
まず、短冊状の平板の所定位置にU字状の切れ込みを形成し、平板よりも細幅とした帯状部を形成している。ここで、帯状部の長手方向は、短冊状の平板の長手方向としている。帯状部の幅寸法は指の幅寸法程度とし、帯状部の長手方向の長さ寸法は約10cm程度としている。
【0034】
帯状部を形成した短冊状の平板を加熱して軟らかくした後、図1及び図3に示すように、長手方向に巻き回して端部を接着剤などで結合することによりループ状とした円筒体23を形成し、さらに、帯状部を円筒体の内側に折り込んでいる。円筒体23は、半径寸法を支持板21に拘束される指の長さの約1.5倍程度としている。
【0035】
円筒体23の内側に折り込んだ帯状部は、円筒体23の半径方向に延伸させて、支持板21としている。
【0036】
さらに、本実施形態では、図1及び図3に示すように、円筒体23の内側に折り込んだ帯状部のうち、先端側を巻き回してロール状とした円筒体を形成している。この円筒体を後述する回転ガイド41としている。回転ガイド41の形成後、支持板21部分に接着剤で指拘束用ベルト22を接着している。
【0037】
このように、支持板21及び回転ガイド41が形成された円筒体23は、図1及び図2に示すように、回転ガイド41に挿入した支持軸42を介して基体14に装着している。
【0038】
すなわち、支持軸42は、指と交差する方向に延伸させて回転ガイド41に挿通させる挿通部42aと、この挿通部42aの両側にそれぞれ設けた接続部42b,42bとを有し、挿通部42aと接続部42b,42bとで門形状として、接続部42b,42bの端部をそれぞれ掌支持部10の基体14に接着剤で接着している。
【0039】
なお、支持軸42を基体14に接着する場合には、患者の所要の指を支持板21に装着し、かつ患者の手に基体14を装着して、支持板21と基体14との位置関係を適正な位置関係とした後に、円筒体23の回転ガイド41に挿入した支持軸42の両端を基体14に接着している。このとき、略平板状の支持板21は、掌における平面とほぼ並行としている。
【0040】
指支持部20を牽引する牽引手段30は、図3に示すように、本実施形態ではゴム紐31であって、円筒体23の外周面に設けた第1フック24と、基体14の裏面に設けた第2フック17とにゴム紐31を掛架することにより円筒体23を基体14側に牽引している。
【0041】
第1フック24は、U字状に成形したプラスチック材を接着剤で円筒体23の外周面に接着することにより配設している。また、第2フック17は、U字状に成形したプラスチック材を接着剤で基体14の裏面に接着することにより配設している。
【0042】
特に、第2フック17は、ゴム紐31による牽引方向が掌支持部10で支持された手の舟状骨に向く位置に設けている。このように、牽引方向を手の舟状骨に向けることにより、指を正しい方向に牽引して曲げることができ、機能回復の効果を向上させることができる。
【0043】
また、支持軸42はプラスチック製として弾性を有するようにしており、ゴム紐31による牽引によって支持軸42の接続部42b,42bが適度に撓むようにしている。
【0044】
このように構成したリハビリテーション装置でリハビリテーションを行う場合には、患者は、まず、第1~3拘束ベルト11,12,13を用いて基体14を手に装着し、次いで、図4(a)に示すように、伸展位拘縮が生じている関節50の指先側に位置した指骨51部分を指拘束用ベルト22により支持板21に固定的に装着して指を支持する。
【0045】
次いで、第1フック24と第2フック17にゴム紐31を掛架して支持板21に拘束された指を牽引することにより、図4(b)に示すように、円筒体23を支持軸42の挿通部42a回りに回転させている。
【0046】
この円筒体23の回転の際に、挿通部42aが挿通された回転ガイド41は、挿通部42aに接した内周面を挿通部42aに対して摺動させて前方方向に移動するとともに、挿通部42a回りに回転している。
【0047】
したがって、回転ガイド41と一体的に形成した支持板21も前方方向に移動しながら回転し、支持板21に拘束された指骨51の伸展位拘縮が生じている関節50側の端部に、支持板21によって図4(b)中の符号Sの矢印で示すように前方上向きに押し上げる力を作用させて、伸展位拘縮が生じている関節50に対して伸展方向への引っ張りを生じさせることができる。
【0048】
このように伸展位拘縮が生じている関節50を伸展方向に引っ張りながら、挿通部42a回りにおける支持板21の回転により指を曲げることによって、関節の軟骨に損傷を与えることなく正しく指を曲げることができる。
【0049】
ここで、指支持部20の支持板21の裏面側に設けた円筒状の回転ガイド41と、この回転ガイド41に挿入した支持軸42は、指支持部20を牽引した際に支持板21を伸展位拘縮が生じている関節の伸展方向に移動させる移動手段となっており、極めて簡単な構成で移動手段を設けることができる。なお、回転ガイド41は必ずしも円筒体となっている必要はなく、支持板21の裏面に装着したリングで構成してもよく、指支持部20の牽引にともなって、支持板21に前方方向への移動を生じさせることができればよい。
【0050】
本実施形態のリハビリテーション装置は、最も伸展位拘縮が生じやすいMP関節用であるが、基節骨と中節骨との間の関節であるPIP関節や、中節骨と末節骨との間の関節であるDIP関節において生じた伸展位拘縮に対しては、基体14や円筒体23などの形状を適宜調整することにより同様に伸展位拘縮の改善を図ることができる。
【0051】
また、円筒体23は、指と交差する方向に延伸させて回転ガイド41に挿通させた支持軸42の挿通部42aに沿って移動させることができ、円筒体23の支持板21に人差し指、中指、薬指、小指のいずれかの指を拘束することにより、それぞれの指のMP関節における伸展位拘縮を改善することができる。
【0052】
特に、挿通部42aは、図2に示すように、各中手骨の長さの違いに応じて人差し指側を小指側よりも前方に配置させて傾斜状としていることにより、指ごとに専用の円筒体23を設けることなく利用可能とすることができる。
【0053】
しかも、挿通部42aは、傾斜状としたことによって、図2に示すように、円筒体23に拘束されていない指を挿通部42aに掛けることができ、挿通部42aで指を支えることによって手に余計な緊張状態を生じさせなくすることができる。したがって、リラックスした状態でリハビリテーションを行えることにより、機能回復効果を更に向上させることができる。
【0054】
なお、図6に示すように、場合によっては、円筒体23には、各指の指骨の長さに合わせて長さの異なる支持板21を適宜付け替え可能とし、各指に応じて支持板21の長さを調整することにより、汎用性をさらに向上させてもよい。
【0055】
本実施形態では、支持板21を有する指支持部20を牽引するために円筒体23を設けているが、指支持部20は必ずしも円筒体23を介して牽引する必要はなく、円筒体23と同等の機能を有する他の構造としてもよい。
【0056】
また、本実施形態のリハビリテーション装置は、患者の手に装着可能としたスプリントとしているが、必ずしもスプリントとなっている必要はなく、例えば図7に示すように、手首部分及び掌部分にあてがって手首のかえりを規制する掌支持部10'となる基台61と、伸展位拘縮が生じている関節の指先側に位置した指骨部分に固定的に装着して指を支持する支持板62を備えた指支持部20'と、指支持部20'を牽引することにより指を曲げ方向に牽引する牽引手段30'となるモータ63とで構成することもできる。
【0057】
この場合、支持板62は、前述した円筒体23と同一構成とした円筒体64に設けており、支持板62の裏面には前述した回転ガイド41と同一構成の回転ガイド65を設けている。
【0058】
回転ガイド65には支持軸66を挿通させ、支持軸66の端部は基台61に装着している。支持軸66は、基台61に対して進退自在に装着しており、手の大きさに応じて基台61から円筒体64までの距離を調整可能としている。
【0059】
円筒体64には、円筒体64を牽引する牽引用紐体69を掛けるフック67を設けており、このフック67に掛けた牽引用紐体69の他端は、モータ63の回転軸に装着した巻き取りロール68に接続している。
【0060】
そして、モータ63を回転駆動させることにより巻き取りロール68で牽引用紐体69を巻き取り、円筒体64を牽引している。
【0061】
モータ63の出力軸には、牽引用紐体69に生じた張力を検出する検出手段を設けたり、あるいは牽引用紐体69の中途部に係掛させたテンションローラ(図示せず)を設けたりして牽引用紐体69に作用した張力の検出を行い、牽引用紐体69が所定の張力に達したところで巻き取りを停止して、所定時間その状態を維持し、その後、モータ63の出力軸を逆回転させて牽引を解除可能としている。
【0062】
このような構成とすることによって、装着の手間を省いてリハビリテーションを行うことができ、しかも、汎用性をもたせやすいので、スプリントとしてのリハビリテーション装置を用いる必要ないが、リハビリテーションをした方が望ましい軽度の伸展位拘縮を患う患者が気軽にリハビリテーションを行うことができる。
【0063】
このようなリハビリテーション装置は、病院やリハビリテーション施設に据え置きとしてもよいし、小型化することにより可般式として病院と家庭との間で持ち運び可能としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態に係るリハビリテーション装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るリハビリテーション装置の平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るリハビリテーション装置の側面図である。
【図4】要部説明図である。
【図5】指拘束用ベルトの説明図である。
【図6】他の実施形態のリハビリテーション装置の説明図である。
【図7】他の実施形態のリハビリテーション装置の説明図である。
【符号の説明】
【0065】
10 掌支持部
11 第1拘束ベルト
12 第2拘束ベルト
13 第3拘束ベルト
14 基体
14a ガイド片
15 第1面ファスナ
16 第2面ファスナ
17 第2フック
20 指支持部
21 支持板
22 指拘束用ベルト
22L 左側ベルト
22R 右側ベルト
23 円筒体
24 第1フック
30 牽引手段
31 ゴム紐
41 回転ガイド
42 支持軸
42a 挿通部
42b 接続部
50 関節
51 指骨
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6