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明細書 :薄板状部品の検査方法と検査装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4747313号 (P4747313)
公開番号 特開2008-164461 (P2008-164461A)
登録日 平成23年5月27日(2011.5.27)
発行日 平成23年8月17日(2011.8.17)
公開日 平成20年7月17日(2008.7.17)
発明の名称または考案の名称 薄板状部品の検査方法と検査装置
国際特許分類 G01N  21/88        (2006.01)
FI G01N 21/88 Z
請求項の数または発明の数 6
全頁数 14
出願番号 特願2006-354818 (P2006-354818)
出願日 平成18年12月28日(2006.12.28)
審査請求日 平成20年9月1日(2008.9.1)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】509093026
【氏名又は名称】公立大学法人高知工科大学
発明者または考案者 【氏名】竹田 史章
審査官 【審査官】越柴 洋哉
参考文献・文献 特開2006-234656(JP,A)
特開2004-191112(JP,A)
特開平8-278262(JP,A)
特開平6-76069(JP,A)
特開2002-190024(JP,A)
特開2006-321587(JP,A)
特開2002-312762(JP,A)
調査した分野 G01N 21/84-21/958
G06T 1/00-13/00
特許請求の範囲 【請求項1】
大量の薄板状部品を円盤上で回転させ、遠心力を与えて1個ずつに分離搬送する工程と、
分離した薄板状部品の一面と反対面との両面をそれぞれカラーで撮像する工程と、
撮影されたカラー画像データをパーソナルコンピュータに取り込み、閾値を用いて2値化し、モノクロ画像データに変換したのち、ラベリング処理する工程と、
ラベル領域内の中心位置を求め、中心位置情報から前記薄板状部品の画像データを抽出する工程と、
抽出した前記画像データについて2次元高速フーリエ変換を用いて前記モノクロ画像の周波数成分を算出し、周波数成分を同心円状にブロック化を行い、同一番号のブロックを加算して平均化したものを正規化することにより、ニューラルネットワークへ入力するスラブ値を算出し、このスラブ値をニューラルネットワークへ入力し、薄板状部品の良否を判定する工程と、
この判定工程による判定結果に基づいて良品と不良品とに振り分ける工程とを備えることを特徴とする薄板状部品検査方法。
【請求項2】
多量の薄板状部品を1個ずつに分離搬送して撮像部へ投入する搬送部と、前記撮像部に投入される薄板状部品の一面を撮像したのち、前記薄板状部品を反転して薄板状部品の他面を撮像する撮像部と、撮影されたカラー画像データをパーソナルコンピュータに取り込み、閾値を用いて2値化し、モノクロ画像データに変換したのち、ラベリング処理してラベル領域内の中心位置を求め、中心位置情報から前記薄板状部品の画像データを抽出し、抽出した前記画像データについて2次元高速フーリエ変換を用いて前記モノクロ画像の周波数成分を算出し、周波数成分を同心円状にブロック化を行い、同一番号のブロックを加算して平均化したものを正規化することにより、ニューラルネットワークへ入力するスラブ値を算出し、このスラブ値をニューラルネットワークへ入力し、薄板状部品の良否を判定する判定部と、この判定部による判定結果に基づいて良品と不良品とに振り分ける振り分け部とを備えた薄板状部品検査装置であって、
前記搬送部は、多量の薄板状部品を投入可能な円筒状周壁内に搬送ディスクが一定速度で回転可能に且つ停止可能に配備され、前記搬送ディスクの外周部でその半径方向に直交する延長線上に前記撮像手段への搬入口が設けられるとともに、同搬入口へ誘導するガイド部が前記搬入口より前記搬送ディスク上に張り出して設けられ、
前記撮像部は、前記薄板状部品を載置可能な板面により回転軸を中心にして前記円周方向に相互に直交する断面十字状に仕切られ、前記撮像部の搬入口から投入される薄板状部品を水平状態の一の板面上に受け入れ可能で、90°回転して前記板面を鉛直方向に起立させることで前記薄板状部品を反転させて回転方向側に隣接する板面上に移動させられる回転十字板と、この回転十字板を前記回転軸を介して一方向に90°毎に間欠的に回転させる駆動機構とを備えるとともに、デジタルカメラが前記板面上に水平に載置された前記薄板状部品を撮影可能に前記回転十字板の上方に設けられていることを特徴とする薄板状部品検査装置。
【請求項3】
前記搬送ディスクは前記薄板状部品が前記撮像部の搬入口から前記回転十字板の板面上に投入されると回転が停止し、前記回転十字板の板面上から搬出されると回転が開始されるように制御することを特徴とする請求項2記載の薄板状部品検査装置。
【請求項4】
前記搬送ディスクを前記撮像部の搬入口と反対側へ下向きに30°前後傾斜させたことを特徴とする請求項2または3記載の薄板状部品検査装置。
【請求項5】
前記搬入口は前記薄板状部品が1個ずつ通過可能な溝状の開口からなることを特徴とする請求項2~4のいずれか記載の薄板状部品検査装置。
【請求項6】
前記搬送ディスクの回転と停止の制御は、前記撮像部のデジタルカメラで撮影される前記回転十字板の板面上における薄板状部品の画像信号に基づき薄板状部品の有無を判断し、薄板状部品の画像信号が消えると前記搬送ディスクの回転を開始し、同画像信号が現れると前記搬送ディスクの回転を停止することを請求項2~5のいずれか記載の薄板状部品検査装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ニューラルネットワークを用いて薄板状部品、上方より表面と裏面を見て良否を判断できる厚みのない薄い部品、例えば樹脂製薄板状部品の良否を検査する薄板状部品の検査方法と検査装置に関する。この樹脂製薄板状部品には、例えば、携帯電話のようなモバイルツールに使用されるリチウムイオン電池においてプラス極とマイナス極とを隔てるためのリング板状の樹脂製仕切り板がある。
【背景技術】
【0002】
上記のような樹脂製仕切り板(以下、薄板状部品という)は、一般的に工場で大量生産されるが、同薄板状部品にバリや欠け、割れなどの欠陥があったり、油分などの異物が付着していたりすると、電池から液漏れなどを生じるおそれがある。そこで、最終工程において薄板状部品の検査を行う必要があるが、この検査は従来、人手による目視作業にて行われている。つまり、拡大鏡を用いて薄板状部品の一面を拡大して観察し、欠陥等がなければピンセットで裏返す。続いて反対面を拡大鏡で拡大して観察し、欠陥等の有無を検査している。
【0003】
しかし、こうした目視による薄板状部品の検査作業は熟練を要するうえに、熟練者であっても検査の精度にばらつきがある。また、検査に要する労力負担は極めて大きい。加えて、熟練者の不足を招いており、しかも作業効率が低いうえに一定していない。
【0004】
本発明に関連する先行技術として工業部品ではないが、錠剤についてその良否を検査し判定するシステムが提案されている。このシステムでは、錠剤の表面を撮像する撮像部と、この撮像部に錠剤を1ずつ送る搬送部と、撮像した画像を取り込んで錠剤表面にカゲや異物等の欠陥があるか否かを判定する画像処理部を備え、特殊光学部により錠剤の表面または裏面の画像と同時に、側面を全周撮像できるようにしている(例えば、特許文献1参照)。

【特許文献1】特開2005-241488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1に記載の検査・判定システムでは、錠剤の側面を全周にわたって撮像できるようにしているが、本発明は厚みの非常に薄い板状部品を検査対象としており、対象物が相違する。
【0006】
本発明は上記のような従来の人手による薄板状部品の検査作業を高精度で効率よく、自動的に行うことができる薄板状部品の検査方法と検査装置を提供することを目的としている。また、コンパクトで設置場所が小さくてすみ、操作が容易で動作が安定した装置を提供することを第2の目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明にかかる薄板状部品検査方法は、大量の薄板状部品を円盤上で回転させ、遠心力を与えて1個ずつに分離搬送する工程と、分離した薄板状部品の一面と反対面との両面をそれぞれカラーで撮像する工程と、撮影されたカラー画像データをパーソナルコンピュータに取り込み、閾値を用いて2値化し、モノクロ画像データに変換したのち、ラベリング処理する工程と、ラベル領域内の中心位置を求め、中心位置情報から前記薄板状部品の画像データを抽出する工程と、抽出した前記画像データについて2次元高速フーリエ変換を用いて前記モノクロ画像の周波数成分を算出し、周波数成分
を同心円状にブロック化を行い、同一番号のブロックを加算して平均化したものを正規化することにより、ニューラルネットワークへ入力するスラブ値を算出し、このスラブ値をニューラルネットワークへ入力し、薄板状部品の良否を判定する工程と、この判定工程による判定結果に基づいて良品と不良品とに振り分ける工程とを備えることを特徴とする。
【0008】
上記構成を有する本発明の薄板状部品検査方法によれば、多量の薄板状部品を個々に分離しながら搬送し、判定すべき薄板状部品を1個ずつ、その一面をカメラで撮影したのちに反転させて反対面をカメラで撮影し、それらの画像データから薄板状部品の画像をラベリング処理して抽出するので、識別を確実に行える。さらに、2次元高速フーリエ変換により前記画像データを周波数成分に変換し、薄板状部品の傷やバリの位置などについての画像データの特徴点を容易に把握できるようにしたので、薄板状部品の位置ずれや回転に対しても不変な情報を得られる。しかも薄板状部品をニューラルネットワークで判別するので、薄板状部品のような工業品で傷の大きさや形状、油分などの汚れの有無などによる入力情報の変動に影響されやすいものでも、薄板状部品の良否を正しく判定できる。
【0009】
上記の目的を達成するために本発明の薄板状部品検査装置は、多量の薄板状部品を1個ずつに分離して撮像部へ投入する搬送部と、前記撮像部に投入される薄板状部品の一面を撮像したのち、前記薄板状部品を反転して薄板状部品の他面を撮像する撮像部と、撮影されたカラー画像データをパーソナルコンピュータに取り込み、閾値を用いて2値化し、モノクロ画像データに変換したのち、ラベリング処理してラベル領域内の中心位置を求め、中心位置情報から前記薄板状部品の画像データを抽出し、抽出した前記画像データについて2次元高速フーリエ変換を用いて前記モノクロ画像の周波数成分を算出し、周波数成分を同心円状にブロック化を行い、同一番号のブロックを加算して平均化したものを正規化することにより、ニューラルネットワークへ入力するスラブ値を算出し、このスラブ値をニューラルネットワークへ入力し、薄板状部品の良否を判定する判定部と、この判定部による判定結果に基づいて良品と不良品とに振り分ける振り分け部とを備えた薄板状部品検査装置であって、前記搬送部は、多量の薄板状部品を投入可能な円筒状周壁内に搬送ディスクが一定速度で回転可能に且つ停止可能に配備され、前記搬送ディスクの外周部でその半径方向に直交する延長線上に前記撮像部への搬入口が設けられるとともに、同搬入口へ誘導するガイド部が前記搬入口より前記搬送ディスク上に張り出して設けられ、前記撮像部は、前記薄板状部品を載置可能な板面により回転軸を中心にして前記円周方向に相互に直交する断面十字状に仕切られ、前記撮像部の搬入口から投入される薄板状部品を水平状態の一の板面上に受け入れ可能で、90°回転して前記板面を鉛直方向に起立させることで前記薄板状部品を反転させて回転方向側に隣接する板面上に移動させられる回転十字板と、この回転十字板を前記回転軸を介して一方向に90°毎に間欠的に回転させる駆動機構とを備えるとともに、デジタルカメラが前記板面上に水平に載置された前記薄板状部品を撮影可能に前記回転十字板の上方に設けられていることを特徴とする。
【0010】
上記構成を有する薄板状部品検査装置によれば、多量の薄板状部品を回転円盤上に投入するだけで、薄板状部品は1個ずつ撮像部へ送られ、ここで一面(これを表面とする)が撮影されると、回転十字板が90°回転することにより薄板状部品は起立状態になって回転方向側に隣接する板面上に倒れるように反転する。そして、この反転した状態の薄板状部品は反対面である裏面が撮影される。撮影後の画像データに基づく製品としての良否の判定は、上記請求項1の検査方法と共通する。そして良否が判定された後に、良品と不良品とに振り分けられるが、この点も共通している。
【0011】
請求項3に記載のように、前記搬送ディスクは前記薄板状部品が前記撮像部の搬入口から前記回転十字板の板面上に投入されると回転が停止し、前記回転十字板の板面上から搬出されると回転が開始されるように制御することができる。
【0012】
請求項3記載の薄板状部品検査装置によれば、撮像部に薄板状部品が投入されると、カメラで撮影され、ニューラルネットワークにより薄板状部品の良否が判定されるので、その間は搬送部から新たに薄板状部品が投入されるのを防ぐため、搬送ディスクの回転が停止する。
【0013】
請求項4に記載のように、前記搬送ディスクを前記撮像部の搬入口と反対側へ下向きに30°前後傾斜させることが望ましい。
【0014】
請求項4記載の薄板状部品検査装置によれば、本実施例の検査対象とする樹脂製円板状部品の場合、個々に分離された薄板状部品が搬送ディスクの外周部上で連接状態になり、搬送ディスクの回転で1個ずつ搬入口より撮像部へ搬送される。円板状部品は回転する搬送ディスク上で前方下部に集約され、搬送ディスクの後部への上向き回転に伴って個々に分離されつつ、上部の搬入口へ向けて1個ずつ搬送され、連接状態となる。
【0015】
請求項5に記載のように、前記搬入口は前記薄板状部品が1個ずつ通過可能な溝状の開口からなることが好ましい。
【0016】
請求項5記載の薄板状部品検査装置によれば、搬入口の開口の大きさを薄板状部品が1個だけ通過可能な大きさに設定しているので、2個以上の薄板状部品が重なり合って搬送されても、搬入口で2個以上の薄板状部品の同時通過が阻止され、確実に1個の薄板状部品が撮像部へ搬送される。
【0017】
請求項6に記載のように、前記搬送ディスクの回転と停止の制御は、前記撮像部のデジタルカメラで撮影される前記回転十字板の板面上における薄板状部品の画像信号に基づき薄板状部品の有無が判断されるもので、薄板状部品の画像信号が消えると前記搬送ディスクの回転を開始し、同画像信号が現れると前記搬送ディスクの回転を停止する。
【0018】
請求項6記載の薄板状部品検査装置によれば、薄板状部品が透明体や半透明体であってセンサーによる検知が難しい場合でも、カメラで撮影した画像に基づいて薄板状部品の有無を判断し、撮像部に薄板状部品があれば搬送ディスクの回転を停止し、なければ搬送ディスクの回転を開始するので、撮像部における薄板状部品の存在を確実に把握できる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る薄板状部品の検査方法および検査装置には、次のような優れた効果がある。すなわち、薄板状部品の良否を人手を使用せずに、効率よく且つ正確に検査することができる。このため、熟練工の不足に対応できるほか、熟練工の場合と違って検査の精度や効率が安定しており、作業者の労力負担を大幅に軽減できる。特に海外での薄板状部品の生産においてその部品の検査を行うのに適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る薄板状部品検査装置について実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は本発明の薄板状部品検査装置の実施例を概略的に示す正面図、図2は同側面図、図3は分離搬送部を示す平面図である。図4(a)は撮像部を概略的に示す正面図、図4(b)は同側面図、図5(a)は薄板状部品の一例としての正常な円板状部品を示す上方より見た斜視図、図5(b)(c)は円盤状部品の不良品パターン1および不良品パターン2を示す平面図である。図6はNNを用いた判定部10の基本構成を示す説明図、図7は本発明の実施例に係る検査装置1に基本的な動作フローを示すフローチャート、図8は撮像した画像データから1個の部品画像を抽出する抽出部の動作フローを示すフローチャ
ート、図9はNNを用いた円板状部品Aの良否を判別する方法を示す動作フロー図である。
【0022】
図5に示すように、本実施例では薄板状部品として、樹脂製の中央部に円形穴A1を有する円板状部品Aを検査対象とし、この円板状部品Aは直径10mm以下(例えば8mm)で、中央部円形穴A1の口径が3mm以下(例えば2.5mm)で、厚みが1mm以下(例えば0.8mm)からなる。円板状部品Aは外周縁あるいは中央部円形穴A1の内周縁にバリが生じたり、一面(表面あるいは裏面)に図5(c)のような傷や図5(b)のような割れあるいは欠けなどが生じたり、一面に油分などの汚れが付着したりした、いわゆる欠陥のあるものを不良品とし、そうした欠陥が全くないもの(図5(a))を良品とする。
【0023】
本実施例に係る検査装置1は、図1に示すように四角柱状筐体1aの前方へやや下向きに傾斜した上面1bに円板状部品Aの投入口1cを開口しており、この投入口1cから検査装置1内上部に設けた搬送部2の搬送ディスク3上に多量の円板状部品Aを投入する。搬送ディスク3の周囲は円筒状周壁4で囲まれており、搬送ディスク3の後部には、半径方向に直交する方向に、搬送ディスク3の外周縁部から一側方へ張り出して撮像部6の搬入口5が溝状に設けられている。この搬入口5は円板状部品Aが1個ずつ通過可能な大きさからなる。搬送ディスク3は、図2に示すように筐体1a内において前方へ下向きに傾斜させて回転可能に支持され、DCモータ17により一定速度で比較的ゆっくりと回転する。本例の円板状部品Aの搬送部2では、搬送ディスク3を水平面に対し略30°傾斜させている。搬送ディスク3上には、通常1000個以上の円板状部品Aが投入され、遠心力で円筒状周壁4側へ寄せられるようにして回転する搬送ディスク3により1個ずつに分離されながら、円周方向に搬送される。そして、上端部側で撮像部6の搬入口5から「へ」の字状に搬送ディスク3上に延設されているガイド5aに沿って複数個の円板状部品Aが一列に並び、搬入口5に案内される。
【0024】
搬入口5は撮像部6に連通しており、この撮像部6内には、図4に示すように水平な回転軸7aを中心に円周方向に90°の間隔で載置板7bの基端が先端にかけて放射状に取り付けられ、回転十字板7に構成されている。本例の場合は、回転軸7aの一端にDCモータ8が接続され、回転十字板7が1方向(反時計方向)に90°毎に間欠的に回転して4枚の載置板7bのうち1枚の載置板7bが鉛直方向に位置すると、センサー16にて検知され、回転が停止する。センサー16は図4のように載置板7bの先端部7cがセンサー16を遮断することで、水平位置からの載置板7bが90°回転したことを検知し、回転十字板7の回転をいったん停止する。また、回転十字板7と搬送ディスク3とは回転・停止の動作が連携されており、いずれか一方が回転する状態になると、他方は停止状態になる。具体的には、搬送ディスク3が数秒(例えば3秒)間回転を継続し、搬入口5より円板状部品Aが撮像部6内の一方の水平な載置板7b上に投入されると、デジタルカメラ9にて円板状部品Aの存在が画像信号で確認される。すると、搬送ディスク3の回転が停止する。この停止状態は撮像部6内に投入された円板状部品Aが消えるまで、つまり後述の振り分け装置によって一方の選別ボックスに振り分けられるまで継続する。そして、円板状部品Aが撮像部6から消えると、搬送ディスク3が回転を開始し、新しい円板状部品Aが搬入口5から撮像部6へ搬入されると、搬送ディスク3の回転が停止する。
【0025】
図4に示すように、前記撮像部6内において、鉛直方向の載置板7bの真上で、載置板7bの延長線上に載置板7b上の円板状部品Aを撮影するためのデジタルカメラ9が下向けに配備されている。このデジタルカメラ9は、鉛直方向に上向きの載置板7bを挟んでそれぞれ水平に配置される両側の載置板7b上の円板状部品Aを撮影可能である。載置板7bが反時計方向に90°回転し、鉛直方向に起立状態となることにより、円板状部品Aは反転して回転方向(反時計方向)側に隣接した水平な載置板7b上に移動する。この状
態で、円板状部品Aは反対面(裏面)を上向きにしており、デジタルカメラ9により再び撮影される。つまり、本例では円板状部品Aの表裏両面があらかじめ撮影され、搬入口5から円板状部品Aが通常は一個宛片方(図の右側)の水平な載置板7b上に搬入され、デジタルカメラ9にて撮影される。
【0026】
こうして、円板状部品Aの一面(表面)が撮影されると、回転十字板7が90°回転して円板状部品Aを反転した後その反対面(裏面)をデジタルカメラ9で撮影してから、判定部10でNNにより良否が判別されるが、図7のフローチャートに示すように円板状部品Aの片面を撮影し、NNにより良否を判別した後に、回転十字板7を90°回転させて円板状部品Aを反転させ、円板状部品Aの反対面を撮影し、NNにより良否を判別するようにしてもよい。
【0027】
図1・図2に示すように、回転十字板7の下方に振り分け装置11が配設されている。振り分け装置11は左右に略90°回転する回転軸12に、選別用ガイド板13の基端が一体回転可能に固定されて構成されている。また、振り分け装置11の回転軸12は、回転十字板7の回転軸7aと平行に、かつ載置板7bの回転方向に偏って配置されている。そして、水平な載置板7b上に円板状部品Aが投入されたのち、回転十字板7が反時計方向に90°回転し、円板状部品Aが反転して回転方向に隣接した載置板7b上に移動し、この状態から回転十字板7がさらに90°回転したときに、円板状部品Aは載置板7b上から落下し、選別用ガイド板13に沿ってその下方に配置される2種類の選別ボックス14・15のうちの一方の選別ボックスに投入される。図1中の符号13a・13bは選別用ガイド板13の回転範囲を規制するストッパーである。
【0028】
ここで、図1・図3の右側の選別ボックス15を良品用、左側の選別ボックス14を不良品用とすれば、判定部10においてNNにより円板状部品Aの良否が判定されると、その判定結果によってガイド板13が右または左に回転し、載置板7bから落下した円板状部品Aが一方の選別ボックス14(または15)に振り分けられる。
【0029】
ところで、デジタルカメラ9によって撮影された円板状部品Aの画像データはパーソナルコンピュータ(図示せず、以下PCともいう)へ送られ、閾値により2値化され、背景
を黒色とした白い画像に変換処理される。モノクロ画像化された円板状部品Aはラベリング処理される。円板状部品Aは通常1個だが、重なり合って2個の円板状部品Aが搬入される場合や円板状部品Aが搬入されない場合もあり、前者の場合は1・2とラベルされが、後者の場合はラベルされず0となる。0の場合には、搬送ディスク3が回転し、円板状部品Aが回転十字板7の載置板7b上に搬入されるまで待機している。
【0030】
円板状部品Aのラベリング処理が終了すると、ラベル領域内の中心位置を求め、中心位置情報から円板状部品Aの画像データが抽出される。ラベル領域内に円板状部品Aの全体画像が抽出されると、抽出成功と見なされる。円板状部品Aの抽出の成否は、ラベル面積が閾値を超えているか否かで判定される。抽出に成功すると、円板状部品Aの画像データをニューラルネットワーク(以下、NNという)の入力に適する数値に変換するために、下記の数式1に示す2次元高速フーリエ変換を用いて前記モノクロ画像の周波数成分を算出し、周波数成分を同心円状にブロック化を行う。下記の数式2に示す加算平均の式を用いて図に示す同一番号のブロックを加算して平均化したものを正規化することにより、入力層の各ユニット(以下、ニューロ素子ともいう)に入力するスラブ値とする。また、2
次元高速フーリエ変換から得られる成分の有効領域が50×50であるため、スラブ値は50個とする。
【0031】
このスラブ値をニューラルネットワークへ入力し、円板状部品Aの良否を判定する。
【数1】
JP0004747313B2_000002t.gif
【数2】
JP0004747313B2_000003t.gif

【0032】
本例では、3階層構造の演算部は、入力層(50ニューロ素子)、隠れ層(50ニューロ素子)および出力層(2ニューロ素子)の3層からなっており、入力層では2次元高速フーリエ変換から得られる成分の有効領域ごとに演算処理されたスラブ値を対応するニュ-ロ素子に入力する。隠れ層は、本例では50個のニュ-ロ素子からなり、入力層の情報を伝搬演算して出力層に伝達する役割を果たしている。この隠れ層が多くなればそれだけ、入力層のスラブ値の変動に対しても不変に各パタ-ンの各々に分離演算できる。出力層には、識別すべき「円板状部品A」の良品と不良品とに1対1で対応できるように2個のニュ-ロ素子が設けられている。そして、学習により完成したニュ-ロ素子間の重み係数による出力ニューロ素子値を出力ニューロ素子の数個分を算出する。
【0033】
一部繰り返しになるが、NNを用いた円板状部品Aの良否を判別(判定)する方法について、以下に詳しく説明する。
【0034】
1) 本例では、USB接続のデジタルカメラ9による円板状部品Aの撮影済みRGBカラー画像をPCに取り込む(図9(a))。
【0035】
2) 閾値を用いて2値化を行い、モノクロ画像に変換する。
【0036】
(R×0.33+G×0.33+B×0.33)/3=X
3) 仮に2個以上の円板状部品Aが重なり合った状態の場合には、8近傍収縮処理(左右・上下・斜めの各近傍を収縮処理)を行い、重なった状態の円板状部品Aを分離し、ラベリングを行う。続いて、中心位置を求めて128×128(2のn乗×2のn乗)にビルニア(bilnear)法を用いて縮小し、抽出を行う。
【0037】
4) 抽出した画像を、円盤状部品Aと背景とを区別できる閾値を用いて2値化し、背景を黒(0×00)で塗りつぶす。
【0038】
5) 上記の数式1による2次元高速フーリエ変換を用いて、上記5)のモノクロ画像(128×128pixel)の周波数成分を算出する(図9(b))。
【0039】
6) 算出した周波数成分について同心円状にブロック化を行う(図9(c))。7) 同一番号のブロックを加算して平均化したものを正規化することにより、NNへ入力する値を求める(図9(d))。
【0040】
例えば、図9(d)の「1」のところだけを加算して平均を取った値が、NNの入力要素の1つとなる。Σx(i)/12(i=1,2,…12)
その他の入力要素も同様な算出形式で、Σx(i)/N(i=1,2,…N) ただし、Nは同心円状の同じ色の個数
つまり、0・1・2・3・4・5・………48・49・50
こうして作成した入力値をNNへ入力し、円板状部品Aの良否を判別する。
【0041】
ここで、判定部10の基本構成についてさらに詳しく説明する。図6は判定部10の基本構成を示す説明図である。図6中のニューロテンプレートが円板状部品Aの良否を個々に判別するものとなる。その判別過程は円板状部品Aの画像が前処理である2次元高速フーリエ変換で処理され、NNへの入力値であるスラブ値が算出される。この場合は50個の値が入力される。
【0042】
次に、それぞれのニューロテンプレートにこの値が入力され、NNの前向き計算が実施される。ニューロテンプレートは円板状部品Aの良否を判別する。
【0043】
こうして、回転十字板17aの載置板7b上の円板状部品Aについて良否が識別されるが、円板状部品Aは反転した状態で回転十字板17aの載置板7b上に待機しており、判定部10にて薄板状部品の良否が判別されると、判別結果に対応した選別ボックス(良品
用ボックス14または不良品用ボックス15)に振り分け装置11(図2)によって振り分けられる。
【0044】
ところで、本発明の実施例に係る円板状部品Aの良否の判定部10は、判別対象としての欠陥のない円板状部品Aと、想定される各種欠陥を有する複数の円板状部品Aについてあらかじめデジタルカメラで撮影され、画像データに基づいた円板状部品Aの各種欠陥に関するデータ(欠陥パターン)がNNを用いて学習登録されている。そして、画像データのうち、特に正常な円板状部品Aの全体形状、色合いなど全く正常な円板状部品に関するデータとともに、欠陥パターンなどの円板状部品Aのあらゆる欠陥を判別する上で重要な特徴的模様(パターン)に関するデータが図9に示すように2次元高速フーリエ変換を用いて周波数解析処理され、入力パターン(スラブ値)としてNNの入力層に入力され、記憶されている。
【0045】
そして、搬送部2で1個ずつの円板状部品Aに分離され、デジタルカメラ9で撮影された画像データが図6の動作フローに沿って変換処理され、作成された入力パターンが入力層→隠れ層→出力層へ伝達・処理され、出力層から出力値(出力パターン)が出力される。この出力値は、それまでの学習によって得られた重み係数に基づくもので、本例の場合には、検査対象の円板状部品Aについて良品であるか、あるいは欠陥のある不良品であるかが判別され、その判別結果が出力される。
【0046】
また、NNにおいて、円板状部品Aの正常パターンと欠陥パターンにつき逆に正しい出力値が与えられると、出力層→隠れ層→入力層の順で伝達・処理され、各層間の重み係数について学習がなされるが、この重み係数の学習は、実際の出力値と正しい出力値との差が減るように、入力ニューロ素子・隠れニューロ素子・出力ニューロ素子のニューロ素子間における結合の強さを変化・収束させることである。
【0047】
詳しくは、NN学習に関し、NNの構成は階層型の3層NNを用いており、学習方法として改良型バックプロパゲーション法を採用している。この改良型バックプロパゲーション法の更新式は、下記の数式3で表される学習アルゴリズムである。
改良型バックプロパゲーション法の更新式は,数式3で与えられる。
【0048】
【数3】
JP0004747313B2_000004t.gif

【産業上の利用可能性】
【0049】
以上のように、本発明に係る薄板状部品の検査方法および検査装置は、例えば樹脂成形される薄板状部品のようにバリや欠けが生じたりする製品で、しかも高精度が要求される場合に、その製品を人手によらず自動的に検査するのに利用できる。また本発明は、製品の厚み方向の良否が問題にならない、いわゆる薄物工業品であれば、特に円形板状の部品に限らず、各種形状の薄物品の検査に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の薄板状部品検査装置の実施例を概略的に示す内部を透視して表した正面図である。
【図2】図1の内部を透視して表した側面図である。
【図3】分離搬送部を示す平面図である。
【図4】図4(a)は撮像部を概略的に示す正面図、図4(b)は同側面図である。
【図5】図5(a)は薄板状部品の一例としての正常な円板状部品を示す上方より見た斜視図、図5(b)は円盤状部品の不良品パターン1および不良品パターン2を示す平面図である。
【図6】NNを用いた判定部10の基本構成を示す説明図である。
【図7】本発明の実施例に係る検査装置1に基本的な動作フローを示すフローチャートである。
【図8】撮像した画像データから1個の部品画像を抽出する抽出部の動作フローを示すフローチャートである。
【図9】NNを用いた円板状部品Aの良否を判別する方法を示す動作フロー図である。
【符号の説明】
【0051】
1 検査装置
1a四角柱状筐体
1c投入口
2 搬送部
3 搬送ディスク
4 円筒状周壁
5 撮像部搬入口
6 撮像部
7 回転十字板
7a回転軸
7b載置板
8・17 DCモータ(駆動機構)
9 デジタルカメラ
10判定部
11振り分け装置
12回転軸
13ガイド板
14・15選別ボックス
16センサー
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
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【図8】
7
【図9】
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