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明細書 :貝分別方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5126709号 (P5126709)
公開番号 特開2009-011969 (P2009-011969A)
登録日 平成24年11月9日(2012.11.9)
発行日 平成25年1月23日(2013.1.23)
公開日 平成21年1月22日(2009.1.22)
発明の名称または考案の名称 貝分別方法
国際特許分類 A01K  61/00        (2006.01)
B07C   5/342       (2006.01)
G01N  21/35        (2006.01)
G01N  21/17        (2006.01)
G01N  21/85        (2006.01)
FI A01K 61/00 E
B07C 5/342
G01N 21/35 Z
G01N 21/17 A
G01N 21/85 Z
請求項の数または発明の数 2
全頁数 8
出願番号 特願2007-178626 (P2007-178626)
出願日 平成19年7月6日(2007.7.6)
審査請求日 平成22年6月10日(2010.6.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504155293
【氏名又は名称】国立大学法人島根大学
発明者または考案者 【氏名】丸山 信之
個別代理人の代理人 【識別番号】100116861、【弁理士】、【氏名又は名称】田邊 義博
審査官 【審査官】土井 伸次
参考文献・文献 特開平10-229776(JP,A)
特開平08-201290(JP,A)
特開2006-313523(JP,A)
特開平03-229678(JP,A)
特開2000-235005(JP,A)
特開2003-106995(JP,A)
実開昭64-039889(JP,U)
調査した分野 A01K 61/00
B07C 5/342
G01N 21/17
G01N 21/35
G01N 21/85
特許請求の範囲 【請求項1】
シジミ貝またはアサリ貝等の二枚貝について、出荷に適さないものを分離する方法であって、
貝を判別台の上に載置する載置工程と、
載置工程で載置された貝に対して、片側から近赤外光を照射する照射工程と、
貝をはさんで照射側とは反対側から、IRフィルタを介して近赤外域を中心とする貝の足部分の血管構造の透光画像を撮像する撮像工程と、
撮像工程で撮像された画像に基づいて、波長800nm~1200nmの吸光画像を、回転、反転、移動、拡大、縮小、光波長フィルタリング、階調変換、および、変位点の解析・抽出の中から必要な処理をおこなって情報を抽出し、判定用画像を作成する判定用画像作成工程と、
判定用画像作成工程で作成された画像を入力し、あらかじめ作成しておいたベイジアンネットワークと自己組織化マップ(SOM)による解析アルゴリズムとに基づいて情報処理を行い、当該画像にかかる貝が出荷に適しているか否かを判定する判定工程と、
判定工程で適否の判定された貝をそれぞれ分別する分別工程と、
を含んだことを特徴とする貝分別方法。
【請求項2】
分別を船上でおこなうことを特徴とする請求項1に記載の貝分別方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、貝分別方法に関し、特に、粒径の大きくない二枚貝であるシジミ貝やアサリ貝の中から死貝を分別する貝分別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ジジミなどの粒が小さな二枚貝は、鋤簾と呼ばれる漁具で漁をおこない既存の一時選別機を用いて、主として開口している死貝と石・木くず等の異物を除去した後に水揚げされている。この水揚げされた二枚貝のうち、出荷に適さない貝は陸上でさらに主として手作業で、分別・除去されている。出荷不適合である貝とは、閉口している死貝であって中に泥の入っている泥貝や、閉口している死貝であって中に何も入っていない空貝がある。
【0003】
これらの選別は、貝同士を手の中でぶつけたり、床に転がしたりする際の音が特徴的であるので、音による手法が主である。
【0004】
ここで、シジミ貝は小粒であり、多数の貝を処理する必要もある。多数の貝の中から死貝を分別するのは繁雑な作業であり、また、貝が死んで腐りはじめの場合には音による判別が難しい場合もあり、分別には熟練が必要となる。実際、このような作業負担の軽減のため、音による自動判別機なども提案されている。
【0005】

【特許文献1】特開平10-229776号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では以下の問題点があった。
シジミ貝などは一日の漁獲量が制限されているため、船上で分別を行い、出荷適合品のみを漁獲箱に入れて帰港することが望ましい。ここで、音による自動判別の場合、船上では騒音などS/N比がよくない場合があり、船に装置を搭載しにくいといった問題点があった。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、船に搭載可能であり、熟練した作業員が分別した場合と同程度以上の判別率を有し、高速な分別作業も可能とする貝分別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の貝判別方法は、シジミ貝またはアサリ貝等の二枚貝について、出荷に適さないものを分離する方法であって、貝を判別台の上に載置する載置工程と、載置工程で載置された貝に対して、片側から近赤外光を照射する照射工程と、貝をはさんで照射側とは反対側から、IRフィルタを介して近赤外域を中心とする貝の足部分の血管構造の透光画像を撮像する撮像工程と、撮像工程で撮像された画像に基づいて、波長800nm~1200nmの吸光画像を、回転、反転、移動、拡大、縮小、光波長フィルタリング、階調変換、および、変位点の解析・抽出の中から必要な処理をおこなって情報を抽出し、判定用画像を作成する判定用画像作成工程と、判定用画像作成工程で作成された画像を入力し、あらかじめ作成しておいたベイジアンネットワークと自己組織化マップ(SOM)による解析アルゴリズムとに基づいて情報処理を行い、当該画像にかかる貝が出荷に適しているか否かを判定する判定工程と、判定工程で適否の判定された貝をそれぞれ分別する分別工程と、を含んだことを特徴とする。
【0009】
すなわち、請求項1にかかる発明は、近赤外光の有する次の2つの性質、貝殻・骨等の石灰質と貝の身である筋肉等の組織を容易に透過する点、および、貝の血液リンパによって吸光される(透過しにくい)点(貝やイカ、タコ等のヘモシアニンを有する軟体動物の生体に存在するヘモリンパの吸光スペクトルに特徴的な近赤外の波長領域を用いて判定する点)、を利用したものである。近赤外光のこれらの性質を用いて、貝殻と貝の身の成分の影響を除き、貝の血液リンパの分布、特に貝の血管構造を撮像・解析することによって、出荷に適した貝を分別する。対象とする貝は二枚貝であるので、巻き貝のように貝殻の影響が少なく、血液分布画像の重なりが生じることがない。判別はベイジアンネットワークおよび自己組織化マップによるニューロコンピューターアルゴリズムを用いるので、あらかじめ多量の貝を熟練した作業員により判別してもらい、それを用いてデータベースを構築しておけば、単に貝の生き死にの判別を超えて、出荷に適しているかといった高次元の判定(熟練作業員そのものの判定)が可能となる。なお、IRフィルタを介して画像を取り込むので、単なる光の強さに基づく濃淡画像(白黒画像)を入力ないし処理しても、これを貝の欠陥構造と血液分布の画像であるとして信頼性高く取り扱うことができ、それ故、逆に、コンピュータ負荷を小さくでき処理を高速におこなうことが可能となる。画像のコントラストを高めるにはたとえば940nmの波長領域を中心として、フィルタリングする。また、波長が945nm±45nmである安価なLED(発光ダイオード)を用いることができ、コスト削減も可能となる。
【0010】
定用画像は、標準化(規格化)してある方が判別効率があがるため、たとえば、蝶番部分で位置決めをして貝の外形を回転、移動、反転、拡大または縮小して大きさをそろえ、さらに光波長フィルタリング、階調変換を行い、変位点を解析・抽出するものとする。
【0011】
また、請求項2に記載の貝判別方法は、請求項1に記載の貝分別方法において、分別を船上でおこなうことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、船に搭載可能であり、熟練した作業員が分別した場合と同程度の判別率を有し、高速な分別作業を可能とする貝分別方法を提供可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明する。ここでは、本発明方法を利用したシジミ貝分別装置について説明する。図1は、シジミ貝分別装置の概念模式図である。シジミ貝分別装置100は、シジミ貝を投入するホッパ101と、コンベア102と、投光器103と、撮像装置104と、解析装置105と、除去機106と、不適合貝収集ボックス107と、適合貝収集ボックス108と、を有する。
【0014】
ホッパ101は、シジミ貝を多数収容し、一粒ずつコンベア102上に載置する。コンベア102のベルトは移動しているので、シジミ貝が跳ねないように、適宜静置させるような機構が備わっているものとする。
【0015】
コンベア102は、透明のベルトにより無終端となり、シジミ貝を移動させる。透明のベルトに水滴等がついていても近赤外では特に影響はないが、適宜ハケなどにより透明ベルトがクリアになりようにしている(図示せず)。なお、ホッパ101と同様に、コンベア102側でも、ベルトを薄手で透明のフェルトで被覆するなどしてシジミ貝が跳ねないようにする。
【0016】
投光器103は、近赤外光を発するLEDを用いるものとする。これにより、石灰質を透過し、かつ、ヘモリンパに基づく貝の身の組織の血管構造と血液分布画像が撮像可能となる。LEDとしては特にメーカは限定されないが、たとえば、サンケン電気株式会社製のSID1010CMやSID1050CM(狭指向性)(940nm)やSID1G313C(850nm)、浜松ホトニクス社製のL1915-02(890nm)を用いることができる。なお、複数のLEDを組み合わせて面発光させ、光量を確保するものとする。
【0017】
撮像装置104は、投光器103からの貝の透過光を撮像する。画像の取り込みとしては静止画であっても動画であってもよい。ここで、撮像装置104は、投光器103に対向させコンベア102の上空に配置する。これは、コンベア102から滴下する水滴が撮像装置104にかからないようにするためと、直射日光等の影響を防止するためである。撮像装置104で撮像された貝の映像は、解析装置105により、SOMにより出荷適合品であるか否かが判断される。このとき、画像は適宜標準化(回転、反転、移動、拡大、縮小)するものとする。
【0018】
図2は、生きたシジミ貝の透過光の撮像例である。図3は、死んだシジミ貝の透過光の撮像例である。図から明らか様に、生きた貝では、足部分の貝の血管構造画像が鮮明であるのに対し、死んだ貝では、足部分はほとんど影として表れない。よって、画像解析の負荷を軽減するようにこの部分の画像を用いて判別するようにしてもよい。
【0019】
解析装置105で、不適合と判別されたものはコンベア下流で除去機106のアームにより押し出され、不適合貝回収ボックス107に収容される。一方、解析装置105で適合貝と判別されたものは、そのまま下流に移動し、適合貝回収ボックス108に収容される。
【0020】
シジミ貝分別装置100を用いれば、操業者は、装置稼働後に適合貝回収ボックス108内の貝の重量が一日の漁獲制限量に満たない場合は、さらに操業し、ホッパ101にシジミ貝を投入して漁獲制限量いっぱいに貝を採取し帰港することができるようになる。
【0021】
図4は、分別のフローを示したフローチャートである。まず、シジミ貝が判別台(コンベア)の上に載置される(ステップS201)。ついで、この貝は、上方から波長945nmの近赤外光が照射され、下方から透光画像が撮像される(ステップS202)。撮像装置は、特にメーカは限定されないが、たとえば富士フイルム社製のIR-96等の適切な光吸収・赤外透過フィルタを有するものとし、受光素子には高解像度で、カラー撮影が可能なものが好ましい。
【0022】
画像は、適宜、回転、反転、縦横移動、拡大縮小、光波長フィルタリング、階調変換され、また、場合によっては、所定部位が抽出され、判定用画像が作成される(ステップS203)。この画像を、貝殻縁から二枚貝の足・内蔵内の血管までの距離やその濃淡の画像解析をしたり、あるいは、ベイジアンネットワークおよび自己組織化マップによる解析アルゴリズムに基づいて情報処理をおこなうことによってその貝が出荷に適しているか否かを判定する(ステップS204)。最後に、適否の判定された貝を分別する(ステップS205)。
【0023】
シジミ貝分別装置100は簡便な構成であるので船上に取り付けることが可能である。なお、以上の例では、シジミ貝を一粒ずつ並べるようにしたが、たとえば、5粒ずつ一列におくようにして処理量を向上させることもできる。このとき、進行方向に斜めにジグザグになるように静置すれば、除去機106は、上述したアーム一本でも押し出しが可能となる。また、このほか、音による判別機構も取り入れて二重チェックするようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上の例では、シジミ貝分別装置について説明したが、二枚貝であれば厚みも少なく近赤外光による貝の血管構造と血液分布を画像を用いて判別が可能となるので、アサリ貝や蛤等の他の二枚貝にも適用可能となる。また、貝の健康状態も把握できる可能性もあり、これを利用して水質状態を把握することも可能となる。
【0025】
さらに、船上にて出荷適合貝を選択的に漁獲することが可能となるため、漁獲効率が増すと共に、これまで出荷不適合貝が多く、漁場として向いていないとされていた場所への出漁が可能となる。このことは強いては、宍道湖湖底等の澱んでいるため溶存酸素濃度が低く死貝の発生率が上昇している漁場において、漁操業により湖底をかき回す作業を促し、同部での溶存酸素濃度を上昇させるため、環境保全・改善にも寄与するものと見込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ジミ貝分別装置の概念模式図である。
【図2】生きたシジミ貝の透過光の撮像例である。
【図3】死んだシジミ貝の透過光の撮像例である。
【図4】分別のフローを示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0027】
100 シジミ貝分別装置
101 ホッパ
102 コンベア
103 投光器
104 撮像装置
105 解析装置
106 除去機
107 不適合貝収集ボックス
108 適合貝収集ボックス



図面
【図1】
0
【図4】
1
【図2】
2
【図3】
3