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明細書 :流体内推進装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4929088号 (P4929088)
公開番号 特開2009-029214 (P2009-029214A)
登録日 平成24年2月17日(2012.2.17)
発行日 平成24年5月9日(2012.5.9)
公開日 平成21年2月12日(2009.2.12)
発明の名称または考案の名称 流体内推進装置
国際特許分類 B63H   1/36        (2006.01)
FI B63H 1/36
請求項の数または発明の数 5
全頁数 8
出願番号 特願2007-193681 (P2007-193681)
出願日 平成19年7月25日(2007.7.25)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 2007年3月20日、エアロ・アクアバイオメカニズム研究会発行の「第19回 エアロ・アクアバイオメカニズム研究会講演会資料集」に発表
審査請求日 平成22年7月20日(2010.7.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】800000068
【氏名又は名称】学校法人東京電機大学
発明者または考案者 【氏名】伊東 明俊
【氏名】片瀬 直孝
個別代理人の代理人 【識別番号】100083806、【弁理士】、【氏名又は名称】三好 秀和
【識別番号】100100712、【弁理士】、【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
【識別番号】100100929、【弁理士】、【氏名又は名称】川又 澄雄
【識別番号】100095500、【弁理士】、【氏名又は名称】伊藤 正和
【識別番号】100101247、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 俊一
【識別番号】100098327、【弁理士】、【氏名又は名称】高松 俊雄
審査官 【審査官】志水 裕司
参考文献・文献 特開2000-219195(JP,A)
特開平01-156194(JP,A)
調査した分野 B63H 1/36
特許請求の範囲 【請求項1】
リンク機構と、該リンク機構の前端部に設けられた回転軸と、該リンク機構の後端部に設けられた固定板と、リンク機構に関して回転軸の上部及び固定板の上部を連結する上部弾性部材と、リンク機構に関して回転軸の下部及び固定板の下部を連結する下部弾性部材を有することを特徴とする流体内推進装置。
【請求項2】
上記リンク機構は、互いに平行な2本の第1リンク部材と第2リンク部材、及び第3リンク部材と第4リンク部材により構成され、各リンク部材の端部はピンを介して結合されている請求項1記載の流体内推進装置。
【請求項3】
上記リンク機構を構成する第1リンク部材と第2リンク部材のほぼ中央部には、第1結合部を介して回転軸が、第2結合部を介して固定板がそれぞれ設けられている請求項1、又は2記載の流体内推進装置。
【請求項4】
上記固定板は、リンク機構を構成する第2リンク部材に対して前後方向において直交している請求項3記載の流体内推進装置。
【請求項5】
上記上部弾性部材と下部弾性部材は、それぞれシリコンゴムにより形成されている請求項1記載の流体内推進装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、流体流に追従して所定の角度で傾くと共に、凹曲面を形成することにより、推進効率を向上させる流体内推進装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の流体内推進装置は、例えば特開昭61-6097号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
この流体内推進装置は、前記特開昭61-6097号公報の例えば第1図に示すように、鰭枠1に柔軟な膜4を取り付け、この鰭枠1全体を揺動体5に取り付けた構成を有する。
【0004】
この構成により、従来の流体内推進装置は、前記揺動体5により、鰭枠1全体を左右方向に揺動させたりしている(前記特開昭61-6097号公報の2頁、3欄の1行~2行)。
【0005】
これにより、魚等の尾鰭の原理(本願の図6)を応用し、前記鰭枠1を、進行方向に対して所定の角度に傾け、また流体流に対して凹曲面が形成されるようにし、大きな推進力を得ようとしている。

【特許文献1】特開昭61-6097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特開昭61-6097号公報に開示された流体内推進装置においては、次のような課題がある。
【0007】
即ち、既述したように、従来技術は(特開昭61-6097号公報の第1図)、全体が柔軟であり、しかも、所定の揺動体5により揺動させている。
【0008】
従って、流体流に追従して、所望の角度に傾かせることは困難であり、また、流体流に対して凸曲面を形成してしまう(本願の図6(A))ことがあり、そのため推進力が小さくなり、極めて推進効率が悪い。
【0009】
本発明の目的は、流体流に追従して所定の角度で傾くと共に、凹曲面を形成することにより、推進効率を向上させる流体内推進装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は、請求項1に記載されているように、リンク機構1と、該リンク機構1の前端部に設けられた回転軸2と、該リンク機構1の後端部に設けられた固定板3と、リンク機構1に関して回転軸2の上部及び固定板3の上部を連結する上部弾性部材4と、リンク機構1に関して回転軸2の下部及び固定板3の下部を連結する下部弾性部材5を有することを特徴とする流体内推進装置という手段を提供する。
【0011】
そして、この請求項1の従属項として、請求項2に記載されているように、上記リンク機構1は、互いに平行な2本の第1リンク部材1Aと第2リンク部材1B、及び第3リンク部材1Cと第4リンク部材1Dにより構成され、各リンク部材の端部はピンを介して結合され、請求項3に記載されているように、上記リンク機構1を構成する第1リンク部材1Aと第2リンク部材1Bのほぼ中央部には、第1結合部7介して回転軸2が、第2結合部8を介して固定板3がそれぞれ設けられ、請求項4に記載されているように、上記固定板3は、リンク機構1を構成する第2リンク部材1Bに対して前後方向において直交し、更に、請求項5に記載されているように、上記上部弾性部材4と下部弾性部材5は、それぞれシリコンゴムにより形成されているという手段を提供する。
【0012】
上記本発明の構成によれば、上部弾性部材4と下部弾性部材5をシリコンゴムで形成しておいて、図1に示す流体内推進装置を例えば水中に浸漬すると、水流W1(図4(B))により、上記シリコンゴム4、5が、図4(B)において右方向の力を受けるので、該シリコンゴム4、5は前端部の回転軸2を中心として反時計方向に回転することにより、所定の角度αに傾くと共に、リンク機構1は、当初の長方形から平行四辺形に変形するが(図4(A)⇒図4(B))、リンク機構1全体が変形しても、シリコンゴム4、5の後端部の固定板3の第2リンク部材1Bに対する位置関係である直交関係は不変であるから、シリコンゴム4、5は、水流W1に対して凹曲面を形成し、原理図のうちの図6(C)の状態と同じになり、極めて大きな推進力が得られるようになり、推進効率が向上する。
【発明の効果】
【0013】
上記のとおり、本発明によれば、流体流に追従して所定の角度で傾くと共に、凹曲面を形成することにより、推進効率を向上させる流体内推進装置を提供するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を、実施の形態により添付図面を参照して説明する。
【0015】
図1は、本発明による流体内推進装置の斜視図である。
【0016】
図1に示す流体内推進装置は、リンク機構1を有し、該リンク機構1は、図示するように、互いに平行な2本の第1リンク部材1Aと第2リンク部材1B、及び第3リンク部材1Cと第4リンク部材1Dから成り、合計4本のリンク部材により構成され、各リンク部材1A~1Dの端部はピンで結合されている。
【0017】
上記リンク機構1を構成する前方の第1リンク部材1Aには、図示する流体内推進装置を他の装置、例えば船体に装着するための装着部6が(図3)、後述する第1結合部7を介して設けられている。
【0018】
このリンク機構1の上方と下方の構成は、全く同じであり、以下の説明に際しては、主に上方の構成(図2)について詳述するものとする。
【0019】
上記リンク機構1を構成する第1リンク部材1Aと第2リンク部材1Bのほぼ中央部には、図示するように、第1結合部7を介して回転軸2が、第2結合部8を介して固定板3がそれぞれ設けられている。
【0020】
即ち、第1リンク部材1Aのほぼ中央部には、第1結合部7が設けられ、該第1結合部7には、上方に向かって回転軸2が設けられている。
【0021】
回転軸2は、図2に示すように、第1軸2Aと該第1軸2Aが挿入されている中空の第2軸2Cから成り、第1軸2Aにおいて、第2軸2Cの上方と下方には、ストッパ2D、2Bが取り付けられ、第2軸2Cが第1軸2Aから外れないようになっている。
【0022】
この場合、第1軸2Aは、第1結合部7の上面の穴aに差し込まれ、該第1結合部7の前方部材7Aと後方部材7Bをねじ11で締め付けることにより、前記第1軸2Aが第1結合部7に固定されている。
【0023】
また、第2リンク部材1Bのほぼ中央部には、第2結合部8が設けられ、該第2結合部8は、上方に向かって固定板3が設けられている。
【0024】
そして、上記固定板3は、全体として、前記左右方向(X軸方向)に延びる第1リンク部材1Aに対して前後方向(Y軸方向)においてほぼ直交している、即ち90°に配置されている(図4(A))。
【0025】
固定板3は、図2に示すように、鉛直な板3Aから成り、該鉛直板3Aは、取付部9に設けられ、該取付部9は、固定軸10を介して前記第2結合部8に設けられている。
【0026】
この場合、鉛直板3Aは、取付部9の左部材9Aと右部材9Bの段差部16に当接された状態で、該左部材9Aと右部材9Bをねじ12で締め付けることにより、固定されている。
【0027】
また、固定軸10は、取付部9の下面の穴(図示省略)と第2結合部8の上面のbに差し込まれた状態で、該取付部9の左部材9Aと右部材9Bをねじ13、14で締め付けると共に、該第2結合部8の前方部材8Aと後方部材8Bをねじ15で締め付けることにより、固定されている。
【0028】
一方、前記リンク機構1に関して(図1)、回転軸2の上部及び固定板3の上部には、両者を連結する上部弾性部材4が設けられ、該上部弾性部材4は例えばシリコンゴムより形成されている。
【0029】
この場合、前記シリコンゴム4の前端部は、前記回転軸2のうちの第1軸2Aに対して回転自在な第2軸2Cに取り付けられ、また、シリコンゴム4の後端部は、前記固定板3の鉛直板3Aに取り付けられている。
【0030】
同様に、前記リンク機構1に関して(図1)、回転軸2の下部及び固定板3の下部には、両者を連結する下部弾性部材5が設けられ、該下部弾性部材5は例えばシリコンゴムより形成され、この場合、前記シリコンゴム5の前端部は、前記回転軸2のうちの第1軸2Aに対して回転自在な第2軸2Cに取り付けられ、また、シリコンゴム5の後端部は、前記固定板3の鉛直板3Aに取り付けられている。
【0031】
以下、上記構成を有する本発明の動作を説明する。
【0032】
図1に示す流体内推進装置を構成するリンク機構1を、流体内、例えば水中に浸漬すると、水流W1(図4(B))により、次の動作が行われる。
【0033】
即ち、上記水流W1(図4(B))により、本発明を構成するリンク機構1(図1)の上部と下部に配置されているシリコンゴム4、5が、図4(B)において右方向の力を受ける。
【0034】
シリコンゴム4、5が右方向の力を受けると、該シリコンゴム4、5は前端部の回転軸2を中心として反時計方向に回転することにより、所定の角度αに傾く。
【0035】
そして、シリコンゴム4、5は、後端部の固定板3を介してリンク機構1に固定されているので、シリコンゴム4、5が反時計方向に回転すると、該リンク機構1の第3リンク部材1Cと第4リンク部材1Dが共に反時計方向に回転し、それに伴い、第2リンク部材1Bが第1リンク部材1Aに対して平行に右方向に移動する。
【0036】
これにより、リンク機構1は、当初の長方形から平行四辺形に変形する(図4(A)→図4(B))。
【0037】
しかし、このようにリンク機構1全体が変形しても、シリコンゴム4、5の後端部の固定板3の第2リンク部材1Bに対する位置関係である直交関係は不変であり、このため、図示するように、シリコンゴム4、5は、水流W1に対して凹曲面を形成し、原理図のうちの図6(C)の状態と同じになり、極めて大きな推進力が得られるようになっている。
【0038】
このとき、シリコンゴム4、5の(図5)凹曲面の内側の水流W1は、図5の紙面に向かって左下方に押圧され、その反作用として、シリコンゴム4、5は右上方の力Fを受ける。
【0039】
右上方の力Fの鉛直成分Lは、揚力であってこれが本発明の推進力となって既述したように極めて大きな推進力が得られ、また、水平成分Rは、抵抗であって、シリコンゴム4、5を反時計方向に回転させる。
【0040】
上記の動作は、左方からの水流W1(図4(B))に基づく本発明の動作であるが、図4(C)に示す右方からの水流W2に基づく場合も同様であり、前記図4(B)と同様の作用・効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、流体流に追従して所定の角度で傾くと共に、凹曲面を形成することにより、推進効率を向上させる流体内推進装置に利用され、極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明による流体内推進装置の斜視図である。
【図2】本発明による流体内推進装置の分解斜視図である。
【図3】本発明による流体内推進装置の上面図である。
【図4】本発明による流体内推進装置の動作説明図である。
【図5】本発明による流体内推進装置に働く力を示す図である。
【図6】尾鰭の変形形状と揚力の大きさとの関係を示す一般的説明図である。
【符号の説明】
【0043】
1 リンク機構
1A 第1リンク部材
1B 第2リンク部材
1C 第3リンク部材
1D 第4リンク部材
2 回転軸
3 固定板
4 上部弾性部材
5 下部弾性部材
6 装着部
7 第1結合部
8 第2結合部
9 取付部
10 固定軸
11~15 ねじ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5