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明細書 :黄鉄鉱の浮遊性を抑制する浮遊選鉱方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5188118号 (P5188118)
公開番号 特開2009-028597 (P2009-028597A)
登録日 平成25年2月1日(2013.2.1)
発行日 平成25年4月24日(2013.4.24)
公開日 平成21年2月12日(2009.2.12)
発明の名称または考案の名称 黄鉄鉱の浮遊性を抑制する浮遊選鉱方法
国際特許分類 B03D   1/001       (2006.01)
B03D   1/02        (2006.01)
C22B   3/00        (2006.01)
C22B  15/00        (2006.01)
C22B  23/00        (2006.01)
C22B  13/00        (2006.01)
C22B  19/00        (2006.01)
FI B03D 1/02 C
B03D 1/02 B
C22B 3/00 Z
C22B 15/00
C22B 23/00 102
C22B 13/00 101
C22B 19/00
請求項の数または発明の数 4
全頁数 8
出願番号 特願2007-193202 (P2007-193202)
出願日 平成19年7月25日(2007.7.25)
審査請求日 平成22年4月6日(2010.4.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504173471
【氏名又は名称】国立大学法人北海道大学
【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
発明者または考案者 【氏名】広吉 直樹
【氏名】恒川 昌美
【氏名】青木 悠二
個別代理人の代理人 【識別番号】100106596、【弁理士】、【氏名又は名称】河備 健二
審査官 【審査官】谷水 浩一
参考文献・文献 特開平8-224497(JP,A)
調査した分野 B03D 1/00-3/06
C22B 1/00-61/00
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
鉱石に含まれる黄鉄鉱の浮遊性を抑制しながら高品位精鉱を回収する浮遊選鉱方法であって、
前記鉱石のスラリーに、浮遊性の抑制剤として、チタン又は珪素とともに少なくとも2個の隣接したヒドロキシル基を有する芳香族化合物を含む水溶液を添加することを特徴とする浮遊選鉱方法。
【請求項2】
前記芳香族化合物は、カテコールであることを特徴とする請求項1に記載の浮遊選鉱方法。
【請求項3】
前記鉱石のスラリーのpHは、抑制剤の添加後に3~5であることを特徴とする請求項1又は2に記載の浮遊選鉱方法。
【請求項4】
前記鉱石は、銅、ニッケル、鉛、又は亜鉛から選ばれる少なくとも1種の金属を含む硫化鉱物と、共存する黄鉄鉱及びその他の脈石鉱物を含むものであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の浮遊選鉱方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、黄鉄鉱の浮遊性を抑制する浮遊選鉱方法に関し、さらに詳しくは、鉱石に含まれる有価金属を含む硫化鉱物に対する黄鉄鉱の浮遊性を抑制し、高品位の精鉱を効率的に回収することができる浮遊選鉱方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、採掘された鉱石から、非鉄金属製錬原料となる銅、ニッケル、鉛、亜鉛等の有価金属を含む硫化鉱物と共存する黄鉄鉱(FeS)、石英、長石等の脈石鉱物とを分離し、有価鉱物品位が高い精鉱を得るための物理的濃縮方法として、浮遊選鉱方法が広く採用されている。一般に、浮遊選鉱方法は、水を加えて調製した鉱石のスラリーに、起泡剤及び捕集剤を添加し、これに空気を吹き込み、発生した気泡上に硫化鉱物等の疎水性を有する鉱物を付着させ、気泡とともにスラリーの表面上に浮上した鉱石部分(以下、浮鉱と呼称する場合がある。)を回収する方法である。なお、浮遊選鉱に際して浮鉱として回収されなかった鉱石部分は、沈鉱と呼称される。
【0003】
このような浮遊選鉱方法では、気泡上に、銅、ニッケル、鉛、亜鉛等の有価金属を含む硫化鉱物だけでなく、黄鉄鉱等の鉱石中の脈石鉱物も付着して、浮鉱として分離され精鉱に混入する。この中で、硫化鉱物である黄鉄鉱は、他の酸化鉱物からなる脈石鉱物に比べて、大きな浮遊性を有している。このため、浮鉱中に非鉄金属製錬原料としての価値が低い黄鉄鉱が多量に含有されると、精鉱中の有価鉱物品位が低下し製錬原料としての価値を損なう大きな原因となっていた。したがって、銅、ニッケル、鉛、亜鉛等の有価金属を含む硫化鉱物を浮遊選鉱方法で濃縮する際には、黄鉄鉱の浮遊性を抑制することが求められていた。
【0004】
この解決策として、例えば、銅鉱石中の黄鉄鉱の浮遊性を抑制する方法として、浮遊選鉱時に、スラリー状にした銅鉱石のpHを10.5~12.0に調整することにより、共存する黄鉄鉱の粒子表面に水酸化鉄を生成させることにより、黄鉄鉱表面の浮遊性を抑制する方法が行なわれていた。
また、他の方法として、黄鉄鉱の浮遊性を抑制する抑制剤として、亜硫酸ガス又は亜硫酸水を用いる方法(例えば、特許文献1参照。)が提案されているが、この方法においても、亜硫酸ガス又は亜硫酸水を添加に伴うスラリーのpHの低下に対して、中和剤として石灰を添加しpHを11程度に維持することがなされていた。このように、従来の黄鉄鉱の浮遊性を抑制する浮遊選鉱方法では、スラリーのpHを上昇するための石灰が必要であった。
【0005】
このような状況から、実操業でこれらの方法を採用する場合、石灰の購入、石灰貯留設備の設置等のコストが増加していた。したがって、pHを上昇することなく黄鉄鉱の浮遊性を抑制する浮遊選鉱方法が求められている。

【特許文献1】特開平8-224497号公報(第1頁、第2頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記の従来技術の問題点に鑑み、鉱石に含まれる有価金属を含む硫化鉱物に対する黄鉄鉱の浮遊性を抑制し、高品位の精鉱を効率的に回収することができる浮遊選鉱方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するために、鉱石に含まれる黄鉄鉱の浮遊性を抑制する浮遊選鉱方法について、鋭意研究を重ねた結果、鉱石のスラリーに、浮遊性の抑制剤として、特定の組成を有する水溶液を添加して、浮遊選鉱を行なったところ、有価金属を含む硫化鉱物に対する黄鉄鉱の浮遊性を効率的に抑制し、高品位精鉱を効率的に回収することができることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、鉱石に含まれる黄鉄鉱の浮遊性を抑制しながら高品位精鉱を回収する浮遊選鉱方法であって、
前記鉱石のスラリーに、浮遊性の抑制剤として、チタン又は珪素とともに少なくとも2個の隣接したヒドロキシル基を有する芳香族化合物を含む水溶液を添加することを特徴とする浮遊選鉱方法が提供される。
【0009】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記芳香族化合物は、カテコールであることを特徴とする浮遊選鉱方法が提供される。
【0010】
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、前記鉱石のスラリーのpHは、抑制剤の添加後に3~5であることを特徴とする浮遊選鉱方法が提供される。
【0011】
また、本発明の第4の発明によれば、第1~3いずれかの発明において、前記鉱石は、銅、ニッケル、鉛、又は亜鉛から選ばれる少なくとも1種の金属を含む硫化鉱物と、共存する黄鉄鉱及びその他の脈石鉱物を含むものであることを特徴とする浮遊選鉱方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の黄鉄鉱の浮遊性を抑制する浮遊選鉱方法は、浮遊性の抑制剤を添加することにより、従来の方法と異なり、鉱石のスラリーのpHを上昇させることなく、鉱石に含まれる有価金属を含む硫化鉱物に対する黄鉄鉱の浮遊性を抑制し、高品位精鉱を効率的に回収することができるので、その工業的価値は極めて大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の黄鉄鉱の浮遊性を抑制する浮遊選鉱方法を詳細に説明する。
本発明の黄鉄鉱の浮遊性を抑制する浮遊選鉱方法は、鉱石に含まれる黄鉄鉱の浮遊性を抑制しながら高品位精鉱を回収する浮遊選鉱方法であって、前記鉱石のスラリーに、浮遊性の抑制剤として、チタン又は珪素とともに少なくとも2個の隣接したヒドロキシル基を有する芳香族化合物を含む水溶液を添加することを特徴とする。
【0014】
本発明において、浮遊選鉱に際して、鉱石のスラリーに、浮遊性の抑制剤として、チタン又は珪素とともに少なくとも2個の隣接したヒドロキシル基を有する芳香族化合物を含む水溶液を添加することが重要である。これによって、従来の方法と異なり、鉱石のスラリーのpHを上昇させることなく、黄鉄鉱の浮遊性を抑制し、高品位精鉱を回収することができる。すなわち、チタン又は珪素とともに少なくとも2個の隣接したヒドロキシル基を有する芳香族化合物を含む水溶液による浮遊性の抑制剤としての作用は、鉱石のスラリーに、該芳香族化合物を含む水溶液を添加することにより、黄鉄鉱表面上に酸化チタン又は珪酸からなる酸化被膜を形成させることによるものである。
【0015】
より詳しくは、まず、チタン又は珪素とともに少なくとも2個の隣接したヒドロキシル基を有する芳香族化合物とを含む水溶液中で、チタンイオン又は珪素イオンと少なくとも2個の隣接したヒドロキシル基を有する芳香族化合物との間で、特別の構造を有する錯体が形成される。例えば、チタンイオンと少なくとも2個の隣接したヒドロキシル基を有する芳香族化合物としてカテコールを用いた場合には、下記の化学反応式(1)にしたがって下記の錯体が形成される。
【0016】
【化1】
JP0005188118B2_000002t.gif

【0017】
ここで、カテコールはベンゼン環の近接する二箇所にヒドロキシル基が結合した構造を持つが、チタンイオンにカテコールが反応すると、4価のTiを2個のカテコールイオンが挟み込む様にして錯体を形成する。
【0018】
次に、この錯体は、疎水基を外側に向けた状態であるため、鉱石のスラリー中に、例えば黄鉄鉱(FeS)のような易酸化性あるいは酸易溶性の金属化合物が存在すると、その表面に吸着され、カテコールの酸化分解によってTiOのような酸化物が生成し、該金属化合物表面に定着する。このようにして形成された酸化物皮膜によって、前記金属化合物の表面が被覆され、その浮遊性を抑制する。また、チタンの代わりに珪素を用いても同様の現象が起こる。
【0019】
上記方法に用いる芳香族化合物としては、少なくとも2個の隣接したヒドロキシル基を有する芳香族化合物であり、例えば、カテコール(C(OH))、ピロガロール(1、2、3-トリヒドロキシベンゼン:C(OH))等が挙げられるが、カテコールが汎用性から好ましい。
【0020】
上記方法に用いる水溶液としては、特に限定されるものではなく、チタン又は珪素とともに少なくとも2個の隣接したヒドロキシル基を有する芳香族化合物とを含む水溶液が用いられるが、例えば、水溶性のチタン又は珪素の化合物を所定濃度で溶解し、さらに前記芳香族化合物の所定量を溶解して調製される。
【0021】
また、鉱石のスラリーに添加する前に、水溶液中で、上記化学反応式(1)にしたがって、チタン又は珪素と前記芳香族化合物からなる錯体を形成しておいてもよい。なお、チタン又は珪素を含む水溶液と、少なくとも2個の隣接したヒドロキシル基を有する芳香族化合物とを含む水溶液を別個に鉱石のスラリーに添加することもできる。
ここで、鉱石のスラリーに対する水溶液の添加量としては、含有される硫化鉱物の形態、品位等により、予備試験によって適宜決定される。
【0022】
上記方法に用いる鉱石としては、特に限定されるものではなく、種々の非鉄金属を含む硫化鉱が用いられるが、この中で、銅、ニッケル、鉛、又は亜鉛から選ばれる少なくとも1種の金属を含む硫化鉱物と、共存する黄鉄鉱及びその他の脈石鉱物を含む鉱石が好ましく用いられる。
例えば、銅鉱石としては、一般的に、黄銅鉱(CuFeS)、輝銅鉱(CuS)、斑銅鉱(CuFeS)などの硫化銅鉱物と、黄鉄鉱(FeS)及びその他の脈石鉱物からなる鉱石が挙げられる。
【0023】
上記方法に用いる浮遊選鉱方法としては、特に限定されるものではなく、通常の銅鉱石等硫化鉱の浮遊選鉱方法として採用されている方法が用いられる。例えば、空気を分散供給する手段を備えた混合槽からなる市販の浮選機を用いて、これに、鉱石のスラリーを供給しながら、チタン又は珪素とともに少なくとも2個の隣接したヒドロキシル基を有する芳香族化合物を含む水溶液が添加され、次いで浮遊選鉱のためのテルペンアルコール、モノテルペン類、パインタール及びセスキテルペン等からなる起泡剤、各種ザンセートからなる捕集剤等が添加されてコンディショニングを行なった後、浮選が行なわれる。ここで、鉱石のスラリーのpH調整は不必要であり、抑制剤の添加後に、鉱石のスラリーのpHが3~5である。
【0024】
本発明の浮遊選鉱方法によれば、例えば、銅鉱石としては、黄銅鉱、輝銅鉱、斑銅鉱などの硫化銅鉱物と、黄鉄鉱及びその他の脈石鉱物からなる鉱石を用いて、黄鉄鉱の浮遊性を抑制して、黄銅鉱、輝銅鉱、斑銅鉱などの硫化銅鉱物を浮鉱に濃縮し、高品位の精鉱を回収することができる。
【実施例】
【0025】
以下に、本発明の実施例及び比較例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例によってなんら限定されるものではない。
また、実施例及び比較例で用いた浮遊選鉱の原料鉱石としては、黄鉄鉱(FeS品位:94重量%、中国雲浮鉱山産)を試験用ボールミルで45μm以下の粒径部分の重量割合が90%となるように粉砕し篩い分けしたものである。なお、ここで黄鉄鉱を使用したのは、浮遊性の抑制の対象物質である黄鉄鉱の浮遊選鉱での挙動を明瞭にするためであり、本発明の方法を限定するものではない。
【0026】
(実施例1)
上記原料鉱石を用いて、下記の浮遊選鉱条件で黄鉄鉱の浮遊選鉱での挙動を求めた。なお、下記の浮遊選鉱条件では、黄銅鉱、輝銅鉱、斑銅鉱などの硫化銅鉱物を原料鉱石とした場合には、浮鉱1にそれぞれの90%以上の重量割合で該硫化銅鉱物が分布した。
上記原料鉱石400gを水200mLでレパルプしたスラリーに、添加剤として、硫酸チタン液(Ti濃度:1000mg/L)17.2mLと濃度2質量%のカテコール溶液6mLとの混合溶液を添加した後、アジテア浮選機(内容量:1.3L)に投入した。なお、浮選機へ投入したスラリーのpHは、3.26であった。
次いで、ここに、起泡剤としてテルペンアルコール、モノテルペン類と少量のパインタール及びセスキテルペンの混合物10μL、及び捕集剤として濃度1質量%のナトリウムイソプロピルザンセート1mLを添加して、5分間コンディショニングした後、2分間浮遊選鉱して浮鉱1と沈鉱1を得た。ここで、沈鉱1は、前記浮選機内に残し、浮鉱1は、ろ過により回収された。
続いて、前記浮選機内に残した沈鉱1を用いて、同じ浮選機で再度浮遊選鉱を行なった。ここで、起泡剤としてテルペンアルコール、モノテルペン類と少量のパインタール及びセスキテルペンの混合物5μL、及び捕集剤として濃度1質量%のナトリウムイソプロピルザンセート0.4mLを添加した後、4分間浮遊選鉱して浮鉱2と沈鉱2を得た。なお、ここで、沈鉱2は、前記浮選機内に残し、浮鉱2は、ろ過により回収された。
最後に、前記浮選機内に残した沈鉱2を用いて、同じ浮選機で再々度浮遊選鉱を行なった。ここで、起泡剤としてテルペンアルコール、モノテルペン類と少量のパインタール及びセスキテルペンの混合物5μL、及び捕集剤として濃度1質量%のナトリウムイソプロピルザンセート0.2mLを添加した後、4分間浮遊選鉱して浮鉱3と沈鉱3を得た。
その後、産出された浮鉱1~3と沈鉱3の重量測定から、浮鉱1~3の全産出量に対する重量割合を求めた。結果を図1に示す。
【0027】
(実施例2)
上記添加剤として、濃度1質量%の珪酸ナトリウム溶液5.92mLと濃度2質量%のカテコール溶液6mLの混合溶液を用いたこと以外は実施例1と同様に行い、その後、産出された浮鉱1~3と沈鉱3の重量測定から、浮鉱1~3の全産出量に対する重量割合を求めた。結果を図1に示す。なお、浮選機へ投入したスラリーのpHは、4.68であった。
【0028】
(比較例1)
上記添加剤を何も添加しなかったこと以外は実施例1と同様に行い、その後、産出された浮鉱1~3と沈鉱3の重量測定から、浮鉱1~3の全産出量に対する重量割合を求めた。結果を図1に示す。なお、浮選機へ投入したスラリーのpHは、4.55であった。
【0029】
(比較例2)
上記添加剤として、硫酸チタン液(Ti濃度:1000mg/L)17.2mLを添加したこと以外は実施例1と同様に行い、その後、産出された浮鉱1~3と沈鉱3の重量測定から、浮鉱1~3の全産出量に対する重量割合を求めた。結果を図1に示す。なお、浮選機へ投入したスラリーのpHは、1.74であった。
【0030】
(比較例3)
上記添加剤として、濃度1質量%の珪酸ナトリウム溶液5.92mLを用いたこと以外は実施例1と同様に行い、その後、産出された浮鉱1~3と沈鉱3の重量測定から、浮鉱1~3の全産出量に対する重量割合を求めた。結果を図1に示す。なお、浮選機へ投入したスラリーのpHは、4.66であった。
【0031】
図1より、実施例1又は2では、鉱石のスラリーに添加剤として所定の浮遊性の抑制剤が用いられ、本発明の方法に従って行われたので、浮鉱の全産出量に対する重量割合が非常に少なく、黄鉄鉱の浮遊性が抑制されていることが分かる。しかも、pHの調整は不必要であった。これに対して、比較例1~3では、添加剤がこれらの条件に合わないので、黄鉄鉱の浮遊性が抑制されず、満足すべき結果が得られないことが分かる。より詳しくは、実施例1、2での黄鉄鉱の浮鉱量が、それぞれ6.4%、9.5%であるのに対し、比較例1、2、3での黄鉄鉱の浮鉱量はそれぞれ91.7%、96.9%、88.9%であった。
【産業上の利用可能性】
【0032】

以上より明らかなように、本発明の黄鉄鉱の浮遊性を抑制する浮遊選鉱方法は、従来の方法と異なり、鉱石のスラリーのpHを上昇させることなく、鉱石に含まれる有価金属を含む硫化鉱物に対する黄鉄鉱の浮遊性を抑制し、高品位精鉱を効率的に回収する浮遊選鉱方法であり、特に、採掘された鉱石から非鉄金属製錬原料となる銅、ニッケル、鉛、亜鉛等の有価金属を含む硫化鉱物と共存する黄鉄鉱などの脈石鉱物を分離し、有価鉱物品位が高い精鉱を得るための浮遊選鉱方法として好適である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施例と比較例で得られた浮鉱重量割合の結果を表す図である。
図面
【図1】
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