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明細書 :安定同位体標識アミノ酸とその標的蛋白質への組み込み方法、蛋白質のNMR構造解析方法並びに位置選択的安定同位体標識フマル酸と酒石酸の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4340538号 (P4340538)
登録日 平成21年7月10日(2009.7.10)
発行日 平成21年10月7日(2009.10.7)
発明の名称または考案の名称 安定同位体標識アミノ酸とその標的蛋白質への組み込み方法、蛋白質のNMR構造解析方法並びに位置選択的安定同位体標識フマル酸と酒石酸の製造方法
国際特許分類 C07C 229/08        (2006.01)
C07C 229/22        (2006.01)
C07C 229/24        (2006.01)
C07C 229/36        (2006.01)
C07C 323/58        (2006.01)
C07K   1/13        (2006.01)
C12P  21/02        (2006.01)
G01N  24/08        (2006.01)
C07B  59/00        (2006.01)
FI C07C 229/08
C07C 229/22
C07C 229/24
C07C 229/36
C07C 323/58
C07K 1/13
C12P 21/02 C
G01N 24/08 510P
C07B 59/00
請求項の数または発明の数 15
全頁数 41
出願番号 特願2003-554627 (P2003-554627)
出願日 平成14年12月19日(2002.12.19)
国際出願番号 PCT/JP2002/013303
国際公開番号 WO2003/053910
国際公開日 平成15年7月3日(2003.7.3)
優先権出願番号 2001386823
2002022446
優先日 平成13年12月19日(2001.12.19)
平成14年1月30日(2002.1.30)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
審査請求日 平成17年7月5日(2005.7.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】甲斐荘 正恒
【氏名】寺内 勉
個別代理人の代理人 【識別番号】100082005、【弁理士】、【氏名又は名称】熊倉 禎男
【識別番号】100084009、【弁理士】、【氏名又は名称】小川 信夫
【識別番号】100084663、【弁理士】、【氏名又は名称】箱田 篤
【識別番号】100093300、【弁理士】、【氏名又は名称】浅井 賢治
【識別番号】100114007、【弁理士】、【氏名又は名称】平山 孝二
審査官 【審査官】井上 千弥子
参考文献・文献 国際公開第99/011589(WO,A1)
特開平05-236986(JP,A)
Journal of the American Chemical Society,1978年,Vol.100, No.1,p.54-58
Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1,2000年,No.20,p.3406-3416
Journal of Biomolecular NMR,1994年,Vol.4, No.3,p.335-340
Journal of Biomolecular NMR,2000年,Vol.18, No.1,p.75-76
調査した分野 C07C 229/08
C07C 229/22
C07C 229/24
C07C 229/36
C07C 323/58
C07K 1/13
C12P 21/02
C07B 59/00
G01N 24/08
CA/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
蛋白質を構成するアミノ酸の少なくとも一種であって、次の標識パターン;
(a)1または2以上のメチレン基においてメチレン水素のうちの少なくとも一つの水素を残して他は重水素化されている
(b)プロキラルなgem-メチル基において一方のメチル基の水素は完全に重水素化されている
(c)プロキラルメチル基においてメチル基の水素は部分重水素化されている
(d)メチル基は一つの水素を残して他は重水素化され、芳香環水素は部分重水素化されている
の少なくともいずれかを有していること、及び
(i)窒素が全て15Nに置換されていること、及び
(ii)メチレン基および/またはメチル基において残余の水素を持つ炭素の全てが13Cに置換されていること
を有していることを特徴とする安定同位体標識アミノ酸。
【請求項2】
標的蛋白質を構成する全てのアミノ酸が、次の標識パターン
(a)水素原子を2つ有するメチレン基が存在する場合には、メチレン水素のうちの一つが重水素化されている、
(b)プロキラルなgem-メチル基が存在する場合には、一方のメチル基の全ての水素が完全に重水素化され、他方のメチル基の水素が部分重水素化されている、
(d)上記以外のメチル基が存在する場合には、該メチル基の一つの水素を残して他は重水素化されているか、又は該メチル基の全てのメチル基が重水素化されている、
(e)芳香環水素が存在する場合には、該芳香環水素は部分重水素化されていてもよい、
(f)上記(a)、(b)及び(d)において重水素化された後において、水素原子を持つメチレン基および/またはメチル基の炭素の全てが13Cに置換されている、
(g)窒素が全て15Nに置換されている
を満たすことを特徴とする標的蛋白質を構成する安定同位体標識アミノ酸の組み合わせ。
【請求項3】
(e)芳香環水素が存在する場合には、該芳香環水素が部分重水素化されている、請求項記載の安定同位体標識アミノ酸の組み合わせ。
【請求項4】
(f)上記(a)、(b)及び(d)において重水素化された後において、水素原子を持つメチレン基およびメチル基の炭素の全てが13Cに置換されている、請求項記載の安定同位体標識アミノ酸の組み合わせ。
【請求項5】
アミノ酸のカルボニル基及びグアニジル基を構成する炭素が13Cに置換されている、請求項記載の安定同位体標識アミノ酸の組み合わせ。
【請求項6】
請求項1記載の安定同位体標識アミノ酸の標的蛋白質への組み込み方法であって、無細胞蛋白質合成により組み込むことを特徴とする安定同位体標識アミノ酸の標的蛋白質への組み込み方法。
【請求項7】
標的蛋白質を構成する全てのアミノ酸として請求項記載の安定同位体標識アミノ酸の組み合わせを用いて、無細胞蛋白質合成を行うことを含む、安定同位体標識アミノ酸で構成される標的蛋白質の調製方法。
【請求項8】
標的蛋白質を構成する全てのアミノ酸として請求項記載の安定同位体標識アミノ酸の組み合わせを用いる、請求項記載の標的蛋白質の調製方法。
【請求項9】
標的蛋白質を構成する全てのアミノ酸として請求項記載の安定同位体標識アミノ酸の組み合わせを用いる、請求項記載の標的蛋白質の調製方法。
【請求項10】
標的蛋白質を構成する全てのアミノ酸として請求項記載の安定同位体標識アミノ酸の組み合わせを用いる、請求項記載の標的蛋白質の調製方法。
【請求項11】
請求項1記載の安定同位体標識アミノ酸を標的蛋白質に組み込みNMRスペクトルを測定して構造解析することを含む蛋白質のNMR構造解析方法。
【請求項12】
標的蛋白質を構成する全てのアミノ酸が請求項記載の安定同位体標識アミノ酸で置換されてなる標的蛋白質の構造をNMRスペクトル測定により解析することを含む標的蛋白質のNMR構造解析方法。
【請求項13】
標的蛋白質を構成する全てのアミノ酸が請求項記載の安定同位体標識アミノ酸で置換されてなる請求項12記載の標的蛋白質のNMR構造解析方法。
【請求項14】
標的蛋白質を構成する全てのアミノ酸が請求項記載の安定同位体標識アミノ酸で置換されてなる請求項12記載の標的蛋白質のNMR構造解析方法。
【請求項15】
標的蛋白質を構成する全てのアミノ酸が請求項記載の安定同位体標識アミノ酸で置換されてなる請求項12記載の標的蛋白質のNMR構造解析方法。
発明の詳細な説明 発明の背景
本発明は、安定同位体標識アミノ酸とその標的蛋白質への組み込み方法並びに蛋白質のNMR構造解析方法に関するものである。本発明は、又、位置選択的に安定同位体標識されたフマル酸と酒石酸の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、安定同位体標識酢酸を原料として、対称性および非対称性の安定同位体標識フマル酸を効率的に製造する方法と、高い光学純度で安定同位体標識酒石酸を製造する方法に関するものである。
従来、蛋白質のNMRによる立体構造決定は13C/15N等の安定同位体により均一に標識した試料を用いて行われてきたが、この手法では分子量が2万を越えると急速に適用が困難となる。これらの問題を解決する手法として、13C/15Nに加えて蛋白質中の水素を50-80%程度ランダムに重水素(H)置換し、残余水素(H)核のNMR信号を利用する手法や、あるいはアミノ酸残基中のメチル基と芳香環部分の水素のみを残し全ての水素を重水素置換する方法などが提案されている。だが、これらの従来の手法は全て立体構造決定の精度を犠牲にして高分子量蛋白質の立体構造情報を得る手法であることから、その適用対象や有用性が限られている。
1990年11月15日東京化学同人発行の新生化学実験講座1タンパク質III高次構造の主鎖カルボニル13C-NMRによる高次構造解析の項には、[1-13C,2,3-]フェニルアラニン、[]セリン及び[]アラニンが記載されているが、これは、特異的多重標識法による側面二面角χの決定法で用いるものであって、これらの標識アミノ酸だけではなくて他のアミノ酸についても標識しこれらを標的たんぱく質に組み込んでその立体構造を解析しようとする試みは未だなされていない。
一方、NMRや質量分析による核酸や蛋白質等の生体内有機化合物の解析においては、13CやHなどの安定同位体で標識されたフマル酸や酒石酸が幅広く利用されている。最近では、安定同位体標識されたフマル酸や酒石酸から、高度に安定同位体標識されたアミノ酸を誘導し、これを用いてNMRによる蛋白質の構造解析が行われている。したがって、安定同位体標識フマル酸や安定同位体標識酒石酸の需要は、今後も拡大することが予想される。
しかし、フマル酸の安定同位体標識体は極めて高価(例えば、1,2,3,4-13フマル酸0.1gで10万円以上)であり、安定同位体標識酒石酸に関しては、市販されていないのが実状である。
同位体標識フマル酸の合成に関しては、これまでに様々な合成方法が報告されている。たとえば、マロン酸エステル合成による方法(E.C.Jorgensen et al.,J.Am Chem.Soc.,74,2418,1952)、ジブロモコハク酸の脱離反応を用いる合成法(R.F.Nystrom et al.,J.Am.Chem.Soc.,74,3434,1952)、アセチレンジカルボン酸の還元を経由する方法(Y.J.Topper et al.,J.Biol.Chem.177,303,1949)などが知られている。
また、同位体標識酒石酸の合成に関しては、フマル酸のオスミウム酸化によるジヒドロキシル化(H.Erlenmyer et al.,Helv.Chim.Acta.,22,701,1939;E.C.Jorgensen et al.,J.Am.Chem.Soc.,74,2418,1952)などが知られている。
しかし、これら公知の方法は、いずれも安定同位体標識フマル酸や酒石酸の大量合成には適さない、あるいは位置選択性が低いという問題があった。例えば、E.C.JorgensenらやR.F.Nystromらによる同位体標識フマル酸の合成法は、いずれも小スケールでの合成に適した反応であるが、スケールアップが困難である。また、Y.J.Topperの方法は、1,4-13体や2,3-13体、あるいは1,2,3,4-13体などの対称性を有する標識フマル酸の合成には適しているものの、非対称のフマル酸、すなわち1-13C体や2-13C体などの合成には適さない。
一方、H.Erlenmeyerらによる標識酒石酸の合成では、得られる酒石酸はラセミ体であるためL-酒石酸あるいはD-酒石酸を単離するためには光学分割を行う必要がある。しかし、光学分割を行えば生成物の収率が低下するため、高価な安定同位体を用いる合成法としては有用とは言い難かったのが実状である。
発明の開示
本発明は、上記の従来の問題点を解消し、蛋白質の重水素置換を、残余水素核のNMR感度を損うことなく達成し、従来の限界を越えた高分子量蛋白質のNMRスペクトルの迅速・確実な解析、立体構造の高精度決定を同時に達成することを目的とする。
本発明は、NMRスペクトル測定による標的蛋白質のNMR構造解析方法で好適に使用できる安定同位体標識アミノ酸及び標的蛋白質を構成する安定同位体標識アミノ酸の組み合わせを提供することを目的とする。
本発明は、又、安定同位体標識アミノ酸の標的蛋白質への組み込み方法を提供することを目的とする。
本発明は、又、蛋白質のNMR構造解析方法を提供することを目的とする。
本発明は、又、あらゆる標識パターンを有する位置選択的安定同位体標識フマル酸を、比較的安価に合成できる汎用性の高い方法を提供することを目的とする。
本発明は、又、そのようにして得られた安定同位体標識フマル酸から、高い光学純度で安定同位体標識酒石酸を合成する方法を提供することをも目的とする。
本発明の上記目的及び他の目的は、以下の記載及び実施例から明らかとなるであろう。
本発明は、上記の課題を解決するものとして第1には、蛋白質を構成するアミノ酸の少なくとも一種であって、次の標識パターン;
(a)1または2以上のメチレン基においてメチレン水素のうちの少なくとも一つの水素を残して他は重水素化されている
(b)プロキラルなgem-メチル基において一方のメチル基の水素は完全に重水素化されている
(c)プロキラルメチル基においてメチル基の水素は部分重水素化されている
(d)メチル基は一つの水素を残して他は重水素化され、芳香環水素は部分重水素化されている
の少なくともいずれかを有していることを特徴とする安定同位体標識アミノ酸を提供する。
この第1の発明において、メチレン基および/またはメチル基において残余の水素を持つ炭素のすべてが13Cに置換されているのが好ましい。又、窒素が全て15Nで置換されているのが好ましい。
また、本発明は、第2には、上記の安定同位体標識アミノ酸の標的蛋白質への組み込み方法であって、無細胞蛋白質合成により組み込むことを特徴とする安定同位体標識アミノ酸の標的蛋白質への組み込み方法を提供する。
また、本発明は、第3には、上記の安定同位体標識アミノ酸を標的蛋白質に組み込みNMRスペクトルを測定して構造解析することを特徴とする蛋白質のNMR構造解析方法を提供する。
本発明は、第4には、安定同位体標識酢酸と安定同位体標識ブロモ酢酸をカップリングすることを含む位置選択的に安定同位体標識されたフマル酸の製造方法を提供する。
本発明は、第5には、安定同位体標識酢酸と安定同位体標識ブロモ酢酸を各々tert-ブチルエステル化し、これらを酸化的にカップリングした後、酸加水分解することを含む位置選択的に安定同位体標識されたフマル酸の製造方法を提供する。
第5の発明においては、安定同位体標識酢酸と安定同位体標識ブロモ酢酸を各々酸触媒の存在下に液化イソブテンと接触させて、安定同位体標識酢酸と安定同位体標識ブロモ酢酸をtert-ブチルエステル化するのが好ましい。
本発明は、第6には、安定同位体標識酢酸から得られる酢酸tert-ブチルエステルをエノラートとした後、有機セレン化合物の存在下で、安定同位体標識ブロモ酢酸から得られるブロモ酢酸tert-ブチルエステルを加え、酸化し、さらに加水分解することを含む位置選択的に安定同位体標識されたフマル酸の製造方法を提供する。
本発明は、第7には、上記の方法で製造された安定同位体標識フマル酸を不斉ジヒドロキシル化試薬により酸化した後、さらに加水分解することを含む安定同位体標識酒石酸の製造方法を提供する。
第7の発明においては、不斉ジヒドロキシル化試薬が、AD-mix-α及びAD-mix-βからなる群から選択されるのが好ましい。
発明を実施するための最良の形態
この出願の発明は、上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
なによりもまず強調されることは、この出願の発明の安定同位体標識アミノ酸とこれを用いた蛋白質のNMR解析において重要なことは、従来のように非選択的(ランダム)にアミノ酸の重水素置換するかわりに、特定の位置と立体環境にある水素を厳密に選択して重水素化することである。これにより、構造決定に不要な水素は完全に重水素化され、一方必要な水素の感度は一切低下しない。このことにより、不要なシグナルは除去され、得られる立体構造の精度が向上すると同時にシグナル解析・構造決定に要する時間は著しく短縮されるのである。
重水素化の手法やこの出願の発明の標識アミノ酸の化学合成については様々な手段が採用されてよく、たとえば後述の実施例に例示したような反応スキームに沿って化学合成されて調製されてもよい。
調製された安定同位体標識アミノ酸は、NMRによる蛋白質の構造解析のために標的とする蛋白質に組み込まれることになる。
蛋白質を構成するアミノ酸のうちで任意に選定した一つ、複数、或は全てをここで示すような立体構造情報の入手、NMRスペクトル解析を最も有効ならしめるパターンを有する安定同位体標識アミノ酸で置換することが可能である。このための蛋白質調製手法としては、培養生物細胞を用いた通常の高発現蛋白質合成系、有機化学的・酵素化学的ペプチド・蛋白質合成手法、或は無細胞抽出液を用いる蛋白質調製法などの何れの手法でも利用することが可能である。しかしながら、通常の培養生物細胞を用いる手法では問題となるアミノ酸代謝による同位体希釈や拡散の制御が容易であること、また多量合成が困難な標識アミノ酸を極めて高効率で蛋白質に取り込むことを可能にする点などを考慮すると、無細胞抽出液を用いる蛋白質合成法は、この出願の発明の目的には特に優れた手法である。但し、このことは他の手法の実用的価値を排除するものではない。
NMRによるスペクトル測定や蛋白質の構造解析のための手法も様々であってよい。また、リガンド結合による構造変化部位の特定等も可能である。
いずれにしても、この出願の発明で使用するアミノ酸は、様々な重水素標識パターンを持つことに最大の特徴があり、それらが蛋白質に取り込まれた際には従来の手法によっては得ることが困難な蛋白質の立体構造解析上の有用性をもたらすことがこの出願の発明の骨子である。このために、それら様々な重水素標識パターンを明確に定義することがこの出願の発明の概要を理解する上で不可欠である。以下に、その定義を述べる。
立体選択重水素化(Stereo-selective Deuteration,SSD):
アミノ酸のmethyleneプロトン、gem-methyl(例えば、Val、Leuの二つのprochiral methyl)は、重水素化により一方を完全にスペクトル上消去しても、もう一方のプロトン(残余プロトン)に関する立体帰属(pro-R、pro-S)情報と、炭素原子周囲の四面体性を考慮すれば、必要な立体構造情報は得られる。この場合、消去する側のメチル基の炭素は12Cのままにし、スピン系を単純とするのが好ましい。また側鎖からスタートして主鎖で検出するまでに磁化が減衰してしまうような従来の磁化移動による側鎖のシグナル帰属において、Val、Leu、Ileなどの枝分かれのあるアミノ酸においても正確な情報を得ることが可能になる。
位置選択重水素化(Regio-selective Deuteration,RSD):
アミノ酸側鎖のスピン系が複雑な場合、特定部位を選択的に重水素化する手法によりスピン系を大幅に単純化し、蛋白質の立体構造情報の入手を著しく容易にすることができる。
立体整列重水素化(Stereo-array Deuteration,SAD):
複数のプロキラル中心がある場合には、通常の重水素化により極めて多数の同位体異性体が生じ、構造情報の測定感度・精度を著しく損なう。このような場合には、重水素化により生じる新たなキラル中心同士の立体化学的相関を保ちつつ、同時に立体選択的重水素化することにより、単一の同位体異性体のみが含まれるようにすることができる。このような新規標識パターンを立体整列重水素化と呼ぶことにする。
プロトン濃度最小化(Proton-density Minimization,PDM):
メチル基、芳香環水素などは磁気的に等価であり、従って重複した構造情報を与えるプロトンが存在する。これらのプロトンは必要最小限のプロトンを残して、残りを全て重水素化する(CH→CHD等)することにより、蛋白質のプロトン濃度を最小限にすることができる。この手法をプロトン濃度最小化法と呼ぶ。
これら定義に従って、実際的手段として、この出願の発明の第1の態様は、安定同位体標識アミノ酸は、前記のとおりの標識パターン;
(a)1または2以上のメチレン基においてメチレン水素のうちの少なくとも一つの水素を残して他は立体選択的に重水素化(CDH)されている、
(b)プロキラルなgem-メチル基において一方のメチル基の水素は完全に重水素化(CD)されている、
(c)プロキラルメチル基においてメチル基の水素は部分重水素化(CDH,CDH)されている、
(d)メチル基は一つの水素を残して他は重水素化(CDH)され、芳香環水素は部分重水素化されている、
の少なくともいずれかを有している。
以上に分類した重水素化手法を組み合わせることにより蛋白質の立体構造情報の取得に最適なアミノ酸をデザインすることができる。また、上記のとおり、この出願の発明においては、メチレン基やメチル基の重水素化について、NMR測定技術の観点からは、主鎖、側鎖シグナルの帰属のために残余となる水素を持つ炭素は、全て13Cに、またアミノ酸を構成する窒素についてはその全てを15Nに置換することが好ましい。一方、CDとして水素を完全に消去する場合には、むしろ、12Cのままにしておくのが、13C-13C間のスピン結合がないだけ有利ともなる。なお、ここで、上記の「帰属」とは、アミノ酸配列のなかで何番目の残基に由来しているシグナルであるのかを決めることを意味している。
上記第1の態様において、安定同位体標識アミノ酸としては、標的蛋白質を構成する全てのアミノ酸が、次の標識パターン
(a)水素原子を2つ有するメチレン基が存在する場合には、メチレン水素のうちの一つが重水素化されている、
(b)プロキラルなgem-メチル基が存在する場合には、一方のメチル基の全ての水素が完全に重水素化され、他方のメチル基の水素が部分重水素化されている、
(d)上記以外のメチル基が存在する場合には、該メチル基の一つの水素を残して他は重水素化されているか、又は該メチル基の全てのメチル基が重水素化されている、
(e)芳香環水素が存在する場合には、該芳香環水素は部分重水素化されていてもよい、
(f)上記(a)、(b)及び(d)において重水素化された後において、水素原子を持つメチレン基および/またはメチル基の炭素の全てが13Cに置換されている、
(g)窒素が全て15Nに置換されている
を満たす、標的蛋白質を構成する安定同位体標識アミノ酸の組み合わせとして用いるのが好ましい。
ここでは、さらに、(e)芳香環水素が存在する場合には、該芳香環水素が部分重水素化されているのが好ましく、(f)上記(a)、(b)及び(d)において重水素化された後において、水素原子を持つメチレン基およびメチル基の炭素の全てが13Cに置換されているのが好ましい。又、アミノ酸のカルボニル基及びグアニジル基を構成する炭素が13Cに置換されているのが好ましい。さらに、Hが結合している炭素は全て13Cに置換されているのが好ましい。
図1には、蛋白質を構成する20種類のアミノ酸に関してそのような手法の全てを組み合わせてデザインした安定同位体標識アミノ酸の構造を示した。ここで示したパターンは蛋白質の立体構造決定への応用をターゲットとしたものであるが、必要な構造情報により、或は目標とする蛋白質の性質により様々なデザインが可能である。
本発明の第2の態様である安定同位体標識アミノ酸の標的蛋白質への組み込み方法としては、標的蛋白質を構成する全てのアミノ酸として上記安定同位体標識アミノ酸の組み合わせを用いて、無細胞蛋白質合成を行うことを含む、安定同位体標識アミノ酸で構成される標的蛋白質の調製方法が好ましい。
又、本発明の第3の態様である蛋白質のNMR構造解析方法としては、標的蛋白質を構成する全てのアミノ酸が上記安定同位体標識アミノ酸で置換されてなる標的蛋白質の構造をNMRスペクトル測定により解析することを含む標的蛋白質のNMR構造解析方法が好ましい。
本発明の第4の態様である位置選択的安定同位体標識フマル酸の製造方法において、原料として使用される安定同位体標識酢酸および安定同位体標識ブロモ酢酸は、どのような標識パターンのもの、すなわち、どのような位置に安定同位体を有するものであってもよい。また、安定同位体の導入箇所や数も限定されず、複数の安定同位体を有するものであってもよい。具体的には、[1-13C]酢酸、[2-13C]酢酸、[1,2-13]酢酸、[2-;1-13C]酢酸、[2-;2-13C]酢酸、[2-;1,2-13]酢酸などが例示される。また、ブロモ酢酸においても、[1-13C]ブロモ酢酸、[2-13C]ブロモ酢酸、[1,2-13]ブロモ酢酸、[2-;1-13C]ブロモ酢酸、[2-;2-13C]ブロモ酢酸、[2-;1,2-13]ブロモ酢酸等が例示される。これらをカップリングすることにより、あらゆる標識パターンのフマル酸の合成が可能となる。
安定同位体標識酢酸と安定同位体標識ブロモ酢酸のカップリングは、まず、各々をtert-ブチルエステル化した後に行う。このとき、tert-ブチルエステル化の方法は、とくに限定されない。例えば、酢酸は、R.V.Oppenauer,et al.,Monatsh,Chem.,97,62,1966およびR.S.Monson,″Advanced Organic Synthesis,Methods and Techniques″,Academic,1971,p.62記載のtert-ブチルアルコールと炭化カルシウムをから合成する方法(化学式(I))、B.Abramovich,et al.,J.Am.Chem.Soc.,65,989,1943記載のtert-ブチルアルコールと塩化アセチルから合成する方法(化学式(II))、C.D.Hurd,et al.,J.Am.Chem.Soc.,61,3355,1939)記載のケテンとtert-ブチルアルコールから合成する方法(化学式(III))などの公知の手法によりエステル化できる。
JP0004340538B2_000002t.gif一方、ブロモ酢酸は、例えば以下の化学式(IV)~(VI)に示される一般的な手法により、エステル化できる。
JP0004340538B2_000003t.gifこの出願の発明では、安定同位体標識酢酸と安定同位体標識ブロモ酢酸を各々酸触媒下で液化イソブテンとともに密閉し、室温で攪拌する方法が簡便であり、最も好ましい。このとき、使用される酸触媒はとくに限定されないが、各種のイオン交換樹脂を担体固定化触媒として使用すれば、触媒の除去操作が簡単になり、好ましい(例えば、J.Chem.Soc.,Perken Trans.1,3815-4195,2000)。具体的には、スルホン酸系のカチオン交換樹脂(例えば、Dow社製Dowex(登録商標)W-X8、Rohm Haas社製Amberlyst)登録商標)R15など)が例示される。これらのカチオン交換樹脂系触媒は、濾過により簡単に取り除くことができる。
このような反応において、イソブテンや触媒の量、温度、時間等の反応条件はとくに限定されない。例えば、Amberlyst(登録商標)R15を用いて酢酸のtert-ブチルエステル化を行った場合、イソブテンの量は、酢酸に対して1当量以上あればよく、3当量添加することにより、高い反応収率が得られる。また、Amberlyst(登録商標)R15の量は、1wt%以上とすることができる。1wt%でも十分に高い収率でtert-ブチルエステル化が進行する。さらに、反応温度は、低温でよく、0℃~室温付近でよい。このような条件下で反応は3時間以内に終了し、t-ブチルエステル化反応は、90%以上の高収率で進行する。したがって、生成物の精製を行うことなく次工程に進むことができる。
以上のとおりの方法により得られた安定同位体標識酢酸tert-ブチルエステルと安定同位体標識ブロモ酢酸tert-ブチルエステルのカップリングは、種々の有機合成反応を経由して行うことができる。例えば、Leo A.Paquette et al.,J.Org.Chem.,60,7277,1995に記載の酢酸エステルを酸化的にニ量化する方法(VII)や、Ned A.Porter et al.,Tetrahedron Lett.,34,4457,1993;T.J.Brocksom et al.,Synthesis,396,1975に記載の酢酸エステルのヨウ素化を経由し、コハク酸エステルとした後(VIII)、各種の試薬を用いてフマル酸に変換する方法(IX)が例示される。
JP0004340538B2_000004t.gif好ましくは、セレネニル中間体を経由するコハク酸誘導体の合成方法を適用する。具体的には、まず、安定同位体標識酢酸tert-ブチルエステルをエノラートとする。具体的には、強塩基性のリチウムジイソプロピルアミド(LDA)と接触させ、リチウムエノラートとする。ここに塩化フェニルセレネニル、臭化フェニルセレネニル、ヨウ化フェニルセレネニル等の有機セレン化合物を加え、さらに安定同位体標識ブロモ酢酸tert-ブチルエステルを加えると、2-フェニルセレネニルコハク酸ジtert-ブチルエステルが得られる。また、LDAの代わりにヘキサメチルジシロキサンリチウム(LiHMDS)やヘキサメチルジシロキサンナトリウム(NaHMDS)、さらには、ブチルリチウム(n-BuLi)を用いてもよいが、LDAを用いることにより高収率で反応が進行する。
このとき使用されるLDA(LiN(CH(CH)と塩化フェニルセレネニル(CSeCl)は、いずれも水と激しく反応するため、反応は窒素やヘリウム等の不活性ガス雰囲気、脱水条件下で行うことが望ましい。また、反応は、THF、DME、エーテル、DMPU(N,N’-ジメチルプロピレンウレア)等の適当な有機溶媒を用いて溶液系で行うことが好ましい。
以上のとおりの反応方法により得られた2-フェニルセレネニルコハク酸ジtert-ブチルエステルを酸化すればフマル酸ジtert-ブチルエステルが得られる。酸化はどのような方法で行ってもよく、様々な公知の手法が適用できる。好ましくは、m-クロロ過安息香酸や過酸化水素等の過酸化物を用いる。また、有機セレン化合物は、過酸化水素等により再度酸化すれば、水溶性となり、水洗除去できる。そして、フマル酸ジtert-ブチルエステルを塩酸、硫酸等の酸により加水分解すれば、安定同位体標識フマル酸が得られるのである。
もちろん、所望の化合物が安定同位体標識フマル酸エステル誘導体の場合には、最後の加水分解を行わずに、フマル酸tert-ブチルエステルから種々の有機合成の手法により目的の化合物を合成してもよい。
この出願の発明は、また、以上のとおりの方法により得られた安定同位体標識フマル酸から安定同位体標識酒石酸を得る方法をも提供する。まず、位置選択的に安定同位体標識されたフマル酸を、フマル酸ジエチルエステルとした後、不斉ジヒドロキシル化して酒石酸ジエチルエステルとする。
このとき、フマル酸ジエチルエステルは、例えば、フマル酸に塩化チオニルを接触させ、ジエチルエーテルに溶解して得られる。また、不斉ジヒドロキシル化試薬としては、例えばHartmuth C.Kolb et al.,Chem.Rev.,94,2483,1994に示される各種のリガンドを有する酸化オスミウムを用いることができる。中でもK.B.Sharplessらにより開発されたAD-mix-αやAD-mix-βが好ましく用いられる。AD-mix-αおよびAD-mix-βは、いずれもオスミウム酸カリウム、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム、炭酸カリウムおよびキラルリガンドの(DHQ)PHALまたは(DHQD)PHAL(化学式(X))を含有している。
JP0004340538B2_000005t.gifもちろん、これら以外の公知または新規の不斉ジヒドロキシル化試薬を用いてもよい。このとき、使用される不斉ジヒドロキシル化試薬のキラリティーにより、D-酒石酸ジエチルエステルまたはL-酒石酸ジエチルエステルのいずれかが選択的に得られる。例えばAD-mix-βを用いればD-酒石酸ジエチルエステルが99%ee以上の高い光学純度で得られる。このようにして得られた酒石酸ジエチルエステルを加水分解することにより、安定同位体標識酒石酸が得られる。
もちろん、所望の化合物が安定同位体標識酒石酸エステル誘導体の場合には、最後の加水分解工程を経ることなく、酒石酸ジエチルエステルから各種の有機合成手法により目的の化合物を合成してもよい。
以上のとおりのこの出願の発明の安定同位体標識フマル酸および安定同位体標識酒石酸の製造方法では、いずれの反応工程も、室温以下の低温で、比較的短時間に進行する。また、いずれの反応工程も収率が60~90%以上と高い。さらに、出発物質の安定同位体標識酢酸は比較的安価で(例えば、標識位置に応じて10g約5千円~1g約6万円)ある。以上より、この出願の発明の製造方法は、大スケールで位置選択的に安定同位体標識フマル酸や安定同位体標識酒石酸を合成する方法として有用であるといえる。
以下に、実施例として、様々な標識パターンを持つアミノ酸を用いて標識した蛋白質の調製と、それらのNMRスペクトルが、立体構造を入手する上でどのような優れた特徴を有するかに関して例示する。
もちろん、下記の実施例はこの出願の発明についての具体的な理解を得るための例示であって、これらの例示によってこの出願の発明が限定されることはない。
実施例
実施例1 SSD-グリシンを組み込んだ蛋白質の調製とNMR測定
まず立体選択的モノ重水素化した(2S)-〔1,2-13;2-15N;2-H〕グリシン(以下、SSD-グリシンと呼ぶ)の合成を、下記のスキーム1に沿って、工程1から工程12として詳細に説明する。
JP0004340538B2_000006t.gif<工程1>
文献記載の手法(K.P.R.Kartha et al.,Tetrahedron Lett.,27,3415,1986)を参考に〔ul-13〕-グルコース(10.06g,55.8mmol)(1)を原料に用いて化合物(2)(12.55g,48.2mmol,87%)を得た。
<工程2、工程3、工程4>
化合物(2)(12.55g,48.2mmol)を文献記載の手法(Nicolaou et al.,J.Am.Chem.Soc.,110,4673,1988)を用いて化合物(3)(22.08g,44.3mmol)に変換した。得られた化合物(3)に80%-酢酸300mlを加え溶解した後、75℃、3時間の条件で脱保護させた。室温まで冷却した後、減圧下濃縮した。エタノールを用いて共沸する作業を4回繰り返し化合物(4)とした後、文献記載の手法(C.Hubschwerlen et al.,Synthesis,962,1986)を用いて目的物(5)(12.9g,30.2mmol)を化合物(2)から68%の収率で得た。<工程5>
化合物(5)(3.66g,8.58mmol)に塩化メチレン150mlを加え溶解させた後、シリカゲル(73.8g)、重水素化トリブチルスズ(5.0g,7.2mmol)を加え18時間撹拌した。反応混合物をシリカゲルカラムへチャージし塩化メチレン1Lを用い有機スズ化合物を溶出した後に、酢酸エチル3Lを用いて化合物(6a)(3.13g,7.29mmol)を85%の収率で得た。
<工程6、工程7>
化合物(6a)を文献記載の方法(Joseph A.Tino et al.J.Med.Chem.,36,1221,1993)を参考に5位をトシル化した。得られた化合物(7)をテトラヒドロフラン83mlに溶かし、1M-テトラブチルアンモニウムフルオリド/テトラヒドロフラン溶液(13.9ml,13.9mmol)を加え、室温で15分間撹拌した。反応混合物をヘキサン:酢酸エチル=1:1のシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(8)(2.73g,7.79mmol,67%)を得た。
<工程8>
化合物(8)(2.22g,6.34mmol)を塩化メチン110mlに溶かし、0℃まで温度を下げ、Dess-Martin試薬(8.05g,18.99mmol)を加えて0℃のまま撹拌した。室温まで昇温さえて1.5時間撹拌した。6gのチオ硫酸ナトリウムを溶かした飽和炭酸水素ナトリウム40mlと酢酸エチル50mlを加え再び5分間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム50mlで2回、水50mlで1回、ブライン50mlで1回洗浄、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮して化合物(9)を得た。
<工程9>
化合物(9)をメタノール75mlに溶かしたものを0℃まで温度を下げ、これに水素化ホウ素ナトリウム(120mg,3.17mmol)をメタノール50mlに溶かして加えた、2分後に氷浴から出して1.5時間撹拌を続けた。アセトン80mlを加えさらに5分間撹拌した。水20mlを加えて、減圧濃縮後、これに酢酸エチル40mlを加えて水(40ml×1)、ブライン(40ml×1)で洗浄し有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮して化合物(10)を得た。
<工程10>
化合物(10)をDMFに溶解し窒素置換して、フタルイミドカリウム(1.76g,9.51mmol)を加えた。これを70℃の条件下10時間撹拌して、濃縮、ヘキサン:酢酸エチル=1:1のシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して化合物(11)を得た。
<工程11>
化合物(11)を酢酸50mlと5N-硫酸50mlの混合溶媒に溶かして65℃の条件で1時間撹拌させた。室温まで冷えたら、撹拌しながらKMnO4(4.15g,26.11mmol)を加えて室温で3時間撹拌した。チオ硫酸ナトリウムを色が消えるまで加えて、さらに水を20ml加えた。塩化メチレン(30ml×3)で抽出し、有機相を水(20ml×2)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮し化合物(12)を得た。
<工程12>
化合物(12)を1N-塩酸50mlで還流させた。冷却後生じた白色針状結晶をろ取し、ろ液をDowex50W-X8で精製し、SSD-グリシン(13a)を得た。(391mg,94.95mmol,78%)
<化合物(6b)の合成>
化合物(5)から化合物(6b)とすることにより2位の立体配置が逆のSSD-グリシン(13b)の合成も可能である。
すなわち、化合物(5)(5.0g,11.72mmol)をジエチルエーテル(300ml)に溶かし、アルゴン雰囲気下0℃まで冷却した。マグネシウムジブロミドジエチルエーテル錯体(17.96g,69.54mmol)を加えてから5分間撹拌し、重水素化トリtert-ブトキシアルミニウムリチウム(8.88g,34.77mmol)を加えて0℃のまま4時間撹拌した。0℃で1N-塩酸30ml加えて10分間撹拌した。酢酸エチル(250ml×4)で抽出し有機層をブライン(100ml×1)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮して化合物(6b)を得た。
<標識蛋白質の調製>
上記SSD-グリシン(13a及び13b)を高度選択的に組み込むプロセスを確立するためのモデル蛋白質としては、大腸菌由来のプロリン残基シス-トランス変換酵素EPPlb(分子量18kDa)を用いた。従来の大腸菌等を用いるin vivo蛋白質調製法によっては、Glyのメチレンプロトンは、グリシン-セリン間の相互変換を触媒する酵素セリンヒドロキシメチルトランスフェラーゼ(SHMT)の作用により同位体の希釈・拡散を押さえることは困難であった。本法では、S30無細胞抽出液を用いるin vitro蛋白質合成法(以下、無細胞蛋白合成法と呼ぶ)を用いることにより、SHMTの阻害剤として知られるシクロセリンを十分量添加しても全く蛋白質合成機能は低下しないために、高い立体選択性を保ちつつ、二種類のSSD-グリシン、(2S)-、及び(3R)-〔1,2-13;1-15N;2-H〕-Gly,で標識したEPPlbの調製に成功した。
<標識蛋白質のNMR測定>
NMR測定試料は、SSD-グリシンで標識したEPPlbを用いて、論文記載の条件(E.Kariya et al.,J.Biomol.NMR 18,75-76,2000)に従って調製した。なお、グリシン残基メチレンプロトンのシグナル帰属は、上記論文に記載した主鎖NMRシグナルの帰属情報をもとに行った。
(2S)-,及び(3R)-〔1,2-13;1-15N;2-H〕-グリシンを取り込ませたEPPlb試料、〔1,2-13;1-15N〕-グリシンを組み込んだEPPlb試料の夫々について測定したH-13C HSQCスペクトルを図2に比較して示した。この図2から明らかなように、従来の均一標識体標識試料を用いる方法では、NMRスペクトルは込み合い、蛋白質の立体構造決定において不可欠なメチレンプロトンの立体特異的帰属は事実上不可能である。一方、立体特異的に重水素化されたSSD-グリシンを取り込ませた蛋白質ではNMRスペクトルはシグナルの総数は半分に減少し、かつメチレンプロトン間のスピン結合によるシグナルの分裂や線幅の増大が除かれる。このようにスペクトルは通常のグリシン選択的標識単純化され、全てのシグナルを二次元NMR上で分離して観測でき、また立体特異的なシグナルの帰属は既に試料調製段階で終了しており、新たに帰属をする必要はない。重要なことは、立体化学的帰属が終了しているために、二種のSSD-グリシンで標識した蛋白質試料のうち、何れか一方のみが必要であるということである。
すなわち、この出願の発明の手段を適用することにより構造決定に不要なシグナルは除去され、シグナル解析及び構造決定に要する時間を著しく短縮する方法を提供することが可能になる。
実施例2 SAD-リジンを組み込んだ蛋白質の調製とNMR測定
(2S,3R,4R,5S,6R)-〔1,2,3,4,5,6-13;2,6-15;3,4,5,6-〕リジン(以下、SAD-リジンと呼ぶ)の合成を、スキーム2に沿って、工程13から工程16として詳細に説明する。
JP0004340538B2_000007t.gif<工程13>
文献記載の手法(M.Oba,et al.,J.Org.Chem.64,9275,1999)を均一に13C-標識したL-グルタミン酸から誘導した(2S,3S,4R)-〔1,2,3,4,5-13;2-15N;3,4-〕グルタミン酸(以下、SAD-グルタミン酸と呼ぶ)(14)(25.02mmol)を0.2Mピリジン塩酸塩重水溶液(200ml)に溶解した後、ピリドキサールリン酸(200mg)及びジチオトレイトール(120mg)を加えたピリジンを用いてpHを5にした。この溶液にグルタミン酸デカルボキシラーゼ(1000U,210ml)を加え遮光下37℃で3時間撹拌した。得られた反応混合物を30度以下の温度で減圧濃縮し、残渣をSK1Bを用いて精製した。得られた標識アミノブタン酸を50mlの水に溶解し、そこに炭酸水素ナトリウム(2.83g,26.66mmol)及びN-エトキシカルボニルフタルイミド(6.37g,29.08mmol)を加え室温で1時間撹拌した。反応溶液に注意深く濃塩酸を加えpHを5にし、生じた結晶を濾取した。濾紙上の結晶を冷水で洗った後、結晶を真空乾燥容器中で乾燥させ化合物(15)(4.43g,18.32mmol,75%)を得た。
<工程14>
化合物(15)を塩化メチレン(20ml)に溶解した後、この溶液に室温で塩化チオニル(11.9g,100mmol)を加えた。この溶液を室温で1時間撹拌し次いで40℃で2時間撹拌した後、反応溶液を減圧濃縮した。得られた残渣をベンゼンに溶解した後、アルゴン雰囲気下テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.21g,5w/w%)及び重水素化トリブチルスズ(3.227ml,12mmol)を加え室温で5分間撹拌した。反応混合物を濃縮後、ヘキサン:酢酸エチル=7:3を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した化合物(16)(2.101g,9.34mmol,93%)を得た。
<工程15>
図に示した標識ジケトピペラジン誘導体(1.777g,4.95mmol)及び化合物(16)(1.013g,4.5mmol)をテトラヒドロフラン(45ml)に溶解したものをアルゴン雰囲気下-40℃に撹拌下冷却し、そこにカリウムtert-ブドキシド(0.616g)のテトラヒドロフラン(45ml)溶液を加えた。反応溶液を3時間かけて徐々に室温に戻した後、飽和塩化アンモニウムを加えた。反応混合物を酢酸エチルにより抽出した後、有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮した。残渣をヘキサン:酢酸エチル=65:35を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより化合物(17)(1.270g,2.72mmol,61%)が得られた。
<工程16>
化合物(17)(1.251g,2.68mmol)を酢酸エチル(20ml)に溶解した。これに二酸化白金(0.023g,0.1mmol)を加え、反応容器内の空気重水素ガスで置換した。重水素ガスの圧力を1kgf/cmとし室温で2時間撹拌した。触媒を濾過により取り除いた後、濃縮し濃臭化水素酸を加え140℃で48時間撹拌した。減圧濃縮後Dowex 50W-X8を用いてイオン交換することによりSAD-リジン(18)(0.360g,1.73mmol,65%)を得た。
<標識蛋白質の調製>
SAD-リジンを組み込んだEPPlbは論文記載の方法(E.Kariya et al.,J.Biomol.NMR 18,75-76,2000)にSAD-リジンを添加することにより調製した。
<標識蛋白質のNMR測定例>
NMR試料は論文記載の条件(E.Kariya et al.,J.Biomol.NMR 18,75-76,2000)を用い、論文記載の蛋白質主鎖NMR信号の帰属の情報をもとに帰属を行った。
SAD-リジンを取り込ませたEPPlb試料についてHCCH TOCSYスペクトルを測定した。〔ul-13C;15N〕-リジンを組み込んだ従来法との比較を図3に示す。この図3より、SAD-リジンを組み込んだ蛋白質は従来法に比べて単純化されていることがわかる。また長鎖アミノ酸の側鎖の信号を高感度で観測されていることから、従来は利用できなかった長鎖アミノ酸の側鎖のNMR信号も構造情報の取得に利用可能になる。
すなわち、この出願の発明の手段を適用することにより、構造決定に不要なシグナルは除去され、残余シグナルの感度が向上することから、従来の限界を超えた高分子量蛋白質の迅速かつ確実なシグナル解析及び立体構造の高精度決定が可能になる。
実施例3 SAD-グルタミンを組み込んだ蛋白質の調製とNMR測定
(2S,3S,4R)-〔1,2,3,4,5-13;2,5-15;3,4-〕グルタミン(以下、SAD-グルタミン)の合成をスキーム3に沿って工程17として詳細に説明する。
JP0004340538B2_000008t.gif<工程17>
メタノール(1305μl)に濃硫酸(55μl)を加え-5~-10℃に冷却し、この溶液をSAD-グルタミン酸(14)(98mg,719μmol)が入っている2mlのバイアルに加え-4℃にて1時間撹拌し室温に戻しさらに2時間撹拌した。撹拌終了後0℃に保ちつつ、二硫化炭素156μlを加えた。さらにこの容器に15N標識-アンモニアガスを14分間封入した。室温にて10日放置した後、メタノールを加え生じた結晶を濾取した。濾液を濃縮しこれを蒸留水に溶かし陽イオン交換樹脂DOWEX-50、陰イオン交換樹脂IRA96SB及び陰イオン股間樹脂IRA67により順次精製しSAD-グルタミン(19)(26mg)を得た。
<標識蛋白質の調製>
上記SAD-グルタミン(19)を組み込んだ蛋白質試料は、モデル蛋白質にEPPlb蛋白を用い、論文記載の条件(E.Kariya et al.,J.Biomol.NMR 18,75-76,2000)にSAD-グルタミン、グルタミン酸-グルタミン間の変換に関係する酵素を阻害するメチオニンスルホキシミン及び6-ジアゾ-5-オキソノルロイシンを添加することにより調製した。これらの標識体は従来のin vivo蛋白質調製法では、代謝変換を阻害し且つ蛋白質を生産する条件が設定できないために、調製することはできなかった。
<標識蛋白質のNMR測定例>
NMR試料は論文記載の条件(E.Kariya et al.,J.Biomol.NMR 18,75-76,2000)を用い、論文記載の蛋白質主鎖NMR信号の帰属の情報もとに帰属を行った。
SAD-グルタミンを取り込ませたEPPlb試料についてHCCH TOCSYスペクトルを測定した。〔ul-13C;15N〕-グルタミンを組み込んだ従来法との比較を図4に示す。図4より、SAD-グルタミンを組み込んだ蛋白質は従来法に比べ単純化されていることがわかる。また長鎖アミノ酸の側鎖の信号を高感度で観測することができることから、従来は利用できなかった長鎖アミノ酸の側鎖のNMR信号を構造情報の取得に利用できる。
すなわち、この出願の発明の手段を適用することにより、構造決定に不要なシグナルは除去され、残余シグナルの感度が向上することから、従来の限界を超えた高分子量蛋白質の迅速かつ確実なシグナル解析及び立体構造の高精度決定が可能になる。
実施例4 SAD/PDM-ロイシンを組み込んだ蛋白質の調製とNMR測定
まず(2S,3R,4R)-〔1,2,3,4,5-13;2-15N;3,5,5,5′,5′,5′-〕ロイシン(以下、SAD/PDM-ロイシンと呼ぶ)の合成を、スキーム4に沿って、工程18から工程31として詳細に説明する。
JP0004340538B2_000009t.gif<工程18>
SAD-グルタミン酸(14)(2.56g,16.5mmol)のエタノール溶液(20ml)に氷冷下、塩化チオニル(4.52g,38.0mmol)を滴下し、室温で一時間撹拌した後、一時間還流した。溶媒を留去した後、残留物にHOを加え飽和炭酸水素ナトリウムを用いて中和し、減圧下150℃で一時間撹拌した。有機物をクロロホルムで抽出し、抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去し化合物(20)を定量的に得た。
<工程19>
化合物(20)(2.73g,16.5mmol)のテトラヒドロフラン溶液(17ml)にテトラヒドロホウ酸リチウム(0.40g,18.2mmol)のテトラヒドロフランの懸濁溶液(17ml)を滴下し、室温で25時間撹拌した。反応混合物に20%酢酸(20ml)を加えた後減圧濃縮した。残留物をDowex 50W-X8で処理した後、減圧濃縮し有機物をクロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥後、減圧濃縮し化合物(21)(1.06g,8.65mmol,52%)を得た。
<工程20>
化合物(21)(1.06g,8.65mmol)のDMF溶液(10ml)にtert-ブチルジメチルシリルクロリド(1.44g,9.52mmol)とイミダゾール(1.36g,19.9mmol)を加え室温で21時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残留物をジエチルエーテルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し減圧濃縮して化合物(22)(1.69g,7.14mmol,83%)を得た。
<工程21>
化合物(22)(1.69g,7.14mmol)のDMF溶液(15ml)にジ-tert-ブチルジカルボネート(1.87g,8.57mmol)を加えた後、ジメチルアミノピリジン(0.87g,7.14mmol)を加え、室温で22時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残留物を酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸水素カリウム水溶液、水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し溶媒を留去し残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒ヘキサン:酢酸エチル=85:15)で精製して化合物(23)(1.90g,5.64mmol,79%)を得た。
<工程22>
1Mヘキサメチルジシラザンナトリウムアミド-テトラヒドロフラン溶液(11.8ml,11.8mmol)に3,3-ジメチルプロピレンウレア(1.45ml,11.8mmol)を加え0℃で10分間撹拌した。反応溶液を-78℃まで冷却し化合物(23)(1.90g,5.64mmol)のテトラヒドロフラン溶液(10ml)を加え同温度で30分撹拌した。さらに塩化フェニルセレネニル(1.19g,6.20mmol)のテトラヒドロフラン溶液(10ml)を加え-78℃で2時間撹拌した。同温度で反応混合物に重水素化ヨウ化メチル(0.90g,6.20mmol)を加え室温に昇温した後エーテルを加え、有機層を水と飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去した後、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒ヘキサン:酢酸エチル=94:6)で精製し化合物(24)(1.52g,3.06mmol,54%)を得た。
<工程23>
化合物(24)(1.52g,3.06mmol)のテトラヒドロフラン(12ml)溶液を0℃に冷却し30%過酸化水素水(3.47g,30.6mmol)を滴下した。室温に昇温し1時間撹拌後TLCを用いて原料の消失を確認した。反応混合物をエーテルで抽出した後、有機層を飽和炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去した後、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒ヘキサン:酢酸エチル=85:15)で精製し化合物(25)(0.806g,2.36mmol,77%)を得た。
<工程24>
化合物(25)(0.806g,2.36mmol)のメタノール溶液(25ml)に二酸化白金(0.04g,5wt%)を加え水素雰囲気下で1時間撹拌した。触媒をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し化合物(26)を定量的に得た。
<工程25>
化合物(26)(0.81g,2.36mmol)のメタノール溶液(25ml)にp-トルエンスルホン酸(0.04g,0.236mmol,10mol%)を加え室温で18時間撹拌した。反応混合物を減圧濃縮した後、酢酸エチルで抽出し飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥し減圧濃縮して化合物(27)(0.426g,1.78mmol,75%)を得た。
<工程26>
化合物(27)(0.426g,1.78mmol)のアセトン溶液(10ml)に過ヨウ素酸ナトリウム(3.81g,17.8mmol)、塩化ルテニウム1水和物(0.11g)、H2O(12ml)の混合物を加え0℃で1時間撹拌した。室温まで昇温して更に1時間撹拌した後、有機層を分離しイソプロパノール(10ml)を加え1時間撹拌した。不溶物をろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、残査をクロロホルムで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し溶媒を留去して化合物(28)を定量的に得た。
<工程27>
N,N-ジメチルホルムアミドジネオペンチルアセタール(0.74g,3.21mmol)とtert-ブタノール(0.40g,5.34mmol)の混合物を化合物(28)(0.45g,1.78mmol)のベンゼン溶液(10ml)に還流しながら加え、更に30分還流した。反応溶液を室温まで冷却した後、酢酸エチルを加え有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去後、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒ヘキサン:酢酸エチル=80:20)で精製し化合物(29)(0.271g,0.88mmol,49%)を得た。
<工程28>
化合物(29)(0.271g,0.88mmol)のテトラヒドロフラン溶液(10ml)を0℃に冷却し1M LiOH水溶液(1.05ml)を滴下した。反応混合物を室温まで昇温して30分撹拌後TLCを用いて原料の消失を確認した。生成物を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で抽出した後、酢酸エチルで洗浄し水層をクエン酸を用いてpH3-4にした。有機物を酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去して化合物(30)を定量的に得た。
<工程29>
化合物(30)(0.287g,0.88mmol)のテトラヒドロフラン溶液(10ml)をアルゴン気流下-40℃に冷却しトリエチルアミン(0.12g,1.14mmol)、クロロギ酸イソブチル(0.15g,1.05mmol)を加え1時間撹拌した。析出したトリエチルアミン塩酸塩をアルゴン気流下ろ別した後、ろ液を0℃に冷却し重水素化ホウ素ナトリウム(0.11g,2.63mmol)、テトラヒドロフラン(8ml)、重水(6ml)の混合物を加え1.5時間撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈した後、飽和塩化ナトリウム水溶液、10%クエン酸水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去した後、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒ヘキサン:酢酸エチル=75:25)で精製し化合物(31)(0.168g,0.53mmol,61%)を得た。
<工程30>
トリフェニルホスフィン(polystyrene-supported 3mmol P/gresin,0.39g,1.17mmol)のジクロロメタン懸濁液(5ml)にヨウ素(0.30g,1.17mmol)を加え室温で10分撹拌した後、イミダゾール(0.08g,1.17mmol)を加え室温で10分撹拌した。反応混合物に化合物(31)(0.168g,0.533mmol)のジクロロメタン溶液(15ml)を加え2時間還流した。不溶物をろ別した後ろ液を減圧濃縮し残留物をエーテルで抽出し飽和チオ硫酸ナトリウム溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮して化合物(32)(0.199g,0.468mmol,88%)を得た。
<工程31>
化合物(32)(0.199g,0.468mmol)のベンゼン溶液(10ml)に水素化トリブチルスズ(0.21g,0.70mmol)とアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)(7.7mg)を加え1時間還流した。溶媒を留去した後、残留物に1M 塩酸(15ml)を加え130℃で1時間還流した。水層をクロロホルムで洗浄した後、減圧濃縮しDowex 50W-X8でイオン交換を行いSAD/PDM-ロイシン(33)(0.0486g,0.34mmol,73%)を得た。
<標識蛋白質の調製>
上記SAD/PDM-ロイシンを組み込んだ蛋白質試料の調製は、モデル蛋白質にEPPlb蛋白を用い論文記載の条件(E.Kariya et al.,J.Biomol.NMR 18,75-76,2000)にSAD/PDM-ロイシンを添加することにより調製した。
<標識蛋白質のNMR測定例>
NMR試料は論文記載の条件(E.Kariya et al.,J.Biomol.NMR 18,75-76,2000)を用い、論文記載の蛋白質主鎖NMR信号の帰属の情報をもとに帰属を行った。
SAD/PDM-ロイシンを取り込ませたEPPlb試料についてH-13
CT-HSQCを測定した。〔ul-13C;15N〕-ロイシンを組み込んだ従来法との比較を図5及び図6に示す。図5及び図6より、SAD/PDM-ロイシンを組み込んだ蛋白質は、従来法に比べシグナルが単純化されていることがわかる。特に注目すべき点は、ロイシンのメチル基の一方は完全に重水素置換すると同時に炭素原子は核スピンをもたない12Cのままにしてあり、他方のメチル基は3個の水素のうちで構造取得のために最小限必要な水素1個のみを残して他の2個は重水素化してある点である。中心炭素原子はNMR測定・帰属に配慮して13Cに置換してある。プロトン密度が低下するために線幅が減少し、重水素化にともなうプロトン数の減少をほぼ完全に補っている点である。実際の構造決定に利用する複雑な測定においては、測定感度は従来法にくらべてむしろ大きく向上することが予測される。
このようにSAD/PDM-アミノ酸を用いれば全てのプロトンを有する炭素は13C-H対のみになり、緩和時間の測定・解析、残余双極子相互作用定数の構造決定への応用など、新しいNMR技術の開発に不可欠な標識蛋白質試料が得られる。
実施例5 SAD/PDM-メチオニンを組み込んだ蛋白質の調製とNMR測定
まず(2S,3R,4R)-〔1,2,3,4,6-132-15N;3,4,6,6-〕メチオニン(以下、SAD/PDM-メチオニンと呼ぶ)の合成を、スキーム5に沿って、工程31から工程38として詳細に説明する。
JP0004340538B2_000010t.gif<工程32、工程33>
文献記載の手法(K.Ramalingam et al.,J.Org.Chem.53,1900-1903,1988)を参考に(2S,3R)-〔1,2,3,4-13;2-15N;3-H〕アスパラギン酸(34)を原料に用いて化合物(35)へ変換した。この化合物(35)(2.82g,10mmol)をジクロロメタン(10.0ml)に溶解し、この溶液をDess-Martin periodinane(4.84g,11.4mmol)の塩化メチレン(30.0ml)溶液に20分かけて滴下した。さらに1時間撹拌した後、ジエチルエーテル(50ml)を加え、次いで、飽和炭酸水素ナトリウム(50.0ml)にチオ硫酸ナトリウム(15.0g)を混ぜたものを加え10分間撹拌した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム(50.0ml)、水(50.0ml)で洗った後、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し定量的に化合物(36)を得た。
<工程34>
窒素雰囲気下、水素化アルミニウムリチウム(60.0mmol,2.28g)にテトラヒドロフラン(4.0ml)を加えたものに、エタノール(60.6ml,2.78g)とテトラヒドロフラン(16.0ml)を混ぜたもの、次いで(s)-(-)-ビナフロトール(60.6mmol,17.34g)をテトラヒドロフラン(90.0ml)に溶解したものを、撹拌下それぞれシリンジで徐々に加え、室温で30分撹拌した。反応液を-100℃に冷却し、これに化合物(36)(1.67g,6.00mmol)をテトラヒドロフラン(11.0ml)溶解したものをシリンジで徐々に加え、同温度において3時間撹拌した。その後-78℃で10時間撹拌した。次に0.5N-塩酸(1.0ml)を加え15分間撹拌した後、ハイフロス-パセルを用いてろ過し有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。得られた粗生成物にヘキサンを加え、過剰なナフトールを結晶化して除き、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し化合物(37)を得た。(0.315g,1.12mmol,19%)
<工程35>
化合物(37)(0.315g,1.12mmol)を塩化メチレン(15.0ml)に溶解し、窒素気流下、0度においてトリエチルアミン(0.125g,1.23mmol)を加え、次いでメタンスルホニルクロリド(0.141g,1.23mmol)を加え1時間撹拌した。水(10.0ml)を加え、さらに15分間撹拌した。次に、有機層を0.5N-塩化水素(30ml×2)、水(30ml×2)、飽和炭酸水素ナトリウム(30ml×2)、飽和食塩水(30ml×2)で洗った後、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し化合物(38)を得た。(0.360g,1.10mmol,98%)
<工程36>
化合物(38)(0.360g,1.10mmol)に水(20ml)、カリウム-O-t-ブチルジチオカーボネート(0.225g,1.21g)、アリコート336(33.0mg,37.0μl)を加えたものを室温で30分間激しく撹拌した。次に、45度から50度で10分間撹拌した後、10分以上かけて75度から80度にし、さらに20分間撹拌した。水層が透明になり、黄色の油状物質が出てきたところで石油エーテル(20.0ml)を加え、有機層を水(30.0ml×2)で洗い、硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒 ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し化合物(39)を得た。(0.101g,0.340mmol,31%)
<工程37>
窒素気流下、化合物(39)(0.101g,0.340mmol)をテトラヒドロフラン(15.0ml)に溶解した。-78度において、1.6M-n-ブチルリチウム(0.233ml)を加え15分間撹拌した後、13CDHI(54.2mg,0.374mmol)を加え90分間撹拌した。飽和塩化アンモニウム(1.00ml)を加え、5分間撹拌した。室温に戻してTHFを留去した後、酢酸エチル(30.0ml)を加え、水(30.0ml)、飽和食塩水(30.0ml)で有機層を洗い、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒ヘキサン:酢酸エチル=1:1)で精製し化合物(40)を得た。(99.3mg,0.317mmol,93%)
<工程38>
化合物(40)(99.3mg,31.7mmol)に1N-塩酸(15ml)を加え、110度で3時間還流した。水を留去した後、この塩酸塩を少量の水に溶解しイオン交換樹脂Dowex 50W-X8により精製しSAD/PDM-メチオニン(41)をほぼ定量的に得た。(50.1mg,0.320mg,>99%)
<標識蛋白質の調製>
上記SAD/PDM-メチオニンを組み込んだ蛋白質試料は、モデル蛋白質にEPPlb蛋白を用い論文記載の条件(E.Kariya et al.,J.Biomol.NMR 18,75-76,2000)にSAD/PDM-メチオニンを添加することにより調製した。<標識蛋白質のNMR測定例>
NMR試料は論文記載の条件(E.Kariya et al.,J.Biomol.NMR 18,75-76,2000)を用い、論文記載の蛋白質主鎖NMR信号の帰属の情報をもとに帰属を行った。
SAD/PDM-メチオニンを取り込ませたEPPlb試料についてH-13CCT-HSQCを測定した。〔ul-13C;15N〕-メチオニンを組み込んだ従来法との比較を図7に示す。図7より、SAD/PDM-メチオニンを組み込んだ蛋白質は、従来法に比べ単純化されていることがわかる。また長鎖アミノ酸の側鎖の信号を高感度で観測することができることから、従来は利用できなかった長鎖アミノ酸の側鎖のNMR信号を構造情報の取得に利用できる。
すなわち、この出願の発明の手段を適用することにより、構造決定に不要なシグナルは除去され、残余シグナルの感度が向上することから、従来の限界を超えた高分子量蛋白質の迅速かつ確実なシグナル解析及び立体構造の高精度決定が可能になる。
実施例6 β位のSSD標識した芳香族アミノ酸を組み込んだ蛋白質の調製とNMR測定
(2S,3R)及び(2S,3S)-〔3,2′,3′,4′,5′,6′-;1,3-13;2-15N〕-フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン及びヒスチジンの合成
文献記載の方法(Makoto Oba et al.,J.Chem.Soc.,Perkin Trans.1,1995,1603)を参考に合成した。
<標識蛋白質の調製>
上記の立体選択的に重水素で標識された芳香族アミノ酸を組み込んだ蛋白質試料は、モデル蛋白質にEPPlb蛋白を用い論文記載の条件(E.Kariya et al.,J.Biomol.NMR 18,75-76,2000)により調製した。
<標識蛋白質のNMR測定例>
NMR試料は論文記載の条件(E.Kariya et al.,J.Biomol.NMR 18,75-76,2000)を用い、論文記載の蛋白質主鎖NMR信号の帰属の情報をもとに帰属した。
標識芳香族アミノ酸を取り込ませたEPPlb試料についてH-13C HSQCを測定した。従来法との比較を図8に示す。この図8より明らかなように、従来法では混み合ったNMRスペクトルになるが(a及びb)、SSD標識アミノ酸を取り込ませた蛋白質ではNMRスペクトルは単純化される(c及びd)。また立体特異的な信号の帰属も誤りなくできる。
His92におけるスライスデータを図9に示す。図9のようにSSD標識したヒスチジンは、CH,HH双極子相互作用がなくなるため重水素化されていないヒスチジン残基に比べ信号強度が約7倍増大する。
すなわち、この出願の発明の手段を適用することにより、構造決定に不要なシグナルは除去され、残余シグナルの感度が向上することから、従来の限界を超えた高分子量蛋白質の迅速かつ確実なシグナル解析及び立体構造の高精度決定が可能になる。
実施例7 安定同位体標識アミノ酸(以下、SAILアミノ酸ともいう)のみからなる蛋白質の調製とNMR測定及び構造解析
上記実施例において合成したSAILアミノ酸以外のSAILアミノ酸、すなわちSAILアラニン、SAILバリン、SAILイソロイシン、SAILセリン、SAILプロリン及びSAILアルギニンは、以下に示す手法により合成した。
SAILアラニンの合成
[1,2-13;2-15N]グリシンメチルエステルのベンゾフェノンイミンを用いたシッフ塩基アルキル化により合成した。合成したSAILアラニンの構造式を図1に示す。
SAILバリンの合成
目的とする標識パターンになる様に文献記載の方法(Jack E.Baldwin et al,Tetrahedron,51,4089-4100,(1995))を一部変更して合成した(スキーム6)。すなわち、基質に[1,2,3,4-13;2-15N]アスパラギン酸を用い、工程39におけるメチル化剤に[]ヨウ化メチルを用い、工程40における還元条件にNaBD/MeODを用いた。
JP0004340538B2_000011t.gifSAILプロリンの合成
文献記載の手法(M.Oba et al.,J.Org.Chem.64,9275-9278,1999)を均一に13C、15N標識したL-グルタミン酸から誘導した。合成したSAILプロリンの構造式を図1に示す。
SAILアルギニンの合成
スキーム7に沿って合成した。工程41から工程38を詳細に説明する。
JP0004340538B2_000012t.gif<工程41>
工程13で得られた化合物(15)(2.41g,10mmol)を塩化メチレン(20ml)に溶解した後、この溶液に室温で塩化チオニル(11.9g,100mmol)を加えた。この溶液を室温で1時間撹拌し次いで40℃で2時間撹拌した後、反応溶液を減圧濃縮した。得られた残渣をベンゼンに溶解した後、アルゴン雰囲気下テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0.21g,5w/w%)及び重水素化トリブチルスズ(3.227ml,12mmol)を加え室温で5分間撹拌した。反応混合物を濃縮後、ヘキサン:酢酸エチル=7:3を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し化合物(42)(2.101g,9.34mmol,93%)を得た。
<工程42>
(2R)-[2-15N]-フェニルグリシノール(0.44g,3.2mmol)を化合物42(0.721g,3.2mmol)の塩化メチレン溶液(32ml)に加え窒素雰囲気下室温で1時間撹拌した。さらに、[13C]-シアン化ナトリウム(0.32g,6.4mmol)及び酢酸(0.387ml,6.4mmol)を順次加え室温で24時間撹拌した。反応混合物に6M塩酸(10ml)を加えた後、クロロホルムを用いて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮した。残渣をヘキサン/酢酸エチルを用いたフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製し化合物43(0.7624g,2.044mmol,64%)を得た。
<工程43>
工程42で得られた化合物43(0.7624g,2.044mmol)をメタノール:クロロホルム=1:2の溶液(24ml)に溶かし、0℃に冷却した後酢酸パラジウム(1.55g,3.17mmol)を加え5分間撹拌した。反応溶液に0.2Mリン酸緩衝液(50ml)を加え0℃で40分撹拌した。その後生じた結晶を濾過した後濾液をクロロホルムを用いて抽出した。クロロホルム層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮し、残渣に濃塩酸(50ml)を加え140℃の油浴の5時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮後Dowex 50W-X8を用いてイオン交換することによりオルニチン(0.583g)が得られた。得られたオルニチンを水(3ml)に溶解し塩基性炭酸銅(1.62g,7.32mmol)を加え80℃で24時間撹拌した。不溶な結晶を濾過により取り除いたの後濾液を凍結乾燥により濃縮した。得られた固体を水(1.8ml)に溶解し0℃に冷却した後、そこにO-メチルイソ尿素塩酸塩(0.246g,2.116mmol)、次いで7.4%水酸化ナトリウム水溶液(1.15ml,2.116mmol)を加え室温に戻し5日間撹拌した。反応溶液をDowex50w-X8を用いて精製し、得られたアルギニンに塩酸を加えpHを6にし凍結乾燥することによりアルギニン塩酸塩(0.394g,1.765mmol)を得た。
<工程44>
(2R)-[2-15N]フェニルグリシノールの合成
50mlのオートクレーブ管に磁気撹拌子、α-ブロモフェニル酢酸(4.3g,20mmol)及びメタノール(20ml)を入れ、これを氷浴により冷却した。そこにアンモニアガスを飽和になるまで注入した後密封し室温に戻して24時間撹拌した。反応系に生じた結晶を濾取した後乾燥することにより(2SR)-[2-15N]フェニルグリシン(2.733g,17.98mmol)を得た。得られた(2SR)-[2-15N]フェニルグリシンを文献記載の方法(T.Shiraiwa et al.,Bull.Chem.Soc.Jpn.,64,191-195,1991)により(2R)-[2-15N]フェニルグリシンに変換した。収量は、1.90g(12.498mmol)であった。得られた(2R)-[2-15N]フェニルグリシンを文献記載の方法(Ernesto Nicol□s et al.,J.Org.Chem.,58,766-770,1993)により(2R)-[2-15N]フェニルグリシノールに変換した。収量は(10.125mmol)であった。
SAILイソロイシンの合成
SAILイソロイシンは下記に示した文献を参考にスキーム8及びスキーム9に沿って合成した。
JP0004340538B2_000013t.gifJP0004340538B2_000014t.gif<工程45、工程46>
13C均一標識酒石酸誘導体を原料に用いて文献記載(V.Schurig et al,J.Org.Chem.,45,538-541,1980)の方法を利用し[1,2,3,4-13;1,1,4,4-]2,3-ブタンジオールを合成した。
<工程47から工程51>
工程46により得られたブタンジオールを文献記載(Richard K.Hill et al,J.Am.Chem.Soc.,102,7344-7348,1980)の手法を利用してイソ酪酸へ誘導した。
<工程51から工程54>
工程51により得られたイソ酪酸を文献記載(Nicholas M.Kelly et al,Tetrahedron Let.,37,1517-1520,1996)の方法を利用しSAILイソロイシンに変換した。
SAILスレオニンの合成
SAILスレオニンは下記に示した文献を参考にスキーム10に沿って合成した。
JP0004340538B2_000015t.gif<工程55>
化合物(8)(794g,2.21mmol)を文献記載の手法(Y.Ueno,et al,Chem.Lett.795,(1983))を用いて化合物(51)(500mg,2.26mmol)に変換した。
<工程56>
化合物(51)(500mg,2.26mmol)を塩化メチン30mlに溶かし、0℃まで温度を下げ、Dess-Martin試薬(1.90g,4.49mmol)を加えて0℃のまま撹拌した。室温まで昇温させて1.5時間撹拌した。12gのチオ硫酸ナトリウムを溶かした飽和炭酸水素ナトリウム60mlと酢酸エチル50mlを加え再び5分間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム50mlで2回、水50mlで1回、ブライン50mlで1回洗浄、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮して化合物(52)を得た。
<工程57>
化合物(52)をメタノール20mlに溶かしたものを0℃まで温度を下げ、これに水素化ホウ素ナトリウム(70mg,1.75mmol)をメタノール10mlに溶かして加えた、2分後に氷浴から出して1.5時間撹拌を続けた。アセトン10mlを加えさらに5分間撹拌した。水20mlを加えて、減圧濃縮後、これに酢酸エチル40mlを加えて水(40ml×1)、ブライン(40ml×1)で洗浄し有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮して化合物(53)を得た。
<工程58>
化合物(53)を塩化メチレンに溶解し窒素置換して、ジメチルアミノピリジン(500mg,4.03mmol),トリフルオロメタンスルホニルクロライド(500μl,4.68mmol)を加えこれを0℃の条件下1時間撹拌して、これに酢酸エチル30mlを加えて水(20ml×2)、ブライン(20ml×1)で洗浄し有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮して化合物(54)を得た。
<工程59>
化合物(54)をトルエン80mlに溶解し窒素置換して、フタルイミドカリウム(1.40g,7.68mmol)、18-crown-6(150mg,0.56mmol)を加え、これを130℃の条件下3日間撹拌して冷却後、これに酢酸エチル100mlを加えて水(50ml×2)、ブライン(50ml×1)で洗浄し有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮した。反応混合物をヘキサン:酢酸エチル=1:1のシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(55)(421mg,1.36mmol,60%)を得た。
<工程60>
化合物(55)(389mg,1.25mmol)を文献記載の手法(Frieder W.Lichtenthaler,et al,Synthesis.790,1988)を用いて化合物(56)(309mg,1.21mmol)に変換した。
<工程61>
化合物(56)(309mg,1.21mmol)を1N-塩酸50mlで12時間還流させた。冷却後生じた白色針状結晶をろ取し、ろ液をDowex50W-X8で精製し、スレオニン(57)を得た。(50mg,0.400mmol)
SAILセリンの合成
[1,2,3-13;2-15N]セリンを文献記載の方法(Mark A.Blaskovich et al,J.Org.Chem.,63,3631-3646,1998)利用しアルデヒド体(58)に誘導した後、これをスキーム11に沿って(S)-BINAL-Dを用いて不斉還元後加水分解することによりSAILセリン(60)へ誘導した。合成したSAILセリンの構造を図1に示す。
JP0004340538B2_000016t.gif<工程62>
LiAlD(57.587mol,57.587ml)、EtOD(58.162mmol,2.738g,419g)in THF(29ml)、THF(80ml)に溶解した(S)-(-)-Binaphtal(58.738mmol,16.819g)を順に加え、アルゴン気流下、室温で30分撹拌後、-100度にして、化合物58(3.728g,12.797mmol)のTHF(13ml)溶液を加え3時間撹拌後、-78度で18時間撹拌した。0.5N HCl(200ml)で後処理後、セライトを用いてろ過し、エーテルで抽出後濃縮することにより化合物59を得た(収率15%)。
<工程63>
化合物59(1.451mmol)をCHCl(30ml)に溶解し、TFA(0.7ml)と、HO(0.50ml)を加えて、室温で30分撹拌後濃縮した。CsCO(9.6mmol,3.14g)を加え、MeOH(22.5ml)とHO(6ml)に溶解し、17時間撹拌後HClを用いて酸性にした後イオン交換することによりSAIL-セリン(60)を得た。
システイン合成
SAILシステインはスキーム12に沿って合成した。
JP0004340538B2_000017t.gif<工程64>
THF(6ml)に、triphenylphosphine(2.46mmol,618mg)、を加え、アルゴン雰囲気下、0度にした。そして、DEADの40%トルエン溶液(2.46mmol,1.12ml)を加えた。ここに、化合物59(1.23mmol,356mg)とthioacetic acid(2.46mmol,187mg)のTHF(3ml)溶液を2分かけて摘下した。そして、0度で1時間、室温で1時間、攪拌を行った。濃縮後、カラムで生成し、化合物7を得た。化合物8(0.326,0.94mmol)にTHF(5.0ml)、2N NHOH(5ml)を加え、室温で30分間攪拌し、濃縮し化合物8を得た。そして脱保護し、イオン交換樹脂で生成を行ったところ、27%の収率で目的化合物61が得られた。
<アスパラギンの合成>
SAILアスパラギン酸を文献記載の方法(A.F.Beecham,J.Am.Chem.Soc.,76,4615,1953)利用し、窒素源に15N標識アンモニアガスを用いて合成した。
<標識蛋白質の調製>
上記の標識アミノ酸を組み込んだ蛋白質試料は、モデル蛋白質にカルモジュリン蛋白を用いた。カルモジュリンの発現は無細胞蛋白質合成法の内、Zubayによって確立された手法(Protein Expression,A Practical Approach,S.J.Higgins and B.D.Hames,pp201-223,Oxford university press)に従って行った。その手法との相違点は大腸菌抽出液をPD-10カラム(Amersham Biotech)により脱塩処理したことと、アミノ酸混合物として上記のアミノ酸を残基数に比例した割合で混合したもの(図11)を用いたことである。カルモジュリン発現用DNAは、カルモジュリンの配列を挿入したpET-3a(Novagen)を用いた。この無細胞合成系により37℃にて8時間の反応を行い、アミノ酸混合物44mgから4.4mgの精製カルモジュリンを得た。この様にして調製したSAILカルモジュリンの重水素化率は56%となり、アミノ酸側鎖のシグナル数は重水素標識していない時に比べて60%にまで減少した。
<標識蛋白質のNMR測定>
この様にして得られたSAILカルモジュリン4.4mgを1mMのNMR試料となるように100mM KCl、10mM CaCl、0.1mM NaN、10%DO、pH6.5に溶解させた。SAILカルモジュリンの比較対象として重水素標識していないカルモジュリンを用いた。すべてのNMR測定はBruker DRX600、またはDRX800を用い、37℃にて行った。NMRスペクトル変換にはXWINNMR ver.2.6(Bruker)もしくはNMRPipe ver.1.7(Delaglio et al.,J.Biomol.NMR,6,277-293,1995)を用いた。これらのH-13CCT-HSQCスペクトルを図12に示す。SAILカルモジュリンのスペクトルでは、シグナルの先鋭化、縮重の軽減が見られる。またSAILカルモジュリンのスペクトルは線幅の先鋭化により均一標識カルモジュリンよりも数倍感度良く測定することができた。
その他、カルモジュリンの主鎖、側鎖に由来するNMRシグナルを帰属する目的で下記の測定をおこなった。
H-15N HSQC、HNCA、HN(CO)CA、HNCO、HN(CA)CO、HNCACB、CBCA(CO)NH、15N-TOCSY、HBHA(CO)NH、HCCH-COSY、HCCH-TOCSY、TOCSY(aromatic)、NOESY(aromatic)
以上の測定の内、H-13C CT-HSQC、HNCACB、CBCA(CO)NH、HBHA(CO)NH、HCCH-COSY、HCCH-TOCSYにおいては連続波による重水素デカップリングを適用した。
以上の測定から得られるスペクトルをSparky ver.3.105(UCSF)により解析し、シグナルの帰属を行った。
また、立体構造計算に用いるNOEを検出するために、15N-NOESY、13C-NOESY、H-HNOESY測定を行った。
<標識蛋白質の構造計算>
上記主鎖、側鎖シグナルの帰属結果を用いて、NOESYスペクトル解析と立体構造計算を行った。この過程においてはNOESY自動解析プログラムであるCANDID(Herrmann,T.et al.(2002).Protein NMR structure determination with automated NOEassignment using the new software CANDID and the torsion angle dynamicsalgorithm DYANA.J.Mol.Biol.319,209-227.)と構造計算用ねじれ角動力学アルゴリズムであるDYANA(P.Guntert et al.(1997).Torsion angle dynamics forNMR structure calculation with the new program DYANA.J.Mol.Biol.273,283-298.)を連携させたプログラム、CYANA(the Combined assignment anddynamics algorithm for NMR applications,c by Peter Guntert)(P.Guntert et al.J.Mol.Biol.273,283-298(1997).T.Herrmann et al,J.Mol.Biol.319,209-227,(2002))を用いた。このCYANAを14Xeonプロセッサー搭載のLinuxクラスター上で動作させた。NOE解析から20個の立体構造を決定するまでの1サイクルを自動反復により合計7サイクル繰り返した。7サイクル終了後、最終的な構造計算に用いたデータを下記に示す。
JP0004340538B2_000018t.gif均一標識体を用いて手動でNOESYスペクトル解析を行った場合では立体構造計算に数ヶ月以上を要していた。しかし上述の手法ではわずか約30分で構造を決定することが可能になった。この大幅な所要時間の短縮は、構造決定に不要なシグナルが除去され、残余シグナルの感度と分解能が向上したために確実なシグナル解析がなされたことと、自動化プログラムの補助に由来する。得られた最終20構造の図を図13に示す。
すなわち、この出願の発明の手段を適用することにより、構造決定に不要なシグナルは除去され、残余シグナルの感度が向上することから、従来の限界を超えた高分子量蛋白質の迅速かつ確実なシグナル解析及び立体構造の高精度決定が可能になる。
以上のように、実施例1~7では、様々な同位体標識パターンを有するアミノ酸類の合成、およびそれら標識アミノ酸類を無細胞蛋白質調製法により標的蛋白質に、効率良く、又代謝変換・希釈なしに組み込む技術、さらには得られた標識蛋白質のNMRスペクトルの測定から、従来の同位体利用NMR技術をはるかに上回る高度な構造情報が、高分子量蛋白質に関して得られることを示した。さらに実施例7では、蛋白質を構成する20種類全てのアミノ酸残基を図1で示した標識アミノ酸類に一括して置換したRSD/SSD/SAD/PDM-アミノ酸標識蛋白質の調製とそれらの立体構造決定への応用を行った。残余プロトンの立体化学的帰属が明瞭であるこの出願の発明手段を用いることにより、これにより標識された蛋白質は、高精度の溶液構造の決定を迅速且つ精密に達成することが可能であることを示した。また、図10に示したように、コンピュータ上の計算実験から、残余プロトンの立体化学的帰属が明瞭であるこの出願の発明手段を用いることにより、標識された蛋白質(c)は、全てのプロトン情報が得られた場合(b)と遜色ない高精度の溶液構造の決定が可能であることを示している。
もちろん、この出願の発明はその細部においてさらに様々な実施の形態が可能であることは言うまでもない。
実施例8:安定同位体標識フマル酸の合成
(1)安定同位体標識酢酸のtert-ブチルエステル化
オートクレーブ管を-50℃に冷却し、液化イソブテン(18ml,209mmol)を注入した。[1-13C]酢酸(13CH13COH;ISOTEC inc.製)(4ml,69.5mmol)とAmberlyst(登録商標)R15(Rohm Haas社製)(0.04g,1wt%)を加えて密封し、室温に戻して5時間攪拌した。Amberlyst(登録商標)R15は、濾過により除去した。得られた酢酸tert-ブチルエステルの収率は91%であった。
(2)安定同位体標識ブロモ酢酸のtert-ブチルエステル化
オートクレーブ管を-50℃に冷却し、液化イソブテン(30ml,321mmol)を注入した。[1-13C]ブロモ酢酸(13CHBr13COH;ISOTEC inc.製)(14.32g,103mmol)とAmberlyst(登録商標)R15(Rohm Haas社製)(0.07g,0.5wt%)を加えて密封し、室温に戻して24時間攪拌した。Amberlyst(登録商標)R15は、濾過により除去した。得られたブロモ酢酸tert-ブチルエステルの収率は97%であった。
(3)安定同位体標識フマル酸の合成
窒素雰囲気化で、上記(1)で合成された酢酸tert-ブチルエステル(1.338ml,10mmol)とジメチルプロピレンウレア(Aldrich社製)(1.209ml,10mmol)とテトラヒドロフラン10mlを三口のナスフラスコに入れ、-78℃に冷却した。次に、2M-リチウムジイソプロピルアミド-テトラヒドロフラン溶液(Aldrich社製)(10ml,20mmol)を滴下し、-78℃で1時間攪拌し後、さらに塩化フェニルセレネニル(Aldrich社製)(1.928g,10mmol)をテトラヒドロフラン15mlに溶かし滴下した。
-78℃で2時間攪拌した後、上記(2)で合成されたブロモ酢酸tert-ブチルエステル(1.477ml,10mmol)をテトラヒドロフラン10mlに溶解し、さらに滴下した。-78℃で1時間攪拌した後、室温に戻し、さらに室温で1時間攪拌した。
飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止し、ジエチルエーテルを用いて抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。
さらに、残渣を塩化メチレン(40ml)に溶かし、炭酸水素ナトリウム(2.52g,30mmol)を加えて-78℃に冷却した。m-クロロ過安息香酸(東京化成社製)(3.451g,13mmol)を加えた後、室温に戻し、1.5時間攪拌した。得られた反応混合物を水洗した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮した。
残渣をテトラヒドロフラン40mlに溶解した後0℃に冷却した。そこに30%過酸化水素水(5ml,44mmol)を滴下し、室温に戻した後1時間攪拌した。反応混合物をジエチルエーテルにより抽出し、エーテル層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、リン酸二水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水を用いて順次洗浄した。エーテル層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、さらに減圧濃縮した。
残渣をヘキサン:酢酸エチル=98:2の溶媒を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、フマル酸ジtert-ブチルエステルを得た。得られたフマル酸ジtert-ブチルエステルに1M塩酸20mlを加え、110℃で2時間攪拌した後、減圧濃縮して安定同位体標識フマル酸を収率61%(0.713g,6.14mmol)で得た。
実施例9:フマル酸のD-酒石酸ジエチルエステルへの変換
実施例8で得られた安定同位体標識フマル酸(0.119g,1.027mmol)をエタノールに溶解し、0℃に冷却した後、塩化チオニル2.5等量を滴下した。室温に戻した後、2時間攪拌した。
濃縮して亜硫酸ガスを除去した後、ジエチルエーテルに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥、吸引濾過し、濃縮した後、フマル酸ジエチルエステルを得た。
tert-ブタノール:水=1:1の溶媒(10ml)にAD-mix-β(Aldrich社製)(1.45g)を溶かした。さらに、メタンスルホアミド(Aldrich社製)(0.101g,1.061mmol)を加えて0℃に冷却し、そこにフマル酸ジエチルエステルを一度に加え、0℃で24時間、激しく攪拌した。さらに、亜硫酸ナトリウム(WAKO社製)(1.5g)を加え、室温に戻して1時間攪拌した後、塩化メチレンで抽出し、さらにリン酸二水素ナトリウムで洗浄した。
無水硫酸マグネシウムで乾燥した後減圧濃縮し、残渣をヘキサン:酢酸エチル=7:3を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、D-酒石酸ジエチルエステル(0.151g,0.732mmol,71%,>99%ee)を得た。
同定結果を表1に示した。
JP0004340538B2_000019t.gifただし、測定は、1H NMRはValian INOVA 300を用いてすべて13Cデカップル(1H[13C]NMR)して行い、非標識のものと比較して結果を得た。
以上詳しく説明したように、本発明の第1から第3の態様によって、蛋白質全体の重水素置換を残余シグナルの感度を向上させると同時に達成することができ、従来の限界を超えた高分子量蛋白質の迅速かつ確実なシグナル解析及び立体構造の高精度決定が可能になる。
つまり、次のような効果が奏せられる。
(1)NMRシグナルの線幅が著しく鋭くなる(シグナルの分離能の向上)。
(2)測定感度の向上(測定時間の短縮)
(3)NMRスペクトル解析の精度向上、解析時間の短縮・自動化等が可能。
(4)NMRの応用が可能な蛋白質分子量限界の拡張(約2倍以上、即ち5万程度の構造決定が可能)。
(5)構造解析の精度向上(全てのシグナルの立体特異的帰属が自動的になされるため)。
(6)側鎖末端迄のシグナルを利用した構造決定、構造情報の取得が可能(ゲノム創薬・ドラッグデザインへの応用)。
このため、構造ゲノム科学で要求される、高精度・ハイスループットな構造決定にとっても、この出願の発明とその延長上に明瞭に想定される構造決定技術は極めて有効である。
又、本発明の第4~第7の態様によって、安価な安定同位体試薬である安定同位体標識酢酸と安定同位体標識ブロモ酢酸をカップリングすることにより、これまで入手が困難であった位置選択的に安定同位体標識されたフマル酸と酒石酸を効率良く製造する方法が提供される。この発明の方法では、あらゆるパターンの同位体標識フマル酸や酒石酸の製造が可能な上、収率や光学純度も高い。
近年、蛋白質の立体構造解析等において、安定同位体標識フマル酸や安定同位体酒石酸が用いられており、需要が高まっていることからも、この出願の発明の位置選択的安定同位体標識フマル酸と酒石酸の製造方法は、有用性が高いといえる。
【図面の簡単な説明】
図1: 蛋白質を構成する20種類のアミノ酸についての、重水素化デザインされた構造を例示した図である。
図2: SSD-グリシンを組み込んだEPP1b蛋白質(18.2kDa)のH-13C HSQCスペクトルを比較例示した図である。
図3: SAD-リジンを組み込んだEPP1b蛋白質(18.2kDa)のHCCT TOCSYスペクトルを比較例示した図である。
図4: SAD-グルタミンを組み込んだEPP1b蛋白質(18.2kDa)のHCCT TOCSYスペクトルを比較例示した図である。
図5: SAD/PDM-ロイシンを組み込んだEPP1b蛋白質(18.2kDa)のH-13C β領域におけるH-13C HSQCスペクトルを比較例示した図である。
図6: SAD/PDM-ロイシンを組み込んだEPP1b蛋白質(18.2kDa)のH-13C γ領域におけるH-13C HSQCスペクトルを比較例示した図である。
図7: SAD/PDM-メチオニンを組み込んだEPP1b蛋白質(18.2kDa)のH-13C γ領域におけるH-13C HSQCスペクトルを比較例示した図である。
図8: β位をSSD標識した芳香族アミノ酸を組み込んだEPPIb蛋白質(18.2kDa)のH-13Cβ領域におけるH-13C HSQCスペクトルを比較例示した図である。
図9: H92の信号のスライスデータを比較例示した図である。
図10: リゾチームの構造計算のシミュレーションの結果を例示した図である。
図11: カルモジュリン蛋白質の合成に用いた安定同位体標識アミノ酸(SAILアミノ酸)の組み合わせを示す。
図12: 図11に示したSAILアミノ酸の組み合わせを用いて合成したカルモジュリン蛋白質のH-13C CT-HSQCスペクトルを示す。
図13: 図11に示したSAILアミノ酸の組み合わせを用いて合成したカルモジュリン蛋白質のCYANAによる構造計算により得られた最終20構造の図を示す。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
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【図12】
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【図13】
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