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明細書 :抗ヒトCENP-Aペプチドモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞の作成、及びその利用法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4155464号 (P4155464)
登録日 平成20年7月18日(2008.7.18)
発行日 平成20年9月24日(2008.9.24)
発明の名称または考案の名称 抗ヒトCENP-Aペプチドモノクローナル抗体産生ハイブリドーマ細胞の作成、及びその利用法
国際特許分類 C12N  15/02        (2006.01)
C07K  14/47        (2006.01)
C07K  16/18        (2006.01)
C12P  21/08        (2006.01)
G01N  33/53        (2006.01)
FI C12N 15/00 ZNAC
C07K 14/47
C07K 16/18
C12P 21/08
G01N 33/53 D
請求項の数または発明の数 4
全頁数 26
出願番号 特願2003-564094 (P2003-564094)
出願日 平成14年7月4日(2002.7.4)
国際出願番号 PCT/JP2002/006773
国際公開番号 WO2003/064474
国際公開日 平成15年8月7日(2003.8.7)
優先権出願番号 2002023587
優先日 平成14年1月31日(2002.1.31)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成16年12月15日(2004.12.15)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】依田 欣哉
【氏名】野崎 直仁
【氏名】岡崎 恒子
個別代理人の代理人 【識別番号】100102668、【弁理士】、【氏名又は名称】佐伯 憲生
審査官 【審査官】▲高▼ 美葉子
参考文献・文献 国際公開第01/092339(WO,A1)
戦略的基礎研究推進事業研究年報(2000),Vol.1999,p.119-121
平成9年度文部省科学研究費重点領域研究 細胞複製装置:染色体の複製:分配機構研究成果報告書(1998),p.91-92
FEBS Lett.(1998),Vol.422,No.1,p.5-9
Curr Biol.(1997),Vol.7,No.11,p.901-904
Genes Cells(1998),Vol.3,No.8,p.533-548
Chromosoma(1998),Vol.107,No.6-7,p.397-405
J Cell Biochem.(1995),Vol.59,No.2,p.161-167
Biochem Biophys Res Commun. (1996),Vol.228,No.3,p.846-851
調査した分野 C07K 16/18
C12N 15/00
BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN)
CA(STN)
REGISTRY(STN)
JSTPlus(JDreamII)
JMEDPlus(JDreamII)
JST7580(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
CENP-A蛋白質の3~19番目のアミノ酸配列からなるペプチドを抗原として得られる、可溶化したセントロメアクロマチンの免疫沈降法によりセントロメア複合体を単離・精製することができるモノクローナル抗体。
【請求項2】
CENP-A蛋白質がヒトCENP-A蛋白質である、請求項1に記載のモノクローナル抗体。
【請求項3】
細胞融合法によりモノクローナル抗体を製造する方法において、抗原としてCENP-A蛋白質の3~19番目のアミノ酸配列からなるペプチドを用い、ミエローマ細胞としてマウスの骨髄腫細胞であるP3-X63-Ag8.653細胞を使用し、かつ培地としてGIT培地を使用することを特徴とする、可溶化したセントロメアクロマチンの免疫沈降法によりセントロメア複合体を単離・精製することができるモノクローナル抗体を製造する方法。
【請求項4】
NaClの存在下にMNaseのみで可溶化したセントロメアクロマチンから、請求項1又は2に記載のモノクローナル抗体を用いた免疫沈降法によりセントロメア複合体を単離・精製する方法。
発明の詳細な説明 技術分野
本発明は、CENP-A蛋白質の抗体、その製造方法及びその利用法に関する。より詳細には、染色体のセントロメアに発現する蛋白質CENP-AのN末端の1/3のアミノ酸配列からなるペプチドを抗原とするモノクローナル抗体、その製造方法、及びその利用方法に関する。また、本発明はクロマチンタンパク質の可溶化方法、及びそれを用いたクロマチンタンパク質の検出、同定、定量方法に関する。本発明の抗体は、染色体異常の検出や同定に有用であり、またセントロメアの構造や機構の解明に有用である。
背景技術
セントロメアは、有糸分裂をする真核細胞のM期の紡錘体に結合して、極への移動に重要な役割を果たすものである。有糸分裂においては、セントロメアの両端に動原体と呼ばれるタンパク質複合体が形成され、この動原体に紡錘体を形成する微小管(動原体微小管)が結合する。脊椎動物の細胞における有糸分裂において、動原体で形成され紡錘体の微小管への付着部位であるキネトコアは、密な内部プレート、中間の透明な領域、そして密な外部プレートから成る3層の円盤状の構造体である。
今日までに知られている動原体タンパクには、細胞周期を通して動原体に存在するCENP-A、-B、-Cおよび-Hのような構成的タンパク、ならびにCENP-E、-F、INCENP、Mad1、Mad2、Bub1、Bub2およびRubR1のようなM期の開始後に現われる過渡的タンパクが含まれる。構成的タンパクは、「プレキネトコア」と呼ばれるS期で核の中に点として現われるが、これはそのうちの少なくとも1つがM-期で内部キネトコアプレートの中に位置していると報告されているからである。
CENP-B遺伝子は、ヒトのα-サテライトおよびマウスのマイナーサテライトDNA中に存在しCENP-Bボックスとして知られている17-bpDNAモチーフと結合する80-kDaタンパクをコードし、CENP-Bボックス領域の周辺に位置するヌクレオソームのポジショニング(塩基配列上の決まった位置に整列すること)をもたらす。この遺伝子のノックアウトマウスは、成長および形態的に如何なる明白な欠陥なしに生育するので、CENP-B遺伝子は必須のものではないと考えられている。
CENP-C遺伝子は染色体分離に必須であり、その遺伝子生産物(140-kDaタンパク)は明らかな配列特異性のないDNA-結合タンパクである。CENP-Cは電子顕微鏡により内部のキネトコアプレートで検出され、一方CENP-Bは対を成す領域中に位置すると報告された。
CENP-A遺伝子はヒストンH3の変種をコードしており、CENP-AのC末端の2/3はヒストンH3と高度に相同であるが、1/3のそれ以外のアミノ端末はCENP-Aに固有のものである。C-末端領域に位置するヒストン類似配列から成る領域は、CENP-Aを動原体領域へ標的とするために必須のものである。マウスのCENP-A遺伝子は、ジーンターゲッティング法により必須の遺伝子であることが示されている。CENP-AホモログであるCSE4は、出芽酔母(S.cerevisiae)から単離され、そして染色体の分離のために必須であることもまた示された。点変異による分析により、Cse4pの機能的な領域は、ヒストンH4との相互作用に必要なヒストンフォルドドメインならびにアミノ末端33ペプチドにわたって分布していることが示された。CENP-Aのホモログは線虫(C.elegans)、キイロショウジョウバエ(D.melanogaster)、および分裂酵母(S.pombe)中で同定されており、また染色体分離のためにも必須である。
出芽酵母(S.cerevisiae)においてセントロメア領域は、“CEN配列”として知られている125bp DNA配列が遺伝的に定義され、Cse4pを含めて8以上の動原体と関連するタンパクがこのDNA領域に局在し、ヌクレアーゼ攻撃に抵抗性のある高次のクロマチン複合体を形成する。分裂酵母(S.pombe)においては、数十キロ塩基の逆方向反覆配列に囲まれた4-7kbの固有の配列(cc領域)から成る更に長いDNA配列(40-120kb)が、セントロメア領域を形成する。何らかの高次クロマチン構造がcc領域内で形成されるであろう事が推測される。何故ならばこの領域内ではMNase開裂によるヌクレオソームラダー(ladder)は活性セントロメアを形成したときにスミアー(smear)となるからである。高等真核生物の動原体は、数百から数千キロベースの縦に反覆されたDNA配列を含んでいる。ただし、それらの配列と単位長さは種によって全く異なる(52)。
ヒトにおいては、500kbから5Mbまで変化するα-サテライト(アルフォイド)配列がセントロメア領域で見出される。α-サテライト配列は、それぞれの染色体は、171bpα-サテライト反復配列がさらに数個のそれぞれ染色体固有の各型を含む高次配列からなり、さらにそれが繰り返され、数メガベースにわたる長大な配列をなし配列中及び高次反覆配合における染色体特異的な変化を示す171bpのモノマーの反覆から成る。しかしながら安定なネオセントロメアが、α-サテライト等の反覆DNA配列の無い真性クロマチン領域で見出されている。
ネオセントロメアのエピジェネティカルな確立はヒト、キイロショウジョウバエ(D.melanogaster)、および分裂酵母(S.pombe)で報告されており、このことはDNA-タンパク複合体の形成、特にCENP-Aヌクレオソームの形成が活性動原体の形成のために決定的に重要であることを示唆している。CENP-Aを含有するヌクレオソームは、セントロメアクロマチンを真正クロマチンまたはヘテロクロマチンから区別するものであろうし、また機能的なキネトコアの形成を促進する。本発明者らは、試験管内ヌクレオソーム再構築系においてCENP-AはヒストンH3を置き換え可能であることを示してきた。また、CENP-Aヌクレオソームの基本構造は、ヌクレオソームDNAがその周囲をまいたコアヒストンオクタマー(H3、H4、H2AおよびH2B)から構成されるH3ヌクレオソームと同様であることを示してきた。したがって、本発明者らは、CENP-Aヌクレオソーム及びその他のセントロメアタンパクから成るセントロメアクロマチン複合体がプレキネトコア複合体を構成していることを提唱する。
これらのことをより解明してゆくために、HeLa細胞からセントロメアクロマチン複合体を単離し、さらにCENP-AヌクレオソームはCENP-Bボックスを含むα-サテライト上に選択的に形成されること、及びCENP-Bおよび-CはヌクレオソームDNAと結合してA/B/Cプレキネトコアクロマチン複合体を形成することを明らかにしてゆくために、クロマチン免疫沈澱法(CHIP)などの手法が求められている。
ところで、特定のタンパク質を同定したり、単離するためには抗体を使用する方法が極めて有用である。様々な哺乳動物を用いて抗体を作製する方法が広く応用されている。抗体を用いてタンパク質複合体を単離して、その構成因子を網羅的に解析しようとするタンパク質工学いわゆるプロテオミクスを実施する上で、抗体の特異性の高さや、品質の均一性への要求が極めて高くなってきており、特にモノクローナル抗体に対する要望が大きくなってきている。
モノクローナル抗体は、抗体を産生するハイブリドーマ細胞をいったんクローン化して樹立してしまえば、その細胞は不死化した細胞(腫瘍細胞)なので永久に増殖を続け抗体を産生し続ける。従って、均一な抗体を無制限に得ることが可能となる。
しかし、従来のモノクローナル抗体の製造方法においては、目的とする抗体を産生するハイブリドーマ細胞の選別、樹立が極めて煩雑であった。とりわけ、抗原として合成されたアミノ酸鎖の比較的短いペプチドを使用する場合には、エピトープ(抗体が認識する部位)をはっきりと限定できる反面、実際に抗体として使用できるかどうかを煩雑な方法でモノクローナル抗体を作製してみなければわからないことから、多数の比較的短いペプチドを用意して煩雑な作業を長時間に亘って行わなければならなかった。
発明の開示
本発明は、染色体のセントロメアに発現する蛋白質CENP-AのN末端の1/3のアミノ酸配列からなるペプチドを抗原とする抗体、特にモノクローナル抗体、及びその製造方法を提供する。
本発明は、染色体のセントロメアに発現するCENP-A蛋白質の部分長のペプチドに対する抗体に関する。
また、本発明は、細胞融合法によりモノクローナル抗体を製造する方法において、ミエローマ細胞としてマウスの骨髄腫細胞であるP3-X63-Ag8.653細胞を使用し、かつ培地としてGIT培地を使用することを特徴とするCENP-A蛋白質のモノクローナル抗体の製造方法に関する。
本発明は、セントロメアのクロマチンの可溶化方法に関し、より詳細にはミクロコッカスヌクレアーゼ(MNase)で処理することによりセントロメアのクロマチンを可溶化する方法に関する。本発明の可溶化はクロマチンの全体性を保持したまま可溶化できることを特徴とするものである。
さらに、本発明は、可溶化されたセントロメアのクロマチンタンパク質類をCENP類の抗体、好ましくはCENP-Aの抗体、好ましくはモノクローナル抗体を用いて免疫沈降させてセントロメアのクロマチンに含有されているタンパク質を検出、同定又は定量する方法に関する。本発明によれば、クロマチンの中には細胞分裂に関連するタンパク質のみならず分化に関連するタンパク質などが含有されていることが明らかにされ、セントロメアのクロマチンに含有されているタンパク質を解析することにより、癌などの各種の疾患の診断が可能となる。
発明を実施するための最良の形態
本発明者らは、細胞融合法におけるモノクローナル抗体の製造方法において、ハイブリドーマ細胞の選別、樹立をできるだけ簡略化する方法を検討してきたところ、ミエローマ細胞として融合効率の高いマウスの骨髄腫細胞であるP3-X63-Ag8.653細胞を使用し、細胞培養培地として牛胎児血清を少ししか必要としないGIT培地(日本製薬)を使用することにより、第一次選別に際して従来の半分以下の培地面積で選別できることを見出した。例えば、96ウエルプレートとして、その約半分のハーフウエルプレートを使用することができ、顕微鏡でのクローンの出現数を確認するときに、ウエル全体を一視野で観察することができ、迅速なスクリーニングが可能となった。
本発明者らは、CENP-A蛋白質は抗原性を有する活性部位を特定することが困難な蛋白質であり、CENP-A蛋白質の全長を用いて抗体を作製してもCENP-A蛋白質に有効に反応する抗体を作製することは困難であった。そこで、CENP-A蛋白質に有効に反応する抗体を作製するために、CENP-A蛋白質の各種の断片を用いて抗体を作製した。即ち、ヒトCENP-A蛋白質の3~19番目のアミノ酸配列からなる断片(#3-19)、ヒトCENP-A蛋白質の12~25番目のアミノ酸配列からなる断片(#12-25)、ヒトCENP-A蛋白質の27~40番目のアミノ酸配列からなる断片(#27-40)、ヒトCENP-A蛋白質の39~53番目のアミノ酸配列からなる断片(#39-53)、及びヒトCENP-A蛋白質の126~140番目のアミノ酸配列からなる断片(#126-110)を各々抗原として用いて、モノクローン抗体産生ハイブリドーマ細胞のスクリーニングを行った。
この結果、抗CENP-Aペプチド(#3-19)抗体、抗CENP-Aペプチド(#27-40)抗体、及び抗CENP-Aペプチド(#126-140)抗体が極めて有効な抗体であることがわかった。特に、抗CENP-Aペプチド(#3-19)抗体は、ウエスタンブロット法、間接蛍光抗体染色法、免疫沈降法において極めて優れた結果を与えることがわかった。
これらの多数のペプチド断片に対する抗体の作製方法として、本発明の前記した抗体作製方法が極めて有効であることもわかった。
同様にして、抗CENP-B抗体及び抗CENP-C抗体を作製した。即ち、CENP-B蛋白質のN末端側の半分のアミノ酸配列を有するペプチドを大腸菌発現系を用いて発現させた組換えペプチドを抗原とし、またCENP-C蛋白質のN末端側の半分のアミノ酸配列を有するペプチドをバキュロウイルス系を用いて発現させた組換えペプチドを抗原として抗体を作製した。
次に本発明者らは、得られた本発明の抗体が有効に反応していることを確認し、その応用例を示すために次の実験を行った。
まず、本発明者らは、セントロメアクロマチンがHeLa細胞核から可溶化する条件を検討した。NaClによる可溶化を検討した結果を図1Aのレーン1~3に示す。核を0.3M NaCl処理することによる結果を第1図Aのレーン1に示す。この条件ではCENP-A、-B、-Cどれも可溶性画分に溶出しないことが確認された。0.6M NaCl処理による上澄液の結果を第1図Aのレーン2に、沈殿物の結果を第1図Aのレーン3に示す。この結果、CENP-B及びCENP-Cが可溶化したことは見られたが(第1図Aのレーン2)、CENP-Aの可溶化は見られなかった。次に、核を0.3M NaCl中でミクロコッカルヌクレアーゼ((micrococcal nuclease)MNase)で消化した場合の上澄液の結果を第1図Aのレーン4に、沈殿物の結果を第1図Aのレーン6にそれぞれ示す。この結果、MNaseで処理した場合にはCENP-A、-B、及び-Cがいずれも30~50%が可溶化することがわかった。なお、ウェスタン解析において、それぞれのバンドがセントロメア蛋白であることは、サンプル中にACA-ビーズを加えると各々のバンドが除去されることによって確定した(第1図Aのレーン5)。
これらの結果から、CENP-Aを含むセントロメアクロマチンはバルククロマチンと同様にMNase消化によって可溶性画分に溶出することができることがわかった。
次に、HeLa細胞の核ペレットをミクロコッカルヌクレアーゼ((micrococcal nuclease)MNase)で消化した後、放出されたセントロメアクロマチンの程度を見出すためにCENP-Aの動的研究を行なった。単離されたHeLa細胞を、様々な程度(40-3600単位/ml・分)にまでMNaseで消化した。この結果を第1図Bに図面に変わる写真で示す。第1図Bは、MNase消化後の各サンプルにおけるDNAのサイズ分布を示すものである。37℃でHeLa核をMNaseによって消化し、可溶性画分から抽出したDNAを1%アガロースゲルで電気泳動し、臭化エチジウム染色によってDNAを検出した結果を示す。MNase消化の条件は次のとおりである。レーン1は、20単位/ml、2分(40単位/ml・分、以下これをサンプル#1という。)、レーン2は、20単位/ml、4分、(80単位/ml・分、以下これをサンプル#2という。)、レーン3は、40単位/ml、5分、(200単位/ml・分、以下これをサンプル#3という。)、レーン4は、80単位/ml、45分(3600単位/ml・分、以下これをサンプル#4という。)。
また、MNase消化後の可溶性画分と不溶性画分のバルククロマチンタンパクをSDS-PAGEによって分画しクマシーブリリアントブルー(CBB)染色によって検出した結果を第1図Cの上側の図面に代わる写真で示す。この際、バルククロマチンの相対量をヒストンH4のバンド強度で測定した。セントロメアクロマチンの相対量はCENP-Aの量で測定した。分画した蛋白を膜に転写後ACA抗体を用いた免疫染色によってCENP-Aを同定した結果を第1図Cの下側の図面に代わる写真で示す。第1図Cのレーン1~4は上澄液からのものであり、レーン5~8は沈殿物からのものであり、レーンMはCENP-Aの位置を示すものである。
これらの結果は、CENP-Aを含むセントロメアクロマチンはバルククロマチンと同じ様にMNase消化によって可溶化することができることを示している。
次にCENP-Aを含む動原体クロマチン複合体の構造と組成を調べるために、本発明の抗CENP-Aモノクローナル抗体とのクロマチン免疫沈降(CHIP)を行なった。トリヌクレオソーム及びそれ以上のヌクレオソームを含むクロマチンを第1図Bのサンプル#3の5-20%グリセリン勾配沈降で回収し、そして抗CENP-A、-B及び-Cと免疫沈降させた。スロット-ブロット分析により、α-サテライトDNAは濃縮されていることがわかった(データは示していない)。結果を第2図に示す。第2図は、CENP-Bボックス含有α-サテライトDNAを抗CENP-A、抗CENP-Bまたは抗CENP-C抗体とともに免疫沈降したクロマチンに含まれるDNA配列の分布を示す。第2図の右側3カラムのIPは、抗CENP-A抗体(第2図ではαCAと示されている。)、抗CENP-B抗体(第2図ではαCBと示されている。)、または、抗CENP-C抗体(第2図ではαCCと示されている。)により免疫沈降したDNA断片をTopoベクター(Invitrogon社)にクローン化し、塩基配列決定したものの分布を示す。クローン化した断片の80%以上が500bpより長かった。第2図の左側の「IP前(Before IP)」は免疫沈降する前の可溶化バルククロマチンから作製したクローンを示している。黒線はCENP-Bボックス含有α-サテライトDNAを有するクローン数を示す。白抜きの線はそれ以外のクローン数を示しているが、このクローンはユニーク配列であり、ほかの反復配列を含まず、CENP-Bボックスを含有しないα-サテライトDNAすら含まない。
第2図に要約されるように、CENP-Bボックスを含むα-サテライトDNAを3つの抗体の各々を用いるCHIPによって濃縮できた。CENP-BはCENP-Bボックスと優先的に結合することが既に示されている。したがって、抗CENP-B抗体を用いるCHIPはα-サテライトDNAとCENP-Bボックスと沈降する(20クローン;全クローンの31%)ことが期待され、他の43のクローン(69%)DNAはバックグラウンドであろうと考えられ、それはこの抗CENP-Bモノクローナル抗体の質を反映するであろう。抗CENP-C抗体を用いるCHIPは、α-サテライトDNAのCENP-Bボックスを顕著に濃縮し(26%)、他方抗CENP-A抗体を用いるCHIPは著しく高い割合(76%)でCENP-Bボックス含有α-サテライトDNAを沈降させた。すべてのCHIP解析を通じて、CENP-Bボックスのないα-サテライトDNA画分は回収されなかった。これらの結果は、CENP-A、-Bおよび-Cを含有する動原体クロマチン複合体は、HeLa細胞内でCENP-Bボックスを含むα-サテライトDNA(αI-タイプの配列)上に選択的に形成されることを示唆するものである。
次に、第1図Bに示すサンプル#3および#4の可溶化クロマチンの免疫沈降での共沈降を検討した。結果を第3図に図面に代わる写真で示す。第3図Aは、作成した抗CENP-A抗体、及び抗CENP-C抗体が極めて特異性高くM期染色体のセントロメアを染めることを示している。これらの抗体を用いて第3図Bで、可溶化クロマチンを抗CENP-A抗体(レーン1、2)あるいは抗CENP-C抗体(レーン3、4)によって免疫沈降した後7.5%(第3図Bの上段のもの)あるいは12.5%(第3図Bの下段のもの)SDS-PAGE後、ACA血清を用いてウェスタンブロッティングで分析した。レーン1、3はサンプル#3を用いた場合を示し、レーン2、4はサンプル#4の場合を示す。サンプル#3ではCENP-B、-C(レーン1)あるいはCENP-A、-B(レーン3)が共沈殿していることを示す。しかし、強いMNase消化をしたサンプル#4では共沈殿するセントロメア蛋白は大きく減少している(レーン2、4)。これらの結果は0.3M NaClでCENP-BとCENP-CがDNAを介してCENP-Aヌクレオソームを相互作用していることを示している。
バルククロマチン画分でのCENP-BおよびCENP-Cをウエスタンブロッティングで直接検出し定量することは高いバックグラウンドのために困難である。そのため、抗CENP-A抗体およびACA血清を用いる2段階の免疫沈降によりCENP-Aヌクレオソームと相互作用するCENP-BおよびCENP-Cの量を測定した。その結果新たに作製された本発明の抗CENP-A抗体は、CENP-Aクロマチンを定量的に沈降することができることが示された。第1図Bに記載した4つのサンプルの各々を抗CENP-A抗体と免疫沈降させ、ついで上澄み液をACA血清で沈澱させた。両方のセットの沈降(αCAおよびACA)をACAとのウエスタンブロッティングで分析した。
結果を第4図に図面に代わる写真で示す。第4図は、抗CENP-A抗体により沈降したCENP-A/B/Cクロマチン複合体中のCENP-A、-Bおよび-Cの含有量のACA血清を用いたウェスタンブロッティングによる結果を示す。第1図Bに示す4つのMNase消化サンプルを抗CENP-A抗体を用いて免疫沈降した(レーン1-4:αCAのサンプル12μl)。次に、上澄み液をACA抗体によって免疫沈降させて(レーン5-8:ACAのサンプル12μl)、ACA血清を用いて、残渣のCENPsを検出した。沈殿したタンパクを12.5%SDS-PAGEにより分離し、PVDF膜にブロットしてACA血清を用いて免疫染色した。αCAサンプル中のCENP-A(レーン2-4)が過剰であるため、1.5μlサンプルも免疫染色し、下に示した。両方のサンプルにみられるCENP-AとCENP-Bとの間の広いスメア状のバンドは、抗体セファロースビーズから遊離したIgGである。レーンMはCENP-A(61fmol/μl)、CENP-B(23fmol/μl)およびCENP-C(25fmol/μl)を含有するCENP-A/B/Cマーカー混合物4μlであり、モル比はA/B/C=2.65:1:1.09である。
第4図(レーン1-4)に示されるように、CENP-BおよびCENP-CはCENP-Aと共沈降した。第4図(レーン5-8)は、CENP-Aクロマチンが上澄み液の溶液から殆ど除去されていること、CENP-Cもまた初期の消化で殆ど消失していること(第4図、レーン5-6)、しかし可溶化CENP-Bの40-50%はCENP-Aクロマチンの除去後に上澄み液の中に明らかに残っていること(第4図、レーン5-6)を示している。第4図(レーン3)に示す沈澱をさらにMNaseで消化するか又は0.6M NaClで処理すると、CENP-BおよびCENP-Cは上澄み液の中へ放出された(データは示してない)。これらの結果から、可溶化CENP-Cの殆どと可溶化CENP-Bの約半分が、DNAを介してCENP-Aヌクレオソームと複合体を形成したものと結論した。
第4図に示すように、CENP-BおよびCENP-Cの量は増大し(レーン1-3)、最大値に達し(レーン3)、次いでDNA切断が進行するにつれて減少した(レーン4)。その一方でCENP-Aの量は増加し続けた。これらの結果は、HeLa細胞のMNase消化は2つの現象をもたらすことを示した。すなわちそれは先ずCENP-A/B/C複合体を可溶性画分に放出し、その後に複合体からCENP-B及び/又はCENP-Cを除去する。したがって、弱いMNase処理で放出された複合体の中のCENP-A/B/Cのモル比(第1図B、#1および#2)は、プレ動原体CENP-A/B/C複合体のモル比を表わすものであろう。プレ動原体クロマチン複合体の化学量論を測定するために、バキュロウイルス系で発現させた組換えタンパクを用いて濃度のわかっているA/B/C混合物を作製した。これらの組換えタンパクのACA血清に対する反応性は、HeLa細胞から精製したタンパクのそれと同じであることが確認された(データは示さず)。第4図のレーンMにおける標準混合物のCENP-C/Bモル比は1.09であったが、CENP-Cの膜への移動の効率が低いのでCENP-C群の強度はCENP-Bのそれよりも僅かに弱かった。これを勘案して第4図のレーン1-4におけるCENP-C/Bのモル比を計算した結果を第5図に示す。第5図は、沈殿したA/B/C複合物中のCENP-C/Bのモル比の計算値を示す。第4図のレーン1-4のCENP-CおよびCENP-Bの強度をNIHイメージ解析ソフトによって測定し、第4図のレーンM中のマーカー混合物(C/Bモル比=1.09)の強度値を用いて、CENP-C/Bの強度比をモル値に換算した。サンプル#1および#4のC/Bのモル比はマーカー混合物3μlを用いて補正し、補正値を示す(黒い三角印)。
その結果、それらは一定で約1であることを示した。一方、CENP-A/Bの強度比は実際的にそのモル比を表わした。これらのデータをもとにして、CENP-A/Bモル比のキネティクス(Kinetics)を第6図に示した。第6図は、各サンプル中のCENP-A/Bのモル比とCENP-AおよびCENP-Bの量を示す。サンプル#1(第4図のレーン1)およびサンプル#2-4のA/B強度比(ウェスタンブロッティングに各サンプル3μlを用いた。)を測定し、A/Bモル比としてプロットした(-●-)。A/Bモル比はサンプル#1で4.26であり、サンプル#2で4.10であった。マーカープロテインとバンド強度を比較してCENP-AおよびCENP-Bの量を計算した。CENP-Aは▲印で、CENP-Bは■印で、目盛は右軸に示す。MNase消化のそれぞれの強度(単位/ml・分)に対して、CENP-Aの1/4をプロットした。
この結果、初期消化(サンプル#1および#2)でのCENP-C/B比およびCENP-A/Bのモル比は殆ど一定で、各々1.1 0.1および4.2 0.4であった。1010核当量での各サンプルでのCENP-AおよびCENP-Bの量を第6図に記した。これらの結果から、プレ動原体クロマチン複合体のCENP-A:B:Cの平均モル比は概ね4:1:1であると結論できた。
CENP-A/B/CクロマチンはMNase消化によって3~4merヌクレオソームまで切り縮めることができる。
次に、CENP-A/B/Cクロマチンが複合体を保ったままで何処まで短く切り縮めることが出来るかを検討するため、60U/ml、37℃15分MNase消化して可溶化したバルククロマチンを5-20%グリセロル濃度勾配遠心によって分子量に従って分画した。各々の分画を抗CENP-Aまたは抗CENP-C抗体を用いて免疫沈降し、SDS-PAGE後にACA血清を用いてCENP-A、-B及び-Cを検出した。結果を第7図に図面に代わる写真で示す。第7図Aは、バルククロマチンの分布をクロマチンに含まれるDNAラダーによって示す。第7図Bは各々の分画の抗CENP-A抗体によるCHIPを、第7図Cは各々の分画の抗CENP-C抗体によるCHIPを示している。抗CENP-C抗体によるCHIPではCENP-A、-B、及び-Cの強度分布が対応している(第7図C)。このことは抗CENP-C抗体によるCHIPによって主にCENP-A/B/C複合体が免疫沈降していることを強く示唆している。第7図B及びCの結果によるとCENP-A/B/C複合体のピークはフラクション7番に位置している。このフラクションは第7図AのDNAラダーから5-6merヌクレオソームの沈降位置に相当する。モノヌクレオソームの分子量は約240kDに相当する。CENP-B+CENP-Cはおよそ220kDでほぼモノヌクレオソームの分子量に相当する。従ってモノヌクレオソーム+CENP-B+CENP-Cは少なくとも460kD以上となる。従ってフラクション#7はCENP-B、CENP-Cの分子量を考慮すると3~4merヌクレオソームのCENP-A/B/C複合体に相当することになる。これらの結果からCENP-A/B/CクロマチンはMNase消化によって3~4merヌクレオソームまで切り縮めることが出来ると結論することが出来る。
このように、本発明のCENP-A抗体は、CENP-A蛋白質に極めて特異的に結合し、動原体の解析などに極めて有効であることがわかった。また、本発明のCENP-A抗体は、染色体異常についてのスクリーニングや診断に有効である。セントロメア領域を決定する第一の要因がCENP-A蛋白質を含むヌクレオソーム(CENP-Aヌクレオソーム)の形成であることから、本発明のCENP-A抗体はセントロメア領域を示すマーカーとして、セントロメアが形成される領域を検出、同定するための極めて有効な抗体である。さらに、具体的には、例えば、正常なセントロメア領域以外にセントロメアが形成される病気があり、このような病気に対して本発明の抗体はセントロメアの異変を確実に、かつ高感度で検出できるものである。
次に、本発明者らは、セントロメアクロマチンに含まれるCENP-A、-B、-C以外の既知セントロメア蛋白の同定を行った。本発明の方法により、HeLa細胞単離核を0.3M NaCl存在下で比較的弱くミクロコッカスヌクレアーゼ処理することによってCENP-A/B/Cクロマチン複合体を全体性を保った形で可溶性画分に溶出でき、さらに抗CENP-A抗体ビーズを用いて単離精製出来ることを示した。この結果は、単離したCENP-A/B/Cクロマチンにさらに他のセントロメア蛋白が構成因子として含まれている可能性を強く示唆している。
そこで、最近明らかにされた、CENP-H及びCENP-I/human Mis-6の遺伝子を調達した。CENP-H遺伝子は戸所博士(理研)からの供与のものである。CENP-1/H.Mis-6はHeLa cDNAライブラリーからPCR増幅の後、クローニングによって調達した。バキュロウイルス系によってそれぞれの蛋白質を発現し、SDS-PAGEによって蛋白質を分離し、バンドを切り出すことによって目的の蛋白質を精製した。抗CENP-H抗体はウサギに、抗CENP-I抗体はラットに免役して抗体を作成した(オリエンタル酵母、受託)。抗ヒトMis-12抗体は柳田充弘博士より供与を受けた。
HeLa細胞の核を単離し(5×10)、0.3M NaCl存在下、6U/mlMNase、37℃30分の処理によってCENP-A/B/Cクロマチン複合体を可溶化し、抗CENP-A抗体ビーズによって単離精製した。このときのDNAの長さは0.3-5kbpであった。結果を第8図に図面に代わる写真で示す。第8図のレーンMはマーカーを示す。
ついで、単離精製したセントロメアクロマチンをSDS-PAGEによって蛋白質を分離し、それぞれの抗体を用いてウェスタンブロッティングによって目的の蛋白質の同定を試みた。結果を第9図に図面に代わる写真で示す。第9図のレーンMはマーカーを示し、レーン1~6は各レーンの上に記載されている物の+印で示されている物を用いたことを示す。使用した物は上から「組換えCENP-H」、「組換えCENP-I/Human Mis6」、「セントロメアクロマチン」、「CENP-H抗体」、「CENP-I/Human Mis6抗体」、「Human Mis12抗体」、「ACA」である。第9図に示されるように、単離したセントロメアクロマチンはCENP-A、-B、-Cを含み(レーン6)さらに、CENP-H(レーン3)、CENP-I/human Mis-6(レーン4)、human Mis-12(レーン5)を同時に含むことが明らかとなった。
ここで、抗CENP-Aモノクローナル抗体をクロマチン免疫沈降(Chromatin mmuno-recipitation;ChIP)に用いることの意義について説明する。
以上の実験結果が示すように本発明の抗CENP-Aモノクローナル抗体はChIP法によってセントロメアクロマチンをその全体性をよく保存した形で単離精製することが可能であることが明らかとなった。従来のChIP法はホルムアルデヒドを用いて複合体をクロスリンクによって固定した後に超音波処理あるいはMNase処理によってDNAを切断し可溶化する方法がとられていたが、この方法では蛋白を解析することが困難であった。そこで本発明ではホルムアルデヒド処理は行わず、MNase処理によって極めてマイルドな条件で可溶化できることを見出した。本発明において重要なポイントは2点である。第1点は特異性の高い抗CENP-Aモノクローナル抗体であり、第2点は全体性を保った形でセントロメアクロマチンを可溶化する方法である。本発明は、抗CENP-Aモノクローナル抗体、及びその利用法として全体性を保ったセントロメアクロマチンの単離法を提供するものである。
本発明の可溶化方法は、MNase処理によって極めてマイルドな条件で可溶化できるものであり、使用されるMNaseの濃度は1U/mL~500U/mL、好ましくは10U/mL~100U/mLであり、処理時間は可溶化するセントロメアクロマチンの状態や使用するMNaseの濃度や、目的とする可溶化の程度によっても異なるが、一般的には1分~100分、好ましくは1分~50分程度である。処理温度はMNaseの活性が維持できる温度であれば特に制限はないが、体温付近が好ましい。
この処理は適当な緩衝液中で行うことができ、例えば後述する実施例に記載のようにWB緩衝液を使用することができる。緩衝液には必要に応じてNaClやCaClなどを添加することができる。
なお、本願の優先権の基礎となる特許出願の後に公表された本発明者らによる論文(Satoshi Ando,et al.,Molecular Cellular Biol.,22(7),2229-2241(2002))には、MNase処理によるセントロメアクロマチンの動態を詳細に解析し全体性を保ったセントロメアクロマチンの単離法が記載されている。
本発明の方法により可溶化して単離したセントロメアクロマチンを分析した例を第10図及び第11図に図面に代わる写真で示す。第10図は、可溶化したセントロメアクロマチンをCENP-A抗体で免疫沈降させ、8M尿素で(レーン2~4)含むあるいは、次にSDS存在下で加熱(SDS-ボイル)して溶出したサンプルを10%SDS-PAGEで展開し、銀染色したものである。第10図の右側の数字はSDS-ボイルサンプルについて銀染色法により検出されたタンパク質のバンドを示しており、これらをプロテオーム解析した。第10図の右側の数字で示されるタンパク質のバンドを解析したプロテオーム解析の結果は以下のとおりである。
1は、未知タンパク質であり、
2は、未知タンパク質であり、
3は、検索により該当タンパク質を見出せなかった(no hit)を示し、
4は、CENP-Cを示し、
5は、分裂期キネシン様1(mitotic Kinesin-like 1)を示し、
6は、分裂期キネシン様1(mitotic Kinesin-like 1)を示し、
7は、分裂期キネシン様1(mitotic Kinesin-like-1)を示し、
8は、マウスZfp91と相同性を有する亜鉛フィンガータンパク質(zinc finger protein homologous to mouse Zfp91)を示し、
9は、racGTPアーゼ活性化タンパク質1(rac GTPase activating protein 1)を示し、
10は、racGTPアーゼ活性化タンパク質1(rac GTPase activating protein 1)を示し、
11は、racGTPアーゼ活性化タンパク質1(rac GTPase activating protein 1)を示し、
12は、検索により該当タンパク質を見出せなかった(no hit)を示し、
13は、レクタクロム1(rectachrome 1(Human polycomb 3))を示し、
14は、ポリコーム複合タンパク質Bmi-1(polycomb complex protein Bmi-1)、ポリホメオティックタンパク質2(polyhomeotic protein 2(PHP-2))を示し、
15は、ヒトリングフィンガータンパク質2(human Ring finger protein 2(mouse Ring 1B))、ポリcomb複合タンパク質Bmi-1(polycomb complex protein Bmi-1)を示し、
16は、ヒトリングフィンガータンパク質2(human Ring finger protein 2(mouse Ring 1B))、マクロ-ヒストンH2A1-1(macro-histone H2A1.1)を示し、
17は、検索により該当タンパク質を見出せなかった(no hit)を示し、
18は、フィブリラリン(fibrillarin;34kD nucleolar scleroderma protein)を示し、
19は、ラミンA前駆体(lamin A precursor)を示し、
20は、B細胞抗原受容体(B cell antigen receptor)を示し、
21は、ヒストンH4(histone H4)を示す。
第11図は、本発明の方法により可溶化したバルククロマチンよりCENP-A抗体で免疫沈降させ、単離したセントロメアクロマチン複合体を8M尿素で溶出(第10図レーン3と同じサンプル)した蛋白を7.5%SDS-PAGEにより分離した結果を示す図面に代わる写真である。第11図の右側の数字はそれぞれのバンドをプロテオーム解析により検出されたタンパク質を示している。第11図の右側の数字で示されるタンパク質のバンドを解析した結果は以下のとおりである。
1は、未知タンパク質であり、
2は、未知タンパク質であり、
3は、未知タンパク質であり、
4は、未知タンパク質であり、
5は、SWI/SNF関連タンパク質(SWI/SNF related)を示し、
6は、CENP-Cを示し、
7は、DNA欠損箇所結合タンパク質(DNA damage binding protein)を示し、
8は、未知タンパク質であり、
9は、検索により該当タンパク質を見出せなかった(no hit)を示し、
10は、検索により該当タンパク質を見出せなかった(no hit)を示し、
11は、キネシン様タンパク質5(kinesin-like 5)を示し、
12は、未知タンパク質であり、を示し、
13は、CENP-Bを示し、
14は、CENP-I/ヒトMis-6(CENP-I/hMis-6)、熱ショック70kDタンパク質5(Heat shock 70kD protein 5)を示し、Cullin 4Aを示し、
15は、RacGAP-1を示し、
16は、未知タンパク質であり、
17は、HDAC-1を示し、
18は、未知タンパク質であり、
19は、未知タンパク質であり、
19-1は、未知タンパク質であり、
19-2は、未知タンパク質、又は、Rfp-1b、BMI-1を示し、
19-3は、Rfp-2、BMI-1、Zfp-91、β-アクチン(β-actin)を示し、
19-4はヒストンマクロH2A2.1(histone macro H2A2.1)を示し、
20は、レクタクローム(rectachrome(Hpc-3))、Rfp-1を示し、
21は、RuvB様タンパク質2(RuvB-like protein 2)、DEADボックスタンパク質(DEAD-box protein)、ヒトArpNbeta/BAF53(hArpNbeta/BAF 53)を示し、
22は、未知タンパク質であり、
23は、未知タンパク質であり、
24は、CENP-H(206)を示し、
25は、CENP-H(109)を示し、
26は、CENP-H(332)を示し、
27は、SoXLZ/Sox6ロイシンジッパー結合タンパク質(SoxLZ/Sox6 leucine zipper binding protein)、クロモボックス相同タンパク質8(Chromobox homolog 8)を示す。
第10図及び第11図においてウェスタン解析で同定した、CENP-A、-B、-C、-H、-I/hMis-6については、アミノ酸配列として同定することが出来た。さらに未知タンパク質などについては、単離したセントロメアクロマチンを用いてプロテオーム解析を続行している。さらに現在60以上の蛋白質を同定している(1例として第10図参照)。
さらに、抗CENP-A抗体ビーズで免疫沈降した蛋白質群がIgG抗体に非特異的に吸着した蛋白を含むか否かをチェックした。具体的には、本発明の方法で可溶化したクロマチンにマウスIgG(購入した)ビーズを加え4℃で一昼夜混ぜ合わせ、次にその上澄に抗CENP-A抗体ビーズで免疫沈降した。それぞれのサンプルから蛋白質を溶出し前述と同様の方法でプロテオーム解析して遺伝子を同定した。その結果を第12図に図面に変わる写真で示す。第12図の左側のレーンはマウスIgGのものであり、1~13の番号は検出された蛋白質のバンドを示す。これらの検出された蛋白質のプロテオーム解析の結果、バンド1はATP-依存性]RNAヘリカーゼ(1586、この値は、決定したペプチドとデータベースとのホモロジーの程度を示す。以下同じ)であり、バンド2は転写制御蛋白質80(816)、2本鎖RNA-特異的アデノシンデアミラーゼ(699)であり、バンド3はDEAD/Hボックスポリプチド3(DEAD/H box polyputide 3)(1022)であり、バンド4は成長制御ヌクレアーゼ68蛋白質(Growth regulated nuclease 68 protein)(965)であり、バンド6はBAF53(91)、アクチン様蛋白質6(222)であり、バンド7はインターロイキンエンハンサー結合因子2(371)であり、バンド8はヒストンマクロH2AI.I(336)、アクチン(193)であり、バンド9~13はヘテロ核リボヌクレオプロテイン類であった。第12図の右側のレーンはα-CENP-Aを用いた場合である。その右側のレーンMはマーカーである。この結果、抗CENP-Aビーズから回収された蛋白質のスペクトルは第10図、第11図で得られた結果とほぼ同一であった。それに対してマウスIgGビーズに結合した蛋白スペクトルは全く異なるものであった(第12図参照)。両者で重なる蛋白質はヒストンH1、コアヒストン(H3,H2A,H2B,H4)、アクチン及びヒストンマクロH2A1.1のみであった。この結果は抗CENP-Aビーズによって回収した蛋白質がセントロメアクロマチン特異的な物である事を示している。
次に、プロテオーム解析で検出したポリコーム複合体の構成因子であるRNF2と、癌関連遺伝子としても知られているBMI1について抗体を調達し、まず単離したCENP-A/B/C複合体にこれら蛋白が含まれることをウェスタンブロット法によって確認した。結果を第13図に図面に変わる写真で示す。第13図の1~7の各レーンセットの左がαCAビーズサンプル、右がIgGビーズサンプルである。各レーンセットの1次抗体は、レーンセット1がウサギ抗CENP-H抗体、レーンセット2がウサギ抗CENP-H抗体とACA抗体、レーンセット3がマウス抗マウスRing1B抗体(モノクローン抗体)、レーンセット4がウサギ抗ヒトRNF2抗体、レーンセット5がマウス抗ヒトBMI-1抗体、レーンセット6がウサギ抗CENP-I/H.Mis6抗体、レーンセット7がウサギ抗H.Mis12抗体である。2次抗体はそれぞれ西洋ワサビパーオキシダーゼ(Horse radish peroxidase)結合の、抗ヒトIgG抗体(レーン2)、抗マウスIgG抗体(レーン3、5)、抗ウサギIgG抗体を用いた。発色はコニカイムノステインを用いたものである。レーンセット1でCENP-Hが、レーンセット2でCENP-HとCENP-A,-B,-Cが検出される。0.6M NaClでは本来CENP-Aは溶出しないが、大量のCENP-Aが存在するためその一部がもれて来ている。実際2M NaCl,pH2.5で大量のCENP-Aが溶出している。レーンセット3、4で同じ移動度のバンドが検出されている。ヒトRNF2はマウスRing1Bのホモログで99%のホモロジーがあるため両方で同定されている。レーンセット3、4で検出されている蛋白はRNF-2と結論される。レーンセット5でBMI-1が3本のバンドとして検出されている。レーン6セットでCENP-I/H.Mis6が検出されている。レーンセット7で極めて薄いがIgGのバンドのすぐ下に検出されている。レーンセット3、5でそれぞれRNF2,BMI-1の下方に出ているバンドはビーズからもれ出したマウスIgG抗体である。レーンセット3、5では抗マウスIgGを用いているために染色されている。他のレーンセットは動物種が異なる抗IgG抗体であるために極めて薄いバンドとして検出されている。第9図では8M尿素によって溶出した蛋白に対するウェスタン解析であるが、CENP-A,-B,-C,-H,-I/H.Mis6,H.Mis12は再現的に同定されている。ここではさらにRNF2,BMI-1が同定されたことになる。
さらに同じ抗体を用いてHeLa細胞を免疫染色した。この結果を第14図及び第15図に図面に変わる写真で示す。第14図A(左上)は抗CENP-Cで染色したものを示し、第14図B(右上)は抗BMI1で染色したものを示し、第14図C(左下)はDAPIにより核酸の染色を示し、第14図D(右下)はこれらを重ねあわせたものである。第15図A(左上)は抗CENP-1で染色したものを示し、第15図B(右上)は抗BMI1で染色したものを示し、第15図C(左下)はDAPIを示し、第15図D(右下)はこれらを重ねあわせたものである。この結果、RNF2は核内に多数のドットが出たが、セントロメアと重なるドットが有るか否かは判別できなかった(データは示していない)。それに対してBMI1は同様に核内にドットとして観察されしかもそれらのドットはCENP-C、CENP-H或いはCENP-I/H.Mis6の示すドットと完全に重なった。従ってBMI1蛋白質がセントロメア構成蛋白質である事が初めて証明されたことになる。ポリコーム複合体は染色体をヘテロクロマチン化して特定の遺伝子の転写を押さえる機能を持ち、細胞の分化、個体の形態形成に深く関与していることが知られている。従って、本発明によってセントロメア構造体が何らかの形で細胞分化、個体の形態形成に深く関与する事を示唆する結果が得られたことになる。
次に、第11図14番バンドに対応するキュリン4(Cullin4)に対する抗体を調達し、HeLa細胞を免疫染色した。この結果を第16図及び第17図に図面に変わる写真で示す。第16図A(左上)は抗CENP-Aで染色したものを示し、第16図B(右上)は抗キュリン4で染色したものを示し、第16図C(左下)はDAPIによる染色体の染色を示し、第16図D(右下)はこれらを重ねあわせたものである。第17図は、第16図と同様の方法によりM期(各図の左側)とS期(各図の右側)の細胞を、各々第16図と同様に染色したものである。
この結果、核内にドットとして観察されこれらのドットはCENP-Aの示すドットと完全に一致した。キュリン(Cullin)はユビキチンリガーゼとして作用することが知られておりターゲットの蛋白質をユビキチン化しプロテオソーム経路を通して速やかにターゲット蛋白を消失させる機能を有する。本発明のこの発見で興味深い点はHeLa細胞で検出されるキュリン4(Cullin4)はS期に比較的ハッキリと同定されM期から細胞分裂期には消失する点である(第16図、第17図)。M期から染色体分離期に入る際にAPC複合体(Anaphase Promoting Complex)の存在が知られており、ある種の蛋白質がユビキチン経路を通して分解する事が染色体分裂開始の引き金となる事が知られている。今回の発見はキュリン4(Cullin4)がこうした細胞周期制御に重要な役割を果たしている事を予想させる極めて興味深い知見である。キュリン4(Cullin4)がセントロメアに局在するという知見は本発明により初めて明らかにされたものである。キュリン4A(Cullin4A)に関して興味深い知見は肺ガン細胞ではキュリン4A(Cullin4A)遺伝子の増加あるいは転写量の増加が観察される事である。キュリン4A(Cullin4A)はDDB1と結合することが知られているが、キュリン4A(Cullin4A)のDDB1への結合量が増加することが何らかの形で発がんに繋がる可能性を示している。第11図の7番バンドがDDB1に相当し、DDB1もセントロメア構成蛋白と考えられ、本発明による方法が癌の診断や発ガン機構の解明に極めて重要であることが示された。
本発明者らは、HeLa細胞単離核を出発材料としているのでM-期細胞ではなく、間期におけるセントロメアクロマチンを単離している。従って単離したセントロメアクロマチンに含まれる蛋白は間期核におけるセントロメアの機能を示唆するものである。多くの未知蛋白のほかに既知蛋白をも含んでいた。その中には、ポリコーム遺伝子関連蛋白が含まれていた(BMI-1、RNF2、MPC3など)。ポリコーム遺伝子群は遺伝子発現を負に制御する分化制御に広く関連するものであり、この遺伝子群が間期の核セントロメアに存在するということは、セントロメア領域が細胞の将来の姿を決める分化に対しても重要な役割を果たす可能性を示すものである。この点は、セントロメアが染色体の均等分配のみならず、細胞の姿を決める際にシグナルを受け答えし、細胞全体を監視する管制塔あるいは情報センターの役割を果たすことが考えられる。これはセントロメアの役割として全く新しい視点を与えるものであり極めて画期的である。
このようなセントロメアの機能の医学的意義としては、セントロメア機能の欠損は、娘染色体の均等分配の欠損の場合は殆どが死に至るであろうが、分化制御機能の欠損の場合は癌細胞化すると考えられる。従って、本発明により癌研究、特に細胞の癌化に新しい道を開くのと同時に、癌細胞の診断に役立つものと考えられる。したがって、本発明は、細胞のセントロメアクロマチンを可溶化し、これを抗CENP抗体を用いて免疫沈降させたタンパク質から癌などの疾患に関連するタンパク質を検出・同定することからなる癌などの疾患の診断方法を提供するものである。
本発明の免疫沈降に使用される抗体としては、抗CENP抗体を使用することができ、好ましくは抗CENP-A抗体が使用される。これらの抗体は担体、例えばビーズ状などの形状をした担体に固定化して使用することもできる。この方法により沈殿してきたタンパク質は、このままで解析することもできるし、適当な、例えば尿素溶液などで溶出処理してから解析することもできる。解析法としてはSDS-PAGEなどに展開して解析することもできるし、目的のタンパク質の抗体を用いた抗体による検出法を使用することもできる。あるいは、0.6M NaCl、2M NaCl、pH2.5、0.1Mグリシンで段階的に溶出することもできる。
本発明は、CENP-A蛋白質のN末端部分のアミノ酸配列からなるペプチドに対する抗体、好ましくはモノクローナル抗体、及びその製造方法を提供するものである。本発明の抗体は、従来の方法でも製造することができるが、好ましくは本発明のモノクローナル抗体の製造方法により製造される。
抗原として使用するペプチドは、CENP-A蛋白質の部分長のアミノ酸配列からなるペプチドを用いることを特徴としている。CENP-A蛋白質のC末端側の2/3はヒストンコアーを形成しているH3蛋白質と相同であるアミノ酸配列からなっていることから、CENP-A蛋白質のN末端側の約1/3のCENP-A蛋白質固有の配列を用いるほうが好ましい。好ましいアミノ酸配列としては、CENP-A蛋白質の3~19番目のアミノ酸配列を含むペプチド、27~40番目のアミノ酸配列を含むペプチド、及び126~140番目のアミノ酸配列を含むペプチドが挙げられる。より好ましいペプチドとしては、CENP-A蛋白質の3~19番目のアミノ酸配列を含むペプチド、さらに好ましくは3~19番目のアミノ酸配列からなるペプチドが挙げられる。
本発明の抗体の製造方法は、通常の細胞融合法におけるモノクローナル抗体の製造方法を使用するものであるが、その際にミエローマ細胞としてマウスの骨髄腫細胞であるP3-X63-Ag8.653細胞を使用し、かつ培地としてGIT培地を使用することを特徴とするものである。GIT培地は、日本製薬株式会社より市販されているがこれに限定されるものではなく、牛胎児血清を必要としない同種の培地であれば本発明の方法に使用することができる。
本発明の方法における抗原としては、通常の方法で抗体を製造することができる各種の抗原を使用することができる。例えば、大腸菌発現系を用いたCENP-B蛋白質、そのN末端側のペプチドなどの組換え蛋白質、バキュロウイルス系系を用いたCENP-C蛋白質などの組換え蛋白質などや、その他の蛋白質又はそれらの断片を使用することができる。
実施例
次に実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1 (CENP-A蛋白質のN末端側ペプチドのモノクローナル抗体の製造)
種々のアミノ酸長のヒトのCENP-Aペプチド(アミノ末端から3-19のアミノ酸)を化学的に合成し、CENP-A蛋白質の各種の断片を用いて抗体を作製した。即ち、ヒトCENP-A蛋白質の3~19番目のアミノ酸配列からなる断片(#3-19)、ヒトCENP-A蛋白質の12~25番目のアミノ酸配列からなる断片(#12-25)、ヒトCENP-A蛋白質の27~40番目のアミノ酸配列からなる断片(#27-40)、ヒトCENP-A蛋白質の39~53番目のアミノ酸配列からなる断片(#39-53)、及びヒトCENP-A蛋白質の126~140番目のアミノ酸配列からなる断片(#126-110)を各々抗原として用いた。
各々のペプチドをキーホールリムペット(keyhole limpet)ヘモシアニン(Pierce)と共有結合させた。マウスの骨髄腫細胞(P3-X63-Ag8.653)を用いて、GIT培地(日本製薬)で融合細胞を培養した。融合方法、スクリーニング方法などの具体的な手順は、コリガンらの方法に従った(Coligan,J.E.,et al.,”Current protocols in immunology”,Greene Publishing Associates and Wiley-Interscience)。
選択されたハイブリドーマ細胞は、ウエスタンブロット分析によりCENP-Aタンパクを特異的に認識するIgGを生産していた。そして間接的免疫蛍光顕微鏡検査によりS-期とM-期の動原体領域を標識した(第3図A参照)。
この結果得られた、抗CENP-Aペプチド抗体(#3-19、#27-40、#126-140)が極めて有用な抗体であることが明らかになった。特に#3-19抗体は、ウエスタンブロッティング法、間接蛍光抗体染色、免疫沈降法で優れた結果を与えた。
実施例2 (CENP-B蛋白質のN末端側ペプチドのモノクローナル抗体の製造)
大腸菌(E.coli)細胞中で発現し包接体として単離したCENP-Bのアミノ末端部分を抗原として、実施例1と同様な方法で抗体を製造した。
実施例3 (抗CENP-C抗体の作製)
ヒトのCENP-C(アミノ酸1-426)のアミノ末端半分をコードするDNA配列を、HeLa細胞のcDNAライブラリーを用いてのPCRで増幅し、NcolおよびEcoRIでの消化後にpFastBac HTベクター(Gibco BRL)の中へクローン化した。使用したプライマーは、5’-GGCCGGACCATGGCTGCGTCCGGTCTGGAと、5’-ATAGAATCCTCTTCAGCTGGTTTAGCCATであった。単離したクローンはDNA配列を読み、そしてアミノ酸置換のないクローンを選択した。CENP-Cのアミノ末端半分を、Bac-to-Bacバキュロウイルス発現系(GIBCO BRL)を用いてSF9細胞内で発現させ、Ni-カラム上で精製した。ポリクローナルモルモット抗体をCN-Br活性化したセファロース4Bビーズ(Amersham Pharmacia Biotech)へ連結した同一のタンパクでアフィニティー精製した。
実施例4 (クロマチンの可溶化)
HeLa S3細胞を、5%牛血清を含有するRPMI1640培地(日水製薬(東京、日本))で、5×10細胞/mLの濃度になるまで培養した。培養した細胞の核を分離した。
HeLa細胞の核ペレット(核 1×10コ)を、氷冷した0.3M NaClを含有するWB(WB:20mM Hepes、pH8.0;20mM KCl;0.5mM EDTA;0.5mM ジチオトレイトール(dithiothreitol(DDT))、0.05mM フェニルメチルスルフォニルフルオライド(phenyl methyl sulfonyl fluoride(PMSF))5mlに懸濁した。この核懸濁液を、最終濃度2mMのCaClを添加した後に、37℃でミクロコッカスヌクレアーゼ(MNase)で消化した。急冷と共に最終濃度10mMのEGTAの添加により反応を停止させた。消化物を、4℃において10分間、10,000gでR20A2ローター(日立)を用いて遠心分離した。可溶化されたクロマチンは、上澄み液中へ回収された。ペレットは、5mlの同じ緩衝液へ再懸濁した。
結果を第1図に示す。第1図Aは、セントロメアクロマチンがHeLa細胞核から可溶化する条件を検討した結果を示し、第1図Bは、MNase消化後のクロマチン内DNAのサイズ分布を示し、第1図Cは、バルククロマチンタンパクをMNase消化後の可溶性画分と不溶性画分をSDS-PAGEによって分画しクマシーブリリアントブルー(CBB)染色によって検出した結果(第1図Cの上側)、分画した蛋白を膜に転写後ACA抗体を用いた免疫染色によってCENP-Aを同定した結果(第1図Cの下側)を示す。
実施例5 (免疫沈降)
ACA血清(MI)は、CENP-A、CENP-B、CENP-Cを認識するIgG抗体を含む。これらのIgGを、プロテイン-G-セファロース カラム(Pharmacia)に吸着させ精製した。モルモットの抗CENP-C IgG(gpαCC)を、CENP-C-結合したセファロース4Bのカラム上でアフィニティー精製した。これらIgG類の各々(各~10mg)をCNBr活性化セファロース4B(乾燥粉末1g、Pharmacia)と連結した。
これらのIgG-結合セファロースビーズ(50μl)を、0.1%のNP-40を補った実施例4で製造した可溶化クロマチンサンプル(1ml)へ添加するか又はグリセリン勾配沈降(2ml)からの各画分へ添加し、そして回転しながら4℃で6時間培養した。抗CENP-B抗体とのCHIPのために、抗CENP-B IgGおよびプロテイン-G-セファロースをサンプルに添加し、回転しながら4℃で7時間培養した。培養後にビーズを、0.1%のツイーン20を含有する0.3MのNaCl-WBにより室温で3分間、5回洗浄し、50-100μlのSDS-緩衝液(50mM Tris-HCl,pH8.0;25mM DTT;1% SDS;15% グリセリン)の中へ再懸濁した。得られたタンパクは、SDS-PAGEおよびウエスタン ブロッティングで分析した。
実施例6 (SDS-PAGEおよびウエスタン ブロッティング)
実施例5の方法で得られたタンパクを12.5%のSDS-PAGEで分離し、公知の方法でポリビニリデンジフルオライド(PVDF)膜(Millipore)へ移した。膜を10%の脱脂乳(Wako)で前処理し、4℃で一晩ACA血清(A.K.,1:3000希釈)と反応させ、次いで西洋ワサビ ペルオキシダーゼ(1:3000希釈)(Bio-Rad)と結合したヤギ抗ヒト免疫グロブリンG(IgG)と4℃で一晩反応させた。発色をコニカ インムノステイン(コニカ)で行なった。クーマシーブリリアントブルー又は西洋ワサビペルオキシダーゼで染色されたタンパクの一群の強度を測定するために、画像をスキャナーでディジタル化しNIHイメージ1.55によって分析した。
結果を第4図に示す。第4図は、本発明の抗CENP-A抗体により沈殿したサンプル(αCA)および、上澄をさらに、ACA抗体IqGによって沈殿したサンプル(ACA)のACA血清を用いたウェスタンブロッティングによるCENP-A、-Bおよび-Cの結果を示すものである。第5図は、第4図の沈殿したA/B/C複合物中のCENP-C/Bのモル比を計算した結果をグラフ化したものである。また、第6図は、第4図の結果の各サンプル中のCENP-A/Bのモル比とCENP-AおよびCENP-Bの量をグラフ化したものである。
実施例7 (グリセリン勾配沈降)
実施例4により可溶性クロマチン溶液3mlを、1mlの50%グリセリン上に積層された50mM Tris-HCl(pH8.0)、2mM EDTA、0.1% NP-40、2mM DTTおよび0.15M NaClを含有する5~20%のグリセリン34mlに添加し、4℃で15.5時間にわたり22,000rpmでSW28ローター(ベックマン)を用いて遠心分離した。2mlの分取を底部から分画し、そしてDNAとタンパクをそれぞれ1%アガロースゲル電気泳動またはSDA-PAGEによって分離した。
結果を第7図に示す。 第7図Aは、第1図Bのサンプル#3のバルククロマチンの分布をヌクレオソームDNAラダーによって示したものであり、第7図Bおよび第7図Cは、抗CENP-A(第7図B)抗体または抗CENP-C(第7図C)抗体とともに各画分を免疫沈降し、ACA血清を用いてウェスタンブロッティング法によりCENP-A、CENP-BおよびCENP-Cの分布を検出したものである。
実施例8 (抗CENP-A、BまたはC抗体を用いてCHIPにより回収されたDNAのクローニングと配列決定)
HeLa核(2×10コ/ml、15ml)を37℃で10分間、40単位/mlのMNase(Boehringer)で消化した。小さなDNAの画分と遊離のタンパクを除去するために、消化物の可溶性画分を5-20%のグリセリン勾配で遠心分離し、トリヌクレオソームよりも重い画分をプールし、抗CENP-A、-Bまたは-C抗体を用いて免疫沈降した。免疫沈降のあと、ビーズをプロテイナーゼKで処理し、次いでDNAをフェノール抽出で精製した。沈澱したDNAおよび精製したCENP-Bを用いてのゲルシフト競合アッセイを行なった。DNAを、Taqポリメラーゼでの処理の後にTOPO TAクローニングキット(Invitrogen)を用い3’dT-末端ベクターpCR2.1-TOPOの中へクローニングして相補3’A末端を付加した。DNA配列は、ABI PRISM 3700 DNA 分析器(Perkin Elmer Applied Biosystems)またはABI PRISM 377 DNA シーケンサー(Perkin Elmer Applied Biosystems)を用いて決定した。この配列をNCBIでBLASTサーバーを用いてデータベースと比較した。α-サテライトDNAと相同性を示すクローンを、Alexandrovほかの分類に従って区別した。
実施例9 (A/B/C対照混合物の作製)
CENP-A、CENP-BおよびCENP-CをバキュロウイルスBac-to-Bac系(Gibco BRL)を用いて発現させ、次のようにして精製した。CENP-AとヒストンH4をアミノ末端で6ヒスチジンと共発現させ、そしてNi-カラムを用いてCENP-A/his6 H4複合体を精製した。CENP-BはQ-セファロースカラム上で精製した。全長CENP-Cを符号化するCENP-C遺伝子を、HeLa細胞のcDNAライブラリー(Clontech)を用いてのPCRで増幅し、pFastBacベクターと結合した。全長CENP-Cをバキュロウイルス系の中で発現させ、包接体として単離した。これを6Mの尿素で可溶化し、そしてヘパリン-セファロースカラムで精製した。各々のタンパクの濃度は、ウシの血清アルブミン(ESA)を標準として用いSDS-PAGEのCBB染色後にタンパク群の強度から計算した。A/B/C対照混合物は61fmol/mlのCENP-A、23fmol/mlのCENP-B、および25fmol/mlのCENP-Cを含有しており、A/B/Cの比率は2.65:1:1.09となる。タンパク取扱い中の損失を防ぐために、BSAおよびコアヒストンを各々75ng/mlおよび37ng/mlの濃度で加えた。HeLa細胞から精製したCENP-A、-Bおよび-Cを用い、ウエスタンブロッティングの結果との直接比較によって組換えタンパクのACA血清との反応性は同等であることを確認した。
実施例10
実施例4に記載の方法に準じて、HeLa細胞単離核をMNase消化(6U/ml、37℃、30分)し可溶化した。得られたバルククロマチンから抗CENP-A抗体ビーズを用いて、実施例5に記載の方法に準じてセントロメアクロマチンを単離した。
ここで単離されたセントロメアクロマチンに含まれるDNAの分析結果を第8図に示す。
次いで、単離したセントロメアクロマチンをプロテアーゼKで蛋白を消化し、フェノール処理によってDNAを抽出した。γ32P-ATP、ポリヌクレオチドキナーゼによってDNAを放射能標識し、1%アガロースゲルに流した。
ここで単離されたセントロメアクロマチンは、CENP-H、CENP-I/H.Mis-6、H.Mis-12を含むものであった。結果を第9図に示す。
実施例11
実施例10で得られた可溶化されたセントロメアクロマチンを、実施例5に記載の方法に準じてα-CENP-A抗体を用いて免疫沈降した。
第10図は、MNase処理により可溶化されたセントロメアクロマチン(第8図、第9図と同一サンプル)を、α-CENP-A抗体を用いた免疫沈降(CHIP)により沈殿したきた物質のプロテオーム解析の結果を示した、図面に代わる写真である。
レーン2、3、4は、沈殿した物質を8M尿素で溶出させた画分の番号を示す。10%SDS-PAGEでの銀染色である。レーンMは分子量マーカーであり、右端のSDSはボイル(boil)したものであり、右端の数字は各SDS-ボイルサンプルでプロテオーム解析したバンドの番号である。各バンドのタンパク質についての説明は本文中に記載されている。
第11図は、第10図で8M尿素で溶出したレーン3サンプルを7.5%SDS-PAGEによって蛋白質の分離を行い、クマシー染色した結果を示した、図面に代わる写真である。
実施例12 (IgG結合ビーズによる非特異的吸着)
HeLa細胞(5x10)から核を単離精製し、0.3M NaCl存在下でMNaseで消化しバルククロマチンを可溶化した。これにIgG-セファロースビーズを加え一晩4℃で回転によって混ぜつつ吸着をすすめた。次に反応後の上澄を抗CENP-A抗体-セファロースビーズで同様に混ぜつつ一晩放置しビースを回収した。それぞれのビーズを0.3M NaClを含むバッファーで3回洗った後に、0.6M NaCl、2M NaCl、0.1Mグリシン-HCl(pH2.5)で段階的に蛋白を溶出した。それぞれのビースを0.6M NaClで溶出したサンプルについて12.5% SDS-PAGEで分離しクマシーブリリアントブルー(CBB)染色した。
結果を第12図に示す。第12図の左のレーンIgG;IgGビーズ 中央のレーンαCENP-A;抗CENP-A抗体ビーズ 右のレーンM;分子量マーカー。図の左側番号はIgGレーンの主要なバンドを示し、これらのバンドのプロテオーム解析による解析結果を示してある。実際はすべてのゲルを切り出して網羅的に解析した。200に及ぶアミノ酸配列の結果を得ているが、ここでは主要な蛋白のみを示してある。
さらに、得られた各ビーズから0.6M NaClで溶出したサンプル(αA及びIg)を12.5% SDS-PAGEして分離し、PVDF膜に転写し、図の上段に示した抗体で免疫染色した。
結果を第13図に示す。第13図の各レーンセットの左がαCAビーズサンプル、右がIgGビーズサンプルである。1次抗体は、レーンセット1がウサギ抗CENP-H抗体、2がウサギ抗CENP-H抗体とACA抗体、3がマウス抗マウスRing1B抗体(モノクローン抗体)、4がウサギ抗ヒトRNF2抗体、5がマウス抗ヒトBMI-1抗体、6がウサギ抗CENP-I/H.Mis6抗体、7がウサギ抗H.Mis12抗体である。2次抗体はそれぞれHorse radish peroxidase結合の、抗ヒトIgG抗体(レーン2)、抗マウスIgG抗体(レーン3、5)、抗ウサギIgG抗体を用いた。発色はコニカイムノステインを用いた。
産業上の利用可能性
本発明は、高感度で、かつ確実にCENP-A蛋白質と反応する抗体を提供するものである。本発明の抗体は、セントロメアヌクレオソームに対する特異的親和性が高く、セントロメア領域構造体(動原体)の構成因子を網羅的に単離することが可能である。例えば、本発明の抗体(#3-19)は、ミクロコッカスヌクレアーゼ(MNase)を用いてHeLa細胞クロマチンを可溶化しクロマチン免疫沈降法(Chromatin mmuno recipitation;CHIP)解析により、確実にかつ高感度で目的のCENP-A蛋白質を認識した。その結果CENP-A、CENP-B、CENP-Cが複合体を形成しキネトコア領域の基本構造体を形成している事が明らかとなった。他の抗体も同様の目的に有効であると予想される。これら抗体を組み合わせて利用する事によってセントロメアクロマチンをさらに高純度に精製が出来、今後セントロメア/キネトコア複合体の単離、構成因子の網羅的解析、遺伝子同定(プロテオミクス)に利用可能であると期待される。
また、本発明の抗体の製造方法により、多数の抗原からのモノクローナル抗体を簡便にスクリーニングすることができる。
また、本発明はクロマチンを可溶化する方法を提供するものであり、本発明の可溶化はクロマチンを断片化するが、クロマチンの全体的な特性を保持して断片化、可溶化されることを特徴するものである。かつ、本発明の可溶化の方法は簡便でかつ再現性に優れており、クロマチン蛋白質類の解析に優れた効果を奏するものである。したがって、本発明は本発明の方法により可溶化されたクロマチンの免疫沈降法、及び当該免疫沈降法によるクロマチン蛋白質類の解析法を提供するものでもある。クロマチン蛋白質類の解析により細胞の分化の状態や細胞の変成、癌化などを分析することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、セントロメアクロマチンの可溶化(第1図A)、可溶化されたセントロメアクロマチン内のDNAのサイズ分布(第1図B)、及びバルククロマチンタンパクをMNase消化後の可溶性画分と不溶性画分における染色結果(第1図C上段)及びウェスタンブロッティングによるCENP-Aの染色結果(第1図C下段)を示す図面に代わる写真である。
第1図Aは、セントロメアクロマチンがHeLa細胞核から可溶化する条件を検討した結果を示す図面に代わる写真である。第1図AのレーンMはCENP-A、-B及び-Cのバンドの位置を示す。第1図Aのレーン1は核を0.3M NaClで処理した上澄液の結果を示し、第1図Aのレーン2は0.6M NaCl処理による上澄液の結果を示し、第1図Aのレーン3はその場合の沈殿物の結果を示し、第1図Aのレーン4は核を0.3M NaCl中でミクロコッカルヌクレアーゼ((micrococcal nuclease)MNase)で消化した場合の上澄液の結果を示し、第1図Aのレーン5はそれにACA-ビーズを加えた場合の結果を示し、第1図Aのレーン6は核を0.3M NaCl中でMNaseで消化した場合の沈殿物の結果をそれぞれ示す。
第1図Bは、MNase消化後のクロマチン内DNAのサイズ分布を示す図面に代わる写真である。レーン1は20単位/mlで2分(40単位/ml・分、サンプル#1)、レーン2は20単位/mlで4分(80単位/ml・分、サンプル#2)、レーン3は40単位/mlで5分(200単位/ml・分、サンプル#3)、レーン4は80単位/mlで45分(3600単位/ml・分、サンプル#4)のものを示す。
第1図Cは、バルククロマチンタンパクをMNase消化後の可溶性画分と不溶性画分をSDS-PAGEによって分画しクマシーブリリアントブルー(CBB)染色によって検出した結果(第1図Cの上側)、分画した蛋白を膜に転写後ACA抗体を用いた免疫染色によってCENP-Aを同定した結果(第1図Cの下側)を示す図面に代わる写真である。第1図Cのレーン1~4は可溶性画分からのものであり、レーン5~8は不可溶性画分からのものであり、レーンMはCENP-Aの位置を示すものである。
第2図は、HeLa核からMNase消化によって可溶化したバルククロマチンを本発明の抗CENP-A、抗CENP-Bまたは抗CENP-C抗体とともに免疫沈降しDNAのクローニング、塩基配列決定によって得られたDNA配列の分布を示す。第2図の黒線はCENP-Bボックス含有α-サテライトDNAを有するクローン数を示す。白抜きの線はそれ以外のクローン数を示している。
第3図Aは、HeLa細胞の有糸分裂期の染色体を免疫蛍光染色した顕微鏡写真であり、図面に代わる写真である。第3図Aの上段左側は、抗CENP-C抗体による染色であり、第3図Aの上段右側は、抗CENP-A抗体による染色である。これらの染色は2次抗体としてCENP-A抗体については抗マウスIgG-蛍光イソチオシアネート(FITC)を、CENP-C抗体については抗モルモットIgG-ローダミンイソチオシアネート(RITC)を用いた。第3図Aの下段左側は染色体を4’,6’-ジアミジノ-3-フェニルインドール(DAPI)でDNAを染色したものである。第3図Aの下段右側は、前記の3種の染色を重ねあわせ(Marged)たものである。
第3図Bは、可溶化クロマチンを本発明の抗CENP-A抗体又は抗CENP-C抗体によって免疫沈降(CHIP)したときに、抗CENP-A抗体又はCENP-Cと共沈降したCENP-A、CENP-BおよびCENP-Cをウェスタンブロット法により検出した結果を示す図面に代わる写真である。単離されたHaLa細胞の核を40U/mLのMNaseで5分間処理したサンプル(レーン1及び3)、80U/mLのMNaseで45分間処理したサンプル(レーン2及び4)である。そして、可溶化されたサンプルを抗CENP-A抗体を用いて免疫沈降(CHIP)したもの(レーン1及び2)、抗CENP-C抗体を用いて免疫沈降(CHIP)したもの(レーン3及び4)である。沈殿したタンパク質は、CENP-B及びCENP-CについてはSDS-7.5%で、CENP-AにつてはSDS-12.5%で分離した。タンパク質の検出はACA血清(AK)を用いたウエスタンブロットによる。レーンMはCENP-A、CENP-B及びCENP-Cの位置を示すマーカーである。
第4図は、本発明の抗CENP-A抗体により沈殿したサンプル(αCA)および、上澄をさらに、ACA抗体IgGによって沈殿したサンプル(ACA)のACA血清を用いたウェスタンブロッティングによるCENP-A、-Bおよび-Cの結果を示す図面に代わる写真である。レーン1-4は第1図Bに示す4つのサンプルを示し、レーン5-8は各サンプルをACAIgGとともに沈殿させた場合を示す。レーンMはCENP-A、CENP-BおよびCENP-Cを含有するCENP-A/B/Cマーカー混合物である。
第5図は、第4図の沈殿したA/B/C複合物中のCENP-C/Bのモル比を計算した結果をグラフ化したものである。
第6図は、第4図の結果の各サンプル中のCENP-A/Bのモル比とCENP-AおよびCENP-Bの量をグラフ化したものである。●印はCENP-A/Bモル比を示し、▲印はCENP-Aを示し、■印はCENP-Bを示す。
第7図は、5~20%グリセロール濃度勾配遠心により抗CENP-Aまたは抗CENP-C抗体とともに免疫沈澱した動原体クロマチンのサイズ分布を示す図面に代わる写真である。
第7図Aは、第1図Bのサンプル#3のバルククロマチンの分布をヌクレオソームDNAラダーによって示したものであり、第7図Bおよび第7図Cは、抗CENP-A(第7図B)抗体または抗CENP-C(第7図C)抗体とともに各画分を免疫沈降し、ACA血清を用いてウェスタンブロッティング法によりCENP-A、CENP-BおよびCENP-Cの分布を検出したものである。
第8図は、抗CENP-A抗体ビーズによって単離精製したセントロメアクロマチンに含まれるDNAの鎖長分布を示す図面に代わる写真である。
第9図は、単離したセントロメアクロマチンが、CENP-H、CENP-I/H.Mis-6、H.Mis-12を含むものであることを示す図面に代わる写真である。
バキュロウイルス系で発現精製したCENP-H(レーン1)、CENP-I/H.Mis-6(レーン2)及び単離精製したセントロメアクロマチン(レーン3-6)を12.5%SDS-PAGEによって分離し、PVDF膜に転写後、抗CENP-H抗体(レーン1、3)、抗CENP-I/H.Mis-6抗体(レーン2、4)、抗H.Mis-12抗体(レーン5)及びACA抗体(レーン6)を用いて免疫反応を行った。分子量マーカーを左に流した(レーンM)。
第10図は、MNase処理により可溶化されたセントロメアクロマチン(第8図、第9図と同一サンプル)を、α-CENP-A抗体を用いた免疫沈降(CHIP)により沈殿したきた物質のプロテオーム解析の結果を示した、図面に代わる写真である。
レーン2、3、4は、沈殿した物質を8M尿素で溶出させた画分の番号を示す。10%SDS-PAGEでの銀染色である。レーンMは分子量マーカーであり、右端のレーンは8M尿素溶出後のビーズにさらにSDSを加え煮沸(boil)したものであり、右端の数字は各SDS-ボイルサンプルでプロテオーム解析したバンドの番号である。各バンドのタンパク質についての説明は本文中に記載されている。
第11図は、第10図で8M尿素で溶出したレーン3サンプルを7.5%SDS-PAGEによって蛋白質の分離を行い、クマシー染色した結果を示した、図面に代わる写真である。
レーンMは分子量マーカーであり、レーンSの右端の数字は各バンドの番号であり、これらをプロテオーム解析に供した。各バンドのタンパク質についての説明は本文中に記載されている。
第12図は、本発明の可溶化クロマチンを比較のためにマウスIgGビーズを用いて免疫沈降した結果を示す図面に変わる写真である。マウスIgGのビーズ及び抗CENP-A抗体ビーズのそれぞれのビーズを0.3M NaClを含むバッファーで3回洗った後に、0.6M NaCl、2M NaCl、0.1Mグリシン-HCl(pH2.5)で段階的に蛋白を溶出した。それぞれのビースを0.6M NaClで溶出したサンプルについて12.5%SDS-PAGEで分離しクマシーブリリアントブルー(CBB)染色した。左のレーンIgG;IgGビーズ 中央のレーンαCENP-A;抗CENP-A抗体ビーズ 右のレーンM;分子量マーカー。図の左側番号はIgGレーンの主要なバンドを示し、各バンドの詳細は本文中に記載した。
第13図は、第12図で説明したそれぞれのビーズから0.6M NaClで溶出したサンプル(αA及びIg)を12.5%SDS-PAGEして分離し、PVDF膜に転写し、第13図の上段に示した抗体で免疫染色した結果を示す図面に変わる写真である。各レーンセットの左がαCAビーズサンプル、右がIgGビーズサンプルである。1次抗体は、レーンセット1がウサギ抗CENP-H抗体、2がウサギ抗CENP-H抗体とACA抗体、3がマウス抗マウスRing1B抗体(モノクローン抗体)、4がウサギ抗ヒトRNF2抗体、5がマウス抗ヒトBMI-1抗体、6がウサギ抗CENP-I/H.Mis6抗体、7がウサギ抗H.Mis12抗体である。2次抗体はそれぞれHorse radish peroxidase結合の、抗ヒトIgG抗体(レーン2)、抗マウスIgG抗体(レーン3、5)、抗ウサギIgG抗体を用いた。発色はコニカイムノステインを用いた。
第14図は、BMI1抗体及びCENP-C抗体を用いてHeLa細胞を免疫染色した結果を示す図面に変わるカラー写真である。第14図A(左上)は抗CENP-Cで染色したものを示し、第14図B(右上)は抗BMI1で染色したものを示し、第14図C(左下)はDAPIによる核酸染色を示し、第14図D(右下)はこれらを重ねあわせたものである。
第15図は、BMI1抗体及びCENP-I抗体を用いてHeLa細胞を免疫染色した結果を示す図面に変わるカラー写真である。第15図A(左上)は抗CENP-Iで染色したものを示し、第14図B(右上)は抗BMI1で染色したものを示し、第14図C(左下)はDAPIによる核酸染色を示し、第14図D(右下)はこれらを重ねあわせたものである。
第16図は、第11図14番バンドに対応するキュリン4(Cullin4)に対する抗体を用いてHeLa細胞を免疫染色した結果を示す図面に変わるカラー写真である。第16図A(左上)は抗CENP-Aで染色したものを示し、第16図B(右上)は抗キュリン4で染色したものを示し、第16図C(左下)はDAPIによる核酸染色を示し、第16図D(右下)はこれらを重ねあわせたものである。
第17図は、第16図と同様の方法によりM期(各図の左側)とS期(各図の右側)の細胞を染色した結果を示す図面に変わるカラー写真である。第17図は、M期(各図の左側)とS期(各図の右側)の各々の4枚、合計8枚の写真からなるものであり、それぞれ上からA、B、C、Dとなっている。第17図A(最上段)はDAPIによるDNAの染色を示し、第17図B(上から2段目)は抗CENP-Aで染色したものを示し、第17図C(上から3段目)は抗キュリン4で染色したものを示し、第17図D(最下段)はこれらを重ねあわせたものをそれぞれ示している。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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