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明細書 :シアル酸チオグリコシドポリマー

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5103613号 (P5103613)
公開番号 特開2008-081411 (P2008-081411A)
登録日 平成24年10月12日(2012.10.12)
発行日 平成24年12月19日(2012.12.19)
公開日 平成20年4月10日(2008.4.10)
発明の名称または考案の名称 シアル酸チオグリコシドポリマー
国際特許分類 C08F 216/06        (2006.01)
C08F 228/04        (2006.01)
C07H  15/14        (2006.01)
A61K  31/7028      (2006.01)
A61P  31/16        (2006.01)
FI C08F 216/06
C08F 228/04
C07H 15/14
A61K 31/7028
A61P 31/16
請求項の数または発明の数 5
全頁数 13
出願番号 特願2006-260450 (P2006-260450)
出願日 平成18年9月26日(2006.9.26)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成18年5月10日 社団法人 高分子学会発行の「第55回高分子学会年次大会予稿集 55巻 1号」に発表
審査請求日 平成21年8月10日(2009.8.10)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504190548
【氏名又は名称】国立大学法人埼玉大学
発明者または考案者 【氏名】松岡 浩司
【氏名】照沼 大陽
【氏名】幡野 健
【氏名】鈴木 康夫
個別代理人の代理人 【識別番号】100137512、【弁理士】、【氏名又は名称】奥原 康司
審査官 【審査官】三木 寛
参考文献・文献 特開2005-213195(JP,A)
国際公開第91/013079(WO,A1)
特開昭61-282390(JP,A)
国際公開第02/002588(WO,A1)
特開2003-212893(JP,A)
側鎖にシアル酸を含む新規水溶性糖鎖高分子の合成研究(1),第55回高分子学会年次大会予稿集,2006年 5月10日,Vol.55 NO.1,2Pf174 2087
Tetrahedron Letters,2004年,Vol.45(51),p.9383-9386
Tetrahedron Letters,2001年,Vol.42,p.3327-3330
調査した分野 CA/REGISTRY(STN)
C08F 216/06
C08F 228/04
C07H 15/14
特許請求の範囲 【請求項1】
次式(I)
【化1】
JP0005103613B2_000013t.gif
(I)
(式中、Rは水酸基、アミノ基あるいはアセチル基であり、Rは水素、金属原子あるいはメチル基を示し、m及びnは1以上の整数であって、同一でも相異なってもよい)で表されるシアル酸チオグリコシドポリマー及びその薬剤上許容される塩並びにそれらの水和物。
【請求項2】
が水酸基であり、Rが水素である請求項1に記載のシアル酸チオグリコシドポリマー及びその薬剤上許容される塩並びにそれらの水和物。
【請求項3】
mが1であり、nが1以上9以下の整数である請求項2に記載のシアル酸チオグリコシドポリマー及びその薬剤上許容される塩並びにそれらの水和物。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載のチシアル酸チオグリコシドポリマー、その薬剤上許容される塩及びそれらの水和物、並びに薬剤上許容される担体を含有することを特徴とする感染症予防及び治療のための医薬組成物。
【請求項5】
前記感染症がインフルエンザウィルス感染症であることを特徴とする請求項4に記載の医薬組成物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、シアル酸チオグリコシドポリマー及び該ポリマーを有効成分として含有する医薬に関する。より詳細には、チオグリコシド型シアル酸を結合させた水溶性ポリマーであって、インフルエンザウィルスによる感染阻害活性を有するポリマー、及び該ポリマーを有効成分として含有する医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
インフルエンザウィルスは、その内部に存在する8本の一本鎖RNAに変異が導入されやすく、その結果、従来効果を示していたワクチン等に対する耐性ウィルスが生じるやすい。このようなインフルエンザウィルスの性質から、毎年のようにインフルエンザウィルスによる感染症が流行し、これによる死者も少なからず生じている。インフルエンザウィルスによる感染には、宿主細胞に対する接着と脱離が重要であり、それには異なる2種類の糖タンパク質(ヘマグルチニンとシアリダーゼ)が作用している。また、これらの糖タンパク質による宿主細胞表面上に存する抗原の認識には、糖鎖が絡んでいることが知られている。そして、それらの糖鎖を認識する部位は、変異の起こらないことも知られている。
【0003】
このようなインフルエンザウィルスの性質に着目して、いくつかの抗インフルエンザウィルス剤が製造されており、インフルエンザ感染症の流行を抑止する上で一定の効果を上げてきた。これらの製剤としては、例えば、インフルエンザ膜タンパク質のイオンチャンネル阻害剤(シンメトレル(登録商標)(アマンタジン))やシアリダーゼの阻害剤(タミフル(登録商標)リン酸オセルタミビル)とリレンザ(登録商標)(ザナミビル))が、インフルエンザの特効薬として処方されている。しかしながら、これらの特効薬は何れも天然物とは異なるため、その耐性ウィルスの出現が危惧されており、近年、シンメトレル(登録商標)やタミフル(登録商標)に対する耐性ウィルスが出現した事例の報告もある。
【0004】
これまでに、発明者らは、各種糖鎖含有カルボシランデンドリマー化合物に関する知見に基づいて(非特許文献1)、インフルエンザウィルス等のウィルス表面に存在するヘマグルチニンを特異的に接着し、生体に対するウィルス感染を防止し得る物質として、シアリルラクトース含有デンドリマーを開示した(特許文献1)。さらに、生体内における適合性および安全性に優れたアミド結合を介して糖鎖を結合するデンドリマーの開示も行っている(特許文献2)。
【0005】

【非特許文献1】Matsuokaら,Bull.Chem.Soc.Jpn.,71:2709-2713 1998
【特許文献1】国際公開公報WO02/02588
【特許文献2】特開2003-212893
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、耐性ウィルスの出現を抑制し、かつ、インフルエンザウィルスの感染防御に効果を示す水溶性ポリマーの提供を目的とする。
さらに、本発明は、該ポリマーを有効成分として含有する医薬の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記事情に鑑み、耐性ウィルスの出現を抑制し、かつ、インフルエンザウィルスの感染防御に効果を示すポリマーの開発において鋭意研究を行った結果、シアル酸チオグリコシドポリマーがインフルエンザの感染を有効に阻害し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、次式(I)
【化2】
JP0005103613B2_000002t.gif
(I)
(式中、Rは水酸基、アミノ基あるいはアセチル基であり、Rは水素、金属原子あるいはメチル基示し、m及びnは1以上の整数であって、同一でも相異なってもよい)で表されるシアル酸チオグリコシドポリマーを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のシアル酸チオグリコシドポリマーは、抗ウィルス活性、特に、抗インフルエンザ活性を有し、かつ、耐性ウィルスの出現を低率に抑える効果を示す化合物である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
式(I)中、Rは水酸基、アミノ基あるいはアセチル基、Rは水素、金属原子あるいはメチル基など、水溶性の化合物が最も好ましい。また、m及びnは1以上の整数であって、同一でも相異なってもよく、好ましくは、1以上10以下、より好ましくは、1以上7以下であり、同一でも相異なってもよい。
【0011】
本発明の式(I)の化合物は、例えば、次の反応式に従って製造することができる。
【0012】
【化3】
JP0005103613B2_000003t.gif

【0013】
上記式中、4は以下のスキーム1に従って合成することができる。
【化4】
JP0005103613B2_000004t.gif
スキーム1
【0014】
すなわち、シアル酸(1)の水酸基をアセチル化、カルボキシル基をメチル化することにより、完全保護体とした。次いで塩化水素ガスによりβ体のシアル酸クロリド(2)へ誘導した。(2)をチオ酢酸アニオンと処理することによりアノマーの立体化学の反転した(3)とした。(3)と10-ウンデセン-1-オールから誘導したメシレートとのスルフィド形成反応によりS-グリコシド誘導体(4)を合成した。一方、(2)と10-ウンデセン-1-オールとの銀を触媒としたグリコシル化によりO-グリコシド誘導体(5)を調製した。
【0015】
(7)及び(8)は、下記のスキーム2に従い合成した。
【化5】
JP0005103613B2_000005t.gif
スキーム2
【0016】
シアル酸誘導体(4)と酢酸ビニル(6)とのラジカル共重合反応によりポリマーへ誘導した(7)。脱アセチル化、及び脱メチル化により保護基を除去した水溶性ポリマー(8)の合成を行った。
【0017】
本発明の化合物を有効成分として含有せしめることにより、ウィルス感染、特に、インフルエンザウィルス感染の予防及び治療剤を調製することができる。
上記薬剤は、一般式(I)で表されるシアル酸チオグリコシドポリマー、その薬剤上許容される塩又はそれらの水和物のうち、1又は複数の種類を含有してもよい。また、一般式(I)で示される本発明の化合物を製剤化する場合には、製剤中、通常、0.1~50質量%、好ましくは、0.5~20質量%となるように含有される。
【0018】
本発明の化合物は、生体に対して悪影響を及ぼさない医薬組成物の形態で特定の疾患の治療薬として使用することができる。通常、そのような組成物には、本発明の化合物の他、薬剤上許容される担体が含まれる。
「薬剤上許容される担体」は、溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌及び抗真菌剤、アイソトニックに作用して吸着を遅らせる薬剤及びその類似物を含み、薬剤的投与に適するもののことである。該担体及び該担体を希釈するために好ましいものの例には、限定はしないが、水、生理食塩水、フィンガー溶液、デキストロース溶液、コラーゲン、ヒト血清アルブミン、有機溶剤、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン、マンニトール、ソルビトール、ラクトース等などが含まれる。また、リポソーム及び不揮発性油などの非水溶性媒体も用いられる。さらに、本発明の化合物の活性を保護又は促進するような特定の化合物が、該組成物中に包含されていてもよい。
【0019】
本発明に係る医薬組成物は、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸入なども含む)、経皮及び経粘膜への投与を含み、治療上適切な投与経路に適合するように製剤化される。非経口、皮内、又は皮下への適用に使用される溶液又は懸濁液には、限定はしないが、注射用の水などの滅菌的希釈液、生理食塩水溶液、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、又は他の合成溶媒、ベンジルアルコール又は他のメチルパラベンなどの保存剤、アスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウムなどの抗酸化剤、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなどの無痛化剤、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)などのキレート剤、酢酸塩、クエン酸塩、又はリン酸塩などの緩衝剤、塩化ナトリウム又はデキストロースなど浸透圧調製のための薬剤を含んでもよい。
pHは塩酸又は水酸化ナトリウムなどの酸又は塩基で調製することができる。非経口的標品はアンプル、ガラスもしくはプラスチック製の使い捨てシリンジ又は複数回投与用バイアル中に収納される。
【0020】
注射に適する医薬組成物には、滅菌された注射可能な溶液又は分散媒を、使用時に調製するための滅菌水溶液(水溶性の)又は分散媒及び滅菌されたパウダーが含まれる。静脈内の投与に関し、適切な担体には生理食塩水、静菌水、又はリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)が含まれる。注射剤として使用する場合、組成物は滅菌的でなくてはならず、また、シリンジを用いて投与されるために十分な流動性を保持していなくてはならない。該組成物は、調剤及び保存の間、化学変化及び腐食等に対して安定でなくてはならず、細菌及び真菌などの微生物由来のコンタミネーションを防止する必要がある。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコールなど)、及び適切な混合物を含む溶媒又は分散媒培地を使用することができる。例えば、レクチンなどのコーティング剤を用い、分散媒においては必要とされる粒子サイズを維持し、界面活性剤を用いることにより適度な流動性が維持される。種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、及びチメロサールなどは、微生物のコンタミネーションの防止に対して使用可能である。また、糖、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール及び塩化ナトリウムのような等張性を保つ薬剤が組成物中に含まれてもよい。吸着を遅らせることができる組成物には、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンなどの薬剤が含まれる。
【0021】
滅菌的な注射可能溶液は、必要な成分を単独で、又は他の成分と組み合わせた後に、適切な溶媒中に必要量の活性化合物を加え、滅菌することで調製される。一般に、分散媒は、基本的な分散培地及び上述したその他の必要成分を含む滅菌的媒体中に活性化合物を取り込むことにより調製される。滅菌的な注射可能な溶液を調製するための滅菌的パウダーの調製方法には、活性な成分及び滅菌溶液に由来する何れかの所望な成分を含むパウダーを調製する真空乾燥及び凍結乾燥が含まれる。
【0022】
経口組成物には、不活性な希釈剤又は体内に取り込んでも害を及ぼさない担体が含まれる。経口組成物には、例えば、ゼラチンのカプセル剤に包含されるか、加圧されて錠剤化される。経口的治療のためには、活性化合物は賦形剤と共に取り込まれ、錠剤、トローチ又はカプセル剤の形態で使用される。また、経口組成物は、流動性担体を用いて調製することも可能であり、流動性担体中の該組成物は経口的に適用される。さらに、薬剤的に適合する結合剤、及び/又はアジュバント物質などが包含されてもよい。
錠剤、丸薬、カプセル剤、トローチ及びその類似物は以下の成分又は類似の性質を持つ化合物の何れかを含み得る:微結晶性セルロースのような賦形剤、アラビアゴム、トラガント又はゼラチンなどの結合剤;スターチ又はラクトースなどの、アルギン酸、PRIMOGEL、又はコーンスターチなどの膨化剤;ステアリン酸マグネシウム又はSTRROTESなどの潤滑剤;コロイド性シリコン二酸化物などの滑剤;スクロース又はサッカリンなどの甘味剤;又はペパーミント、メチルサリチル酸又はオレンジフレイバーなどの香料添加剤。
【0023】
本発明の化合物は、植込錠及びマイクロカプセルに封入された送達システムなどの徐放性製剤として、体内から即時に除去されることを防ぎ得る担体を用いて調製することができる。エチレンビニル酢酸塩、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸などの、生物分解性、生物適合性ポリマーを用いることができる。このような材料は、当業者によって容易に調製することができる。また、リポソームの懸濁液も薬剤的に受容可能な担体として使用することができる。有用なリポソームは、限定はしないが、ホスファチジルコリン、コレステロール及びPEG誘導ホスファチジルエタノール(PEG-PE)を含む脂質組成物として、使用に適するサイズになるように、適当なポアサイズのフィルターを通して調製され、逆相蒸発法によって精製される。
【0024】
本発明の化合物による特定の疾患の予防又は治療において、適切な投与量レベルは、投与される患者の状態、投与方法等に依存するが、当業者であれば、容易に最適化することが可能である。
注射投与の場合は、例えば、一日に患者の体重あたり約0.1μg/kgから約500mg/kgを投与するのが好ましく、一般に一回又は複数回に分けて投与され得るであろう。好ましくは、投与量レベルは、一日に約0.1μg/kgから約250mg/kgであり、より好ましくは一日に約0.5μg~約100mg/kgである。
経口投与の場合は、組成物は、好ましくは1.0から1000mgの活性成分を含む錠剤の形態で提供され、好ましくは活性成分が1.0,5.0,10.0,15.0,20.0,25.0,50.0,75.0,100.0,150.0,200.0,250.0,300.0,400.0,500.0,600.0,750.0,800.0,900.0及び1000.0mgである。化合物は一日に1~4回の投与計画で、好ましくは一日に一回又は二回投与される。
【0025】
医薬組成物又は製剤は、一定の投与量を保証すべく、均一単位投与量により構成されなくてはならない。単位投与量は、患者の治療に有効な一回の投与量を含み、薬剤的に受容可能な担体と共に製剤化された一単位のことである。本発明の単位投与量を決定する場合には、製剤化される化合物の物理的、化学的特徴、期待される治療上の効果、及び該化合物に特有な製剤化における留意事項等により影響を受ける。
【0026】
本発明の医薬組成物はキットの形態で、容器、パック中に投与の説明書と共に含めることができる。本発明に係る薬剤組成物がキットとして供給される場合、該薬剤組成物のうち異なる構成成分が別々の容器中に包装され、使用直前に混合される。このように構成成分を別々に包装するのは、活性構成成分の機能を失うことなく長期間の貯蔵を可能にするためである。
【0027】
キット中に含まれる試薬は、構成成分が活性を長期間有効に持続し、容器の材質によって吸着されず、変質を受けないような何れかの種類の容器中に供給される。例えば、封着されたガラスアンプルは、窒素ガスのような中性で不反応性ガスの下において包装されたバッファーを含む。アンプルは、ガラス、ポリカーボネート、ポリスチレンなどの有機ポリマー、セラミック、金属、又は試薬を保持するために通常用いられる他の何れかの適切な材料などから構成される。他の適切な容器の例には、アンプルなどの類似物質から作られる簡単なボトル、及び内部がアルミニウム又は合金などのホイルで裏打ちされた包装材が含まれる。他の容器には、試験管、バイアル、フラスコ、ボトル、シリンジ、又はその類似物が含まれる。容器は、皮下用注射針で貫通可能なストッパーを有するボトルなどの無菌のアクセスポートを有する。
【0028】
また、キットには使用説明書も添付される。当該医薬組成物からな成るキットの使用説明は、紙又は他の材質上に印刷され、及び/又はフロッピー(登録商標)ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、Zipディスク、ビデオテープ、オーディオテープなどの電気的又は電磁的に読み取り可能な媒体として供給されてもよい。詳細な使用説明は、キット内に実際に添付されていてもよく、あるいは、キットの製造者又は分配者によって指定され又は電子メール等で通知されるウェブサイトに掲載されていてもよい。
【0029】
さらに、本発明には、ウィルス感染、特に、インフルエンザウィルスに感染した、又は感染する危険性のある哺乳動物の該感染症に関する予防又は治療方法も含まれる。
ここで「治療」とは、ウィルスに感染するおそれがあるか又は感染した哺乳動物において、該感染症の病態の進行を阻止又は緩和することを意味し、治療的処置のみならず予防的処置をも含む広い意味として使用される。
治療の対象となる「哺乳動物」は、哺乳類に分類される任意の動物を意味し、特に限定はしないが、例えば、ヒトの他、イヌ、ネコなどのペット動物、ウシ、ブタ、ヒツジ、ウマなどの家畜動物などのことである。特に好ましい「哺乳動物」は、ヒトである。
【0030】
以下に実施例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【実施例】
【0031】
ω-ウンデシレニルメタンスルフォネート(10-ウンデセニルメシレート)(11)
10-ウンデセン-1-オール(10)(77.1mg,0.453mmol)をピリジン(0.771mL)に溶解し、塩化メタンスルホニル(70.1μL,0.906mmol)を加えた。アルゴン置換後、氷冷下にて3時間攪拌した。TLCにより反応が終了したことを確認し、クロロホルム(1mL)を用いて希釈し、水(0.5mL)を加え塩化メタンスルホニルをつぶした。1M硫酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順にクロロホルムを用いて抽出を行った。有機層を無水硫酸マグネシウムを用いて乾燥後ろ過した。ろ液を濃縮し、10-ウンデセニルメシレート(11)を定量的に合成した(スキーム3)。
0.87[20:1(v/v)クロロホルム-メタノール]
【0032】
【化6】
JP0005103613B2_000006t.gif
スキーム3
【0033】
メチル-(ω-ウンデシレニル-5-アセトアミド-4,7,8,9-テトラ-O-アセチル-3,5-ジデオキシ-2-チオ-D-グリセロ-α-D-ガラクト-2-ノヌロピラノシド)オネート(12)
シアル酸チオアセチル体(9)(80.0mg,0.145mmol)をメタノール(0.83mL)に溶解し、アルゴン置換後、氷冷下にて攪拌した。10-ウンデセニルメシレート(11)(70.5mg,0.302mmol)、炭酸カリウム(20.9mg,0.151mmol)を順に加え、室温にて一晩攪拌した。TLCにより反応が終了したことを確認し、酢酸(17.3μL,0.302mmol)を加え攪拌し濃縮に続いた。濃縮後ピリジン(1.54mL)に溶解し、無水酢酸(0.285mL,3.02mmol)を加え室温で一晩攪拌した。氷冷水、1M硫酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水の順にクロロホルムを用いて抽出を行った。有機層に無水硫酸マグネシウムを加え乾燥し、乾燥後ろ過した。ろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム-メタノール,70:1(v/v)]にて精製を行い、新規シアル酸-S-グリコシド誘導体(12)(88.0mg,92.0%%)を合成した(スキーム4、表1参照)。
【0034】
【化7】
JP0005103613B2_000007t.gif
スキーム4
【0035】
【表1】
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【0036】
共重合による酢酸ビニル-糖鎖ポリマー(14)の合成
新規シアル酸チオグリコシド誘導体(12)(50mg,7.58×10-mmol)を(12)に対して10eq酢酸ビニル(69.9μL,7.58×10-mmol)、又は20eq酢酸ビニル(139μL,15.2×10-mmol)に溶解した(表2)。AIBN(1.0mg~1.3mg,6.09μmol~7.92μmol)を加え、還流しながら所定の温度で攪拌した。TLCにより反応の経過を確認し、反応終了後メタノールに溶解し濃縮した。ゲルろ過クロマトグラフィー[Sephadex LH-20]によって精製し、シアル酸チオグリコシドポリマー(14)を合成した(スキーム5、表3及び図1参照)。
【0037】
【表2】
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【0038】
【化8】
JP0005103613B2_000010t.gif
スキーム5
【0039】
【表3】
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【0040】
脱保護によるビニルアルコール-糖鎖ポリマー(15)の合成
シアル酸ポリマー(14)(22mg)を1Mナトリウムメトキシド-メタノールの溶媒(1mL)に溶解した。室温にて3時間攪拌した後、0.5M水酸化ナトリウム水溶液(1mL)を加え一晩攪拌した。強酸性陽イオン交換樹脂IR-120B(H型)により中和後、綿ろ過を行った。ろ液を濃縮しNMRにより構造を確認した。メチルエステルが外れていなかったため、再度1Mナトリウムメトキシド-メタノール溶液(1mL)、0.5M水酸化ナトリウム水溶液(1mL)を同時に加え溶解し二晩攪拌した。強酸性陽イオン交換樹脂IR-120B(H型)により中和後、綿ろ過を行った。綿ろ過の後、ろ液を濃縮しNMRにより構造を確認した。アセチル基及びメチル基が外れていることを確認し、ゲルろ過クロマトグラフィー[Sephadex G-50]によって精製後、凍結乾燥により水溶性シアル酸ポリマー(15)を得た(図2参照)。
【0041】
インフルエンザウィルスシアリダーゼの阻害活性実験
96穴プレートのウェルに種々の濃度のサンプル溶液(4μL)とA型インフルエンザウィルス(4μL)を混合し、4℃、1時間培養した。そのそれぞれのウェルに0.4mM4-MUNeu5Ac溶液(2μL)を加え、37℃、0.5時間培養した。次いで、そのそれぞれのウェルに反応停止用溶(200μL)を加え、加水分解反応を停止した。それぞれのウェルから100μLを別途用意した蛍光測定用96穴プレートに移し、励起光355nm、発光460nmにおける蛍光強度を測定した(表4及び図3)。
【0042】
【表4】
JP0005103613B2_000012t.gif

【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明はインフルエンザウィルスの感染を阻害するための医薬品の開発の用途に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1はモノマー(12)と糖鎖ポリマー(14)のNMRチャートを示す。
【図2】図2は、糖鎖ポリマー(14)と(15)のIRチャートを示す。
【図3】図3は、化合物(15)によるインフルエンザウィルスシアリダーゼ阻害活性測定の結果を示す。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2