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明細書 :リニア振動アクチュエータとそれを用いたリニアコンプレッサーおよびリニア振動発電機

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5508684号 (P5508684)
公開番号 特開2008-259409 (P2008-259409A)
登録日 平成26年3月28日(2014.3.28)
発行日 平成26年6月4日(2014.6.4)
公開日 平成20年10月23日(2008.10.23)
発明の名称または考案の名称 リニア振動アクチュエータとそれを用いたリニアコンプレッサーおよびリニア振動発電機
国際特許分類 H02P  25/06        (2006.01)
B06B   1/04        (2006.01)
H02K  33/02        (2006.01)
H02P   9/00        (2006.01)
F04B  35/04        (2006.01)
FI H02P 5/00 101B
B06B 1/04 A
H02K 33/02 A
H02P 9/00 Z
F04B 35/04
請求項の数または発明の数 15
全頁数 27
出願番号 特願2008-058841 (P2008-058841)
出願日 平成20年3月8日(2008.3.8)
優先権出願番号 2007063382
優先日 平成19年3月13日(2007.3.13)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成23年2月14日(2011.2.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504180239
【氏名又は名称】国立大学法人信州大学
発明者または考案者 【氏名】水野 勉
【氏名】卜 穎剛
個別代理人の代理人 【識別番号】100118924、【弁理士】、【氏名又は名称】廣幸 正樹
【識別番号】100110984、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 敬子
審査官 【審査官】池田 貴俊
参考文献・文献 特開2003-339188(JP,A)
特開2001-136767(JP,A)
調査した分野 H02P 25/06
B06B 1/04
F04B 35/04
H02K 33/02
H02P 9/00
特許請求の範囲 【請求項1】
シャフトと、
前記シャフトに固定され、磁力を有する可動子と、
前記可動子の周囲に配され、励磁電流が流されるコイルと、
前記シャフトの運動方向に押すばねと、
前記シャフトの変位量を検知する変位センサと、
前記変位センサからの信号を増幅する第1のアンプと、
前記変位センサからの信号を微分した信号を増幅する第2のアンプと、
前記第1および第2のアンプの出力と基本駆動電流を加算して合成電流指令を作る加算器と、
前記合成電流指令に基づいて前記励磁電流を出力する電流アンプを有し、
前記第1および第2のアンプのゲインを変更することで
前記コイルに前記励磁電流が流されることによって発生する推力と前記シャフトの前記変位量との比である見かけのばね定数と、前記可動子の質量とから決定される前記可動子の見かけの共振周波数を調節可能としたことを特徴とするリニア振動アクチュエータ。
【請求項2】
運動可能な可動子と、
前記可動子の周囲に配され、励磁電流が流されるコイルと、
前記可動子の運動方向に押すばねと、
駆動電圧を検出する電圧検出部と、
前記励磁電流を検出する電流検出部と、
前記電圧検出部と前記電流検出部の出力信号に基づいて前記可動子の変位を推定する変位推定部と、
前記変位推定部の出力信号を増幅する第1のアンプと、
前記変位推定部の出力信号を微分する微分器と、
前記微分器の出力信号を増幅する第2のアンプと、
前記アンプの出力と基本駆動電流を加算して合成電流指令を作る加算器と、
前記電流指令制御信号に応じて前記励磁電流を出力する電流アンプとを有し、
前記変位推定部は、(6)式によって求められる変位推定値xeを出力し、
前記第1および第2のアンプのゲインを変更することで
前記コイルに前記励磁電流が流されることによって発生する推力と前記変位推定値xeとの比である見かけのばね定数と、前記可動子の質量とから決定される前記可動子の見かけの共振周波数を調節可能としたことを特徴とするリニア振動アクチュエータ。
【数100】
JP0005508684B2_000016t.gif
・・・・・(6)
ここでKeは速度起電力定数(Vs/m)、Rはコイルの抵抗(Ω)、LはコイルのインダクタンスL、sはラプラス演算子
【請求項3】
運動可能な可動子と、
前記可動子の周囲に配され、励磁電流が流されるコイルと、
前記可動子の運動方向に押すばねと、
前記可動子の加速度量を検知する加速度センサと、
前記加速度センサの出力信号に基づいて前記励磁電流を出力する制御装置とを
有し、
前記制御装置は、
前記加速度センサからの信号を増幅する第1のアンプと、
前記加速度センサからの信号を積分した信号を増幅する第2のアンプとを有し、
前記アンプの出力と基本駆動電流を加算して合成電流指令を作る加算器と、
前記合成電流指令に基づいて前記励磁電流を出力する電流アンプを有し、
前記第1および第2のアンプのゲインを変更することで
前記コイルに前記励磁電流が流されることによって発生する推力と前記可動子の変位との比である見かけのばね定数と、前記可動子の質量とから決定される前記可動子の見かけの共振周波数を調節可能としたことを特徴とするリニア振動アクチュエータ。
【請求項4】
運動可能な可動子と、
前記可動子の周囲に配され、駆動電圧が印加されるコイルと、
前記可動子の運動方向に押すばねと、
前記可動子の変位量を検知する変位センサと、
前記変位センサの出力に基づいて前記駆動電圧を発生する制御装置とを有し、
前記制御装置は、
前記変位センサの出力に基づいて、ばね特性を示す推力を発生させる信号を出力する第1の変換部と、
前記第1の変換部の出力信号を増幅する第1のアンプと、
前記変位センサからの信号を微分した信号に基づいて、減衰力を示す推力を発生させる信号を出力する第2の変換部と、
前記第2の変換部の出力信号を増幅する第2のアンプとを有し、
前記アンプの出力と基本駆動電圧を加算して合成電圧指令を作る加算器と、
前記合成電圧指令に基づいて前記駆動電圧を出力する電圧アンプを有し、
前記第1および第2のアンプのゲインを変更することで
前記コイルに前記駆動電圧が印加されることによって発生する推力と前記可動子の前記変位量との比である見かけのばね定数と、前記可動子の質量とから決定される前記可動子の見かけの共振周波数を調節可能としたことを特徴とするリニア振動アクチュエータ。
【請求項5】
前記第1の変換部の出力は(7)式で表され、前記第2の変換部の出力は(8)式で表される請求項4に記載されたリニア振動アクチュエータ。
【数101】
JP0005508684B2_000017t.gif
・・・・・(7)
【数102】
JP0005508684B2_000018t.gif
・・・・・(8)
ここで、Rはコイルの抵抗(Ω)、LはコイルのインダクタンスL、sはラプラス演算子、xは変位、veは速度推定値
【請求項6】
運動可能な可動子と、
前記可動子の周囲に配され、駆動電圧が印加されて励磁電流が流れるコイルと、
前記可動子の運動方向に押すばねと、
前記駆動電圧を検出する電圧検出部と、
前記励磁電流を検出する電流検出部と、
前記電圧検出部と前記電流検出部の出力信号に基づいて前記可動子の変位を推定する変位推定部と、
前記変位推定部の出力に基づいて、ばね特性を示す推力を発生させる信号を出力する第1の変換部と、
前記第1の変換部の出力信号を増幅する第1のアンプと、
前記変位推定部の出力信号を微分する微分器と、
前記微分器の出力信号に基づいて、減衰力を示す推力を発生させる信号を出力する第2の変換部と、
前記第2の変換部の出力を増幅する第2のアンプと、
前記アンプの出力と基本駆動電圧を加算し合成電圧指令を作る加算器と、
前記電圧指令制御信号に応じて前記駆動電圧を出力する電圧アンプとを有し、
前記第1および第2のアンプのゲインを変更することで
前記コイルに前記駆動電圧が印加されて励磁電流が流れることによって発生する推力と前記可動子の変位を推定する前記変位推定部の出力である変位推定値との比である見かけのばね定数と、前記可動子の質量とから決定される前記可動子の見かけの共振周波数を調節可能としたことを特徴とするリニア振動アクチュエータ。
【請求項7】
前記第1の変換部の出力は(9)式で表され、前記第2の変換部の出力は(10)式で表される請求項6に記載されたリニア振動アクチュエータ。
【数103】
JP0005508684B2_000019t.gif
・・・・・(9)
【数104】
JP0005508684B2_000020t.gif
・・・・・(10)
ここで、Rはコイルの抵抗(Ω)、LはコイルのインダクタンスL、sはラプラス演算子、xeは(6)式で表される変位推定値、veは速度推定値
【数105】
JP0005508684B2_000021t.gif
・・・・・(6)
ここでKeは速度起電力定数(Vs/m)、Rはコイルの抵抗(Ω)、LはコイルのインダクタンスL、sはラプラス演算子、Iは前記電流検出部で検出した検出電流、Vは前記電圧検出部が検出した検出電圧
【請求項8】
運動可能な可動子と、
前記可動子の周囲に配され、励磁電流が流されるコイルと、
前記可動子の運動方向に押すばねと、
基本駆動電流に基づいて、変位計算値を出力する変位計算部と、
前記変位計算部の出力信号を増幅する第1のアンプと、
前記変位計算部の出力信号を微分した信号を増幅する第2のアンプとを有し、
前記アンプの出力と前記基本駆動電流を加算して合成電流指令を作る加算器と、
前記合成電流指令に応じて前記励磁電流を出力する電流アンプとを有し、
前記第1および第2のアンプのゲインを変更することで
前記コイルに前記励磁電流が流されることによって発生する推力と前記可動子の前記変位計算値との比である見かけのばね定数と、前記可動子の質量とから決定される前記可動子の見かけの共振周波数を調節可能としたことを特徴とするリニア振動アクチュエータ。
【請求項9】
前記変位計算部は(11)式によって計算した変位計算値を出力する請求項8に記載されたリニア振動アクチュエータ。
【数106】
JP0005508684B2_000022t.gif
・・・・・(11)
ここで、Kfは推力定数(N/A)、Kiは電流アンプのゲイン、mは可動子の質量(kg)、sはラプラス演算子、Cは定数、K1は第1のアンプのゲイン、K2は第2のアンプのゲイン、Icは電流指令
【請求項10】
運動可能な可動子と、
前記可動子の周囲に配され、駆動電圧が印加されて励磁電流が流れるコイルと、
前記可動子の運動方向に押すばねと、
基本駆動電圧に基づいて、変位計算値を出力する変位計算部と、
前記変位計算部の出力に基づいて、ばね特性を示す推力を発生させる信号を出力する第1の変換部と、
前記第1の変換部の出力信号を増幅する第1のアンプと、
前記変位計算部の出力信号を微分した信号にする微分器と、
前記微分器の出力信号に基づいて、減衰力を示す推力を発生させる信号を出力する第2の変換部と、
前記第2の変換部の出力を増幅する第2のアンプと、
前記第1と第2のアンプのうち少なくとも1方のアンプを有し、
前記アンプの出力と前記基本駆動電圧を加算し合成電圧指令を作る加算器と、
前記合成電圧指令に応じて前記駆動電圧を出力するインバータ(電圧アンプ)とを有し、
前記第1および第2のアンプのゲインを変更することで
前記コイルに前記駆動電圧が印加されて励磁電流が流れることによって発生する推力と前記可動子の前記変位計算値との比である見かけのばね定数と、前記可動子の質量とから決定される前記可動子の見かけの共振周波数を調節可能としたことを特徴とするリニア振動アクチュエータ。
【請求項11】
前記変位計算部の出力は(12)式によって計算され、前記第1の変換部と前記第2の変換部の出力はそれぞれ(13)式、と(14)式によって計算される請求項10に記載されたリニア振動アクチュエータ。
【数107】
JP0005508684B2_000023t.gif
・・・・・(12)
JP0005508684B2_000024t.gif ・・・・・(13)
JP0005508684B2_000025t.gif ・・・・・(14)
ここで、Kfは推力定数(N/A)、Kiは電流アンプ27のゲイン、mは可動子の質量(kg)、sはラプラス演算子、Cは定数、K1はRfアンプのゲイン、K2はRdアンプのゲイン、Lはインダクタンス(H)、Rは抵抗(Ω)、Vcは電圧指令、Rはコイルの抵抗(Ω)、LはコイルのインダクタンスL、sはラプラス演算子、xcは変位計算値、veは速度推定値である。
【請求項12】
運動可能な可動子と、
前記可動子の周囲に配され、励磁電流が流されるコイルと、
前記可動子の運動方向に押すばねと、
前記可動子の変位および速度データが格納されたデータテーブルと、
前記データテーブルからの出力である前記変位データを増幅する第1のアンプと、
前記データテーブルからの出力である前記速度データを増幅する第2のアンプを有し、
前記アンプの出力と基本駆動電流を加算して合成電流指令を作る加算器と、
前記合成電流指令に応じて前記励磁電流を出力する電流アンプとを有し、
前記第1および第2のアンプのゲインを変更することで
前記コイルに前記励磁電流が流されることによって発生する推力と前記可動子の前記変位データとの比である見かけのばね定数と、前記可動子の質量とから決定される前記可動子の見かけの共振周波数を調節可能としたことを特徴とするリニア振動アクチュエータ。
【請求項13】
運動可能な可動子と、
前記可動子の周囲に配され、駆動電圧が印加されて励磁電流が流れるコイルと、
前記可動子の運動方向に押すばねと、
前記可動子に、ばね特性および減衰力を示す推力を発生させる信号が格納されたデータテーブルと、
前記データテーブルからの出力である、前記ばね特性を示す推力を発生させる信号を増幅する第1のアンプと、
前記データテーブルからの出力である、前記減衰力を示す推力を発生させる信号を増幅する第2のアンプとを有し、
前記アンプの出力と基本駆動電圧を加算して合成電圧指令を作る加算器と、
前記合成電圧指令に応じて前記駆動電圧を出力する電圧アンプとを有し、
前記第1および第2のアンプのゲインを変更することで
前記コイルに前記駆動電圧が印加されて励磁電流が流れることによって発生する推力と前記可動子の変位との比である見かけのばね定数と、前記可動子の質量とから決定される前記可動子の見かけの共振周波数を調節可能としたことを特徴とするリニア振動アクチュエータ。
【請求項14】
シャフトと、
前記シャフトに固定され、磁力を有する可動子と、
前記可動子の周囲に配され、励磁電流が流されるコイルと、
前記シャフトの運動方向に押すばねと、
前記シャフトの変位量を検知する変位センサと、
前記変位センサからの信号に基づいて前記励磁電流を出力する制御装置と
前記シャフトに接続されたピストンと、
前記ストンが可動するシリンダを有し、
前記シリンダには、吐出バルブと吸入バルブとを有し、
前記制御装置は、
前記変位センサからの信号を増幅する第1のアンプと、
前記変位センサからの信号を微分した信号を増幅する第2のアンプとを有し、
前記アンプの出力と基本駆動電流を加算して合成電流指令を作る加算器と、
前記合成電流指令に基づいて前記励磁電流を出力する電流アンプを有し、
前記第1および第2のアンプのゲインを変更することで
前記コイルに前記励磁電流が流されることによって発生する推力と前記シャフトの前記変位量との比である見かけのばね定数と、前記可動子の質量とから決定される前記可動子の見かけの共振周波数を調節可能としたことを特徴とするリニアコンプレッサー。
【請求項15】
シャフトと、
前記シャフトに固定され、磁力を有する可動子と、
前記可動子の周囲に配され、励磁電流が流されるコイルと、
前記可動子の周囲に配された発電コイルと、
前記発電コイルに接続されたバッテリーと、
前記シャフトの運動方向に押すばねと、
前記シャフトの変位量を検知する変位センサと、
外部から与えられた振動の加速度と周波数を検出する加速度センサと、
前記変位センサと前記加速度センサから信号に基づいて前記励磁電流を出力する制御装置とを有し、
前記制御装置は、
前記変位センサからの信号と前記加速度センサからの信号に基づきゲインを決めるゲイン決定手段と
前記変位センサからの信号を前記ゲインに基づき増幅した電流指令を出力するアンプと、を有し、
前記アンプの前記ゲインを変更することで、前記コイルに前記励磁電流が流されることによって発生する推力と前記シャフトの前記変位量との比である見かけのばね定数と、前記可動子の質量とから決定される前記可動子の見かけの共振周波数を調節可能としたことを特徴とするリニア振動発電機。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明はリニア振動アクチュエータおよびリニア振動発電機の見かけの共振周波数を可変させて、効率が大きくなるように駆動または発電させる制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
リニア振動アクチュエータの可動子をばねで外部に固定して、ばね-質量系の共振周波数をもつ系を構成したリニア振動アクチュエータは、パーツフィーダ、リニアコンプレッサ,携帯用電話の着信バイブレータ、制振装置などに利用されている。また、リニア振動発電機にも応用されている。リニア振動アクチュエータは駆動周波数と共振周波数とが一致しなと可動子の振幅が減少するという欠点がある。
【0003】
リニアコンプレッサは共振周波数で駆動すると高い効率が得られる。リニアコンプレッサでは、冷媒ガスの圧縮性に温度依存性があり、冷媒ガスの温度によって共振周波数が変化する。そこで、従来技術では図25に示したように、コンピュータ134の位相検出部135は、電圧検出装置137で検出された交流電源131の出力電圧Vと、電流検出装置133で検出された交流電源131からリニアコンプレッサ132に流れる電流Iとの位相差Dpを検出する。そして、演算・制御部136は位相差Dpに応じた値だけ交流電源131の出力電圧Vの周波数fを補正して、駆動周波数fをピストンの共振周波数に一致さていた(特許文献1参照)。また同様な手法が考案されている(特許文献2参照)

【特許文献1】特開平9-112438号公報
【特許文献2】特開2005-300098号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の方法では、駆動周波数を共振周波数に一致させているだけであり、駆動周波数を変化させた場合には効率が低下するという問題点があった。リニアコンプレッサの冷媒ガスには圧縮性があるために可動子をある一定のストローク以上で駆動する必要がある。したがって、リニアコンプレッサの出力を可変する場合には共振周波数以外の周波数で駆動する必要があり、この場合には効率が著しく低下していた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記の課題を解決するために想到されたものであり、可動子の変位に応じた駆動力を可動子に与える事で見かけのばね定数を変化させ、それによって可動子を含む系の共振周波数を見かけの共振周波数に一致させるように制御する。
【0006】
すなわち、本発明は、
シャフトと、
前記シャフトに固定され、磁力を有する可動子と、
前記可動子の周囲に配され、励磁電流が流されるコイルと、
前記シャフトの運動方向に押すばねと、
前記シャフトの変位量を検知する変位センサと、
前記変位センサからの信号を増幅する第1のアンプと、
前記変位センサからの信号を微分した信号を増幅する第2のアンプと、
前記第1および第2のアンプの出力と基本駆動電流を加算して合成電流指令を作る加算器と、
前記合成電流指令に基づいて前記励磁電流を出力する電流アンプを有し、
前記第1および第2のアンプのゲインを変更することで、前記コイルに前記励磁電流が流されることによって発生する推力と前記シャフトの前記変位量との比である見かけのばね定数と、前記可動子の質量とから決定される前記可動子の見かけの共振周波数を調節可能としたことを特徴とするリニア振動アクチュエータを提供するものである。また、このリニア振動アクチュエータを用いたリニアコンプレッサとリニア振動発電機を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、リニア振動アクチュエータの駆動周波数に一致するように見かけの共振周波数を制御できるために、従来法と比較して高効率が得られる。また、リニア振動発電機においても常に最大出力が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(発明の実施例1)
以下本発明の実施形態について順次説明を行う。まず、最初に本発明の動作原理について図1を用いて簡単に説明する。図1は、一方を固定端に固定されたばねにおもりが付けられているばねを示している。つりあっている際のばねの長さをx0とする。そして、今ばねの長さがx1にされたとする。よく知られているように、おもりにはばねの伸びによる力が作用する。その大きさは、つりあい状態からのばねの伸びx=(x1-x0)に比例し、方向はおもりの変位方向とは逆の方向に作用する。ばねの伸びに比例する比例定数kをばね定数と呼ぶ。おもりに働く力は図ではkxで示した。
【0009】
ここで、おもりに対して外部からおもりの変位に比例した力K1xを付与したとする。すると、おもりに作用する力は、ばねの力と外部から付与された力の合成力である。今外部からの力は、ばねの力同様、おもりの変位に比例した力としているので、見かけのばね定数が変化したように見える。本発明は以上の原理に基づくものである。
【0010】
次に本実施の形態のリニア駆動アクチュエータについて説明する。図2は、リニア振動アクチュエータ1(以下、LOA)の構造例である。シャフト8に固定された可動子2の可動子ヨーク3の表面に永久磁石4が配置されている。また固定子5は、固定子ヨーク6とコイル7から構成されている。さらに、可動子2のシャフト8の左側は取付けブラケット9に固定された板ばね10に、右側は負荷11に連結されている。このような構成とすることで、LOAは、ばね定数と可動子の質量から決定される共振周波数f0をもっている。
【0011】
さらに、変位センサ12で検出した変位x13は、制御装置14にフィードバックされている。また、制御装置14から励磁電流I15がコイル7に流れて推力F16が発生して、可動子2に加速度a17および速度v18が発生して変位する。
【0012】
図3は本発明における制御方法の制御ブロックである。可動子2の変位x13は変位センサ12で検出されて、制御装置14にフィードバックされている。Rfアンプ19で、変位x13にゲインK1(A/m)が乗算され、ばね特性を示す推力を発生させる制御信号Irfが作られる。この制御信号Irfは、加算器52で、電流指令Ic21と重畳される。電流指令Ic21は、駆動電流の基本となる電流であり、基本駆動電流ともいう。ここでゲインK1は、Rfアンプ19に送られる共振周波数可変指令20によって大きさが可変できるようになっている。
【0013】
さらに、変位x13は微分器22によって速度推定値ve23に変換されて、Rdアンプ24で、ゲインK2(As/m)と乗算され、減衰力示す推力を発生させる制御信号Irdが作られる。制御信号Irdは電流指令Ic21と加算される。ここでゲインK2は、Rdアンプ24に送られる減衰定数可変指令25によって大きさが可変できるようになっている。これらゲインK1およびK2を変化させる共振周波数可変指令20と減衰定数可変指令25の由来は、特に限定されることなく、制御装置14外で作られてもよいし、制御装置14内で作ってもよい。
【0014】
電流指令Ic21と加算されたこれらの信号は合成電流指令Ic*26となり、インバータ(電流アンプ)27に与られ、ゲインKi倍されて励磁電流I15となる。さらに、同図中の量記号は、Kf:推力定数(N/A)、F:推力(N)、m:可動子の質量(kg)、c:減衰定数(Ns/m)、Ks:ばね定数(N/m)、s:ラプラス演算子、a:加速度(m/s)、v:速度(m/s)である。
【0015】
図3に示したブロック線図に基づいて、電流指令Icから変位Xまでの伝達関数X/Icは(1)式となる。また、共振角周波数ωと減衰係数ξは、それぞれ(2)式と(3)式となる。さらに共振周波数f0’は(4)式となる。なお、本制御を行わない場合の共振周波数f0は(5)式で与えられる。
【数1】
JP0005508684B2_000002t.gif
【数2】
JP0005508684B2_000003t.gif
【数3】
JP0005508684B2_000004t.gif

【数4】
JP0005508684B2_000005t.gif

【数5】
JP0005508684B2_000006t.gif

【0016】
図3においてゲインK1とゲインK2は独立して設定可能である。そこで、まず、ゲインK1の効果について説明する。図4はK2=0の場合のK1をパラメータとするゲイン絶対値(X/Ic)(振幅)-駆動周波数特性である。縦軸はゲインの絶対値を表し、横軸は周波数を表す、本発明を行わない場合の共振周波数は(5)式に示したようにf0である。(4)式に示したようにK1>0の場合には共振周波数f0よりも高い共振周波数f0’が得られる。逆に、K1<0の場合には共振周波数f0よりも低い共振周波数f0’が得られる。すなわち、K1によって共振周波数を可変することができる。
【0017】
次にゲインK2の効果について説明する。ゲインK1=0の場合のK2をパラメータとするゲイン絶対値(X/Ic)(振幅)-駆動周波数特性を図5に示した。本発明を行わない場合と比較してK2>0の場合には、共振周波数f0における絶対値(X/Ic)(振幅)は小さくなり、かつ、平坦な減衰特性となる。逆にK2<0の場合には絶対値(X/Ic)(振幅)は大きくなり、かつ急峻な減衰特性となる。すなわち、K2によって減衰特性を制御することができる。
【0018】
図6は、ゲインK1とゲインK2をそれぞれ設定した場合の特性例である。同図に示したように、K1>0でかつK2>0の場合には、共振周波数が高くなり、かつ平坦な減衰特性となる。一方、K1<0でかつK2<0の場合には共振周波数が低くなり、かつ急峻な減衰特性となる。ゲインK1とゲインK2はそれぞれ独立して可変することが可能であり、ゲインK1によって共振周波数を、ゲインK2によって減衰特性を制御することができる。
【0019】
(3)式に示したように減衰係数ξは、ゲインK1にも依存している。そこで、所望の共振特性を得るためには,まず(4)式を用いて所望の共振周波数f0’となるようにゲインK1を決定して、次に(3)式を用いて所望の減衰係数ξとなるようにゲインK2を設定すれば良い。
【0020】
なお、本発明は、ゲインK1を提供するRfアンプ19とゲインK2を提供するRdアンプ24の両者が存在する場合に限定されるものではない。すなわち、共振周波数f0’だけを制御する場合にはRfアンプ19(ゲインK1)だけを設置すればよく、また減衰係数xだけを制御する場合にはRdアンプ24(ゲインK2)だけを設置すればよい。
【0021】
次に、上記のリニアアクチュエータを利用したリニアコンプレッサについて説明する。図7にリニアコンプレッサ72の構成を示す。リニア振動アクチュエータ1については、図2と同じ部分には同じ符号を付与している。可動子2の可動子ヨーク3の表面に永久磁石4が配置されている。また固定子5は、固定子ヨーク6とコイル7から構成されている。さらに、可動子2のシャフト8の左側は取付けブラケット9に固定された板ばね10に、右側はシリンダ82に支持されたピストン83に連結されている。このような構成とすることで、LOAは、ばね定数と可動子の質量から決定される共振周波数f0をもっている。変位センサ12は、可動子の変位x13を検出して制御装置14にフィードバックされている。
【0022】
制御装置14から出力された合成電流指令Ic*26は電流アンプ27で増幅されて励磁電流I15となる。コイル7に励磁電流I15を流して、ガスの負荷力FL(x)86以上の推力F16を発生させると、吐出バルブ88が開いて圧縮ガスを吐出させる。また、励磁電流I15の流す方向を変えると可動子2は同図の左手方向に変位して吸入バルブ89が開いて膨張ガスを吸入することができる。これらの一連の動作によってリニアコンプレッサが実現される。
【0023】
リニアコンプレッサの出力を可変させる、すなわち吐出ガスの流量を可変するためには、冷媒ガスに圧縮性があるために可動子2を一定のストローク以上で駆動する必要があり、共振周波数f0以外の周波数で駆動することとなる。従来技術では共振周波数f0以外の周波数で駆動すると効率が著しく低下していた。
【0024】
図8は、本発明における高効率駆動方法の制御ブロックである。同図中において、Kf:推力定数(N/A)、m:可動子の質量(kg)、c:減衰定数(Ns/m)、Ks:ばね定数(N/m)、s:ラプラス演算子、a:加速度(m/s)、v:速度(m/s)である。シリンダ内の圧力による負荷力FL(x)86は、変位x13の変数となっている。可動子2の変位x13は変位センサ12で検出されて、制御装置14内のゲインコントローラ64にフィードバックされている。ゲイン決定手段65は、駆動周波数f66と変位x13に基づいてゲイン可変指令20を出力する。電流指令Ic21から変位x13にRfアンプ19にてゲインKが乗じられた信号が減算されて合成電流指令Ic*26となる。ゲイン可変信号20によって、ゲインKを可変させることができる。このようにすることで、駆動周波数に見かけの共振周波数を常に一致させることができて従来法よりも高効率駆動が可能となる。
【0025】
図9は、図8に示した制御系におけるばね力(推力F16)-変位(x13)特性である。ゲインKがK=0の場合は、板ばね10のばね力-変位特性を意味しており、ばね定数Ksで共振周波数foとなる。ゲインがK>0の場合には、変位に比例する励磁電流が流れて推力Fが発生する。すると、ばね力(推力F)と変位xとの比、すなわち、見かけのばね定数Ks’が大きくなる。したがって、見かけのばね定数Ks’と可動部の質量mから決定される見かけの共振周波数fo’が大きくなる。逆に、ゲインがK<0の場合には、見かけのばね定数Ks’が小さくなって、見かけの共振周波数fo’が小さくなる。
【0026】
図10はゲイン決定手段65の処理を示すフローチャートである。まず、駆動周波数fを入力し(S102)、駆動周波数fと見かけの共振周波数fo’とが一致するように見かけのばね定数Ks’とゲインKを算出して(S104、S106)、ゲイン可変指令を出力する(S108)。次に、変位xを入力し(S110)、可動子のストロークSを算出して(S112)、ストロークが最大の場合には(S114)、ステップS110に戻る。ストロークSが最大ではない場合には、ゲインKを増減して(S116)、ステップS108に戻る。このようにすることで、駆動周波数fと見かけの共振周波数fo’とが一致するために高効率駆動が可能となる。さらに、温度に依存して冷媒ガスの圧縮性が変化、すなわち、共振周波数foが変動しても常に共振状態を維持できるために高効率化を実現できる。
【0027】
図11に本発明における効率特性を示した。前述したようにリニアコンプレッサの出力を変化させるためには、共振周波数f0以外の周波数で駆動する必要がある。本発明を行わない場合(従来法)の効率特性は、板ばね10のばね定数Ksと可動部の質量mから決定される共振周波数foをもっており、共振周波数を変化させることはできなかった。このために、共振周波数fo以外の周波数で駆動すると極端にリニアコンプレッサの効率(LOAの入力電力と圧縮ガスの仕事率との比)が低下していた。しかし、前述したように本発明による駆動方法では、見かけの共振周波数fo’を駆動周波数fに一致させるように変化させることができる。したがって、本発明の効率特性は、従来法と比較して広範囲な駆動周波数fにおいて、本発明による効率特性の向上が実現される。
【0028】
本発明例では磁石可動形LOAを例に挙げて説明した。しかし、説明に用いたLOAの構造に限定されるものではなく、鉄心可動形やコイル可動形のアクチュエータとばねを組み合わせたLOAであっても良い。また、ばねと揺動形アクチュエータとを組み合わせた振動アクチュエータであっても良い。さらに、電流アンプ27は、アナログ方式やPWM方式などの電流アンプであり、いずれかに限定されるものではない。変位センサ12は、磁気式、光学式、静電容量式などの変位センサであり、いずれかに限定されるものではない。
【0029】
次に本発明のリニア振動アクチュエータを利用したリニア信号発電機について説明する。図12にリニア振動発電機(LOG)55の構造例であり,基本的には図7に示したリニア振動アクチュエータと同様であるが、コイルは制御コイル58と発電コイル59から構成されている。またシャフト8にはおもり60が取り付けられている。LOGには外部振動63が作用しており、可動子2が変位することで発電コイル59に速度起電力が発生して、整流回路(バッテリー)61を通して外部に電力を供給することができる。また、変位センサ12で検出した可動子2の変位x13と加速度センサ34で検出した加速度a17は制御装置14にフィードバックされている。制御装置14から出力された電流指令Ic21は電流アンプ27によって増幅されて励磁電流I15となり、制御コイル58に供給される。リニア振動アクチュエータで説明したように制御コイル58に励磁電流I15を流して推力を発生させることで、見かけのばね定数Ks’を可変して、見かけの共振周波数fo’を制御できる。
【0030】
図13はLOGの制御ブロックであり、同図中においてKeは速度起電力定数(Vs/m)である。可動子2の速度vとKeとを乗じた値が速度起電力となり、整流回路(バッテリー)61に繋がっている。制御装置14には、変位センサ12で検出された変位x13と加速度センサ34で検出された外部振動の加速度a17が入力されている。変位xはゲインKが乗じられて電流指令Ic21となり、電流アンプ27に入力される。ゲインコントローラ68内のゲイン決定手段69は、変位x13と加速度a17に基づいてゲイン可変指令20を出力してゲインKの大きさを変化させることができる。図9に示したように、ゲインKの大きさによって見かけのばね定数Ks’を可変することができる。すなわち、見かけの共振周波数fo’を制御することができる。このように制御することで、常に外部振動の周波数fに見かけの共振周波数fo’を一致させることができるために、最大電力の発電が可能となる。
【0031】
図14はゲイン決定手段69のフローチャートである。まず、加速度a17を入力し(S202)加速度aの周波数fを算出して(S204)、周波数fと見かけの共振周波数fo’とが一致するように見かけのばね定数Ks’を算出する(S206)。さらにゲインKを算出し(S208)てゲイン可変指令70を出力する(S210)。次に、変位x13を入力し(S212)、可動子2のストロークSを算出して(S214)、ストロークが最大の場合(S216)には、ステップS202に戻る。ストロークSが最大ではない場合には、ゲインKを増減して(S218)、ステップS210に戻る。このようにすることで、外部振動の周波数fが変化しても常に共振状態を維持できるため最大電力の発電が可能となる。
【0032】
本発明例では磁石可動形LOGを例に挙げて説明した。しかし、説明に用いたLOGの構造に限定されるものではなく、鉄心可動形やコイル可動形のアクチュエータとばねを組み合わせたLOGであっても良い。また、ばねと揺動形アクチュエータとを組み合わせた振動発電機であっても良い。さらに、電流アンプ27は、アナログ方式やPWM方式などの電流アンプであり、いずれかに限定されるものではない。変位センサ12は、磁気式、光学式、静電容量式などの変位センサであり、いずれかに限定されるものではない。加速度センサ34も歪ゲージ式や圧電素子式のセンサであり、いずれかに限定されるものではない。
【0033】
(実施の形態2)
図15は本実施の形態のリニア振動アクチュエータの制御ブロックである。励磁電流を電流検出部28で検出した検出電流I29が変位推定部30に入力されている。さらに、LOAの駆動電圧を電圧検出部31で検出した検出電圧V32も変位推定部30に入力されている。変位推定部30は、検出電流I29と検出電圧V32に基づいて変位推定値xe33を出力する。LOAの運動法方程式に基づいて変位推定値xe33は速度起電力定数Ke(Vs/m)、コイルの抵抗R(Ω)、コイルのインダクタンスL(H)を用いて(6)式のように表わされる。
【数6】
JP0005508684B2_000007t.gif

【0034】
変位推定値xe33はゲインK1(A/m)と乗算されてばね特性を示す推力を発生させる制御信号Irfとなり電流指令Ic21にフィードバックされている。さらに、変位推定値xe33は微分器22によって速度推定値ve23に変換され、ゲインK2(As/m)と乗算されて減衰力を示す推力を発生させる制御信号Irdとなり加算器52を介して電流指令Ic21にフィードバックされる。
【0035】
図15に示した制御ブロックにおいて、Rfアンプ19のゲインK1とRdアンプ24のゲインK2を可変することによって前述した図4乃至6に示した特性が得られる。本実施例では、高価な変位センサを用いなくともよい利点がある。
【0036】
本発明は、ゲインK1とゲインK2の両者が存在する場合に限定されるものではない。すなわち、共振周波数f0’だけを制御する場合にはゲインK1だけを設置すればよく、また減衰係数ξだけを制御する場合にはゲインK2だけを設置すればよい。
【0037】
(実施の形態3)
図16に本実施の形態に係るリニア振動アクチュエータの制御ブロックを示す。加速度センサ34によって検出した可動子2の加速度a17が制御装置14にフィードバックされている。加速度a17はRfアンプ19でゲインK1(As/m)と乗算されて見かけの質量を制御する制御信号Irfとなり電流指令Ic21に加算器52を介してフィードバックされている。さらに、加速度a17は積分器35によって速度推定値ve23に変換され、Rdアンプ24でゲインK2(As/m)と乗算されて減衰力を示す推力を発生させる制御信号Irdとなり加算器52を介して電流指令Ic21にフィードバックされる。
【0038】
図16に示した本実施の形態の制御ブロックにおいて、ゲインK1とゲインK2を可変することによって前述した図4乃至図6に示した特性が得られる。本発明は、ゲインK1とゲインK2の両者が存在する場合に限定されるものではない。すなわち、共振周波数f0’だけを制御する場合にはゲインK1だけを設置すればよく、また減衰係数ξだけを制御する場合にはゲインK2だけを設置すればよい。
【0039】
(実施の形態4)
図17に本実施の形態に係るリニア振動アクチュエータの制御ブロックを示す。LOAにはインバータ(電圧アンプ)36によって駆動電圧V37が印加されており、速度起電力E38がフィードバックされている。さらに、変位センサ12によって検出された変位x13が制御装置14にフィードバックされている。
【0040】
変位x13は、変換部A39と微分器22に入力されている。変換部A39に入力された変位x13は、ばね特性を示す推力を発生させる信号Vx40に変換されて、Rfアンプ19でゲインK1(A/m)と乗算され加算器52を介して電圧指令Vc41にフィードバックされている。電圧指令は基本駆動電圧である。一方、微分器22に入力された変位x13は、速度推定値ve23に変換されて、次に変換部B42によって減衰力を示す推力を発生させる信号Vd43となる。さらに、Rdアンプ24でゲインK2(As/m)と乗算され加算器52を介して電圧指令Vc41にフィードバックされている。LOAの運動方程式と回路方程式に基づいて変換部A39と変換部B42は、それぞれ(7)式と(8)式で表わされる。
【数7】
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【数8】
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ここで、Rはコイルの抵抗(Ω)、LはコイルのインダクタンスL、sはラプラス演算子、xは変位、veは速度推定値である。
【0041】
図17に示した本実施の形態の制御ブロックにおいて、ゲインK1とゲインK2を可変することによって前述した図4乃至図6に示した特性が得られる。また、本発明は、ゲインK1とゲインK2の両者が存在する場合に限定されるものではない。すなわち、共振周波数f0’だけを制御する場合にはゲインK1だけを設置すればよく、また減衰係数ξだけを制御する場合にはゲインK2だけを設置すればよい。
【0042】
(実施の形態5)
図18に本実施の形態のリニア振動アクチュエータの制御ブロックを示す。LOAはインバータ(電圧アンプ)36で駆動され、かつ変位センサや加速度センサを用いていないために安価なシステムを構築することができる。励磁電流を電流検出部28で検出して、検出電流I29が変位推定部30に入力される。さらに、LOAの駆動電圧を電圧検出部31で検出した検出電圧V32も変位推定部30に入力されている。変位推定部30は、検出電流I29と検出電圧V32に基づいて変位推定値xe33を出力する。変位推定値xe33は前述の(6)式で表わされる。
【0043】
変位推定値xe33は、変換部A39と微分器22に入力されている。変換部A39に入力された変位推定値xe33は、ばね特性を示す推力を発生させる信号Vx40に変換されて、Rfアンプ19でゲインK1(A/m)と乗算されて加算器52を介して電圧指令Vc41にフィードバックされている。
【0044】
一方、微分器22に入力された変位推定値xe33は、速度推定値ve23に変換されて、次に変換部B42によって減衰力を示す推力を発生させる信号Vd43となる。さらに、Rdアンプ24でゲインK2(As/m)と乗算されて加算器52を介して電圧指令Vc41にフィードバックされる。変換部A39と変換部B42は、それぞれ下述の(9)式と(10)式で表わされる。
【数9】
JP0005508684B2_000010t.gif
【数10】
JP0005508684B2_000011t.gif
ここで、Rはコイルの抵抗(Ω)、LはコイルのインダクタンスL、sはラプラス演算子、xeは(6)式で求められる変位推定値、veは速度推定値である。
【0045】
図9に示した本実施の形態の制御ブロックにおいて、ゲインK1とゲインK2を可変することによって前述した図4乃至6に示した特性が得られる。また、本発明は、ゲインK1とゲインK2の両者が存在する場合に限定されるものではない。すなわち、共振周波数f0’だけを制御する場合にはゲインK1だけを設置すればよく、また減衰係数ξだけを制御する場合にはゲインK2だけを設置すればよい。
【0046】
(実施の形態6)
図19に本実施の形態に係るリニア振動アクチュエータの制御ブロックを示す。LOAはインバータ(電流アンプ)27で駆動され、LOAに外乱が作用せずに安定した振動が得られる場合に特に有用である。すなわち、変位センサや加速度センサおよび駆動電圧や励磁電流などの検出部を必要としないために安価なシステムを構築することができる。電流指令Ic21は、変位計算部A45に入力されており、変位計算値xc46が出力されている。LOAの運動方程式に基づいて変位計算値xc46は(11)式で表わされる。
【数11】
JP0005508684B2_000012t.gif
ここで、Kfは推力定数(N/A)、Kiは電流アンプ27のゲイン、mは可動子の質量(kg)、sはラプラス演算子、Cは定数、K1はRfアンプのゲイン、K2はRdアンプのゲイン、Icは電流指令である。
【0047】
変位計算値xc46はRfアンプ19でゲインK1(A/m)と乗算されてばね特性を示す推力を発生させる制御信号Irfとなり電流指令Ic21に加算器52を介してフィードバックされている。さらに、変位計算値xc46は微分器22によって速度推定値ve23に変換され、Rdアンプ24でゲインK2(As/m)と乗算されて減衰力を示す推力を発生させる制御信号となり、加算器52を介して電流指令Ic21にフィードバックされる。
【0048】
図19に示した実施例 6の制御ブロックにおいて、ゲインK1とゲインK2を可変することによって前述した図4乃至6に示した特性が得られる。また、本発明は、ゲインK1とゲインK2の両者が存在する場合に限定されるものではない。すなわち、共振周波数f0’だけを制御する場合にはゲインK1だけを設置すればよく、また減衰係数ξだけを制御する場合にはゲインK2だけを設置すればよい。
【0049】
(実施の形態7)
図20に本実施の形態のリニア振動アクチュエータの制御ブロックを示す。LOAはインバータ(電圧アンプ)36で駆動されており、LOAに外乱が作用せずに安定した振動が得られる場合に特に有用である。すなわち、変位センサや加速度センサおよび駆動電圧や励磁電流などの検出部を必要としなために安価なシステムを構築することができる。電圧指令Vcは、変位計算部B47に入力されており、変位計算値xc46が出力されている。LOAの運動方程式と回路方程式に基づいて変位計算値xc46は(12)式で表わされる。
【数12】
JP0005508684B2_000013t.gif

【0050】
ここで、Kfは推力定数(N/A)、Kiは電流アンプ27のゲイン、mは可動子の質量(kg)、sはラプラス演算子、Cは定数、K1はRfアンプのゲイン、K2はRdアンプのゲイン、Lはインダクタンス(H)、Rは抵抗(Ω)、Vcは電圧指令である。
【0051】
変位計算値xc46は変換部A39と微分器22に入力される。変換部A39の出力である、ばね特性を示す推力を発生させる信号Vx40は、Rfアンプ19でゲインK1(A/m)と乗算されて加算器52を介して電圧指令Vc41にフィードバックされている。一方、微分器22に入力された変位計算値xc46は速度推定値ve23となり、さらに変換部B42によって、減衰力を示す推力を発生させる信号Vd43となる。次に、Rdアンプ24でゲインK2(As/m)と乗算されて加算器52を介して電圧指令Vc41にフィードバックされる。変換部A39と変換部B42は、それぞれ下述の数13と数14で表される。
【数13】
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【数14】
JP0005508684B2_000015t.gif
ここで、Rはコイルの抵抗(Ω)、LはコイルのインダクタンスL、sはラプラス演算子、xcは変位計算値、veは速度推定値である。
【0052】
図20に示した本実施の形態の制御ブロックにおいて、ゲインK1とゲインK2を可変することによって前述した図4乃至6に示した特性が得られる。また、本発明は、ゲインK1とゲインK2の両者が存在する場合に限定されるものではない。すなわち、共振周波数f0’だけを制御する場合にはゲインK1だけを設置すればよく、また減衰係数ξだけを制御する場合にはゲインK2だけを設置すればよい。
【0053】
(実施の形態8)
図21に本実施の形態にかかわるリニア振動アクチュエータの制御ブロックである。LOAはインバータ(電流アンプ)27で駆動されており、LOAに外乱が作用せずに安定した振動が得られる場合に特に有用である。すなわち、変位センサや加速度センサおよび駆動電圧や励磁電流などの検出部を必要としないために安価なシステムを構築することができる。
【0054】
変位および速度データテーブル48には図22に示したように電流指令Ic21に対応した変位データxd49と速度データvd50が格納されている。また、各データは1周期分がn当分されている。さらに電流指令Ic21対応した変位データxd49と速度データvd50が出力される。
【0055】
変位データxd49はRfアンプ19でゲインK1(A/m)と乗算されてばね特性を示す推力を発生させる制御信号Irfとなり加算器52を介して電流指令Ic21にフィードバックされている。さらに、速度データvd50はRdアンプ24でゲインK2(As/m)と乗算されて減衰力を示す推力を発生する制御信号Irdとなり加算器52を介して電流指令Ic21にフィードバックされる。
【0056】
図21に示した本実施の形態の制御ブロックにおいて、ゲインK1とゲインK2を可変することによって前述した図4乃至6に示した特性が得られる。また、本発明は、ゲインK1とゲインK2の両者が存在する場合に限定されるものではない。すなわち、共振周波数f0’だけを制御する場合にはゲインK1だけを設置すればよく、また減衰係数ξだけを制御する場合にはゲインK2だけを設置すればよい。
【0057】
(実施の形態9)
図23に本実施の形態に係るリニア振動アクチュエータの制御ブロックを示す。LOAはインバータ(電圧アンプ)36で駆動されており、LOAに外乱が作用せずに安定した振動が得られる場合に特に有用である。すなわち、変位センサや加速度センサおよび駆動電圧や励磁電流などの検出部を必要としないために安価なシステムを構築することができる。
【0058】
ばね特性および減衰力を示す推力を発生させる信号テーブル51には図24に示したように電圧指令Vc41に対応したばね特性を示す推力を発生させる信号Vx40と減衰力を示す推力を発生させる信号圧Vc43が格納されている。また、各データは1周期分がn当分されている。さらに電圧指令Vc41に対応して、ばね特性を示す推力を発生させる信号Vx40と減衰力を示す推力を発生させる信号Vd43が出力される。
【0059】
ばね特性を示す推力を発生させる信号Vx40はRfアンプ19でゲインK1(V)と乗算されて加算器52を介して電圧指令Vc41にフィードバックされている。さらに、減衰力を示す推力を発生させる信号Vc43はRdアンプ24でゲインK2(V)と乗算されて加算器52を介して電圧指令Vc41にフィードバックされる。
【0060】
図23に示した本実施の形態の制御ブロックにおいて、ゲインK1とゲインK2を可変することによって前述した図4乃至6に示した特性が得られる。また、本発明は、ゲインK1とゲインK2の両者が存在する場合に限定されるものではない。すなわち、共振周波数f0’だけを制御する場合にはゲインK1だけを設置すればよく、また減衰係数ξだけを制御する場合にはゲインK2だけを設置すればよい。
【0061】
本発明の実施の形態1乃至9では磁石可動形LOAを例に挙げて説明した。しかし、説明に用いたLOAの構造に限定されるものではなく、鉄心可動形やコイル可動形アクチュエータおよび永久磁石を内蔵しない電磁アクチュエータとばねを組み合わせたLOAであっても良い。さらに、圧電アクチュエータや超磁歪アクチュエータ、静電アクチュエータであってもよい。また、ばねは、板ばねに限定されるものではなく、コイルばねや弾性体を用いたばねなどであってもよい。さらに、ばねと揺動形アクチュエータとを組み合わせた振動アクチュエータであっても良い。インバータ(電流アンプ)27とインバータ(電圧アンプ)36は、アナログ方式やPWM方式などの方式であって、いずれかに限定されるものではない。
【0062】
また、変位センサ12は、磁気式、光学式、渦電流式、差動トランス式、静電容量式などの変位センサであり、いずれかに限定されるものではない。また、加速度センサは、歪ゲージ式、半導体式、圧電式などの方式であって、いずれかに限定されるのもではない。また、微分器32、変位変換部30、変換部A39、変換部B42は、プロバーでない伝達関数で示したが、適宜、フィルタを挿入してプロパーとすることで実現可能とすることができる。さらに、本実施例では変位センサ12や加速度センサ34を用いた実施例について説明したが、可動子2の速度を検出して、LOAの運動方程式と回路方程式に基づいて制御系を構成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、パーツフィーダ、リニアコンプレッサ,携帯用電話の着信バイブレータ、制振装置などに利用することができる。また、リニア振動発電機にも応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の原理を説明する図である。
【図2】本発明の実施の形態1におけるリニア振動アクチュエータの構造である。
【図3】本発明の実施の形態1における制御ブロックである。
【図4】本発明のリニア振動アクチュエータにおける共振周波数の制御効果である。
【図5】本発明のリニア振動アクチュエータにおける減衰特性の制御効果である。
【図6】本発明のリニア振動アクチュエータにおける共振周波数と減衰特性の制御効果である。
【図7】本発明のリニア振動アクチュエータを利用した円筒状リニア振動アクチュエータの構造である。
【図8】円筒状リニア振動アクチュエータにおける高効率駆動方法の制御ブロックである。
【図9】円筒状リニア振動アクチュエータにおけるばね力-変位特性である。
【図10】円筒状リニア振動アクチュエータにおけるゲイン決定手段のフローチャートである。
【図11】円筒状リニア振動アクチュエータにおける効率特性である。
【図12】本発明のリニア振動アクチュエータを利用したリニア振動発電機の構造である。
【図13】リニア振動発電機におけるリニア振動発電機の制御ブロックである。
【図14】リニア振動発電機におけるゲイン決定手段のフローチャートである。
【図15】本発明の実施の形態2における制御ブロックである。
【図16】本発明の実施の形態3における制御ブロックである。
【図17】本発明の実施の形態4における制御ブロックである。
【図18】本発明の実施の形態5における制御ブロックである。
【図19】本発明の実施の形態6における制御ブロックである。
【図20】本発明の実施の形態7における制御ブロックである。
【図21】本発明の実施の形態8における制御ブロックである。
【図22】本発明の実施の形態8における変位データと速度データテーブルである。
【図23】本発明の実施の形態9における制御ブロックである。
【図24】本発明の実施の形態9におけるばね特性および減衰力を示す推力を発生させる信号テーブルである。
【図25】従来例のブロック線図である。
【符号の説明】
【0065】
1 リニア振動アクチュエータ
2 可動子
3 可動子ヨーク
4 永久磁石
5 固定子
6 固定子ヨーク
7 コイル
8 シャフト
9 取付けブラケット
10 板ばね
11 負荷
12 変位センサ
13 変位
14 制御装置
15 励磁電流
16 推力
17 加速度
18 速度
19 アンプ(ゲインK1)
20 共振周波数可変指令
21 電流指令
22 微分器
23 速度推定値
24 アンプ(ゲインK2)
25 減衰定数可変指令
26 合成電流指令
27 インバータ(電流アンプ)
28 電流検出部
29 検出電流
30 変位推定部
31 電圧検出部
32 検出電圧
33 変位推定値
34 加速度センサ
35 積分器
36 インバータ(電圧アンプ)
37 駆動電圧
38 速度起電力
39 変換部A
40 ばね特性を示す推力を発生させる信号
41 電圧指令
42 変換部B
43 減衰力を示す推力を発生させる信号
44 合成電圧指令
45 変位計算部A
46 変位計算値
47 変位計算部B
48 変位および速度データテーブル
49 変位データ
50 速度データ
51 ばね特性および減衰力を示す推力を発生させる信号テーブル



図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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