TOP > 国内特許検索 > ナノホールを有するシート状白金ナノ粒子及びその製造法 > 明細書

明細書 :ナノホールを有するシート状白金ナノ粒子及びその製造法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4958109号 (P4958109)
公開番号 特開2009-062571 (P2009-062571A)
登録日 平成24年3月30日(2012.3.30)
発行日 平成24年6月20日(2012.6.20)
公開日 平成21年3月26日(2009.3.26)
発明の名称または考案の名称 ナノホールを有するシート状白金ナノ粒子及びその製造法
国際特許分類 B22F   1/00        (2006.01)
B82B   3/00        (2006.01)
B22F   9/24        (2006.01)
B82B   1/00        (2006.01)
FI B22F 1/00 K
B82B 3/00
B22F 9/24 E
B82B 1/00
請求項の数または発明の数 6
全頁数 11
出願番号 特願2007-230284 (P2007-230284)
出願日 平成19年9月5日(2007.9.5)
審査請求日 平成22年8月31日(2010.8.31)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504224153
【氏名又は名称】国立大学法人 宮崎大学
発明者または考案者 【氏名】木島 剛
【氏名】酒井 剛
【氏名】長友 優
個別代理人の代理人 【識別番号】100127513、【弁理士】、【氏名又は名称】松本 悟
審査官 【審査官】浅井 雅弘
参考文献・文献 特開2006-045582(JP,A)
特開2001-079382(JP,A)
調査した分野 B22F 1/00- 9/30
C22C 1/04, 1/05
C22C33/02
特許請求の範囲 【請求項1】
貴金属元素である白金(Pt)よってその骨格が構成され、かつ厚さ2~25nm、外径30~600nmの単結晶質シート状粒子であって、直径1~3.5nmの六角形若しくは円形、又は幅1~3.5nm、長さ3.5~10nmの楕円形若しくは長方形の凹面状ナノホールが、4~5nmのほぼ等間隔又は1~5nmの不等間隔で配列した構造を有することを特徴とするシート状白金ナノ粒子。
【請求項2】
貴金属元素である白金(Pt)と、貴金属元素である金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、及びルテニウム(Ru)よりなる群から選択された一種以上の元素を任意の割合で混和した組織によってその骨格が構成され、かつ厚さ2~25nm、外径30~600nmの単結晶質シート状粒子であって、直径1~3.5nmの六角形若しくは円形、又は幅1~3.5nm、長さ3.5~10nmの楕円形若しくは長方形の凹面状ナノホールが、4~5nmのほぼ等間隔又は1~5nmの不等間隔で配列した構造を有することを特徴とするシート状貴金属ナノ粒子。
【請求項3】
貴金属元素である白金(Pt)と、卑金属元素から選択された一種以上の元素を任意の割合で混和した組織によってその骨格が構成され、かつ厚さ2~25nm、外径30~600nmの単結晶質シート状粒子であって、直径1~3.5nmの六角形若しくは円形、又は幅1~3.5nm、長さ3.5~10nmの楕円形若しくは長方形の凹面状ナノホールが、4~5nmのほぼ等間隔又は1~5nmの不等間隔で配列した構造を有することを特徴とするシート状貴金属ナノ粒子。
【請求項4】
白金錯化合物、ポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステルよりなる非イオン界面活性剤、若しくは、ポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステルよりなる非イオン界面活性剤とポリオキシエチレンアルキルエーテル類よりなる非イオン界面活性剤の合わせて二種類の界面活性剤、並びに水からなる反応混合物を調製し、次いでこの反応混合物に還元剤水溶液を添加して反応させることにより、請求項1に記載のシート状白金ナノ粒子を製造することを特徴とするシート状白金ナノ粒子の製造方法。
【請求項5】
白金錯化合物と、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、及びルテニウム(Ru)よりなる群から選択された一種以上の元素の貴金属塩若しくは貴金属錯化合物、ポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステルよりなる非イオン界面活性剤、若しくは、ポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステルよりなる非イオン界面活性剤とポリオキシエチレンアルキルエーテル類よりなる非イオン界面活性剤の合わせて二種類の界面活性剤、並びに水からなる反応混合物を調製し、次いでこの反応混合物に還元剤水溶液を添加して反応させることにより、請求項2に記載のシート状貴金属ナノ粒子を製造することを特徴とする貴金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項6】
白金錯化合物と、卑金属元素よりなる群から選択された一種以上の元素の卑金属塩、ポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステルよりなる非イオン界面活性剤、若しくは、ポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステルよりなる非イオン界面活性剤とポリオキシエチレンアルキルエーテル類よりなる非イオン界面活性剤の合わせて二種類の界面活性剤、並びに水からなる反応混合物を調製し、次いでこの反応混合物に還元剤水溶液を添加して反応させることにより、請求項3に記載のシート状貴金属ナノ粒子を製造することを特徴とする貴金属ナノ粒子の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、金属白金の化学的、電気化学的及び磁気的特性を利用した燃料電池用触媒、自動車排ガス処理用触媒等の産業及び環境分野における各種化学反応に対する触媒、電気分解用電極等の各種電気化学反応に対する電極、又は、温度、圧力、ガスセンサ素子等のフォトニクス・エレクトロニクス・情報技術用基礎素材若しくは機能素子などとして使用される白金を主成分とし、ナノホールを有するシート状金属ナノ粒子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー変換および物質変換のための各種電極触媒及びガス拡散電極は、一般に、カーボン等の導電性担体に、金属塩の水溶液あるいはコロイド分散系を用いて金属成分を導入したのち、焼成、水素還元などの処理を行い調製する方法(非特許文献1)や、CVDなどの気相法を用いて調製される。つまり、電極触媒は、固体担体の表面に金属粒子を担持した複合粒子の形で調製され、その活性は、金属種はもとより、担持された金属微粒子の大きさ、結晶面の種類、担体の種類などによって変化し、微粒子の形状および大きさの制御は特に重要である。
【0003】
このため、貴金属触媒および貴金属電極触媒の調製法として、上記の一般的な方法を様々に工夫することに加えて、ポリビニルピロリドンなどの保護剤存在下で液相還元し貴金属コロイドを作製する方法(非特許文献2)なども開発されてきている。
【0004】
最近では、メソポーラスシリカを鋳型とする光還元、Hガス及び電着法を用いた還元により白金ナノワイヤが得られており、(非特許文献3、4)また、パラジウムについても、シリカを鋳型として、その細孔径に応じた直径および長さをもつナノワイヤが合成されている(非特許文献5)。また、三次元細孔構造をもつメソポーラスシリカを鋳型とする水素還元により、白金ワイヤが三次元網目状に連結し、シリカ壁の厚さに相当する直径約3 nmの細孔をもつポーラス白金粒子が得られているが(非特許文献6)、いずれもカーボン上への担持についての言及はない。
【0005】
一方、本発明者らは、二種類の界面活性剤から成る液晶を鋳型として塩化白金酸を還元する手法を開発し、還元剤および白金塩の種類によって、外径6~7nm、内径3~4nmの白金、パラジウムなどの貴金属ナノチューブおよびスポンジ状貴金属ナノ粒子およびスポンジ状貴金属ナノ粒子担持カーボンを製造した(特許文献1、特許文献2、特許文献3)。
【0006】
しかしながら、上記の文献に開示されている貴金属ナノ構造体は、あくまで独立して生成するバルクの超微粉やスポンジ状白金担持カーボンであり、ナノホールを有するシート状白金ナノ粒子についての言及はない。
【0007】

【非特許文献1】富永博夫ほか1名、化学総説「触媒設計」、日本化学会編、1982年、p.50-63
【非特許文献2】N. Toshimaほか1名、Bull.Chem. Soc. Jpn., 65, 400 (1992)
【非特許文献3】M. Sasakiほか6名、Microporous Mesoporous Mater., 21, 597 (1998).
【非特許文献4】Z. Liuほか7名、Angew.Chem. Int. Ed., 39, 3107 (2000).
【非特許文献5】K-. B. Leeほか2名、 Adv. Mater., 13, 7, 517 (2001).
【非特許文献6】H. J. Shinほか3名J.Am. Chem. Soc., 123, 1246-1247 (2001).
【特許文献1】木島 剛、特許第3842177号公報
【特許文献2】木島 剛 ほか1名、特開2006-045582号公報
【特許文献3】木島 剛 ほか1名、特開2006-228450号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のように、白金に関する従来技術は、球状もしくは不定形の超微粒子のほか、ナノメートルサイズのワイヤ、ハニカム状または3次元網目状の細孔を有する粒状または膜状の多孔体、ならびに本発明者の手によるナノチューブを提供するに留まっている。これに対して、これらとは異なる新規な細孔形状、新規なサイズ、新規な物性を有する白金ナノ粒子を創出し、触媒や電極などとしての従来にない性能を実現することが望まれている。 また、燃料電池用の電極として、酸素還元活性が低いことに起因するカソード過電圧の低減が強く望まれている。
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決しようとするものであり、触媒や電極などとして使用することができる新規な細孔形状、新規なサイズを有するシート状白金ナノ粒子及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者らは、以上、従来技術について紹介、列挙したナノチューブに関する多岐にわたる研究報告、先行技術を念頭に置きつつ、これに対して、複合界面活性剤系を基礎とする鋳型合成法により、既往とは異なる新規な細孔形状、新規なサイズを有する白金ナノ粒子を創出すべく、用いる金属源と還元剤の種類ならびに反応条件についてさらに鋭意研究を進めた結果、屈曲した不飽和アルキル基を疎水部、サイズの比較的大きいポリエチレンオキシド鎖を親水部とし、これらがエステル結合で結ばれた非イオン界面活性剤であるポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等のポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステルの一種類、若しくはもう一種の非イオン界面活性剤を加えた合計二種類の非イオン界面活性剤を水と混和してできる分子組織に予め加えられた塩化白金酸アルカリ金属塩を水素化ホウ素塩等の還元剤水溶液で還元する反応により白金を骨格とする厚さ2~25nm、外径30~600nmの単結晶質シートで、直径1~3.5nmの六角形若しくは円形、又は幅1~3.5nm、長さ5~10nmの楕円形若しくは長方形の凹面状ナノホールが、4~5nmのほぼ等間隔又は1~4nmの不等間隔で配列した構造を有することを特徴とするシート状白金ナノ粒子が成長することを究明した。
【0011】
すなわち、第1の発明は、(1)貴金属元素である白金(Pt)よってその骨格が構成され、かつ厚さ2~25nm、外径30~600nmの単結晶質シート状粒子であって、直径1~3.5nmの六角形若しくは円形、又は幅1~3.5nm、長さ3.5~10nmの楕円形若しくは長方形の凹面状ナノホールが、4~5nmのほぼ等間隔又は1~5nmの不等間隔で配列した構造を有することを特徴とするシート状白金ナノ粒子である。
【0012】
以下(2)ないし(3)に記載する金属ナノ粒子は、(1)記載の白金ナノ粒子を基本構造として、これより派生したものといえる。
すなわち、第2の発明は、(2)貴金属元素である白金(Pt)と、貴金属元素である金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)よりなる群から選択された一種以上の元素を任意の割合で混和した組織によってその骨格が構成され、かつ厚さ2~25nm、外径30~600nmの単結晶質シート状粒子であって、直径1~3.5nmの六角形若しくは円形、又は幅1~3.5nm、長さ3.5~10nmの楕円形若しくは長方形の凹面状ナノホールが、4~5nmのほぼ等間隔又は1~5nmの不等間隔で配列した構造を有することを特徴とするシート状貴金属ナノ粒子である。
【0013】
また、第3の発明は、(3)貴金属元素である白金(Pt)と、ニッケル(Ni)等の卑金属元素群から選択された一種以上の元素を任意の割合で混和した組織によってその骨格が構成され、かつ厚さ2~25nm、外径30~600nmの単結晶質シート状粒子であって、直径1~3.5nmの六角形若しくは円形、又は幅1~3.5nm、長さ3.5~10nmの楕円形若しくは長方形の凹面状ナノホールが、4~5nmのほぼ等間隔又は1~5nmの不等間隔で配列した構造を有することを特徴とするシート状貴金属ナノ粒子である。
【0014】
以下、第4ないし第6の発明は、前記第1ないし第3の発明の希土類酸化物の製造方法を提示するものである。
すなわち、第4の発明は、(4)ヘキサクロロ白金酸塩等の白金錯化合物よりなる群から選択された一種類の白金錯化合物、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等のポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステルよりなる群から選択された一種類の非イオン界面活性剤、若しくはポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等のポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステルよりなる群から選択された一種類の非イオン界面活性剤とノナエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類よりなる群から選択された一種類の非イオン界面活性剤の合わせて二種類の界面活性剤、並びに水からなる反応混合物を調製し、次いでこの反応混合物に水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤水溶液を添加して反応させることにより、前記第1の発明のシート状白金ナノ粒子を製造することを特徴とするシート状白金ナノ粒子の製造方法である。
【0015】
第5の発明は、(5)ヘキサクロロ白金酸塩等の白金錯化合物よりなる群から選択された一種類の白金錯化合物と、金(Au)、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)の硝酸塩、塩化物、塩化金属酸等よりなる群から選択された一種以上の貴金属塩若しくは貴金属錯化合物、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等のポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステルよりなる群から選択された一種類の非イオン界面活性剤、若しくはポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等のポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステルよりなる群から選択された一種類の非イオン界面活性剤とノナエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類よりなる群から選択された一種類の非イオン界面活性剤の合わせて二種類の界面活性剤、並びに水からなる反応混合物を調製し、次いでこの反応混合物に水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤水溶液を添加して反応させることにより、前記第2の発明のシート状貴金属ナノ粒子を製造することを特徴とする貴金属ナノ粒子の製造方法である。
【0016】
第6の発明は、(6)ヘキサクロロ白金酸塩等の白金錯化合物よりなる群から選択された一種類の白金錯化合物と、ニッケル(Ni)等の卑金属元素の硝酸塩、塩化物等よりなる群から選択された一種以上の卑金属塩、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等のポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステルよりなる群から選択された一種類の非イオン界面活性剤、若しくはポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等のポリオキシエチレンソルビタン不飽和脂肪酸エステルよりなる群から選択された一種類の非イオン界面活性剤とノナエチレングリコールモノヘキサデシルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類よりなる群から選択された一種類の非イオン界面活性剤の合わせて二種類の界面活性剤、並びに水からなる反応混合物を調製し、次いでこの反応混合物に水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤水溶液を添加して反応させることにより、前記第3の発明のシート状貴金属ナノ粒子を製造することを特徴とする貴金属ナノ粒子の製造方法である。
【0017】
また、以下の(7)~(8)のような第1から第3の発明の貴金属ナノ粒子の用途発明を提示するものである。
すなわち、(7)前記(1)~(3)に記載する貴金属ナノ粒子を何れか一種又は2種以上を含んでなり、その物性に基づいた用途に使用することを特徴とする機能性材料。
(8)その用途が専ら燃料電池用、自動車排ガス用等の触媒として供され、使用されることを特徴とする前記(7)の機能性材料。
(9)その用途が専ら電気分解用等の電極として供され、使用されることを特徴とする前記(7)の機能性材料。
(10)その用途が専ら温度、圧力、湿度、結露、流量、風速、光、ガス、酸素濃度、または変位を検出あるいは測定するセンサとして供され、使用されることを特徴とする前記(7)の機能性材料。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、その貴金属ナノ粒子が前述のような組成と構造になっているため、次のような効果が期待できる。
1)白金または白金を主成分とし、ナノホールを有するシート状白金ナノ粒子を水素と酸素を反応させて電気エネルギーを取り出す燃料電池用触媒として用いた場合、微細な単結晶質骨格とナノホールに基づくナノ構造効果とが相乗的に作用して、従来の材料に比べて格段に高い触媒効果が発揮し得られ、必要な触媒量の大幅な低減をもたらすことが期待できる。
2)これを自動車排ガス浄化、石油化学、合成ガス製造、医薬・油脂製造等における触媒として用いた場合、前項と同じ理由により触媒効率が格段に上がり、環境の一層の改善、生産プロセスの省エネルギー化等の顕著な効果が期待される。
3)これを電気分解用等の電極として用いた場合、従来の材料に比べて電極表面積の大幅な増大により反応効率の飛躍的な上昇をもたらすことが期待される。
4)これを温度、圧力、湿度、結露、流量、風速、光、ガス、酸素濃度、または変位を検出あるいは測定するセンサとして用いた場合、検出精度・感度が格段に向上し、素子の小型化・高性能化が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
この出願の発明は、以上の特徴を持つものであるが、以下実施例を添付した図面に基づき、具体的に説明する。ただし、これらの実施例は、あくまでも本発明の一つの態様を開示するものであり、決して本発明を限定する趣旨ではない。すなわち、本発明のねらいとするところは白金又は白金を主成分とする2種以上の金属元素を主要成分として組織されたナノホールを有する単結晶質のシート状金属ナノ粒子を提供するところにあることは、前述したとおりである。その含有成分と構造は、白金を含む一種以上の貴金属元素、又は白金を主成分とし卑金属元素を副成分とする骨格から成る特定寸法のスポンジ状ナノ粒子であり、その構成する成分は、主要成分、副成分自体に関しても、組成的に多様な組み合わせを許容するものである。
また、製造方法の骨子は、屈曲した不飽和アルキル基を疎水部、サイズの比較的大きいポリエチレンオキシド鎖を親水部とし、これらがエステル結合で結ばれた非イオン界面活性剤の一種類、若しくはもう一種の非イオン界面活性剤を加えた合計二種類の非イオン界面活性剤と金属塩の水溶液とを適切な条件で混合することによって得られる構造を鋳型として白金錯塩又は白金錯塩を主成分とする2種以上の金属塩を還元することによってナノホールを有する特定寸法のシート状ナノ粒子を誘導するというものであり、鋳型を構築するための最適温度や混合条件も対象とする金属種や用いる界面活性剤の特性によって多様に変化する。対して、実施例は、本発明に対して、あくまでもその一態様例を示すものにすぎず、本発明を構成する金属種や製造方法もこの実施例によって限定されるべきではない。
【0020】
図1(A)~(D)及び図2(A)~(C)は、本発明のナノホールを有するシート状白金ナノ粒子の透過形電子顕微鏡による観察写真であり、これによると、本発明の金属組織は単結晶質で六角形、円形、楕円形、あるいは長方形の凹面状ナノホールがほぼ等間隔あるいは不等間隔で配列した構造を呈していることが観察される。
【実施例1】
【0021】
試験管に秤り取った塩化白金酸(HPtCl)及びその2倍モル量の水酸化ナトリウムを含む水溶液を60℃に昇温した。ついでポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレート(Tween80;米国 Atlas
Powder社 商品名)を加えて60℃の湯浴で10分間振とうした後、15℃に冷却した。
15℃でさらに20分間放置し、仕込みモル比NaPtCl
Tween80:H0=1:1:60の混合物を調製した。ついで、同温度に保持したこの混合物に塩化白金酸ナトリウムの5倍モル量の水素化ホウ素ナトリウム及び20倍モル量の水からなる溶液を加え、そのまま24時間反応させた。析出した微細な固相を遠心分離後、水洗、次いでエタノール洗浄し、乾燥して黒色粉末を得た。
塩化白金酸HPtClを金属源として同様な手順で調製した仕込みモル比NaPtCl
Tween80:H0=1:1:60(x=1.0)の反応前駆体は、d=7.65nmのX線回折ピークを与える液晶であり、a=8.83nmの規則的なヘキサゴナル構造をとっていることがわかる〔図3(A)〕。
透過型電子顕微鏡による観察により、この規則構造をもつ液晶に上記の水素化ホウ素ナトリウム水溶液を加えて得られた粉末試料は、その主生成物が厚さ2~25nm、外径30~600nmの単結晶質シートで、直径1~3.5nmの六角形若しくは円形、又は幅1~3.5nm、長さ3.5~10nmの楕円形若しくは長方形の凹面状ナノホールが1~5nmの不等間隔で配列した構造をもつ白金ナノ粒子であることを確認した〔図1(A)~(C)〕。(A)からシート状形態が確認できる。(A)の一部を拡大した(B)において、白い斑点状の部分がシート面が窪み、電子密度の低くなった凹面状ナノホールを示している。(B)の下の図は、ナノホールのサイズの分布を示すヒストグラムで、直径が1nm~3.2nmの範囲に分布し、平均サイズは1.8nmであることがわかる。さらに、(B)の拡大像である(C)より、各シート状粒子は、広い範囲にわたり矢印方向に沿って幅0.22nm(白金結晶の〈111〉面の面間隔に相当)の連続した格子縞が観察され、シートが単結晶であること、ならびに白金結晶の〈111〉面がこの方向を向いていることがわかる。これにより、本発明に係るナノホールを有する単結晶質シート状白金ナノ粒子が得られたことが確認された。
このナノホールの形成は、ヘキサゴナル液晶の円筒ミセル間隙で生成した白金ナノシート上の(110)面上のPtサイトに、Tween80の加水分解により生成したオレイン酸分子が束状のクラスターとして吸着してマスク剤となり、非マスク部分が引き続き成長厚化したためであると推定される。そして、このようなマスク結晶化が逐次的に進行すると、ホールのサイズと分布は図1のように不均一化することが考えられる。
また、生成物とカーボン粉末を混合しCV測定を行ったところ、酸素還元反応に対して高い触媒活性を示すことがわかった。
【実施例2】
【0022】
試験管に秤り取った塩化白金酸(HPtCl)及びその2倍モル量の水酸化ナトリウムを含む水溶液にノナエチレングリコールモノデシルエーテル(C1EO)を滴下し、60℃に昇温した。ついでポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレート(Tween80;米国 Atlas
Powder社 商品名)を加えて60℃の湯浴で10分間振とうした後、15℃に冷却した。
15℃でさらに20分間放置し、仕込みモル比NaPtCl:C1EO:Tween80:H0=1:1:1:60の混合物を調製した。次いで、同温度に保持したこの混合物に塩化白金酸ナトリウムの5倍モル量の水素化ホウ素ナトリウム及び20倍モル量の水から成る溶液を加え、そのまま24時間反応させた。析出した微細な固相を遠心分離後、水洗、ついでエタノール洗浄し、乾燥して黒色粉末を得た。
塩化白金酸HPtClを金属源として同様な手順で調製した仕込みモル比NaPtCl:C1EO:Tween80:H0=1:1:1:60(x=1.0) の反応前駆体は、d=6.32nmの明瞭なX線回折ピークを与え、a=7.3nmの規則性の高いヘキサゴナル構造体であることが確認された〔図3(B)〕。
透過型電子顕微鏡による観察により、この規則構造をもつ液晶に上記の水素化ホウ素ナトリウム水溶液を加えて得られた粉末試料は、透過型電子顕微鏡による観察により、実施例1の場合と同様に、直径1~3.5nmの六角形若しくは円形、又は幅1~3.5nm、長さ3.5~10nmの楕円形若しくは長方形の凹面状ナノホールが、4~5nmのほぼ等間隔で六方状に配列するか、又は1~5nmの不等間隔で配列した構造をもつ、外径300nm超のシート状白金ナノ粒子が生成していることが確認された〔図2(A)~(C)〕。また、(A)の矢印方向に沿って幅0.2nmの連続した格子縞が認められ、粒子全体が一つの単結晶体で構成されていることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の白金ナノ粒子の透過型電子顕微鏡による観察図。(A)は実施例1で得られた白金ナノ粒子の透過型電子顕微鏡による観察図。(B)は同じく実施例1で得られた白金ナノ粒子の透過型電子顕微鏡で、(A)の一部を拡大した像。(B)の下の図は、ナノホールのサイズの分布を示すヒストグラム。(C)は、同じく実施例1で得られた白金ナノ粒子の高分解能透過型電子顕微鏡で、(B)の拡大像。(D)は、像(C)に現れた格子縞のフーリエパターンで、向かい合う1対の明るいスポットは、格子が一定方位を向いていることを示している。
【図2】本発明の白金ナノ粒子の透過型電子顕微鏡による観察図。(A)は実施例2で得られた白金ナノ粒子の高分解能透過型電子顕微鏡による観察図。(C)は、実施例2で得られた白金ナノ粒子の高分解能透過型電子顕微鏡による観察図で、(A)の拡大像。(B)は、像(A)に現れた格子縞のフーリエパターン。
【図3】(A)は実施例1記載の、仕込みモル比HPtCl:Tween80:H20=1:1:60(x=1.0)の反応前駆体を含む液晶状混合物のX線回折図形。(B)は実施例2記載の、仕込みモル比NaPtCl:C1EO:Tween80:H0=1:1:1:60(x=1.0)の反応前駆体を含む液晶状混合物のX線回折図形。
図面
【図3】
0
【図1】
1
【図2】
2