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明細書 :足握力測定装置およびこの装置を利用した転倒度表示機能付き体重計または身長計

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4665118号 (P4665118)
登録日 平成23年1月21日(2011.1.21)
発行日 平成23年4月6日(2011.4.6)
発明の名称または考案の名称 足握力測定装置およびこの装置を利用した転倒度表示機能付き体重計または身長計
国際特許分類 A61B   5/22        (2006.01)
A61B   5/107       (2006.01)
FI A61B 5/22 G
A61B 5/10 300F
請求項の数または発明の数 7
全頁数 21
出願番号 特願2006-544969 (P2006-544969)
出願日 平成17年11月11日(2005.11.11)
国際出願番号 PCT/JP2005/020703
国際公開番号 WO2006/054490
国際公開日 平成18年5月26日(2006.5.26)
優先権出願番号 2004336174
優先日 平成16年11月19日(2004.11.19)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成20年11月6日(2008.11.6)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000057
【氏名又は名称】学校法人日本大学
発明者または考案者 【氏名】青木 和夫
【氏名】堀内 邦雄
【氏名】半田 幸子
個別代理人の代理人 【識別番号】100090044、【弁理士】、【氏名又は名称】大滝 均
審査官 【審査官】上田 正樹
参考文献・文献 特開2005-013483(JP,A)
特開2003-175021(JP,A)
特開2002-360550(JP,A)
実開平06-010826(JP,U)
調査した分野 A61B 5/22
A61B 5/107
特許請求の範囲 【請求項1】
足趾が足載せ台上の所定の場所に位置するように足の位置決めをする足位置決め装置と、前記足位置決め装置により足の位置決めをした後、足の移動を規制し足趾がフリーとなるように足を前記足載せ台に固定する足位置固定装置と、前記足位置固定装置により固定された状態における足趾の押圧力を検出する足趾押圧力検出装置と、前記足趾押圧力検出装置により検出された前記押圧力を表示する測定数値表示装置からなり、
前記足位置決め装置は、前記足載せ台から立設され足趾の第1趾と第2趾との付け根に当接させて足の位置決めをさせる棒状の立設棒からなり、前記足位置固定装置は、前記足載せ台から突設され足首近傍の足の甲を捲回して固定する折り曲げ自在のベルトからなり、
前記足趾押圧力検出装置は、前記足載せ台上の足趾が当接する位置に前記足載せ台と略同一レベルで設置される全方向に僅かに移動可能な押圧力受け板と、前記押圧力受け板を下方から一定の抵抗力をもって支持する押圧力受け板支持台と、前記押圧力受け板支持台を垂直方向のみ移動を許容する移動方向規制装置と、前記押圧力受け板支持台に一定の抵抗力を付与する抵抗力付与装置と、前記押圧力受け板支持台の移動変位から足趾の押圧力を検出する押圧力検出装置からなる足握力測定装置。
【請求項2】
前記移動方向規制装置は、前記足載せ台に垂直に固着される第1の垂直部材と、その上端が前記押圧力受け板支持台に連接される第2の垂直部材と、第1の垂直部材の上端と第2の垂直部材の中間域をピン接合で連接する第1の水平部材と、第1の垂直部材の下端と第2の垂直部材の下端をピン接合で連接する第2の水平部材と、からなっていて、前記第1の垂直部材、前記第2の垂直部材、前記第1の水平部材および前記第2の水平部材が相互に接合されるピン接合点を結んでできる四辺形は平行四辺形である4リンク構造からなり、
前記抵抗力付与装置は、固定端である一端が前記第1の垂直部材に固定され自由端である他端が前記押圧力受け板支持台に当接する弾性材の片持ち梁からなり、
前記押圧力検出装置は、前記片持ち梁の固定端近傍に配設されて前記押圧力受け板支持台の移動に伴う前記片持ち梁の歪を検出する歪検出センサーからなる請求項に記載の足握力測定装置。
【請求項3】
前記立設棒は、前記足載せ台に載置される足載置板を貫通して前記立設棒の長さ方向の中心部が前記足載置板に固着され、
前記押圧力受け板は、前記足載置板に穿設された押圧力受け板貫通孔に全方向に僅かに移動可能な状態に繋着されて前記足載置板と一体となり、
前記足載置板の一方の面は右足用として使用され他方の面は左足用として使用される請求項または請求項に記載の足握力測定装置。
【請求項4】
被測定者の身長または体重を計測する測定装置と、
前記測定装置で測定された身長または体重の数値データ(x)が入力される入力部と、
前記入力部に入力された前記数値データ(x)と請求項ないし請求項のいずれかに記載の足握力測定装置で計測された数値データ(y)とから転倒危険度数(E)を演算する演算部と、
前記演算部により演算した前記転倒危険度数(E)を表示する表示部と、からなる転倒度表示機能付き体重計または身長計。
【請求項5】
前記転倒危険度数(E)は下記式(1)で表される請求項に記載の転倒度表示機能付き体重計または身長計。
E=y/(ax+b)(a、bは定数)——(1)
【請求項6】
前記式(1)におけるE=1のときの下記式(2)は、前記数値データ(x)をX座標とし前記数値データ(y)をY座標としたグラフ上に母数nからなるサンプリング調査の前記数値データ((x,y)、(x,y)、・・・、(x,y))をプロットしたときの直線回帰線であることを特徴とする請求項に記載の転倒度表示機能付き体重計または身長計。
y=ax+b(a、bは定数)——————(2)
【請求項7】
少なくとも被測定者のつま先部分に配置してつま先の圧力を検出するつま先センサを配置したことを特徴とする前記請求項ないしのいずれかに記載の転倒度表示機能付き体重計または身長計。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本願発明は、足趾の屈曲筋の筋力を計測し数値をもって表示する足握力測定装置およびこの装置を利用した被測定者の転倒危険度数を表示する転倒度表示機能付き体重計または身長計に関する。
【背景技術】
【0002】
高齢者が寝たきりとなる一因として転倒が挙げられることもあって、高齢者の転倒対策は注目すべき課題である。高齢者の転倒は、つまずきや滑りなどの偶発的な要因とともに、ひとたび姿勢が乱れると、立ち直るための平衡調整能力や防御反応が適切に発揮されずに発生することが多く、転倒防止のためには、下肢の運動機能や姿勢調整能力の維持・向上を図ることが重要な課題とされている。足趾の屈曲筋の筋力の強化により、下肢の運動機能や姿勢調整能力の維持・向上を図ることができるとの報告もされているが、実際には、足趾の屈曲筋と下肢の運動機能や姿勢調整能力との相関関係については、データ不足もあって未解明な部分が多い。
【0003】
本願発明者は、足趾の屈曲筋がどのように下肢の運動機能や姿勢調整能力に関わっているかを研究しており、足趾の屈曲筋のデータ収集は必要不可欠の要素である。そのため、足握力測定装置を必要としたが、適当な足握力測定装置が市販されておらず、使い勝手の良い足握力測定装置を開発することとした。
また、この装置を利用して被測定者の転倒危険度数を表示する転倒度表示機能付き体重計または身長計を開発することとした。
【0004】
足握力測定装置に関する先行技術としては、特開2002-360550号公報に開示の発明がある。図14は特開2002-360550号公報に開示された足握力測定装置であり、図14に基づいてこの開示された技術の概略を説明する。
【0005】
足握力測定装置100は、台座部材110と測定手段120と足移動規制手段130からなっていて、足の甲から脛までの部位の少なくとも一部に当接する足移動規制手段130により足の前方への移動を規制し、足趾の少なくとも一本で把持しうる把持部材121が足趾で把持された際に、把持部材121が足の後方に引っ張られる(pull)力を測定する測定手段120を有している。そして、この足移動規制手段130は柱部材131と締結ベルト132、132から構成されている。
【0006】
また、把持部材121にはバネ部材122が連接されていて、側面視がバネ部材122方向に凸のかまぼこ状の棒状体である把持部材121のアールが形成された面を足趾で把持し、足趾で把持部材121を踵方向に引き寄せると、バネ部材122を介してロードセル123に荷重がかかるので、この荷重の数値が測定表示装置124に表示される。
【特許文献1】
特開2002-360550号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特開2002-360550号公報に記載の足握力測定装置100はいわばプル(pull)型の足握力測定装置であり、このタイプの足握力測定装置は操作が簡単で、足の握力を定量的に測定できるが、把持部材の形状から5本の足趾で把持することは困難であり、把持部材を把持するという動作は難しく、ある程度の慣れや練習が必要となる一方、測定を同一人に繰り返すことにより足趾が痛くなり正確な足の握力を測りにくいという課題があった。
【0008】
そこで、本願発明は、従来のプル型の足握力測定装置の「操作が簡単で、足の握力を定量的に測定できる」というメリットを有し、測定に際しては慣れが不要で簡便に測定できる足握力測定装置を提供することを目的とする。
【0009】
さらに、本願発明者は、上記目的を達成するために、多数の被験者の足趾把握筋力、種々の身体的な既知のデータを収集し分析した結果、被測定者の転倒し易さ、転倒し難さには、足趾把握筋力と身長、あるいは足趾把握筋力と体重に密接に相関するという知見に基づいて、本願発明に係る転倒度表示機能付き体重計または身長計を案出するに至った。
【0010】
本願発明は、この知見に基づいて、本願発明に係る足握力測定装置により計測したデータと被測定者の身体的なデータ、たとえば、年齢、性別、身長、体重などに基づき、被測定者の転倒の危険度を判定する転倒度表示機能付き体重計または身長計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本願請求項の発明に係る足握力測定装置は、足趾が足載せ台上の所定の場所に位置するように足の位置決めをする足位置決め装置と、前記足位置決め装置により足の位置決めをした後、足の移動を規制し足趾がフリーとなるように足を前記足載せ台に固定する足位置固定装置と、前記足位置固定装置により固定された状態における足趾の押圧力を検出する足趾押圧力検出装置と、前記足趾押圧力検出装置により検出された前記押圧力を表示する測定数値表示装置からなり、前記足位置決め装置は、前記足載せ台から立設され足趾の第1趾と第2趾との付け根に当接させて足の位置決めをさせる棒状の立設棒からなり、前記足位置固定装置は、前記足載せ台から突設され足首近傍の足の甲を捲回して固定する折り曲げ自在のベルトからなり、前記足趾押圧力検出装置は、前記足載せ台上の足趾が当接する位置に前記足載せ台と略同一レベルで設置される全方向に僅かに移動可能な押圧力受け板と、前記押圧力受け板を下方から一定の抵抗力をもって支持する押圧力受け板支持台と、前記押圧力受け板支持台を垂直方向のみ移動を許容する移動方向規制装置と、前記押圧力受け板支持台に一定の抵抗力を付与する抵抗力付与装置と、前記押圧力受け板支持台の移動変位から足趾の押圧力を検出する押圧力検出装置から構成されている。
また、本願請求項の発明に係る足握力測定装置は、請求項に記載の足握力測定装置において、前記移動方向規制装置は、前記足載せ台に垂直に固着される第1の垂直部材と、その上端が前記押圧力受け板支持台に連接される第2の垂直部材と、第1の垂直部材の上端と第2の垂直部材の中間域をピン接合で連接する第1の水平部材と、第1の垂直部材の下端と第2の垂直部材の下端をピン接合で連接する第2の水平部材と、からなっていて、前記第1の垂直部材、前記第2の垂直部材、前記第1の水平部材および前記第2の水平部材が相互に接合されるピン接合点を結んでできる四辺形は平行四辺形である4リンク構造からなり、前記抵抗力付与装置は、固定端である一端が前記第1の垂直部材に固定され自由端である他端が前記押圧力受け板支持台に当接する弾性材の片持ち梁からなり、前記押圧力検出装置は、前記片持ち梁の固定端近傍に配設されて前記押圧力受け板支持台の移動に伴う前記片持ち梁の歪を検出する歪検出センサーから構成されている。
そして、本願請求項の発明に係る足握力測定装置は、請求項または請求項に記載の足握力測定装置において、前記立設棒は、前記足載せ台に載置される足載置板を貫通して前記立設棒の長さ方向の中心部が前記足載置板に固着され、前記押圧力受け板は、前記足載置板に穿設された押圧力受け板貫通孔に全方向に僅かに移動可能な状態に繋着されて前記足載置板と一体となり、前記足載置板の一方の面は右足用として使用され他方の面は左足用として使用される構成としている。
さらに、本願請求項の発明に係る転倒度表示機能付き体重計または身長計は、被測定者の身長または体重を計測する測定装置と、前記測定装置で測定された身長または体重の数値データ(x)が入力される入力部と、前記入力部に入力された前記数値データ(x)と請求項ないし請求項のいずれかに記載の足握力測定装置で計測された数値データ(y)とから転倒危険度数(E)を演算する演算部と、前記演算部により演算した前記転倒危険度数(E)を表示する表示部と、からなることを特徴とする。
また、本願請求項の発明に係る転倒度表示機能付き体重計または身長計は、請求項に記載の転倒度表示機能付き体重計または身長計であって、前記転倒危険度数(E)は下記式(1)で表されることを特徴とする。
E=y/(ax+b)(a、bは定数)——(1)
そして、本願請求項の発明に係る転倒度表示機能付き体重計または身長計は、請求項に記載の転倒度表示機能付き体重計または身長計であって、前記式(1)におけるE=1のときの下記式(2)は、前記数値データ(x)をX座標とし前記数値データ(y)をY座標としたグラフ上に母数nからなるサンプリング調査の前記数値データ((x,y)、(x,y)、・・・、(x,y))をプロットしたときの直線回帰線であることを特徴とする。,
y=ax+b(a、bは定数)——————(2)
さらに、本願請求項に係る発明は、請求項ないしのいずれかに記載の転倒度表示機能付き体重計または身長計において、少なくとも被測定者のつま先部分に配置してつま先の圧力を検出するつま先センサを配置したことを特徴とする。
【0012】
以上のように本願請求項に係る発明によれば、足位置固定装置により固定された状態において足趾の押圧力を検出することとしていることから、本願発明に係る足握力測定装置はいわばプッシュ(push)型の足握力測定装置である。このため、測定に際しては、単に足趾で押圧するだけで把持する動作が不要なため、あらゆる年齢の者に対しても足趾握力の測定が可能である。
この場合、本願発明に係る足握力測定装置と従来のプル型の足握力測定装置との測定数値の相関関係が問題となる。そこで、本願発明者はプル型の足握力測定装置が市販されていないため、手の握力計を改良したプル型の足握力測定装置を試作して、本願発明に係るプッシュ型の足握力測定装置との比較試験をおこなった。そして、この比較試験の結果、プル型の足握力測定装置の測定数値と本願発明に係るプッシュ型の足握力測定装置の測定数値との間には高い相関関係が示され、本願発明に係るプッシュ型の足握力測定装置は実用に適するものであることが確認された。この比較試験については後述する。
【0013】
本願請求項に係る発明によれば、足位置決め装置は、足趾の第1趾と第2趾との付け根に当接させる棒状の立設棒からなっていて、きわめて簡単な構造であるが正確に足の位置を決めることができる。
また、足位置固定装置は、足首近傍の足の甲を捲回して固定する折り曲げ自在のベルトにより確りと足載せ台上に固定される一方、足趾の動きはフリーとなる。
そして、足趾押圧力検出装置は、全方向、すなわち垂直水平方向に僅かに移動可能な押圧力受け板と、押圧力受け板を下方向から一定の抵抗力をもって支持する押圧力受け板支持台と、押圧力受け板支持台を垂直方向のみ移動を許容する移動方向規制装置と、押圧力受け板支持台に一定の抵抗力を付与する抵抗力付与装置と、押圧力受け板支持台の移動変位から足趾の下方向への押圧力を検出する押圧力検出装置からなっている。このため、押圧力受け板は足趾が押圧する際の力をそのまま押圧力受け板支持台に伝達する。伝達された足趾の押圧力は垂直方向(V方向)の力と水平方向(H方向)の力から構成されていて、足趾の押圧力を正確に測定するためにはV方向の力のみを測定する必要があるが、移動方向規制装置によりV方向の力のみを抽出することが可能になる。そして、抽出されたV方向の力のみによって押圧力受け板支持台が押下され、その押下された移動量を測定することにより足趾の把握筋力を正確に測定することができる。
【0014】
そして、本願請求項に係る発明によれば、移動方向規制装置は、4リンク構造に拠っている。このため、第1の垂直部材と第2の垂直部材は常に平行となり、第1の垂直部材は足載せ台に垂直に固着されているため第2の垂直部材は常に垂直方向にのみ移動し、第2の垂直部材の上端に連接された押圧力受け板支持台も常に垂直方向にのみ移動する。また、抵抗力付与装置は、弾性材の片持ち梁から構成されている。この片持ち梁の自由端を押下しようとすると、押下に対しては片持ち梁のヤング係数や断面2次モーメントから決定される所定の抵抗力が働くことになる。
【0015】
さらに、本願請求項に係る発明では、押圧力検出装置は、片持ち梁の固定端近傍に配設される歪検出センサーからなる構成としている。この歪検出センサーは歪ゲージを使用していて、電気抵抗の変化から片持ち梁の歪を測定し、その歪により片持ち梁に作用する力を検出することによって、押圧力受け板に作用する足趾の垂直方向(V方向)の押圧力を測定するものである。
【0016】
なお、本願請求項1ないし本願請求項に係る発明において、移動方向規制装置を押圧力受け板支持台の一端または両端を支持するボールスライドとし、抵抗力付与装置を押圧力受け板支持台の中心部を支持する圧縮バネからなる構成としてもよい。この場合であっても、押圧力受け板支持台は常に垂直方向にのみ移動し、押圧力受け板支持台の下方向の移動に対しては圧縮バネのバネ常数による所定の抵抗力が働くことになる。
【0017】
また、本願請求項1ないし本願請求項に係る発明において、押圧力検出装置を押圧力受け板支持台の直下に配設された押圧力受け板支持台の移動量を測定する移動変位センサーからなる構成としてもよい。この場合に、移動量測定センサーには、ロードセル、渦電流式変位センサーおよびレーザ変位センサーが使われる。押圧力受け板支持台の移動量は、片持ち梁の固定端の撓み量であり、あるいは、圧縮バネの縮み量であるから、片持ち梁の固定端の撓み量、あるいは、圧縮バネの縮み量が判れば、片持ち梁のヤング係数および断面2次モーメント、あるいは、圧縮バネのバネ常数から押圧力受け板に作用する足趾のV方向の押圧力が測定できる。
【0018】
そして、本願請求項に係る発明によれば、足載置板、押圧力受け板および立設棒が一体となっていて、たとえば、右足の足趾の把握筋力を測定するときには足載置板の表面を表に向けて足載せ台上に載置し、左足の足趾の把握筋力を測定するときには足載置板の裏面を表に向けて足載せ台上に載置することができる。このため、一つの足握力測定装置で右足の足趾の把握筋力も左足の足趾の把握筋力も測定することができる。
【0019】
さらに、本願請求項ないし本願請求項に係る発明の転倒度表示機能付き体重計または身長計によれば、被測定者の身長または体重を測定する測定装置と、前記本願請求項1ないし請求項のいずれかに記載の足握力測定装置と、入力部と、演算部と、表示部と、からなる構成としていて、被測定者が計器に乗って身長または体重をはかることにより、被測定者の身長あるいは体重のデータが入力されて、転倒危険度数が数値でもって表示されるから、具体的に転倒のし易さや転倒のし難さの程度を知ることができる。
【0020】
ここで、転倒危険度数Eとは、被測定者の身体的な既知の数値データをxとし、本願発明に係る足握力測定装置で測定した足趾把握筋力をyとしたときの転倒危険度数Eは、E=y/(ax+b)で表される数値をいう。すなわち、X軸を被測定者の身体的な既知の数値データとしY軸を足握力測定装置で測定した足趾把握筋力としたグラフ上に、(x,y)をプロットしたときに、前記の式(2)(y=ax+b)で示されるグラフ上の直線よりも下に位置するとき(E<1.0のとき)は、「転倒し易い」と判断され、前記の式(2)(y=ax+b)で示されるグラフ上の直線よりも上に位置するとき(E≧1.0のとき)は、「転倒し難い」と判断される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1(a)は、実施例1に係る足握力測定装置の平面図、図1(b)は実施例1に係る足握力測定装置の側面図である。り、また、図4は、実施例1に係る足握力測定装置の分解組立図であり、本実施例に係る足握力測定装置の平面図、図1(b)は本実施例に係る足握力測定装置の側面図である。
【図2】図2(a)は、図1のI-I矢視図、図2(b)は図1のII-II矢視図である。
【図3】図3は、図1のIII-III矢視における部分拡大図である。
【図4】図4は、実施例1に係る足握力測定装置の分解組立図である。
【図5】図5は、実施例1に係る足握力測定装置の足趾押圧力検出装置の模式図である。
【図6】図6は、プル型足握力測定装置による測定値と本願発明に係る足握力測定装置1による測定値の比較グラフである。
【図7】図7は、実施例2に係る足握力測定装置の足趾押圧力検出装置の模式図である。
【図8】図8は、身長-足趾把握筋力グラフである。
【図9】図9は、体重-足趾把握筋力グラフである。
【図10】図10は、本願実施例3として上記請求項1ないしに係る足握力測定装置1を体重計に組み込んだ転倒度表示機能付き体重計の概略を示すものである。
【図11】図11は、本願実施例4として上記請求項1ないしに係る足握力測定装置1を身長計に組み込んだ転倒度表示機能付き身長計の概略を示すものである。
【図12】図12は、身長計測時に前記スケールを延ばして手近の柱等にピン(図示外)で止めた状態を示す図である。
【図13】図13は、転倒度表示機能付き体重計における転倒危険度数算出フローチャートである。
【図14】図14は、特開2002-360550号公報に開示された足握力測定装置である。
【符号の説明】
【0022】
1 足握力測定装置
2 転倒度表示機能付き体重計
20 足載せ台
22 容器
24 蓋体
30 位置決めピン
40 足位置決め装置
42 足載置板
44 立設棒
47 位置決め孔
48 連結布
60 足位置固定装置
62 ベルト
80 実施例1に係る足趾押圧力検出装置
82 押圧力受け板
83 押圧力受け板支持台
84 片持ち梁
85 4リンク構造
86 歪ゲージ
90 実施例2に係る足趾押圧力検出装置
92 圧縮バネ
93 ボールスライド
94 レーザ変位センサー
98 測定数値表示装置
102 入力部
104 表示部
300 体重計
302 入力部
303 表示部
362 ベルト
363、364 ファスナー
400 身長計
402 巻き尺式スケール
403、404 表示部
409 頭頂部
410 柱
462 ベルト
463、464 ファスナー
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本願発明を実施するための最良の形態に係る実施例1ないし実施例3について説明する。
【0024】
最初に実施例1および実施例2について説明する。実施例1および実施例2は、外観上、まったく同じ構成となっていて、実施例1および実施例2の相違は、足載せ台内部に収納される足趾押圧力検出装置の相違である。このため、実施例1について詳しく説明し、実施例2については、実施例1と相違する部分についてのみ説明する。また、実施例2に係る足握力測定装置の平面図、側面図および足握力測定装置の分解組立図は省略する。
【0025】
まず、実施例1について、図1ないし図5に基づいて説明する。図1(a)は、実施例1に係る足握力測定装置の平面図、図1(b)は実施例1に係る足握力測定装置の側面図であり、図2(a)は、図1のI-I矢視図、図2(b)は図1のII-II矢視図であり、図3は、図1のIII-III矢視における部分拡大図である。また、図4は、実施例1に係る足握力測定装置の分解組立図であり、図5は、実施例1に係る足握力測定装置の足趾押圧力検出装置の模式図である。
【0026】
図1ないし図4において、符号1は実施例1に係る足握力測定装置、符号20は足載せ台、符号22は容器、符号24は蓋体、符号26は窪み部、符号28は開口部、符号30は位置決めピン、符号40は足位置決め装置、符号42は足載置板、符号44は立設棒、符号46は押圧力受け板挿通孔、符号47は位置決め孔、符号48は連結布、符号50は溝、符号60は足位置固定装置、符号62はベルト、符号64はベルト固定具、符号66はベルト締付具、符号80は実施例1に係る足趾押圧力検出装置、符号82は押圧力受け板、符号83は押圧力受け板支持台、符号84は片持ち梁、符号842は固定端、符号844は自由端、符号85は4リンク構造、符号852は第1の垂直部材、符号854は第2の垂直部材、符号856は第1の水平部材、符号858は第2の水平部材、符号86は歪ゲージ、符号98は測定数値表示装置である。
【0027】
足握力測定装置1は、大きく分けると、足載せ台20と足位置決め装置40と足位置固定装置60と足趾押圧力検出装置80と測定数値表示装置98とから構成されている。ここで、足を載せた状態における足載せ台20の爪先側を足載せ台20の前部、踵側を足載せ台20の後部ということにする。
【0028】
足載せ台20は、容器22と蓋体24から構成されていて、蓋体24は平板であって容器22に螺着するようになっている。そして、容器22に蓋体24を螺着すると、長さが略330mm、幅が略200mm、高さが略50mmの直方体の筐体が形成されて、その筐体の内部には後述する足趾押圧力検出装置80の主要部分が収納されている。また、容器22に蓋体24を螺着すると、容器22の周縁部が蓋体24の表面より2mm程立上るようになっていて窪み部26が形成される。言い換えれば、窪み部26の外周縁には高さ略2mmの立上り部が形成されている。また、足を載せた状態における蓋体24の足趾部分には、爪先方向に向けて凸状で足載せ台20の前後方向の中心線に対して対称な開口部28が穿設されていて、開口部28により足載せ台20の内部と外部が連通している。
【0029】
足位置決め装置40は、足載置板42および立設棒44から構成されている。足載置板42は略2mm厚の金属製板であり、その形状は、爪先側が矩形で足首側が略台形であり、その略台形は爪先側から足首側へ向かって幅が徐々に狭くなっていて、図1においては、全体的な平面形状は右足をデフォルメ化した形状となっている。そして、足載置板42は蓋体24により形成された窪み部26に収容され、蓋体24に螺着された位置決めピン30により所定の位置に設置される。すなわち、位置決めピン30は、位置決め孔47に挿入されて足載置板42を定位置に固定する。また、足載置板42を蓋体24に固定したときには、窪み部26の外周縁に形成された立上り部と足載置板42とは面一になる。
【0030】
また、図3に示すように、足載置板42には、押圧力受け板82の形状よりも一回り大きな形状を呈する押圧力受け板挿通孔46が穿設されていて、押圧力受け板挿通孔46に押圧力受け板82が伸縮性に富んだ連結布48を介して全方向に僅かに移動可能な状態に繋着されている。この押圧力受け板82は合成樹脂製の板(実施例1においてはポリカーボネート樹脂製板)であり、足趾の第1趾から第5趾の先端が呈する形状に対応した前方に凸型の形状となっている。そして、押圧力受け板挿通孔46および押圧力受け板82間に張設される連結布48は、押圧力受け板82の周縁全域にわたって緩やかに張設されていても良いし、押圧力受け板82の周縁に所定の間隔をもって緩やかに張設されるテープ状であっても良い。
実施例1においては、連結布48が貼着される足載置板42および押圧力受け板82の小口には溝50が形成されていて、足載置板42および押圧力受け板82との間隙が狭小であっても、押圧力受け板82が全方向に対して所定の距離の移動を可能にしている。
【0031】
立設棒44は6mm径で長さが略40mmの金属製の丸棒であって、足載置板42を貫通して、その長さ方向の中心部分が足載置板42に螺接されている。そして、立設棒44は足載置板42に対して、足載置板42の前後方向の中心線から左側でかつ前寄りに位置している。これは、右足の第1趾と第2趾との付け根に立設棒44を当接させたときに、爪先から踵への右足の中心線と前記の足載置板42の前後方向の中心線とが略一致するようにするためであり、押圧力受け板82に適切に足趾が当接するように前後の位置を決めるためである。実施例1においては、足載置板42は表面および裏面ともに使用可能なリバーシブル構造となっていて、図1は右足の足趾把握筋力を測定する状態の足握力測定装置1を示しているが、足載置板42を裏返して足載せ台20の窪み部22に設置すれば、足握力測定装置1は左足の足趾把握筋力を測定する装置になる。そして、足載置板42を足載せ台20の窪み部22の定位置に設置したときには、緩やかに張設されている連結布48により、押圧力受け板82は後述する押圧力受け板支持台83に密着する。
【0032】
足位置固定装置60は、ベルト62とベルト固定具64とベルト締付具66から構成されている。そして、ベルト62は幅が略30mmの布製のベルトであり、ベルト固定具64およびベルト締付具66は、略10mm径の金属製の丸棒の両端を折り曲げてその長さを略130mmの門型としたものである。ベルト固定具64およびベルト締付具66は、足載せ台20の前後方向の中心線に対して対象の位置に、かつ、前方に向けて平面視が逆「ハ」の字状に足載せ台20に固着されている。なお、足載せ台20に足載置板42を設置したときに、ベルト固定具64およびベルト締付具66は、足載置板42の外側に位置するようになっている。
【0033】
ベルト62の一端は、ベルト固定具64の門型形状の横架部に捲回されて縫着されていて、ベルト62はベルト固定具64に対して回動自在、かつ、摺動自在となっている。また、ベルト62の表面のベルト固定具64側には雌の面ファスナーが取着され、ベルト62の先端近傍には雄の面ファスナーが取着されている。
【0034】
足趾押圧力検出装置80は、押圧力受け板82、押圧力受け板支持台83、片持ち梁84、4リンク構造85および歪ゲージ86から構成されている。
押圧力受け板82については前述したので説明を省略する。押圧力受け板支持台83は合成樹脂製の板(実施例1においてはポリカーボネート樹脂製板)であり、足載せ台20に穿設された開口部28の中に位置していて後述する第2の垂直部材854に支持されている。その形状は開口部28の形状に略同一であるが、足載置板42を足載せ台20に螺着した蓋体24上に載置したときに、足載置板42から下方に突出した立設棒44の邪魔にならないようにその箇所が括れている。
【0035】
ここで、図5に基づいて抵抗力付与装置および移動方向規制装置について説明する。図5において、図面の右側が足載せ台20の前部、図面の左側が足載せ台20の後部に相当し、押圧力Fは図面の上側から下に向けて作用している。
抵抗力付与装置は金属性の片持ち梁84からなっていて、片持ち梁84の固定端842は後述する第1の垂直部材852に固定されているが、第1の垂直部材852は足載せ台20に固着されているため、固定端842は第1の垂直部材852を介して足載せ台20に固定されることになる。片持ち梁84の自由端844は押圧力受け板支持台83の下方に位置していて、自由端844の先端は押圧力受け板支持台83に当接している。このため、押圧力受け板支持台83の垂直方向の移動は、自由端844を押下することになり、片持ち梁84は押圧力受け板支持台83を押し戻そうとする抵抗力となって働く。
【0036】
移動方向規制装置は、4リンク構造85であり、この4リンク構造85は第1の垂直部材852、第2の垂直部材854、第1の水平部材856および第2の水平部材858から構成されている。そして、この4個の部材はそれぞれ接合部O、O、OおよびOで相互に回動自在にピン接合されていて、接合部O、O、OおよびOを結んでできる四辺形は平行四辺形となっている。このため、第2の垂直部材854は第1の垂直部材852に対し常に平行状態を維持して垂直方向に移動する。また、第1の垂直部材852は足載せ台20に垂直に固着されているため、第1の垂直部材852は常に垂直状態を維持する。
第2の垂直部材854の上端は押圧力受け板支持台83が連接されているため、この押圧力受け板支持台83は常に垂直方向にのみ移動する。このようにして、第1の垂直部材852、第2の垂直部材854、第1の水平部材856および第2の水平部材858から構成される4リンク構造85により、押圧力受け板支持台83は常に垂直方向にのみ移動するように規制されている。
【0037】
押圧力検出装置は、片持ち梁84と歪ゲージ86とから構成されていて、実施例1においては押圧力検出を歪ゲージ法によっている。歪ゲージ86は固定端842近傍に配設され、片持ち梁84の歪を電気抵抗の変化により測定し、片持ち梁84に作用する押圧力Fを測定するものである。
【0038】
前述のように、片持ち梁84の固定端842は足載せ台20に固着されていて、自由端844は垂直方向にのみ移動が可能となっている。そして、押圧力受け板支持台83の垂直方向の移動は、片持ち梁84の自由端844に伝えられて片持ち梁84が押圧力Fにより下方向に撓む。このため片持ち梁84には歪みが生じ、この歪みは固定端842近傍に設置された歪ゲージ86により検出されて、押圧力Fを測定する。そして、この検出結果は測定数値表示装置98のモニターに表示される。
【0039】
つぎに、足握力測定装置1の測定方法について、被測定者の右足の足趾把握筋力の測定を例に説明する。
まず、足載置板42の表面を上にして足載せ台20の蓋体24上に設置し、足載置板42の位置決め孔47に蓋体24に螺着された位置決めピン30を挿入させ固定させる。固定された足載置板42に螺着された立設棒44は、足載せ台20の前後方向の中心線に対して左側に位置することになる。左足の足趾把握筋力を測定する場合には、足載置板42の裏面を上にして設置すればよい。
【0040】
足載せ台20に設置された足載置板42上に被測定者の右足を置いて、第1趾と第2趾との付け根に立設棒44を当接させて右足の位置を決める。この右足の位置を決めることにより、被測定者の足趾の第1趾から第5趾は押圧力受け板82に当接した状態となる。なお、被測定者は立位であっても、座位であっても良いが、座位の場合は、右足の位置を決めたときに、右足と脛は略直角となるように椅子の位置や高さおよび足載せ台20の位置を調整する。
【0041】
その後、ベルト固定具64に対してベルト62を摺動させ、ベルト62を被測定者の右足の甲の足首近傍に位置させて当接させ、ベルト62の先端をベルト締付具66の横架部に潜らせて捲回し、ベルト62の先端近傍の雄の面ファスナーをベルト62の表面に取着された雌の面ファスナーに押圧して被測定者の右足の位置を固定する。この場合、被測定者の右足の足首部分のみが固定されているので、足趾部は垂直方向の動きに対してはフリーとなる。
【0042】
そして、被測定者は右足の足趾により目一杯押圧力受け板82を押下する。この際、被測定者が立位の場合には、踵上に身体の重心が位置し、前方に移動しないように注意する。また、足趾で押圧力受け板82を押圧する際には、足趾の押圧方向は斜め後方下向きに作用することがある。この場合に、その反作用として足は前方に移動しようとするが、ベルト固定具64およびベルト締付具66は逆「ハ」の字状となっているために、この逆「ハ」の字状の構造により、ベルト62は足の左右に広がり、そのため足はより強く下方に締め付けられ前方への移動を阻止する。
【0043】
前述のように、足趾で押圧力受け板82を押圧する際には、足趾の押圧方向は斜め後方下向きに作用することがあるが、この斜め後方下向きの押圧力は、水平方向すなわちH方向の力と、垂直方向すなわちV方向の力に分解することができる。押圧力受け板82は押圧力受け板支持台83に密着していて、押圧力受け板支持台83はV方向にのみ移動が許容されていることから、H方向の力は押圧力受け板支持台83に対する押圧力受け板82の滑りとなって費消される。したがって、押圧力受け板支持台83には分解されたV方向のみの力が作用し、偶力が働かないことから、測定精度が向上することになる。
【0044】
押圧力受け板82に働くV方向の押圧力Fは、片持ち梁84の自由端844を押下し、これが片持ち梁84の撓みとなって表れ、この下方向への撓みにより片持ち梁84には押圧力Fに応じた歪みが生じ、この歪みは歪ゲージ86により検出される。
【0045】
つぎに、本願発明者がおこなった足握力測定装置1とプル型の足趾握力測定装置との比較試験について説明する。
【0046】
まず、本願発明者は、プル型の足趾握力測定装置が市販されていないため、手の握力計を改良したプル型の足趾握力測定装置を製作した。握力計にはスメドレー式握力計((株)竹井機器工業製)を使用した。このスメドレー式握力計は表示部と把握部からなっていて、把握部は手のひらに当接する固定部と手の指に当接するスライド部からなっている。そして、前記固定部を取外した握力計を足載せ台に横に寝かせて固定し、被測定者の足が載る場所のレベルとスライド部のレベルが略同一となるようにした。さらに、足載せ台上には、前記握力計に対して前後方向に摺動可能な支柱を立設した足載置板を設置し、この支柱には被測定者の下腿部を固定するための固定具が取付けられている。
【0047】
まず被測定者は、前記握力計のスライド部に、主として足趾の第1趾から第3趾の第1関節を当接して足の位置を決め、位置を決めた足の踵に足載置板に足載置板の支柱を当接させて被測定者の下腿部を固定した。そして、被測定者は足趾で前記スライド部を把持し、前記スライド部を踵方向に引き寄せて前記把握計の表示部に示される数値を読み取った。この結果を図6に示す。図6は、プル型足握力測定装置による測定値と本願請求項1ないしの発明に係る足握力測定装置1による測定値の比較グラフである。
【0048】
図6において、X軸(横軸)はプル型の足握力測定装置で読み取った数値(単位はニュートン)を示し、Y軸(縦軸)は本願発明に係る足握力測定装置1で読み取った数値(単位はニュートン)を示している。また●印は立位における測定数値を示し、×印は座位における測定数値を示している。
【0049】
図6から判るように、本願請求項1ないしの発明に係る足握力測定装置1の測定数値とプル型の足握力測定装置の測定数値との間には高い相関関係がみられ、その相関係数Rは立位の場合で0.857、座位の場合で0.766となっている。そして、プル型の足握力測定装置の数値をx、本願発明に係る足握力測定装置1の数値をyとすると、本願発明に係る足握力測定装置1の測定数値とプル型の足握力測定装置の測定数値との関係式は、立位の場合が
y=0.721x+48.5———(3)となり、
座位の場合が、
y=0.495x+17.2———(4)となる。
したがって、足握力測定装置1による測定数値と従来のプル型の足握力測定装置による測定数値の相互変換は、前記の(3)式または(4)式のxまたはyに値を代入すれば容易に求めることができる。
【0050】
つぎに、実施例2について、図7に基づいて説明する。図7は、実施例2に係る足握力測定装置の足趾押圧力検出装置の模式図である。
前述したように、実施例2は実施例1と外観上まったく同じ構成となっていて、実施例2と実施例1の相違は、足載せ台内部に収納される足趾押圧力検出装置の相違にある。したがって、ここでは実施例2に係る足趾押圧力検出装置についてのみ説明する。なお、実施例1と同一の構成要素については、同一の符号を付している。
【0051】
図7において、符号90は実施例2に係る足趾押圧力検出装置、符号83は押圧力受け板支持台、符号92は圧縮バネ、符号93はボールスライド、符号94はレーザ変位センサー、符号98は測定数値表示装置である。
【0052】
図7において、図面の右側が足載せ台20の前部、図面の左側が足載せ台20の後部に相当し、押圧力Fは図面の上側から下に向けて作用している。
足趾押圧力検出装置90は、押圧力受け板82、押圧力受け板支持台83、抵抗力付与装置である圧縮バネ92、移動方向規制装置であるボールスライド93および押圧力検出装置であるレーザ変位センサー94から構成されている。
【0053】
図7では押圧力受け板82は省略されているが、押圧力受け板支持台83上に載置された状態となっている。
抵抗力付与装置は、金属性の圧縮バネ92からなっていて、圧縮バネ92の上端は押圧力受け板支持台83に連結し、圧縮バネ92の下端は足載せ台20を構成する直方体の筐体の底板に固着されて垂設された状態となっている。そして、押圧力受け板支持台83に連結する圧縮バネ92の上端は、押圧力Fが作用する直下に位置している。このため、押圧力受け板支持台83の垂直方向の移動は、圧縮バネ92を押下することになり、圧縮バネ92は押圧力受け板支持台83を押し戻そうとする抵抗力となって働く。
【0054】
移動方向規制装置は、押圧力受け板支持台83の両端を支持するボールスライド93、93から構成されていて、このボールスライド93、93により、押圧力受け板支持台83は常に足載せ台20を構成する直方体の筐体の底板に平行に平面上の位置を変えることなく垂直方向に移動するように規制されている。なお、押圧力受け板支持台83の一端にボールスライド93を配設し、このボールスライド93と押圧力Fが作用する直下に配設される圧縮バネ92とにより、押圧力受け板支持台83の垂直方向にのみ移動を許容するようにしてもよい。なお、実施例2におけるボールスライド93には、(株)日本トムソン製のBWU8-10を使用している。
【0055】
押圧力検出装置は、移動変位センサーとしてのレーザ変位センサー94と圧縮バネ92とから構成されている。実施例2において、レーザ変位センサー94には(株)キーエンス製のLX-010を使用している。この移動変位センサーには、他にロードセル(たとえば(株)共和電業製のLM-A)あるいは、押圧力受け板支持台83の下面を金属製の部材で構成すれば渦電流式変位センサー(たとえば(株)キーエンス製EX-614V)を使用することもできる。
このレーザ変位センサー94は、半導体レーザの光線(α)を押圧力受け板支持台83に照射し、反射された光線による像の移動により押圧力受け板支持台83の変位量、すなわち移動量を測定するものである。
【0056】
この押圧力受け板支持台83の移動量はすなわち圧縮バネ92の縮み量であるから、押圧力受け板支持台83の移動量を測定することにより、圧縮バネ92のバネ定数に圧縮バネ92の縮み量を乗ずることにより、押圧力Fが算定できる。そして、この検出結果は測定数値表示装置98のモニターに表示させることができる。
なお、実施例2に係る足握力測定装置の測定方法については、実施例1に係る足握力測定装置1の測定方法とまったく同一であるので、その説明は省略する。
【0057】
また、実施例1に係る足趾押圧力検出装置80を構成する歪ゲージ86に替えて、片持ち梁84の自由端844の直下に実施例2に係るレーザ変位センサ94やロードセルあるいは渦電流式変位センサーなどの移動変位センサーを配設し、自由端844の移動量を測定することによっても押圧力Fを測定することができることは勿論である。
【0058】
本願発明者は、上記の足握力測定装置1で計測した被験者の足趾把握筋力と被験者の身体的な既知のデータである年齢、性別、身長、体重のサンプリング調査および当該サンプリング調査から、次のような相関関係を見いだすに至った。これらの相関について説明する。
【0059】
本願発明者は、人間の転びやすさすなわち「転倒」は、その人の足趾把握筋力と体重、あるいは、足趾把握筋力と身長に密接な関係があることが判明した。そこで、足趾把握筋力と体重、あるいは、足趾把握筋力と身長から「転倒危険度数」という概念を導出することにより、「転倒のし易さ」あるいは「転倒のし難さ」を数値をもって示すことができるとの知見を得た。
以下に、「転倒危険度数」を導出する過程について、図8および図9に基づいて説明する。なお、図8は、身長-足趾把握筋力グラフ、図9は、体重-足趾把握筋力グラフである。また、足握力測定装置1による計測は立位で行った。
【0060】
図8および図9のグラフにおいて、X軸(横軸)はそれぞれ身長(単位:m)あるいは体重(単位:kg)であり、Y軸(縦軸)は本願発明に係る足握力測定装置1で測定した足趾把握筋力(単位:N)である。また●印は転倒未経験者を示し、×印は転倒経験者を示している。
なお、上記調査の母集団となった被験者の構成について説明すると、被験者総数は男性46名、女性51名の計97名である。年齢構成では、最年少被験者は20歳、最高齢被験者は84歳であり、20歳代が19名、30歳代が25名、40歳代が10名、50歳代が16名、60歳代が15名、そして70歳以上が12名である。また、97名中、転倒未経験者が90名、転倒経験者が7名である。
【0061】
図8に示すように、足趾把握筋力と身長との間には高い相関関係がみられ、その相関係数Rは0.618となっている。そして、直線回帰式は、
y=a+b=322x-419
と表すことができる。そして、上記の直線回帰式を図8のグラフ上に落とし込んだときに転倒経験者を表す×印はすべて上記の直線回帰式の下に位置している。
すなわち、転倒危険度数(E)を、
E=y/(a+b)=y/(322x-419)——(1-1)
とすれば、×印はすべてE<1.0に位置していることになる。したがって、「転倒危険度数」を足趾把握筋力と身長から求める場合には、上記の直線回帰式を使用すればきわめて妥当な結果になるのである。
【0062】
また、図9に示すように、足趾把握筋力と体重との間には図8に示すほどではないものの、やはり相関関係がみられ、その相関係数Rは0.423となっている。そして、直線回帰式は、
y=a+b=1.89x-11.5
と表すことができる。そして、上記の直線回帰式を図9のグラフ上に落とし込んだときに転倒経験者を表す×印はすべて上記の直線回帰式の下に位置しているから、「足趾把握筋力と身長」と同様に、転倒危険度数をEとしたときに、
E=y/(a+b)=y/(1.89x-11.5)
——————(1-2)
とすれば、×印はすべてE<1.0に位置していることになる。したがって、「転倒危険度数」を足趾把握筋力と体重から求める場合には、上記の直線回帰式を使用すればきわめて妥当な結果になるのである。
【0063】
つぎに、足握力測定装置1の座位による計測数値の場合について説明する。
座位による場合も立位による場合も両者の間には相関係数が1.000に近いきわめて高い相関関係があり、概ね、座位による測定値は立位による測定値の約0.6倍となっている。このため、前記の式(1-1)を
E=y/(193x-251)——————(1-3)
とし、前記の式(1-2)を
E=y/(1.13x-6.90)————(1-4)とすることにより、転倒危険度数(E)を算定することができる。
【0064】
すなわち、
(1)立位により計測した足趾把握筋力(x)(単位:N)と身長(y)(単位:m)とから転倒危険度数(E)を求める場合には、
E=y/(322x-419)————(1-1)
により算定し、
(2)立位により計測した足趾把握筋力(x)(単位:N)と体重(y)(単位:kg)とから転倒危険度数(E)を求める場合には、
E=y/(1.89x-11.5)——(1-2)
により算定し、
(3)座位により計測した足趾把握筋力(x)(単位:N)と身長(y)(単位:m)とから転倒危険度数(E)を求める場合には、
E=y/(193x-251)————(1-3)
により算定し、
(4)座位により計測した足趾把握筋力(x)(単位:N)と体重(y)(単位:kg)とから転倒危険度数(E)を求める場合には、
E=y/(1.13x-6.90)——(1-4)
により算定することができる。
【0065】
つぎに、本願発明者の上記の知見に基づいて、また、本願請求項1ないしに係る発明を利用して、これを体重計または身長計に組み込んだ転倒度表示機能付き体重計または身長計を案出した。
【0066】
添付の図10は、本願実施例3として上記請求項1ないしに係る足握力測定装置1を体重計に組み込んだ転倒度表示機能付き体重計300の概略を示すものである。
本実施例3に示す転倒度表示機能付き体重計300は、上記実施例1または2で示した足握力測定装置1が組み込まれており、したがって、それらの構成要素である足載せ台、足位置決め装置、足位置固定装置、足趾押圧力検出装置、測定数値表示装置等は実施例1または2に使用したものと同じものである。したがって、その説明は省略する。
【0067】
転倒度表示機能付き体重計300は、通常の体重を計測する体重計(図示外)の外に前記足握力測定装置1と一体となった入出力装置(図示外)が組み込まれており、この入出力装置は、被測定者の身長あるいは体重の数値データを入力する入力部302と、通常の体重を表示する外に入力した数値データ、足握力測定装置1により測定された足趾把握筋力、あるいは図示外の演算部によって演算された転倒危険度数を表示する表示部303から構成されている。
【0068】
また、実施例1または2において、ベルト62とベルト固定具64とベルト締付具66から構成されている足位置固定装置60は、本実施例3では、両足の間に固定されたベルト362とし、ベルト362の両端と本実施例3に係る転倒度表示機能付き体重計2の両サイドそれぞれ雌の面ファスナー363および雄の面ファスナー364が取着されて、これによって踵を含めた両足が固定されるように構成される。
なお、本実施例3の転倒度表示機能付き体重計300は、被測定者が計器の上に立って測定する立位式のものを想定しているが、これは、別途の図示外椅子に被測定者が座って、両足を計器の上に載せて測定する形式の座位式転倒度表示機能付き体重計であっても良い。
【0069】
さらには、上記実施例1または2においては、押圧力受け板82、押圧力受け板支持台83、片持ち梁84、4リンク構造85および歪ゲージ86から構成されている足趾押圧力検出装置80を使用し、さらに、該押圧力検出装置は、押圧力検出を歪ゲージによる片持ち梁84と歪ゲージ86とから構成され、片持ち梁84の歪を電気抵抗の変化により測定し、片持ち梁84に作用する押圧力Fを測定するものとして説明したが、これは、両足の平の下につま先用のつま先センサ(図示外)と踵用の踵センサ(図示外)の合計4個の圧力センサをそれぞれ配置し、両足を固定した後、つま先を折り曲げて、その押圧力Fをつま先センサ(図示外)で検出して、その結果を足握力として測定されるようにしてもよく、さらには、上記4つのセンサが常に一定の圧力を感じている検出結果を平均足圧力として記憶しておき、その後に、つま先を曲げて、それをつま先センサで検知するようにして、本実施例3で使用する両足固定用ベルト362は不要としても良い。
【0070】
また、上述するように、足趾把握筋力と身長から「転倒危険度数」という概念を導出することにより、「転倒のし易さ」あるいは「転倒のし難さ」を数値をもって示すことができるとの知見を得たことに基づき、本願実施例4として、上記請求項1ないしに係る足握力測定装置1を身長計に組み込んだ転倒度表示機能付き身長計400を案出するに至った。
【0071】
添付の図11は、本願実施例4として上記請求項1ないしに係る足握力測定装置1を身長計に組み込んだ転倒度表示機能付き身長計の概略を示すものである。
本実施例4に示す転倒度表示機能付き身長計400は、上記実施例1または2で示した足握力測定装置1が組み込まれており、したがって、それらの構成要素である足載せ台、足位置決め装置、足位置固定装置、足趾押圧力検出装置、測定数値表示装置等は実施例1または2に使用したものと同じものであり、また、記足握力測定装置1と一体となった入出力装置(図示外)が組み込まれる等実施例3とも同じ構成であるので、その説明は省略する。
【0072】
ただ、本実施例4に係る転倒度表示機能付き身長計400には、前記実施例3の転倒度表示機能付き体重計300とは異なり、身長計測用の巻き尺式スケール402が内蔵されている。図11において、402は、通常は該身長計400の内部に巻き取られていて、使用時に延設されるスケールである。
図12は、身長計測時に前記スケール402を延ばして手近の柱410等にピン(図示外)で止めた状態を示す図である。図12において、409は、通常は、前記転倒度表示機能付き身長計400の内部に収納されていて、身長測定時に取り出して、被測定者の先頭に載せる頭頂部である。
【0073】
被測定者の身長を測定する場合は、前記スケールを引き延ばして手近の柱410等にスケール402を延ばして先端をピン等で止めて、しかる後、被測定者が、該身長計400上に背筋を伸ばして柱410に沿って直立し、しかる後、前記頭頂部409を頭の上に載せ、水平、素直を維持してその端部をスケール402に押し当ててその目盛りを読み取る。
この場合、スケール402先端を調節し、スケール402のゼロ点と前記頭頂部409の端底部とを合わせる読み方をすれば、前記スケール402の延設量を検出することにより被測定者の身長を容易に測定することができる。
【0074】
また、本実施例4に係る転倒度表示機能付き身長計400も前記実施例3に係る転倒度表示機能付き体重計300と同じように、両足の間に固定されたベルト462とし、ベルト462の両端と本実施例4に係る転倒度表示機能付き身長計400の両サイドそれぞれ雌の面ファスナー463および雄の面ファスナー464が取着されて、これによって踵を含めた両足が固定されるように構成される。
【0075】
さらには、上記実施例3と同じように、押圧力受け板82、押圧力受け板支持台83、片持ち梁84、4リンク構造85および歪ゲージ86から構成されている足趾押圧力検出装置80を使用しているが、これは、実施例3に示すと同じように、両足平の下につま先用のつま先センサ(図示外)と体重測定用の荷重センサ(図示外)の合計4個の圧力センサをそれぞれ配置し、両足を固定した後、つま先を折り曲げて、その力Fをつま先センサ(図示外)で検出して、その結果を足握力として測定されるようにしてもよく、本実施例4で使用する両足固定用ベルト462は不要としても良い。
【0076】
なお、実施例3に係る転倒度表示機能付き体重計300や実施例4に係る転倒土俵時機能付き身長計400は、足握力測定装置1と入出力装置(図示外)とを一体型としているが、別体としても良く、さらに、前述したように、身長計や体重計と足握力測定装置1を一体型として、身長計や体重計からのデータを自動的に入力部402に入力するようにしても良いことは勿論である。
さらに、本願実施例5として、上記の体重計300と身長計400を一体型とした転倒度表示機能付き体重身長計としてもよく、このようにすることにより、身長を計測するとともに体重を測定し、しかる後、所定の演算を行うことによって被測定者の転倒度、すなわち、「転倒のし易さ」あるいは「転倒のし難さ」を数値をもって、あるいは、「転倒のおそれなし」や「転倒のおそれあり」と文字表示をすることができる。
【0077】
つぎに、転倒度表示機能付き体重計300または転倒度表示機能付き身長計400を用いて転倒度を測定する方法について、図13を基に説明する。図13は、転倒度表示機能付き体重計または身長計における転倒危険度数算出フローチャートである。
【0078】
(1)まず、足握力測定装置1による足趾把握筋力の測定を座位でおこなうか、立位でおこなうかによって、入出力装置(図示外)に設置あるいは表示された「座位」「立位」ボタン171を押圧する(S1)。
(2)被測定者の身体的な既知の「身長」・「体重」データを身長入力ボタン372または「体重」入力ボタン473で入力する(S2)。
(3)本実施例3に係る転倒度表示機能付き体重計2足握力測定装置1上に被測定者の両足を載せて、つま先を曲げて貰い、足趾把握筋力を測定する(S3)。 内蔵される足握力測定装置1による足趾把握筋力の測定方法については前述したので、その説明を省略する。
(5)入力された被測定者の身体的な既知のデータと足握力測定装置1による足趾把握筋力の測定値とから、演算部が転倒危険度数を演算し、その結果を表示部303または403に表示する(S4)。
なお、表示の形式としては、数値をそのまま表示しても良いし、転倒危険度数が1.0以上の場合は、「転倒のおそれなし」と表示し、転倒危険度数が1.0未満の場合は、「転倒のおそれあり」と表示しても良い。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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