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明細書 :高分子担持二元金属クラスター触媒

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5322422号 (P5322422)
公開番号 特開2009-090204 (P2009-090204A)
登録日 平成25年7月26日(2013.7.26)
発行日 平成25年10月23日(2013.10.23)
公開日 平成21年4月30日(2009.4.30)
発明の名称または考案の名称 高分子担持二元金属クラスター触媒
国際特許分類 B01J  31/28        (2006.01)
C07C  45/39        (2006.01)
C07C  49/78        (2006.01)
C07C  45/38        (2006.01)
C07C  47/54        (2006.01)
C07C  47/542       (2006.01)
C07C  47/575       (2006.01)
C07C  47/55        (2006.01)
C07C  49/788       (2006.01)
C07C  47/546       (2006.01)
C07C  49/213       (2006.01)
C07C  49/10        (2006.01)
C07C  49/395       (2006.01)
C07C  47/232       (2006.01)
C07D 213/50        (2006.01)
C07D 333/22        (2006.01)
C08F 212/14        (2006.01)
C08F 212/08        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI B01J 31/28 Z
C07C 45/39
C07C 49/78
C07C 45/38
C07C 47/54
C07C 47/542
C07C 47/575
C07C 47/55
C07C 49/788
C07C 47/546
C07C 49/213
C07C 49/10
C07C 49/395
C07C 47/232
C07D 213/50
C07D 333/22
C08F 212/14
C08F 212/08
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 8
全頁数 17
出願番号 特願2007-262967 (P2007-262967)
出願日 平成19年10月9日(2007.10.9)
審査請求日 平成20年11月14日(2008.11.14)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】小林 修
【氏名】松原 亮介
【氏名】宮村 浩之
個別代理人の代理人 【識別番号】100110249、【弁理士】、【氏名又は名称】下田 昭
【識別番号】100113022、【弁理士】、【氏名又は名称】赤尾 謙一郎
【識別番号】100102130、【弁理士】、【氏名又は名称】小山 尚人
審査官 【審査官】西山 義之
参考文献・文献 国際公開第2005/085307(WO,A1)
調査した分野 B01J 21/00-38/74
特許請求の範囲 【請求項1】
白金、パラジウム、ニッケル又はイリジウムと、金から成るクラスターがスチレン系高分子に担持して成る触媒であって、該スチレン系高分子が、スチレンモノマーをベースとし、そのベンゼン環が水酸基又はアルコキシ基を有する親水性側鎖を有する、アルコールと酸素分子とを反応させてカルボニル化合物を製造するための高分子担持二元金属クラスター触媒。

【請求項2】
前記スチレン系高分子が、下式(化1)
【化1】
JP0005322422B2_000010t.gif
(式中、Rは水素原子又は炭素数が1~4のアルキル基、Rは単結合又は炭素数が12以下のアルキレン基を表し、mは1~6の整数を表し、nは0~5の整数を表し、x、y及びzは構成モノマーのモル比を表し、(x+y+z)に対して、y+zは10~100%であり、yは0%より大きく、zは0~50%、xは残部である。)で表される請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
が水素原子であり、zが0%より大きく、前記スチレン系高分子が架橋した請求項2に記載の触媒
【請求項4】
x+y+z)に対して、yが10~50%、zが20~50%である請求項2又は3に記載の触媒。
【請求項5】
(x+y+z)に対して、yが25~35%、zが25~35%である請求項2又は3に記載の触媒。
【請求項6】
前記クラスターが白金又はパラジウムと、金から成る請求項1~5のいずれか一項に記載の触媒。



【請求項7】
金と白金、パラジウム、ニッケル又はイリジウムの各前駆体を前記スチレン系高分子の溶液中で、該スチレン系高分子に対する貧溶媒を加えて相分離させることにより、金と白金、パラジウム、ニッケル又はイリジウムをスチレン系高分子に担持させてなる請求項1~のいずれか一項に記載の触媒。



【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の触媒の存在下で、アルコールと酸素分子とを反応させることから成るカルボニル化合物の製法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
この発明は、回収可能な高分子担持触媒及びこの触媒を用いてアルコールを酸化してカルボニル化合物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機合成において選択的酸化反応は最も重要な変換反応の一つであり、いくつかの金属酸化剤がすでに開発されているが、これらを用いる反応では通常化学量論量の金属酸化剤を必要とし、多くの場合大量の廃棄物を生じる。そのため環境への配慮や原子効率の観点から、温和な条件下での回収可能な不均一系触媒及びその触媒を用いた分子状酸素による酸化反応が求められている。
近年、発明者らは新規な金クラスター触媒を開発し、室温でのアルコール酸化反応に応用した(特許文献1、非特許文献1)。この触媒は、広い基質一般性を有し、簡便な操作において活性を失うことなく回収することができる。
【0003】

【特許文献1】特開2007-237116
【非特許文献1】Angew. Chem. Int. Ed. 2007, 46, 4151-4154.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この金クラスター触媒(特許文献1、非特許文献1)は、高い触媒活性を得るためには塩基性条件が必要で、このために一級アルコールからアルデヒドへの選択的酸化反応が困難であった。
そのため、本発明は、この金クラスター触媒を更に改良して、塩基を用いずにアルコールを効率的に反応させることのできる触媒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、本発明者らは、架橋されたポリスチレン誘導体に担持された金及び第二の金属として遷移金属から成る二元金属クラスター触媒を検討したところ、塩基が不要の条件下で、室温及び常圧条件におけるアルコールの酸素酸化反応において高い活性と選択性を示すことを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、白金、パラジウム、ニッケル又はイリジウムと、金から成るクラスターがスチレン系高分子に担持して成る触媒であって、該スチレン系高分子が、スチレンモノマーをベースとし、そのベンゼン環が水酸基又はアルコキシ基を有する親水性側鎖を有する、アルコールと酸素分子とを反応させてカルボニル化合物を製造するための高分子担持二元金属クラスター触媒である。

【発明の効果】
【0006】
本発明の金を含む二元金属クラスター触媒は、常圧・室温及び塩基非存在下におけるアルコールの酸素酸化反応において、一元金属の金触媒よりも高い触媒活性を示す。とりわけ、一元金属の金触媒では困難な、一級アルコールからアルデヒドへの選択的酸化反応に有効である。さらにこの触媒は、簡便な操作によって触媒活性を失うこと無く回収及び再使用することが可能であり、活性の低下はみられない。
本発明の触媒をアルコールの酸化反応に用いる場合、塩基を必要としないため、副反応が抑えられ、酸化反応が円滑に進行することが可能になり、また反応系を中性に近くすることができるので、反応をより温和な条件とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の高分子担持二元金属クラスター触媒は、2種類の0価の金属(金と遷移金属)のクラスターがスチレン系高分子に担持されている。
本発明のスチレン系高分子は、スチレンモノマーをベースとし、そのベンゼン環が、水酸基又はアルコキシ基を有する親水性側鎖を有する。
このスチレン系高分子は、更にエポキシ基を有する親水性側鎖を有していてもよい。
親水性側鎖の主鎖としては、比較的短いアルキル基、例えば、炭素数が1~6程度のアルキレン基であってもよいが、-R(OR-、-R(COOR-、又は-R(COOR(OR-(式中、Rは単結合又は炭素数1~6、好ましくは単結合又は1~2のアルキレン基を表し、Rはそれぞれ独立して炭素数2~4、好ましくは2のアルキレン基を表し、w、x及びzは1~10の整数、yは1又は2を表す。)で表される主鎖をもつものが親水性であるため好ましい。このような好ましい主鎖として、-CH(OC-や-CO(OC-等が挙げられる。


【0008】
このようなスチレン系高分子として、以下のモノマー混合物を共重合して得られたスチレン系高分子が挙げられる。このスチレン系高分子は、例えば、下式(化2)
【化2】
JP0005322422B2_000002t.gif
(式中、Xはアルキレン基又はエーテル結合を含むアルキレン基を表す。)又は下式(化3)
【化3】
JP0005322422B2_000003t.gif
(式中、Xはアルキレン基又はエーテル結合を含むアルキレン基を表す。)で表される水酸基を有するモノマーを必須に含む。
【0009】
また、このスチレン系高分子は、例えば、下式(化4)
【化4】
JP0005322422B2_000004t.gif
(式中、Xはアルキレン基又はエーテル結合を含むアルキレン基を表す。)又は下式(化5)
【化5】
JP0005322422B2_000005t.gif
(式中、Xはアルキレン基又はエーテル結合を含むアルキレン基を表す。)で表されるエポキシ基を有するモノマーを任意に含んでもよい。
【0010】
例えば、全モノマー中の、このエポキシ基を有するモノマーのモル含量は0~50%、好ましくは10~50%、より好ましくは25~35%である。また、この水酸基を有するモノマーとエポキシ基を有するモノマーの合計含量は、10~100%であり、水酸基を有するモノマーの含量は、0%より大きく、好ましくは20~50%、より好ましくは25~35%である。残部はスチレンモノマーである。
【0011】
好ましいスチレン系高分子として、下記の高分子が挙げられる。
【化1】
JP0005322422B2_000006t.gif
式中、Rは水素原子又は炭素数が1~4のアルキル基、Rは単結合又は炭素数が12以下のアルキレン基を表し、x、y及びzは構成モノマーのモル比を表し、(x+y+z)に対して、y+zは10~100%であり、yは0%より大きく、好ましくは20~50%、より好ましくは25~35%である。である。zは0~50%、好ましくは10~50%、より好ましくは25~35%である。xは残部である。mは1~6の整数を表し、nは0~5の整数を表す。
【0012】
本願発明においては、金と遷移金属をスチレン系高分子に担持させるが、この遷移金属は、白金、パラジウム、イリジウム又はニッケルであり、より好ましくは白金又はパラジウムである。金と遷移金属との原子数の比(即ち、モル比)は、好ましくは1:9~9:1、より好ましくは1:4~4:1、更に好ましくは1:2~2:1、特に好ましくは1:1付近である。

【0013】
金と遷移金属このスチレン系高分子に担持させる方法としては、特に限定されないが、例えば、このスチレン系高分子と金前駆体及び遷移金属前駆体を適当な極性の良溶媒に溶解した溶液中で、該スチレン系高分子に対する貧溶媒を加えて相分離させることにより、金と遷移金属をスチレン系高分子に担持させることができる。
金前駆体としては、1価もしくは3価の金化合物を用いる。このような金化合物として、1価もしくは3価の金ハロゲン化物及びその塩が好ましい。このような金化合物として、例えば、クロロカルボニル金(Au(CO)Cl)、クロロトリエチルホスフィン金(AuClPEt3)、クロロトリメチルホスフィン金(AuClPMe3)、クロロトリフェニルホスフィン金(AuClPPh3)、ジメチル(アセチルアセトナート)金(Me2(C5H7O2)Au)、ジメチル(トリフルオロアセチルアセトナート)金(Me2Au(CF3COCHCOCH3)、塩化金(AuCl)、シアン化金(AuCN)、ヨウ化金(AuI)、ジシアノ金酸カリウム(KAu(CN)2)、酸化金(Au2O3)、三塩化金(AuCl3)、三臭化金(AuBr3)、テトラクロロ金酸ナトリウム(NaAuCl4)、テトラブロモ金酸ナトリウム(NaAuBr4),テトラクロロ金酸カリウム(KAuCl4)、テトラブロモ金酸カリウム(KAuBr4)、テトラクロロ金酸(HAuCl4)、テトラブロモ金酸(HAuBr4)等が挙げられる。
【0014】
遷移金属前駆体としては、0~4価の遷移金属化合物を用いることができるが、例えば、ヘキサクロロ白金(IV)酸ナトリウム(Na2PtCl6)、ヘキサクロロ白金(IV)酸カリウム(K2PtCl6)、ヘキサクロロ白金(IV)酸カリウム(K2PtBr6)、ヘキサシアノ白金(IV)酸カリウム(K2Pt(CN)6)、酢酸パラジウム(II) (Pd(OAc)2)、塩化パラジウム(II) (PdCl2)、臭化パラジウム(II) (PdBr2)、シアン化パラジウム(II) (Pd(CN)2)、硝酸パラジウム(II) (Pd(NO3)2)、硫酸パラジウム(II) (PdSO4)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II) (PdCl2(PPh3)2)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (Pd(PPh3))、水素化トリス(トリフェニルホスフィン)イリジウム(HIr(PPh3)3)、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸(H2IrCl6)、塩化イリジウム(III) (IrCl3)、臭化イリジウム(III) (IrBr3)、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸カリウム(K2IrCl6)、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸ナトリウム(Na2IrCl6)、酢酸ニッケル(II) (Ni(OAc)2)、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II) (NiCl2(PPh3)2)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(0) (Ni(PPh3))、ジブロモビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル(II) (NiBr2(PPh3)2)、塩化ニッケル(II) (NiCl2),臭化ニッケル(II) (NiBr2), 硝酸ニッケル(II) (Ni(NO3)2)等が挙げられる。



【0015】
極性の良溶媒としてはジグライム、トリグライム、テトラグライム、ジメトキシエタン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、アセトン、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、メタノール、エタノール、ブタノール、アミルアルコールなどがあり、非極性又は低極性の良溶媒としてはトルエン、ジクロロメタン、クロロホルムなどが使用できる。極性の貧溶媒としてはジエチルエーテルなどがあり、非極性の貧溶媒としてはヘキサン、ヘプタン、オクタンなどが使用できる。
金及び遷移金属をポリマーに担持する際の、ポリマーの濃度は用いる溶媒やポリマーの分子量によっても異なるが、約5.0~200 mg/mL、好ましくは10~100 mg/mlである。3価の金化合物は、ポリマー1gに対して、0.01~0.5 mmol、好ましくは0.03~0.2 mmol使用する。相分離する際の貧溶媒は、良溶媒に対して1~10(v/v)倍量、好ましくは2~5倍量使用し、0.5~5時間程度で滴下する。
【0016】
その結果、金及び遷移金属から成るクラスターがスチレン系高分子に担持された形態となる。このクラスターは還元された金と遷移金属を含む。このクラスターは金と遷移金属との合金であると考えられる。このクラスター中の金と遷移金属との比は、上記クラスター形成時に投入された金と遷移金属との比にほぼ等しい。このクラスターの大きさは、1~10nmである。
【0017】
このように金及び遷移金属を担持したスチレン系高分子は、エポキシ基を有する場合には、架橋性官能基(エポキシ基と水酸基)により架橋することができる。
架橋反応は、加熱や酸処理、紫外線照射、好ましくは加熱により架橋性官能基を反応させることにより行う。架橋反応は、これらの方法以外にも、使用する直鎖型有機高分子化合物を架橋するための従来公知の方法である、例えば架橋剤を用いる方法、過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合触媒を用いる方法、酸又は塩基を添加して加熱する方法、例えばカルボジイミド類のような脱水縮合剤と適当な架橋剤を組み合わせて反応させる方法等に準じても行うことができる。
架橋性官能基を加熱により架橋させる際の温度は、通常50~200℃、好ましくは120~180℃、より好ましくは140~180℃である。
加熱架橋反応させる際の反応時間は、通常0.1~100時間、好ましくは1~50時間、より好ましくは2~10時間である。
【0018】
このようにして、0価の金及び遷移金属を担持させたスチレン系高分子を、更に、無機担体に固定してもよい。このような無機担体として、シリカゲル、中性アルミナ、塩基性アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物、ヒドロキシアパタイト、ガラス等を用いることができる。
【0019】
本発明の高分子担持二元金属クラスター触媒は、アミンの酸化反応、アリル位酸化反応、ベンジル位酸化反応、エステル化反応、キノン合成、エポキシ化反応等の反応を触媒するが、特にアルコールを酸化してカルボニル化合物を製造する反応に対して高い触媒活性を示す。
アルコールの酸化反応の基質であるアルコールに特に限定はない。アルコールの水酸基の数に特に限定はなく、それらは1、2級のいずれのアルコールであってもよい。アルコールをRCHOHで表した場合、Rは水素原子、脂肪族基、脂環式脂肪族基、又は芳香族基であってもよく、ヘテロ原子が含まれていてもよい。Rは脂肪族基、脂環式脂肪族基、又は芳香族基であってもよく、ヘテロ原子が含まれていてもよい。
【0020】
本発明の触媒をアルコールの酸化反応に用いる場合、金クラスター触媒(非特許文献1、特許文献1)を用いる場合と異なり、塩基を必要としない。この塩基とは、塩基及び弱酸と強塩基の塩を含み、例えば、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)、炭酸カリウム(K2CO3)、三級アミン(例:トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等)等をいう。
【0021】
アルコールの酸化反応は液相で行われ、触媒の濃度は0.01~10 mol%、好ましくは0.1~5 mol%、最も好ましくは1 mol%程度である。
基質の濃度は通常0.01~3mmol/ml、好ましくは0.05~0.5mmol/mlである。
溶媒は特に制限されず、水のみ、有機溶媒のみ、水と有機溶媒の混合溶媒のいずれも用いることができる。有機溶媒としては水と混和しないものが望ましく、例えば、BTF(ベンゾトリフルオリド)、塩化メチレン、クロロホルム、トルエン、酢酸エチル、ジエチルエーテル等が挙げられる。混合溶媒の水と有機溶媒の比率は特に制限はないが、容積比が1:99~95:5の範囲が望ましく、さらに望ましくは1:1である。
反応条件は、酸素もしくは空気雰囲気下、通常0~60℃、好ましくは10~40℃、最も好ましくは室温で、反応時間は1~48時間である。
アルコールの酸化反応の結果、アルコールに対応するアルデヒドやケトンが生成する。
反応後は濾過により容易に触媒の回収が可能であり、触媒を繰り返し使用しても収率の低下はほとんどない。
【実施例】
【0022】
以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
製造例1
150 mLのTHFに水素化ナトリウム(60% in mineral oil, 5.2g)を加え、0℃にてその反応液にテトラエチレングリコール(25.4 g, 131 mmol)を加えた。室温で1時間撹拌した後 1-クロロメチル-4-ビニルベンゼン(13.3 g, 87.1 mmol)を加え、さらに12時間撹拌を続けた。0℃に冷却しジエチルエーテルを加え、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、反応を停止した。水相をエーテルで抽出した後、併せた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下留去した。得られた残さをシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、テトラエチレングリコールモノ-2-フェニル-2-プロペニルエーテルを得た(20.6 g, 66.2 mmol, 76%)。
1H NMR (CDCl3) δ 2.55-2.59 (m, 1H), 3.59-3.73 (m, 16H), 4.55 (s, 2H), 5.25 (d, 1H, J = 6.4 Hz), 5.53 (d, 1H, J = 18 Hz), 6.71 (dd, 1H, J = 11.0, 17.9 Hz), 7.22-7.27 (m, 3H), 7.31-7.39 (m, 2H); 13C NMR δ 61.8, 69.5, 70.5, 70.69, 70.74, 72.6, 73.0, 113.8, 126.3, 128.0, 136.0, 137.1, 138.0.
【0023】
製造例2
スチレン(1.9 g、18 mmol)、4-ビニルベンジルグリシジルエーテル(特許文献(WO2005/085307)に記載の方法に従って合成した。)(3.4 g、18 mmol)、製造例1で得たテトラエチレングリコールモノ-2-フェニル-2-プロペニルエーテル(5.6 g、18 mmol)、及び重合開始剤(和光純薬工業株式会社製V-70、164 mg、1 mmol)をクロロホルム(9 ml)に溶解させ、脱気操作後アルゴン中で室温、48時間攪拌した。反応液を室温まで冷却した後、THF200 mlを加えた反応液をエーテル1l中に0℃にてゆっくりと滴下し、得られた沈殿物を濾過分取した後、メタノールにて十分に洗浄した。その後、室温にて減圧乾燥させ透明ガム状固体として下式のスチレン系高分子(高分子A)(8.2g、x:y:z=32:32:36)を得た。コポリマーのモノマー成分の比は1H-NMRにより決定した。
【化6】
JP0005322422B2_000007t.gif

【0024】
実施例1
本実施例では、AuとPtから成る高分子担持二元金属クラスター触媒を製造した。
製造例2で得た高分子A800.0 mg及び水素化ホウ素ナトリウム50 mgを室温でジグライム(和光純薬工業株式会社製・特級)13 mLに溶解させ、この溶液へAuClPPh3(和光純薬工業株式会社製・特級)31.8mg及びNa2PtCl6(Strem社製・特級)34.8mg のジグライム4 mLに溶解させた溶液をゆっくり加えた。この溶液を室温で16時間撹拌した後に、ジエチルエーテル 80 mLを室温でゆっくり加えた。分散した金属を包み込んだ茶色の沈殿(触媒カプセル)が生じた。この触媒カプセルをジエチルエーテルで数回洗浄し、室温で乾燥した。
次にこの触媒カプセルを無溶媒条件で150℃で5時間加熱し、生成した茶色固体を塩化メチレンと水で洗浄し、乳鉢で砕いた。生じた粉末を無溶媒条件で170℃で5時間加熱することで茶色粉末625.9mgが生成した(以下「PI Pt/Au 1」という。)。
【0025】
得られた触媒PI Pt/Au 1(10-20mg)を硫酸及び硝酸の重量比1:1の混合液中で200℃で3時間加熱し、室温に戻した後に王水を加えた。この溶液のICP分析により触媒中の金と白金の含量を決定した。
得られた触媒PI Pt/Au 1について、走査型透過電子顕微鏡(STEM)(日本電子株式会社製、JEM2100F)及びエネルギー分散型X線分光法(EDS)(日本電子株式会社製, JEM2100F)により、クラスターの大きさ及びクラスター成分を確認した。
図1に走査型透過電子顕微鏡像(1)とエネルギー分散型X線分光像(2)を示す。図1から、PI Pt/Au 1には1.5~5 nmのクラスターが存在することが分る。
図2は、図1(2)の金属ナノ粒子部分(白点)とそれ以外の部分のEDSスペクトルを示す。金属ナノ粒子(クラスター)部分では金と白金が検出され、各クラスター中には両方の金属(Pt/Au)が存在することが分る(図2(1))。一方、金属ナノ粒子(クラスター)の存在しないバックグラウンド部分には金も白金も検出されなかった(図2(2))。
【0026】
実施例2~4
モル比(Au/Pt)を1/0.5、0.5/1、0.25/1として、実施例1と同様にして、それぞれ触媒PI Pt/Au 2、PI Pt/Au 3、PI Pt/Au 4を得た。
実施例5
Na2PtCl6の代わりに等モル数のPd(OAc)2(関東化学株式会社製・特級)を用いて、実施例1と同様にして触媒(PI Pd/Au)を得た。
実施例6~8
Na2PtCl6の代わりに等モル数のNi(OAc)2(関東化学株式会社製・特級)を用いて、実施例1と同様にして触媒(PI Ni/Au 1)を得た。
その後、Ni前駆体を又はNiCl2(PPh3)2(関東化学株式会社製・特級)、Ni(PPh3)(関東化学株式会社製・特級)として、同様に、それぞれ触媒PI Ni/Au 2、PI Ni/Au 3を得た。
実施例9
Na2PtCl6の代わりに等モル数のHIr(PPh3)3(Strem社製・特級)を用いて、実施例1と同様にして触媒(PI Ir/Au)を得た。
【0027】
製造例3
高分子A800.0 mgと水素化ホウ素ナトリウム10.1 mgを室温でジグライム 13 mLに溶解させ、この溶液へAuClPPh3 31.1mgを ジグライム 3 mLに溶解させた溶液をゆっくり加えた。溶液は赤ワイン色になった。この溶液を室温で3時間撹拌した後に、ジエチルエーテル 30 mLを室温でゆっくり加えた。分散した金属を包み込んだ茶色の沈殿(触媒カプセル)が生じた。この触媒カプセルをジエチルエーテルで数回洗浄し、室温で乾燥した。次にこの触媒カプセルを無溶媒条件で150℃で5時間加熱し、生成した赤茶色固体を塩化メチレンと水で洗浄し、砕いて乾燥した。生じた赤茶色の粉末を無溶媒条件で150℃で5時間加熱することで赤茶色粉末が生成した(以下「PI Au」という。)。
PI Au 20-30mgを硫酸及び硝酸の混合液中で200℃で3時間加熱し、室温に戻した後に王水を加えた。この溶液のICP分析により触媒中の金の含量を決定した。
製造例4
AuClPPh3の代わりに等モル数のPd(OAc)2(関東化学株式会社製・特級)を用いて、製造例3と同様にして触媒(PI Pd)を得た。
製造例5
AuClPPh3の代わりに等モル数のNa2PtCl6(Strem社製・特級)を用いて、製造例3と同様にして触媒(PI Pt)を得た。
【0028】
以下の実施例及び比較例で、上記で得た触媒を用いてアルコールの酸化反応を検討した。反応生成物については、ガスクロマトグラフィーにより下記のいずれかの条件で各標品(市販試薬・特級)と生成物の保持時間(Retention time)が一致することを確認した。
条件1:
使用したガスクロマトグラフィー:島津製作所製、SHIMADZU GC-17A
Column: TCWAX (60 m, GL Science), キャリアガス圧力(159 kPa), 全流量(58 mL/min), カラム流量(1.6 mL/min), 線速度(32 cm/s), スプリット比(32),気化室温度 250℃, 検出器温度 250℃, 昇温条件 Int. Temp.: 100℃, Int. t. 0 min, Rate: 10℃/min, Fin. Temp.: 220℃, Fin. t. 30 min.
条件2:
使用したガスクロマトグラフィー:島津製作所製、SHIMADZU GC-2010
Column: DB-1 (60 m, Agilent technologies), キャリアガス圧力(157.5 kPa), 全流量(52.8 mL/min), カラム流量(1.25 mL/min), 線速度(23.6 cm/s), スプリット比(39.0)気化室温度 300℃, 検出器温度 300℃, 昇温条件 Int. Temp.: 100℃, Int. t. 0 min, Rate: 10℃/min, Fin. Temp.: 300℃, Fin. t. 30 min.
条件3:
使用したガスクロマトグラフィー:島津製作所製、SHIMADZU GC-17A
Column: TCWAX (60 m, GL Science), キャリアガス圧力(159 kPa), 全流量(58 mL/min), カラム流量(1.6 mL/min), 線速度(32 cm/s), スプリット比(32),気化室温度 250℃, 検出器温度 250℃, 昇温条件 Int. Temp.: 40℃, Int. t. 10 min, Rate: 15℃/min, Fin. Temp.: 220℃, Fin. t. 30 min.
【0029】
実施例10
sec-フェネチルアルコール(関東化学株式会社製・特級)(29.4 mg)、実施例1で得たPI Pt/Au 1 (Au: 0.056 mmol/g, Pt: 0.062 mmol/g, 48.1 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(関東化学株式会社製・特級)(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で12時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し、アセトフェノン(29.0 mg, 収率>99%)を得た。GC 条件1、Retention time: 11.9 min.
【化7】
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次に、sec-フェネチルアルコール(30.8 mg)、PI Pt/Au 1 (Au: 0.051 mmol/g, Pt: 0.054 mmol/g, 47.0 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で3時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し、アセトフェノン(28.7 mg, 収率95%)を得た。GC 条件1、Retention time: 11.9 min.
【0030】
実施例11
sec-フェネチルアルコール(31.7 mg)、実施例2で得たPI Pt/Au 2 (Au: 0.065 mmol/g, Pt: 0.036 mmol/g, 46.5 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で3時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し、アセトフェノン(25.4 mg, 収率82%)を得た。GC 条件1、Retention time: 11.9 min.
実施例12
sec-フェネチルアルコール(29.5 mg)、実施例3で得たPI Pt/Au 3 (Au: 0.057 mmol/g, Pt: 0.134 mmol/g, 45.7 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で3時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し、アセトフェノン(25.8 mg, 収率88%)を得た。GC 条件1、Retention time: 11.9 min.
【0031】
実施例13
sec-フェネチルアルコール(29.7 mg)、実施例4で得たPI Pt/Au 4 (Au: 0.226 mmol/g, Pt: 1.003 mmol/g, 10.5 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で3時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し、アセトフェノン(21.6 mg, 収率74%)を得た。GC 条件1、Retention time: 11.9 min.
実施例14
sec-フェネチルアルコール(30.2 mg)、実施例5で得たPI Pd/Au (Au: 0.070 mmol/g, Pd: 0.048 mmol/g, 59.3 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で12時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し、アセトフェノン(29.9 mg, 収率>99%)を得た。GC 条件1、Retention time: 11.9 min.
次に、sec-フェネチルアルコール(30.1 mg)、PI Pd/Au (Au: 0.070 mmol/g, Pd: 0.048 mmol/g, 32.6 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で3時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し、アセトフェノン(24.9 mg, 収率72%)を得た。GC 条件1、Retention time: 11.9 min.
【0032】
実施例15
sec-フェネチルアルコール(31.7 mg)、実施例6で得たPI Ni/Au 1 (Au: 0.058 mmol/g, 41.5 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で12時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し、アセトフェノン(22.0 mg, 収率72%)を得た。GC 条件1、Retention time: 11.9 min.
実施例16
sec-フェネチルアルコール(30.1 mg)、実施例7で得たPI Ni/Au 2 (Au: 0.062 mmol/g, 45.9 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で12時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し、アセトフェノン(21.9 mg, 収率72%)を得た。GC 条件1、Retention time: 11.9 min.
実施例17
sec-フェネチルアルコール(30.1 mg)、実施例8で得たPI Ni/Au 3 (Au: 0.044 mmol/g, 58.2 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で12時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し、アセトフェノン(17.4 mg, 収率57%)を得た。GC 条件1、Retention time: 11.9 min.
実施例18
sec-フェネチルアルコール(30.1 mg)、実施例9で得たPI Ir/Au (Au: 0.061 mmol/g, 40.0 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で12時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し、アセトフェノン(15.0 mg, 収率51%)を得た。GC 条件1、Retention time: 11.9 min.
【0033】
比較例1
sec-フェネチルアルコール(30.3 mg)、製造例3で得たPI Au (Au: 0.056 mmol/g, 47.3 mg)、水(1.5 mL)、炭酸カリウム(和光純薬工業株式会社製・特級) (100.0 mg) ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で3時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し、アセトフェノン(28.3 mg, 収率95%)を得た。GC 条件1、Retention time: 11.9 min.
次に、sec-フェネチルアルコール(123.6 mg)、PI Au (Au: 0.063 mmol/g, 159.3 mg)、水(3.0 mL)、炭酸カリウム(424.7 mg)とベンゾトリフルオリド(3.0 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で12時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(40 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し、アセトフェノン(121.1 mg, 収率>99%)を得た。GC 条件1、Retention time: 11.9 min.
【0034】
比較例2
sec-フェネチルアルコール(31.4 mg)、PI Au (Au: 0.061 mmol/g, 44.8 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で3時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し、アセトフェノン(5.7 mg, 収率18%)を得た。GC 条件1、Retention time: 11.9 min.
次に、sec-フェネチルアルコール(29.4 mg)、PI Au (Au: 0.061 mmol/g, 43.7 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で12時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(40 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し、アセトフェノン(14.0 mg, 収率49%)を得た。GC 条件1、Retention time: 11.9 min.
【0035】
比較例3
sec-フェネチルアルコール(30.8 mg)、製造例4で得たPI Pd (Pd: 0.060 mmol/g, 41.2 mg)、水(1.5 mL)、炭酸カリウム(100.8 mg)とベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で12時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(40 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し、アセトフェノン(0 mg, 収率0%)を得た。GC 条件1、Retention time: 11.9 min.
比較例4
sec-フェネチルアルコール(31.9 mg)、PI Pd (Pd: 0.060 mmol/g, 43.9mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で12時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(40 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し、アセトフェノン(0 mg, 収率0%)を得た。GC 条件1、Retention time: 11.9 min.
比較例5
sec-フェネチルアルコール(31.9 mg)、製造例5で得たPI Pt (Pt: 0.066 mmol/g, 45.0mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(関東・特級)(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で12時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(40 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し、アセトフェノン(3.4 mg, 収率11%)を得た。GC 条件1、Retention time: 11.9 min.
比較例6
sec-フェネチルアルコール(30.7 mg)、PI Pt (Pt: 0.066 mmol/g, 40.9 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で12時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(40 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し、アセトフェノン(1.9 mg, 収率5%)を得た。GC 条件1、Retention time: 11.9 min.
次に、sec-フェネチルアルコール(32.8 mg)、PI Pt (Pt: 0.066 mmol/g, 45.3 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で3時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(40 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し、アセトフェノン(0.27 mg, 収率0.80%)を得た。GC 条件1、Retention time: 11.9 min.
【0036】
実施例19
ベンジルアルコール(関東化学株式会社製・特級)(26.3 mg)、PI Pt/Au 1 (Au: 0.073 mmol/g, Pt: 0.076 mmol/g, 41.3 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド (1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で5時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し、ベンズアルデヒド(24.0 mg, 収率93%)を得た。GC 条件2、Retention time: 7.4 min.
比較例7
ベンジルアルコール(26.3 mg)、PI Au (Au: 0.073 mmol/g, 34.2 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)、炭酸カリウム(115.0 mg)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で24時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し、ベンズアルデヒド(15.9 mg, 収率66%)を得た。GC 条件2、Retention time: 7.4 min.
【0037】
実施例20
4-メチルベンジルアルコール(関東化学株式会社製・特級)(31.6 mg)、PI Pt/Au 1 (Au: 0.073 mmol/g, Pt: 0.076 mmol/g, 39.6 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で5時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し、p-トルアルデヒド(27.2 mg, 収率88%)を得た。GC 条件2、Retention time: 8.7 min.
実施例21
4-メトキシベンジルアルコール(関東化学株式会社製・特級)(34.8mg)、PI Pt/Au 1 (Au: 0.073 mmol/g, Pt: 0.076 mmol/g, 41.6 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で5時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し、4-メトキシベンズアルデヒド(31.0 mg, 収率90%)を得た。GC 条件2、Retention time: 10.7 min.
実施例22
4-クロロベンジルアルコール(関東化学株式会社製・特級)(36.4 mg)、PI Pt/Au 1 (Au: 0.076 mmol/g, Pt: 0.070 mmol/g, 96.3 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で5時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し4-クロロベンズアルデヒド(30.8 mg, 収率86%)を得た。GC 条件2、Retention time: 9.2 min.
【0038】
実施例23
1-(ナフタレン2-イル)エタノール(関東化学株式会社製・特級)(35.5 mg)、PI Pt/Au 1 (Au: 0.061 mmol/g, Pt: 0.069 mmol/g, 38.1 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で18時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し、1-(ナフタレン2-イル)エタノン(37.5 mg, 収率>99%)を得た。GC 条件1、Retention time: 31.0 min.
実施例24
(ナフタレン1-イル)メタノール(関東化学株式会社製・特級)(38.7 mg)、PI Pt/Au 1 (Au: 0.061 mmol/g, Pt: 0.069 mmol/g, 41.6 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で18時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し1-ナフトアルデヒド(32.8 mg, 収率93%)を得た。GC 条件2、Retention time: 14.9 min.
実施例25
シンナミルアルコール(関東化学株式会社製・特級)(30.7 mg)、PI Pt/Au 1 (Au: 0.061 mmol/g, Pt: 0.069 mmol/g, 39.5 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で18時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定しシンナムアルデヒド(28.5 mg, 収率94%)を得た。GC 条件2、Retention time: 11.0 min.
【0039】
実施例26
sec-フェネチルアルコール(29.8 mg)、PI Pt/Au 1 (Au: 0.046 mmol/g, Pt: 0.0545 mmol/g, 159.4 mg)、水(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で12時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し、アセトフェノン(29.0 mg, 収率>99%)を得た。GC 条件1、Retention time: 11.9 min.
実施例27
4-フェニル2-ブタノール(関東化学株式会社製・特級)(21.0 mg)、PI Pt/Au 1 (Au: 0.078 mmol/g, Pt: 0.070 mmol/g, 65.0 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温36時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し4-フェニル2-ブタノン(20.5 mg, 収率>99%)を得た。GC 条件1、Retention time: 14.6 min.
実施例28
4-フェニル2-ブタノール(33.8 mg)、PI Pt/Au 1 (Au: 0.051 mmol/g, Pt: 0.046 mmol/g, 147.9 mg)、水(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で84時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し、アセトフェノン(29.0 mg, 収率87%)を得た。GC 条件1、Retention time: 14.6 min.
【0040】
実施例29
2-ブタノール(関東化学株式会社製・特級)(21.2 mg)、PI Pt/Au 1 (Au: 0.043 mmol/g, Pt: 0.046 mmol/g, 60.7 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温で8時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し2-ブタノン(13.7 mg, 収率67%)を得た。GC 条件3、Retention time: 7.8 min.
実施例30
シクロペンタノール(関東化学株式会社製・特級)(19.7 mg)、PI Pt/Au 1 (Au: 0.043 mmol/g, Pt: 0.046 mmol/g, 134.2 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温115時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定しシクロペンタノン(17.4 mg, 収率90%)を得た。GC 条件1、Retention time: 6.9 min.
実施例31
1-(2-チエニル)エタノール(関東化学株式会社製・特級)(21.6 mg)、PI Pt/Au 1 (Au: 0.054 mmol/g, Pt: 0.050 mmol/g, 80.6 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温96時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し2-アセチルチオフェン(20.0 mg, 収率94%)を得た。GC 条件1、Retention time: 13.6 min.
実施例32
1-(2-ピリジル)エタノール(関東化学株式会社製・特級)(29.9 mg)、PI Pt/Au 1 (Au: 0.043 mmol/g, Pt: 0.046 mmol/g, 108.4 mg)、水(1.5 mL)、ベンゾトリフルオリド(1.5 mL)を丸底フラスコ内で混合した。酸素雰囲気下、室温48時間撹拌した後、触媒を濾過してジエチルエーテルと水で洗浄することによって回収した。水相はジエチルエーテル(20 mL)で洗浄した。収率は、アニソールを内部標準物質としてガスクロマトグラフィーで決定し2-アセチルピリジン(23.5 mg, 収率94%)を得た。GC 条件1、Retention time: 11.7 min.
【0041】
以上の実施例で示したように、金と遷移金属からなる本発明の高分子担持二元金属クラスター触媒を用いた場合、芳香族二級アルコールは円滑に酸化され、対応するケトンを定量的に与えた(実施例10~18)。一方、金のみから成る金クラスター触媒は、高活性を得るためには塩基(炭酸カリウム、K2CO3)が必要であり(比較例1等)、塩基を用いない場合には、収率は低い(比較例2等)。
脂肪族アルコールは活性が低いが、反応時間をのばすことで対応するケトンがやはり高い収率で得られた(実施例27~30)。一級の芳香族アルコール及びアリルアルコールでは、電子供与性基を有するものも電子吸引性基を有するものも、前述の二級アルコールの場合と同じ条件で酸化反応は円滑に進行し、対応するアルデヒドを高い収率で与えた。カルボン酸は生成しなかった(実施例19~22,24,25)。これは、塩基を用いないことにより、反応系が中性に近くなり、温和な条件であることで副反応が抑えられて酸化反応が円滑に進むものと考えられる。
硫黄や窒素のような金ナノ粒子に強く配位することが知られているヘテロ原子を含むアルコールを用いた場合も、酸化は円滑に進行して目的とするケトンを高い収率で与えた(実施例31,32)。
一方、PI Auを用いた場合は、過剰酸化によってカルボン酸やエステルが生成するなど副反応が起こり、酸化反応が円滑に進行しない(比較例7)。しかし、本発明の高分子担持二元金属クラスター触媒を用いた場合(実施例19)、副反応が抑えられ、酸化反応が円滑に進行した。
【0042】
実施例33
実施例1で得た触媒(PI Pt/Au 1)を用いて、実施例10と同じ反応における触媒の回収及び再使用の検討を行った。触媒は、反応後に濾過してジエチルエーテルと水で洗浄し乾燥することによって回収し、無溶媒条件で水素雰囲気下、170℃で5時間加熱した後に次の反応に用いた。この触媒は、活性の低下を伴うことなく再使用できた。
生成したアセトフェノンの収率を下表に示す。
【表1】
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【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施例1で得た触媒PI Pt/Au 1の走査型透過電子顕微鏡像(1)と、同じ場所のエネルギー分散型X線分光像(2)を示す。(1)の黒点と(2)の白点は金属ナノ粒子を示す。
【図2】実施例1で得た触媒PI Pt/Au 1のエネルギー分散型X線分光スペクトルを示す。(1)は図1のEDS像の金属ナノ粒子部分、(2)は金属ナノ粒子以外の部分のスペクトルを示す。
図面
【図2】
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【図1】
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