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明細書 :マイクロ波発生装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4022624号 (P4022624)
公開番号 特開2005-117451 (P2005-117451A)
登録日 平成19年10月12日(2007.10.12)
発行日 平成19年12月19日(2007.12.19)
公開日 平成17年4月28日(2005.4.28)
発明の名称または考案の名称 マイクロ波発生装置
国際特許分類 H03B   9/10        (2006.01)
H03L   7/00        (2006.01)
FI H03B 9/10
H03L 7/00 A
請求項の数または発明の数 4
全頁数 9
出願番号 特願2003-350463 (P2003-350463)
出願日 平成15年10月9日(2003.10.9)
審査請求日 平成15年10月9日(2003.10.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】松本 紘
【氏名】篠原 真毅
個別代理人の代理人 【識別番号】100104765、【弁理士】、【氏名又は名称】江上 達夫
【識別番号】100107331、【弁理士】、【氏名又は名称】中村 聡延
審査官 【審査官】崎間 伸洋
参考文献・文献 特開2002-043848(JP,A)
特開昭61-290804(JP,A)
特開平08-078194(JP,A)
特開昭60-123110(JP,A)
特開平02-044686(JP,A)
特開昭51-124844(JP,A)
篠原真毅、三谷友彦、松本紘,位相制御型マグネトロンの開発研究,電子情報通信学会論文誌,2001年 4月20日,Vol.J84-C No.3,p.199-p.206
調査した分野 H03B 9/10
H03L 7/00
特許請求の範囲 【請求項1】
アノード及びカソードを有し、そのアノードに供給される電流によって発振し、マイクロ波を発生するマグネトロンと、
前記マイクロ波の周波数/位相と振幅のうちのいずれか一方を、電場を変動させることによって制御する電場制御手段と、
前記マイクロ波の周波数/位相と振幅のうちの他方を、磁場を変動させることによって安定化する磁場変動手段と、
(i)前記マグネトロンの固有発振周波数に近い固有周波数を有する基準信号を、前記マグネトロンに注入して、前記マグネトロンの発振周波数を前記基準信号の周波数に引き込んで同期を取ることによって、前記マイクロ波の周波数/位相を制御する注入同期手段と、
(ii)前記マイクロ波の振幅が前記基準信号の振幅と一致するように前記マイクロ波の振幅を制御する手段と
を具えることを特徴とするマイクロ波発生装置。
【請求項2】
アノード及びカソードを有し、そのアノードに供給される電流によって発振し、マイクロ波を発生するマグネトロンと、
前記マイクロ波の周波数/位相と振幅のうちのいずれか一方を、電場を変動させることによって制御する電場制御手段と、
前記マイクロ波の周波数/位相と振幅のうちの他方を、磁場を変動させることによって制御する磁場制御手段と、
(i)前記マグネトロンの固有発振周波数に近い固有周波数を有する基準信号を、前記マグネトロンに注入して、前記マグネトロンの発振周波数を前記基準信号の周波数に引き込んで同期を取ることによって、前記マイクロ波の周波数/位相を制御する注入同期手段と、
(ii)前記マイクロ波の振幅が前記基準信号の振幅と一致するように前記マイクロ波の振幅を制御する手段と
を具えることを特徴とするマイクロ波発生装置。
【請求項3】
アノード及びカソードを有し、そのアノードに供給される電流によって発振し、マイクロ波を発生するマグネトロンと、
前記マイクロ波の振幅を、電場を変動させることによって制御する電場制御手段と、
前記マイクロ波の周波数/位相を、磁場を変動させることによって安定化する磁場変動手段と
(i)前記マグネトロンの固有発振周波数に近い固有周波数を有する基準信号を、前記マグネトロンに注入して、前記マグネトロンの発振周波数を前記基準信号の周波数に引き込んで同期を取ることによって、前記マイクロ波の周波数/位相を制御する注入同期手段と、
(ii)前記マイクロ波の振幅が前記基準信号の振幅と一致するように前記マイクロ波の振幅を制御する手段と
を具えることを特徴とするマイクロ波発生装置。
【請求項4】
アノード及びカソードを有し、そのアノードに供給される電流によって発振し、マイクロ波を発生するマグネトロンと、
前記マイクロ波の振幅を、電場を変動させることによって制御する電場制御手段と、
前記マイクロ波の周波数/位相を、磁場を変動させることによって制御する磁場制御手段と
(i)前記マグネトロンの固有発振周波数に近い固有周波数を有する基準信号を、前記マグネトロンに注入して、前記マグネトロンの発振周波数を前記基準信号の周波数に引き込んで同期を取ることによって、前記マイクロ波の周波数/位相を制御する注入同期手段と、
(ii)前記マイクロ波の振幅が前記基準信号の振幅と一致するように前記マイクロ波の振幅を制御する手段と
を具えることを特徴とするマイクロ波発生装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネトロンを発振源とするマイクロ波発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
主に加熱装置として使用されているこのようなマイクロ波発生装置としては、民生用マグネトロンの磁石部分にコイルを巻き、磁場強度の制御及び注入同期を組み合わせて、マグネトロンから発振したマイクロ波の周波数/位相制御を実現したもの(例えば、特許文献1参照)や、民生用マグネトロンの電源に対する位相同期ループ(PLL)及び注入同期を組み合わせて、マグネトロンから発振したマイクロ波の周波数/位相制御を実現したもの(例えば、特許文献2参照)が提案されている。

【特許文献1】特願昭60-123110号公報
【特許文献2】特開2002-43848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1,2に記載されたような従来のマイクロ波発生装置では、マイクロ波の周波数/振幅の制御に対しては所望の特性が得られるものの、マイクロ波の振幅の制御が困難となるため、加熱装置への適用に止まっている。したがって、マグネトロンのマイクロ波の周波数/位相を安定化し又は制御しながら、マグネトロンのマイクロ波の振幅を同時に安定化し又は制御する必要があるプラズマ発生装置、通信装置、レーダ装置等には従来のマイクロ波発生装置を適用できないのが現状である。
【0004】
本発明の目的は、マグネトロンのマイクロ波の周波数/位相を安定化し又は制御し、これと同時にマグネトロンのマイクロ波の振幅を安定化し又は制御することができるマイクロ波発生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるマイクロ波発生装置は、
アノード及びカソードを有し、そのアノードに供給される電流によって発振し、マイクロ波を発生するマグネトロンと、
前記マイクロ波の周波数/位相と振幅のうちのいずれか一方を、電場を変動させることによって制御する電場変動手段と、
前記マイクロ波の周波数/位相と振幅のうちの他方を、磁場を変動させることによって安定化する磁場変動手段とを具えることを特徴とする。
【0006】
本発明による他のマイクロ波発生装置は、
アノード及びカソードを有し、そのアノードに供給される電流によって発振し、マイクロ波を発生するマグネトロンと、
前記マイクロ波の周波数/位相と振幅のうちのいずれか一方を、電場を変動させることによって制御する電場変動手段と、
前記マイクロ波の周波数/位相と振幅のうちの他方を、磁場を変動させることによって制御する磁場制御手段とを具えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によるマイクロ波発生装置によれば、マイクロ波の周波数/位相と振幅のうちのいずれか一方を、電場を変動させることによって制御するとともに、マイクロ波の周波数/位相と振幅のうちの他方を、磁場を変動させることによって安定化する。これによって、マイクロ波の周波数/位相と振幅のうちの一方を制御し、これと同時に、マイクロ波の周波数/位相と振幅のうちの他方を安定化することができるようになる。
【0008】
本発明による他のマイクロ波発生装置によれば、マイクロ波の周波数/位相と振幅のうちのいずれか一方を、電場を変動させることによって制御するとともに、マイクロ波の周波数/位相と振幅のうちの他方を、磁場を変動させることによって制御する。これによって、マイクロ波の周波数/位相と振幅とを同時に制御することができるようになる。
【0009】
なお、本明細書中、「安定化」とは、マイクロ波の周波数/位相及び振幅並びにマイクロ波発生装置の出力を所定の範囲内に収まるよう受動的に変化させることを意味し、「制御」とは、マイクロ波の周波数/位相及び振幅並びにマイクロ波発生装置の出力を外部から能動的に変化させることを意味する。
【0010】
好適には、前記マグネトロンの固有発振周波数に近い固有周波数を有する基準信号を、前記マグネトロンに注入して、前記マグネトロンの発振周波数を前記基準信号の周波数に引き込んで同期をとることによって、前記マイクロ波の周波数/位相を更に制御する注入同期手段を更に具える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明によるマイクロ波発生装置の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図面中、同一構成要素には同一符号を付すものとする。
図1は、本発明によるマイクロ波発生装置の第1の実施の形態を示す図である。このマイクロ波発生装置は、マグネトロン1と、高圧直流安定化電源2と、方向性結合器3と、減衰器及び位相又は振幅調整器4と、位相又は振幅比較器5と、基準信号発生器6と、可変移相器7とを具える。
【0012】
マグネトロン1の図示しないアノード(陽極)・カソード(陰極)間には、高圧直流安定化電源2から高圧直流電流(以下、「アノード電流」と称する。)が流され、これによって、マグネトロン1が発振状態に設定される。マグネトロン1から放射されるマイクロ波は、方向性結合器3を通じて外部出力され、例えばホーンアンテナなどの給電系に送出される。
【0013】
方向性結合器3は、マイクロ波出力の一部を減衰器及び位相又は振幅調整器4に分岐出力し、かかる分岐出力は、減衰器及び位相又は振幅調整器4によって減衰及び位相又は振幅調整された後、位相又は振幅比較器5に供給される。
【0014】
基準信号発生器6は、マグネトロン1の固有発振周波数に近い周波数を有する基準信号を発生するものであり、発生した基準信号は、可変移相器7を通じて位相又は振幅比較器5に供給される。
【0015】
位相又は振幅比較器5は、マイクロ波と基準信号とを周波数/位相と振幅のうちの一方について比較し、比較の結果に応じて、マイクロ波の周波数/位相と振幅のうちの一方が基準信号のものに一致するように、アノード電流を変化させる。これによって、マイクロ波の周波数/位相の制御と振幅の安定化のうちのいずれか一方は、電場の変動により制御される。
【0016】
これと平行して、マグネトロン1の図示しない磁石に巻かれた図示しないコイルの電流を手動によって変化させることによって、マイクロ波の周波数/位相と振幅のうちの他方は、受動的な磁場の変動により安定化される。その結果、本実施の形態によれば、電源に対する位相同期ループ(PLL)フィードバックによって、マイクロ波の周波数/位相と振幅のうちの一方が制御され、これと同時に、コイルへの電流を変化させることによって、マイクロ波の周波数/位相と振幅のうちの他方を安定化することができるようになる。
【0017】
図2は、本発明によるマイクロ波発生装置の第2の実施の形態を示す図である。このマイクロ波発生装置は、マグネトロン1と、高圧直流安定化電源2と、方向性結合器3’と、減衰器及び位相又は振幅調整器4と、位相又は振幅比較器5と、基準信号発生器6と、可変移相器7と、位相又は振幅比較器8とを具える。
【0018】
本実施の形態では、方向性結合器3’は、マイクロ波出力の一部を減衰器及び位相又は振幅調整器4の他に位相又は振幅比較器8にも分岐出力する。位相又は振幅比較器8には、基準信号も供給され、マイクロ波と基準信号とを強度について比較し、比較の結果に応じて、マイクロ波の強度が基準信号のものに一致するように、図示しないコイルの電流を能動的に変化させる。これによって、マイクロ波の周波数/位相の制御と振幅の安定化のうちの他方は、電場の変動により制御される。これによって、マイクロ波の周波数/位相と振幅とを同時に制御することができるようになる。
【0019】
図3は、本発明によるマイクロ波発生装置の第3の実施の形態を示す図である。このマイクロ波発生装置は、マグネトロン1と、高圧直流安定化電源2と、方向性結合器3と、減衰器及び位相又は振幅調整器4と、位相又は振幅比較器5と、基準信号発生器6と、可変移相器7と、分配器9と、サーキュレータ10とを具える。
【0020】
本実施の形態では、基準信号が、可変移相器7を通じて分配器9に供給される。この分配器9は、入力された基準信号を2系統に分配するものであり、一方の系統の基準信号は、サーキュレータ10に供給され、他方の系統の基準信号は、位相又は振幅比較器5に供給される。
【0021】
サーキュレータ10は、分配器9から供給される基準信号を第1端子から入力し、この入力基準信号を第2端子から出力してマグネトロン1に注入し、マグネトロン1から放射されるマイクロ波を第2端子から取り込んで第3端子から出力する。サーキュレータ10から出力されるマイクロ波は、方向性結合器3を通じて外部に出力され、例えばホーンアンテナなどの給電系に送出される。
【0022】
マグネトロン1の発振状態において、基準信号発生器6で発生した、マグネトロン1の固有発振周波数に近い周波数を有する基準信号が、サーキュレータ10を通じてマグネトロン1に注入される。その結果、マグネトロン1の発振周波数は、基準信号の周波数に引き込まれていく。
【0023】
マグネトロン1から放射されるマイクロ波は、サーキュレータ10及び方向性結合器3を通じて外部に出力される。この際、サーキュレータ10の有する特性により、マイクロ波出力が基準信号入力側に戻ることはない。
【0024】
本実施の形態によれば、電源に対するPLLフィードバックによって、マイクロ波の周波数/位相と振幅のうちの一方が制御され、これと同時に、コイルへの電流を変化させることによって、マイクロ波の周波数/位相と振幅のうちの他方を安定化することができるようになる。また、同期注入法により、マグネトロン1の発振周波数を基準信号の周波数に引き込み、フィードバック制御によって周波数/位相の同期をとることができる。この際、マグネトロン1のアノード電流を制御することによって周波数/位相の同期をとっているので、制御幅を極めて広くとることができ、これによって、安定性が更に向上する。
【0025】
図4は、本発明によるマイクロ波発生装置の第4の実施の形態を示す図である。このマイクロ波発生装置は、マグネトロン1と、高圧直流安定化電源2と、方向性結合器3と、減衰器及び位相又は振幅調整器4と、位相又は振幅比較器5と、基準信号発生器6と、可変移相器7と、位相又は振幅比較器8と、分配器9と、サーキュレータ10とを具える。
【0026】
本実施の形態によれば、マイクロ波の周波数/位相と振幅とを同時に制御することができるようになり、かつ、安定性が更に向上する。
【0027】
図5は、従来のマイクロ波発生装置の実験結果を示す図であり、図6は、本発明によるマイクロ波発生装置の実験結果を示す図である。なお、従来のマイクロ波発生装置としては、図1のマイクロ波発生装置においてマグネトロン1のコイルの電流を変化させないものを使用し、本発明によるマイクロ波発生装置として、図3のマイクロ波発生装置を使用した。
【0028】
従来のマイクロ波発生装置では、図5Aに示すように50秒間で位相差を10°前後に収めたとしても、図5Bに示すように出力電力が約40Wも変動していることがわかる。
【0029】
それに対して、本発明によるマイクロ波発生装置では、10~15秒の間に出力電力が450Wから600Wまで増大する(図5B)ようにマグネトロン1のコイルの電流を増大し(図6D)、それに応じて陰極電流制御電圧が6.5Vから7Vまで増大した(図6C)としても、位相差が25秒以降で零の状態で安定していることがわかる。
【0030】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
例えば、上記実施の形態において、電源に対するPLLフィードバックによって電場を変動させるとともに、コイルの電流を受動的又は能動的に変化させることによって磁場を変動させているが、電場の変動及び磁場の変動を、他の任意の手法によって行なうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、マイクロ波の周波数/位相を安定化し又は制御しながら、マグネトロンのマイクロ波の振幅を同時に安定化し又は制御することができるため、加熱装置のみならず、マイクロ波の周波数/位相及び振幅を同時に安定化し又は制御することが必要とされる通信用途又はエネルギー伝送用途(例えば、プラズマ発生装置、通信装置、レーダ装置)のマイクロ波を利用する種々の装置を廉価に構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明によるマイクロ波発生装置の第1の実施の形態を示す図である。
【図2】本発明によるマイクロ波発生装置の第2の実施の形態を示す図である。
【図3】本発明によるマイクロ波発生装置の第3の実施の形態を示す図である。
【図4】本発明によるマイクロ波発生装置の第4の実施の形態を示す図である。
【図5】従来のマイクロ波発生装置の実験結果を示す図である。
【図6】本発明によるマイクロ波発生装置の実験結果を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1 マグネトロン
2 高圧直流安定化電源
3,3’ 方向性結合器
4 減衰器及び位相又は振幅調整器
5,8 位相又は振幅比較器
6 基準信号発生器
7 可変移相器
9 分配器
10 サーキュレータ
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5