TOP > 国内特許検索 > マイクロフロー電気化学リアクター、及びそれを用いた有機化合物の合成方法 > 明細書

明細書 :マイクロフロー電気化学リアクター、及びそれを用いた有機化合物の合成方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4779108号 (P4779108)
公開番号 特開2006-104538 (P2006-104538A)
登録日 平成23年7月15日(2011.7.15)
発行日 平成23年9月28日(2011.9.28)
公開日 平成18年4月20日(2006.4.20)
発明の名称または考案の名称 マイクロフロー電気化学リアクター、及びそれを用いた有機化合物の合成方法
国際特許分類 C25B   3/00        (2006.01)
C25B   9/00        (2006.01)
FI C25B 3/00
C25B 9/00 G
請求項の数または発明の数 18
全頁数 14
出願番号 特願2004-294227 (P2004-294227)
出願日 平成16年10月6日(2004.10.6)
審査請求日 平成19年8月20日(2007.8.20)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】吉田 潤一
【氏名】菅 誠治
個別代理人の代理人 【識別番号】100107515、【弁理士】、【氏名又は名称】廣田 浩一
【識別番号】100107733、【弁理士】、【氏名又は名称】流 良広
【識別番号】100115347、【弁理士】、【氏名又は名称】松田 奈緒子
審査官 【審査官】伊藤 寿美
参考文献・文献 特表2004-530044(JP,A)
特開2000-046797(JP,A)
特開平02-004993(JP,A)
調査した分野 C25B 1/00- 9/04,
13/00-15/08
C02F 1/46- 1/48
B01J 19/00
特許請求の範囲 【請求項1】
陽極と陰極とを有し、該陽極における陰極対向面と、該陰極における陽極対向面との間隔が500μm以下であり、
(i)RH及び(RXHを含有する原料溶液が陽極に供給され、RX(R及びHを含有する反応生成物溶液が陰極から排出される、
(ii)2RHを含有する原料溶液が陽極に供給され、R-R及びHを含有する反応生成物溶液が陰極から排出される、及び
(iii)2RXHを含有する原料溶液が陽極に供給され、RXXR及びHを含有する反応生成物溶液が陰極から排出される、のいずれかであることを特徴とするマイクロフロー電気化学リアクター。
ただし、Rはアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、置換ベンジル基、置換アリール基、アシル基、スルホニル基、及びスルフィニル基の
いずれかを表し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、置換ベンジル基、置換アリール基、アシル基、スルホニル基、及びスルフィニル基の
いずれかを表し、Xは酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子のいずれかを表し、nは0又は1以上の整数を表す。
【請求項2】
陽極における陰極対向面と、陰極における陽極対向面との間が、空間である請求項1に記載のマイクロフロー電気化学リアクター。
【請求項3】
陽極における陰極対向面と、陰極における陽極対向面との間隔が、0μmを超え、300μm以下である請求項1から2のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクター。
【請求項4】
陽極と陰極とが、スペーサーで離設された請求項1から3のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクター。
【請求項5】
スペーサーが、絶縁体である請求項1から4のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクター。
【請求項6】
スペーサーが、多孔質体であり、該多孔質体における多数の孔部が、陽極と当接する側から、陰極と当接する側にかけて流体流通可能に形成された請求項1から5のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクター。
【請求項7】
多孔質体の多孔度が70%以上、孔径が0.1μm以上である請求項6に記載のマイクロフロー電気化学リアクター。
【請求項8】
多孔質体が、フッ素系樹脂製のフィルターである請求項6から7のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクター。
【請求項9】
陽極が、陽極セル中の陽極基体からなり、陰極が、陰極セル中の陰極基体からなる請求項1から8に記載のマイクロフロー電気化学リアクター。
【請求項10】
陽極セル中の陽極基体が導電性を有する多孔質体であり、該多孔質体における多数の孔部が、陰極セル側と反対側の表面から陰極セル側の表面へ流体流通可能であり、
陰極セル中の陰極基体が導電性を有する多孔質体であり、該多孔質体における多数の孔部が、陽極セル側の表面から陽極セル側と反対側の表面へ流体流通可能である請求項9に記載のマイクロフロー電気化学リアクター。
【請求項11】
陽極基体及び陰極基体が、炭素繊維からなる多孔質体シートである請求項9から10のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクター。
【請求項12】
原料溶液を供給する原料溶液供給室と、反応生成物溶液を排出する反応生成物排出室とを備え、
前記原料供給室の壁面の一部が陽極セルの表面で画成され、端部に前記原料溶液を供給可能な供給口を有し、
前記反応生成物排出室の壁面の一部が陰極セルの表面で画成され、端部に前記反応生成物溶液を排出可能な排出口を有する請求項1から11のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクター。
【請求項13】
下記式(I)~(III)で表される電気化学的反応であって、
請求項1から12のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクターに対し、原料溶液を陽極に供給し、反応生成物溶液を陰極から回収することを特徴とする有機化合物の合成方法。
H+(RXH → RX(R+H 式(I)
2RH → R-R+H 式(II)
2RXH → RXXR+H 式(III)
ただし、式(I)~(III)中、Rはアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、置換ベンジル基、置換アリール基、アシル基、スルホニル基、及びスルフィニル基のいずれかを表し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、置換ベンジル基、置換アリール基、アシル基、スルホニル基、及びスルフィニル基のいずれかを表し、Xは酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子のいずれかを表し、nは0又は1以上の整数を表す。
【請求項14】
電気化学的反応が、アルコキシ化反応、アシルオキシ化反応、アミド化反応、及びハロゲン化反応のいずれかである請求項13に記載の有機化合物の合成方法。
【請求項15】
原料溶液の溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、酢酸、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、水、及びこれらの混合物のいずれかである請求項13から14のいずれかに記載の有機化合物の合成方法。
【請求項16】
原料溶液に含まれる原料がp-メチルアニソール(p-メトキシトルエン)であり、反応生成物溶液に含まれる反応生成物がアニスアルデヒドアセタール(p-メトキシベンズアルデヒドアセタール)である請求項13から15のいずれかに記載の有機化合物の合成方法。
【請求項17】
0~60℃の温度下で行われる請求項13から16のいずれかに記載の有機化合物の合成方法。
【請求項18】
反応生成物が、医薬品中間体、及び工業材料として用いられる請求項13から17のいずれかに記載の有機化合物の合成方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、微小空間内で電気化学的に有機合成反応を行うマイクロフロー電気化学リアクター、及びそれを用いた有機化合物の合成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電解法による化学合成は、電気エネルギーを利用し、反応試薬を用いずに化合物を製造することができるため、環境面やコスト面で有利な方法である。特に、有機化合物の電解合成の分野では、安定かつ反応を促進する非水溶媒を利用した、多くの有機化合物の酸化還元プロセスが実用化されている。
【0003】
前記電解法による化学合成としては、例えば、SPE技術(Solid polymer electrolyte)が知られ、実用化されている。前記SPE技術は、固体電解質としてイオン交換膜を使用するため、反応溶液中に支持電解質を添加する必要がなく、その結果、反応後に支持電解質を分離・回収する工程が不要となるため有利である。
【0004】
しかしながら、長時間連続的に操作した場合等は、固体電解質として作用するイオン交換膜が劣化するため、電流密度を一定に維持するために電圧を増加する必要や、新たなイオン交換膜に交換する必要が生じるという問題がある。この問題に対し、導電性の塩を含まない有機溶媒の電解液を使用し、電解セルを前記電解液の沸点またはその沸点を5℃まで下回る温度で反応させる方法が提案されている(特許文献1参照)が、セルを高温に加熱維持する必要がある。
【0005】
また、有機合成の効率化、省資源化、及び省エネルギー化を実現するため、ダウンサイジング化がすすみ、ミクロンオーダーの微小流路の中で化学反応を行うマイクロリアクターが注目されている。マイクロリアクターを用いた合成方法は、従来の方法よりも精密な制御が可能であるため、工業的生産においてもマイクロ化学プラントの重要性が認識され、研究開発がすすめられている。
【0006】
したがって、反応溶液中に支持電解質を添加不要で、かつ、イオン交換膜を使用することなく、室温下で効率良く電気化学反応により有機化合物を合成可能なマイクロリアクター及びそれを用いた有機化合物の合成方法は未だ提供されておらず、更なる改良開発が望まれているのが現状である。
【0007】

【特許文献1】特開2000-34589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明は、反応溶液中に支持電解質を添加不要で、かつ、イオン交換膜を使用することなく、室温下で効率良く電気化学反応により有機化合物を合成可能なマイクロフロー電気化学リアクター及びそれを用いた有機化合物の合成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 陽極と陰極とを有し、該陽極における陰極対向面と、該陰極における陽極対向面との間隔が500μm以下であり、
(i)RH及び(RXHを含有する原料溶液が前記陽極に供給され、RX(R及びHを含有する反応生成物溶液が前記陰極から排出される、
(ii)2RHを含有する原料溶液が前記陽極に供給され、R-R及びHを含有する反応生成物溶液が前記陰極から排出される、及び
(iii)2RXHを含有する原料溶液が前記陽極に供給され、RXXR及びHを含有する反応生成物溶液が前記陰極から排出される、のいずれかであることを特徴とするマイクロフロー電気化学リアクターである。
ただし、Rはアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、置換ベンジル基、置換アリール基、アシル基、スルホニル基、及びスルフィニル基の
いずれかを表し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、置換ベンジル基、置換アリール基、アシル基、スルホニル基、及びスルフィニル基の
いずれかを表し、Xは酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子のいずれかを表し、nは0または1以上の整数を表す。
該<1>に記載のマイクロフロー電気化学リアクターにおいては、前記原料溶液が陽極に供給され、前記陽極と前記陰極との間を通過し、前記陰極から排出される間に反応が行われ、反応生成物溶液が陰極セルから排出される。ここで、前記陽極セルと前記陰極セルとの間が500μm以下であるため、前記反応により生じた水素イオンが、前記陽極と前記陰極との間において支持電解質の役割をはたすため、前記マイクロフロー電気化学リアクターは支持電解質やイオン交換膜が不要である。
<2> 陽極における陰極対向面と、陰極における陽極対向面との間が、空間である前記<1>に記載のマイクロフロー電気化学リアクターである。
<3> 陽極における陰極対向面と、陰極における陽極対向面との間隔が、0μmを超え、300μm以下である前記<1>から<2>のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクター。
<4> 陽極と陰極とが、スペーサーで離設された前記<1>から<3>のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクターである。該<4>に記載のマイクロフロー電気化学リアクターにおいては、前記陽極と前記陰極との間にスペーサーを設けることにより、前記陽極と前記陰極とが所定の間隔で離設される。
<5> スペーサーが、絶縁体である前記<1>から<4>のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクターである。該<5>に記載のマイクロフロー電気化学リアクターにおいては、前記スペーサーが絶縁体であるため、前記反応により生じた水素イオンが、前記陽極と前記陰極との間において支持電解質として作用する。
<6> スペーサーが、多孔質体であり、該多孔質体における多数の孔部が、陽極と当接する側から、陰極と当接する側にかけて流体流通可能に形成された前記<1>から<5>のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクターである。該<6>に記載のマイクロフロー電気化学リアクターにおいては、前記スペーサーが陽極と当接する側から、陰極と当接する側にかけて流体流通可能であるため、前記スペーサーが前記陽極と前記陰極との間に挟持された状態であっても、陽極から流出した反応生成物を含む溶液の流通が阻害されることなく陰極に流入し、反応が完結する。
<7> 多孔質体の多孔度が70%以上、孔径が0.1μm以上である前記<6>に記載のマイクロフロー電気化学リアクターである。該<7>に記載のマイクロフロー電気化学リアクターにおいては、前記多孔質体の多孔度が70%以上、孔径が0.1μm以上であるため、反応生成物を含む溶液の流量及び流速が維持されるため、反応効率に優れる。
<8> 多孔質体が、フッ素系樹脂製のフィルターである前記<6>から<7>のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクターである。該<8>に記載のマイクロフロー電気化学リアクターにおいては、前記多孔質体がフッ素系樹脂製のフィルターであるため、前記多孔質体が非粘着性であり、剥離性に優れるため、交換が容易であるとともに、残存溶液の除去が容易である。
<9> 陽極が、陽極セル中の陽極基体からなり、陰極が、陰極セル中の陰極基体からなる前記<1>から<8>に記載のマイクロフロー電気化学リアクターである。
<10> 陽極セル中の陽極基体が導電性を有する多孔質体であり、該多孔質体における多数の孔部が、陰極セル側と反対側の表面から陰極セル側の表面へ流体流通可能であり、陰極セル中の陰極基体が導電性を有する多孔質体であり、該多孔質体における多数の孔部が、陽極セル側の表面から陽極セル側と反対側の表面へ流体流通可能である前記<9>に記載のマイクロフロー電気化学リアクターである。該<8>に記載のマイクロフロー電気化学リアクターにおいては、前記陽極セル内及び前記陰極セル内が多孔質体の多数の孔部により流体流通可能に貫通しているため、前記原料溶液が前記陽極セル内及び前記陰極セル内を流動しながら効率良く反応が行われる。
<11> 陽極基体及び陰極基体が、炭素繊維からなる多孔質体シートである前記<9>から<10>のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクターである。該<11>に記載のマイクロフロー電気化学リアクターにおいては、前記陽極基体及び前記陰極基体が炭素繊維からなる多孔質体シートであるため、導電性に優れ、電極特性が十分な電極基体であるとともに、前記原料溶液及び前記反応生成物溶液の流動が阻害されない。
<12> 原料溶液を供給する原料溶液供給室と、反応生成物溶液を排出する反応生成物排出室とを備え、前記原料供給室の壁面の一部が陽極セルの表面で画成され、端部に前記原料溶液を供給可能な供給口を有し、前記反応生成物排出室の壁面の一部が陰極セルの表面で画成され、端部に前記反応生成物溶液を排出可能な排出口を有する前記<1>から<11>のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクターである。該<12>に記載のマイクロフロー電気化学リアクターにおいては、前記供給口から前記原料溶液が前記原料供給室へ供給され、該原料供給室は供給された前記原料溶液により加圧状態となり、前記陽極セル内に前記原料溶液が押し出されて排出される。前記原料溶液は、反応しながら前記陽極セルと前記陰極セルとの間を押し出されて通過し、前記反応生成物を含む溶液として前記陰極セル内に排出される。前記陰極セル内から押し出されて排出された前記反応生成物溶液は、前記陰極セルから前記反応生成物排出室へ押し出され、前記排出口から吐出される。このため、連続的に反応が行われ、前記供給口に前記原料溶液を供給するポンプ等からの吐出量を調節することにより、反応速度が所望に制御される。
【0010】
<13> 下記式(I)~(III)で表される電気化学的反応であって、
前記<1>から<12>のいずれかに記載のマイクロフロー電気化学リアクターに対し、原料溶液を陽極に供給し、反応生成物溶液を陰極から回収することを特徴とする有機化合物の合成方法である。
H+(RXH → RX(R+H 式(I)
2RH → R-R+H 式(II)
2RXH → RXXR+H 式(III)
ただし、式(I)~(III)中、Rはアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、置換ベンジル基、置換アリール基、アシル基、スルホニル基、及びスルフィニル基のいずれかを表し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、置換ベンジル基、置換アリール基、アシル基、スルホニル基、及びスルフィニル基のいずれかを表し、Xは酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子のいずれかを表し、nは0又は1以上の整数を表す。
<14> 電気化学的反応が、アルコキシ化、アシルオキシ化、アミド化、及びハロゲン化のいずれかである前記<13>に記載の有機化合物の合成方法である。
<15> 原料溶液の溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、酢酸、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、水、及びこれらの混合物のいずれかである前記<13>から<14>のいずれかに記載の有機化合物の合成方法である。
<16> 原料溶液に含まれる原料がp-メチルアニソール(p-メトキシトルエン)であり、反応生成物溶液に含まれる反応生成物がアニスアルデヒドアセタール(p-メトキシベンズアルデヒドアセタール)である前記<13>から<15>のいずれかに記載の有機化合物の合成方法である。該<16>に記載の有機化合物の合成方法においては、工業材料として有用なp-メトキシベンズアルデヒドを効率よく合成することができる。
<17> 0~60℃の温度下で行われる請求項13から16のいずれかに記載の有機化合物の合成方法である。
<18> 反応生成物が、医薬品中間体、及び工業材料として用いられる前記<13>から<17>のいずれかに記載の有機化合物の合成方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、反応溶液中に支持電解質を添加不要で、かつ、イオン交換膜を使用することなく、室温下で効率良く電気化学反応により有機化合物を合成可能なマイクロフロー電気化学リアクター、及びマイクロフロー電気化学反応方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<マイクロフロー電気化学リアクター>
前記マイクロフロー電気化学リアクターは、陽極と陰極とを有し、該陽極における陰極対向面と、該陰極における陽極対向面との間隔が500μm以下であり、
(i)RH及び(RXHを含有する原料溶液が前記陽極に供給され、RX(R及びHを含有する反応生成物溶液が前記陰極から排出される、
(ii)2RHを含有する原料溶液が前記陽極に供給され、R-R及びHを含有する反応生成物溶液が前記陰極から排出される、及び
(iii)2RXHを含有する原料溶液が前記陽極に供給され、RXXR及びHを含有する反応生成物溶液が前記陰極から排出される、のいずれかである。
ただし、Rはアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、置換ベンジル基、置換アリール基、アシル基、スルホニル基、及びスルフィニル基の
いずれかを表し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、置換ベンジル基、置換アリール基、アシル基、スルホニル基、及びスルフィニル基の
いずれかを表し、Xは酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子のいずれかを表し、nは0又は1以上の整数を表す。
【0013】
前記陽極と前記陰極とは対向して設けられ、反応効率の観点から、略平行に設けられることが好ましい。
前記陽極における陰極対向面と、前記陰極における陽極対向面との間としては、空間であることが好ましい。
前記空間の状態としては、少なくとも前記反応生成物溶液の流路となる貫通孔が形成されていれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0014】
前記陽極における陰極対向面と、前記陰極における陽極対向面との間隔としては、500μm以下であることが好ましく、0μmを超えて300μm以下であることがより好ましく、1~100μmであることが特に好ましい。
前記間隔が500μmを超えると、反応により生成し、支持電解質として機能するプロトン、及び反応生成物を含む溶液の陰極への移行が妨げられることがある。また、前記間隔が1μm未満であると、前記陽極と前記陰極とが短絡することがある。
【0015】
前記スペーサーの材質としては、絶縁体であることが好ましく、例えば、フッ素系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、及びポリスチレン系樹脂などが挙げられ、これらの中でも、耐薬品性及び耐有機溶剤性の観点からフッ素系樹脂が好ましく、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)がより好ましい。
前記スペーサーは、単層であってもよく、2種以上の材質からなる積層体であってもよい。
【0016】
前記スペーサーの形態としては、前記陽極における陰極対向面と、前記陰極における陽極対向面とを500μm以下の間隔で離設させるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、図1(A)及び(B)に示す隔壁様の構造であってもよく、図2(A)及び(B)に示す隔膜様の構造であってもよい。前記隔壁様の構造の場合には、前記陽極と前記陰極とを離設させるとともに、溶液の封止部材としての機能を有していてもよい。
【0017】
前記スペーサーの厚みとしては、前記陽極と前記陰極との間隔を500μm以下とすることができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、300μmであることが好ましく、1~100μmであることがより好ましい。
【0018】
前記スペーサーが、隔膜様の構造である場合には、該スペーサーは多孔質体であることが好ましく、例えば、ウェブ状物(織布、不織布、フェルト等)、メッシュ状物、パンチングプレート状物、ゲル状物、及び粒状物などが挙げられる。
前記多孔質体としては、多孔度が70%以上であることが好ましい。
また、前記多孔質体の孔径が0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることが特に好ましい。
【0019】
前記隔膜様の構造のスペーサーとしては、疎水性乃至撥水性を有することが好ましく、また、流量に対する圧力損失が小さいものが好ましく、例えば、フッ素系樹脂製の多孔質体などが挙げられ、具体的には、四フッ化エチレン樹脂(PTFE)製フィルターなどが好適に挙げられる。
【0020】
前記陽極及び前記陰極は、図1及び図2に示すように、外枠10に形成された陽極セル12内に陽極基体15a、陰極セル14内に陰極基体15bをそれぞれ有する。
前記マイクロフロー電気化学リアクターは、原料溶液を供給する原料溶液供給室16と、反応生成物溶液を排出する反応生成物排出室17とを備え、前記原料供給室16の壁面の一部が陽極セル12の表面で画成され、端部に前記原料溶液を供給可能な供給口18を有し、前記反応生成物排出室17の壁面の一部が陰極セル14の表面で画成され、端部に前記反応生成物溶液を排出可能な排出口19を有することが好ましい。
前記供給口18と前記排出口19とは、前記マイクロフロー電気化学リアクターの断面において対角線上に1対設けられていることが好ましい。
【0021】
前記供給口を介し、前記原料溶液供給室に管を用い、ポンプ等に接続することにより、前記原料溶液を所望の流量で送液することができる。
前記供給口に連接される前記管の材質としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フッ素樹脂製、シリコン製、ガラス製、及びステンレス製などが挙げられる。
前記供給口と前記管とは、液漏れが生じることがないように、フッ素樹脂(例えば、テフロン(登録商標))やフッ素ゴム(例えば、バイトン(登録商標))等により密着されていることが好ましい。
前記ポンプとしては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シリンジポンプ、チューブポンプ、及びプランジャーポンプなどが挙げられる。
【0022】
前記排出口を介し、管などを介して任意の回収手段を連接することにより、前記反応生成物を所望の方法で回収することができる。
前記排出口に連接される前記管の材質としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フッ素樹脂製、シリコン製、ガラス製、及びステンレス製などが挙げられる。前記排出口と前記管とは、液漏れが生じることがないように、フッ素樹脂(例えば、テフロン(登録商標))やフッ素ゴム(例えば、バイトン(登録商標))等により密着されていることが好ましい。
前記回収手段としては、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、カラムクロマトグラフィー装置、液体クロマトグラフィー装置、及び蒸留装置などが挙げられる。
【0023】
前記陽極セル及び前記陰極セルの容積としては、特に制限されず、前記原料溶液の流量等に応じ、適宜選択することができるが、例えば、50~2000mmが好ましく、反応量や反応速度の試算が容易であるという観点から100mm、又は1000mmがより好ましい。
【0024】
前記供給口及び前記排出口の孔径としては、特に制限されず、前記原料溶液の流量や粘度等に応じ、適宜選択することができるが、例えば、10~10000μmが好ましく、100~1000μmがより好ましい。
【0025】
前記陽極基体は陽極給電体と、前記陰極基体は陰極給電体と、それぞれ電気的に接続され、電源からの電流の供給を受ける。
【0026】
前記陽極基体及び前記陰極基体としては、導電性を有する多孔質体であることが好ましく、原料物質との接触面が炭素で被覆された多孔質体(例えば、炭素繊維からなるシート状物、表面に炭素や導電性ダイヤモンド等が被覆された繊維からなるシート状物等)がより好ましい。具体的には、カーボンフェルト、及びグラファイトフェルトなどが挙げられる。
【0027】
前記外枠の材質としては、原料溶液の溶媒や反応生成物に対して高い耐性を有する材料であれば特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラスライニング材料、チタン、ステンレス、及びフッ素系樹脂(三フッ化塩化エチレン樹脂、四フッ化エチレン樹脂等)などが挙げられる。これらの中でも、ステンレス及びフッ素系樹脂が好ましく、フッ素系樹脂が特に好ましい。
【0028】
本発明のマイクロフロー電気化学リアクターは、支持電解質を添加せず、またイオン交換膜を使用せずに電気化学的有機合成が可能なため、後述する有機化合物の合成方法に使用することができ、特に、医薬品中間体、及び工業材料などの合成に好適に使用することができる。
【0029】
<有機化合物の合成方法>
前記有機化合物の合成方法は、前記陽極と前記陰極とを有し、該陽極における陰極対向面と、該陰極における陽極対向面との間隔が500μm以下であるマイクロフロー電気化学リアクターに対し、原料溶液を前記陽極に供給し、反応生成物溶液を前記陰極から回収する方法であり、上述した本発明のマイクロフロー電気化学リアクターを用いて行われることが好ましい。
【0030】
前記有機化合物の合成方法は、下記式(I)~(III)で表される電気化学的反応で表される。
H+(RXH → RX(R+H 式(I)
2RH → R-R+H 式(II)
2RXH → RXXR+H 式(III)
前記式(I)の電気化学的反応は、前記マイクロフロー電気化学リアクターに対し、RH及び(RXHを含有する原料溶液を前記陽極セルに供給しながら通電し、RX(R及びHを含有する反応生成物溶液を前記陰極セルから回収することにより行われる。
前記式(II)の電気化学的反応は、前記マイクロフロー電気化学リアクターに対し、2RHを含有する原料溶液を前記陽極セルに供給しながら通電し、R-R及びHを含有する反応生成物溶液を前記陰極セルから回収することにより行われる。
前記式(III)の電気化学的反応は、前記マイクロフロー電気化学リアクターに対し、2RXHを含有する原料溶液を前記陽極セルに供給しながら通電し、RXXR及びHを含有する反応生成物溶液を前記陰極セルから回収することにより行われる。
ただし、式(I)~(III)中、Rはアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、置換ベンジル基、置換アリール基、アシル基、スルホニル基、及びスルフィニル基のいずれかを表し、Rは水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、置換ベンジル基、置換アリール基、アシル基、スルホニル基、及びスルフィニル基のいずれかを表し、Xは酸素原子、硫黄原子、窒素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子のいずれかを表し、nは0又は1以上の整数を表す。
【0031】
前記電気化学的反応としては、例えば、アルコキシ化反応、アシルオキシ化反応、アミド化反応、及びハロゲン化反応などが挙げられる。
【0032】
前記式(I)~(III)中、前記原料溶液に含有されるRH及びRXHで示される化合物としては、電気化学的に酸化される基を有する化合物であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、置換トルエン類、置換アルキルベンゼン類、アミン誘導体、エーテル誘導体、及びスルフィドなどが挙げられる。
前記式(I)中、前記原料溶液中(RXHで表される化合物としては、プロトンを遊離することができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記原料溶液の溶媒であってもよく、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、n-ブタノール、及び酢酸などが挙げられる。
【0033】
前記原料溶液の溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、及びプロパノール等のアルコール、酢酸等のカルボン酸、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、水、並びにこれらの混合溶液などが挙げられる。これらの中でも、安全性及び環境負荷低減という観点から、水、アルコール、酢酸が好ましい。
【0034】
前記式(I)中のRHで示される原料は、前記原料溶液の濃度及び前記陽極セルへ送液される流量応じて、完全に若しくは部分的に電気化学反応により酸化され、RX(Rを生成する。このとき同時に生成した水素イオンは、前記陽極セルと前記陰極セルとの間を電流分相当前記陰極セルへ移行し、前記陰極セル上で還元されて水素ガスとなる。
【0035】
前記式(II)中の2RHで示される原料は、前記原料溶液の濃度及び前記陽極セルへ送液される流量応じて、完全に若しくは部分的に電気化学反応により酸化され、R-Rを生成する。このとき同時に生成した水素イオンは、前記陽極セルと前記陰極セルとの間を電流分相当前記陰極セルへ移行し、前記陰極セル上で還元されて水素ガスとなる。
【0036】
前記式(III)中の2RXHで示される原料は、前記原料溶液の濃度及び前記陽極セルへ送液される流量応じて、完全に若しくは部分的に電気化学反応により酸化され、RXXRを生成する。このとき同時に生成した水素イオンは、前記陽極セルと前記陰極セルとの間を電流分相当前記陰極セルへ移行し、前記陰極セル上で還元されて水素ガスとなる。
【0037】
前記原料溶液の濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、電気伝導度の観点から、0.01~2Mであることが好ましく、0.05M~0.5Mであることがより好ましい。
【0038】
前記原料溶液の送液量としては、前記陽極セルの容積や前記原料溶液の濃度などに応じて適宜選択することができるが、0.1~100mL/hが好ましく、1~10mL/hがより好ましい。
前記原料溶液の送液手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、シリンジポンプ、チューブポンプ、及びプランジャーポンプ等のポンプ類を用いて行うことができる。
【0039】
前記有機化合物の合成方法における温度条件としては、原料溶液の溶媒の沸点以下で行われることが好ましく、例えば、0~60℃で行われることが好ましく、10~30℃で行われることがより好ましい。
【0040】
前記有機化合物の合成方法において、電流としては、電極基体の種類、原料の種類、及び原料溶液の濃度などに応じて適宜選択することができる。例えば、前記電極基体が7mm×7mm×5mmのカーボンフェルト製である場合、実用上の観点から、電流は10~50mAの定電流が好ましく、20~30mAの定電流がより好ましい。
【0041】
前記有機化合物の合成方法においては、前記原料溶液を供給する前に、前記マイクロフロー電気化学リアクター内に、有機溶剤を還流させてもよい。また、前記有機溶剤は、プロトン酸(例えば、p-トルエンスルホン酸等)を0.1~0.2M含有していてもよい。これにより、前記合成方法における初期段階の反応を円滑に進行させることができる。
【0042】
前記有機化合物の合成方法により得られる反応生成物としては、例えば、医薬品、医薬品中間体、香料、染料、及び各種工業材料などに用いられる化合物であることが好ましく、例えば、p-メトキシベンズアルデヒドアセタールなどの有機化合物が挙げられる。
【実施例】
【0043】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこの実施例に何ら限定されるものではない。
【0044】
(実施例1)
‐マイクロフロー電気化学リアクター‐
ステンレス表面にダイフロン(登録商標)を塗布した基材を使用し、図2(A)に示すマイクロフロー電気化学リアクターを製造した。直径30mm、高さ30mmの前記基材に直径7mm、高さ5mmのセルを形成し、ノズルを接続し、外枠を得た。前記外枠内のセルに直径7mm、厚み5mmのカーボンフェルト電極(JF-20-P7、日本カーボン(株)製)を充填したものを2個製造し、陽極及び陰極とした。前記カーボンフェルト電極は、250℃/mmHgで2時間乾燥させて使用した。
前記陽極と前記陰極とは略平行に対向させ、その間にスペーサーとして直径20mm、厚み75μm、多孔度83%、孔径3μmの四フッ化エチレン樹脂(PTFE)製のメンブレンフィルター(ADVANTEC T300A、東洋濾紙(株)製)を設け、前記陽極と前記陰極とを離設し、マイクロフロー電気化学リアクターを構成した。前記陽極の陰極対向面と前記陰極の陽極対向面との間隔は75μmであった。
【0045】
前記陽極セルに形成された原料供給ノズルから、トリフルオロメタンスルホン酸のメタノール溶液(0.125M)を0.5mL送液し、前記陽極セル及び前記陰極セル内に充填した。前記陰極セルに形成された排出ノズルからの剰余溶液は廃棄した。
【0046】
‐原料溶液の調製‐
原料溶液としてp-メトキシトルエンの0.05Mメタノール溶液を調製した。メタノールは、モレキュラーシーブ3A(ナカライテスク社製)を用いて乾燥し、水含有量を110ppmとしたものを用いた。調製した前記原料溶液を、2mL/hの流速で前記供給ノズルから前記陽極セル内へ供給し、前記原料溶液が前記陰極セルの排出ノズルから排出され、セル内に充填されたことを確認した後、電極に通電した。
【0047】
‐電気化学反応‐
常温、常圧下において、電流22mA(p-メトキシトルエンに関して8.0F/モル)の定電流により、2時間反応を行った。電圧は6~7Vであった。
実施例1の反応は、以下の式で示される。
【化1】
JP0004779108B2_000002t.gif
前記陰極セルから排出された反応生成物溶液1mLを30分ごとに分取し、反応生成物をNMRスペクトル法、マススペクトル法により同定し、ガスクロマトグラフィー(GC-14B、島津製作所(株)製)を用いて定量し、原料変換率、及び収率を測定した。前記収率とは、消費された原料に対する反応生成物の収率である。結果を図3に示す。
この結果、反応開始から原料変換率及び収率は安定しており、原料のp-メトキシトルエンからp-メトキシベンズアルデヒドアセタールの変換率は70%以上であり、収率は90%であることがわかった。
図3中、例えば0.5h上にプロットされた原料変換率(%)及び収率(%)は、反応開始後から0.5hまでの反応生成物溶液1mLをサンプリングした結果を示し、1h上にプロットされた含有率は、0.5h以降1hまでの反応生成物1mLをサンプリングした結果を示す。
【0048】
(実施例2)
実施例1において、11mAの定電流により通電を行った以外は、実施例1と同様にして反応を行い、得られた反応生成物溶液から、原料変換率、及び収率を測定した。結果を図4に示す。なお、電圧は6~6.5Vであった。
【0049】
(実施例3)
実施例2において、反応開始前に前記マイクロフロー電気化学リアクター内にトリフルオロメタンスルホン酸のメタノール溶液(0.125M)を還流させなかった以外は、実施例2と同様にして反応を行い、得られた反応生成物溶液から、原料変換率、及び収率を測定した。結果を図5に示す。なお、電流は21~25Vであった。
【0050】
(比較例1)
実施例1において、前記陽極セルと前記陰極セルとの間を525μmとし、スペーサーを7枚重ねて使用した以外は、実施例1と同様にして反応を行った。
この結果、陽極と陰極との間の通電が起こらず、反応を進めることができなかった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明のマイクロフロー電気化学リアクターは、各種電解反応において使用可能であり、医薬品、医薬品中間体、香料、染料、及び各種工業材料等の合成装置として好適に使用することができる。
本発明のマイクロフロー電気化学反応方法は、反応溶液中に支持電解質を添加不要で、かつ、イオン交換膜を使用することなく、室温下で効率良く電気化学反応により有機化合物を合成可能であるため、医薬品、医薬品中間体、香料、染料、及び各種工業材料等の合成などに好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1(A)及び(B)は、本発明のマイクロフロー電気化学リアクターの一例を示す断面図である。
【図2】図2(A)及び(B)は、本発明のマイクロフロー電気化学リアクターの一例を示す断面図である。
【図3】図3は、実施例1の変換率と収率を示すグラフである。
【図4】図4は、実施例2の変換率と収率を示すグラフである。
【図5】図5は、実施例3の変換率と収率を示すグラフである。
【符号の説明】
【0053】
10 外枠
11 スペーサー
12 陽極セル
13a 陽極給電体
13b 陰極給電体
14 陰極セル
15a 陽極基体
15b 陰極基体
16 原料供給室
17 反応生成物排出室
18 供給口
19 排出口
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4