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明細書 :原料ガス噴出用ノズル及び化学的気相成膜装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4940425号 (P4940425)
公開番号 特開2007-254869 (P2007-254869A)
登録日 平成24年3月9日(2012.3.9)
発行日 平成24年5月30日(2012.5.30)
公開日 平成19年10月4日(2007.10.4)
発明の名称または考案の名称 原料ガス噴出用ノズル及び化学的気相成膜装置
国際特許分類 C23C  16/455       (2006.01)
B05B   1/04        (2006.01)
FI C23C 16/455
B05B 1/04 BBU
請求項の数または発明の数 7
全頁数 17
出願番号 特願2006-083679 (P2006-083679)
出願日 平成18年3月24日(2006.3.24)
審査請求日 平成21年2月27日(2009.2.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
発明者または考案者 【氏名】川原村 敏幸
【氏名】西中 浩之
【氏名】藤田 静雄
【氏名】谷垣 昌敬
個別代理人の代理人 【識別番号】100089196、【弁理士】、【氏名又は名称】梶 良之
【識別番号】100104226、【弁理士】、【氏名又は名称】須原 誠
審査官 【審査官】松本 要
参考文献・文献 実開平05-051949(JP,U)
特開2001-054746(JP,A)
特開昭62-158317(JP,A)
特開2004-277867(JP,A)
特開平11-329117(JP,A)
特開昭63-028868(JP,A)
特開2000-334333(JP,A)
調査した分野 C23C 16/00-16/56
B05B 1/04
特許請求の範囲 【請求項1】
原料ガスであるエアロゾル浮遊ガスを内部に供給するための1つ以上の原料ガス供給口と、
前記原料ガス供給口から供給された原料ガスが衝突する内壁面とともに、90°未満の内角を有する乱流発生空間を形成する第1の平面、及び、前記第1の平面とテーパー形状を形成する第2の平面を有している突起部と、を備えているガスだまり部、並びに、
一端に形成された開口部と、前記ガスだまり部から前記開口部まで原料ガスを導出する導出部とを有する原料ガス噴出部、
を備えていることを特徴とする原料ガス噴出用ノズル。
【請求項2】
前記導出部内部の壁面に平面を有しており、
前記第2の平面と前記導出部の平面とが、同一平面上に形成されていることを特徴とする請求項に記載の原料ガス噴出用ノズル。
【請求項3】
前記導出部の内部空間が、前記ガスだまり部からつば状に突き出た形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の原料ガス噴出用ノズル。
【請求項4】
前記ガスだまり部が、前記原料ガス供給口側から前記導出部側へ向かって断面積が減少する平滑な誘導面を有していることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の原料ガス噴出用ノズル。
【請求項5】
前記原料ガス噴出部の前記開口部を含む先端部分が先細り形状となるように形成されていることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の原料ガス噴出用ノズル。
【請求項6】
前記ガスだまり部又は/及び原料ガス噴出部の内部における原料ガスを加温して、該原料ガスをミスト化させるとともに整流するための加温器を有していることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の原料ガス噴出用ノズル。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載の原料ガス噴出用ノズルと、
前記ガスだまり部に接続され開口された1つ以上の原料ガス供給管と、
前記開口部に接続されている成膜室とを備え、
前記成膜室に配置した基板の表面に前記原料ガス噴出用ノズルから原料ガスを噴出させ、基板の表面に膜を生成する化学的気相成膜装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、CVD法(化学的気相成膜法)によって基板に膜を形成する際の原料ガスの整流に用いられる噴出用ノズル、及び、これを備えた化学的気相成膜装置であり、特に、エアロゾル浮遊ガスを原料ガスとするときに好適なものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の流体の整流が可能なノズルとしては、次のような特許文献が開示されている。

【特許文献1】特開2000-334333号公報
【0003】
具体的には、上記特許文献1に、矩形筒体の上流側中央付近に流体の導入部を備え、この導入部から流入した流体を整流する整流部を筒体内に配置し、この整流部で整流した流体を矩形筒体の導出部位置に設けた噴射ノズルから噴射する流体の整流機構において、前記流体の導入部と整流部の間の領域に、筒体の中央部方向に流れる流体を筒体の四隅部及び四辺部方向に分散させるための分散整流板を設けたことを特徴とする流体の整流機構が開示されている。この特許文献1の整流機構を備えた噴射ノズルによると、製品の乾燥、熱処理又は焼付け、水切り、エアカーテン、流体シャワー、除塵等の現場で、流体を噴射する際に、流体の流速及び温度分布を均一に揃えることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の噴射ノズルでは、CVD法(化学的気相成膜法)によって基板に膜を形成するのに好適なエアロゾル浮遊ガス(成膜成分である微粒子又は微粒化された溶液と、これらのいずれか若しくは両方を運搬するキャリヤーガスとの混合ガスであり、いわゆるミストと呼ばれる状態のものも含む)の整流に用いると、ある程度の整流を行うことはできるものの、障害物となる分散整流板などが流動途中に存在することによって、エアロゾル浮遊ガス中のエアロゾルが障害物に付着し、結露しやすくなる。この結果として、噴射ノズルの各穴から噴出されるエアロゾル浮遊ガス中のエアロゾル濃度が一定でなくなるので、基板表面に形成された膜の表面粗度が高くなったり、膜を形成するのに時間がかかったりするといった問題がある。
【0005】
一方、特許文献1に代表されるような整流機構がないノズルでは、整流性能が低いものとなってしまい、基板表面に形成された膜の表面粗度が高くなってしまう。
【0006】
本発明は、上記した従来技術の問題点を解決し、CVD法によって基板に膜を形成するのに用いられた際、基板表面に生成される膜の表面粗度が低く、大型基板の成膜にも用いることができるエアロゾル浮遊ガスにも適用が可能な原料ガス噴出用ノズル、及び、これを備えた化学的気相成膜装置の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
(1) 料ガス噴出用ノズルは、原料ガスであるエアロゾル浮遊ガスを内部に供給するための複数の原料ガス供給口を有するガスだまり部と、一端に形成された開口部と、前記ガスだまり部から前記開口部まで原料ガスを導出する導出部とを有する原料ガス噴出部とを備え、前記開口部の断面が扁平形状であり、前記原料ガス供給口の総断面積Sと前記開口部の断面積Sとが、1≦S/S≦4の関係を有し、複数の前記原料ガス供給口からの原料ガス供給方向が、交差又は対向しており、前記原料ガス供給口からの原料ガス供給方向と前記開口からの原料ガスの噴出方向とが交差している。
【符号の説明】
【0008】
上記(1)の構成によれば、開口部から原料ガスを基板の幅方向全体に対して均等に噴射できるので、CVD法によって基板に膜を形成するのに用いた際、基板表面に生成される膜の表面粗度が中心から端部に至るまで非常に低く、大型基板の成膜にも適用できる原料ガス噴出用ノズルを提供できる。また、流路途中に内部壁面以外有しないように形成されている場合には、開口部から噴出される原料ガス中のエアロゾル濃度がどの部分でもほぼ一定となる。なお、これらのような効果は原料ガスとして、エアロゾル浮遊ガスを使用した際でも発揮される。
【0010】
また、原料ガス供給口の総断面積Sと開口部の断面積Sとが、1≦S/S≦4の関係を有しているので、ガスだまり部内の圧力を開口部外部と同等或いはより高く制御でき、常温でも、開口部外部に原料ガスを安定して供給できるとともに容易に整流できる。さらに、原料ガス供給口から原料ガスがガスだまり部に供給された際、原料ガスがガスだまり部に一旦たまるので、CVD法によって基板に膜を形成するのに用いられた際、原料ガスの供給速度の分布が基板表面に沿って流動する原料ガスの流速分布に影響しない。したがって、CVD法によって基板に膜を形成するのに用いた際、基板表面に生成される膜の表面粗度が非常に低く、大型基板の成膜にも適用できる原料ガス噴出用ノズルを確実に提供できる。なお、S/So>4となると原料ガスが内部壁面において結露し始める傾向にあるので、原料ガス噴出用ノズルとして使用できないことはないが、好ましいものであるとはいえない。さらに、ガスたまり部での混合が原料ガス同士の衝突混合となるので、気体分子同士の衝突又は気体分子間の引力で双方の流速が互いに緩和され、方向も相手と異なる方向に分散するとともに、ガスたまり部内の圧力を開口部外部の圧力よりも高くすることができ、原料ガスの安定した整流が容易になるという効果を有する。
【0011】
) 別の観点として、本発明の原料ガス噴出用ノズルは、原料ガスであるエアロゾル浮遊ガスを内部に供給するための1つ以上の原料ガス供給口と、前記原料ガス供給口から供給された原料ガスが衝突する内壁面とともに、90°未満の内角を有する乱流発生空間を形成する第1の平面、及び、前記第1の平面とテーパー形状を形成する第2の平面を有している突起部と、を備えているガスだまり部、並びに、一端に形成された開口部と、前記ガスだまり部から前記開口部まで原料ガスを導出する導出部とを有する原料ガス噴出部、を備えているものである。
【0012】
) 上記()の原料ガス噴出用ノズルにおいては、前記導出部内部の壁面に平面を有しており、前記第2の平面と前記導出部の平面とが、同一平面上に形成されていることが好ましい。
【0013】
上記(3)の構成によれば、原料ガス供給口から供給された原料ガスが内壁面と衝突した際に発生する偏流を、意図的に内部全体に拡散させるような乱流に変換することができる。したがって、上記偏流を緩和して、開口部の原料ガスの空間分布を一定化することができるので、原料ガスの整流精度を向上させることができる。また、上記()の構成によれば、拡散後の原料ガスの流れを乱さないように原料ガスを導出部へと導くことができるので、上記()の構成よりも開口部の原料ガスの空間分布をより一定化することができる。また、流路途中に内部壁面以外有しないように形成されている場合には、開口部から噴出される原料ガス中の膜成分の濃度が一定となる。さらに、原料ガス供給口から原料ガスがガスだまり部に供給された際、原料ガスがガスだまり部に一旦たまるので、CVD法によって基板に膜を形成するのに用いられた際、原料ガスの供給速度の分布が基板表面に沿って流動する原料ガスの流速分布に影響しない。その結果として、CVD法によって基板に膜を形成するのに用いた際、基板表面に生成される膜の表面粗度が非常に低く、大型基板の成膜にも適用できる原料ガス噴出用ノズルを提供できる。また、これらの効果は原料ガスとして、エアロゾル浮遊ガスを使用した際でも発揮される。
【0014】
) 上記(1)~()の原料ガス噴出用ノズルにおいては、前記導出部の内部空間が、前記ガスだまり部からつば状に突き出た形状であることが好ましい。
【0015】
上記()の構成によれば、安定した整流が可能という効果を有する。特に、つば状空間における原料ガスの流動方向長さが長いほど、整流度合いが高い(整流の偏差率が低い)という効果を有する。
【0016】
) 上記(1)~()の原料ガス噴出用ノズルにおいては、前記ガスだまり部が、前記原料ガス供給口側から前記導出部側へ向かって断面積が減少する平滑な誘導面を有していることが好ましい。
【0017】
上記()の構成によれば、より滑らかに整流することができるという効果を有する。
【0018】
)上記(1)~()の原料ガス噴出用ノズルにおいては、前記原料ガス噴出部の前記開口部を含む先端部分が先細り形状となるように形成されていることが好ましい。
【0019】
上記()の構成によれば、開口部から基板へ噴出した際に跳ね返ってくる原料ガスを、開口部の脇に逃がすことができるので、開口部における乱流の発生を抑制できる。したがって、CVD法によって基板に膜を形成するのに用いた際、基板表面に生成される膜の表面粗度を上記(1)~()の原料ガス噴出用ノズルに比べさらに低くできる。
【0022】
) 上記(1)~()の原料ガス噴出用ノズルにおいては、前記ガスだまり部又は/及び原料ガス噴出部の内部における原料ガスを加温して、該原料ガスをミスト化させるとともに整流するための加温器を有していることが好ましい。
【0023】
上記()の構成によれば、原料ガスの内部壁面への結露がなくなるとともに、原料ガス中の成膜成分から余分な分子などを分離でき、基板表面に生成される膜の表面粗度を上記(1)~()の構成のものに比べ低くできる。
【0024】
) 本発明の化学的気相成膜装置は、上記(1)~()のいずれか1つに記載の原料ガス噴出用ノズルと、前記ガスだまり部に接続され開口された1つ以上の原料ガス供給管と、前記開口部に接続されている成膜室とを備え、前記成膜室に配置した基板の表面に前記原料ガス噴出用ノズルから原料ガスを噴出させ、基板の表面に膜を生成するものである。
【0025】
上記()の構成によれば、上記(1)~()のいずれか1つに記載の原料ガス噴出用ノズルの効果を有する化学的気相成膜装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る原料ガス噴出用ノズルを備えた化学的気相成膜装置について図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る化学的気相成膜装置に用いられている原料ガス噴出用ノズルの斜視外観図である。なお、図1においては、説明の便宜上、一部のみ投影させている部分(点線で表示した部分)がある。図2は、図1の原料ガス噴出用ノズルを化学的気相成膜装置内の成膜室に設置した際の基板との関係を示す図であるとともに、図1の原料ガス噴出用ノズルにおける中央付近のX-Z断面をY軸方向に見た際の図である。なお、化学的気相成膜装置の全体を図示してはいないが、本実施形態に記載した事項以外の基本的な構成は、一般的な従来のものとほぼ同様であるので、ここでは省略する。
【0027】
図1及び図2に示した原料ガス噴出用ノズル1は、下面用板部材2、背面用板部材3、第1の上面用板部材4、第2の上面用板部材5、第3の上面用板部材6、側面用部材7、8からなるガスだまり部9及び原料ガス噴出部10と、原料ガス供給管11、12とを備えている。また、原料ガス噴出用ノズル1は、図2に示すように、原料ガスの噴出方向が基板載置台13上に載置された基板14の平面に平行な方向と垂直となるように、図示しない化学的気相成膜装置内の成膜室に設置されている。なお、ここでは、原料ガスの噴出方向が基板14の平面に平行な方向と垂直となるように、原料ガス噴出用ノズル1を化学的気相成膜装置内の成膜室に設置しているが、必ずしもこれに限られず、基板14上に直接原料ガスを噴出できるのであれば、どのような設置の仕方であってもよい。
【0028】
下面用板部材2、背面用板部材3、第1の上面用板部材4、第2の上面用板部材5、及び第3の上面用板部材6は、単なる長方体形状の板部材である。側面用部材7、8においては、断面が略台形の板部材と、該略台形の板部材の下辺に沿ってつば状に延設した長板部材とを有した同一形状のものとなっている。また、側面用部材7、8は、後述するガスだまり部9の内部空間9aと原料ガス供給管11、12とを連通させるための原料ガス供給口7a、8aをそれぞれ同位置に有している。
【0029】
ガスだまり部9は、下面用板部材2の一部、背面用板部材3、第1の上面用板部材4、第2の上面用板部材5、及び側面用部材7、8の略台形部分からなる内部空間9aを有している。なお、第2の上面用板部材5においては、原料ガス供給口7a、8a側から後述する導出部10b側へ向かって断面積が減少する平滑な誘導面5aを有しており、第1の上面用板部材4の端部と第3の上面用板部材6の端部とに上下両端部が連設されている。
【0030】
原料ガス噴出部10は、下面用板部材2の一部、第3の上面用板部材6、側面用部材7、8における長板部材部分とからなり、ガスだまり部9と逆方向の一端に形成された開口部10aと、ガスだまり部9から開口部10aまで原料ガスを導出する導出部10bとを有している。開口部10aにおいては、扁平長方形のY-Z断面を有しているものであり、Z軸方向の辺の長さが0.5mm~5mm程度のいずれかの長さとなるように形成されている。導出部10bにおいては、その内部空間のY-Z断面が開口部10aのY-Z断面と同一の管部材である。導出部10bにおける原料ガスの流動方向長さ(図1における第3の上面用板部材6のX軸方向長さ)は、導出部10内でY軸方向に原料ガスが均一に拡散するのに十分な時間だけ滞留できるような長さとしている。
【0031】
原料ガス供給管11、12は、ガスだまり部9の内部空間9aと連通するように、側面用部材7、8の原料ガス供給口7a、8aに接続された円筒部材であり、水平方向に対向するように配設されている。
【0032】
なお、原料ガス供給口7a、8aと開口部10aとは、原料ガス供給口7a、8aの総断面積Sと開口部10aの断面積Sとが、1≦S/S≦4を有するように形成されている。なお、一変形例として、ガスだまり部9への流入温度をT(K)、開口部10a出口での温度をTo(K)とすると、1≦(S/S)×(T/To)≦4となるように形成してもよい。また、開口部10aにおける流速の範囲は、乱流にならないようなレイノルズ数Reを保持する程度とする。ここで、Re=(開口部10aにおける原料ガスの密度(ρ))×(開口部10aにおける原料ガスの速度(v))×(開口部10aにおける流路高さ(h)又は半径(d))/(開口部10aにおける原料ガスの粘度(μ))である。流速がこのような範囲を外れると、入口開口における幅方向の流速分布の一様性が劣化する。
【0033】
次に、図2に示した化学的気相成膜装置内の成膜室に設置された原料ガス噴出用ノズル1の動作について説明する。まず、原料ガス供給管11又は原料ガス供給管12からのみ原料ガスが供給されている場合について説明する。原料ガス供給管11又は原料ガス供給管12を介して原料ガス供給口7a(図2には図示せず)又は原料ガス供給口8aから、ガスたまり部9の内部空間9aへと供給される。そして、原料ガスが内部空間9aから、整流されながら原料ガス噴出部10における導出部10bへと流入し、開口部10aを介して化学的気相成膜装置の成膜室内に設置された基板14へエアカーテン状に噴出される。この噴出された原料ガス中の成膜成分である微粒子は、予熱されている基板14面上で加熱され熱分解し、基板14上に付着して成膜される。
【0034】
次に、原料ガス供給管11、12の両方から原料ガスが供給されている場合の原料ガス噴出用ノズル1の動作について説明する。予熱されている原料ガスが、原料ガス供給管11、12を介して原料ガス供給口7a(図2には図示せず)及び原料ガス供給口8aから、ガスたまり部9の内部空間9aへと供給されることによって、内部空間9a内で衝突混合する。そして、衝突混合した原料ガスが内部空間9aから、原料ガス噴出部10における導出部10bへと流入し、開口部10aを介して化学的気相成膜装置の成膜室内に設置された基板14へエアカーテン状に噴出される。この噴出された原料ガス中の成膜成分である微粒子は、予熱されている基板14面上で加熱され熱分解し、基板14上に付着して成膜される。
【0035】
なお、本実施形態の化学的気相成膜装置の一変形例として、基板載置台13に代えて、基板14を所定速度で移動させるコンベア(図示せず)を用い、このコンベア上に基板14を載置して所定方向に移動させることによって、所定の膜厚で基板14上の広い範囲にわたって成膜を行うこととしてもよい。
【0036】
上記構成の原料ガス噴出用ノズル1によれば、開口部10aが扁平長方形の断面を有しているので、開口部10aから原料ガスを基板の幅方向全体に対して均等に噴射できる。なお、開口部10aの原料ガスの流動方向に対する断面は、必ずしも扁平長方形である必要はなく、変形例として、扁平長方形に類似する形状(例えば、扁平長方形の角が丸いものなど)や扁平楕円形などであってもよい。
【0037】
また、原料ガス供給口7a、8aの総断面積Sと開口部10aの断面積Sとが、1≦S/S≦4の関係を有しているので、ガスだまり部9内の圧力を開口部10a外部と同等或いはより高く制御でき、常温でも、開口部10a外部に原料ガスを安定して供給できるとともに容易に整流できる。また、流路途中に内部壁面以外有しないように形成されているので、開口部10aから噴出される原料ガス中のエアロゾル濃度が一定となる。さらに、原料ガス供給口7a、8aから原料ガスがガスだまり部に供給された際、原料ガスがガスだまり部に一旦たまるので、CVD法によって基板に膜を形成するのに用いられた際、原料ガスの供給速度の分布が基板表面に沿って流動する原料ガスの流速分布に影響しない。
【0038】
また、導出部10bの内部空間が、ガスだまり部9からつば状に突き出た形状であるので、安定した原料ガスの整流が可能という効果を有する。
【0039】
さらに、ガスだまり部9が、原料ガス供給口7a、8a側から導出部10b側へ向かって断面積が減少する平滑な誘導面5aを有しているので、より滑らかに整流することができるという効果を有する。
【0040】
また、対向している原料ガス供給口7a、8aが設けられているので、ガスたまり部9での混合が原料ガス同士の衝突混合となるので、気体分子同士の衝突又は気体分子間の引力で双方の流速が互いに緩和され、方向も相手と異なる方向に分散するとともに、ガスたまり部9内の圧力を開口部10a外部の圧力よりも高くすることができ、原料ガスの安定した整流が容易になるという効果を有する。
【0041】
したがって、CVD法によって基板36に膜を形成するのに用いた際、基板表面に生成される膜の表面粗度が非常に低く、大型基板の成膜にも適用できる原料ガス噴出用ノズル1と、これを備えた化学的気相成膜装置とを提供できる。
【0042】
ここで、図示しないが、上記実施形態の一変形例として、供給される原料ガスの方向が交差するように、原料ガス供給口7a、8aの配設の方向を変更しても良い。この場合でも、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、原料ガス供給口7a、8aがどちらか1つであってもよい。このときは、ガスたまり部9の内部壁面に原料ガスが衝突することにより、流速が緩和されるので、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。また、第1実施形態の側面用部材7、8と、これに設けた原料ガス供給口7a、8aとの代わりに、背面用板部材のみに原料ガス供給口を設けたものとしてもよい。
【0043】
また、図示しないが、上記実施形態の他の変形例として、ガスだまり部9又は/及び原料ガス噴出部10の内部における原料ガスを加温して、原料ガス中の溶媒成分を気化させるための加温器を有していてもよい。これにより、原料ガスの内部壁面への結露がなくなるとともに、原料ガス中の成膜成分から余分な分子などを分離でき、基板表面に生成される膜の表面粗度をより低くできる。これは後述する第2実施形態においても同様である。なお、加温しなくとも(温度の影響を考えなくとも)、つば状の導出部10bの内部空間における原料ガスの流動方向長さが、原料ガスを導出部10bの内部空間Y軸方向に均一に拡散できるほど十分な時間、滞留できるようなものであれば、安定した整流を行うことができる。これも後述する第2実施形態において同様である。
【0044】
また、図示しないが、上記実施形態の他の変形例として、開口部10aを含む先端部分が先細り形状となるように形成されていてもよい。これにより、乱流が開口部10aの外部付近において発生することを抑止できるので、CVD法によって基板に膜を形成するのに用いる際、基板表面に生成される膜の表面粗度をさらに低くできる。これは後述する第2実施形態においても同様である。
【0045】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る原料ガス噴出用ノズルを備えた化学的気相成膜装置について図面に基づいて説明する。図3は、本発明の第2実施形態に係る化学的気相成膜装置に用いられている原料ガス噴出用ノズルの斜視外観図である。なお、図3においては、説明の便宜上、一部のみ投影させている部分(点線で表示した部分)がある。図4は、図3の原料ガス噴出用ノズルを化学的気相成膜装置内の成膜室に設置した際の基板との関係を示す図であるとともに、図3の原料ガス噴出用ノズルにおける中央付近のX-Z断面をY軸方向に見た際の図である。ここでは、第1実施形態の符合1、3、5、6、10と同様の部分について、順に符号21、23、25、26、30を付け、その説明を省略することがある。また、化学的気相成膜装置の全体を図示してはいないが、本実施形態に記載した事項以外の基本的な構成は、一般的な従来のものとほぼ同様であるので、ここでは省略する。
【0046】
図1及び図2に示した原料ガス噴出用ノズル21は、(1)原料ガス供給口24aを有している第1の上面用板部材24を用いている点、(2)原料ガス供給口を有していない側面用部材27、28を用いている点、(3)板部材33と、これとともに原料ガスの乱流を抑制する乱流抑制空間29aを形成する板部材32を用いている点、(4)第1の平面となる板部材32と第2の平面となる板部材22とを用いてテーパー形状の突起部34を形成している点が、主に、第1実施形態の原料ガス噴出用ノズル1と異なっている。なお、突起部34の第2の平面となる板部材22は、導出部30b内部の壁部平面も兼ねている。
【0047】
また、原料ガス噴出用ノズル21は、図4に示すように、原料ガスの噴出方向が基板載置台35上に載置された基板36の平面に平行な方向と垂直となるように、図示しない化学的気相成膜装置内の成膜室に設置されている。なお、ここでは、第1実施形態と同様、原料ガスの噴出方向が基板36の平面に平行な方向と垂直となるように、原料ガス噴出用ノズル21を化学的気相成膜装置内の成膜室に設置しているが、必ずしもこれに限られず、基板36上に直接原料ガスを噴出できるのであれば、どのような設置の仕方であってもよい。
【0048】
次に、図4に示した化学的気相成膜装置内の成膜室に設置された原料ガス噴出用ノズル1の動作について説明する。図4中の点線からなる矢印は、原料ガスの流れを模式的に示しているものである。まず、予熱されている原料ガスが、原料ガス供給管31を介して原料ガス供給口24aから、ガスたまり部29の内部空間29aへと供給されることによって、板部材33の内壁面と衝突する。衝突後、乱流を発生させるが、乱流抑制空間29aによって原料ガスの流れが反転し、乱流を緩和させ整流する。そして、この整流された原料ガスを含む内部空間29a内の原料ガスが、原料ガス噴出部30における導出部30bへと流入し、開口部10aを介して化学的気相成膜装置の成膜室内に設置された基板14へエアカーテン状に噴出される。この噴出された原料ガス中の成膜成分である微粒子は、予熱されている基板36面上で加熱され熱分解し、基板36上に付着して成膜される。なお、本実施形態の化学的気相成膜装置の一変形例として、第1実施形態と同様、基板載置台35に代えて、基板36を所定速度で移動させるコンベア(図示せず)を用い、このコンベア上に基板36を載置して所定方向に移動させることによって、所定の膜厚で基板36上の広い範囲にわたって成膜を行うこととしてもよい。
【0049】
上記構成の原料ガス噴出用ノズル21によれば、原料ガス供給口24aから供給された原料ガスがガスたまり部29内壁面と衝突した際に発生する偏流を、意図的に内部全体に拡散させるような乱流に変換することができるとともに、拡散後の原料ガスの流れを乱さないように原料ガスを導出部へと導くことができる。したがって、上記偏流を緩和して、開口部の原料ガスの空間分布を一定化することができるので、原料ガスの整流精度を向上させることができる。また、流路途中に内部壁面以外有しないように形成されているので、開口部30aから噴出される原料ガス中の膜成分の濃度が一定となる。さらに、原料ガス供給口24aから原料ガスがガスだまり部29に供給された際、原料ガスがガスだまり部29に一旦たまるので、CVD法によって基板36に膜を形成するのに用いられた際、原料ガスの供給速度の分布が基板36表面に沿って流動する原料ガスの流速分布に影響しない。
【0050】
また、導出部30bの内部空間が、ガスだまり部29からつば状に突き出た形状であるので、安定した原料ガスの整流が可能という効果を有する。
【0051】
さらに、ガスだまり部29が、原料ガス供給口24a側から導出部30b側へ向かって断面積が減少する平滑な誘導面25aを有しているので、より滑らかに整流することができるという効果を有する。
【0052】
加えて、開口部30aの原料ガスの流動方向に対する断面が扁平長方形であるので、CVD法によって基板36に膜を形成するのに用いれば、基板36表面に生成される膜の表面粗度を非常に低くできるとともに、基板35の幅方向全体に対して均等に噴射できる。なお、開口部30aの原料ガスの流動方向に対する断面は、必ずしも扁平長方形である必要はなく、変形例として、扁平長方形に類似する形状(例えば、扁平長方形の角が丸いものなど)や扁平楕円形などであってもよい。
【0053】
したがって、CVD法によって基板36に膜を形成するのに用いた際、基板36表面に生成される膜の表面粗度が非常に低く、大型基板の成膜にも適用できる原料ガス噴出用ノズル21と、これを備えた化学的気相成膜装置とを提供できる。
【実施例】
【0054】
(実施例1)
第1実施形態と同構成の原料ガス供給ノズルのガスたまり部で、2つの対向する原料ガス供給口から供給された原料ガスを衝突混合させた場合の開口部からの原料ガス流の速度を、フルーエント・アジアパシフィック(株)の有限体積法 汎用熱流体解析ソフトウェア(商品名FLUENT)を用いてシミュレーションした。シミュレーション条件は、(1)ガスたまり部において、背面用板部材から誘導面を有する第2の上面用板部材に至るまでの長さが30mm、高さが31mm、背面用板部材から導出部に至るまでの長さが70mmであり、(2)第2の上面用板部材の誘導面が下面用板部材に対して45°となるように設け、(3)導出部の原料ガス流動方向(図1における第3の上面用板部材6のX軸方向と同方向)の長さを30mm、(4)原料ガス供給ノズルの開口部幅を150mm、導出部及び開口部高さを0.5mm、すなわちSを75mmとし、(5)各原料ガス供給管(それぞれに原料ガス供給管が接続されている)ガスたまり部の上部端から下方向に15mm、原料ガス流方向に15mmの位置に設けた円形の原料ガス供給口の断面積を50.24mm(原料ガス供給口が2つ使用されるので、総断面積S=100.48mm)として、S/Sを約1.34に設定するともに、(6)ガスたまり部と導出部とが室温下となるように設定した。なお、各原料ガス供給口からガスたまり部への供給速度を1、3、10m/sの各速度で、シミュレーションした。その結果を図5(a)に示す。シミュレーション結果は、開口部からの原料ガス流の速度を規格化したものを示しているが、各原料ガス供給口からガスたまり部への供給速度が1、3、10m/sの各速度において同様の結果が得られたので、1つのグラフのみを示している。また、横軸は開口部の幅方向の位置、縦軸は規格化された開口部からの原料ガス流の速度を示している。後述の比較例1、2の結果においても同様である。
【0055】
(実施例2)
第1実施形態と同構成の原料ガス供給ノズルのガスたまり部へ、一方の原料ガス供給口(図1における原料ガス供給口7a側のもの:総断面積S=50.24mm)のみから原料ガスを供給させた場合の開口部からの原料ガス流の速度を、実施例1と同様の方法でシミュレーションした。シミュレーション条件は、実施例1と同様である。シミュレーション結果を図5(b)に示す。
【0056】
(実施例3)
図6に示す原料ガス供給ノズルのガスたまり部へ原料ガスを供給した場合の開口部からの原料ガス流の速度を、実施例1と同様の方法でシミュレーションした。シミュレーション条件は、実施例1と同様である。シミュレーション結果を図5(c)に示す。なお、図6は、本実施例に用いた原料ガス供給ノズルの上視図である。また、本実施例に用いた原料ガス供給ノズルは、側面用部材に原料ガス供給口及び原料ガス供給管が設けられておらず、背面板部材の中央に形成された原料ガス供給口(図示せず)と、これに接続された原料ガス供給管41とを有している点で、第1実施形態の原料ガス供給ノズル1と異なっている。本実施例では、第1実施形態の符合1、4~6、9、10と同様の部分について、順に符号41、44~46、49、50を付け、その説明を省略する。また、図示していないが、本実施例の側面用部材及び下面用板部材においては、原料ガス供給口が形成されていない第1実施形態の側面用部材7、8及び下面用板部材2と同形状であるので、その説明を省略する。
【0057】
実施例1の結果である図5(a)から、ガスたまり部で衝突混合させた第1実施形態の原料ガス供給ノズルと同構成の原料ガス供給ノズルによると、開口部の幅方向の原料ガス流速が全体にわたってほぼ一定となっていることがわかる。これに対し、実施例2、3の結果である図5(b)、(c)からは、原料ガス流速が幅方向について実施例1ほど一定ではないものの、どちらも実用できるほどに十分整流できていることがわかる。
【0058】
(実施例4、比較例1)
次に、S/Sの大きさを変化させて、第1実施形態と同構成の原料ガス供給ノズルのガスたまり部で、一方の原料ガス供給口のみから原料ガスが供給された場合の開口部からの原料ガス流の速度を、実施例1と同様の方法でシミュレーションした。具体的には、原料ガス供給ノズルの開口部幅を150mm、導出部及び開口部高さを実施例4では1.0mm(S=150mm)、比較例1では2.0mm(S=300mm)とし、円形の原料ガス供給口1つの断面積が254.34mm(実施例4及び比較例1での総断面積S)として、実施例4においてはS/Sが約1.7、比較例1においてはS/Sが約0.8となる原料ガス供給ノズルについてシミュレーションした。これら以外のシミュレーション条件は、実施例1と同様である。このようにしてシミュレーションした実施例4及び比較例1の結果については図7(a)、(b)それぞれに示す。図7(a)、(b)において、横軸は開口部の幅(Y軸)方向の位置、縦軸は開口部における原料ガスの流速を示す。
【0059】
図7(a)、(b)から、比較例1では、実施例4ほど均一に整流できていないことがわかる。
【0060】
(実施例5、比較例2)
次に、実施例4と同様の原料ガス供給ノズルについて、S/Sの大きさを変化させて、2つの対向する原料ガス供給口から供給された原料ガスを衝突混合させた場合の開口部からの原料ガス流の速度を、実施例1と同様の方法でシミュレーションした。実施例5においてはS/Sが約3.4(原料ガス供給ノズルの開口部幅を150mm、導出部及び開口部高さを1.0mm(S=150mm)、原料ガス供給口が2つ使用されるので、総断面積S=508.68mm)、比較例2においてはS/Sが約0.7((原料ガス供給ノズルの開口部幅を150mm、導出部及び開口部高さを5.0mm(S=750mm)、実施例5と同様、原料ガス供給口が2つ使用されるので、総断面積S=508.68mm)となる原料ガス供給ノズルについてシミュレーションした。これら以外のシミュレーション条件は、実施例4と同様である。このようにしてシミュレーションした実施例5及び比較例2の結果については図8(a)、(b)それぞれに示す。図8(a)、(b)において、横軸は開口部の幅(Y軸)方向の位置、縦軸は開口部における原料ガスの流速を示す。
【0061】
図8(a)、(b)から、比較例2では、実施例5ほど均一に整流できていないことがわかる。
【0062】
(実施例6)
次に、第1実施形態と同構成の原料ガス供給ノズルにおける導出部の原料ガス流動方向(図1における第3の上面用板部材6のX軸方向と同方向)の長さを2mm、5mm、10mm、30mmとした各場合について、実施例1と同様の方法でシミュレーションを行った。なお、他のシミュレーション条件としては、(1)ガスたまり部において、背面用板部材から誘導面を有する第2の上面用板部材に至るまでの長さが20mm、背面用板部材高さが21mm、背面用板部材から導出部に至るまでの長さが30mmであり、(2)導出部及び開口部高さにおいては1.0mmとし、(3)第2の上面用板部材の誘導面が下面用板部材に対して45°となるように設け、(4)各原料ガス供給口(それぞれに原料ガス供給管が接続されている)をガスたまり部の上部端から下方向に10mm、原料ガス流方向に10mmの位置に設け、(5)ガスたまり部と導出部との下面を加熱して300K、500K、700K、900Kの各温度状況下となるように設定した。その結果を開口部から出てくる原料ガスの流出速度を平均した値に対する誤差(偏差)を取って表した図9に示す。
【0063】
図9から、衝突混合を持って整流を行う際、室温では約3%程度のずれは見られるものの、つばを長くすればするほど偏差率が上昇し、1cm程度の長さがあれば十分整流できることが分かる。また、加温することによって、そのつばの長さを短くしても、整流に貢献していることが分かる。ただし、温度を上げるにしたがって、ノズルの材質に関わる問題が生じてきて、どんなにあげても700K程度の加熱で十分であると思われる。また、どんな場合でもつばを長くすれば良いわけではなく、つばを長くすればするほど、微粒子の壁面への付着する可能性が高くなるので、適度な長さに保つ方が好ましいと考えられる。
【0064】
(実施例7、比較例3)
次に、第2実施形態と同構成の原料ガス供給ノズルを用いた化学的気相成膜装置において、第2実施形態と同様の動作で基板上に実際に成膜を行った。具体的には、図11((a)が実施例7に係る原料ガス噴出用ノズルの斜視概略図であるとともに開口部の幅寸法を示す図、(b)が(a)の原料ガス噴出用ノズルにおける中央付近の内部空間のX-Z断面をY軸方向に見た際の寸法概略図である)に示すように、原料ガス供給ノズルの開口部幅を30mm、開口部高さを1mm、原料ガス供給口の径が8mm、導出部の原料ガス流動方向(図3における第3の上面用板部材26のX軸方向と同方向)の長さを30mm、幅方向を30mmなどとし、ガスたまり部と導出部とが室温下となる条件で成膜を行った。その結果を図10(a)、(b)に示す。なお、図10(a)、(b)の結果は、実施例7に係る成膜された基板において、無作為に選択した2点付近の膜厚を示したものである。また、比較例3として、突起部及び誘導面が存在せず、その代わりに、これらの部位が導出部における原料ガスの流動方向に対して垂直な面となっている点で図11に示した実施例7に係る原料ガス供給ノズルと異なるノズルを用いて基板上に成膜を行った。具体的には、図12((a)が比較例3に係る原料ガス噴出用ノズルの斜視概略図であるとともに開口部の幅寸法を示す図、(b)が(a)の原料ガス噴出用ノズルにおける中央付近の内部空間のX-Z断面をY軸方向に見た際の寸法概略図である)に示すようなノズルと同構成のものを作製し、このノズルを用いた化学的気相成膜装置において、ガスたまり部と導出部とが室温下となる条件で基板上に成膜を行った。比較例3に係る成膜の結果を図10(c)、(d)に示す。なお、図10(c)、(d)の結果は、比較例3に係る成膜された基板において、無作為に選択した2点付近の膜厚を示したものである。
【0065】
図10(a)、(b)から、実施例7における成膜結果は、10オングストロームにも満たない凹凸がある程度で、グラフ上で確認するのは不可能である。これに対して、図10(c)、(d)から、比較例3における成膜結果は、凹凸が激しく現れている。したがって、実施例7における原料ガス供給ノズルにおいては、原料ガス流を高い精度で整流できていることがわかるとともに、実施例7における原料ガス供給ノズルを備えた化学的気相成膜装置が均一な厚さの膜を基板上に形成できるものであることがわかる。
【0066】
なお、本発明は、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で設計変更できるものであり、上記実施形態や実施例に限定されるものではない。例えば、第1実施形態における原料ガス噴出用ノズル1では、原料ガスの供給に、2本の原料ガス供給管を用いているが、どちらか1本のみを有しているものであってもよいし、原料ガスの供給方向が交錯又は対向するように3本以上設けているものであってもよい。また、第2実施形態における原料ガス噴出用ノズル21においても、原料ガスの供給方向が交錯又は対向するように2本以上設けているものであってもよい。さらに、第1及び第2実施形態における原料ガス噴出用ノズル1、21の誘導面5a、25aは、平面としたが、原料ガスを誘導すればよいので、曲面など適宜変化させても良い。
【0067】
また、本発明によれば、原料ガスとして、0.001μm(=1nm)程度から100μm程度のサイズの微粒子を含むエアロゾル浮遊ガスを使用した際でも、上述した各効果を奏することができる。特に、1μm~10μm程度(若しくは1μm~5μm程度)のサイズの微粒子(成膜成分の他に水又は有機溶媒などの分子が含まれるものであってもよい。)を含むエアロゾル浮遊ガスについて用いても上述した各効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第1実施形態に係る化学的気相成膜装置に用いられている原料ガス噴出用ノズルの斜視外観図である。
【図2】図1の原料ガス噴出用ノズルを化学的気相成膜装置内の成膜室に設置した際の基板との関係を示す図であるとともに、図1の原料ガス噴出用ノズルにおける中央付近のX-Z断面をY軸方向に見た際の図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る化学的気相成膜装置に用いられている原料ガス噴出用ノズルの斜視外観図である。
【図4】図3の原料ガス噴出用ノズルを化学的気相成膜装置内の成膜室に設置した際の基板との関係を示す図であるとともに、図3の原料ガス噴出用ノズルにおける中央付近のX-Z断面をY軸方向に見た際の図である。
【図5】(a)が本発明の実施例1に係るグラフ、(b)が実施例2に係るグラフ、(c)が実施例3に係るグラフである。
【図6】実施例3で用いた原料ガス噴出用ノズルの上視外観図である。
【図7】(a)が本発明の実施例4に係るグラフ、(b)が比較例1に係るグラフである。
【図8】(a)が本発明の実施例5に係るグラフ、(b)が比較例2に係るグラフである。
【図9】本発明の実施例6に係るグラフである。
【図10】(a)及び(b)が本発明の実施例7に係るグラフ、(c)及び(d)が比較例3に係るグラフである。
【図11】(a)が実施例7に係る原料ガス噴出用ノズルの斜視概略図であるとともに開口部の幅寸法を示す図、(b)が(a)の原料ガス噴出用ノズルにおける中央付近の内部空間のX-Z断面をY軸方向に見た際の寸法概略図である。
【図12】(a)が比較例3に係る原料ガス噴出用ノズルの斜視概略図であるとともに開口部の幅寸法を示す図、(b)が(a)の原料ガス噴出用ノズルにおける中央付近の内部空間のX-Z断面をY軸方向に見た際の寸法概略図である。
【0069】
1、21、41 原料ガス噴出用ノズル
2、22 下面用板部材
3、23 背面用板部材
4、24、44 第1の上面用板部材
5、25、45 第2の上面用板部材
5a、25a、45a 誘導面
6、26、46 第3の上面用板部材
7、8、27、28 側面用部材
7a、8a、24a 原料ガス供給口
9a、29a 内部空間
9、29、49 ガスたまり部
10、30、50 原料ガス噴出部
10a、30a、50a 開口部
10b、30b、50b 導出部
11、12、31、51 原料ガス供給管
13、35 基板載置台
14、36 基板
21 原料ガス噴出用ノズル
22、32、33 板部材
29a 乱流抑制空間
34 突起部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11