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明細書 :使用済媒質の再生システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4929517号 (P4929517)
公開番号 特開2009-053097 (P2009-053097A)
登録日 平成24年2月24日(2012.2.24)
発行日 平成24年5月9日(2012.5.9)
公開日 平成21年3月12日(2009.3.12)
発明の名称または考案の名称 使用済媒質の再生システム
国際特許分類 G21F   9/06        (2006.01)
G21C  19/44        (2006.01)
FI G21F 9/06 581E
G21F 9/06 521M
G21F 9/06 581J
G21C 19/44 L
請求項の数または発明の数 5
全頁数 8
出願番号 特願2007-221362 (P2007-221362)
出願日 平成19年8月28日(2007.8.28)
審査請求日 平成21年2月5日(2009.2.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】独立行政法人日本原子力研究開発機構
発明者または考案者 【氏名】天本 一平
【氏名】小藤 博英
【氏名】福嶋 峰夫
【氏名】明珍 宗孝
個別代理人の代理人 【識別番号】100078961、【弁理士】、【氏名又は名称】茂見 穰
審査官 【審査官】村川 雄一
参考文献・文献 特開平09-152497(JP,A)
特開平11-002694(JP,A)
特開2005-227136(JP,A)
調査した分野 G21F 9/00 - 9/36
G21C 19/00 - 19/50
特許請求の範囲 【請求項1】
使用済媒質に沈殿物転換材を添加することにより使用済媒質中の不純物の一部を沈殿物として析出させる沈殿物転換用の反応槽と、該反応槽による沈殿処理後の媒質をろ過して沈殿物を回収するフィルタ装置と、該フィルタ装置によるろ過後の媒質中の可溶性不純物をイオン交換能及び/又は分子ふるい能を利用して回収する媒質精製ユニットを具備し、前記反応槽は、使用済媒質供給口と沈殿物転換材供給口と攪拌機を具備し、使用済媒質に沈殿物転換材を添加することにより使用済媒質中の不純物の一部を沈殿物として析出させる沈殿室と、堰で囲まれ上部から上澄液がオーバフローし前記堰の下部にゲート弁が設けられて含沈殿物液が流入可能で、内部に汲み上げポンプが組み込まれている媒質汲み上げ調整室とからなり、前記沈殿室の底部は、媒質組み上げ調整室の底部に向かって下がり勾配の傾斜面となっている構造であり、前記フィルタ装置のフィルタ材は、不純物固化用ガラス材料と整合性のある粒状又は繊維状のガラスからなり、カートリッジ方式で交換可能な構造をなし、前記媒質精製ユニットは、多段の精製塔からなり且つ真空吸引可能であって、各精製塔の充填材は、不純物固化用ガラス材料と整合性のある粒状あるいは繊維状のガラス、またはガラス細管からなり、カートリッジ方式で交換可能な構造をなしていることを特徴とする使用済媒質の再生システム。
【請求項2】
沈殿物を回収するフィルタ装置と可溶性不純物を回収する媒質精製ユニットとの間に、汲み上げポンプを備えた中間受槽を介在させ、媒質精製ユニットへの送液速度を調整可能とした請求項1記載の使用済媒質の再生システム。
【請求項3】
沈殿物転換用の反応槽と沈殿物を回収するフィルタ装置との間に、ろ過処理後の媒質を戻す戻り配管を設け、前記反応槽から媒質精製ユニットに向かう送液配管を設けて送液速度を調整可能とした請求項1記載の使用済媒質の再生システム。
【請求項4】
使用済溶媒の融点以上の温度に維持・制御が可能な加熱ヒータが装置及び配管類に組み込まれている請求項1乃至3のいずれかに記載の使用済媒質の再生システム。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれかに記載の使用済媒質の再生システムを用い、使用済媒質に沈殿物転換材を添加することにより使用済媒質中の不純物の一部を沈殿物として析出させる沈殿物転換工程、沈殿処理後の媒質をフィルタでろ過し沈殿物を回収する沈殿物回収工程、ろ過後の媒質をイオン交換能及び/又は分子ふるい能を備えた媒質精製ユニットに通し可溶性不純物を回収する可溶性不純物回収工程を具備している使用済媒質の再生方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済燃料の乾式再処理プロセスで生じる使用済媒質中の不純物元素を除去し、使用済媒質を再生するシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
使用済燃料の乾式再処理プロセスの一つに溶融塩電解法がある。この溶融塩電解法は、溶融したアルカリ金属塩化物(溶融塩)を媒質とし、その媒質中に使用済燃料を溶け込ませ、電気化学的な操作により目的物質の分離回収を行う方法である。しかし、溶融塩電解法で回収されなかった不純物は、運転時間の経過と共に媒質中に蓄積していくため、媒質の組成が変化し、電流効率の低下や媒質融点の上昇等の運転に悪影響を与える。運転条件を満足しなくなった媒質は、廃塩として取り替える必要があるが、廃塩はアクチノイド物質やFP(核分裂生成物)を含有しているため、高レベル放射性廃棄物(HLW)として廃棄されることになる。そこで、放射性廃棄物発生量や環境負荷の低減、経済性などの観点から、廃塩中の高レベル放射性物質(FP等)を適切に取り除くことにより媒質を再生し、媒質をリサイクルすることが望まれている。
【0003】
現在、使用済媒質の再生技術については、主に米国で開発されているゼオライト収着法と、ロシアで開発されている沈殿法がある。
【0004】
米国で開発されているゼオライト収着法では、まずパイロコンタクタを用いた液‐液抽出法によりマイナーアクチノイド(MA)核種を回収し、次に固定床(4A型ゼオライトを収着材として充填)を用いて収着作用によりFPを除去することが試みられている。このようにしてFPを収着したゼオライトは、ソーダライトに転換して安定化することにしているが、ソーダライトは、その構造上、ゼオライトのように多くのFPを含有できないため、ソーダライト化した後の廃棄物量が増大し、環境負荷及び経済性の面から大きな課題となっている。
【0005】
他方、ロシアで開発されている沈殿法では、使用済媒質にリン酸ナトリウム(Na3 PO4 )や炭酸ナトリウム(Na2 CO3 )を添加することにより媒質中に溶け込んでいる成分を沈殿させ、これをフツリン酸ガラス等で固化する。この方法では、媒質中の沈殿物を回収する技術が必要となる。沈殿物の回収法として、吸引による回収法や遠心分離機による固液分離法などが検討されているが、いずれにしても装置が複雑であり、また操作が煩雑であることにより、実操業に際しては、安全性や能率、保守性等の面でさまざまな問題が生じることが予想され、沈殿物を容易に回収できる技術は未だ確立されていない。なお、このような沈殿法の場合には、廃塩を除染することが検討されているのみで、リサイクルについては全く考慮されていない。
【0006】
その後、沈殿法で、放射性核分裂生成物を溶融塩からろ過分離し、溶融塩をリサイクルすることが提案されている(特許文献1参照)。しかし、ろ過のみでは、沈殿物を形成しない可溶性不純物は回収できず、回収されなかった不純物は、運転時間の経過と共に媒質中に蓄積していくため、媒質の組成が変化し、電流効率の低下や媒質融点の上昇等の運転に悪影響を与える。従って、運転条件を満足しなくなった媒質は、廃塩として取り替える必要がある。

【特許文献1】特開平9-152497号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、使用済媒質中の高レベル放射性物質(FP等)を適切に取り除くことにより媒質を再生し、媒質をリサイクルできるようにすることである。特に、沈殿法において、沈殿物を容易に回収でき、更に沈殿物を形成しない可溶性不純物を回収して使用済媒質を再生し、リサイクルできるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、使用済媒質に沈殿物転換材を添加することにより使用済媒質中の不純物の一部を沈殿物として析出させる沈殿物転換用の反応槽と、該反応槽による沈殿処理後の媒質をろ過して沈殿物を回収するフィルタ装置と、該フィルタ装置によるろ過後の媒質中の可溶性不純物をイオン交換能及び/又は分子ふるい能を利用して回収する媒質精製ユニットとを具備していることを特徴とする使用済媒質の再生システムである。
【0009】
このような使用済媒質の再生システムにおいては、沈殿物を回収するフィルタ装置と可溶性不純物を回収する媒質精製ユニットとの間に、汲み上げポンプを備えた中間受槽を介在させ、媒質精製ユニットへの送液速度を調整可能とすることが望ましい。あるいは、沈殿物転換用の反応槽と沈殿物を回収するフィルタ装置との間に、ろ過処理後の媒質を戻す戻り配管を設け、前記反応槽から媒質精製ユニットに向かう送液配管を設けて送液速度を調整可能としてもよい。これらの装置及び配管類には、使用済溶媒の融点以上の温度に維持・制御が可能な加熱ヒータを組み込む。
【0010】
沈殿物転換用の反応槽は、使用済媒質供給口と沈殿物転換材供給口と攪拌機を具備し、使用済媒質に沈殿物転換材を添加することにより使用済媒質中の不純物の一部を沈殿物として析出させる沈殿室と、堰で囲まれ上部から上澄液がオーバフローし前記堰の下部にゲート弁が設けられて含沈殿物液が流入可能で、内部に汲み上げポンプが組み込まれている媒質汲み上げ調整室とからなり、前記沈殿室の底部は、媒質組み上げ調整室の底部に向かって下がり勾配の傾斜面となっている構造とする。また、フィルタ装置のフィルタ材は、不純物固化用ガラス材料と整合性のある粒状又は繊維状のガラスからなり、カートリッジ方式で交換可能な構造とする。更に、媒質精製ユニットは、多段の精製塔からなり且つ真空吸引可能な構造であって、各精製塔の充填材は、不純物固化用ガラス材料と整合性のある粒状あるいは繊維状のガラス、またはガラス細管からなり、カートリッジ方式で交換可能な構造とする。



【0011】
また本発明は、上記のような使用済媒質の再生システムを用い、使用済媒質に沈殿物転換材を添加することにより使用済媒質中の不純物の一部を沈殿物として析出させる沈殿物転換工程、沈殿処理後の媒質をフィルタでろ過し沈殿物を回収する沈殿物回収工程、ろ過後の媒質をイオン交換能及び/又は分子ふるい能を備えた媒質精製ユニットに通し可溶性不純物を回収する可溶性不純物回収工程を具備している使用済媒質の再生方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る使用済媒質の再生システムは、沈殿処理後の媒質をフィルタ装置でろ過するだけであるため、沈殿法で分離した使用済媒質中の一部の不純物を容易に回収できようになる。また本発明は、媒質精製ユニットを具備しているので、沈殿法だけでは取り除けなかった可溶性不純物についても、除去可能となる。その結果、媒質が再生され、溶融塩電解法の媒質としてリサイクルすることができる。
【0013】
更に本発明では、沈殿物転換用の反応槽を、沈殿室と媒質汲み上げ調整室とに区分しているので、これまで過剰に添加して廃棄物となっていた沈殿物転換材を再利用することができる。その上、沈殿物除去に用いるフィルタ材及び精製塔の充填材については、不純物の固化に用いるガラスと整合性のとれたガラス材料を用いることで、収着した物質ごと処理できるために、廃棄物発生量を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明は、使用済媒質に沈殿物転換材を添加することにより使用済媒質中の不純物の一部を沈殿物として析出させる沈殿物転換用の反応槽と、該反応槽による沈殿処理後の媒質をろ過して沈殿物を回収するフィルタ装置と、該フィルタ装置によるろ過後の媒質中の可溶性不純物をイオン交換能及び/又は分子ふるい能を利用して回収する媒質精製ユニットとを具備していることを特徴とする使用済媒質の再生システムである。
【0015】
溶融塩電解法の媒質に用いられる物質は、通常、LiCl(59.5mol%)-KCl系共晶塩(融点:約355℃)、NaCl(35mol%)-CsCl系共晶塩(融点:約486℃)、NaCl(50.6mol%)-KCl系共晶塩(融点:約657℃)である。これらの使用済媒質に溶け込んでいる主要な不純物としては、アルカリ金属塩化物、アルカリ土類金属塩化物、ランタノイド系列塩化物、及びアクチノイド系列塩化物を挙げることができる。
【0016】
本発明では、反応槽内で、溶融した媒質(溶融塩)が、添加された沈殿物転換材と接触することにより、媒質中に溶け込んでいる成分の一部が転換反応を起こし、沈殿物として析出する(沈殿物転換工程)。沈殿物転換材は、処理後の媒質組成に大きな影響を与えないように、基本的には陽イオン部分が媒質と共通なイオンを有する炭酸塩(Na2 CO3 等)やリン酸塩(Li3 PO4 、K3 PO4 、Na3 PO4 等)とする。なお、酸化物転換材として、炭酸塩のほか、ホウ酸(H3 BO3 )を用いてもよい。またリン酸塩転換においてはリン酸塩を使用する。例えば500℃において、オルトリン酸リチウム(Li3 PO4 )をLiCl-KCl系使用済み媒質に添加することにより、
LnCl3 +Li3 PO4 →LnPO4 (固体)+3LiCl(液体)
(Ln:3価のランタノイド系列元素を代表する化学記号として用いている)
の反応が起き、ほとんど全てのランタノイド系列の塩化物をリン酸塩として沈殿させることができる。また、一部のアルカリ金属やアルカリ土類金属の塩化物は、Li3 PO4 との反応を起こし難いが、塩化物やリン酸塩または塩化物とリン酸塩の複塩を形成して、例えば、Sr10Cl2 (PO4 6 が沈殿するため、媒質から分離可能である。
【0017】
沈殿処理後の媒質は、沈殿物回収用のフィルタ装置でろ過することにより、回収される(沈殿物回収工程)。フィルタ材としては、沈殿物の固化に用いる材料と整合性のあるガラス材料を用いる。即ち、リン酸塩沈殿法においては鉄リン酸ガラス、酸化物沈殿法においては、ホウ珪酸ガラスが好ましい。フィルタ材の形状は、粒状、若しくは繊維状とし、カートリッジ形式として容易に交換可能な構造とする。
【0018】
沈殿しなかった可溶性不純物については、イオン交換能及び/又は分子ふるい能を備えた媒質精製ユニットを通すことによって、媒質から分離する(可溶性不純物回収工程)。媒質精製ユニットには、イオン交換樹脂、粒状あるいは繊維状のガラス、またはガラス細管からなるカートリッジを設置した多段の精製塔からなり、真空吸引する。イオン交換樹脂を使用する場合は、竪型の精製塔を用いればよいが、逆浸透による分離を行う場合は、横型にして各精製塔を連結する。使用するガラスの材質は、リン酸塩の場合、既に開発されているLi2 O-P2 5 やTiO2 -P2 5 系のナノポーラス材料が、また酸化物については、ホウ珪酸ガラス系のナノポーラス材料を用いることが、以降の沈殿物のガラス固化工程と整合性がとれるため好ましい。
【実施例】
【0019】
図1は、本発明に係る使用済媒質の再生システムの一実施例を示す説明図である。この使用済媒質の再生システムは、使用済媒質に沈殿物転換材を添加することにより使用済媒質中の不純物の一部を沈殿物として析出させる沈殿物転換用の反応槽10と、該反応槽10による沈殿処理後の媒質をろ過処理して沈殿物を回収するフィルタ装置12と、該フィルタ装置12によるろ過後の媒質を受ける中間受槽14と、該中間受槽14で送液速度を調整してろ過後の媒質をイオン交換能及び/又は分子ふるい能を利用して可溶性不純物の回収を行う媒質精製ユニット16を具備している。
【0020】
なお、これらの装置及びそれらを結ぶ配管類には、壁面などに加熱ヒータ(図面を簡略化するため図示せず)が組み込まれ、使用済溶媒の融点以上の温度に維持(保温)・制御(温度調節)が可能な構造になっている。沈殿物転換用の反応槽の詳細を図2に示し、システム全体の平面配置の例を図3に示す。なお、符号Mはモータを表している。
【0021】
沈殿物転換用の反応槽10は、沈殿室20と媒質汲み上げ調整室22からなる。沈殿室20は、使用済媒質供給口24、沈殿物転換材供給口26、及び槽内での反応を促進するための攪拌機28を具備し、使用済媒質に沈殿物転換材を添加することにより使用済媒質中の不純物の一部を沈殿物として析出させる区域である。媒質汲み上げ調整室22は、堰30で囲まれ沈殿室20から区切られた区域であり、該堰30上部から沈殿室20内の上澄液がオーバフローし、前記堰30の下部3方向にゲート弁32が設けられて含沈殿物液が流入可能で、内部に汲み上げポンプ34が組み込まれている。そして沈殿室20の底部は、媒質組み上げ調整室22の底部に向かって下がり勾配の傾斜面36となっている。
【0022】
ここで、沈殿処理後の上澄液のみを送液したい場合には、ゲート弁32を「閉」にしておく。また、沈殿物を含む全媒質を次工程に送液する場合は、ゲート弁32を「開」とする。なお、沈殿物汲上げ調整室22の下部に形成されている開口部分を開閉できる機構であれば、ゲート弁の代わりとして用いることができる。沈殿室20の底部に、媒質組み上げ調整室22の底部に向かって下がり勾配の傾斜面36を設けておくと、沈殿物は媒質汲み上げ調整室の方へスムーズに移動する。ゲート弁32の開閉操作によって調整された処理後の使用済み媒質は、媒質汲み上げ調整室22内に設置された汲み上げポンプ34により次工程に移送される。
【0023】
ところで、これまでの実験結果では、沈殿物転換反応を円滑に進行させるためには、化学量論量以上の分量で沈殿物転換材を供給する必要があり、反応に供されなかった過剰分の沈殿物転換材は、分離対象物質とともに沈殿するため、廃棄物発生量が増大していた。しかしながら本発明では、媒質汲み上げ調整室22を反応槽10に設けることにより、上澄液のみを次工程に送り、沈殿物を反応槽内に残留させることが可能になったので、過剰分の沈殿物転換材が有効に利用できるようになる。
【0024】
次工程への送液配管の途中には、沈殿物回収用のフィルタ装置12が設置されており、媒質中の沈殿物は、ここで除去される。フィルタ材は、不純物固化用ガラス材料と整合性のある粒状又は繊維状のガラスからなり、カートリッジ方式で交換可能な構造をなしている。このように媒質の移送配管の途中に、沈殿物除去用のフィルタ装置12を設置することで、複雑な操作を行うことなく沈殿物の分離回収が可能となる。抜き出し操作は、媒質の種類によっても異なるが、通常、400~700℃で行われるためフィルタ材は、耐熱性で、且つ媒質との接触による影響を受け難いものが要求される。そこで、このような要件を満足する材料として本実施例ではガラスを使用している。回収した沈殿物を安定化するため、次工程において沈殿物をガラス内に充填することを踏まえ、安定化に用いるガラスと整合性の取れた成分のガラスをフィルタ材料とすることにより、フィルタ材に安定化用のガラス材料を兼ねさせ、沈殿物回収に伴う二次廃棄物量の抑制を達成できる。
【0025】
フィルタ装置12で沈殿物を除去した媒質は、一旦、汲み上げポンプ34を備えた中間受槽14に送られ、汲み上げポンプ38によって媒質精製ユニット16に徐々に供給される。送液速度は、空間速度(SV)による。
【0026】
可溶性不純物の回収を行う媒質精製ユニット16は、処理速度を高めるため多段の精製塔40からなり、且つ真空吸引可能な構造である。各精製塔40の充填材は、不純物固化用ガラス材料と整合性のある粒状あるいは繊維状のガラス、またはガラス細管からなり、カートリッジ方式で交換可能とする。この実施例は、イオン交換樹脂を使用する場合であり、竪型の精製塔を用いている。しかし、逆浸透による分離を行う場合は、横型にして各精製塔を連結する。なお、必要に応じて次工程への送液配管の途中に媒質戻し配管42を接続して、媒質を中間受槽14に戻すこともできる。
【0027】
このような使用済媒質の再生システムを用い、使用済媒質に沈殿物転換材を添加することにより使用済媒質中の不純物の一部を沈殿物として析出させる沈殿物転換工程、沈殿処理後の媒質をフィルタでろ過し沈殿物を回収する沈殿物回収工程、ろ過後の媒質をイオン交換能及び/又は分子ふるい能を備えた媒質精製ユニットに通し可溶性不純物を回収する可溶性不純物回収工程を経ることで、使用済媒質を再生し、溶融塩電解法の媒質としてリサイクルに供することができる。
【0028】
図4は、使用済媒質の再生システムの他の実施例を示す説明図である。主要な装置等の構成は、基本的に前記実施例の場合と同様であってよいので、説明を簡略化するため、対応する部分には同一符号を付し、それらについての記載は省略する。これは、反応槽10に中間受槽の機能を兼ねさせることで、合理化を図っている。即ち、沈殿物転換用の反応槽10と沈殿物回収用のフィルタ装置12との間に、ろ過後の媒質を戻す戻り配管44を設け、前記反応槽10から媒質精製ユニット16に向かう送液配管46を設けて送液速度を調整可能とする。このように合理化したシステムの場合、反応槽10とフィルタ装置12の間で、媒質を循環して沈殿物を取り除いた後、媒質精製ユニット16で可溶性不純物の除去を行う。なお、可溶性不純物の除去が不要な場合には、沈殿物を取り除いた媒質を直接本工程に送液することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る使用済媒質の再生システムの一実施例を示す説明図。
【図2】沈殿物転換用の反応槽の詳細図。
【図3】使用済媒質の再生システムの全体の平面配置の例を示す説明図。
【図4】本発明に係る使用済媒質の再生システムの他の実施例を示す説明図。
【符号の説明】
【0030】
10 反応槽
12 フィルタ装置
14 中間受槽
16 媒質精製ユニット
20 沈殿室
22 媒質汲み上げ調整室
28 攪拌機
30 堰
32 ゲート弁
34 汲み上げポンプ
40 精製塔
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3