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明細書 :多面体結晶構造模型

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5267902号 (P5267902)
公開番号 特開2009-042616 (P2009-042616A)
登録日 平成25年5月17日(2013.5.17)
発行日 平成25年8月21日(2013.8.21)
公開日 平成21年2月26日(2009.2.26)
発明の名称または考案の名称 多面体結晶構造模型
国際特許分類 G09B  23/26        (2006.01)
FI G09B 23/26
請求項の数または発明の数 11
全頁数 21
出願番号 特願2007-209177 (P2007-209177)
出願日 平成19年8月10日(2007.8.10)
審査請求日 平成22年6月2日(2010.6.2)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503092180
【氏名又は名称】学校法人関西学院
発明者または考案者 【氏名】小笠原 一禎
個別代理人の代理人 【識別番号】100089196、【弁理士】、【氏名又は名称】梶 良之
【識別番号】100104226、【弁理士】、【氏名又は名称】須原 誠
審査官 【審査官】中澤 言一
参考文献・文献 実開昭62-129577(JP,U)
実開昭56-58671(JP,U)
特開平4-30193(JP,A)
特開平7-261657(JP,A)
特開2001-92349(JP,A)
特開2004-233900(JP,A)
調査した分野 G09B 23/00 - 25/08
A63F 9/12
A63H 33/04 - 33/14
特許請求の範囲 【請求項1】
多面体形状であって、全ての頂点に陽イオン、陰イオン若しくは原子又は分子を表す標識が設けられ、且つ、内部に陽イオン、陰イオン若しくは原子又は分子を示す標識が外部から識別可能に設けられており、配位多面体を表す複数の配位多面体部品と、
多面体形状であって、全ての頂点に陽イオン、陰イオン若しくは原子又は分子を表す標識が設けられ、且つ、内部に陽イオン、陰イオン若しくは原子又は分子を示す標識が存在しない少なくとも1つ以上の空隙多面体部品とを備え
前記複数の配位多面体部品のうちの少なくとも1つの配位多面体部品に対して前記空隙多面体部品が面接触した状態で配置されることを特徴とする多面体結晶構造模型。
【請求項2】
前記配位多面体部品及び前記空隙多面体部品は、それぞれ、正四面体及び/又は正八面体の形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の多面体結晶構造模型。
【請求項3】
前記空隙多面体部品は透明の部材で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の多面体結晶構造模型。
【請求項4】
前記配位多面体部品は透明の部材で形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の多面体結晶構造模型。
【請求項5】
前記配位多面体部品と前記空隙多面体部品とは互いに異なる色または互いに異なる模様を有していることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の多面体結晶構造模型。
【請求項6】
前記空隙多面体部品は互いに異なる色または互いに異なる模様のものを含んでいることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の多面体結晶構造模型。
【請求項7】
前記配位多面体部品は互いに異なる色または互いに異なる模様のものを含んでいることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の多面体結晶構造模型。
【請求項8】
前記複数の配位多面体部品及び前記少なくとも1つ以上の空隙多面体部品を内部に装填可能であって且つ透明の部材で形成された筐体を備えていることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の多面体結晶構造模型。
【請求項9】
前記筐体は立方体形状または正六角柱形状であることを特徴とする請求項に記載の多面体結晶構造模型。
【請求項10】
前記配位多面体部品又は前記空隙多面体部品を分割した部品を含んでいることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の多面体結晶構造模型。
【請求項11】
前記配位多面体部品及び前記空隙多面体部品は、互いに面接触した状態で連結するための連結機構を有していることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の多面体結晶構造模型。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶構造を直感的に理解するために用いられる多面体結晶構造模型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の結晶構造模型には、原子位置モデルと多面体モデルとがある。原子位置モデルは、いわゆる分子構造模型であり、原子又はイオンを表す部品と、原子間結合又はイオン間結合を表す部品とを接続することによって、結晶内における原子又はイオンの位置、結合腕の距離や方向を正確に表現できる。
【0003】
例えば、セン亜鉛鉱型構造を示す原子位置モデル19では、図26に示すように、陰イオンを表す球状の部品19aと陽イオンを表す球状の部品19bとが棒状の接続部品19cによって接続されることで、単位格子(ユニットセル)が組み立てられる。また、逆ホタル石構造を示す原子位置モデル20では、図27に示すように、陰イオンを表す球状の部品20aと陽イオンを表す球状の部品20bとが棒状の接続部品20cによって接続されることで、単位格子が組み立てられる。しかしながら、原子位置モデルは、原子位置、結合腕の距離や方向の正確な表現には適しているが、配位多面体の形状、その幾何学的配置等を直感的に理解することは著しく困難である。
【0004】
一方、結晶構造を、陽イオン、陰イオン若しくは原子又は分子に配位して囲む陰イオン、陽イオン若しくは原子又は分子を頂点とする配位多面体の集合として捉え、かかる配位多面体を表す部品を組合わせることによって結晶構造を組み立てる多面体モデルがある。すなわち、多面体モデルは、配位多面体の幾何学的配置により結晶構造を表現するものである。多面体モデルにおいては、配位多面体の形状、その幾何学的配置等を直感的に理解することが容易である。しかし、多面体中のイオン間又は原子間の結合距離及び結合角を知ることは容易でない。また、多面体モデルにあっては、結晶構造模型として組み立てるためには、一般に、多面体をその稜線及び/又は頂点で接合する必要があり、多面体モデルの組み立ては実際上困難である。このため、多面体モデルでは、コンピューターグラフィックスが多用されている。しかし、コンピューターグラフィックス上の仮想模型である限り、具現された三次元構造を有する模型と異なり、配位多面体の幾何学的配置等を直感的に理解することは、依然、容易でない。
【0005】
また、多面体中のイオン間又は原子間の結合距離及び結合角を知ることが容易でないという欠点を改良した一種の多面体モデルとして、折り紙等で正八面体形状のスケルトン構造を作成し、その稜線及び/又は頂点で接合するモデルが知られている(例えば、特許文献1参照)。このようなスケルトン構造を有する一種の多面体結晶構造モデルは、結晶構造の対称性等を実感的且つ系統的に理解するのに適している。しかし、稜線及び/又は頂点で接合するモデルである限り、模型としての組み立ては依然として容易でない。
【0006】

【特許文献1】特開平7-261657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
すなわち、従来の多面体モデルでは、その組立てに稜線及び/又は頂点における接合が必要であり、配位多面体を表す部品を組み立てるのが非常に困難であり、結晶構造モデルの組み立てや組み替えに長時間が必要となる。また、複数の配位多面体間に空隙が形成される多面体空隙構造に至っては、その形状、幾何学的配置等を理解することは一層困難であった。多面体モデルのコンピュータグラフィックスを用いた場合でも、二次元の画面の表示から実際の結晶構造における配位多面体等の幾何学的配置を直感的に理解することは、具現した三次元多面体モデルと異なり、依然として容易でない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、容易に組み立てることができると共に、配位多面体に加えて、多面体空隙の形状、幾何学的配置も直感的に理解できる多面体結晶構造模型を提供することである。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0009】
本発明の多面体結晶構造模型は、多面体形状であって、全ての頂点に陽イオン、陰イオン若しくは原子又は分子を表す標識が設けられ、且つ、内部に陽イオン、陰イオン若しくは原子又は分子を示す標識が外部から識別可能に設けられており、配位多面体を表す複数の配位多面体部品と、多面体形状であって、全ての頂点に陽イオン、陰イオン若しくは原子又は分子を表す標識が設けられ、且つ、内部に陽イオン、陰イオン若しくは原子又は分子を示す標識が存在しない少なくとも1つ以上の空隙多面体部品とを備え、前記複数の配位多面体部品のうちの少なくとも1つの配位多面体部品に対して前記空隙多面体部品が面接触した状態で配置されることを特徴としている。
【符号の説明】
【0010】
この構成によると、配位多面体を表す配位多面体部品と、複数の配位多面体間に形成される本来は目視できない多面体空隙を表す空隙多面体部品を用いることによって、結晶構造の多面体モデル型模型を容易に組み立てることができる。これは、配位多面体部品の組立てにおいて、その稜線及び/又は頂点で接合する必要がなく、空隙多面体部品を介した面接合により容易にすることができるためである。また、配位多面体部品及び空隙多面体部品を用いて多面体結晶構造模型を組み立てることや、その多面体結晶構造模型を観察することによって、配位多面体及び多面体空隙の形状、幾何学的配置を直感的に理解することができる。さらに、いくつかの部品の組み合わせによって種々の多面体結晶構造模型ができる。このため、いくつかの部品を組み合わせた1つの部品キットによる、複数の結晶構造のモデル化が可能であり、別結晶構造間の組み替えも容易である。
また、配位多面体部品は、その内部に陽イオン、陰イオン若しくは原子又は分子を表す標識が外部から識別可能に設けられているため、配位多面体に内在する陽イオン、陰イオン若しくは原子又は分子の配置が容易に理解でき、配位多面体部品と空隙多面体部品とを容易に見分けることができるので、結晶構造がより理解し易くなる。
また、配位多面体部品及び空隙多面体部品は、全ての頂点に陽イオン、陰イオン若しくは原子又は分子を表す標識が設けられているため、多面体結晶構造における配位多面体及び空隙多面体の各頂点に配置された陰イオン、陽イオン若しくは原子又は分子の配置がより認識し易くなる。また、配位多面体に内在する陽イオン、陰イオン若くは原子又は分子と配位多面体の各頂点に位置する陰イオン、陽イオン若しくは原子又は分子との間の結合距離及び結合角が容易に理解できる。
【0011】
本発明の多面体結晶構造模型においては、前記配位多面体部品及び前記空隙多面体部品は、それぞれ、正四面体及び/又は正八面体の形状を有していてもよい。
【0012】
この構成によると、正四面体形状及び正八面体形状を有する配位多面体部品及び空隙多面体部品で多くの多面体結晶構造における配位多面体及びその周囲の多面体空隙を適正に表すことができる。なお、配位多面体部品及び空隙多面体部品は、それぞれ、正多面体である必要は必ずしもないが、複数の結晶構造模型の組み立てを想定する場合や当該部品のキット化にあっては、共通部品として用いるため、正多面体であることが望ましい。
【0013】
本発明の多面体結晶構造模型においては、前記空隙多面体部品は透明の部材で形成されていてもよい。
【0014】
この構成によると、空隙多面体の形状及び幾何学的配置に加えて、透明の空隙多面体部品の奥側に配置された配位多面体部品が見えるようになるので、配位多面体と多面体空隙との位置関係等を直感的に理解し易くなる。
【0015】
本発明の多面体結晶構造模型においては、前記配位多面体部品は透明の部材で形成されていてもよい。
【0016】
この構成によると、透明の配位多面体部品の奥側に配置された空隙多面体部品が見えるようになるので、配位多面体と多面体空隙との位置関係等を直感的により理解し易くなる。
【0017】
本発明の多面体結晶構造模型においては、前記配位多面体部品と前記空隙多面体部品とは互いに異なる色または互いに異なる模様を有していてもよい。
【0018】
この構成によると、配位多面体部品と空隙多面体部品とを容易に見分けることができるので、結晶構造がより理解し易くなる。
【0019】
本発明の多面体結晶構造模型においては、前記空隙多面体部品は互いに異なる色または互いに異なる模様のものを含んでいてもよい。
【0020】
この構成によると、形状、配置の異なる空隙多面体部品どうしを色または模様で識別できるようになるので、例えば互いに異なる形状の空隙多面体部品や、互いに空間的配置の異なる空隙多面体部品を容易に見分けることができる。従って、結晶構造がより理解し易くなる。
【0021】
本発明の多面体結晶構造模型においては、前記配位多面体部品は互いに異なる色または互いに異なる模様のものを含んでいてもよい。
【0022】
この構成によると、配位多面体部品どうしを色または模様で識別できるようになるので、例えば、内在するイオン、原子又は分子が互いに異なる配位多面体部品、互いに異なる形状の配位多面体部品、又は互いに空間的配置が異なる配位多面体部品を容易に見分けることができる。従って、結晶構造がより理解し易くなる。
【0027】
本発明の多面体結晶構造模型においては、前記複数の配位多面体部品及び前記少なくとも1つ以上の空隙多面体部品を内部に装填可能であって且つ透明の部材で形成された筐体を備えていてもよい。
【0028】
この構成によると、配位多面体部品と空隙多面体部品とを連結又は接着等の接合をすることなく、それらを透明な筐体内に装填することで、安定した多面体結晶構造模型を組み立てることができ、装填した状態で観察できる。すなわち、結晶構造の部分モデルとして、筐体内において容易に多面体結晶構造模型を組み立てることができる。
【0029】
本発明の多面体結晶構造模型においては、前記筐体は立方体形状または正六角柱形状であってもよい。
【0030】
この構成によると、立方最密充填構造や六方最密充填構造に基づく結晶構造の部分モデルを容易に組み立てることができる。例えば、立方体形状の筐体を用いることで、容易に立方最密充填構造に基づく単位格子モデルを組み立てることができる。
【0031】
本発明の多面体結晶構造模型においては、前記配位多面体部品又は前記空隙多面体部品を分割した部品を含んでいてもよい。
【0032】
この構成によると、筺体の内壁と装填した配位多面体部品及び空隙多面体部品の間にすき間が形成される場合であっても、すき間の全部又は一部を充填する分割部品を併用することで、多面体結晶構造模型の組み立てが容易になると共に、より安定した多面体結晶構造模型を組み立てることができる。
【0033】
本発明の多面体結晶構造模型においては、前記配位多面体部品及び前記空隙多面体部品は互いに面接触した状態で連結するための連結機構を有していてもよい。
【0034】
この構成によると、上述した筺体を用いることなく、配位多面体部品と空隙多面体部品とを連結することによって、安定した多面体結晶構造模型を容易に組み立てることができる。また、接着による接合と異なり、結晶構造模型として、異なる結晶構造模型間の組み替えが容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0036】
まず、具体的実施例に先立ち、本発明の実施の形態に係る結晶構造模型により組み立てられるイオン性結晶構造の例について説明する。一般に、最密充填の概念を用いると、多面体結晶構造模型の対象となる多くのイオン性結晶の構造が記述できる。図1は、3次元空間における最密充填構造を説明する模式図である。図2は、立方最密充填構造における正四面体間隙及び正八面体間隙を説明する図である。図3は、六方最密充填構造における正四面体間隙及び正八面体間隙を説明する図である。
【0037】
3次元空間における最密充填構造には、図1(a)に示す立方最密充填構造と、図1(b)に示す六方最密充填構造とがある。立方最密充填構造及び六方最密充填構造は、それぞれ、2次元平面での最密充填層が密に積層されて構成される。図1では各イオンを球とみなして図示されている。立方最密充填構造では、2層目(B層)の球は1層目(A層)の3つの球によって形成される窪みに収まるように積層されると共に、3層目(C層)の球は、B層の3つの球によって形成される窪みのうちA層の球の真上と異なる位置の窪みに収まるように積層される。一方、六方最密充填構造では、2層目(B層)の球は1層目(A層)の3つの球によって形成される窪みに収まるように積層されると共に、3層目の球は、B層の3つの球によって形成される窪みのうちA層の球の真上と同じ位置の窪みに収まるように積層される。
【0038】
上記の立方最密充填構造及び六方最密充填構造には、それぞれ、正四面体間隙(4面体サイト)と正八面体間隙(8面体サイト)とが存在する。そして、一般には、陰イオンは陽イオンより大きいため、多くのイオン性結晶は、陰イオンが最密充填配列し、その間隙に陽イオンが入った構造とみなすことができる。すなわち、これらのイオン性結晶における正四面体間隙とは、最密充填構造中の4つの陰イオンの各中心位置を頂点として存在する正四面体形状の間隙であり、正八面体間隙とは、最密充填構造中の6つの陰イオンの各中心位置を頂点として存在する正八面体形状の間隙である。図2及び図3では、陰イオンの中心位置が丸印で図示されている。立方最密充填構造では、図2(a)に示すように、例えば、正四面体間隙1は、4つの陰イオンの中心位置1a~1dを頂点とする正四面体形状の間隙であり、例えば、正八面体間隙2は、図2(b)に示すように、6つの陰イオンの中心位置2a~2fを頂点とする正八面体形状の間隙である。また、六方最密充填構造では、図3(a)に示すように、例えば、正四面体間隙3は、4つの陰イオンの中心位置3a~3dを頂点とする正四面体形状の間隙であり、例えば、正八面体間隙4は、6つの陰イオンの中心位置4a~4fを頂点とする正八面体形状の間隙である。
【0039】
そして、最密充填構造となるように配置された陰イオン間に正四面体間隙又は正八面体間隙が形成される一般的なイオン性結晶構造にあっては、それぞれの間隙の一部又は全部に陽イオンが内在することになる。その結果、陽イオンが内在した間隙が配位多面体となり、陽イオンが内在しない間隙が配位多面体間の空隙を構成する空隙多面体となる。すなわち、陰イオンが最密充填構造となるイオン性結晶構造にあっては、正四面体又は正八面体の配位多面体及び空隙多面体で結晶構造をその空隙構造を含めて表現できる。なお、陽イオンが最密充填構造となるイオン性結晶構造にあっても、同様の表現が可能である。
【0040】
以下、本発明の実施の形態に係る結晶構造模型を組み立てるための部品の例について、図4及び図5を参照して説明する。図4は、本発明の実施の形態に係る結晶構造模型を組み立てるための部品である配位多面体部品、空隙多面体部品等の例の外観斜視図である。図5は、本発明の実施の形態に係る結晶構造模型を組み立てるための部品である筐体の例の外観斜視図である。
【0041】
本発明に係る結晶構造模型は、陽イオン、陰イオン若しくは原子又は分子が内在する配位多面体と、それらの配位多面体間に形成される多面体空隙を含む結晶構造を示すためのものであり、複数の部品によって組み立てられる。ここで、複数の部品の例としては、図4及び図5に示すように、正四面体形状を有する配位多面体部品5、同じく正四面体形状を有する空隙多面体部品6、正八面体形状を有する配位多面体部品7、同じく正八面体形状を有する空隙多面体部品8、空隙多面体部品8の一部分である分割空隙多面体部品9、及び、これらを内部に装填可能な立方体形状の筐体10や六角柱形状の筐体11等が用いられる。
【0042】
以下の各部品の説明では、配位多面体部品が、陽イオンを内在し、陰イオンを配位した配位多面体を示し、空隙多面体部品は、その配位多面体間に形成される多面体空隙を示すものとして説明するが、配位多面体部品が、陰イオンに配位した陽イオンから構成される配位多面体を示す場合は陽イオンと陰イオンとを示す標識の位置関係が反対になり、原子若しくは分子が内在しそれらに配位した原子若くは分子から構成される配位多面体を示す場合は陽イオン及び陰イオンを示す標識が配置された位置に原子若しくは分子を示す標識が配置されることになる。
【0043】
配位多面体部品5は、4つの陰イオンの各中心位置を頂点5aとする正四面体形状を有し、かつ陽イオンを内部に含む配位多面体を表す部品である。配位多面体部品5は4つの面5bを有しており、それらは正三角形状である。また、配位多面体部品5の内部には陽イオンを示す標識となる部材5cが設けられている。
【0044】
空隙多面体部品6は、4つの陰イオンの各中心位置を頂点6aとする正四面体形状を有しており、陽イオンを内部に含まない空隙を表す部品である。空隙多面体部品6は4つの面6bを有しており、それらは正三角形状である。また、空隙多面体部品6の大きさは、配位多面体部品5の大きさと同じである。
【0045】
配位多面体部品7は、6つの陰イオンの各中心位置を頂点7aとする正八面体形状を有し、かつ陽イオンを内部に含む配位多面体を表す部品である。配位多面体部品7は8つの面7bを有しており、それらは正三角形状である。また、配位多面体部品7の内部には陽イオンを示す標識となる部材7cが設けられている。
【0046】
空隙多面体部品8は、6つの陰イオンの各中心位置を頂点8aとする正八面体形状を有しており、陽イオンを内部に含まない空隙を表す部品である。空隙多面体部品8は8つの面8bを有しており、それらは正三角形状である。また、空隙多面体部品8の大きさは、配位多面体部品7の大きさと同じである。
【0047】
分割空隙多面体部品9は、正八面体形状を有する空隙多面体部品8の4分の1に対応しており、4つの陰イオンの各中心位置を頂点9aとする四面体形状の部品である。分割空隙多面体部品9は、4つの面を有しており、そのうちの2つの面9bは正三角形状であり、残りの2つの面9cは二等辺三角形状である。
【0048】
ここで、配位多面体部品5、空隙多面体部品6、配位多面体部品7、空隙多面体部品8及び分割空隙多面体部品9のそれぞれの面5b、6b、7b、8b、9bは、合同になっている(同一形状で同じ面積である)。
【0049】
ここで、配位多面体部品5の面5bは透明の板状部材で形成されており、その板状部材は桃色に着色されている。空隙多面体部品6の面6bは透明の板状部材で形成されており、その板状部材は黄色に着色されている。配位多面体部品7の面7bは透明の板状部材で形成されており、その板状部材は青色に着色されている。空隙多面体部品8の面8b及び分割空隙多面体部品9の面9b、9cは透明の板状部材で形成されており、その板状部材は着色されていない(無色である)。また、配位多面体部品5の内部の陽イオンを示す標識となる部材5c、配位多面体部品7の内部の陽イオンを示す標識となる部材7cは黒色に着色されている。また、配位多面体部品5、空隙多面体部品6、配位多面体部品7、空隙多面体部品8、分割空隙多面体部品9のそれぞれの面5b、6b、7b、8b、9b、9cの各頂点近傍は陰イオンの標識となるように赤色に着色されている。
【0050】
筐体10は、立方体形状の中空の本体部10aと、蓋部10bとを有している。筐体10は、配位多面体部品5、空隙多面体部品6、配位多面体部品7、空隙多面体部品8、及び分割空隙多面体部品9等を装填するためのものである。筐体11は、六角柱形状の中空の本体部11aと、蓋部11bとを有しており、筐体10と同様に、配位多面体部品5などを装填するためのものである。ここで、筐体10及び筐体11は、透明の部材で形成されているので、その内部に装填された配位多面体部品5などを外部から確認することができる。そして、筐体10は、例えば立方最密充填構造を有する単位格子の多面体結晶構造模型に用いることができ、筐体11は、例えば六方最密充填構造に基づく結晶の部分構造を示す多面体結晶構造模型に用いることができる。
【0051】
次に、セン亜鉛鉱型構造の結晶構造模型を組み立てる際の手順について、図面を参照して説明する。図6は、セン亜鉛鉱型構造を示す図である。図7~12は、セン亜鉛鉱型構造の結晶構造模型を組み立てる際の手順を示す図であり、図13は、セン亜鉛鉱型構造の多面体モデル型の結晶構造模型の外観斜視図である。なお、図7~図12では、陰イオンを示す標識となる着色の図示は省略する。
【0052】
図6に示す結晶構造12は、セン亜鉛鉱型構造の単位格子であって、陰イオンの中心位置12aと陽イオンの中心位置12bとの位置関係が図示されており、立方最密充填構造となるように配置された複数の陰イオンと、陰イオン間に配置された陽イオンとを有していることを示している。
【0053】
セン亜鉛鉱型構造の結晶構造12では、その中央には8面体形状の空隙があり、8面体形状の空隙の上方には2つの配位四面体及び2つの4面体形状の空隙があり、8面体形状の空隙の下方にも2つの配位四面体及び2つの4面体形状の空隙がある。そして、8面体形状の空隙の上方の2つの配位四面体は、8面体形状の空隙の下方の2つの配位四面体の真上と異なる位置に配置されている。ここで、セン亜鉛鉱型構造を示す図6及び図26の原子位置モデル19に基づいて結晶構造を理解しようとしても、上記の8面体形状の空隙、8面体形状の空隙の上方の2つの配位四面体及び2つの4面体形状の空隙、8面体形状の空隙の下方の2つの配位四面体及び2つの4面体形状の空隙の存在、幾何学的配置等を直感的に理解するのは困難である。
【0054】
そこで、後述する手順にしたがって、配位多面体部品5、空隙多面体部品6、配位多面体部品7、空隙多面体部品8などを用いて、セン亜鉛鉱型構造の結晶構造12に対応した結晶構造模型13(図13参照)を組み立てることで、上記の8面体形状の空隙、4つの配位四面体及び4つの4面体形状の空隙の存在と位置関係等を直感的に理解することができる。さらに、組み立てられた結晶構造模型13を観察することによっても、結晶構造を容易に理解することができる。
【0055】
セン亜鉛鉱型構造の結晶構造模型13を組み立てる際には、まず、図7に示すように、4つの分割空隙多面体部品9が筐体10内に装填される。このとき、4つの分割空隙多面体部品9は、それらの面9cの一方が筐体10の底面と接触すると共に、それらの面9cの他方が筐体10の側面と接触するように配置される。
【0056】
引き続き、2つの配位多面体部品5及び2つの空隙多面体部品6が筐体10内に装填される。ここで、2つの配位多面体部品5及び2つの空隙多面体部品6は、それぞれ、先に筐体10内に装填された4つの分割空隙多面体部品9間に形成された窪みに嵌合するように交互に配置される。このとき、配位多面体部品5の2つの面5bは、隣り合う2つの分割空隙多面体部品9の面9bと面接触すると共に、空隙多面体部品6の2つの面6bは、隣り合う2つの分割空隙多面体部品9の面9bと面接触するようになる。すると、図8に示すように、2つの配位多面体部品5と2つの空隙多面体部品6との間には、上方に開口した窪みが形成されるようになる。この窪みは、正八面体形状の2分の1に対応した形状を有している。
【0057】
次に、1つの空隙多面体部品8が、図9に示すように、筐体10内に装填される。ここで、空隙多面体部品8は、先に筐体10内に装填された2つの配位多面体部品5及び2つの空隙多面体部品6によって形成された窪みに嵌合するように配置される。すると、窪みの形状は空隙多面体部品8の2分の1に対応した形状を有していることから、図10に示すように、空隙多面体部品8の下半分が窪みに嵌合されることになる。このとき、空隙多面体部品8の下半分の4つの面8bは、窪みを形成する2つの配位多面体部品5及び2つの空隙多面体部品6のそれぞれの面5b、6bと接触する。
【0058】
次に、図11に示すように、4つの分割空隙多面体部品9が筐体10内に装填される。このとき、4つの分割空隙多面体部品9は、それらの面9cが筐体10の隣り合う側面とそれぞれ接触するように配置される。引き続き、2つの配位多面体部品5及び2つの空隙多面体部品6が、図12に示すように、筐体10内に装填される。ここで、2つの配位多面体部品5及び2つの空隙多面体部品6は、それぞれ、先に筐体10内に装填された1つの空隙多面体部品8と4つの分割空隙多面体部品9との間に形成された窪みに嵌合するように交互に配置される。このとき、配位多面体部品5の2つの面5bは、空隙多面体部品8の上半分の4つの面8bと分割空隙多面体部品9の面9bとにそれぞれ面接触する。
【0059】
また、空隙多面体部品8の上方に配置された2つの配位多面体部品5は、空隙多面体部品8の下方に配置された2つの配位多面体部品5の真上と異なる位置に配置される。同様に、空隙多面体部品8の上方に配置された2つの空隙多面体部品6は、空隙多面体部品8の下方に配置された2つの空隙多面体部品6の真上と異なる位置に配置される。
【0060】
その後、4つの分割空隙多面体部品9が、2つの配位多面体部品5及び2つの空隙多面体部品6間に形成された窪みに嵌合するように筐体10内に装填される。このとき、4つの分割空隙多面体部品9は、それらの面9cの一方が筐体10の上面となると共に、それらの面9cの他方が筐体10の側面と接触するように配置される。そうすると、図13に示すように、セン亜鉛鉱型構造の結晶構造模型13が完成する。このとき、筐体10の蓋部10bが本体部10aに対して閉じられることで、全ての部品が筐体10内に装填されるので、セン亜鉛鉱型構造の結晶構造模型13を安定した状態で保持することができる。
【0061】
ところで、ダイヤモンドの結晶構造は、セン亜鉛鉱型構造の結晶構造と同様である。図14に示す結晶構造14は、ダイヤモンドの単位格子であって、原子の中心位置14aの位置関係が図示されている。つまり、配位多面体部品5が、原子に配位した原子から構成される配位多面体を示し、空隙多面体部品6、空隙多面体部品8及び分割空隙多面体部品9が、その配位多面体間及びその配位多面体と筺体10間に形成される空隙を示すと考えると、図13の結晶構造模型13は、ダイヤモンドの結晶構造を表していると考えられる。
【0062】
次に、逆ホタル石型構造の結晶構造模型を組み立てる際の手順について、図15~図19を参照して説明する。図15は、逆ホタル石型構造を示す図である。図16~18は、逆ホタル石型構造の結晶構造模型を組み立てる際の手順を示す図である。図19は、逆ホタル石型構造の結晶構造模型の外観斜視図である。なお、図16~図19では、陰イオンを示す着色の図示は省略する。
【0063】
図15に示す結晶構造15は、逆ホタル石型構造の単位格子であって、陰イオンの中心位置15aと陽イオンの中心位置15bとの位置関係が図示されており、立方最密充填構造となるように配置された複数の陰イオンと、陰イオン間に配置された陽イオンとを有していることを示している。
【0064】
逆ホタル石型構造の結晶構造15では、その中央には8面体形状の空隙があり、8面体形状の空隙の上方には4つの配位四面体があり、8面体形状の空隙の下方にも4つの配位四面体がある。ここで、逆ホタル石型構造を示す図15及び図27の原子位置モデル20に基づいて結晶構造を理解しようとしても、上記の8面体形状の空隙、8面体形状の空隙の上方の4つの配位四面体、8面体形状の空隙の下方の4つの配位四面体の存在、位置関係等を直感的に理解するのは困難である。
【0065】
そこで、後述する手順にしたがって、配位多面体部品5、空隙多面体部品8、分割空隙多面体部品9を用いて、逆ホタル石型構造の結晶構造15に対応した結晶構造模型16(図19参照)を組み立てることで、上記の8面体形状の空隙、8面体形状の空隙の上方の4つの配位四面体、8面体形状の空隙の下方の4つの配位四面体の存在、位置関係等を直感的に理解することができる。さらに、組み立てられた結晶構造模型16を観察することによっても、結晶構造を容易に理解することができる。
【0066】
逆ホタル石型構造の結晶構造模型16を組み立てる際の手順において、セン亜鉛鉱型構造の結晶構造模型13を組み立てる際の手順と異なる点は、4つの配位多面体部品5及び4つの空隙多面体部品6を筐体10内に装填する代わりに、8つの配位多面体部品5を筐体10内に装填する点だけであり、その他は、セン亜鉛鉱型構造の結晶構造模型13を組み立てる際の手順と同様である。
【0067】
逆ホタル石型構造の結晶構造模型16を組み立てる際には、まず、4つの分割空隙多面体部品9が筐体10内に装填され、引き続き、4つの配位多面体部品5が筐体10内に装填される。すると、図16に示すように、4つの配位多面体部品5の間には、上方に開口した窪みが形成されるようになる。そして、1つの空隙多面体部品8が、図17に示すように、筐体10内に装填される。その後、4つの分割空隙多面体部品9が、筐体10内に装填され、引き続き、4つの配位多面体部品5が、図18に示すように、筐体10内に装填される。
【0068】
そして、4つの分割空隙多面体部品9が、4つの配位多面体部品5間に形成された窪みに嵌合するように筐体10内に装填されると、図19に示すように、逆ホタル石型構造の結晶構造模型16が完成する。このとき、筐体10の蓋部10bが本体部10aに対して閉じられることで、全ての部品が筐体10内に装填されるので、逆ホタル石型構造の結晶構造模型16を安定した状態で保持することができる。
【0069】
次に、コランダム型構造の結晶構造模型18を組み立てる際の手順について、図20~図24を参照して説明する。図20は、コランダム型構造の一部を示す図である。図21~図23は、コランダム型構造の結晶構造模型を組み立てる際の手順を示す図である。図22(a)及び図23(a)は1層目の斜視図、図22(b)及び図23(b)は1層目の平面図、図23(c)は2層目の斜視図、図23(d)は2層目の平面図である。図22(b)、図23(b)、図23(d)において、実線は上面の稜線を示し、破線は下面の稜線を示す。図24は、コランダム型構造の結晶構造模型を説明する図である。図24(a)は結晶構造模型の外観斜視図、図24(b)は結晶構造模型の平面図であり、実線は2層目の上面の稜線を示し、破線は2層目の上面以外の稜線を示す。なお、図21~図23では、陰イオンを示す着色の図示は省略する。
【0070】
図20に示す結晶構造17は、コランダム型構造の繰り返し結晶構造の一部分であって、陰イオンの中心位置17aと陽イオンの中心位置17bとの位置関係が図示されており、六方最密充填構造となるように配置された複数の陰イオンと、陰イオン間に配置された陽イオンとを有していることを示している。
【0071】
コランダム型構造の結晶構造17では、六方最密充填構造となるように配置された複数の陰イオン間に形成される八面体形状の間隙のうちの3分の2が配位八面体となり、3分の1が八面体形状の空隙となる。ここで、コランダム型構造を示す図20に基づいて結晶構造を理解しようとしても、上記の配位八面体、八面体形状の空隙の存在、それらの幾何学的配置、及びこれら配位八面体と空隙八面体の間に形成される空隙四面体を直感的に理解するのは困難である。
【0072】
そこで、後述する手順にしたがって、配位多面体部品7、空隙多面体部品8、空隙多面体部品6を用いて、コランダム型構造の結晶構造17に対応した結晶構造模型18(図24参照)を組み立てることで、上記の配位八面体、八面体形状及び四面体形状の空隙の存在及び位置関係を直感的に理解することができる。さらに、組み立てられた結晶構造模型18を観察することによっても、結晶構造を容易に理解することができる。
【0073】
コランダム型構造の結晶構造模型18を組み立てる際には、まず、1層目として、図21に示すように、2つの配位多面体部品7及び1つの空隙多面体部品8がそれぞれ、1つの空隙多面体部品6の3つの面と接触するように配置される。このとき、2つの配位多面体部品7は稜線で接触するように配置され、また、1つの空隙多面体部品8が2つの配位多面体部品7のそれぞれと稜線で接触するように配置される。そして、2つの配位多面体部品7及び1つの空隙多面体部品8の上面となる面及び下面となる面はそれぞれ同一面上に配置される。すると、図22(a)及び図22(b)に示すように、2つの配位多面体部品7及び1つの空隙多面体部品8の上面となる面は、それらの中央部で点接触することになる。
【0074】
次に、2層目として、図21で示した1層目と、上面と下面が逆転する以外は同様に、2つの配位多面体部品7及び1つの空隙多面体部品8が、それぞれ、1つの空隙多面体部品6の3つの面に接触するように配置される。そして、図23(a)、図23(b)、図23(c)、及び図23(d)に示すように、2つの配位多面体部品7、1つの空隙多面体部品8及び1つの空隙多面体部品6は、先に配置された1層目の上方に配置される。このとき、2つの配位多面体部品7は、1層目の2つの配位多面体部品7の一方の真上及び1つの空隙多面体部品8の真上に配置される。また、1つの空隙多面体部品8が、先に配置された1層目の2つの配位多面体部品7の他方の真上に配置される。すると、図24(a)及び図24(b)に示すように、コランダム型構造の結晶構造模型18が完成する。ここで、かかるコランダム型構造の結晶構造模型18は、空隙多面体部品6を中心として2つの配位多面体部品7及び1つの空隙多面体部品8等より形成される一層目及び2層目を、図5(b)に示す正六角柱筺体11内において、その壁面に内接する形で、組み立てることによって、安定した模型として容易に組み立てることができる。
【0075】
一方、コランダム型構造の結晶構造模型18を組み立てるために用いられる配位多面体部品7、空隙多面体部品8及び空隙多面体部品6のそれぞれの接触面となる面に連結機構を設けることで、それらの部品を連結することができ、接着及び前記筺体などを用いることなく、結晶構造模型を容易に組み立てることができる。配位多面体部品7と空隙多面体部品8とを連結するための連結機構の一例を図25に示す。図25(a)及び図25(b)に示すように、配位多面体部品7の面7bには突起部7d及び開口7eがそれぞれ3つ設けられており、空隙多面体部品8との面8bには突起部8d及び開口8eがそれぞれ3つ設けられている。突起部7d及び開口7eは、配位多面体部品7の面7bと空隙多面体部品8の面8bとが面接触したときに、開口8e及び突起部8dと対応した位置に配置される。そして、突起部7d、8dは、図25(c)に示すように、屈曲している。従って、突起部7dが開口8e内に嵌入されると共に、突起部8dが開口7e内に嵌入されるように、配位多面体部品7の面7bと空隙多面体部品8の面8bとを面接触させると、図25(d)に示すように、突起部7d、8dは開口7e、8eの周囲の縁部に係止されるので、配位多面体部品7と空隙多面体部品8とは面接触した状態で連結される。従って、同様に、結晶構造模型18を形成する配位多面体部品7、空隙多面体部品8及び空隙多面体部品6の全てを面接触した状態で連結することにより、コランダム型構造の結晶構造模型18を安定した状態で保持することができる。
【0076】
以上説明したように、本実施の形態では、配位多面体を表す配位多面体部品5、7と、複数の配位多面体間に形成される本来は目視できない多面体空隙を表す空隙多面体部品6、8及び分割多面体空隙部品9を用いることによって、多面体結晶構造の模型を容易に組み立てることができる。また、配位多面体部品5、7、空隙多面体部品6、8及び分割多面体空隙部品9を用いて多面体結晶構造模型を組み立てることや、その多面体結晶構造模型を観察することによって、配位多面体及び多面体空隙の形状、幾何学的配置を直感的に理解することができる。さらに、これらの部品の組み合わせによって種々の多面体結晶構造模型ができる。このため、これらの部品を組み合わせた1つの部品キットによる、複数の結晶構造のモデル化が可能であり、別結晶構造間の組み替えも容易である。
【0077】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。例えば、上述の実施の形態では、配位多面体部品5、7及び空隙多面体部品6、8、分割空隙多面体部品9等の部品を用いて多面体結晶構造模型が組み立てられているが、これらの部品は一例である。従って、配位多面体部品5、7及び空隙多面体部品6、8、分割空隙多面体部品9とは異なる部品を用いて多面体結晶構造模型を組み立ててもよい。つまり、配位多面体部品及び空隙多面体部品の形状、大きさ、色、模様などは変更できる。また、これらの部品を用いた種々のキット化も可能である。さらに、配位多面体部品及び空隙多面体部品は、無色又は着色した透明プラスチック材の成型品であっても良い。そして、配位多面体部品及び空隙多面体部品に設けられる内在する若しくは頂点に位置するイオン等の標識は、標識部品の中空多面体部品内への設置、多面体自体への着色以外に、標識部材の中実多面体部品内への埋め込み、レーザーによるマーキング、成型時における地模様形成等によっても形成して良い。
【0078】
さらに、筺体中で多面体結晶構造模型を組み立てる場合において、配位多面体部品と空隙多面体部品のみでは、筺体との間に隙間が形成される場合、安定して組み立てるため、等分割に限定されることなく、隙間に合わせて分割した配位多面体部品と空隙多面体部品を用いることができる。
【0079】
さらに、上述の実施の形態では、コランダム型構造の結晶構造模型18を組み立てるために用いられる配位多面体部品7、空隙多面体部品8及び空隙多面体部品6のそれぞれの接触面となる面には特定形状の連結機構が設けられているが、連結機構の構成は変更できる。また、連結機構は、例えば配位多面体部品及び空隙多面体部品の面に取り付けられた面ファスナー、粘着テープ、粘着材、磁石等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】3次元空間における最密充填構造を説明する模式図である。
【図2】立方最密充填構造における正四面体間隙及び正八面体間隙を説明する図である。
【図3】六方最密充填構造における正四面体間隙及び正八面体間隙を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る結晶構造模型を組み立てるための部品である配位多面体部品、空隙多面体部品等の例の外観斜視図である
【図5】本発明の実施の形態に係る結晶構造模型を組み立てるための部品である筐体の例の外観斜視図である。
【図6】セン亜鉛鉱型構造を示す図である。
【図7】セン亜鉛鉱型構造の結晶構造模型を組み立てる際の手順を示す図である。
【図8】セン亜鉛鉱型構造の結晶構造模型を組み立てる際の手順を示す図である。
【図9】セン亜鉛鉱型構造の結晶構造模型を組み立てる際の手順を示す図である。
【図10】セン亜鉛鉱型構造の結晶構造模型を組み立てる際の手順を示す図である。
【図11】セン亜鉛鉱型構造の結晶構造模型を組み立てる際の手順を示す図である。
【図12】セン亜鉛鉱型構造の結晶構造模型を組み立てる際の手順を示す図である。
【図13】セン亜鉛鉱型構造の多面体モデル型の結晶構造模型の外観斜視図である。
【図14】ダイヤモンドの結晶構造を示す図である。
【図15】逆ホタル石型構造を示す図である。
【図16】逆ホタル石型構造の結晶構造模型を組み立てる際の手順を示す図である。
【図17】逆ホタル石型構造の結晶構造模型を組み立てる際の手順を示す図である。
【図18】逆ホタル石型構造の結晶構造模型を組み立てる際の手順を示す図である。
【図19】逆ホタル石型構造の結晶構造模型の外観斜視図である。
【図20】コランダム型構造の一部を示す図である
【図21】コランダム型構造の結晶構造模型を組み立てる際の手順を示す図である。
【図22】図22(a)及び図22(b)は、コランダム型構造の結晶構造模型を組み立てる際の手順を示す図であり、図22(a)は1層目の斜視図、図22(b)は1層目の平面図である。
【図23】図23(a)、図23(b)、図23(c)、図23(d)は、コランダム型構造の結晶構造模型を組み立てる際の手順を示す図であり、図23(a)は1層目の斜視図、図23(b)は1層目の平面図、図23(c)2層目の斜視図、図23(d)は2層目の平面図である。
【図24】図24(a)及び図24(b)は、コランダム型構造の結晶構造模型を説明する図であり、図24(a)は結晶構造模型の外観斜視図、図24(b)は結晶構造模型の平面図である
【図25】配位多面体部品と空隙多面体部品とを連結するための連結機構の一例を示す図である。
【図26】セン亜鉛鉱型構造を示す原子位置モデルを示す図である。
【図27】逆ホタル石構造を示す原子位置モデルを示す図である。
【0081】
5、7 配位多面体部品
6、8、9 空隙多面体部品
10、11 筐体
13、16、18 多面体結晶構造模型
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26