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明細書 :液滴粒子撮像解析システムおよび解析方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5224756号 (P5224756)
公開番号 特開2009-074835 (P2009-074835A)
登録日 平成25年3月22日(2013.3.22)
発行日 平成25年7月3日(2013.7.3)
公開日 平成21年4月9日(2009.4.9)
発明の名称または考案の名称 液滴粒子撮像解析システムおよび解析方法
国際特許分類 G01N  15/02        (2006.01)
G01P   3/36        (2006.01)
G01B  11/10        (2006.01)
FI G01N 15/02 B
G01P 3/36 C
G01B 11/10 H
請求項の数または発明の数 10
全頁数 18
出願番号 特願2007-242146 (P2007-242146)
出願日 平成19年9月19日(2007.9.19)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 平成19年7月21日 同志社大学、同志社大学エネルギー変換研究センター主催の「同志社大学 学術フロンティア共同研究プロジェクト 次世代ゼロエミッション・エネルギー変換システム講演会(2006年度研究成果報告会)」に文書をもって発表
審査請求日 平成22年9月17日(2010.9.17)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
発明者または考案者 【氏名】高野 頌
【氏名】楠澤 英夫
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
【識別番号】100065215、【弁理士】、【氏名又は名称】三枝 英二
【識別番号】100114616、【弁理士】、【氏名又は名称】眞下 晋一
【識別番号】100124028、【弁理士】、【氏名又は名称】松本 公雄
審査官 【審査官】高橋 亨
参考文献・文献 特開平06-066823(JP,A)
特開平11-211743(JP,A)
特開2002-148270(JP,A)
特開昭57-090139(JP,A)
特開平10-253522(JP,A)
特開2004-361291(JP,A)
特開2004-069494(JP,A)
特開2001-272328(JP,A)
特開平08-159947(JP,A)
特開平07-174687(JP,A)
特開平10-318909(JP,A)
特開2004-239645(JP,A)
楠澤英夫,サブミクロン粒子撮像技術原理=バイオイメージングへの応用を目指して=,光アライアンス,日本,日本工業出版,2007年 8月 1日,Vol.18, No.8,pp.14-18
調査した分野 G01N 15/00-15/14
G01B 11/10
G01P 3/36
JSTPlus(JDreamII)
特許請求の範囲 【請求項1】
液滴粒子の粒子径および速度を測定するシステムであって、
前記液滴粒子の集合に光を照射する光源部と、
前記液滴粒子の集合を所定の時間間隔で撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された画像を記録する記録部と、
制御部とを備え、
前記光源部が、異なる波長の光を出力する第1光源部及び第2光源部を備えて構成され、
前記制御部が、
前記第1光源部を制御してパルス光を出力させ、該パルス光が出力されている間に前記撮像部を制御して撮像させるとともに、前記第1光源部に光を出力させた時から前記時間間隔の経過後に、前記第2光源部を制御してパルス光を出力させ、該パルス光が出力されている間に前記撮像部を制御して撮像させ、
前記画像から粒子を検出し、該粒子の粒子径と、該粒子径を直径とする円周の長さで該粒子の輪郭線の長さを除した値である円形度とを求め、
前記円形度が所定のしきい値以上であるかどうかに基づき、撮像時に焦点深度内にある粒子と焦点深度外にある粒子とを識別し、焦点深度内にある粒子を目的候補粒子として選択し、
連続して測定した2枚の画像において対応する2つの前記目的候補粒子を検出し、目的粒子として決定し、
2つの前記目的粒子間の距離を前記時間間隔で除して、前記目的粒子の粒子速度を求めることを特徴とする液滴粒子撮像解析システム。
【請求項2】
第1光路変更部及び第2光路変更部をさらに備え
前記撮像部が、第1撮像部及び第2撮像部を備えて構成され、
第1光路変更部が、前記第1光源部及び第2光源部から出力される光を、同じ方向に出力し、
第2光路変更部が、前記第1光源部から出力され前記第1光路変更部を通過した光を、前記第1撮像部に入射し、前記第2光源部から出力され前記第1光路変更部を通過した光を、前記第2撮像部に入射し、
前記制御部が、前記第1光源部を制御してパルス光を出力させ、該パルス光が出力されている間に前記第1撮像部を制御して撮像させ、
前記制御部が、前記第1光源部に光を出力させた時から前記時間間隔の経過後に、前記第2光源部を制御してパルス光を出力させ、該パルス光が出力されている間に前記第2撮像部を制御して撮像させることを特徴とする請求項1に記載の液滴粒子撮像解析システム。
【請求項3】
液滴粒子の粒子径および速度を測定するシステムであって、
前記液滴粒子の集合に光を照射する光源部と、
前記液滴粒子の前記集合を所定の時間間隔で撮像する撮像部と、
前記撮像部によって撮像された画像を記録する記録部と、
偏光シャッタと、
制御部とを備え、
前記制御部が、前記光源部を制御してパルス光を出力させ、前記偏光シャッタを制御して該パルス光のうち前記第1の偏光方向の光を通過させ、該パルス光が出力されている間に前記撮像部を制御して撮像させるとともに、前記光源部に光を出力させた時から前記時間間隔の経過後に、再び前記光源部を制御してパルス光を出力させ、前記偏光シャッタを制御して該パルス光のうち前記第2の偏光方向の光を通過させ、該パルス光が出力されている間に前記撮像部を制御して撮像させ
前記画像から粒子を検出し、該粒子の粒子径と、該粒子径を直径とする円周の長さで該粒子の輪郭線の長さを除した値である円形度とを求め、
前記円形度が所定のしきい値以上であるかどうかに基づき、撮像時に焦点深度内にある粒子と焦点深度外にある粒子とを識別し、焦点深度内にある粒子を目的候補粒子として選択し、
連続して測定した2枚の画像において対応する2つの前記目的候補粒子を検出し、目的粒子として決定し、
2つの前記目的粒子間の距離を前記時間間隔で除して、前記目的粒子の粒子速度を求めることを特徴とする液滴粒子撮像解析システム。
【請求項4】
光路変更部をさらに備え、
前記撮像部が、第1撮像部及び第2撮像部を備えて構成され、
前記光路変更部が、第1の偏光方向の入射光を前記第1撮像部に入射し、前記第1の偏光方向と異なる方向である第2の偏光方向の入射光を前記第2撮像部に入射し、
前記制御部が、前記光源部を制御してパルス光を出力させ、前記偏光シャッタを制御して該パルス光のうち前記第1の偏光方向の光を通過させ、該パルス光が出力されている間に前記第1撮像部を制御して撮像させ、
前記制御部が、前記光源部に光を出力させた時から前記時間間隔の経過後に、再び前記光源部を制御してパルス光を出力させ、前記偏光シャッタを制御して該パルス光のうち前記第2の偏光方向の光を通過させ、該パルス光が出力されている間に前記第2撮像部を制御して撮像させることを特徴とする請求項に記載の液滴粒子撮像解析システム。
【請求項5】
前記液滴粒子の集合の撮像部位を、水平面上または垂直面上に走査移動させて撮像し、各撮像部位の粒子径及び粒子速度を求めることにより、前記液滴粒子の集合を立体的に測定することを特徴とする請求項1~の何れか1項に記載の液滴粒子撮像解析システム。
【請求項6】
所定の時間間隔で液滴粒子の集合を撮像した複数の画像を用いて液滴粒子の粒子径および速度を求める方法であって、
異なる波長の光または異なる偏光方向の光を前記時間間隔で前記液滴粒子の集合に照射し、前記液滴粒子の集合を前記時間間隔で撮像する第1ステップと、
前記画像から粒子を検出し、該粒子の粒子径、および、該粒子径を直径とする円周の長さで該粒子の輪郭線の長さを除した値である円形度を求める第ステップと、
前記円形度が所定のしきい値以上であるかどうかに基づき、撮像時に焦点深度内にある粒子と焦点深度外にある粒子とを識別し、焦点深度内にある粒子を目的候補粒子として選択する第ステップと、
連続して測定した2枚の前記画像において対応する2つの前記目的候補粒子を検出し、目的粒子として決定する第ステップと、
2つの前記目的粒子間の距離を前記時間間隔で除して、前記目的粒子の粒子速度を求める第ステップとを含むことを特徴とする液滴粒子解析方法。
【請求項7】
前記ステップが、
撮像された前記画像をしきい値処理して2値画像を生成する第ステップと、
前記2値画像において連続領域の面積と同じ面積の円の直径を求めて前記粒子径を決定する第ステップと、
前記粒子のチェーンコードを求めて前記輪郭線の長さを算出する第ステップとを含むことを特徴とする請求項6に記載の液滴粒子解析方法。
【請求項8】
前記ステップが、
前記目的候補粒子から2つの目的候補粒子を選択し、これらの目的候補粒子の粒子径の差が所定の許容値以下である場合に、これらの目的候補粒子を同じグループに分類する第ステップと、
前記第ステップで同じグループに分類された前記目的候補粒子のうち、距離が最短である2つの目的候補粒子を前記目的粒子として決定する第10ステップとを含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の液滴粒子解析方法。
【請求項9】
前記液滴粒子の集合の撮像部位を、水平面上または垂直面上に走査移動させて撮像し、各撮像部位の粒子径及び粒子速度を求めることにより、前記液滴粒子の集合を立体的に測定することを特徴とする請求項6~8の何れか1項に記載の液滴粒子解析方法。
【請求項10】
前記光源部から照射する光の波長を変更することにより、粒子径が0.5μm以上50μm以下の前記液滴粒子を測定範囲とすることが可能な請求項6~9の何れか1項に記載の液滴粒子解析方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴粒子の粒子径および粒度速度を同時に測定するシステムおよび方法に関し、特に定常的な噴霧液滴粒子を撮像し、画像処理により粒子径および粒度速度を同時に測定する液滴粒子撮像解析システムおよび解析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃焼システムの解析や設計、原子力発電における放射性物質の拡散シミュレーション、医療機器としての吸入製剤の開発などにおいて、エアロゾル微粒子の動力学的挙動を解明することが重要である。そして、エアロゾル微粒子の動力学的挙動を解明するためには、粒子径および粒子速度をそれぞれ個別に測定するのではなく、個々の粒子について粒子径および粒子速度を同時に計測することが必要である。
【0003】
従来、微粒子の分析方法として、種々の方法が知られている。例えば、下記特許文献1、2には、レーザドップラー法を用いた方法が開示されている。これらの方法では、レーザ光の干渉により測定部に強度分布を形成し、単一または複数の検出器によって時間波形を検出し、その形状の位相差によって粒子径、粒子速度を測定する。

【特許文献1】特開平7-174687号公報
【特許文献2】特開平10-318909号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1、2には次のような問題がある。粒子散乱がミー散乱のような、粒子径に依存してその角度分布が大きく変化する場合には、低角度の集光レンズではその散乱角度強度分布特性を十分に測定することができない(散乱光角度強度分布による粒子径測定精度が低い)。特に測定部にレーザ干渉性により強度分布を形成する場合には低角度による照射でなければ、光学系収差による歪みが発生し、さらにレーザの空間的コヒーレンスが十分に高くなければ十分な強度分布が形成できないという、相反する原理的な限界が存在する。
【0005】
また、粒子濃度が非常に薄く、検出対象領域に1個程度の粒子しか存在しない場合にしか、精度良く測定することができない。通常の噴霧液滴では、そのような状況は期待できず、多重散乱による測定信号の乱れが生じるので、精度良く測定することが非常に難しいという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、上記した問題を原理的に克服することを目的とし、定常的な噴霧液滴粒子を撮像し、撮像画像に対して画像処理を行うことによって、粒子径および粒度速度を同時に測定することができる液滴粒子撮像解析システムおよび解析方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明に係る液滴粒子撮像解析システムは、液滴粒子の粒子径および速度を測定するシステムであって、前記液滴粒子の集合に光を照射する光源部と、前記液滴粒子の集合を所定の時間間隔で撮像する撮像部と、前記撮像部によって撮像された画像を記録する記録部と、制御部とを備え、前記光源部が、異なる波長の光を出力する第1光源部及び第2光源部を備えて構成され、前記制御部が、前記第1光源部を制御してパルス光を出力させ、該パルス光が出力されている間に前記撮像部を制御して撮像させるとともに、前記第1光源部に光を出力させた時から前記時間間隔の経過後に、前記第2光源部を制御してパルス光を出力させ、該パルス光が出力されている間に前記撮像部を制御して撮像させ、前記画像から粒子を検出し、該粒子の粒子径と、該粒子径を直径とする円周の長さで該粒子の輪郭線の長さを除した値である円形度とを求め、前記円形度が所定のしきい値以上であるかどうかに基づき、撮像時に焦点深度内にある粒子と焦点深度外にある粒子とを識別し、焦点深度内にある粒子を目的候補粒子として選択し、連続して測定した2枚の画像において対応する2つの前記目的候補粒子を検出し、目的粒子として決定し、2つの前記目的粒子間の距離を前記時間間隔で除して、前記目的粒子の粒子速度を求めることを特徴としている。
【0008】
上記の液滴粒子撮像解析システムは、第1光路変更部及び第2光路変更部をさらに備え前記撮像部が、第1撮像部及び第2撮像部を備えて構成され、第1光路変更部が、前記第1光源部及び第2光源部から出力される光を、同じ方向に出力し、第2光路変更部が、前記第1光源部から出力され前記第1光路変更部を通過した光を、前記第1撮像部に入射し、前記第2光源部から出力され前記第1光路変更部を通過した光を、前記第2撮像部に入射し、前記制御部が、前記第1光源部を制御してパルス光を出力させ、該パルス光が出力されている間に前記第1撮像部を制御して撮像させ、前記制御部が、前記第1光源部に光を出力させた時から前記時間間隔の経過後に、前記第2光源部を制御してパルス光を出力させ、該パルス光が出力されている間に前記第2撮像部を制御して撮像させることができる。
【0009】
また、本発明に係る液滴粒子撮像解析システムは、液滴粒子の粒子径および速度を測定するシステムであって、前記液滴粒子の集合に光を照射する光源部と、前記液滴粒子の前記集合を所定の時間間隔で撮像する撮像部と、前記撮像部によって撮像された画像を記録する記録部と、偏光シャッタと、制御部とを備え、前記制御部が、前記光源部を制御してパルス光を出力させ、前記偏光シャッタを制御して該パルス光のうち前記第1の偏光方向の光を通過させ、該パルス光が出力されている間に前記撮像部を制御して撮像させるとともに、前記光源部に光を出力させた時から前記時間間隔の経過後に、再び前記光源部を制御してパルス光を出力させ、前記偏光シャッタを制御して該パルス光のうち前記第2の偏光方向の光を通過させ、該パルス光が出力されている間に前記撮像部を制御して撮像させ、前記画像から粒子を検出し、該粒子の粒子径と、該粒子径を直径とする円周の長さで該粒子の輪郭線の長さを除した値である円形度とを求め、前記円形度が所定のしきい値以上であるかどうかに基づき、撮像時に焦点深度内にある粒子と焦点深度外にある粒子とを識別し、焦点深度内にある粒子を目的候補粒子として選択し、連続して測定した2枚の画像において対応する2つの前記目的候補粒子を検出し、目的粒子として決定し、2つの前記目的粒子間の距離を前記時間間隔で除して、前記目的粒子の粒子速度を求めることを特徴としている。また、上記の液滴粒子撮像解析システムは、光路変更部をさらに備え、前記撮像部が、第1撮像部及び第2撮像部を備えて構成され、前記光路変更部が、第1の偏光方向の入射光を前記第1撮像部に入射し、前記第1の偏光方向と異なる方向である第2の偏光方向の入射光を前記第2撮像部に入射し、前記制御部が、前記光源部を制御してパルス光を出力させ、前記偏光シャッタを制御して該パルス光のうち前記第1の偏光方向の光を通過させ、該パルス光が出力されている間に前記第1撮像部を制御して撮像させ、前記制御部が、前記光源部に光を出力させた時から前記時間間隔の経過後に、再び前記光源部を制御してパルス光を出力させ、前記偏光シャッタを制御して該パルス光のうち前記第2の偏光方向の光を通過させ、該パルス光が出力されている間に前記第2撮像部を制御して撮像させてもよい。
【0010】
本発明に係る液滴粒子解析方法は、所定の時間間隔で液滴粒子の集合を撮像した複数の画像を用いて液滴粒子の粒子径および速度を求める方法であって、異なる波長の光または異なる偏光方向の光を前記時間間隔で前記液滴粒子の集合に照射し、前記液滴粒子の集合を前記時間間隔で撮像する第1ステップと、前記画像から粒子を検出し、該粒子の粒子径、および、該粒子径を直径とする円周の長さで該粒子の輪郭線の長さを除した値である円形度を求める第ステップと、前記円形度が所定のしきい値以上であるかどうかに基づき、撮像時に焦点深度内にある粒子と焦点深度外にある粒子とを識別し、焦点深度内にある粒子を目的候補粒子として選択する第ステップと、連続して測定した2枚の前記画像において対応する2つの前記目的候補粒子を検出し、目的粒子として決定する第ステップと、2つの前記目的粒子間の距離を前記時間間隔で除して、前記目的粒子の粒子速度を求める第ステップとを含むことを特徴としている。
【0011】
上記の液滴粒子解析方法は、前記第ステップが、撮像された前記画像をしきい値処理して2値画像を生成する第ステップと、前記2値画像において連続領域の面積と同じ面積の円の直径を求めて前記粒子径を決定する第ステップと、前記粒子のチェーンコードを求めて前記輪郭線の長さを算出する第ステップとを含むことができる。
【0012】
また、上記の液滴粒子解析方法は、前記第ステップが、前記目的候補粒子から2つの目的候補粒子を選択し、これらの目的候補粒子の粒子径の差が所定の許容値以下である場合に、これらの目的候補粒子を同じグループに分類する第ステップと、前記第ステップで同じグループに分類された前記目的候補粒子のうち、距離が最短である2つの目的候補粒子を前記目的粒子として決定する第10ステップとを含むことができる。
【0013】
また、上記の液滴粒子撮像解析システムまたは液滴粒子解析方法において、前記液滴粒子の集合の撮像部位を、水平面上または垂直面上に走査移動させて撮像し、各撮像部位の粒子径及び粒子速度を求めることにより、前記液滴粒子の集合を立体的に測定することができる。
【0014】
また、上記の液滴粒子撮像解析システムまたは液滴粒子解析方法において、前記光源部から照射する光の波長を変更することにより、粒子径が0.5μm以上50μm以下の前記液滴粒子を測定範囲とすることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、液滴粒子の粒子径及び粒子速度を同時に、精度よく測定することができる。特に、粒子径が約0.5~2μmと可視光の波長に近い大きさの粒子に関しても適用可能である。
【0016】
また、本発明は、従来のレーザドップラー法を用いる方法とは原理的に異なる方法を採用しているので、上記したレーザドップラー法の問題を生じることがない。即ち、粒子散乱がミー散乱のような、粒子径に依存してその角度分布が大きく変化する場合や、多重散乱が生じる場合にも、本発明を適用することができる。
【0017】
また、複数の撮像装置と波長の異なる複数の光源とを使用した構成とすることによって、高速撮像が可能な高価な撮像装置を使用することなく、比較的安価なシステムとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係る液滴粒子撮像解析システムの概略構成を示す図である。本液滴粒子撮像解析システム(以下「撮像解析システム」とも略記する)は、第1光源部1と、第2光源部2と、第1撮像部3と、第2撮像部4と、第1及び第2光源部1、2から入射する光を一方向に出力する第1光路変更部5と、入射する光をその特性(発光波長域)に応じて分離して第1又は第2撮像部3、4に出力する第2光路変更部6と、XYZステージ7と、各部を制御する制御部8とを備えている。図1には、本撮像解析システムの測定および解析対象である液滴粒子を生成する噴霧装置Tも示している。
【0020】
第1及び第2光源部1、2は、制御部8によって制御され、それぞれ異なる波長の光(例えば青色および緑色の光)を、所定の時間(パルス的)に出力する装置である。第1及び第2撮像部3、4は、CCDカメラなどの拡大光学系を有する撮像装置であり、撮像タイミングは制御部8によって制御される。第1及び第2撮像部3、4によって撮像された画像は、制御部8に伝送される。第1光路変更部5には、例えば公知のダイクロイックミラーを使用することができ、第2光路変更部6には、例えば公知のビームスプリッターを使用することができる。噴霧装置Tは、本撮像解析システムの解析対象である液滴粒子(以下、単に粒子とも記す)を生成する装置である。XYZステージ7は、搭載された噴霧装置Tの3次元位置を変更する装置であり、例えば所定の平面内及び垂直面内で移動させることができ、これにより、後述するように噴霧状態の粒子径及び粒子速度の立体的分布を測定し、表示することができる。また、制御部8には例えばコンピュータを使用することができ、制御部8は各部を制御するだけでなく、撮像された画像を解析して粒子径および粒子速度を求める。
【0021】
なお、第1及び第2光源部1、2から出力される光がレーザ光のように細い光であれば、所定の光学系を備えて、所定の集光角度により測定に必要な部位を照射するように霧状領域Mに照射することが望ましい。また、図1において、霧状領域Mと第1および第2撮像部3、4との間に、撮像領域を拡大する光学系(対物レンズなど)を備えることができる。
【0022】
本撮像解析システムの動作は、液滴粒子を撮像する段階と、撮像された画像を解析する段階の2段階に大別できる。以下では、まず撮像解析システムを構成する各部の機能を説明するために、撮像を中心に説明する。その後、画像解析について説明する。
【0023】
噴霧装置Tから液滴粒子を霧状に放出した状態で、液滴粒子の集合である霧状領域Mの2枚の画像を撮像する。制御部8が第1光源部1を制御して、波長λ1の光をパルス幅Δt0で放出させる。第1光源部1から放出された光は、光路を変更することなく第1光路変更部5を直進し、霧状領域Mに照射される。霧状領域Mを通過した光は、第2光路変更部6に入射され、光路を変更されることなく直進し、第1撮像部3に入射する。霧状領域Mに光が照射されている間に、制御部8が第1撮像部3を制御して、霧状領域Mを撮像する。撮像された画像は、ディジタルデータまたはアナログデータとして制御部8に伝送され、ディジタルデータとして制御部8内部の記録手段(図示せず)に記録される。
【0024】
次に、所定の時間Δt1(Δt1>Δt0)の後、制御部8が第2光源部2を制御して、波長λ2(λ1≠λ2)の光をパルス幅Δt0で放出させる。第2光源部2から放出された光は、第1光路変更部5によって光路を変更され、第1光源部1からの光が第1光路変更部1から出力される方向と同じ方向に出力され、霧状領域Mに照射される。霧状領域Mを通過した光は、第2光路変更部6によって光路を変更され、第2撮像部4に入射する。霧状領域Mに光が照射されている間に、制御部8が第2撮像部4を制御して、霧状領域Mを撮像する。撮像された画像は、制御部8に伝送されて記録される。
【0025】
以上によって、Δt1の時間差で霧状領域Mの2枚の画像(画像データ)を得ることができる。撮像された画像の一例を図2に示す。このとき、事前に第1及び第2撮像部3、4の光学系を調整し、両者の焦点深度(被写界深度)および撮像領域がほぼ一致するようにしておき、同じ領域を通過する粒子のみが鮮明に撮像されるようにする(図3参照)。必要に応じて、上記の処理を繰り返せば、3枚以上の画像データを得ることもできる。また、霧状領域Mが定常状態にあれば、XYZステージ7によって噴霧装置Tの3次元位置を変更し、同様に撮像することによって、霧状領域Mのより広い領域において測定データを得ることが可能である。
【0026】
制御部8は、撮像された画像に対して画像処理を行い、粒子径および粒子速度(粒径分布および粒子速度分布)を計算する。噴霧された液滴粒子はそれ自身の表面張力により球形に近い形になる。したがって、焦点深度内を通過した粒子は輪郭が鮮明(高コントラスト)に撮像される。一方、焦点深度を外れた粒子はぼけて輪郭が不鮮明になる。詳細は後述するが、本発明ではこの現象を利用して、円形度α(α=輪郭線の長さ/同面積の円周の長さ であり、輪郭が鮮明な円形粒子はαが1.0に非常に近くなる。)を求め、この円形度αによって焦点深度内にある粒子と焦点深度外にある粒子とを識別する。そして、各画像において焦点深度内にある粒子を特定し、その粒子径および粒子速度を算出する。
【0027】
図4は、本発明の実施の形態に係る液滴粒子撮像解析システムによって撮像された画像から、粒子径および粒子速度を求める方法を示すフローチャートである。
【0028】
以下の説明において、制御部8は、操作者による指示を受け付けるキーボード、マウスなどの操作手段を備えているとする。また、制御部8が、操作者による操作を受けて行う処理は、内部の演算素子(以下、CPUと記す)が、内部の記録手段(ハードディスクドライブなど)から所定のデータを、内部の一時記憶手段(以下、メモリと記す)に読み出し、メモリをワーク領域として使用して行う処理であり、CPUは適宜処理結果を記録手段に記録することとする。ここでは、対角長(30倍拡大時)が約200μmの長方形領域を撮像し、640画素×480画素の画像が得られるとする。従って、1画素は約0.25μmに対応する。
【0029】
ステップS1において、第1及び第2撮像部1、2を調整し、後述の解析処理において必要な情報である基準位置データを取得する。具体的には、先ず、噴霧装置Tによって霧状領域Mが形成される予定の領域に微小対象物(例えば、板に開けた10μmのピンホール)が配置された状態で、操作者が、微小対象物が鮮明に撮像されるように第1及び第2撮像部3、4の焦点位置を調節する。次に、制御部8は、第1及び第2撮像部3、4を制御して微小対象物を撮像し、撮像画像を記録する。撮像された2枚の画像の一例を図5に示す。2枚の画像中のほぼ中央に位置する高輝度領域が微小対象物である。制御部8は、2枚の画像の光輝度領域の中心座標(例えば画像の左上を原点とし、右方向をX軸、下方向をY軸とする)を算出して記録する。また、制御部8は、第1及び第2撮像部3、4で最大の有効面積を確保できるように画像処理における有効処理領域(図5において矩形の枠内)を決定し、その情報を記録する。例えば、左上の座標値および右下の座標値を有効処理領域の情報とすることができる。
【0030】
ステップS2において、微小対象物を取り外し、第1及び第2撮像部3、4で撮像し、背景画像として記憶する。これは、後述する処理において、粒子を撮像した画像の背景を補正するのに使用される。また、観測系における、対象物本来の輝度を映像信号に変換するときの変換特性の不整合(輝度ムラ)であるシェーディングを補正するためにも使用される。
【0031】
ステップS3において、操作者が制御部8に対して、初期条件を入力する。初期条件は、後述の処理において粒子を抽出するときの基準値として、円形度範囲(下限値αmin(上限値は1.0))、粒子径範囲(下限値βmin及び上限値βmax)、並びに粒子径変動範囲(比率γ%)を含む。また、初期条件には、撮像タイミングを決めるパルス間隔Δt1を含む。制御部8は、入力された数値を記録する。ここで、βmin、βmaxは対象とする粒子に応じて設定すればよい。円形度範囲の下限値αminは、αmin=0.98~0.99であり、望ましくはαmin=0.99である。また、粒子径変動範囲γ(%)は、例えば粒子径が16μmの粒子の場合にはγ=0.5~1.0(%)程度である。
【0032】
ステップS4において、噴霧装置Tを作動させて粒子が放出された状態で、制御部8は上記したように、第1及び第2撮像部3、4を用いて霧状領域Mを撮像し、複数枚の画像を記録する。このとき、第1及び第2光源部1、2からパルス光を出力する時間間隔には、ステップS3で指定されたΔt1が使用される。画像を記録する際には、第1及び第2撮像部のどちらで撮像されたかを識別する情報、および撮像された順序を識別する情報を、画像データと対応させて記録する。記録された2枚の画像の一例を図6に示す。図6の左側が先に撮像された画像、右側がその次に撮像された画像である。
【0033】
ステップS5において、制御部8は、ステップS4で撮像された複数の画像の中から1枚の画像を選択して、記録手段から読み出す。
【0034】
ステップS6において、制御部8は、ステップS5で読み出した画像上の有効処理領域のデータ(ステップS1参照)に対して、ステップS2で取得した背景画像の有効処理領域のデータを用いて、複数の背景画像を平均化し、その平均化した画像によりシェーディング補正を行う。これらの処理には、公知の方法を用いればよい。
【0035】
ステップS7において、制御部8は、ステップS6で補正された画像(有効処理領域)から粒子を抽出し、円形の粒子と仮定して、その中心座標(x0,y0)、粒子径dおよび円形度αを求める。求めた値は、抽出した粒子を特定する情報と対応させて記録する。粒子を特定する情報は、例えば、画像毎に粒子に付与した通し番号jである。
【0036】
具体的には、まず、補正後の画像を、所定のしきい値を用いて2値化する。これによって粒子に対応する候補領域として、同じ値(例えば“1”)の画素が連続した領域が明らかになる。次に、各連続領域の重心を求めて、中心座標とする。次に、各連続領域の面積S(例えば値が“1”である画素の数)を求め、円形の粒子と仮定した場合の粒子径dを、d=2×[S/(2π)]1/2によって求める。なお、連続領域のうち、内部に異なる輝度値の連続領域を含む連続領域(例えば、背景領域)は、処理対象から除外する。
【0037】
また、円形度αの算出方法を具体的に説明すると、次の通りである。まず、各連続領域の輪郭線(境界線)を表すチェーンコードを求め、輪郭線の長さLを求める。画像処理によってチェーンコード及び輪郭線の長さLを求める方法は公知であるので、説明を省略する。そして、上記したように、各連続領域の円形度αを、α=L/(πd)によって求める。円形度αは、後述の処理において、撮像時に焦点深度内に位置していた粒子を選択するのに使用される。図8は、焦点深度内に位置している粒子と、焦点深度外に位置している粒子が撮像された場合の差違を模式的に示す図である。図8の上段、中断、下段には、それぞれ撮像画像、縦軸を輝度値としてA-A線に沿った断面図、撮像画像に境界線を重ねた画像を示している。図8の下段の図から分かるように、焦点深度内に位置している粒子は、輪郭線がほぼ円形であるので、円形度αはほぼ1になる。しかし、焦点深度外に位置している粒子では、輪郭線が量子化誤差や輝度変化が緩やかであるために凹凸のある複雑な形状をしており(図8では模式的にギザギザの線で示す)、その輪郭線の長さは、焦点深度内に位置している粒子の輪郭線の長さよりも長くなり、円形度は、焦点深度内に位置している粒子の円形度よりも小さくなる。従って、球形の粒子が対象であれば、円形度αによって、その粒子が焦点深度内に位置していたか否かを精度良く判断することができる。
【0038】
ステップS8において、制御部8は、ステップS7で求めた円形度αおよび粒子径dが、ステップS3で入力された円形度範囲(下限値αmin)および出粒子径範囲(下限値βmin及び上限値βmax)に適合する粒子を抽出し、抽出された粒子の位置を合わせた上で均一な背景画像に貼り付け、粒子画像解析用元画像として記録する。即ち、α≧αmin且つβmax≧d≧βminである粒子を選択し、粒子画像解析用元画像を生成する。そして、第1及び第2撮像部3、4のどちらで撮像されたかを識別する情報、および撮像された順序を識別する情報と対応させて、粒子画像解析用元画像データを記録する。得られた粒子画像解析用元画像の一例を図7に示す。また、抽出された粒子の番号jに付加情報を追加して記録する。例えば、粒子番号jに対応させた1ビットのフラグfを設け、上記の条件に該当する場合、フラグfを初期値(例えば“0”)と異なる値(例えば“1”)にセットする。
【0039】
ステップS9において、制御部8は、ステップS4で撮像した全ての画像に対して、上記した処理を行ったか否かを判断する。処理すべき画像が残っていれば、ステップS5に戻り、既に処理した画像以外の画像を1枚選択し、ステップS6~S8の処理を繰り返す。
【0040】
以上によって、撮像された各画像において、焦点深度内に位置していた粒子を抽出し、その粒子径および中心座標を求めることができた。記録手段に記録されている粒子の情報は、例えば{i,j,x0,y0,d,α,f}のデータテーブルである。ここで、iは、所定の時間間隔で撮像した連続する画像の順序を特定する番号であり、jは各画像内で粒子(連続領域)に一意に付与された番号、(x0,y0)は粒子の中心座標、dは粒子径、αは円形度、fは焦点深度内に位置していたか否かを表すフラグである。
【0041】
ステップS10において、制御部8は、ステップS8で選択された粒子(f=1の粒子)の集合を対象として、連続して撮像した2枚の画像において対応する粒子ペアーを特定し、その速度を求める。具体的には、まず、粒子径の差が許容範囲内にある粒子を同じグループに分類する。例えば、粒子径変動範囲γ(%)を用いて、1つの粒子径(d)の許容範囲の下限値dmin(=d×(1-γ/100))および上限値dmax(=d×(1+γ/100))を求め、連続して撮像した2枚の画像に関して、dmin~dmaxの範囲に該当する粒子を複数検出して、同じグループに分類する。そして、同じグループに属する粒子間の距離を求め、距離が最短である粒子ペアーを、2枚の画像に撮像された同じ粒子として決定する。撮像系の条件(拡大率など)から、1画素と実際の長さの関係が分かるので、これを用いて粒子ペアーである2つの粒子間の実際の距離Dを求めることができる。したがって、2枚の画像を撮像した時間間隔Δt1から粒子速度vは、v=D/Δt1によって求められる。求められた速度vは、粒子径dと対応させて記録される。また、制御部8は、連続して撮像した2枚の画像に含まれる粒子ペアーを重畳した画像を生成し、記録する。粒子ペアーを重畳した画像の一例を図9に示す。図9には、図7に示した2枚の画像に撮像された4つの粒子(粒子1~4)を重ねて表示しており、撮像時間間隔Δt1の間に4つの粒子がそれぞれ移動したことをベクトルで示している。なお、粒子径変動範囲γ(%)を用いるのは、実際の粒子の運動方向は、撮像面に平行な方向だけではなく、光軸方向も考えられるので、光軸方向の移動による画像への影響を吸収するためである。
【0042】
上記したように、本撮像解析システムによれば、個々の液滴粒子の粒子径及び粒子速度を同時に求めることができる。
【0043】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されない。
【0044】
例えば、上記では異なる波長の光を使用する場合を説明したが、これに限定されず、特性が異なる光を使用することができる。例えば、偏光方向が異なる光を使用してもよい。図1において、第1及び第2光源部1、2を、偏光していない光を発する1つの光源部に置き換え、第1光路変更部5を、直交する2方向に偏光した光を選択的に通過させる電気的に制御可能なシャッタに置き換えてもよい。その場合、第2光路変更部6は、偏光方向に応じて入射光を透過または反射する素子(例えば、偏光ビームスプリッタ)であればよい。また、図1に示した構成では2つの撮像部を使用しているが、高速撮像可能な撮像装置を採用すれば、1つの撮像部で構成することができる。その他、種々の構成が可能であり、所定の短い時間間隔で2枚以上の画像を撮像することができる構成であればよい。なお、光源部から照射する光の波長を変更(例えば短波長化)することにより、粒子径が0.5μm以上50μm以下の液滴粒子を測定範囲とすることが可能である。
【0045】
また、図4に示した処理の順序はこれに限定されず、種々変更して実行することができる。例えば、環境や使用する撮像部が変更無ければ、ステップS1、S2の処理は一度だけ行えばよい。また、シェーディング補正(ステップS6)は、使用する撮像部によっては不要である。また、上記したように1つの撮像部を使用したシステム構成の場合、ステップS1で有効処理領域を求める処理は不要である。
【0046】
また、ステップS7において、円形度αを求めるときに輪郭線の長さを求める方法は、チェーンコードを使用する方法に限定されず、種々の公知の画像処理を使用することができる。
【0047】
また、ステップS7における2値化のしきい値は、一定の値を使用する場合に限らず、画像や抽出対象の粒子径に応じて、適宜変更してもよい。
【0048】
また、ステップS10において、対応する粒子を検出する場合の円形度の下限値として、一定の値を使用する代わりに、粒子径毎に異なるしきい値を用いてもよい。
【0049】
また、液滴粒子撮像解析システムによって全ての処理が行われなくてもよい。例えば、撮像された画像データを所定の形式で記録した後、伝送路または記録媒体を介して、別のコンピュータに移し、ステップS3~S10の処理を行ってもよい。
【0050】
また、測定対象は、噴霧される液滴粒子に限らず、射出される液滴粒子であってもよい。さらには、球形の粒子であればよく、液滴粒子には限定されない。
【実施例1】
【0051】
以下に実施例を示し、本発明の特徴をより明確に示す。まず、円形度αの有効性を示す。
【0052】
図10は、粒子径が既知(4μm及び16μm)の球形のラテックス粒子をスライドガラス上に配置し、撮像距離を変化させて、撮像を行い、ステップS7に示した方法で円形度および粒子径を求めた結果を示す。右の縦軸は円形度α(■で表されたデータ)、左の縦軸は粒子径d(μm)(◆で表されたデータ)である。横軸は、撮像部の焦点を調節するマイクロメータの値であり、粒子位置の変化に対応する。上側のグラフは、粒子径が4μmの粒子を使用した結果、下側のグラフは粒子径が16μmの粒子を使用した結果である。
【0053】
図10の上側のグラフでは、中央付近の約20μmの範囲で、粒子径が約4μmになっており、それらに対応する円形度αがほぼ0.99以上(少なくとも0.98以上)である。下側のグラフでは、約30μmの範囲で、粒子径が約16μmになっており、それらに対応する円形度αがほぼ0.99以上(少なくとも0.98以上)である。従って、円形度αの下限値αminを0.98~0.99に設定すれば、焦点深度内にある粒子を精度良く抽出することができる。
【実施例2】
【0054】
液滴粒子撮像解析システムを用いて、実際に噴霧された液滴を測定および解析して得られた粒子径および粒子速度を図11に示す。図11のグラフは、測定位置の噴霧装置からの距離(噴霧距離)が異なり、噴霧距離が、上からそれぞれ13.5mm、16.6mm、29.03mmである。
【0055】
図11からも分かるように、本発明の液滴粒子撮像解析システムによって、液滴の粒子径および粒子速度を同時に測定することができた。特に、粒子径が約1~2μmと可視光の波長に近く非常に小さい粒子に関しても測定可能であった。
【0056】
粒子径の測定結果は空気力学径測定法による実験値と5%以内の誤差で一致した。また、測定した噴霧距離の範囲では平均粒子速度はほぼ一定とみなせた。これは、測定点が噴霧流のほぼ中心であったため、周囲流体(空気)の抵抗による粒子速度の減衰が小さかったためと考えられる。噴霧流の中心では空気もほぼ粒子速度と同じ速度で流れているので、噴霧距離が大きくなるにつれて小さい粒子径で大きな粒子速度をもつ粒子の数が減少した。これは、粒子径が小さいほど質量あたりの空気抵抗が大きくなり、粒子速度が減衰しやすいためである。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態に係る液滴粒子撮像解析システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1の液滴粒子撮像解析システムで撮像された画像の一例を示す図である。
【図3】撮像領域(焦点深度)を説明するための概念図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る液滴粒子撮像解析システムによって撮像された画像を解析する方法を示すフローチャートである。
【図5】撮像部を調整するためにピンホールを撮像した画像である。
【図6】図1の液滴粒子撮像解析システムで連続して撮像された画像である。
【図7】図6の画像から得られた粒子画像解析用元画像である。
【図8】焦点深度内に位置している粒子と、焦点深度外に位置している粒子が撮像された場合の差違を模式的に示す図である。
【図9】図7に示した2枚の画像に含まれる粒子ペアーを重畳した画像を示す図である。
【図10】円形度の有効性を示す実験結果のグラフである。
【図11】本発明の実施の形態に係る液滴粒子撮像解析システムを用いて測定及び解析した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0058】
1 第1光源部
2 第2光源部
3 第1撮像部
4 第2撮像部
5 第1光路変更部
6 第2光路変更部
7 XYZステージ
8 制御部
T 噴霧装置
M 霧状領域
図面
【図1】
0
【図10】
1
【図11】
2
【図2】
3
【図3】
4
【図4】
5
【図5】
6
【図6】
7
【図7】
8
【図8】
9
【図9】
10