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明細書 :タンパク質加水分解方法および装置、ならびに、タンパク質分析方法および装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5273766号 (P5273766)
公開番号 特開2009-120511 (P2009-120511A)
登録日 平成25年5月24日(2013.5.24)
発行日 平成25年8月28日(2013.8.28)
公開日 平成21年6月4日(2009.6.4)
発明の名称または考案の名称 タンパク質加水分解方法および装置、ならびに、タンパク質分析方法および装置
国際特許分類 C07K   1/12        (2006.01)
G01N  33/68        (2006.01)
FI C07K 1/12
G01N 33/68
請求項の数または発明の数 13
全頁数 16
出願番号 特願2007-294377 (P2007-294377)
出願日 平成19年11月13日(2007.11.13)
審査請求日 平成22年10月26日(2010.10.26)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503359821
【氏名又は名称】独立行政法人理化学研究所
発明者または考案者 【氏名】堂前 直
【氏名】益田 晶子
個別代理人の代理人 【識別番号】110000109、【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
審査官 【審査官】濱田 光浩
参考文献・文献 J. Am. Chem. Soc., (1955), Vol. 77, No. 12, p. 3360-3365
調査した分野 C07K 1/12
G01N 33/68
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
CAplus/MEDLINE/BIOSIS(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
固体酸触媒とタンパク質とを水存在下かつ加熱下で接触させることにより、該タンパク質を加水分解することを含み、前記固体酸触媒はスルホン酸基を有する多孔質体であることを特徴とするタンパク質加水分解方法。
【請求項2】
固体酸触媒は、スルホン酸型陽イオン交換体である請求項1に記載のタンパク質加水分解方法。
【請求項3】
スルホン酸型陽イオン交換体は、親水性ビニルポリマーを基材として含むスルホン酸型陽イオン交換樹脂である請求項2に記載のタンパク質加水分解方法。
【請求項4】
前記加熱は、100~160℃の範囲の温度で行われる請求項1~3のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解方法。
【請求項5】
固体酸触媒を含む容器、カラムおよび膜からなる群から選ばれる少なくとも一種の加水分解手段を含み、前記固体酸触媒はスルホン酸基を有する多孔質体であることを特徴とするタンパク質加水分解装置。
【請求項6】
固体酸触媒は、スルホン酸型陽イオン交換体である請求項5に記載のタンパク質加水分解装置。
【請求項7】
前記加水分解手段を加熱するための加熱手段を更に含む請求項5または6に記載のタンパク質加水分解装置。
【請求項8】
前記加水分解手段へ溶液を送液するための送液手段を更に含む請求項5~7のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解装置。
【請求項9】
スルホン酸型陽イオン交換体は、親水性ビニルポリマーを基材として含むスルホン酸型陽イオン交換樹脂である請求項5~8のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解装置。
【請求項10】
請求項1~4のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解方法または請求項5~9のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解装置を使用することによりタンパク質加水分解物を得ること、および、
上記タンパク質加水分解物を分析すること、
を特徴とするタンパク質分析方法。
【請求項11】
前記分析は、アミノ酸分析を含む請求項10に記載のタンパク質分析方法。
【請求項12】
請求項5~9のいずれか1項に記載のタンパク質加水分解装置と、加水分解物分析手段と、を含むことを特徴とするタンパク質分析装置。
【請求項13】
前記加水分解物分析手段は、アミノ酸分析手段を含む請求項12に記載のタンパク質分析装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質の加水分解方法および装置に関するものであり、より詳しくは、簡便かつ容易にタンパク質を加水分解し得る方法および装置に関するものである。
更に本発明は、タンパク質の分析方法および装置に関するものであり、より詳しくは、タンパク質のアミノ酸分析を簡便に行うことができる汎用性に優れた方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
タンパク質を加水分解によりペプチドやアミノ酸に分解することで、アミノ酸組成やタンパク質質量、翻訳後修飾などのタンパク質の重要な特徴を解析することができる。
【0003】
一般に、タンパク質などの生体高分子は、室温下または加熱下で、水を加えた有機、無機の強酸(塩酸、硫酸、トリフルオロ酢酸、パラ-ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸など)と混合することで加水分解され、オリゴマーやモノマー(タンパク質においてはペプチドやアミノ酸)を生じることが知られている(非特許文献1参照)。
【0004】
強酸によるタンパク質の加水分解法としては、減圧封管した試験管内で定沸点塩酸(5.7NHCl)、110℃に20-72時間加熱する加水分解法(非特許文献2参照)、および、塩酸からの汚染物質の混入を防ぐために塩酸を封管試験管内で直接蒸留する変法(気相加水分解法)が広く用いられている。更に、強アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)によるタンパク質の加水分解法も知られている。しかし、強酸または強アルカリによる分解は、分解物であるアミノ酸が更に分解されてしまうことがあるため、完全な加水分解法とは言えないのが現状である。例えば、塩酸加水分解ではシステインとトリプトファンが分解してしまう。
【0005】
一方、酵素触媒を用いるタンパク質加水分解法も数多く開発されている。しかし、酵素分解は基質特異性があり、完全にアミノ酸まで分解できないため、用途が限定されてしまう点が課題である。また、酸加水分解時の加熱に電磁波を用いる加水分解法も提案されているが(非特許文献3参照)、電磁波を利用するため大型の装置が必要になり汎用性に乏しい点が課題である。
【0006】
また、タンパク質の加水分解操作を手動で行うことで、環境からのタンパク質の混入の危険性が増えるため、微量タンパク質分析のために自動化可能な加水分解法の開発が強く求められている。塩酸加水分解法に利用可能な装置としては、加水分解、誘導体化まで自動化された装置(特許文献1参照)が開発され、市販品も発売されたが、塩酸によるバルブの腐食が原因の故障が報告されている。このように、塩酸加水分解法では、塩酸を使う性質上自動化は困難を極めている。

【特許文献1】米国特許公報第 5,106,583号
【非特許文献1】日本生化学会編 生化学実験講座1タンパク質の化学II一次構造決定法 東京化学同人、pp30-40完全加水分解 執筆担当 高橋礼子、pp96-101 水酸化ナトリウムによるタンパク質の加水分解 執筆担当 高橋礼子 日本生化学会編
【非特許文献2】"The amino acid composition of ribonuclease" C.H.W.Hirs, W.H.Stein and S.Moore J.Biol.Chem.211 941-950 (1954)
【非特許文献3】"Peptide and protein hydrolysis by microwave irradiation" Shyh-Horng Chiou and Kung-Tsung Wang J.Chromatogr. 491,424-431(1989)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明の目的は、簡便かつ容易にタンパク質を加水分解するための手段であって、容易に自動化可能な手段を提供することにある。
本発明の更なる目的は、簡便にタンパク質のアミノ酸分析を行うことができる汎用性に優れた手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するために、従来タンパク質の加水分解への適用がまったく検討されていなかった固体酸触媒を利用することにより、タンパク質の加水分解が可能となることを新たに見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、上記目的は、下記手段により達成された。
[1]固体酸触媒とタンパク質とを水存在下かつ加熱下で接触させることにより、該タンパク質を加水分解することを含み、前記固体酸触媒はスルホン酸基を有する多孔質体であることを特徴とするタンパク質加水分解方法。
[2]固体酸触媒は、スルホン酸型陽イオン交換体である[1]に記載のタンパク質加水分解方法。
[3]スルホン酸型陽イオン交換体は、親水性ビニルポリマーを基材として含むスルホン酸型陽イオン交換樹脂である[2]に記載のタンパク質加水分解方法。
[4]前記加熱は、100~160℃の範囲の温度で行われる[1]~[3]のいずれかに記載のタンパク質加水分解方法。
[5]固体酸触媒を含む容器、カラムおよび膜からなる群から選ばれる少なくとも一種の加水分解手段を含み、前記固体酸触媒はスルホン酸基を有する多孔質体であることを特徴とするタンパク質加水分解装置。
[6]固体酸触媒は、スルホン酸型陽イオン交換体である[5]に記載のタンパク質加水分解装置。
[7]前記加水分解手段を加熱するための加熱手段を更に含む[5]または[6]に記載のタンパク質加水分解装置。
[8]前記加水分解手段へ溶液を送液するための送液手段を更に含む[5]~[7]のいずれかに記載のタンパク質加水分解装置。
[9]スルホン酸型陽イオン交換体は、親水性ビニルポリマーを基材として含むスルホン酸型陽イオン交換樹脂である[5]~[8]のいずれかに記載のタンパク質加水分解装置。
[10][1]~[4]のいずれかに記載のタンパク質加水分解方法または[5]~[9]のいずれかに記載のタンパク質加水分解装置を使用することによりタンパク質加水分解物を得ること、および、
上記タンパク質加水分解物を分析すること、
を特徴とするタンパク質分析方法。
[11]前記分析は、アミノ酸分析を含む[10]に記載のタンパク質分析方法。
[12][5]~[9]のいずれかに記載のタンパク質加水分解装置と、加水分解物分析手段と、を含むことを特徴とするタンパク質分析装置。
[13]前記加水分解物分析手段は、アミノ酸分析手段を含む[12]に記載のタンパク質分析装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、タンパク質加水分解に必要な酸は固体触媒として提供される。本発明によれば、カラムに詰めた固体酸触媒に試料溶液を導入してタンパク質と固体酸触媒とを接触させ、試料溶液中のタンパク質をカラムへ固定化することができる。この固体酸触媒は、加水分解の妨げとなる夾雑物質を洗浄する際のタンパク質固定支持体としても利用することができる。
さらに、オートサンプラーから順次試料を導入してロータリーバルブで切り替えて複数のカラムをセットすることで多検体試料を一度に加熱して加水分解することができ、得られたアミノ酸混合液をポンプから供給された溶出液(例えばホウ酸緩衝液)によりカラムから溶出させ、これをフラクションコレクターを利用して順次回収することができる。従来使用されていた酸加水分解法では、タンパク質試料を脱塩後乾燥して液体の酸を加えていたため、酸を入れる操作は自動化できなかったり、自動化の際に液体の酸が流路を通過するため、耐薬品性が十分でなく故障の原因になることがあった。また、塩などの夾雑物は酸加水分解に影響を与えるため予め除く必要があった。本発明によれば、これら従来法における課題を解決することができるため、タンパク質の加水分解およびタンパク質分析の自動化が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[タンパク質加水分解方法]
本発明のタンパク質加水分解方法は、固体酸触媒とタンパク質とを水存在下かつ加熱下で接触させることにより、該タンパク質を加水分解する。固体酸触媒を利用することにより、カラム等の利用が可能となるため、タンパク質加水分解を容易に自動化することができる。従来、微量アミノ酸分析法を利用し、翻訳後修飾の解析や微量タンパク質の絶対定量等のタンパク質分析を行う際、加水分解がボトルネックとなり熟練者の操作が不可欠となって、簡便かつ迅速な分析の妨げとなっていた。したがって、本発明によりタンパク質の加水分解の自動化が可能となることは、タンパク質の簡便かつ迅速な分析に大きく寄与するものである。更に固体酸触媒は回収が容易であるため、固体酸触媒の利用により、環境負荷が少ないタンパク質加水分解方法を提供することができる。
以下、本発明のタンパク質加水分解方法について、更に詳細に説明する。
【0012】
本発明において使用される固体酸触媒は、酸として機能し得る固体触媒であればよく特に限定されるものではないが、加水分解効率の観点から、スルホン酸型陽イオン交換体、ゼオライトおよび珪藻土からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。固体酸触媒は、一種のみ用いてもよく、二種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0013】
スルホン酸型陽イオン交換体とは、スルホン酸基(-SO3H)を含む陽イオン交換能を有するイオン交換体であり、好ましい形態として、スルホン酸基を含む陽イオン交換樹脂およびスルホン酸基を含む陽イオン交換膜を挙げることができる。スルホン酸型陽イオン交換体は、例えばプロトン型以外のカウンターイオンを有する(-SO3X(Xはカウンターイオンを表す))場合、プロトン型(-SO3H)に置換した後に使用する。好ましい陽イオン交換樹脂としては、東ソー株式会社製TOYOPEARL SP-650C、SP-550C等のように親水性ビニルポリマーを基材として含むものや、ナフィオン(登録商標)等のようにパーフルオロスルホン酸を含むポリテトラフルオロエチレン共重合体を挙げることができる。アミノ酸分析における有用性の点では、親水性ビニルモノマーを基材として含むスルホン酸型陽イオン交換樹脂が最も好ましい。
【0014】
ゼオライトとしては、一般にゼオライト触媒として利用されているゼオライトを用いることができ、中でも、東ソー株式会社製ゼオラム(登録商標)が好ましい。
【0015】
珪藻土としては、酸触媒として機能し得るものを用いることができ、例えば和光純薬工業株式会社製けいそう土(顆粒状)等を用いることができる。
【0016】
前記固体酸触媒の形状は特に限定されるものではなく、粒状、粉末状等の任意の形態を取り得る。粒状または粉末状であれば、加水分解させるべきタンパク質を含む水溶液中に固体酸触媒を混合するバッチ法に使用することもでき、固体酸触媒を充填したカラムへタンパク質水溶液を連続送液する連続法に使用することもできる。また、固体酸触媒からなる膜や粒状または粉末状の固体酸触媒を固定化した膜に、タンパク質水溶液を通過させることもできる。
【0017】
前記固体酸触媒としては、例えば平均粒子径が2μm~2mm程度、イオン交換容量が0.01~1eq/L程度のものを使用することができる。本発明におけるタンパク質加水分解は、固体酸触媒上の酸点の作用により進行するものと考えられる。従って、多くのタンパク質を固体酸触媒上に酸点に接触させるためには、固体酸触媒としてタンパク質吸着能が高いものを使用することが好ましい。タンパク質吸着量は、例えば1ml容量のカラムに過剰量のタンパク質(例えばリゾチーム)を添加し、洗浄後、溶出液(例えば0.02mol/Lリン酸緩衝液(pH6.0))により溶出した吸着タンパク質量を吸光度から定量することにより測定することができる。本発明では、上記方法により測定されるタンパク質吸着量が5~150g/Lの固体酸触媒を使用することが好ましい。例えば、前述の東ソー株式会社製TOYOPEARL SP-650Cのタンパク質吸着量は30g/L程度(測定条件:2%リゾチーム、溶出液0.02mol/Lリン酸緩衝液(pH6.0)、温度25℃)、TOYOPEARL SP-550Cのタンパク質吸着量は100g/L程度(測定条件:1.8%リゾチーム、溶出液0.02mol/Lリン酸緩衝液(pH6.0)、温度25℃)である。
【0018】
前記固体酸触媒としては、多孔質体を使用することができる。例えば前述の東ソー株式会社製TOYOPEARL SP-650C、SP-550Cは、ゲル濾過クロマトグラフィー用充填剤にイオン交換基としてスルホン酸基を導入した多孔質体である。多孔質体については、細孔サイズが小さいほど比表面積が増大するため吸着性の観点からは好ましいが、細孔サイズより大きな分子量を有するタンパク質を加水分解しようとすると、細孔内にはタンパク質が侵入できないため細孔内では加水分解を起こすことは困難となる。この観点から、タンパク質の加水分解時には適切な細孔を有する固体酸触媒を選択することが好ましい。
【0019】
加水分解反応における前記固体酸触媒の使用量は、固体酸の触媒能に応じて適宜決定することができる。例えば、16μlの容積の固体酸触媒を利用することにより1~1000μg程度のタンパク質を加水分解できる。
【0020】
本発明におけるタンパク質の加水分解は、固体酸触媒とタンパク質とを水存在下かつ加熱下で接触させることにより行われる。加熱なしでは加水分解反応を良好に進行させることが困難である。加熱温度は、100~160℃程度が好ましく、加熱時間は加熱温度に依存するが、5分~1週間程度が好ましい。また、タンパク質の吸着した固体酸触媒を純水で洗浄後、加熱(例えば110℃、20時間)することが好ましい。
【0021】
加水分解反応は、バッチ法で行ってもよく、連続法で行うこともできる。バッチ法では、固体酸触媒とタンパク質を容器に入れた後に加熱する。加熱は、容器を密栓した後に行うことが好ましい。加熱条件は、前述の通りである。バッチ法で使用する容器は1つであってもよく複数でもよい。バッチ法では、ウェルプレート(例えば96~1536ウェルプレート)を利用することで、高度な並列化が可能となる。これにより、多量の試料を迅速かつ容易に処理することができる。
【0022】
連続法では、固体酸触媒を充填したカラムや固体酸触媒からなる膜または固体酸触媒を固定化等により保持させた膜に、タンパク質溶液を送液することにより固体酸触媒上にタンパク質を保持させた後、上記カラムまたは膜を加熱することにより加水分解反応を進行させることができる。反応終了後、適当な溶出液をカラムまたは膜へ送液することにより、加水分解物を容易に回収することができる。溶出液としては、ホウ酸溶液、トリエチルアミン水溶液などの塩基性緩衝溶液、または塩化ナトリウム、炭酸水素アンモニウムなどの高塩濃度(例えば0.1M~2M)溶液、またはトリフルオロ酢酸水溶液などの酸性溶液等の加水分解物を溶出し得る溶液を適宜選択して用いることができる。先に説明した塩酸加水分解による自動加水分解装置では、脱塩後乾燥したタンパク質試料に塩酸を導入するため塩酸による流路の腐食やバルブの損傷の問題があった。これに対し、上記自動化法によればそのような問題はない。また固体酸触媒はタンパク質加水分解の妨げとなる夾雑物質を洗浄する際のタンパク質固定支持体としての機能を果たすことができるため、上記連続法は夾雑物質除去のための前処理が不要になるという利点もある。
【0023】
[タンパク質加水分解装置]
更に本発明は、固体酸触媒を含む容器、カラムおよび膜からなる群から選ばれる少なくとも一種の加水分解手段を含むことを特徴とするタンパク質加水分解装置に関する。
【0024】
本発明のタンパク質加水分解装置は、前述のバッチ法または連続法によるタンパク質加水分解に好適に用いることができる。上記容器サイズ、容器に分注(好ましくは固定)する固体酸触媒量、カラムサイズやカラムに充填する固体酸触媒量は、加水分解すべきタンパク質量や固体酸触媒の触媒能等を考慮し決定すればよい。また、膜としては、イオン交換膜として市販されているものを使用することもでき、前記固体酸触媒を公知の方法で膜状に加工したり、公知の方法で膜上に固定化したものを使用することもできる。
【0025】
本発明のタンパク質加水分解方法は、更に本発明のタンパク質加水分解装置は、前記カラムまたは膜を加熱するための加熱手段を含むことが好ましい。加熱手段としては、例えばカラムや膜を内部に配置した状態で加熱処理を施すことができる反応炉等を用いることができる。更に、本発明のタンパク質加水分解装置は、前記カラムまたは膜へ溶液を送液するための送液手段、前記カラム内または膜上での加水分解により得られた加水分解物を回収するための回収手段等の加水分解工程を自動化するための各種手段を含むことができる。これら各手段としては、公知の装置を用いることができる。
【0026】
以上説明した本発明のタンパク質加水分解方法および装置によれば、タンパク質をペプチドおよび/またはアミノ酸に分解することができる。酵素分解法は基質特異性により汎用性に乏しく、また塩酸加水分解法では自動化が困難である。これに対し本発明によれば、揮発性の酸による腐食が生じないため、タンパク質加水分解の自動化および装置化が容易となる。
【0027】
[タンパク質分析方法]
更に本発明は、本発明のタンパク質加水分解方法または本発明のタンパク質加水分解装置を使用することによりタンパク質加水分解物を得ること、および、上記タンパク質加水分解物を分析すること、を特徴とするタンパク質分析方法に関する。
【0028】
先に説明したように本発明のタンパク質加水分解方法またはタンパク質加水分解装置によればタンパク質をペプチドやアミノ酸に簡便に加水分解することができる。そして上記方法または装置を使用し得られた加水分解物を分析することにより、タンパク質の重要な特性であるアミノ酸組成やタンパク質質量、翻訳後修飾などを調べることができる。タンパク質のアミノ酸分析のためには、前記固体酸触媒の中でもスルホン酸型イオン交換体を用いることが好ましく、親水性ビニルポリマーを基材として含むスルホン酸型陽イオン交換樹脂を用いることが更に好ましい。
【0029】
分析結果を利用しタンパク質の構造解析等を行うためには、加水分解物の分析としてアミノ酸分析を行うことが好ましい。アミノ酸分析は、公知の方法で行うことができ、例えばカラムクロマトグラフィーを行った後に溶離液をニンヒドリン試薬やOPA(オルトフタルアルデヒド)を用いて誘導体化するポストカラムラベル法、PITC(フェニルイソチオシアネート)やAQC(6アミノキノリルNヒドロキシスクシニミジルカルバミン酸)を用いた誘導体化後にカラムクロマトグラフィーを行うプレカラムラベル法を用いることができる。ポストカラムラベル法については、例えば "Automatic Recording Apparatus for Use in Chromatography of Amino Acids"D. H. Spackman, W. H. Stein, and Stanford Moore. Anal.Chem.30. 1190-1206 (1958)、"o-Phthalaldehyde: Fluorogenic Detection of Primary Amines in the Picomole Range. Comparison with Fluorescamine and Ninhydrin" James R. Benson and P. E. Hare.PNAS 72: 619-622.(1975)を参照できる。ポストカラムラベル法を実施可能な装置は、例えば日立製作所から販売されている。また、プレカラムラベル法については、例えば"Amino acid analysis by reverse-phase high-performance liquid chromatography: Precolumn derivatization with phenylisothiocyanate" Robert L. Heinrikson and Stephen C. Meredith.Anal. Biochem 136. 65-74(1984)、 "Synthesis of a Fluorescent Derivatizing Reagent, 6-Aminoquinolyl-N-Hydroxysuccinimidyl Carbamate, and Its Application for the Analysis of Hydrolysate Amino Acids via High-Performance Liquid Chromatography" S. A. Cohen and D. P. Michaud. Anal. Biochem.211. 279-287 (1993)等を参照できる。プレカラムラベル法は、例えばWaters社から販売されている自動分析装置を用いて行うこともできる。
【0030】
[タンパク質分析装置]
更に本発明は、本発明のタンパク質加水分解装置と、加水分解物分析手段と、を含むことを特徴とするタンパク質分析装置に関する。前記加水分解装置の詳細は、先に説明した通りである。また、前記加水分解物分析手段は、アミノ酸分析手段を含むことが好ましい。アミノ酸分析手段としては、前述のポストカラムラベル法、プレカラムラベル法等のアミノ酸分析を行い得る装置を用いることができる。特に、カラムに固体酸触媒を保持した加水分解装置とポストカラムアミノ酸自動分析装置を直接結合して一体化し、タンパク質の加水分解からアミノ酸分析までを全自動化した装置を構成することができる。
【実施例】
【0031】
以下、本発明を実施例により更に説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。以下に示す「%」は、特記しない限り「質量%」を示す。
【0032】
1.バッチ法による加水分解(1)
東ソー株式会社製陽イオン交換樹脂TOYOPEARL SP 550-CおよびTOYOPEARL SP 650-Cを用い、これらをそれぞれ1N塩酸中に懸濁させプロトン型に置換した後に、上清が中性になるまで水洗した。上記プロトン型陽イオン交換樹脂TOYOPEARL SP 550-CおよびTOYOPEARL SP 650-Cについて、それぞれ50%(V/V)懸濁水溶液10μlをガラスチューブ(6 X 32 mm, CHROMACOL製03-CVG)に入れ、牛血清アルブミン(BSA,Sigma製A7638)水溶液5μl(3.3マイクログラム)を加えた。このガラスチューブをガラスバイアル(WHEATON製225289)に入れ、25μlのMilliQを加えたうえで密栓した。バイアルは110℃のアルミブロックヒーターに入れ、20時間加熱した。バイアルを放冷後、ガラスチューブをとりだし、ガラスチューブに0.2Mホウ酸緩衝液(pH 8.8)を30μl加え、その半量を下記2.において蛍光誘導体化し、アミノ酸を定量した。
【0033】
2.蛍光誘導体化によるアミノ酸分析
6-アミノキノリル-N-ヒドロキシスクシンイミジルカルバメート(AQC)の合成、およびAQCを用いたアミノ酸の蛍光誘導体化(プレラベル化)を、"Synthesis of a Fluorescent Derivatizing Reagent, 6-Aminoquinolyl-N-Hydroxysuccinimidyl Carbamate, and Its Application for the Analysis of Hydrolysate Amino Acids via High-Performance Liquid Chromatography" S. A. Cohen and D. P. Michaud. Anal. Biochem.211. 279-287 (1993)に記載の方法に従って行った。このように調製したアミノ酸蛍光誘導体をHPLCにより分離した。HPLCによる分離は、逆相カラムを用い、イオンペア試薬を含む緩衝溶液系を用いた濃度勾配溶出法により実施した。下記条件を用いて、AQCにより蛍光誘導体化した17種のアミノ酸およびアンモニウムを含有する標準アミノ酸混合物またはタンパク質加水分解物を分離した。

a)HPLC装置:Agilent社の1100シリーズ(真空デガッサーG1379A、バイナリーポンプG1312A、オートサンプラーG1367A、カラム恒温槽G1330B/G1316A、ダイオードアレイ検出器G1315B、蛍光検出器G1321Aを含む)
b)カラム: InertsilODS-3(4.6×150mm, 3μm)、GLサイエンス社製
c)移動相:A:95 % 5mM テトラブチルアンモニウムブロミド、30mM リン酸緩衝液(pH 7.3), 5 % アセトニトリル;B : 50 % アセトニトリル / 移動相 A
d)濃度勾配: 0-3-40分の間に移動相B濃度を2-7.3-72.3 %に変えた。
e)流速:0.5ml 毎分
f)温度:40度
g)蛍光励起波長(Ex)、およびモニター波長(Em):Ex=250nm、Em=395nm

標準アミノ酸溶液としては、ピアス社製のAmino Acid Standard H(2.5μmol/ml)より10pmol/μlの溶液を調製し用いた。その標準溶液5μl(50pmol)をAQC誘導体化し、1/10量を注入した時の分離結果を図1に示す。また、この標準溶液の分析値をもとにタンパク質加水分解物の定量を行った結果を表1に示す。表1には、BSAに含まれるアミノ酸の総量に対する割合も併せて示した。なお、" Automated sample preparation using vapor-phase hydrolysis for amino acid analysis", Analytical Biochemistry 318 (2003) 155-188に記載の気相法によりBSA1マイクログラムあたりのBSAの含有量は6.9pmol(0.46マイクログラム)であり、重量の46%に相当することが明らかになった。以下、計り取った重量と実質のBSAモル数の換算には、この定量値を用いる。
【0034】
【表1】
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【0035】
表1に示すように、東ソー株式会社製陽イオン交換樹脂TOYOPEARL SP 550-CおよびTOYOPEARL SP 650-Cの使用により、気相法で検出されるすべてのアミノ酸を検出することができた。この結果から、上記陽イオン交換樹脂の使用により、タンパク質のアミノ酸組成分析が可能であることが示された。
【0036】
3.バッチ法による加水分解(2)
(i)電気泳動による評価
固体酸触媒となり得る下記7種類の試薬について加水分解実験を行った。固体酸触媒はナフィオン(登録商標)以外は、メノウ乳鉢で微粉化した。ナフィオン(登録商標)は棒状の合成ポリマーのため0.1mm程度にスライスした。ガラスチューブ(6 X 32 mm,CHROMACOL製03-CVG)の底から5mm程度、固体酸触媒を詰め、牛血清アルブミン(BSA,Sigma製A7638)水溶液5μl(3.3マイクログラム)を加えた。このガラスチューブをガラスバイアル(WHEATON製225289)に入れ、25μlのMilliQを加えたうえで密栓したものを2本用意し、1本は110℃で20時間加熱し、1本は室温で20時間放置した。その後、固体酸触媒の入ったチューブに電気泳動用の試料緩衝液を加え,沸騰水で5分間加熱した。これらの試料をポリアクリルアミドゲルで電気泳動した。
[使用固体酸触媒]
(A)デュポン製Nafion(登録商標)NR50、7-9mesh通過(粒子サイズ3mm×4mm)
(B)ゼオライト球状(東ソー株式会社製ゼオラム(登録商標)F-9、直径1.40-2.36mm、8~12 mesh通過)
(C)ゼオライト粉末:東ソー株式会社製ゼオラム(登録商標)A-3、直径75μm (200mesh通過)
(D)珪藻土(和光純薬工業株式会社製けいそう土、顆粒状)
(E)アルミナ(MP Biochemicals社製MP Alumina, Activated, Acidic, Activity: I, 粒子サイズ50~200μm)
(F)フロリジール(Wako chemicals USA製フロリジール(Florisil(登録商標)))
(G)ハイドロキシアパタイト(和光純薬工業株式会社製アパタイトHAP、単斜晶)
【0037】
上記(A)~(D)の固体酸触媒を使用して得られた試料を電気泳動した結果を図2に示す。図2に示すように、室温放置後の試料ではBSAがそのまま残っていたのに対し、加熱処理後にはBSAは検出されなかった。
これに対し、上記(E)~(G)の固体酸触媒を使用した場合、加熱処理前、加熱処理後、室温放置後のいずれにおいても、固体酸触媒に吸着したBSAをSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)で溶出できずBSAのバンドは観察されなかった。
【0038】
(ii)アミノ酸の定量
上記と同様に微粉化またはスライスした固体酸触媒(A)~(G)を、それぞれをガラスチューブ(6 X 32 mm,CHROMACOL製03-CVG)の底から5mm程度詰め、牛血清アルブミン(BSA,Sigma製A7638)水溶液5μl(3.3マイクログラム)を加えた。このガラスチューブをガラスバイアル(WHEATON製225289)に入れ、25μlのMilliQを加えたうえで密栓し、110℃で20時間加熱した。加熱後、固体酸触媒の入ったチューブに0.2Mホウ酸緩衝液(pH8.8)を80μl加え、その半量を前述の2.と同様の方法で蛍光誘導体化し、アミノ酸を定量した。前述の1.で得られた定量結果とともに、結果を表2に示す。
【0039】
【表2】
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【0040】
表2に示すように、上記(A)~(D)の固体酸触媒使用時にはアミノ酸が検出された。この結果と上記(i)の結果から、上記(A)~(D)の固体酸触媒を使用することによりタンパク質を良好な加水分解効率で加水分解できたことが確認できる。
これに対し、上記(E)~(G)使用時には、上記(i)において加熱処理前にBSAのバンドが観察されなかったため、電気泳動の結果からは加水分解の有無を判断することは困難であったが、表2に示すようにアミノ酸が検出されたことから、上記(A)~(D)使用時と比べて反応効率は低いものの加水分解を行うことができたと考えられる。
【0041】
4.自動加水分解装置システム
以下の方法により図3に示す自動加水分解装置を作製した。
プロトン型陽イオン交換樹脂TOYOPEARL SP 550-Cをφ1mm(20mmのカラム(Upcharch C-128、フリットUpcharch A-701を装着)1~5に詰めた。このカラムを図3に示すように、電動切換バルブに接続し、オートサンプラーによるサンプルの自動インジェクションと同期し、注入カラムが切り替わるようにした。また、カラムはそれぞれ電気炉(反応炉)のアルミブロック内に設置した。これらのカラムの平衡化、サンプル注入、溶出、回収はすべて制御用PCのプログラムによって全自動で行った。高速液体クロマトグラフィーのポンプ、検出器、溶媒のデガッサー装置制御、データ分析用ソフトウエア(ケミステーション)はAgilent社の1100シリーズを用いた。オートサンプラーはGilson社の231XLサンプルインジェクターおよび402シリンジポンプ、フラクションコレクターはGilson社の221XLリキッドハンドラー、電動切換バルブはValco Instrument社ECST6UW、電気炉はPierce社のReacti-Therm heating moduleを使用した。装置の制御はAgilentのケミステーションを用いた。制御プログラムにより電動切換バルブおよびフラクションコレクターを制御し注入および溶出を行った。さらに注入用制御プログラムと溶出用制御プログラムの間に20時間反応を行うための制御プログラムを入れた。
【0042】
5.オンライン加水分解
溶液AのビンにMilliQ水を入れ、流速0.05ml/minでカラム1、カラム2を平衡化した後、カラム1にはMilliQ水を、カラム2には2mg/mlの牛血清アルブミン(BSA)/ 0.1% 酢酸水溶液を3μl注入した。この重量6マイクログラムのBSAはモル数にして41pmol(アミノ酸総量24nmol)相当である。注入後15分間流速0.05ml/minでカラムを水洗後、通液を止め、カラムを電気炉で110℃に加熱した。20時間後加熱を止め、放冷後、溶液Bのビンに入れた0.2Mホウ酸緩衝液を通液し、各カラムから溶出物をフラクションコレクターにより全自動で回収した。別途、比較のため、同量のBSAを5.7N定沸点塩酸(気相法)、110℃で20時間加水分解したサンプルとともに、回収したアミノ酸の絶対量を、前述の蛍光誘導体化によるアミノ酸分析で定量した。結果を表3に示す。
【0043】
【表3】
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【0044】
表3に示す結果から、TOYOPEARL SP-550Cの使用により気相法による加水分解とほぼ同等の回収率でアミノ酸が得られたこと、MilliQ水のみを注入したカラムからのバックグラウンドは十分に低く、サンプル加水分解物分析に支障を与えないレベルであったことがわかる。
【0045】
6.連続注入オンライン加水分解
上記3.と同様にカラム1~5を用意した。溶液AのビンにMilliQ水を入れ、すべてのカラムを流速0.05ml/minで平衡化した後、2~5のカラムに2mg/mlの牛血清アルブミン(BSA)/ 0.1% 酢酸水溶液をそれぞれ1,2,3,5μl注入した。注入後15分間カラムを流速0.05ml/minで水洗後、通液を止め、カラムを電気炉で110℃に加熱した。20時間後加熱を止め、放冷後、溶液Bのビンに入れた0.2Mホウ酸緩衝液を通液し、各カラムから加水分解物をフラクションコレクターにより全自動で回収した。別途、比較のため、同量のBSAを5.7N定沸点塩酸(気相法)、110℃で20時間加水分解したサンプルとともに、回収したアミノ酸をHPLCで分析し、BSAに含まれるアミノ酸の総量に対する割合を求めた。結果を表4に示す。表4に示す文献値は、NCBI(National Center for Biotechnology Information) protein database、 AAI42273に記載の値である。
【0046】
【表4】
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【0047】
表4に示すように、プロトン型陽イオン交換樹脂TOYOPEARL SP-550Cを使用した場合、BSA量にかかわらず全アミノ酸種が検出された。2μgのBSAを加水分解したサンプルは、ブランクレベルの影響を若干受けているが、それ以外のサンプルのアミノ酸組成のばらつきはほとんど見られなかった。また、下記表5に、気相法とプロトン型陽イオン交換樹脂TOYOPEARL SP-550Cを用いた加水分解の回収タンパク量を比較するために、同量のBSAを気相加水分解したサンプルと、プロトン型陽イオン交換樹脂TOYOPEARL SP-550Cを用いて加水分解したサンプルの回収総アミノ酸量を示した。この表におけるBSA重量2,4,6,10μgの実質BSA量は、前述の2.に示した換算法に従うと、それぞれ0.9、1.8、2.8、4.6μgに相当する。BSA10μgでは、樹脂への吸着の限界のためか、回収率がやや低かったが、それ以下の量では、気相加水分解に匹敵する高回収率でアミノ酸が得られていることがわかった。なお、BSA10μgでも、樹脂量を増量すること等により回収率の改善が可能と考えられる
【0048】
【表5】
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【0049】
7.オフライン-自動加水分解—自動アミノ酸組成分析
前述と同様の装置により、牛血清アルブミン(BSA)2mg/ml 溶液を5μl注入し、加水分解したサンプルを0.2Mホウ酸緩衝液を通液することにより回収した。回収したアミノ酸混合物45μlに2.1 N HClを5μlと希釈用バッファー(pH 2.2)を50μl加え、全量を100 μlにした後、80μlを採取し、自動アミノ酸分析計によって構成アミノ酸分析を行った。このアミノ酸分析には日立社製高速アミノ酸分析計L-8500Aを用いた。上記アミノ酸分析計付属マニュアルに記載の特殊アミノ酸分析法にて加水分解物中のアミノ酸をイオン交換カラムを用いて5種類の緩衝液で分離させた。分離したアミノ酸はポストカラム法によりニンヒドリンで反応させて2波長の可視光で検出した。通常のアミノ酸は570nmのクロマトグラムより、また、プロリンは440nmのクロマトグラムより標準アミノ酸混合物を2ナノモル分析した値をもとに定量した。表6にBSAに含まれるアミノ酸の総量に対する割合を求めた結果を示す。表6に示す文献値は、前述のNCBIデータベースAAI42273に記載の値である。表6に示すように、プロトン型陽イオン交換樹脂TOYOPEARL SP-550Cの使用により、文献値に近似するアミノ酸組成分析を行うことができた。アミノ酸分析計を加水分解装置の近隣に設置することで、加水分解からアミノ酸分析までを全自動オンラインで行うことができる。
【0050】
【表6】
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【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によれば、タンパク質のアミノ酸分析の全自動化を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】標準アミノ酸溶液のHPLC分離結果を示す。
【図2】固体酸触媒による加水分解(バッチ法)の結果を示す電気泳動写真を示す。
【図3】自動加水分解装置の概略図を示す。
図面
【図1】
0
【図3】
1
【図2】
2