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明細書 :蛍光測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5002813号 (P5002813)
公開番号 特開2008-191054 (P2008-191054A)
登録日 平成24年6月1日(2012.6.1)
発行日 平成24年8月15日(2012.8.15)
公開日 平成20年8月21日(2008.8.21)
発明の名称または考案の名称 蛍光測定装置
国際特許分類 G01N  21/64        (2006.01)
FI G01N 21/64 G
請求項の数または発明の数 7
全頁数 13
出願番号 特願2007-027136 (P2007-027136)
出願日 平成19年2月6日(2007.2.6)
審査請求日 平成21年12月24日(2009.12.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504300181
【氏名又は名称】国立大学法人浜松医科大学
発明者または考案者 【氏名】櫻井 孝司
【氏名】寺川 進
【氏名】最上 秀夫
個別代理人の代理人 【識別番号】100088155、【弁理士】、【氏名又は名称】長谷川 芳樹
【識別番号】100092657、【弁理士】、【氏名又は名称】寺崎 史朗
【識別番号】100108257、【弁理士】、【氏名又は名称】近藤 伊知良
【識別番号】100124800、【弁理士】、【氏名又は名称】諏澤 勇司
【識別番号】100110582、【弁理士】、【氏名又は名称】柴田 昌聰
審査官 【審査官】上田 泰
参考文献・文献 特表2000-507350(JP,A)
特表2001-508340(JP,A)
特開2002-207009(JP,A)
特開2004-317437(JP,A)
特開2003-014647(JP,A)
特開2000-131234(JP,A)
特開2002-139418(JP,A)
特開2003-294631(JP,A)
特開2004-279041(JP,A)
調査した分野 G01N 21/17 - 21/74
特許請求の範囲 【請求項1】
互いに対向する第1主面および第2主面を有し、前記第1主面上に測定対象物が配置される板状部材と、
励起光を出力する第1励起光源部と、
前記第1励起光源部から出力された励起光を前記板状部材内に導き、前記板状部材の前記第1主面と前記第2主面との間で前記励起光を繰り返し全反射させて、前記板状部材の前記第1主面の複数箇所それぞれにおける前記励起光の全反射により前記励起光のエバネセント波を生じさせる励起光学系と、
前記板状部材の前記第1主面における全反射箇所に対応して前記板状部材の前記第2主面の側に設けられ、前記励起光のエバネセント波により励起された前記測定対象物で発生する蛍光を入力して結像する複数の検出用レンズと、
前記複数の検出用レンズそれぞれに対応して設けられ、各々の第1端面が前記検出用レンズによる前記蛍光の結像位置に配置され、各々の第2端面が共通平面上に配置されている複数の光ファイバと、
前記複数の光ファイバそれぞれの前記第2端面から出力される光を入力し、その光をコリメートして出力する走査光学系と、
反射面の方位が可変であり、前記複数の光ファイバのうち選択された光ファイバの前記第2端面から出力されて前記走査光学系によりコリメートされた光を所定方向へ反射させるミラーと、
前記ミラーにより前記所定方向へ反射された光を検出する検出部と、
を備えることを特徴とする蛍光測定装置。
【請求項2】
前記複数の光ファイバそれぞれはイメージングファイバであり、
前記検出部は該イメージングファイバにより伝送された光の像を撮像する、
ことを特徴とする請求項1記載の蛍光測定装置。
【請求項3】
前記板状部材の前記第1主面上に前記測定対象物を複数の区画に区分するための隔壁が設けられ、これら複数の区画それぞれにおいて前記第1主面における励起光の全反射箇所が存在する、ことを特徴とする請求項1記載の蛍光測定装置。
【請求項4】
励起光を出力する第2励起光源部と、
前記ミラーにより前記所定方向へ反射された光を前記検出部へ導き、前記第2励起光源部から出力される励起光を前記所定方向に沿って前記ミラーへ入射させるビームスプリッタと、
を更に備えることを特徴とする請求項1記載の蛍光測定装置。
【請求項5】
前記励起光学系は、前記第1励起光源部から出力された励起光を前記板状部材の前記第1主面に平行な方向に拡幅して、その励起光を前記板状部材内に導き、
前記検出用レンズは、前記板状部材の前記第1主面における各全反射箇所に対して複数個設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の蛍光測定装置。
【請求項6】
前記第1励起光源部は、複数波長の励起光を出力し、
前記励起光学系は、前記第1励起光源部から出力された複数波長の励起光を前記板状部材内に導き、
前記検出用レンズは、前記板状部材の前記第1主面における前記複数波長の励起光ぞれぞれの全反射箇所に対応して設けられている、
ことを特徴とする請求項1記載の蛍光測定装置。
【請求項7】
前記第1励起光源部は、断続的に励起光を出力し、
前記検出部は、前記第1励起光源部から励起光が出力されているときに前記測定対象物で発生する蛍光を検出し、前記第1励起光源部から励起光が出力されていないときに前記測定対象物で発生する他の光を検出する、
ことを特徴とする請求項1記載の蛍光測定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、励起光のエバネセント波により測定対象物を励起して該測定対象物で発生する蛍光を測定する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
励起光のエバネセント波により測定対象物を励起して該測定対象物で発生する蛍光を測定する装置として、非特許文献1に記載されたものが知られている。この蛍光測定装置では、蛍光標識された測定対象物が透明体の一主面上に配置され、その透明体の内部から主面に励起光が入射されて該励起光が主面で全反射され、この全反射により透明体の主面の上に励起光のエバネセント波が生じる。そして、この励起光のエバネセント波により、透明体の主面の付近にある測定対象物の部分が選択的に励起され、その励起された部分から蛍光が発生する。このようにして発生した蛍光が対物レンズを介して検出されることで、透明体の主面の付近にある測定対象物の部分が選択的に観察され得る。なお、測定対象物は例えば生細胞である。

【非特許文献1】Daniel Axelrod, "Total Internal Reflection FluorescenceMicroscopy in Cell Biology", Traffic 2001, Vol.2, pp.764-774 (2001).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来の蛍光測定装置では、透明体の主面上に配置された測定対象物の複数箇所の部分を観察しようとすると、その測定対象物を載せた状態で透明体を移動させる必要がある。しかし、そのような移動に時間を要することから、測定対象物の複数箇所の部分それぞれの観察タイミングが異なってしまい、測定対象物の複数箇所の部分の間で対比観察することが困難となる。
【0004】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、励起光のエバネセント波で励起された測定対象物の複数箇所の部分から生じる蛍光を略同一タイミングで検出することができる蛍光測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る蛍光測定装置は、(1) 互いに対向する第1主面および第2主面を有し、第1主面上に測定対象物が配置される板状部材と、(2) 励起光を出力する第1励起光源部と、(3) 第1励起光源部から出力された励起光を板状部材内に導き、板状部材の第1主面と第2主面との間で励起光を繰り返し全反射させて、板状部材の第1主面の複数箇所それぞれにおける励起光の全反射により励起光のエバネセント波を生じさせる励起光学系と、(4) 板状部材の第1主面における全反射箇所に対応して板状部材の第2主面の側に設けられ、励起光のエバネセント波により励起された測定対象物で発生する蛍光を入力して結像する複数の検出用レンズと、(5) 複数の検出用レンズそれぞれに対応して設けられ、各々の第1端面が検出用レンズによる蛍光の結像位置に配置され、各々の第2端面が共通平面上に配置されている複数の光ファイバと、(6) 複数の光ファイバそれぞれの第2端面から出力される光を入力し、その光をコリメートして出力する走査光学系と、(7) 反射面の方位が可変であり、複数の光ファイバのうち選択された光ファイバの第2端面から出力されて走査光学系によりコリメートされた光を所定方向へ反射させるミラーと、(8) ミラーにより所定方向へ反射された光を検出する検出部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
この蛍光測定装置では、第1励起光源部から出力された励起光は、励起光学系により板状部材内に導かれ、板状部材の第1主面と第2主面との間で繰り返し全反射する。板状部材の第1主面の複数箇所それぞれにおける励起光の全反射により励起光のエバネセント波が生じる。板状部材の第1主面上に配置された測定対象物では、励起光のエバネセント波により励起されて、蛍光が発生する。その蛍光は、板状部材の第1主面における全反射箇所に対応して板状部材の第2主面の側に設けられた検出用レンズを経て、光ファイバの第1端面に入力されて、光ファイバの第2端面から出力される。各光ファイバの第2端面から出力される光は、走査光学系によりコリメートされ、反射面の方位が可変であるミラーにより反射される。このとき、ミラーの反射面の方位が適宜に調整されることにより、複数の光ファイバのうち選択された光ファイバの第2端面から出力されて走査光学系によりコリメートされた蛍光が、ミラーにより所定方向へ反射されて、検出部により検出される。したがって、ミラーの反射面の方位が順次に変更されることにより、板状部材の第1主面における複数の全反射箇所それぞれにおいて測定対象物で発生した蛍光は検出部により順次に検出される。なお、走査光学系としては、広い範囲で走査が可能であるのが好ましく、レンズ等で構成され、特にfθレンズで構成されるのが好適である。
【0007】
本発明に係る蛍光測定装置では、複数の光ファイバそれぞれはイメージングファイバであり、検出部は該イメージングファイバにより伝送された光の像を撮像するのが好適である。複数の光ファイバそれぞれは、1つのコアを有するものであってもよいが、複数のコアを有するイメージングファイバであるのが好ましい。後者の場合には、蛍光のイメージを伝送することができる。
【0008】
本発明に係る蛍光測定装置は、板状部材の第1主面上に測定対象物を複数の区画に区分するための隔壁が設けられ、これら複数の区画それぞれにおいて第1主面における励起光の全反射箇所が存在するのが好適である。この場合には、複数の区画それぞれにおいて測定対象物や観察条件などを互いに異なるものとすることができる。
【0009】
本発明に係る蛍光測定装置は、励起光を出力する第2励起光源部と、ミラーにより所定方向へ反射された光を検出部へ導き、第2励起光源部から出力される励起光を所定方向に沿ってミラーへ入射させるビームスプリッタと、を更に備えるのが好適である。この場合には、第2励起光源部から出力された励起光は、ビームスプリッタを経て、光ファイバの第2端面に入力されて第1端面から出力され、検出用レンズにより測定対象物に集光照射される。第1励起光源部から出力される励起光のエバネセント波による励起だけでなく、第2励起光源部から出力される励起光の集光照射による励起も可能である。
【0010】
本発明に係る蛍光測定装置では、励起光学系は、第1励起光源部から出力された励起光を板状部材の第1主面に平行な方向に拡幅して、その励起光を板状部材内に導き、検出用レンズは、板状部材の第1主面における各全反射箇所に対して複数個設けられているのが好適である。この場合には、第1励起光源部から出力された励起光は、励起光学系により、板状部材の第1主面に平行な方向に拡幅されて、板状部材内に導かれる。板状部材の第1主面における各全反射箇所に対して複数個の検出用レンズが設けられていることから、1つの全反射箇所に対して複数箇所の蛍光観察が可能となる。
【0011】
本発明に係る蛍光測定装置では、第1励起光源部は、複数波長の励起光を出力し、励起光学系は、第1励起光源部から出力された複数波長の励起光を板状部材内に導き、検出用レンズは、板状部材の第1主面における複数波長の励起光ぞれぞれの全反射箇所に対応して設けられているのが好適である。この場合には、第1励起光源部から出力された複数波長の励起光は、励起光学系により板状部材内に導かれる。板状部材の第1主面における複数波長の励起光ぞれぞれの全反射箇所に対応して検出用レンズが設けられていることから、各波長の励起光の全反射箇所に対して蛍光観察が可能になる。
【0012】
本発明に係る蛍光測定装置では、第1励起光源部は、断続的に励起光を出力し、検出部は、第1励起光源部から励起光が出力されているときに測定対象物で発生する蛍光を検出し、第1励起光源部から励起光が出力されていないときに測定対象物で発生する他の光を検出するのが好適である。この場合には、第1励起光源部から励起光が出力されているときに、測定対象物で発生する蛍光が検出部により検出される。第1励起光源部から励起光が出力されていないときに、測定対象物で発生する他の光が検出される。ここで、他の光とは、第1励起光源部から出力される励起光のエバネセント波により励起されて生じる蛍光とは異なる光であって、例えば、照明光照射に伴う透過光や散乱光、他の手段による励起光照射に伴う蛍光、化学発光、等である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、励起光のエバネセント波で励起された測定対象物の複数箇所の部分から生じる蛍光を略同一タイミングで検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一または同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る蛍光測定装置1の構成図である。この図に示される蛍光測定装置1は、板状部材10、第1励起光源部20、励起光学系30、検出用レンズ41~43、光ファイバ51~53、fθレンズ61、ミラー62、ビームスプリッタ63、検出部70および第2励起光源部80を備える。
【0016】
板状部材10は、自家蛍光が生じ難い透明な材料(例えば石英ガラス)からなり、互いに平行な第1主面11および第2主面12を有する平板である。板状部材10の第1主面11上に、測定対象物8を複数の区画に区分するための隔壁13が設けられている。測定対象物8は、一般に顕微鏡観察の対象となる標本であって、例えば、蛍光色素で蛍光標識された生細胞であり、隔壁13により区分された各区画において溶液9に浸漬されていて第1主面11近傍に位置している。第1励起光源部20は、測定対象物8に含まれる蛍光色素を励起し得る波長の励起光を出力するものであり、好適にはレーザ光源を含む。
【0017】
励起光学系30は、第1励起光源部20から出力された励起光を板状部材10内に導き、板状部材10の第1主面11と第2主面12との間で励起光を繰り返し全反射させて、板状部材10の第1主面11の複数箇所それぞれにおける全反射により励起光のエバネセント波を生じさせる。
【0018】
励起光学系30は、レンズ系31、プリズム32およびプリズム33を含む。これらレンズ系31、プリズム32およびプリズム33それぞれは、自家蛍光が生じ難い透明な材料(例えば石英ガラス)からなる。レンズ系31は、第1励起光源部20から出力された励起光を入力し、その励起光のビーム断面形状を整形してプリズム32へ出力する。例えば、レンズ系31は、第1励起光源部20から出力された励起光を板状部材10の第1主面11に平行な方向に拡幅して出力する。
【0019】
プリズム32は、レンズ系31から出力された励起光を板状部材10内に導く。プリズム32は、入射面321,反射面322および出射面323を有している。プリズム32は、レンズ系31から出力された励起光を入射面321に入力し、その入力した励起光を反射面322で反射させ、その反射させた励起光を出射面323から出力して、その出力した励起光を板状部材10の第2主面12から板状部材10内に導く。これにより、プリズム32は、板状部材10の第1主面11と第2主面12との間で励起光を繰り返し全反射させて、板状部材10の第1主面11の複数箇所それぞれにおける全反射により励起光のエバネセント波を生じさせる。
【0020】
プリズム32の入射面321および出射面323それぞれには、励起光波長における反射率を低減するための低反射膜が形成されているのが好ましい。プリズム32の反射面322には、励起光波長における反射率を高くするための高反射膜が形成されているのが好ましい。板状部材10の第2主面12とプリズム32の出射面323とは互いに密着しているのが好ましく、また、板状部材10およびプリズム32それぞれの材料と同程度の屈折率を有するマッチングオイルが両者の間に充填されているのが好ましい。また、板状部材10とプリズム32とが一体化されているのも好ましい。このようにすることにより、プリズム32は、レンズ系31から出力された励起光を板状部材10内に高効率に導くことができる。特に、板状部材10とプリズム32とが一体化されている場合には、両者のずれに因るドリフトが生じないという効果もある。
【0021】
プリズム33は、板状部材10の第1主面11と第2主面12との間で繰り返し全反射した後の励起光を外部へ出力する。プリズム33は、入射面331および出射面332を有している。プリズム33は、板状部材10の第2主面12から入射面331に励起光を入力し、その励起光を出射面332から外部へ出力する。
【0022】
プリズム33の入射面331および出射面332それぞれには、励起光波長における反射率を低減するための低反射膜が形成されているのが好ましい。板状部材10の第2主面12とプリズム33の入射面331とは互いに密着しているのが好ましく、また、板状部材10およびプリズム33それぞれの材料と同程度の屈折率を有するマッチングオイルが両者の間に充填されているのが好ましい。また、板状部材10とプリズム33とが一体化されているのも好ましい。このようにすることにより、プリズム33は、板状部材10の第2主面12から出力された励起光を外部へ高効率に導くことができる。
【0023】
検出用レンズ41~43それぞれは、板状部材10の第1主面11における励起光の全反射箇所に対応して板状部材10の第2主面12の側に設けられ、励起光のエバネセント波により励起された測定対象物8で発生する蛍光を入力して結像する。光ファイバ51~53それぞれは、石英ガラスからなり、第1端面に入力した蛍光を導波して、その蛍光を第2端面から外部へ出力する。光ファイバ51~53それぞれは、1つのコアを有するものであってもよいし、複数のコアを有していてイメージを伝送することができるイメージングファイバであってもよい。検出用レンズ41~43それぞれの焦点距離は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。検出用レンズ41~43それぞれの焦点距離が異なっている場合、それに応じて光ファイバ51~54それぞれの第1端面の位置も異なり、光学倍率を変えることができる。
【0024】
光ファイバ51は、検出用レンズ41に対応して設けられ、第1端面511および第2端面512を有し、その第1端面511が検出用レンズ41による蛍光の結像位置に配置されている。光ファイバ52は、検出用レンズ42に対応して設けられ、第1端面521および第2端面522を有し、その第1端面521が検出用レンズ42による蛍光の結像位置に配置されている。また、光ファイバ53は、検出用レンズ43に対応して設けられ、第1端面531および第2端面532を有し、その第1端面531が検出用レンズ43による蛍光の結像位置に配置されている。光ファイバ51~53それぞれの第2端面512,522,532は、共通平面上に配置されている。
【0025】
検出用レンズ41は、板状部材10の第2主面12と光ファイバ51の第1端面511との間の空間に配置されていてもよく、板状部材10と一体化されていてもよく、別途に製造された上で板状部材10の第2主面12に固定されていてもよく、また、光ファイバ51の第1端面511の側に固定されていてもよい。板状部材10の第2主面12または光ファイバ51の第1端面511の側に検出用レンズ41が固定または一体化されていれば、取扱が容易である。検出用レンズ42,43についても同様である。
【0026】
fθレンズ61は、走査光学系として作用し、その前焦点面に光ファイバ51~53それぞれの第2端面が位置していて、光ファイバ51~53それぞれの第2端面から出力される光を入力し、その光をコリメートしてミラー62へ出力する。ミラー62は、反射面の方位が可変であり、光ファイバ51~53のうち選択された光ファイバの第2端面から出力されてfθレンズ61によりコリメートされた光を所定方向へ反射させる。ミラー62の反射面の方位が適宜に調整されることにより、光ファイバ51~53のうち何れかの光ファイバの第2端面から出力されてfθレンズ61によりコリメートされた光は、ミラー62により所定方向へ反射される。
【0027】
ビームスプリッタ63は、ミラー62により所定方向へ反射された光を検出部70へ導き、第2励起光源部80から出力される励起光を所定方向に沿ってミラー62へ入射させる。ビームスプリッタ63は、蛍光を反射させる一方で励起光を透過させるダイクロイックミラーであってもよい。検出部70は、ミラー62により所定方向へ反射されてビームスプリッタ63により導かれた光を検出する。光ファイバ51~53それぞれがイメージングファイバであるときには、検出部70は、イメージングファイバ51~53のうち何れかの光ファイバにより伝送された光の像を撮像する。第2励起光源部80は、測定対象物8に含まれる蛍光色素を励起し得る波長の励起光を出力するものであり、好適にはレーザ光源を含む。
【0028】
以上のように構成される本実施形態に係る蛍光測定装置1は以下のように動作する。板状部材10の第1主面11上に設けられた隔壁13により区分された複数の区画それぞれにおいて、蛍光色素で蛍光標識された測定対象物8が溶液9に浸漬されて配置される。この測定対象物8に含まれる蛍光色素を励起し得る波長の励起光が第1励起光源部20から出力される。この励起光は、レンズ系31によりビーム断面形状が整形されて、プリズム32の入射面321に入力される。
【0029】
プリズム32の入射面321に入力された励起光は、プリズム32の反射面322により反射され、プリズム32の出射面323を経て、板状部材10の第2主面12から板状部材10内へ導かれる。プリズム32から板状部材10内へ導かれた励起光は、板状部材10の第1主面11と第2主面12との間で繰り返し全反射される。そして、この繰り返し全反射した後の励起光は、板状部材10の第2主面12から、プリズム33の入射面331および出射面332を経て、外部へ出力される。
【0030】
板状部材10の第1主面11の複数箇所それぞれにおいて励起光が全反射される際に、その全反射により板状部材10の第1主面11の上に励起光のエバネセント波が生じる。この励起光のエバネセント波により、板状部材10の第1主面11の付近にある測定対象物8の部分が選択的に励起され、その励起された部分から蛍光が発生する。
【0031】
励起光のエバネセント波により励起された測定対象物8で発生する蛍光は、板状部材10の第1主面11における全反射箇所に対応して第2主面12の側に設けられた検出用レンズ41~43により、光ファイバ51~53の第1端面に結像される。測定対象物8で発生して検出用レンズ41により光ファイバ51の第1端面511に結像された蛍光は、光ファイバ51により導波されて、光ファイバ51の第2端面512から外部へ出力される。測定対象物8で発生して検出用レンズ42により光ファイバ52の第1端面521に結像された蛍光は、光ファイバ52により導波されて、光ファイバ53の第2端面522から外部へ出力される。また、測定対象物8で発生して検出用レンズ43により光ファイバ53の第1端面531に結像された蛍光は、光ファイバ53により導波されて、光ファイバ54の第2端面532から外部へ出力される。
【0032】
光ファイバ51~53それぞれの第2端面から出力された蛍光は、fθレンズ61によりコリメートされた後、ミラー62により反射される。ミラー62の反射面の方位は可変であり、その方位に応じて、光ファイバ51~53のうち何れかの光ファイバの第2端面から出力されてfθレンズ61によりコリメートされた蛍光は、ミラー62により所定方向へ反射される。ミラー62により所定方向へ反射された蛍光は、ビームスプリッタ63により検出部70へ導かれて、検出部70により検出される。また、光ファイバ51~53それぞれがイメージングファイバであるときには、イメージングファイバ51~53のうち何れかの光ファイバにより伝送された蛍光の像が検出部70により撮像される。
【0033】
本実施形態では、ミラー62の反射面の方位が適宜に調整されることにより、光ファイバ51~53のうち選択された光ファイバの第2端面から出力されてfθレンズ61によりコリメートされた蛍光が、ミラー62により所定方向へ反射されて、検出部70により検出される。したがって、ミラー62の反射面の方位が順次に変更されることにより、板状部材10の第1主面11における複数の全反射箇所それぞれにおいて測定対象物8で発生した蛍光は検出部70により順次に検出される。
【0034】
ここで、比較例として、測定対象物を載せた状態で透明体をステージ移動させることにより、測定対象物の複数箇所の部分で生じる蛍光を検出する場合を想定する。この比較例では、ステージ移動に時間を要することから、測定対象物の複数箇所の部分それぞれの観察タイミングが異なってしまい、測定対象物の複数箇所の部分の間で対比観察することが困難となる。また、比較例では、測定対象物である生細胞が移動により悪影響を受け、生細胞の有意な観察をすることが困難となる場合がある。
【0035】
これに対して、本実施形態では、ミラー62の反射面を変更するだけでよく、その方位変更を高速に行うことが可能であるので、励起光のエバネセント波で励起された測定対象物8の複数箇所の部分から生じる蛍光を略同一タイミングで検出することができる。また、本実施形態では、測定対象物で生細胞である場合に、その生細胞の標本が移動により悪影響を受けることがなく、生細胞の有意な観察をすることが可能となる。
【0036】
さらに、本実施形態に係る蛍光測定装置1は、第2励起光源部80を用いて以下のように動作することも可能である。すなわち、測定対象物8に含まれる蛍光色素を励起し得る波長の励起光が第2励起光源部80から出力される。この励起光は、ビームスプリッタ63を経て所定方向に沿ってミラー62に入射されて該ミラー62により反射され、ミラー62の反射面の方位に応じて、光ファイバ51~53のうち何れかの光ファイバの第2端面に入射される。したがって、光ファイバ51~53のうち何れかの光ファイバにより励起光が導波され、その導波された励起光は、該光ファイバの第1端面から外部へ出力され、検出用レンズ41~43のうちの該光ファイバに対応する検出用レンズにより集光されて測定対象物8に照射される。この励起光により励起された測定対象物8で発生する蛍光は、励起光の光路に対して逆方向の光路を辿ってビームスプリッタ63に達し、ビームスプリッタ63により検出部70へ導かれて、検出部70により検出される。
【0037】
このように第2励起光源部80が用いられる場合には、測定対象物8に対して励起光が集光照射され、これに伴い発生した蛍光が検出される。また、光ファイバ51~53それぞれの第1端面における励起光出力位置(すなわち蛍光入力位置)と、測定対象物8における励起光集光位置(すなわち蛍光発生位置)とは、共焦点関係にある。したがって、共焦点像の取得が可能である。また、第2励起光源部80が用いられる場合にも、ミラー62の反射面を変更するだけでよく、その方位変更を高速に行うことが可能であるので、励起光で励起された測定対象物の複数箇所の部分から生じる蛍光を略同一タイミングで検出することができる。
【0038】
なお、第1励起光源部20および第2励起光源部80は、同時に励起光を出力してもよく、或いは、交互に励起光を出力してもよい。また、第1励起光源部20および第2励起光源部80は、互いに同一の波長の励起光を出力してもよく、或いは、互いに異なる波長の励起光を出力してもよい。例えば、測定対象物8を2種類の蛍光色素で蛍光標識しておき、一方の蛍光色素を励起し得る波長λ20の励起光を第1励起光源部20から出力し、他方の蛍光色素を励起し得る波長λ80の励起光を第2励起光源部80から出力してもよい。また、このとき、第1励起光源部20および第2励起光源部80が互いに異なる波長λ20,λ80の励起光を交互に出力してもよい。このようにすることにより、測定対象物8について多様な観察が可能になる。
【0039】
図2は、本実施形態に係る蛍光測定装置1において用いられる隔壁13Aが設けられた板状部材10の斜視図である。この図中の隔壁13Aは、図1中の隔壁13に相当するものである。この図に示される板状部材10では、第1主面11の上に設けられた隔壁13Aにより、一次元配列された3つの矩形の区画14~14に測定対象物8が区分される。3つの区画14~14それぞれにおいて、第1主面11で励起光が全反射され、その全反射箇所に対応して第2主面12の側に検出用レンズが設けられる。
【0040】
図3は、本実施形態に係る蛍光測定装置1において用いられる隔壁13Bが設けられた板状部材10の斜視図である。この図中の隔壁13Bは、図1中の隔壁13に相当するものである。この図に示される板状部材10では、第1主面11の上に設けられた隔壁13Bにより、ニ次元配列された9つの矩形の区画141,1~143,3に測定対象物8が区分される。9つの区画141,1~143,3それぞれにおいて、第1主面11で励起光が全反射され、その全反射箇所に対応して第2主面12の側に検出用レンズが設けられる。
【0041】
図1~図3に示されるように板状部材10の第1主面11の上に設けられた隔壁13(13A,13B)により測定対象物8が複数の区画に区分されることにより、以下のような観察が可能となる。複数の区画それぞれに容れられる測定対象物8は、互いに異なる種類のものであってもよく、互いに異なる条件で調整されたものであってもよく、互いに異なる蛍光色素で標識されていてもよく、また、互いに異なる溶液9に浸漬されていてもよい。例えば、図3に示されたような隔壁13Bが設けられた板状部材10が用いられる場合に、条件Xで調整された測定対象物8が区画14m,nに容れられてもよく、蛍光色素Yで標識された測定対象物8が区画14m,nに容れられてもよく、また、測定対象物8が溶液9に浸漬されて区画14m,nに容れられてもよい。ただし、m,nは1以上3以下の整数である。このようにすることにより、測定対象物8について多様な観察が可能になる。
【0042】
図4は、本実施形態に係る蛍光測定装置1において用いられる第1励起光源部20およびレンズ系31の一構成例を示す図である。同図(a)は平面図であり、同図(b)は側面図である。この図に示される構成例では、レンズ系31は、ビームエキスパンダ311,シリンドリカルレンズ312およびシリンドリカルレンズ313を含む。ビームエキスパンダ311は、第1励起光源部20から出力される励起光を入力し、その励起光のビーム径を大きくした後、その励起光をシリンドリカルレンズ312へ出力する。シリンドリカルレンズ312,313は、一方向についてのみ集光作用を有する。このように構成されるレンズ系31を含む励起光学系30は、第1励起光源部20から出力された励起光を板状部材10の第1主面11に平行な方向に拡幅して、その励起光を板状部材10内に導くことができる。また、この場合、検出用レンズは、板状部材10の第1主面11における各全反射箇所に対応して複数個設けられていてもよい。
【0043】
図5は、本実施形態に係る蛍光測定装置1において用いられる第1励起光源部20およびレンズ系31の他の構成例を示す平面図である。この図に示される構成例では、第1励起光源部20は、波長λ21の励起光を出力する光源20、波長λ22の励起光を出力する光源20、および、波長λ23の励起光を出力する光源20を含む。波長λ21~λ23は互いに異なる。また、レンズ系31は、光源20から出力される波長λ21の励起光をプリズム32へ導くレンズ系31、光源20から出力される波長λ22の励起光をプリズム32へ導くレンズ系31、および、光源20から出力される波長λ23の励起光をプリズム32へ導くレンズ系31を含む。レンズ系31~31それぞれは、図4に示された構成を有していてもよい。このように構成される場合、第1励起光源部20は複数波長の励起光を出力し、励起光学系30は、第1励起光源部20から出力される複数波長の励起光を板状部材10内に導くことができる。また、この場合、検出用レンズは、板状部材10の第1主面11における複数波長の励起光ぞれぞれの全反射箇所に対応して設けられていてもよい。
【0044】
図2,図3に示された隔壁13A,13Bが設けられた板状部材10の構成と、図4,図5に示された第1励起光源部20およびレンズ系31の構成とを組み合わせると、測定対象物8について更に多様な観察が可能になる。例えば、図3に示されたような隔壁13Bが設けられた板状部材10が用いられる場合に、条件Xで調整された測定対象物8が区画14m,nに容れられて、図4に示されるレンズ系31により第1主面11に平行な方向に拡幅された励起光が板状部材10に導入されて、その励起光が第1主面11の9つの区画141,1~143,3それぞれにおいて全反射するようにしてもよい。また、図3に示されたような隔壁13Bが設けられた板状部材10が用いられる場合に、蛍光色素Yで標識された測定対象物8が区画14m,nに容れられて、蛍光色素Yを励起し得る波長λの蛍光が第1主面11の区画14m,nにおいて全反射するようにしてもよい。ただし、m,nは1以上3以下の整数である。
【0045】
更に、本実施形態に係る蛍光測定装置1を用いれば、以下のような観察も可能である。図6は、本実施形態に係る蛍光測定装置1の動作の一例を説明するタイミングチャートである。第1励起光源部20は、断続的に励起光を出力する。すなわち、第1励起光源部20から励起光が出力されている期間T1と、第1励起光源部20から励起光が出力されていない期間T2とが、交互に存在する。
【0046】
検出部70は、第1励起光源部20から励起光が出力されている各期間T1に、ミラー62の反射面の方位の走査により、励起光のエバネセント波により励起された測定対象物8の複数箇所の部分から生じる蛍光を略同一タイミングで検出する。また、検出部70は、第1励起光源部20から励起光が出力されていない各期間T2に、ミラー62の反射面の方位の走査により、測定対象物8の複数箇所の部分から生じる化学発光を検出する。この場合における測定対象物8は、励起光照射により蛍光を発するとともに、化学発光をも発するものであって、例えば、カルシウム蛍光指示薬fluo-3で処理され更に化学発光試薬CLAが添加された細胞である。
【0047】
化学発光を検出する為の光学系は、蛍光を検出する為の光学系と共通である。光ファイバ51~53それぞれの第1端面位置と測定対象物8における観察位置とが共焦点関係にあることから、測定対象物8における共通の観察位置で発生する蛍光および化学発光を検出することができる。また、ミラー62の反射面の方位変更を高速に行うことが可能であるので、励起光のエバネセント波で励起された測定対象物8の複数箇所の部分から生じる蛍光を略同一タイミングで検出することができるだけでなく、これら測定対象物8の複数箇所の部分から生じる化学発光をも略同一タイミングで検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本実施形態に係る蛍光測定装置1の構成図である。
【図2】本実施形態に係る蛍光測定装置1において用いられる隔壁13Aが設けられた板状部材10の斜視図である。
【図3】本実施形態に係る蛍光測定装置1において用いられる隔壁13Bが設けられた板状部材10の斜視図である。
【図4】本実施形態に係る蛍光測定装置1において用いられる第1励起光源部20およびレンズ系31の一構成例を示す図である。
【図5】本実施形態に係る蛍光測定装置1において用いられる第1励起光源部20およびレンズ系31の他の構成例を示す平面図である。
【図6】本実施形態に係る蛍光測定装置1の動作の一例を説明するタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0049】
1…蛍光測定装置、10…板状部材、11…第1主面、12…第2主面、13…隔壁、20…第1励起光源部、30…励起光学系、31…レンズ系、32…プリズム、33…プリズム、41~43…検出用レンズ、51~53…光ファイバ、61…fθレンズ、62…ミラー、63…ビームスプリッタ、70…検出部、80…第2励起光源部。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5