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明細書 :殺菌方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4967126号 (P4967126)
公開番号 特開2008-154705 (P2008-154705A)
登録日 平成24年4月13日(2012.4.13)
発行日 平成24年7月4日(2012.7.4)
公開日 平成20年7月10日(2008.7.10)
発明の名称または考案の名称 殺菌方法
国際特許分類 A61L   9/16        (2006.01)
FI A61L 9/16 Z
請求項の数または発明の数 2
全頁数 8
出願番号 特願2006-345317 (P2006-345317)
出願日 平成18年12月22日(2006.12.22)
審査請求日 平成21年9月28日(2009.9.28)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304036743
【氏名又は名称】国立大学法人宇都宮大学
発明者または考案者 【氏名】長澤 武
個別代理人の代理人 【識別番号】100077827、【弁理士】、【氏名又は名称】鈴木 弘男
審査官 【審査官】三崎 仁
参考文献・文献 特開2003-275578(JP,A)
特開平04-009159(JP,A)
特開平07-148407(JP,A)
特開2002-336653(JP,A)
特開2006-255690(JP,A)
調査した分野 A61L9/00-9/22
A61L2/00-2/28,11/00
特許請求の範囲 【請求項1】
金属を格子状に形成した第1の電極と、
片側の面が前記第1の電極に接し、所定の厚さを有し、該厚さ方向に貫通する貫通孔を有するプレートと、
前記プレートの、前記第1の電極とは違う面に接する、金属を格子状に形成した第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間に所定電圧を印加する電源部と、
を備えたエアフィルタに対し、
前記貫通孔内の電界強度が、前記第1の電極と前記第2の電極との間で放電を生じる電界強度未満で、且つ殺菌に必要な電界強度以上となる電圧を、前記第1の電極と前記第2の電極との間に印加する
ことを特徴とする殺菌方法。
【請求項2】
前記第1の電極および前記第2の電極が銅、金及び銀から選ばれるものであることを特徴とする請求項1に記載の殺菌方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明はエアフィルタに関し、特に殺菌を行うことができるエアフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、空気中の不要物を除去するためエアフィルタが用いられている。たとえば特許文献1には、濾材を配置し、この濾材によって空気中の不要物の通過を阻止する構成が開示されている。
【0003】

【特許文献1】特開2006-281097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、特許文献1に記載のエアフィルタでは、濾材を配置し、その目の細かさによって濾材に不要物を留めるものであって、空気中の除去すべき不要物はそのまま存在し続ける。
【0005】
このため、空気中の除去すべき不要物が細菌などの生物である場合には、フィルタ上でそのまま生息し続けることとなってしまい、従来のエアフィルタでは衛生上の問題があった。
【0006】
また、殺菌にプラズマや放電を用いるようにした場合には、高電圧を必要とし、感電の危険性、オゾンの発生による人体への悪影響等があり、また、装置が大掛かりで経済的に問題があった。
【0007】
本発明は上記の点にかんがみてなされたもので、簡単な構成で確実な殺菌を行うことができるエアフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するため、金属を格子状に形成した第1の電極と、片側の面が前記第1の電極に接し、所定の厚さを有し、該厚さ方向に貫通する貫通孔を有するプレートと、前記プレートの、前記第1の電極とは違う面に接する、金属を格子状に形成した第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間に所定電圧を印加する電源部とを備えたことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、請求項1に記載の発明において、前記貫通孔内の電界強度が、前記第1の電極と前記第2の電極との間で放電を生じる電界強度未満で、且つ殺菌に必要な電界強度以上であることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、請求項1に記載の発明において、前記第1の電極および前記第2の電極がイオンによる殺菌作用のある金属であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡単な構成で確実な殺菌を行うことができるエアフィルタを提供することができる。
【0012】
また、本発明によれば、ほとんど電力を消費することなく空気殺菌をすることができるという効果を奏することができる。
【0013】
また、本発明によれば、強電界および銅などのイオンによる2つの殺菌作用を重畳させた殺菌装置を提供することができる。
【0014】
また、本発明によれば、電流が微量であるため、人体に安全であり、感電の危険性が少ない。
【0015】
また、本発明によれば、軽量で簡単な構成であり、装置の製作が簡単であるし、材料費が安く、制作費が安価で済む。
【0016】
また、本発明によれば、電源として1.5Vの乾電池などを用いることができ、携帯可能なサイズを実現でき、人間用のマスクとして利用し、ウィルス(インフルエンザウィルス、鳥インフルエンザウイルス、SARSウイルス等を含む)、各種細菌等の殺菌、花粉除去用などとして用いることができる。
【0017】
また、本発明によれば、O-157、レジオネラ菌、ブドウ菌、連鎖球菌、かび等の多くの種類の菌を殺菌することができ、広い用途に用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施の形態によるエアフィルタの構成を示す概略斜視図である。
【0020】
図2は、図1に示したエアフィルタのII-II断面図である。
【0021】
本実施の形態のエアフィルタ1は、図1に示すように、フィルタ部2と電源部3とを有して構成される。
【0022】
フィルタ部2は、第1の電極4と第2の電極6とでプレート5を挟んで成り、第1の電極4と第2の電極6とは接触することなく対向して設けられている。
【0023】
第1の電極4および第2の電極6は、たとえば銅製の針金を格子状に編んで形成される。この第1の電極4および第2の電極6は、たとえば162[メッシュ/インチ]程度の細かさでメッシュが形成される。第1の電極4および第2の電極6の材質としては、銅以外にも、金や銀などのイオンによる殺菌作用のある金属を用いることができる。
【0024】
プレート5は、絶縁物から成り、全面にわたって貫通孔5aが設けられている。プレート5の厚さDはたとえば0.1mmである。このプレート5としては、基板やゴム板や布など絶縁物であればあらゆる物を用いることができ、第1の電極4、第2の電極6、プレート5のいずれもが可撓性を有し、任意の形状を成すことができるので、エアフィルタ1を設置する場所に応じて様々な形状のフィルタ部2とすることができる。
【0025】
図3は、図1に示したエアフィルタ1の電源部3の構成を示すブロック図である。
【0026】
電源部3は、たとえば1.5Vの乾電池3cを内蔵し、スイッチ3dを介してこれを昇圧装置3eによって300[V]に昇圧して出力する。昇圧装置3eとしてはたとえばイグナイターを用いることができる。昇圧装置3eによって300[V]に昇圧した出力電圧Vdは端子3b、3aを介して第1の電極4と第2の電極6との間に印加される。ただし、この印加電圧は、第1の電極4と第2の電極6との間で放電を生じない程度の電圧である。
【0027】
プレート5の貫通孔5aにおける電界強度Eは、第1の電極4と第2の電極6との間の電圧Vdと、プレート5の厚さすなわち第1の電極4と第2の電極6との間の距離Dとを用いて、数1で表される。
【0028】
【数1】
JP0004967126B2_000002t.gif
数1に示されるように、本実施の形態のエアフィルタ1では、Vd=300[V]であり、D=0.1[mm]であるので、プレート5の貫通孔5aにおける電界強度Eが30[kV/cm]となり、殺菌に必要な電界強度として知られている10[kV/cm]を越え、十分な殺菌能力を有する。
【0029】
本発明における電極間の電圧や電極間の距離は、上述のものに限られるものではなく、電界強度Eが5[kV/cm]を超えるものであればよく、好ましくは、殺菌に必要な電界強度として知られている10[kV/cm]を越えるように数2によって算出されるものであれば、どのような値であってもかまわない。
【0030】
【数2】
JP0004967126B2_000003t.gif
すなわち、本発明によるエアフィルタは、それを用いる箇所に収納可能なサイズになるように電極間の距離を定め、その電極間の距離を数2に適用して電極間の電圧を定めるようにすればよい。
【0031】
また、新種の細菌など、殺菌対象の細菌の死滅する電界強度が10[kV/cm]よりも高いような場合には、その殺菌に必要な電極間の距離および電極間の電圧を定めるようにすればよい。
【0032】
また本発明は、用途、目的に併せて、数2を満たす範囲で電極間の距離Dや電極間の電圧Vdを変更することが可能であり、たとえばDについては、マスク等に使用する場合には0.1mmのものから10mmのものが使用可能であり、クリーンルームや殺菌室の場合には10m程度のものが好ましい。
【0033】
図4は、図1に示したエアフィルタ1の電界による殺菌の原理を説明する部分断面拡大図である。
【0034】
上述のように、プレート5の貫通孔5aにおいて、第1の電極4と第2の電極6との間には30[kV/cm]程度の電界が生じており、貫通孔5a内に流入した空気に含まれる菌71は、菌71内で電圧が誘起され、菌71内でスパーク放電が生じる。このスパーク放電によって菌71は破壊され、死滅する。
【0035】
次に、第1の電極4および第2の電極6として銅を用いる効果について説明する。
【0036】
図5は、図1に示したエアフィルタ1の銅イオンによる殺菌の原理を説明する部分断面拡大図である。
【0037】
空気中の水分子(HO)は、電界(E)中で分極電荷(polarization charge)となる。空気中のバクテリアなどの菌は、その菌に付着している水分子の分極電荷の静電力によって銅メッシュ(第1の電極4や第2の電極6)に付着する。
【0038】
この付着状態で、水分子は銅メッシュから銅イオン(Cu++)を溶出する。溶出された銅イオンは、水分子に付着していた菌や、単独で銅メッシュ(第1の電極4や第2の電極6)に付着していた菌を破壊し、死滅させる。
【0039】
図6は、本発明の図1とは別の実施の形態によるエアフィルタの構成を示す概略断面図である。
【0040】
図1に示した実施の形態では、第1の電極4と第2の電極6との間にプレート5を設けて、貫通孔5aという殺菌エリアを設けたが、本発明はこれに限られるものではなく、空気が複数の殺菌エリアを通過する構成とすることもできる。
【0041】
たとえば図6に示す構成では、フィルタ部12は、第1の電極14と第2の電極16とでプレート15を挟み、第2の電極16と第3の電極18とでプレート17を挟み、第3の電極18と第4の電極20とでプレート19を挟んで成る。
【0042】
各電極14、16、18、20のそれぞれには、図6に示すように電源部13からの高電圧が供給され、プレート15の貫通孔15a、プレート17の貫通孔17aおよびプレート19の貫通孔19aにて、前述の貫通孔5aと同様の殺菌効果が得られる。
【0043】
この実施の形態では、空気は、貫通孔15a、貫通孔17aおよび貫通孔19aという3つの殺菌エリアを通過することになり、より高い殺菌効果が得られる。
【0044】
以上説明したように本発明は、電源を小型の乾電池とイグナイター程度で構成することができるので、非常に小型で、携帯することもできる。
【0045】
また、本発明は、第1の電極と第2の電極とのように対向する電極間に電流が流れないので、消費電力はほとんどなく、経済的である。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明によるエアフィルタは、空気中の殺菌を要するあらゆる用途に適用することができ、たとえば、人間や動物の呼吸に要する空気を殺菌するマスクや、エアコン、掃除機、扇風機、送風機等の吹出し空気の殺菌や、無菌室や冷蔵庫庫内等の個別エリア内の殺菌等に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の一実施の形態によるエアフィルタの構成を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示したエアフィルタのII-II断面図である。
【図3】図1に示したエアフィルタの電源部の構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示したエアフィルタの電界による殺菌の原理を説明する部分断面拡大図である。
【図5】図1に示したエアフィルタの銅イオンによる殺菌の原理を説明する部分断面拡大図である。
【図6】本発明の図1とは別の実施の形態によるエアフィルタの構成を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 エアフィルタ
2 フィルタ部
3 電源部
3a、3b 端子
4 第1の電極
5 プレート
5a 貫通孔
6 第2の電極
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5