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明細書 :可逆圧縮用符号化システム、情報記録媒体及び印刷媒体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4893892号 (P4893892)
公開番号 特開2009-141457 (P2009-141457A)
登録日 平成24年1月6日(2012.1.6)
発行日 平成24年3月7日(2012.3.7)
公開日 平成21年6月25日(2009.6.25)
発明の名称または考案の名称 可逆圧縮用符号化システム、情報記録媒体及び印刷媒体
国際特許分類 H03M   7/40        (2006.01)
H03M   7/36        (2006.01)
G10L  19/00        (2006.01)
FI H03M 7/40
H03M 7/36
G10L 19/00 220D
請求項の数または発明の数 6
全頁数 13
出願番号 特願2007-313105 (P2007-313105)
出願日 平成19年12月4日(2007.12.4)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 発行者 湖東 俊彦 刊行物名 FIT2007 第6回情報科学技術フォーラム 情報科学技術レターズ 2007 第6巻 発行年月日 2007年8月22日
審査請求日 平成22年11月12日(2010.11.12)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504155293
【氏名又は名称】国立大学法人島根大学
発明者または考案者 【氏名】六井 淳
個別代理人の代理人 【識別番号】100081673、【弁理士】、【氏名又は名称】河野 誠
【識別番号】100141483、【弁理士】、【氏名又は名称】河野 生吾
審査官 【審査官】北村 智彦
参考文献・文献 国際公開第2006/019117(WO,A1)
特表2007-531012(JP,A)
特開2000-214889(JP,A)
特開2004-141352(JP,A)
特開2007-286146(JP,A)
調査した分野 H03M3/00-11/00
G10L 19/00
特許請求の範囲 【請求項1】
複数のチャンネルにより構成される入力信号に基づいてチャネル毎に生成された被処理データが格納されるメモリ(3)と、該メモリ(3)から読み込まれる前記被処理データから可能な限り多くの対を生成する対生成手段(27)と、対生成手段(27)によって対にされた各2つの被処理データの差分データを生成して前記メモリ(3)に格納する差分データ生成手段(28)と、全ての被処理データ及び差分データをエントロピー符号化してメモリに格納する符号化手段(22)と、被処理データ及び差分データからもとの全ての被処理データが算出可能なように圧縮率の高いデータを選択するデータ選択手段(23)とを備え、データ選択手段(23)により選択されたデータに基づいて圧縮データを生成する可逆圧縮用符号化システムにおいて、入力信号が3以上のチャンネルにより構成され、親ノードが対の子ノードを有し且つ親ノードを構成するデータが対の子ノードを構成する2つのデータの差分データであるとともに子ノードを有さない最下層ノードを構成するデータが上記被処理データであるバイナリーツリー構造データを生成して前記メモリ(3)に格納する木構造データ生成手段(21)を設け、符号化手段(22)がバイナリーツリー構造データのノードを構成する全てのデータに対してエントロピー符号化を行い、データ選択手段(23)が、バイナリーツリー構造データのリンク情報を用いて全ての被処理データが算出可能なように、バイナリーツリー構造データのノードを構成する全てのデータからエントロピー符号化による圧縮率の高いデータを選択する可逆圧縮用符号化システム。
【請求項2】
入力信号が8以上のチャンネルにより構成される請求項1の可逆圧縮用符号化システム。
【請求項3】
入力信号が16以下のチャンネルにより構成される請求項2の可逆圧縮用符号化システム。
【請求項4】
被処理データ及び差分データがベクトルデータ生成手段(18)により生成されたベクトルデータであり、ベクトル類似度を算出する類似度算出手段(26)を設け、対生成手段(27)がベクトル類似度の高いベクトルデータ同士により対を生成する請求項1,2又は3の可逆圧縮用符号化システム。
【請求項5】
請求項1,2,3又は4の可逆圧縮用符号化システムによって符号化された圧縮データ記憶されてなる情報記録媒体
【請求項6】
請求項1,2,3又は4の可逆圧縮用符号化システムによって符号化された圧縮データに基づいて生成される画像が印刷されてなる印刷媒体
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
可逆圧縮用符号化システム及び情報媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のチャンネルにより構成される入力信号に基づいてチャンネル毎に生成された被処理データが格納されたメモリと、メモリにアクセス可能で各種演算処理を行う制御部と、該メモリから読み込まれる前記被処理データから可能な限り多くの対を生成する対生成手段と、対生成手段によって対にされた各2つの被処理データの差分データを生成して前記メモリに格納する差分データ生成手段と、全ての被処理データ及び差分データをエントロピー符号化してメモリに格納する符号化手段と、被処理データ及び差分データからもとの全ての被処理データが算出可能なように圧縮率の高いデータを選択するデータ選択手段とを備え、データ選択手段により選択されたデータに基づいて圧縮データを生成する可逆圧縮用符号化システム(可逆圧縮用符号化装置)が従来公知である(特許文献1、第11頁、図8a)。
【0003】
上記文献の可逆圧縮用符号化システムは、被処理データ及び差分データから圧縮率の高いデータを選択するデータ選択手段を備えているため、被処理データを単純にエントロピー符号化するよりも、高い圧縮率を得ることが可能である。

【特許文献1】特表2007-531012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記文献の可逆圧縮用符号化システムは、差分データ及びその差分データのもとになった2つの被処理データからなる3つのデータからエントロピー符号化による圧縮率の高い2つのデータを選択するため、差分データが選ばれないことも多く、その場合には、対を成形したり、差分データを生成したりする処理が余分な処理になり、圧縮率の面及び圧縮処理効率の面で、課題が残る。
本発明の上記課題を解決し、高速処理が可能であり且つ高い圧縮率が期待できる可逆圧縮用符号化システム、情報記録媒体及び印刷媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため本発明の可逆圧縮用符号化システムは、第1に複数のチャンネルにより構成される入力信号に基づいてチャネル毎に生成された被処理データが格納されるメモリ3と、該メモリ3から読み込まれる前記被処理データから可能な限り多くの対を生成する対生成手段27と、対生成手段27によって対にされた各2つの被処理データの差分データを生成して前記メモリ3に格納する差分データ生成手段28と、全ての被処理データ及び差分データをエントロピー符号化してメモリに格納する符号化手段22と、被処理データ及び差分データからもとの全ての被処理データが算出可能なように圧縮率の高いデータを選択するデータ選択手段23とを備え、データ選択手段23により選択されたデータに基づいて圧縮データを生成する可逆圧縮用符号化システムにおいて、入力信号が3以上のチャンネルにより構成され、親ノードが対の子ノードを有し且つ親ノードを構成するデータが対の子ノードを構成する2つのデータの差分データであるとともに子ノードを有さない最下層ノードを構成するデータが上記被処理データであるバイナリーツリー構造データを生成して前記メモリ3に格納する木構造データ生成手段21を設け、符号化手段22がバイナリーツリー構造データのノードを構成する全てのデータに対してエントロピー符号化を行い、データ選択手段23が、バイナリーツリー構造データのリンク情報を用いて全ての被処理データが算出可能なように、バイナリーツリー構造データのノードを構成する全てのデータからエントロピー符号化による圧縮率の高いデータを選択することを特徴としている。
【0006】
第2に、入力信号が8以上のチャンネルにより構成されることを特徴としている。
【0007】
第3に、入力信号が16以下のチャンネルにより構成されることを特徴としている。
【0008】
第4に、被処理データ及び差分データがベクトルデータ生成手段18により生成されたベクトルデータであり、ベクトル類似度を算出する類似度算出手段26を設け、対生成手段27がベクトル類似度の高いベクトルデータ同士により対を生成することを特徴としている。
【0009】
また、本発明の情報記録媒体は、上記可逆圧縮用符号化システムによって符号化された圧縮データ記憶されてなることを特徴としている。
【0010】
さらに、本発明の印刷媒体は、上記可逆圧縮用符号化システムによって符号化された圧縮データに基づいて生成される画像が印刷されてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
以上のように構成される本発明によれば、木構造データ生成手段によってバイナリーツリー構造データを生成して階層化を行うことにより、より多くの差分データを取得することができるため、圧縮の際の選択データ候補がより多くなり、圧縮率が高まるとともに、バイナリーツリー構造データの生成処理は、対を生成する処理とさほど手間が変わらないため、高速処理が可能である。くわえて、本発明により圧縮された圧縮データは、木構造データ生成手段により生成したバイナリーツリー構造データのリンク情報がないと復号化できないため、この圧縮データ自体が高いセキュリティーを有する。
【0012】
また、被処理データをベクトルデータとし、類似度算出手段によってベクトル類似度を算出して類似する被処理データ同士を対として差分データを生成することにより、エントロピー符号化による圧縮率をより高めることができる。
【0013】
さらに、圧縮されたデータによって画像を生成し、例えば、この画像を印刷した印刷媒体をスキャナー等で読み取ってデジタル信号に変換して復号化することにより、圧縮前のデータを取得することができる。このことにより、通信や既存の情報記録媒体(例えば、フロッピディスク、CD、DVD等)を用いることなく、画像を印刷した紙やその他の画像表示媒体等の情報媒体により、大容量の情報をやり取りし、圧縮データの復号化が可能であるため、利便性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、本発明を適用した符号化装置の構成を示す概略図である。符号化装置1(可逆圧縮用符号化装置,圧縮装置)は、可逆圧縮用符号化システムを搭載し、マイコン等で構成される制御部2(CPU)と、一時的なデータを格納するとともに制御部2から高速アクセス可能なメモリ3(RAM)と、情報を記憶する記憶部4(HDD)と、入力信号等が入力される入力部6と、出力信号等を出力する出力部7と、フロッピディスク8(情報記録媒体,情報媒体)やCD-ROM9(情報記録媒体,情報媒体)と記憶部4との情報にやり取りに用いる外部記録装置11と、紙媒体(印刷媒体,情報媒体)に文字や画像等を印刷する印刷機12(プリンター)とを備えている。
【0015】
図2は、本符号化装置が搭載した可逆圧縮用符号化システムの構成を示すブロック図である。本可逆圧縮用符号化システムは、連続したアナログ値で構成される入力信号を量子化されたデジタル値に変換する量子化部13と、量子化された入力信号(圧縮対象データ,デジタル入力信号)を符号化して圧縮処理を行う符号化部14とを備えている。
【0016】
そして、本可逆圧縮用符号化システムは、前述した入力部6からのアナログ入力信号が量子化部13に入力されるようになっている他、符号化部14で符号化された圧縮データが前述の出力部7を介して、出力信号として出力されるように構成されている。くわえて、記憶部4は圧縮対象データを記憶することができるように構成されている。これに対応して、符号化部14は、記憶部4に記憶された圧縮対象データを取得できるように構成されている他、エントロピー符号化して圧縮した圧縮データを記憶部4に記憶できるように構成されている。
【0017】
なお、前述したメモリ3は、量子化部13と符号化部14との情報のやり取り、符号化部14と出力部7との情報のやり取り等に用いられ、量子化部13、符号化部14で生成された情報を一時的に蓄え、次の段階で記憶部4、符号下部14、出力部7等によって読込まれる。同様にして、後述するデジタル入力信号、ベクトルデータ、残差ベクトルデータ、バイナリーツリー構造データ等も、これらのデータを生成した各種手段や各部によってメモリ3に格納され、次に処理を行う各種手段や各部によってメモリ3から読込まれる。
【0018】
図3(A)は音声データに関する入力信号の一例を示す図面であり、(B)は入力信号が分割される一例を示す図面である。例えば、入力部6から入力されるアナログ信号が音声信号である場合には、時間経過とともに振幅幅が変化していく。この場合に、時間経過を示す横軸上に等間隔にn個のシンボルに設置し、シンボル毎にアナログ入力波形の振幅を記憶することにより、アナログ信号の量子化を行う。ちなみに、量子化は上記手段に限定されるものではない。
【0019】
この際、アナログ入力信号の波形を正確に再現するためにシンボル間の間隔をある程度狭くする必要があるが、それによりシンボル数が多くなってしまう場合には、後述する分割手段17(図5参照)により、全てが同一シンボル数(図示する例ではn個)になるように入力信号を複数に分割(フレーム分割)する。この分割された信号毎に一のチャンネルを割り当てる。すなわち、同図に示す例では、入力信号が3チャンネルにより構成される多チャンネル信号になる。
【0020】
図4は、画像データに関する入力信号の一例を示す図面である。画像データは、画像が描かれた仮想的な平面上にあり且つ互いが直交するx軸とy軸を定義した場合、x軸上を変位することによって振幅が変化する入力信号及びy軸上を変位することによって振幅が変化する入力信号によって、表現することが可能である。すなわち、画像データは、分割手段17により分割する前から2つのチャンネルにより構成されるアナログ入力信号により表すことが可能である。
【0021】
この入力信号は、前述した音声データと同様の手段により、チャンネル毎にn個のシンボルを有するデジタル入力信号に量子化される。この際、2つの各チャンネルのシンボル数を減らすために、それぞれを分割手段によりさらに複数の分割してもよい。なお、この際も、全てのチャンネルのシンボル数が同じになるように、フレーム分割及び量子化を行う。
【0022】
図5は、符号化部の構成を示すブロック図である。符号化部14は、記憶部4又は量子化部13からデジタル入力信号を取得するデータ取得手段16と、デジタル入力信号を必要に応じてフレーム分割する分割手段17と、分割手段17から渡されるデジタル入力信号のチャンネル毎にベクトルデータを生成するベクトルデータ生成手段18と、ベクトルデータ生成手段18によりチャンネル毎に生成したベクトルデータから線形予測分析19に基づいて残差ベクトルデータ(残差信号,被処理データ)を生成する残差ベクトルデータ生成手段20(残差信号生成手段)と、チャンネル毎に生成された残差ベクトルからバイナリーツリー構造データを生成する木構造データ生成手段21と、エントロピー符号化を行う符号化手段22と、バイナリーツリー構造データから圧縮データ用のデータ選択を行うデータ選択手段23と、データ選択手段23によるデータ選択に基づき圧縮データを生成して出力するデータ出力手段24とを備えている。
【0023】
上記分割手段17は、デジタル入力信号を必要に応じて複数に分割する。具体的には、デジタル入力信号が3以上の同数シンボルを有するチャンネルにより構成されるように、分割手段17によるデジタル入力信号の処理を行う。なお、分割手段17による処理を経た最終的な入力信号のチャンネル数は、後述する実験結果により8~16個が好ましい(図9参照)。
【0024】
上記ベクトルデータ生成手段18では、デジタル入力信号に基づいて、チャンネル毎にベクトルデータを生成する。デジタル入力信号はチャンネル毎にn個のデータにより構成されるため、これをn次元のベクトルとみなし、具体的には以下の式で表される。なお、下記式のx,x2,・・・,xnがn個のシンボル毎の値に対応になっている。
【0025】
【数1】
JP0004893892B2_000002t.gif

【0026】
上記残差ベクトルデータ生成手段20は、線形予測分析19により、ベクトルデータ生成手段18で生成したベクトルデータから、残差ベクトルデータを求める。線形予測分析19は、過去に入力されたデータにより、現在及び未来のデータ値を予測して、出力する手法であり、過去のp個のサンプルによって、以下の式で表される。
【0027】
【数2】
JP0004893892B2_000003t.gif

【0028】
ここで、a,a,・・・,aは、線形予想によって得られ、伝送のために量子化された予測係数で、「・」は整数化を表している。そして、残差ベクトルデータeは以下の式により求められる。
【0029】
【数3】
JP0004893892B2_000004t.gif

【0030】
このチャンネル毎に求められる残差ベクトルデータeは、成分毎(シンボル毎)の偏りが大きく、符号化手段22によりエントロピー符号化をした際の圧縮率が高くなる。
【0031】
上記木構造データ生成手段21は、チャンネル毎に求められた残差ベクトルデータからバイナリーツリー構造データを生成するように構成されており、類似度(ベクトル類似度)を算出する類似度算出手段26(ベクトル類似度算出手段)と、複数の残差ベクトルデータからベクトル類似度の高い対を生成する対生成手段27と、対にされたデータの差分データを算出する差分データ生成手段と28とを備えている。
【0032】
類似度算出手段26は、2つのベクトルx=[x,x,・・・,x],y=[y,y,・・・,y]の類似度は、2つのベクトルx,yのなす角θが小さければ小さいほど高いものとみなされ、なす角θは以下の式から求められる。下記式を利用することにより、少ない計算量で2つのベクトルx,yの類似度が算出できる。
【0033】
【数4】
JP0004893892B2_000005t.gif

【0034】
対生成手段27が、上記式に基づいて算出された各残差ベクトルデータ間のベクトル類似度に基づいて、類似度が高い残差ベクトルデータ同士を選び、できるだけ多くの対を生成する。
【0035】
次に、差分データ生成手段28が、対になった残差ベクトルデータ同士の差分ベクトルデータ(差分ベクトル,差分データ)を算出する。例えば、前述した2つのベクトルx=[x,x,・・・,x],y=[y,y,・・・,y]が対になった場合の差分ベクトルデータdは、以下の式により求められる。
【0036】
【数5】
JP0004893892B2_000006t.gif

【0037】
そして、類似度算出手段26により算出される類似度に基づいて、対生成手段27が、差分データと差分データ、又は差分データと残差ベクトルデータの対をさらに生成していくことにより、親ノードが対の子ノードを有し且つ親ノードを構成するデータが対の子ノードを構成する2つのデータの差分データであるとともに子ノードを有さない最下層ノードを構成するデータが上記被処理データであるバイナリーツリー構造データ(バイナリーツリー構造データのリンク構造)を生成する。
【0038】
図6は、バイナリーツリー構造データの一例を示す模式図である。バイナリーツリー構造データでは、子ノードを有さない最下層ノードが残差ベクトルデータあり、同図に示す例では、5つの最下層ノードn~nが残差ベクトルデータになる。そして、ノードnを構成する残差ベクトルとノードnを構成する残差ベクトルの類似度が高いためノードnとノードnとが対になり、ノードnを構成する残差ベクトルとノードnを構成する残差ベクトルの類似度が高いためノードnとノードnとが対になっている。これら対のノードの差分データにより構成される2つのノードn,n及び対にならなかったノードnのうち、類似度の高いノードnとノードnとにより対が生成され、この対のノードの差分データによりノードnの生成され、ノードnとノードnとの差分データによりルートノード(親ノードを有さないノード)であるノードnが生成される。
【0039】
以上のようなシンプルな処理によりバイナリーツリー構造データが生成されるため、処理速度を高速化できる。なお、残差ベクトルデータがk個ある場合(入力信号がkチャンネルにより構成される場合)、バイナリーツリー構造データのノードの数はk+(k-1=2k-1個になる。
【0040】
上記符号化手段22は、前述の木構造データ生成手段21により生成したバイナリーツリー構造データの各ノードを構成する全ての残差ベクトルデータ及び差分データに対して、エントロピー符号化を行う。なお、エントロピー符号としては、本実施例では、Huffman符号を用いるが、本発明はHuffman符号に限定されるものではなく、算術符号やRangecoder等を用いても同様の効果を得ることができる。
【0041】
上記データ選択手段23は、もとのデジタル入力信号に復号化可能なように、バイナリーツリー構造データの各ノードを構成する全ての残差ベクトルデータ及び差分データから、残差ベクトルデータの個数分だけデータを選ぶように構成されている。
【0042】
図7は、データ選択手段の処理フロー図である。データ選択手段23による処理が開始されるとステップS1に進む。ステップS1では、最下層ノード(残差ベクトルデータにより構成されるノード)全てを「仮選択ノード」にセットし、その他のノード(差分データにより構成されるノード)全てを「未処理ノード」にセットし、ステップS2に進む。
【0043】
ステップS2では、バイナリーツリー構造データのノードのなかにまだ「仮選択ノード」が存在するか否かの検出を行い。「仮選択ノード」がない状態であればデータ選択手段23による処理を終了し、その時点で「選択ノード」にセットされたノードを構成するデータが圧縮用のデータとして選ばれることになる。一方、ステップS2において、「仮選択ノード」がまだ存在する状態であれば、ステップS3に進む。
【0044】
ステップS3では、ペアを構成する対ノードが「未処理ノード」になっていない任意の「仮選択ノード」を対象ノードとして選択し、ステップS4に進む。ステップS4では、対象ノードを構成するデータが、その親ノードを構成するデータよりも、エントロピー符号化による圧縮率が低いか否かの検出を行い、低くなければステップS5に進み、低ければステップS6に進む。
【0045】
ステップS5では、対象ノードを「選択ノード」、親ノードを「非選択ノード」にセットして、処理をステップS2に処理を戻す。ステップS6では、対ノードが「仮選択ノード」であるか否かの検出を行い、「仮選択ノード」でなければステップS7に進む。ステップS7では、対象ノードを「非選択ノード」、親ノードを「仮選択ノード」にセットし、ステップS8に進む。
【0046】
ステップS8では、ステップS7又は後述するステップS11,13,14において「仮選択ノード」にセットされた親ノードがルートノードであるか否かの検出を行い、ルートノードであればステップS9に進み、ルートノードでなければステップS2に処理に戻す。ステップS9では、ルートノードである親ノードを「選択ノード」にセットし、ステップS2に処理を戻す。
【0047】
ステップS6において、対ノードが「仮選択ノード」であれば、ステップS10に進む。ステップS10では、対ノードを構成するデータが、その親ノードを構成するデータよりも、エントロピー符号化による圧縮率が低いか否かの検出を行い、低くないことが検出されると、ステップS11に進む。ステップS11では、対象ノードを「非選択ノード」、対ノードを「選択ノード」、親ノードを「仮選択ノード」にセットし、ステップS8に処理を進める。
【0048】
ステップS10において、対象ノードの対ノードを構成するデータが、その親ノードを構成するデータよりも、エントロピー符号化による圧縮率が低いことが検出されると、ステップS12に進む。ステップS12では、対象ノードを構成するデータが、その対ノードを構成するデータよりも、エントロピー符号化による圧縮率が高いか否かの検出を行い、高ければステップS13に進み、高くなければステップS14に進む。
【0049】
ステップS13では、対象ノードを「選択ノード」、対ノードを「非選択ノード」、親ノードを「仮選択ノード」にセットし、ステップS8に処理を進める。一方、ステップS14では、対象ノードを「非選択ノード」、対ノードを「選択ノード」、親ノードを「仮選択ノード」にセットし、ステップS8に処理を進める。
【0050】
以上のように構成されるデータ選択手段23によれば、「選択ノード」とされたノードに関する情報と、バイナリーツリー構造データのリンク構造に関する情報とを用いることにより、全ての残差ベクトル情報を算出することが可能である。全ての残差ベクトル情報が分かれば、前述した式により、デジタル入力信号に関す情報を取得することが可能である。なお、データ選択手段23の構成は、同図に示す例に限定されるものではない。
【0051】
図8(A)~(D)はデータ選択手段によるデータ選択の一例を示す状態遷移図ある。図示する例では、4個の残差ベクトルデータにより4つの最下層ノードn~nが構成され、これらのノードn~nが「仮選択ノード」としてセットされる(同図(A)参照)。そして、木構造データ生成手段21によって、上記2つのノードn,nを子ノードする親ノードnが構成され、上記2つのノードn,nを子ノードする親ノードnが構成され、上記2つのノードn,nを子ノードするルートノードである親ノードnが構成されることにより、バイナリーツリー構造データが生成される。なお、ノードのなかの数字は、7個のノードn~nにおける、エントロピー符号化の圧縮率の高さの順番を示している。
【0052】
まず、2つのノードn,nのそれぞれに対して、ステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS5→ステップS2の処理がおこなわれる。その結果、ノードn,nが「選択ノード」にセットされ、ノードnが「非選択ノード」にセットされる(同図(B)参照)。
【0053】
次に、ノードnに対してステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS6→ステップS10→ステップS12→ステップS13→ステップS8→ステップS2の処理が行われ、その結果、ノードnが「選択ノード」にセットされ、ノードnが「非選択ノード」にセットされ、ノードnが「仮選択ノード」にセットされる(同図(C)参照)。
【0054】
次に、ノードnに対してステップS2→ステップS3→ステップS4→ステップS6→ステップS7→ステップS8→ステップS9→ステップS2の処理が行われ、その結果、ノードnが「非選択ノード」にセットされ、ノードnが「選択ノード」にセットされる(同図(D)参照)。
【0055】
そして、これらの処理の結果、ノードn、ノードn、ノードn及びノードnが選択データとして選択される。この際、ノードnを構成する残差ベクトルデータの情報を取得するためには、ノードnとノードnの情報によりノードnの情報を取得し、ノードnとノードnの情報によりノードnの情報を取得し、ノードnとノードnの情報によりノードnの情報を取得する。
【0056】
上記データ出力手段24は、データ選択手段23によって「選択ノード」とされたノードを構成し且つエントロピー符号化されたデータによって圧縮データを生成して出力するように構成されている。この際、データ出力手段24は、圧縮データとともに、この圧縮データを復号化可能なように、バイナリーツリー構造データのリンク情報に関するリンクデータも併せて出力する。このリンクデータを用いて、復号化を行う。
【0057】
図9は、本可逆圧縮用符号化システムのチャンネル数に対する処理時間の特性グラフである。同図に示されるように、チャンネル数を増加させて扱う情報を増大させてもチャンネル数が8~16の間は、それほど処理時間が増大せずに、効率的に処理が行われている。なお、チャネル数が64や128になると、処理時間が指数関数的に急激に増加している。すなわち、効率的な処理を行うためにはチャンネル数が8~16、実用的にはチャンネル数が32以下であることが好ましい。
【0058】
なお、上記した例では線形予測分析19により残差信号を算出したが、本可逆圧縮用符号化システムでは線形予測分析19を用いなくとも、十分な圧縮率を得ることが可能であり、場合によっては、残差ベクトルデータ生成手段20による処理を省いてもよい。この場合には、ベクトルデータ生成手段18により生成したデータが、被処理データになる。
【0059】
また、圧縮されたデータは、図4に示した手法とは逆手順の手法及び分割手段17とは逆手順の手法(場合によっては分割手段17の手法)により、画像データに変換することが可能である。これを、印刷機12を介して紙媒体(情報記憶媒体、情報媒体)に印刷、又はコンピュータの表示画面(情報媒体)に表示する等により、大容量の音楽、動画データ等が含まれる圧縮データのやり取りを、専用の情報記録媒体(フロッピディスク,CD-ROM)に用いずに、行うことが可能である。このため、大幅なコストの削減を図ることが可能である他、メディア産業の様々な場面に応用可能である。ちなみに、圧縮データを、外部記録装置11を介してフロッピディスク8やCD-ROM9に記憶することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明を適用した符号化装置の構成を示す概略図である。
【図2】本符号化装置が搭載した可逆圧縮用符号化システムの構成を示すブロック図である。
【図3】(A)は音声データに関する入力信号の一例を示す図面であり、(B)は入力信号が分割される一例を示す図面である。
【図4】画像データに関する入力信号の一例を示す図面である。
【図5】符号化部の構成を示すブロック図である。
【図6】バイナリーツリー構造データの一例を示す模式図である。
【図7】データ選択手段の処理フロー図である。
【図8】(A)~(D)はデータ選択手段によるデータ選択の一例を示す状態遷移図ある。
【図9】本可逆圧縮用符号化システムのチャンネル数に対する処理時間の特性グラフである。
【符号の説明】
【0061】
3 メモリ(RAM)
18 ベクトルデータ生成手段
21 木構造データ生成手段
22 符号化手段
23 データ選択手段
26 類似度算出手段(ベクトル類似度算出手段)
27 対生成手段
28 差分データ生成手段
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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