TOP > 国内特許検索 > 超小型燃料電池 > 明細書

明細書 :超小型燃料電池

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5207442号 (P5207442)
公開番号 特開2009-104826 (P2009-104826A)
登録日 平成25年3月1日(2013.3.1)
発行日 平成25年6月12日(2013.6.12)
公開日 平成21年5月14日(2009.5.14)
発明の名称または考案の名称 超小型燃料電池
国際特許分類 H01M   8/02        (2006.01)
FI H01M 8/02 E
H01M 8/02 L
H01M 8/02 R
請求項の数または発明の数 11
全頁数 16
出願番号 特願2007-273499 (P2007-273499)
出願日 平成19年10月22日(2007.10.22)
審査請求日 平成22年7月29日(2010.7.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
発明者または考案者 【氏名】逢坂 哲彌
【氏名】門間 聰之
【氏名】冨中 悟史
個別代理人の代理人 【識別番号】100079304、【弁理士】、【氏名又は名称】小島 隆司
【識別番号】100114513、【弁理士】、【氏名又は名称】重松 沙織
【識別番号】100120721、【弁理士】、【氏名又は名称】小林 克成
【識別番号】100124590、【弁理士】、【氏名又は名称】石川 武史
審査官 【審査官】▲辻▼ 弘輔
参考文献・文献 特公昭33-008367(JP,B1)
特開2005-197188(JP,A)
特開平10-208757(JP,A)
調査した分野 H01M 8/02
特許請求の範囲 【請求項1】
基板の表面に、幅が1000μm以下、かつ深さが1000μm以下である第1の凹陥部を形成し、該第1の凹陥部の少なくとも底面を含む内面領域にアノード及びカソードのいずれか一方、上記第1の凹陥部を形成した表面の少なくとも上記第1の凹陥部と近接する領域を含む縁部領域に上記アノード及びカソードの他方を、上記アノードとカソードとを離間させて形成し、上記アノードと上記カソードとの間を水素イオン(H+)又はヒドロキサイドイオン(OH-)が移動可能に上記アノード及びカソードの双方に燃料液及び酸化剤液のいずれか一方を接触させると共に、電解質膜を用いずに、上記内面領域にアノード、上記縁部領域にカソードを設けた場合にあっては、上記カソードに燃料液を介してガス状の酸化剤を、上記内面領域にカソード、上記縁部領域にアノードを設けた場合にあっては、上記アノードに酸化剤液を介してガス状の燃料を供給して、アノード反応により生成した水素イオン(H+)が、上記燃料液又は酸化剤液中を移動してカソード反応に供給される、又はカソード反応により生成したヒドロキサイドイオン(OH-)が、上記燃料液又は酸化剤液中を移動してアノード反応に供給されるように構成したことを特徴とする超小型燃料電池。
【請求項2】
上記アノードとして燃料の反応を選択的に促進する触媒を用いること、及び/又は上記カソードとして酸化剤の反応を選択的に促進する触媒を用いることを特徴とする請求項1記載の超小型燃料電池。
【請求項3】
上記第1の凹陥部の内面領域にアノード、上記縁部領域にカソードが形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の超小型燃料電池。
【請求項4】
上記第1の凹陥部に燃料液を充填して上記アノードと上記カソードとの間を水素イオン(H+)又はヒドロキサイドイオン(OH-)が移動可能に燃料液を接触させることを特徴とする請求項記載の超小型燃料電池。
【請求項5】
上記第1の凹陥部が溝状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項記載の超小型燃料電池。
【請求項6】
基板上に第2の凹陥部を形成し、該第2の凹陥部の底面から上記第1の凹陥部を形成してなり、上記第2の凹陥部の底面の一部又は全部が上記縁部領域をなしていることを特徴とする請求項1又は2記載の超小型燃料電池。
【請求項7】
上記第1の凹陥部の内面領域にアノード、上記縁部領域にカソードが形成されていることを特徴とする請求項6記載の超小型燃料電池。
【請求項8】
上記第1の凹陥部に燃料液を充填して上記アノードと上記カソードとの間を水素イオン(H+)又はヒドロキサイドイオン(OH-)が移動可能に燃料液を接触させることを特徴とする請求項7記載の超小型燃料電池。
【請求項9】
更に、上記カソードの上面の一部又は全部を覆うように上記第2の凹陥部の底部に燃料液を充填して、上記カソードに燃料液を接触させることを特徴とする請求項8記載の超小型燃料電池。
【請求項10】
上記第1の凹陥部が溝状に形成され、更に、上記第2の凹陥部が上記第1の凹陥部に沿って溝状に形成されていることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項記載の超小型燃料電池。
【請求項11】
上記縁部領域が、更に、上記第1の凹陥部を形成した表面の上記第1の凹陥部と接する領域を含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の超小型燃料電池。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、超小型燃料電池、特に、燃料として燃料液、酸化剤としてガス状の酸化剤、又は酸化剤として酸化剤液、燃料としてガス状の燃料を用いることが可能であり、更に、電解質膜を用いることなく有効な発電が可能である超小型燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子電解質型燃料電池(PEFC)は、二次電池よりも高いエネルギー密度を実現できる可能性を有しており、例えば携帯情報端末等への次世代のエネルギー源として注目されている。一般に燃料電池の燃料としては水素(H2)を用いており、例えば、図7に示されるように、固体高分子電解質膜sの一方に設けられたアノードa側で下記式(1)のアノード反応により、水素イオン(H+)と電子を出し、水素イオン(H+)は電解質膜中を移動し、電子は外部回路を移動して、カソードc側で下記式(2)のカソード反応により酸素を還元している。これら下記式(1)及び(2)は、酸性雰囲気下での反応であり、アルカリ雰囲気下においては、水素イオン(H+)の代わりにヒドロキサイドイオン(OH-)が介在する反応となる。なお、全反応はいずれの雰囲気の場合においても下記式(3)で表され、水素と酸素とから水が生成する。
2→2H++e- (1)
1/2O2+2H++2e-→H2O (2)
2+1/2O2→H2O (3)
【0003】
また、水素イオン(H+)を供与する物質、即ち、燃料として、例えばメタノールを用いることができ、このようなものは一般に直接メタノール型燃料電池(DMFC)と称されている。このDMFCは、例えば、図8に示されるように、固体高分子電解質膜sの一方に設けられたアノードa側で下記式(4)のアノード反応により、メタノールと水の各一分子から二酸化炭素を生成し、この際水素イオン(H+)と電子を得ている。また、カソードc側では、下記式(5)のカソード反応により酸素を還元している。これら下記式(4)及び(5)は、酸性雰囲気下での反応であり、アルカリ雰囲気下においては、水素イオン(H+)の代わりにヒドロキサイドイオン(OH-)が介在する反応となる。なお、全反応はいずれの雰囲気の場合においても下記式(6)で表され、メタノールと酸素とから水と二酸化炭素が生成する。
CH3OH+H2O→CO2+6H++6e- (4)
3/2O2+6H++6e-→3H2O (5)
CH3OH+3/2O2→CO2+2H2O (6)
【0004】
一般的な燃料電池は、上述したようにアノードとカソードとを異なる基板上に形成し、電解質膜を挟んでアノードとカソードとが対向した構造を有している。手で扱える通常のサイズの燃料電池であるならば、それら電極の位置合わせは容易であるが、アノードとカソードとが微細化した超小型燃料電池の場合では容易ではない。また、燃料や酸化剤を供給する流路が微細化した燃料電池では、特に、液体を供給する場合、その供給にポンプを必要とするが、小型化するに従い毛管圧が増大し、その影響から、ポンプの作動によるエネルギー損失が無視できなくなる上、システムが複雑となってしまう。
【0005】

【特許文献1】特開2005-197188号公報
【特許文献2】特開2007-73347号公報
【特許文献3】特開2007-80650号公報
【特許文献4】特開2006-351513号公報
【特許文献5】特開2006-202740号公報
【特許文献6】特開2005-149974号公報
【特許文献7】特開2004-303627号公報
【非特許文献1】S. Motokawa et al., Electrochemistry Communications, 6, 562, (2004)
【非特許文献2】S. Motokawa et al., Electrochemistry, 73(5), 346, (2005)
【非特許文献3】S. Motokawa et al., Electrochemistry, 73(5), 352, (2005)
【非特許文献4】S. C. Kelley, et al., Electrochemical and Solid-State Letters, 3(9) 407, (2000)
【非特許文献5】R. S. Jayashree et al., J. Am. Chem. Soc., 127(48), 16758, (2005)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、アノードとカソードとを別の基板上に形成してこれを位置合わせする従来の燃料電池と異なり、アノードとカソードとの位置合わせを必要とせず、更には、電解質膜を用いることなく、特に、燃料として燃料液、酸化剤としてガス状の酸化剤、又は酸化剤として酸化剤液、燃料としてガス状の燃料を用いて有効に発電が可能である超小型燃料電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の超小型燃料電池を提供する。
[1] 基板の表面に、幅が1000μm以下、かつ深さが1000μm以下である第1の凹陥部を形成し、該第1の凹陥部の少なくとも底面を含む内面領域にアノード及びカソードのいずれか一方、上記第1の凹陥部を形成した表面の少なくとも上記第1の凹陥部と近接する領域を含む縁部領域に上記アノード及びカソードの他方を、上記アノードとカソードとを離間させて形成し、上記アノードと上記カソードとの間を水素イオン(H+)又はヒドロキサイドイオン(OH-)が移動可能に上記アノード及びカソードの双方に燃料液及び酸化剤液のいずれか一方を接触させると共に、電解質膜を用いずに、上記内面領域にアノード、上記縁部領域にカソードを設けた場合にあっては、上記カソードに燃料液を介してガス状の酸化剤を、上記内面領域にカソード、上記縁部領域にアノードを設けた場合にあっては、上記アノードに酸化剤液を介してガス状の燃料を供給して、アノード反応により生成した水素イオン(H+)が、上記燃料液又は酸化剤液中を移動してカソード反応に供給される、又はカソード反応により生成したヒドロキサイドイオン(OH-)が、上記燃料液又は酸化剤液中を移動してアノード反応に供給されるように構成したことを特徴とする超小型燃料電池。
[2] 上記アノードとして燃料の反応を選択的に促進する触媒を用いること、及び/又は上記カソードとして酸化剤の反応を選択的に促進する触媒を用いることを特徴とする[1]記載の超小型燃料電池。
] 上記第1の凹陥部の内面領域にアノード、上記縁部領域にカソードが形成されていることを特徴とする[1]又は[2]記載の超小型燃料電池。
] 上記第1の凹陥部に燃料液を充填して上記アノードと上記カソードとの間を水素イオン(H+)又はヒドロキサイドイオン(OH-)が移動可能に燃料液を接触させることを特徴とする[]記載の超小型燃料電池。
[5] 上記第1の凹陥部が溝状に形成されていることを特徴とする[1]乃至[4]のいずれかに記載の超小型燃料電池。
[6] 基板上に第2の凹陥部を形成し、該第2の凹陥部の底面から上記第1の凹陥部を形成してなり、上記第2の凹陥部の底面の一部又は全部が上記縁部領域をなしていることを特徴とする[1]又は[2]記載の超小型燃料電池。
[7] 上記第1の凹陥部の内面領域にアノード、上記縁部領域にカソードが形成されていることを特徴とする[6]記載の超小型燃料電池。
[8] 上記第1の凹陥部に燃料液を充填して上記アノードと上記カソードとの間を水素イオン(H+)又はヒドロキサイドイオン(OH-)が移動可能に燃料液を接触させることを特徴とする[7]記載の超小型燃料電池。
[9] 更に、上記カソードの上面の一部又は全部を覆うように上記第2の凹陥部の底部に燃料液を充填して、上記カソードに燃料液を接触させることを特徴とする[8]記載の超小型燃料電池。
[10] 上記第1の凹陥部が溝状に形成され、更に、上記第2の凹陥部が上記第1の凹陥部に沿って溝状に形成されていることを特徴とする[6]乃至[9]のいずれかに記載の超小型燃料電池。
11] 上記縁部領域が、更に、上記第1の凹陥部を形成した表面の上記第1の凹陥部と接する領域を含むことを特徴とする[1]乃至[10]のいずれかに記載の超小型燃料電池。

【0008】
本発明の超小型燃料電池においては、基板の表面に、好ましくは幅が1000μm以下、かつ深さが1000μm以下の第1の凹陥部を形成し、該第1の凹陥部の少なくとも底面を含む内面領域(側壁及び底面のうちの少なくとも底面を含む一部又は全部である内面領域)にアノード及びカソードのいずれか一方、上記第1の凹陥部を形成した表面の少なくとも上記第1の凹陥部と近接する領域を含む縁部領域に上記アノード及びカソードの他方が、上記アノードとカソードとを離間させて形成される。本発明の超小型燃料電池においては、アノードとカソードとが同一の基板上に形成され、基板の同一の面側にアノードとカソードとの双方が微細加工技術を用いて短絡しないように近接して形成される。そして、上記アノードと上記カソードとの間を水素イオン(H+)又はヒドロキサイドイオン(OH-)が移動可能に上記アノード及びカソードの双方に、燃料液及び酸化剤液のいずれか一方を接触させると共に、上記内面領域にアノード、上記縁部領域にカソードを設けた場合にあっては、上記カソードにガス状の酸化剤を、上記内面領域にカソード、上記縁部領域にアノードを設けた場合にあっては、上記アノードにガス状の燃料を供給することにより、アノード反応により生成した水素イオン(H+)が、上記燃料液又は酸化剤液中を移動してカソード反応に、又はカソード反応により生成したヒドロキサイドイオン(OH-)が、上記燃料液又は酸化剤液中を移動してアノード反応に供給されて、発電が行われる。
【0009】
これまでの燃料電池は、一般的に、電解質膜という隔膜を有し、アノード及びカソードの2つの電極の間をイオンのみが通るようにする必要がある。そのため、燃料電池の構造自体は、その要求に従ったものとなって、電解質膜の厚みや平滑性などが足枷となっていたが、本発明の燃料電池では、電解質膜を用いることを必ずしも必要とせず、電解質膜の省略が可能であり、超小型の燃料電池、特に直接メタノール型燃料電池として非常に有効な構造を有している。
【0010】
また、本発明においては、アノードとカソードとを、第1の凹陥部の内面領域と、上記縁部領域との異なる高さレベルに分離して設けることにより、電解質膜を用いなくても、アノード反応とカソード反応とを分離することができる。更に、アノード反応に供給する燃料を液相、カソード反応に供給する酸化剤を気相とする、又はアノード反応に供給する燃料を気相、カソード反応に供給する酸化剤を液相とすることにより、基板の同一の面側にアノードとカソードとの双方が形成された構造であっても、燃料及び酸化剤の双方を、アノード及びカソードの各々に供給することが可能である。
【0011】
特に、上記アノードとして燃料の反応を選択的に促進する触媒、上記カソードとして酸化剤の反応を選択的に促進する触媒、更にはそれら双方を用いれば、高い効率で安定した発電が可能となる。
【0012】
本発明においては、上記第1の凹陥部の内面領域にアノード、上記縁部領域にカソードを形成することが好ましく、上記第1の凹陥部に燃料液を充填すれば、上記アノードと、上記カソード、例えば、その側面との間を水素イオン(H+)又はヒドロキサイドイオン(OH-)が移動可能に燃料液を接触させることが可能である。この場合、上記縁部領域が、更に、上記第1の凹陥部を形成した表面の上記第1の凹陥部と接する領域を含むように構成すること、具体的には、上記第1の凹陥部と接する領域にカソードを形成することにより、カソードと燃料液との接触をより確実なものにすることができ、好適である。
【0013】
また、この場合、カソードにガス状の酸化剤を直接、又は燃料液中を短距離拡散させて接触させることができ、酸化剤として、ガス状の酸化剤の使用が可能である。更に、上記第1の凹陥部を溝状に形成すれば、溝に沿って燃料液を供給することが可能であり、溝内の毛管圧を利用して、ポンプを使用することなく燃料液を供給することも可能である。
【0014】
更に、本発明においては、基板上に第2の凹陥部を形成し、該第2の凹陥部の底面から上記第1の凹陥部を形成することができ、この場合、上記第2の凹陥部の底面の一部又は全部が上記縁部領域をなすように形成することが好ましい。また、上記第2の凹陥部は上記第1の凹陥部に沿って溝状に形成されていることが好ましい。
【0015】
この場合、上記第1の凹陥部の内面領域にアノード、上記縁部領域にカソードを形成することが好ましく、上記第1の凹陥部に燃料液を充填すれば、上記アノードと、上記カソード、例えば、その側面との間を水素イオン(H+)又はヒドロキサイドイオン(OH-)が移動可能に燃料液を接触させることが可能であり、更に、上記カソードの上面の一部又は全部を覆うように上記第2の凹陥部の底部に燃料液を充填すれば、カソードの側面と上記カソードの上面の一部又は全部とに燃料液を接触させることも可能であり、より確実にカソードと燃料液とを接触させることができる。この場合も、カソードにガス状の酸化剤を直接、又は燃料液中を短距離拡散させて接触させることができ、酸化剤として、ガス状の酸化剤の使用が可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の超小型燃料電池は、アノードとカソードとが同一の基板上に形成され、基板の同一の面側にアノードとカソードとの双方が近接して形成されており、アノードとカソードとの位置合わせを必要とせず、更には、電解質膜を用いることなく、燃料として燃料液、酸化剤としてガス状の酸化剤、又は酸化剤として酸化剤液、燃料としてガス状の燃料を用いて有効に発電することができる。
【発明を実施するための最良の形態及び実施例】
【0017】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
本発明の超小型燃料電池は、基板の表面に第1の凹陥部を形成し、該第1の凹陥部の少なくとも底面を含む内面領域にアノード及びカソードのいずれか一方、上記第1の凹陥部を形成した表面の少なくとも上記第1の凹陥部と近接する領域を含む縁部領域に上記アノード及びカソードの他方を、上記アノードとカソードとを離間させて形成したものである。そして、上記アノードと上記カソードとの間を水素イオン(H+)又はヒドロキサイドイオン(OH-)が移動可能に上記アノード及びカソードの双方に燃料液及び酸化剤液のいずれか一方を接触させると共に、上記内面領域にアノード、上記縁部領域にカソードを設けた場合にあっては、上記カソードにガス状の酸化剤を、上記内面領域にカソード、上記縁部領域にアノードを設けた場合にあっては、上記アノードにガス状の燃料を供給して、アノード反応により生成した水素イオン(H+)が、上記燃料液又は酸化剤液中を移動してカソード反応に供給される、又はカソード反応により生成したヒドロキサイドイオン(OH-)が、上記燃料液又は酸化剤液中を移動してアノード反応に供給されるように構成したものである。
【符号の説明】
【0018】
このような燃料電池としては、例えば、図1及び2に示されるものが具体的に例示される。即ち、この燃料電池は、基板1上に第2の凹陥部21が形成され、この第2の凹陥部21の底面の幅方向中央部に第1の凹陥部11が形成されている。この第1の凹陥部の少なくとも底面を含む内面領域(図に示される例においては、底面のみ)には、集電体層12を介してアノード触媒12aが積層されている。この場合、第1の凹陥部11は溝状に形成されており、また第2の凹陥部21は、第1の凹陥部11に沿った溝状に形成されている。
【0019】
また、第1の凹陥部11が形成されている表面(図に示される例においては、第2の凹陥部21の底面であり、溝状の第1の凹陥部11の幅方向両側)の第1の凹陥部11と近接する領域を含む縁部領域(図に示される例においては、第1の凹陥部11と接する領域も含む)には、集電体層22を介してカソード触媒22aが積層されている。この場合、カソード側の集電体層22は、第2の凹陥部21の表面のカソード触媒22aが設けられていない領域、更には、基板1の上層表面の所定範囲にも導電路として延設され、末端はカソード端子22cとなっている。一方、アノード側の集電体層12は、アノード導電路12bと電気的に接続され、アノード導電路12bは、アノード端子12cと電気的に接続されている。なお、図1中、3は液(燃料液)導入路である。
【0020】
更に、集電体層(アノード側)12と集電体層(カソード側)22とは、電気的に接続されて回路を形成しており、第1の凹陥部11、更に、必要に応じて第2の凹陥部21の底部にカソードの上面の一部又は全部を覆うように燃料液11bを充填(図に示される例においてはカソードの上面の全部を覆うように第2の凹陥部21の底部にも燃料液11bを充填)して、アノード触媒12a及びカソード触媒22aに燃料液が接触するようになっており、アノード触媒12aとカソード触媒22aとの間を水素イオン(H+)又はヒドロキサイドイオン(OH-)が移動可能になっている。
【0021】
一方、第2の凹陥部21の燃料液11bが充填されていない余の部分は大気開放、又は空洞(図示はしていないが、例えば、必要に応じて第2の凹陥部21上に天板を設けて空洞を形成することができる。)とし、ここにガス状の酸化剤21bを導入し、ガス状の酸化剤21bが直接、又はカソード触媒22a上を燃料液11bが覆っている場合は燃料液11b中を短距離拡散してカソード触媒22aに接触するようになっている。
【0022】
そして、燃料液11bのアノード反応及びガス状の酸化剤21bのカソード反応と共に、酸性雰囲気下においては、アノード触媒において生成した水素イオン(H+)が、燃料液11b中を、アノード側からカソード側へ移動し、アノード反応により生成した水素イオンが、上記燃料液中を移動してカソード反応に供給されるように、又はアルカリ性雰囲気下においては、カソード触媒において生成したヒドロキサイドイオン(OH-)が、燃料液11b中を、カソード側からアノード側へ移動し、カソード反応により生成したヒドロキサイドイオン(OH-)が、上記燃料液中を移動してアノード反応に供給されるように構成されており、このアノード反応及びカソード反応によって発電されるようになっている。この燃料電池は、いわゆる平面型と呼ばれるものであり、基板の同一の面側にアノードとカソードとの双方が設けられたものである。
【0023】
本発明においては、基板としてSi基板を用いることができる。Si基板は、半導体製造において用いられるリソグラフィ、エッチング等の微細加工手法を用いることにより、基板上に微細な凹陥部を精度よく形成することができることから好適である。なお、基板はSi基板に限定されるものではなく、強度があり、寸法安定性が優れている材料であれば使用可能であり、例えば、ポリアクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ABS樹脂、シリコーン樹脂若しくはこれらの混合物、又はこれらの材料に無機材料を充填してなる複合材料などの樹脂基板を用いることもできる。
【0024】
ここで、本発明の燃料電池の第1の凹陥部(溝)の幅及び深さは、燃料電池の用途、大きさ及びその発電容量、アノード反応及びカソード反応の選択性などに応じて適宜設定することができ、特に限定されるものではないが、例えば凹陥部(溝)の幅が1000μm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは100μm以下、かつ凹陥部(溝)の深さが1000μm以下、好ましくは500μm以下、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは100μm以下とすることが好ましい。なお、上記幅及び深さの下限は特に限定されるものではないが、通常、各々1μm以上、好ましくは10μm以上である。
【0025】
一方、第2の凹陥部(溝)の幅は、上記第1の凹陥部(溝)の幅より広く(例えば、第1の凹陥部(溝)の幅の1.1~5倍、好ましくは1.5~3倍程度)すればよい。また、第2の凹陥部(溝)の深さは、適宜設定されるが、通常、上述した第1の凹陥部(溝)の深さと同じ範囲内で設定される。
【0026】
第1及び第2の凹陥部として、上記例では溝状のものを挙げたが、第1及び第2の凹陥部の形状はこれに限定されるものではなく、例えば、角柱形状、円柱形状などに形成することも可能である。また、溝の形状も、特に限定されるものではないが、溝の幅方向の断面形状を異方性形状(角型)又は等方性形状(丸型、半円型)とすることができる。また、溝側壁は垂直の場合の他、特に第2の凹陥部は、溝の側壁をテーパ形状(溝を断面逆台形形状)とすることもできる。
【0027】
本発明においては、集電体層は、例えば、導電層である金などの金属層を形成したものが挙げられる。この触媒が担持される電極部分の金属としては、これに限定されるものではなく、集電機能を発揮する金属であれば、いずれも使用可能である。また、集電体層は、基板に直接又は密着層等の他の層を介して形成することができる。
【0028】
一方、集電体層に担持される触媒、即ち、アノード触媒及びカソード触媒としては、アノード触媒には燃料の酸化触媒として機能する金属、金属錯体、金属酸化物、酵素などが用いられ、カソード触媒には酸化剤の還元触媒として機能する金属、金属錯体、金属酸化物、酵素などが用いられる。このようなものとしては、白金族金属又は白金族合金が好ましく、白金族金属としては、白金、パラジウムなどが挙げられ、白金族合金としては、白金族金属と、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、鉄、ニッケル、金、コバルト、タングステン、モリブデン、バナジウム、チタニウム及び錫からなる群より選択される1種又は2種以上の元素との合金を用いることができる。特に、アノード触媒として燃料の反応を選択的に促進する触媒を用いること、また、カソード触媒として酸化剤の反応を選択的に促進する触媒を用いることが有効である。この点においては、アノード触媒に白金ルテニウム合金、白金錫合金、白金イリジウム合金、白金ニッケル合金、カソード触媒にパラジウムコバルト合金、パラジウムチタニウム合金、パラジウムニッケル合金、パラジウムクロム合金を用いることが特に好ましい。
【0029】
また、燃料としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、アセトン、蟻酸、ヒドラジン、アスコルビン酸、グルコース、エチレングリコール、水素ガス、液化石油ガス、ジメチルエーテル、ボロハイドライド、ホスホリン酸などの還元性物質を用いることができ、ガス状の酸化剤又は酸化剤液との相溶性を考慮して、ガス状又は液状(そのままで、若しくは水溶液等の溶液として)で用いることができる。燃料を水溶液として用いる場合の濃度は、特に限定されるものではないが、例えば、メタノール水溶液の場合、通常1~3mol/Lである。なお、燃料は、1種で又は2種以上の混合物で用いることができる。
【0030】
一方、本発明においては、酸化剤として、空気、酸素ガス(O2)、オゾンガス(O3)、二酸化マンガン、過酸化水素(H22)等の、酸化物、過酸化物質などの酸化性物質を用いることができ、ガス状の燃料又は酸化剤液との相溶性を考慮して、ガス状又は液状(そのままで、若しくは水溶液等の溶液として)で用いることができる。なお、酸化剤は、1種で又は2種以上の混合物で用いることができる。
【0031】
本発明においては、カソード触媒にガス状の酸化剤を直接、又はカソード触媒上を燃料液が薄層状(例えば0.01~1μm程度、好ましくは0.1~0.5μmの厚さ)で覆っている場合でも燃料液中を短距離拡散させて接触させることができるため、酸化剤として、ガス状の酸化剤の使用が可能である。また、アノード触媒にガス状の燃料を直接、又はアノード触媒上を酸化剤液が薄層状(例えば0.01~1μm程度、好ましくは0.1~0.5μmの厚さ)で覆っている場合でも酸化剤液中を短距離拡散させて接触させることができるため、燃料として、ガス状の燃料の使用が可能である。なお、ガス状の酸化剤及び燃料は、いずれも反応に関与しない不活性ガスで希釈して用いてもよい。
【0032】
更に、燃料液中又は酸化剤液中において水素イオン(H+)又はヒドロキサイドイオン(OH-)の移動を促進させるために、酸又はアルカリを電解質として添加することが可能である。これにより、水素イオン(H+)又はヒドロキサイドイオン(OH-)を効率的に移動させることができる。また、燃料及び酸化剤の供給には、必要に応じてポンプ等を適宜使用することも可能である。
【0033】
なお、図示した例では、第2の凹陥部を形成し、第2の凹陥部の底面から第1の凹陥部を形成した2段構造のものを例示したが、本発明の燃料電池には、第2の凹陥部を設けずに、基板の表面から直接第1の凹陥部を設け、基板の表面の第1の凹陥部と近接する領域、好ましくは第1の凹陥部と接する領域も含むように縁部領域を設定する1段構造のものも含まれる。この場合、カソード触媒の側面に燃料液が接触するように第1の凹陥部に燃料液を充填すればよい。更に、アノードとカソードが短絡しないようにすれば、カソード触媒(及び集電体層)を第1の凹陥部の両側面、特に両側面上部に延設することも可能であり、また、アノード触媒(及び集電体層)を第1の凹陥部の両側面、特に両側面下部に延設することも可能である。
【0034】
また、図示した例では、第1の凹陥部の幅方向中央部に第1の凹陥部が形成され、第1の凹陥部の幅方向両側に縁部領域(カソード)が設けられたものを示したが、第1の凹陥部を第2の凹陥部の幅方向片側に寄せて形成してもよく、第1の凹陥部の幅方向片側のみに縁部領域(カソード)が設けられたものでもよい。
【0035】
一方、第2の凹陥部を形成し、第2の凹陥部の底面から第1の凹陥部を形成した2段構造のものの場合、燃料液は第1の凹陥部内のみに充填しても、第1の凹陥部と第2の凹陥部の底部の双方に充填してもよく、後者の場合は、縁部領域が第1の凹陥部に接していなくてもより有効にカソードと燃料液との接触を確保することができる。この場合も、アノードとカソードが短絡しないようにすれば、カソード触媒(及び集電体層)を第1の凹陥部の両側面、特に両側面上部に延設することが可能であり、また、アノード触媒(及び集電体層)を第1の凹陥部の両側面、特に両側面下部に延設することも可能である。
【0036】
このようなセルを1単位として、複数のセルから燃料電池スタックを構成し、大容量又は長寿命の燃料電池を構成することができる。また、この際、同一基板上に複数の凹陥部を形成し、これらを電気的に接続して燃料電池スタックを構成することで、簡易な製造方法で大容量又は長寿命の燃料電池を構成することも可能である。
【0037】
次に、本発明の燃料電池の製造工程の一例を説明する。まず、図3(A)に示されるように、Si基板1の熱酸化により酸化膜1aを形成する〔熱酸化工程1〕。なお、この工程が既に施された市販のSi基板を用いることも可能である。次に、図3(B)に示されるように、レジスト1b(エッチングレジスト)を塗布し、第2の凹陥部を設ける所定の箇所をパターニングする〔リソグラフィ工程1〕。次に、図3(C)に示されるように、エッチング(例えば、HFによるエッチング)により基板1上の酸化膜1aの除去を行う〔酸化膜エッチング工程1〕。次に、図3(D)及び(E)に示されるように、レジスト1b及び酸化膜1aをマスクとしてエッチング(例えば、KOHによるエッチング)により基板上に第2の凹陥部21を形成し、その後レジスト1bを剥離し、次いで熱酸化を行う〔Siエッチング工程1(第2の凹陥部形成)及び熱酸化工程2〕。
【0038】
次に、図4(F)及び(G)に示されるように、第2の凹陥部21の表面を含む基板1上面にレジスト2b(例えば、RIEレジスト)を積層して、第2の凹陥部21の第1の凹陥部を設ける所定の箇所をパターニングし〔リソグラフィ工程2〕、更に、開口部の酸化膜を除去する〔酸化膜エッチング工程2〕。次に、図4(H)及び(I)に示されるように、レジスト2bを使用し、Deep-RIE(Reactive Ion Etching:反応性イオンエッチング)装置を用いて酸化膜1a及び基板1をエッチングして、基板1上の第2の凹陥部21の所定の箇所に第1の凹陥部11を形成し、その後レジスト2bを剥離し、次いで熱酸化を行う〔Siエッチング工程2(第1の凹陥部形成)及び熱酸化工程3〕。
【0039】
次に、図5(J)及び(K)に示されるように、第1の凹陥部11及び第2の凹陥部21の表面を含む基板1上面にレジスト3b(蒸着レジスト)を積層して、集電体層並びにアノード及びカソード触媒を設ける所定の箇所をパターニングする〔リソグラフィ工程3〕。次に、図5(L)に示されるように、集電体金属としてのAuを真空エレクトロンビーム(EB)蒸着により蒸着させ、リフトオフによりパターン部以外のレジスト3b及び金属を除去して第1の凹陥部11内に集電体層12、第2の凹陥部内に集電体層22を形成する。〔金属蒸着工程及びリフトオフ工程〕。次に、図5(M)に示されるように、電極部となる集電体層12,22上に電析法によりアノード触媒12a及びカソード触媒22aを個々に担持する〔触媒電析工程〕。
【0040】
このように基板に燃料液又は酸化剤液を充填する凹陥部を形成すると共に、第1の凹陥部の内面領域と、第1の凹陥部を形成した表面の第1の凹陥部と近接する領域を含む縁部領域とに、各々アノード及びカソードを形成することにより、電解質膜を用いることなく、超小型の燃料電池を提供することができる。Siの微細加工技術であるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を用いることで、公知の半導体製造と同様のプロセス技術により、燃料電池を製造することができるので、大量生産におけるコストの低廉化を図ることができる。また、同一基板平面に隣接した凹陥部を形成してセルを構成すれば、製造が簡易となり、製造コストの低廉化を図ることもできる。
【0041】
なお、図示した例では、内面領域にアノード、縁部領域にカソードを設けて、カソードにガス状の酸化剤を供給する場合を示したが、内面領域にカソード、縁部領域にアノードを設けて、アノードにガス状の燃料を供給することもできる。
【0042】
以下、より具体的な実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0043】
[実施例1]
図1及び2に示される構成の燃料電池を作製し、燃料電池の性能を評価した。結果を表1並びに図6に示す。なお、燃料電池の設定条件及び作製工程、並びに燃料電池の評価方法は以下のとおりである。
【0044】
基板及び溝(凹陥部)
基板:Si基板(2cm×2.5cm 厚さ200μm)
第1凹陥部:幅200μm、深さ90~100μm、長さ15mm(アノード導電路として形成された9mmを含む)
第2凹陥部:幅400μm(両側面上端間)、深さ10μm、長さ6mm
集電体及び触媒
アノード側:Au集電体+Pt-Ru触媒(担持量:0.5mg/cm2
カソード側:Au集電体+Pd-Co触媒(担持量:0.5mg/cm2
燃料
2mol/L CH3OH+0.5mol/L H2SO4水溶液
酸化剤
空気(大気開放)
【0045】
燃料電池作製工程
〔熱酸化工程1〕
酸化膜の厚みが1μm程度の酸化処理済みのSi基板を用いた。
〔リソグラフィ工程1〕
フォトレジスト(前処理剤:OAP(東京応化工業製)、レジスト:OFPR-800(東京応化工業製))をスピンコーティング後、プリベークを行い、ガラスマスクを用いて露光し、マスクパターンをフォトレジストに転写した。その後、現像、リンス、及びポストベークを行った。
【0046】
〔酸化膜エッチング工程1〕
緩衝フッ酸を用いてレジストパターン開口部のSi酸化膜のエッチングを行った(マスクパターンの形成)。
〔Siエッチング工程1(第2の凹陥部形成)〕
KOH(30%)溶液(80℃)に浸漬し、Siの異方性エッチング(この場合、Siの面配向<100>の基板とした)を、溶液を攪拌して行った。
【0047】
〔熱酸化工程2〕
アセトンによりフォトレジストを除去後、緩衝フッ酸を用いて全てのSi酸化膜を一度除去した。その後、RCA洗浄を行うことで、清浄なSi表面を形成し、再び熱酸化により酸化膜を形成した(ドライ酸化、O2雰囲気下、1,100℃)。酸化膜の厚みは0.1μm程度とした。
【0048】
〔リソグラフィ工程2〕
フォトレジスト(前処理剤:OAP(東京応化工業製)、レジスト:AZ(登録商標)P4620(AZ electronic materials製))をアセトンにて希釈(8.5倍希釈)し、スプレーコーティング(窒素圧100mbar)後、プリベークを行い、ガラスマスクを用いて露光し、マスクパターンをフォトレジストに転写した。その後、現像及びリンスを行った。
【0049】
〔酸化膜エッチング工程2〕
緩衝フッ酸を用いてレジストパターン開口部のSi酸化膜のエッチングを行った(マスクパターンの形成)。
〔Siエッチング工程2(第1の凹陥部形成)〕
ドライエッチング(Deep-RIE)により、深さ90~100nmの垂直溝を形成した。
【0050】
〔熱酸化工程3〕
アセトンによりフォトレジストを除去後、SPMにより残存レジストを除去した。更に、緩衝フッ酸を用いて全てのSi酸化膜を除去した後、RCA洗浄を行うことで、清浄なSi表面を形成し、再び熱酸化により酸化膜を形成した(ドライ酸化、O2雰囲気下、1,100℃)。酸化膜の厚みは0.1μm程度とした。
【0051】
〔リソグラフィ工程3〕
フォトレジスト(前処理剤:OAP(東京応化工業製)、レジスト:AZ(登録商標)P4620(AZ electronic materials製))をアセトンにて希釈(11倍希釈)し、スプレーコーティング(窒素圧3000mbar)後、プリベークを行い、ガラスマスクを用いて露光し、マスクパターンをフォトレジストに転写した。その後、現像及びリンスを行った。
【0052】
〔金属蒸着工程〕
電子線(EB)蒸着により、チタン(30nm程度)を密着層として蒸着した後、金(200nm程度)を蒸着した。
〔リフトオフ工程〕
アセトンへ浸漬し、超音波照射によりフォトレジストを除去した。更に、純水で洗浄した。
〔触媒電析工程〕
アノード触媒として白金ルテニウム合金を電析した。電析浴としては、塩化白金及び塩化ルテニウムを含む溶液を用いた。カソード触媒としては、パラジウムコバルト合金を電析した。電析浴としては、パラジウムアンミン錯体及び塩化コバルトを含む溶液で、マロン酸を錯化剤として加え、アンモニアを用いてpHを9.1に調整したものを用いた。
【0053】
燃料電池の性能評価
市販のガルバノスタットを用いて、電流をステップさせ、定常になった電圧を読み取り、測定した。測定は室温、大気下にて行った。
【0054】
【表1】
JP0005207442B2_000002t.gif
【0055】
以上の結果から、本発明の燃料電池が、電解質膜を用いていないにもかかわらず、燃料として燃料液、酸化剤としてガス状の酸化剤、又は酸化剤として酸化剤液、燃料としてガス状の燃料用いた燃料電池、特に、燃料として燃料液、酸化剤としてガス状の酸化剤を用いた直接メタノール型の燃料電池として有効であることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施例に係る燃料電池の平面図である。
【図2】(A)は、図1の燃料電池のX部の拡大斜視図であって、燃料電池回路の概念図であり、(B)は、(A)の断面図である。
【図3】燃料電池の製造工程の説明図である。
【図4】燃料電池の製造工程の説明図である。
【図5】燃料電池の製造工程の説明図である。
【図6】実施例1の電流-電圧曲線および電流-出力曲線である。
【図7】従来のPEFCの燃料電池の模式図である。
【図8】従来のDMFCの燃料電池の模式図である。
【0057】
1 基板
1a 酸化膜
1b,2b,3b レジスト
11 第1の凹陥部(溝)
21 第2の凹陥部(溝)
11b 燃料液
21b 酸化剤
12 集電体層(アノード側)
12a アノード触媒
12b アノード導電路
12c アノード端子
22 集電体層(カソード側)
22a カソード触媒
22c カソード端子
3 液導入路
a アノード
c カソード
s 固体高分子電解質膜
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7