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明細書 :3相電圧形インバータシステム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5072097号 (P5072097)
公開番号 特開2009-171807 (P2009-171807A)
登録日 平成24年8月31日(2012.8.31)
発行日 平成24年11月14日(2012.11.14)
公開日 平成21年7月30日(2009.7.30)
発明の名称または考案の名称 3相電圧形インバータシステム
国際特許分類 H02M   7/49        (2007.01)
FI H02M 7/49
請求項の数または発明の数 1
全頁数 7
出願番号 特願2008-010239 (P2008-010239)
出願日 平成20年1月21日(2008.1.21)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 2007年8月1日、社団法人 電気設備学会発行の「2007年(第25回)電気設備学会全国大会 2007年(第5回)電気設備学会国際ワークショップ 講演論文集」に発表
審査請求日 平成23年1月18日(2011.1.18)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】800000068
【氏名又は名称】学校法人東京電機大学
発明者または考案者 【氏名】枡川 重男
個別代理人の代理人 【識別番号】100083806、【弁理士】、【氏名又は名称】三好 秀和
【識別番号】100100712、【弁理士】、【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
【識別番号】100100929、【弁理士】、【氏名又は名称】川又 澄雄
【識別番号】100095500、【弁理士】、【氏名又は名称】伊藤 正和
【識別番号】100101247、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 俊一
【識別番号】100098327、【弁理士】、【氏名又は名称】高松 俊雄
審査官 【審査官】松本 泰典
参考文献・文献 特開平3-86022(JP,A)
特開昭55-68898(JP,A)
特開平11-346478(JP,A)
特開2007-99066(JP,A)
特開2009-95170(JP,A)
調査した分野 H02M 7/49
特許請求の範囲 【請求項1】
直流電源と、3相各相の上側のスイッチング素子に対して120°ずつずらして120°ずつオン期間を設定し、前記各相の下側スイッチング素子に対して前記上側スイッチング素子とは180°ずらし、かつ相ごとに120°ずつずらして120°ずつオン期間を設定した3相インバータユニットと、前記3相インバータの3相各相の出力端に接続された一次側Y巻線、二次側Δ巻線の3相出力トランスとを含む3相電圧形インバータ装置と、
前記直流電源と3相電圧形インバータ装置との間に介挿された補助回路であって、前記直流電源の直流電圧を分圧する分割コンデンサと、単相各相の上側のスイッチング素子に対して80°ずつずらして60°ずつオン期間を設定し、前記単相各相の下側スイッチング素子に対して前記上側スイッチング素子とは60°ずらし、かつ相毎に80°ずつずらして60°ずつオン期間を設定した単相インバータユニットと、一次側巻線が前記単相インバータユニットの各相の上下のスイッチング素子の接続中点間に接続され、二次側巻線が前記分割コンデンサの接続中点と前記3相トランスの一次側Y巻線の接続中点との間に接続された補助トランスとから構成される補助回路とを備えたことを特徴とする3相電圧形インバータシステム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、3相電圧形インバータシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、3相インバータの出力電圧波形を改善する一方式として多段多重方式がある。例えば、1周期18ステップから成る階段波形の電圧を得るには、図4に示すように直流電源Edに対して3台の3相インバータユニットINV-1~INV-3を3段縦続接続し、この3台の3相インバータユニットINV-1~INV-3の3相U,V,Wの出力に対して3相トランスT1~T3のΔ巻線101-1~101-3を接続し、3相トランスT1~T3のY巻線102-1~102-3をU,V,W各相の出力とする構成の3相インバータシステムを用いていた。
【0003】
この従来の3相インバータシステムでは、移相用の3相トランスT-1~T-3のΔ巻線101-1~101-3それぞれの各相の巻数を同じにして、Y巻線102-1~102-3の巻数比をA:B:C=1:0.742:0.395に設定し、3相インバータユニットINV-1~INV-3を順次20°遅れの位相差で制御すると、出力相電圧vUNが図5(a)に示すように1周期18ステップの階段波形となる。したがって、出力線間電圧vUVは、図5(b)に示すように1周期18ステップの階段波形を得ることができる。
【0004】
ところが、従来の3相インバータシステムでは、出力電圧波形を正弦波に近づけるほど移相トランスとインバータユニットを複数台必要とするために装置の大型化とコストの増加が避けられない問題点があった。例えば、図4に示した3段縦続接続で1周期18ステップの出力電圧を得るには、18個のスイッチング素子と3台の3相トランスを必要とする。
【0005】
一方、例えば、S. Masukawa, S. Iidaの論文“An Improved Three-Phase Diode Rectifier for Reducing AC Line Current Harmonics”, in Conf. Rec. EPE’97, pp.4.227-4.232(非特許文献1)、Sewan Choiの論文“New Multiplication Technique Based on Six-Pulse Thyristor Converters for High-Power Applications”, IEEE Trans. Ind. Appl., Vol. 38, No.1, pp.131-136, 2002(非特許文献2)、Y. Nishidaの論文“New Passive and Hybrid Rectifier Topologies to Achieve Sinusoidal Utility Current and Controlled Output Voltage”, in Conf. Rec. IPEC-Niigata 2005, pp.1823-1829,2005(非特許文献3)には、3相整流回路の電源側に高調波を注入して電源電流波形を改善する方式が提案されている。この方式は高調波を注入するわずかな容量の補助回路を追加するだけで多段多重方式と同等の波形改善効果を得ることができるため、航空機の発電機や無停電電源装置(UPS)の整流回路として検討されているが、インバータの出力電圧波形の改善に適用された例は見当たらない。

【非特許文献1】S. Masukawa, S. Iidaの論文“An Improved Three-Phase Diode Rectifier for Reducing AC Line Current Harmonics”, in Conf. Rec. EPE’97, pp.4.227-4.232
【非特許文献2】Sewan Choiの論文“New Multiplication Technique Based on Six-Pulse Thyristor Converters for High-Power Applications”, IEEE Trans. Ind. Appl., Vol. 38, No.1, pp.131-136, 2002
【非特許文献3】Y. Nishidaの論文“New Passive and Hybrid Rectifier Topologies to Achieve Sinusoidal Utility Current and Controlled Output Voltage”, in Conf. Rec. IPEC-Niigata 2005, pp.1823-1829,2005
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の課題に鑑みてなされたもので、装置の大型化とコストの増加を抑えながらも正弦波に近い出力波形が得られる3相電圧形インバータシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、直流電源と、3相各相の上側のスイッチング素子に対して120°ずつずらして120°ずつオン期間を設定し、前記各相の下側スイッチング素子に対して前記上側スイッチング素子とは180°ずらし、かつ相ごとに120°ずつずらして120°ずつオン期間を設定した3相インバータユニットと、前記3相インバータの3相各相の出力端に接続された一次側Y巻線、二次側Δ巻線の3相出力トランスとを含む3相電圧形インバータ装置と、前記直流電源と3相電圧形インバータ装置との間に介挿された補助回路であって、前記直流電源の直流電圧を分圧する分割コンデンサと、単相各相の上側のスイッチング素子に対して80°ずつずらして60°ずつオン期間を設定し、前記単相各相の下側スイッチング素子に対して前記上側スイッチング素子とは60°ずらし、かつ相毎に80°ずつずらして60°ずつオン期間を設定した単相インバータユニットと、一次側巻線が前記単相インバータユニットの各相の上下のスイッチング素子の接続中点間に接続され、二次側巻線が前記分割コンデンサの接続中点と前記3相トランスの一次側Y巻線の接続中点との間に接続された補助トランスとから構成される補助回路とを備えた3相電圧形インバータシステムを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の3相電圧形インバータシステムによれば、出力周波数の3倍で動作する小型の単相トランス1台と直流電源を2分圧するコンデンサを追加することで10個のスイッチング素子と3相トランス1台で18ステップの出力電圧波形を得ることができ、装置の大型化とコストの増加を抑えながらも正弦波に近い出力波形が得られる3相インバータシステムを提供することができる。
【0009】
また本発明の3相電圧形インバータシステムによれば、最大スイッチング周波数は出力周波数の3倍であるため、低周波用のスイッチング素子を適用することができ、またスイッチング周波数が低いためにスイッチング損失やスイッチングノイズを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。
【0011】
(第1の実施の形態)図1は、本発明の第1の実施の形態の3相電圧形インバータシステムを示している。本実施の形態の3相電圧形インバータシステムは、直流電源Ed、スイッチング素子S1~S6からなる主インバータユニットINV-M、出力トランスT、そして破線で囲まれた補助回路1から構成されている。主インバータユニットINV-Mのスイッチング素子S1~S6には、例えばIGBTのような自己消弧型スイッチング素子が適用されている。出力トランスTはY巻線-Δ巻線の3相トランスである。
【0012】
補助回路1は単相インバータユニットINV-Aを構成する補助スイッチング素子S7~S10、補助トランスTa、直流電源Edを2分割する2つのコンデンサCd1,Cd2から成る。そして、補助トランスTaの一次側巻線は各相の上下の補助スイッチング素子の接続点間に接続し、補助トランスTaの二次側巻線はコンデンサCd1,Cd2の接続点Nと出力トランスTの中性点Oとの間に接続してある。
【0013】
次に、上記構成の3相インバータシステムの動作について説明する。図2はスイッチング素子S1~S10のパルスパターン、補助トランスTaと出力トランスTの線間電圧波形を示す。通常の電圧形インバータのスイッチング素子は180°期間導通するが、本実施の形態の方式では主インバータゲート制御装置2により主インバータユニットINV-Mのスイッチング素子S1~S6それぞれを120°期間導通させる。
【0014】
一方、単相インバータゲート制御装置3により補助回路1の単相インバータユニットINV-Aを構成するスイッチング素子S7~S10は補助トランスTaの二次側巻線電圧vmが出力電圧の3倍周波数からなる断続方形波電圧となるように非対称制御する。例えば、θが0°-30°の期間ではスイッチング素子S3,S5がオンとなるので、出力トランスTの一次側巻線VOとWOの相電圧および二次側巻線vwとwuの線間電圧は、
【数1】
JP0005072097B2_000002t.gif

【0015】
となる。回路構成より出力トランスTの二次側巻線電圧の総和は、
【数2】
JP0005072097B2_000003t.gif

【0016】
になるので、(1)式、(2)式より出力トランスTの二次側巻線電圧vuvは、
【数3】
JP0005072097B2_000004t.gif

【0017】
となる。一方、補助トランスTaの出力電圧vmは補助スイッチング素子S7~S10のパルスパターンより、次の値をとる。
【数4】
JP0005072097B2_000005t.gif

【0018】
ここで、kは補助トランスTaの巻数比であり、一次側巻線の巻数をN1、二次側巻線の巻数をN2とし、k=N2/N1と定義する。
【0019】
したがって、(2)式、(3)式、(4)式よりθが0°-10°の期間における出力トランスTの二次側巻線電圧は、
【数5】
JP0005072097B2_000006t.gif

【0020】
となる。さらに、θが10°-30°の期間では、
【数6】
JP0005072097B2_000007t.gif

【0021】
を得る。同様にして、出力トランスTの各ステップの出力電圧を求めると、出力電圧vuvは1周期18ステップ相当の階段波形に改善され、出力電圧vvwおよびvwuはvuvを120°ずつ遅らせた波形となる。
【0022】
図3は、直流電源電圧Ed=400V、インピーダンス10Ω、遅れ力率80%におけるシミュレーション波形を示す。図3から明らかなように、補助トランスTaの出力電圧vmは出力周波数の3倍からなる断続方形波電圧となっている。また、補助回路1の動作により、出力トランスTの出力電圧は1周期18ステップ波形になっている。
【0023】
尚、図3に示したシミュレーション結果から、出力電圧に60°期間ごとにサージ電圧が現れているが、これは制御パルスに若干の重なりを与えることで改善できる。
【0024】
(他の実施の形態)第1の実施の形態では、補助回路1は単相インバータ構成にしてスイッチング素子S7~S10を動作させたが、補助回路1のインバータを単相マルチレベルインバータにして、例えば、2レベルインバータとすれば、出力トランスTの出力電圧vuvには1周期12ステップ相当の階段波形が得られる。また、4レベルインバータとすれば出力トランスTの出力電圧vuvには1周期24ステップ相当の階段波形が得られ、6レベルインバータとすれば出力トランスTの出力電圧vuvには1周期36ステップ相当の階段波形が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の1つの実施の形態の3相電圧形インバータシステムの回路図。
【図2】上記実施の形態におけるインバータ制御パルス波形図と出力電圧波形図。
【図3】上記実施の形態の3相電圧形インバータシステムのシミュレーション結果の補助トランスの二次巻線電圧波形図(同図(a))と出力電圧波形図(同図(b))。
【図4】従来の3段縦続接続方式の3相インバータシステムの回路図。
【図5】従来の3段縦続接続方式の3相インバータシステムの出力電圧波形図。
【符号の説明】
【0026】
1 補助回路
2 主インバータゲート制御装置
3 単相インバータゲート制御装置
INV-M 主インバータユニット
S1~S10 スイッチング素子
T 出力トランス
Ta 補助トランス
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4